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"John painted Mary naked"の文法 : 二次述語の機 能をめぐって

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(1)

"John painted Mary naked"の文法 : 二次述語の機 能をめぐって

著者 藤岡 克則

雑誌名 主流

号 58

ページ 111‑126

発行年 1997‑03‑10

権利 同志社大学英文学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015133

(2)

' J o h n  p a i n t e d  M

ynaked" の文法

一一二次述語の機能をめぐって一一

藤 岡 克 則 I 

111 

主語や目的語に対して,ネクサスの関係を保っているが,文法的には必 須の要素とは見なされない述語は,二次述語 (secondarypredicatelとして 分類されている.しかし,二次述語とネクサスの関係を持つ対象が,主語 であるのか目的語であるのか暖味である場合も生じる.このことは,二次 述語が主語と目的語のどちらとも統語的には結び付かず,主述の関係は,

解釈上生じるにすぎないと見る可能性を示唆していると思われる.本稿に おいては,二次述語を接尾辞 ly'を持たない単純形副調 (flatadverblと

して考えることによって,二次述語は統語的には動詞を修飾する要素であ り,主語と目的語のどちらと意味的に結び付くか,即ち,意味上ネクサス の関係を成立させるのかは,言語外の情報に依存していることを証明した い.また,結果を表す二次述語に関しては,述語でもまた副調でもなく,

動詞と結び付き,複合動詞を形成していることを明らかにしていきたい.

Dixonは,次の例文(1)は,その解釈に関して(2)に示すように 3通りに暖 味であると述べている

(1)  John painted Mary naked. 

(2)  a.ジョーンは裸で,メアリーの絵を描いた.

(3)

112  JohnpntedMynaked"の文法

b.ジョーンは,裸でポーズをとっているメアリーの絵を描いた。

C.ジョーンは(メアリ」の裸がどのようであるのか自分の想像力 を働かせて),メアリーのヌードの絵を描いた.

例文(1)はその意味上の解釈から, (2 a)においては (3a)の,また (2 b)においては (3b)の構造から派生したと考える可能性がある.

(3)  a.  John

, 

who was naked

, 

painted Mary. 

b.  Johnpaintβd Mary

, 

who was naked. 

しかしDixonによると,例丈(1)は (3a,b)のような非制限的関係代名 詞節の縮約されたものが外置された構造とは解釈されないと述べている.そ れは, (4 a‑C)は文法的であるのに,代名詞を先行詞とする (4d)が非 文法的であるためである

(4)  a.  He came

, 

wheezing noisily

, 

inωtheroom. 

b.  Hecametothe room

, 

wheezing noisily.  c. Wheezing noisily, he came in加 出eroom.

d . *He 

, 

who was wheezing noisily

, 

came inωther,∞,m. 

そこでDixonは,例文(1)や (4a‑C)などの構造に対し,コメント節 (comment clause)という分類をしている.しかし,その統語的特徴や意味 上の暖味性が生じる理由などについては触れていない.また, (2 c)の解 釈も (3b)から生じると考えているが,その点に関しでも詳しくは触れて いない.ただし,主語や目的語の名詞匂に対して'情報を付加するという機能 に関しては,コメント節という分類も可能で、あると思われる.

Dixonがコメント節と言う用語を用いて分類した例文(1)は, Jespersenが

(4)

John painted Mary naked."の文法 113  すでに疑似述語 (quasipredicate)として分類しているものと同じ構造であ る.Jespersenは,疑似述語を含む例文 (5a,b)は,例文 (6a, b)  の意味を持っているが,完全な述語構造の例文 (7a,b)などとは区別さ れると述べている

(5)  a.leygon:ed. b.  He lay sick. 

(6)  a.leyarenaked theygo (about).  b.  He was sich and he was lying.  (7)  a.  He looked young. 

b.  He seemed happy. 

例文 (5a,b)の構造においては,疑似述語naked,sickがそれぞれな くとも,主語と述語の聞にネクサスの関係が成立しているために,文法性に 変化は起きないが,例文 (7a,b)に関しては,述語young,happyがな ければ主語と述語の聞にはネクサスの関係が成立しないために,非文法的な 文となる.ただし, Jespersenが指摘した疑似述語構造は,主語と文法上義 務的に必要でない述語との聞に見られる主述関係に着目したものであった が,現在では,目的語との聞の主従関係も含み,二次述語としてその構造を 捉えている.

例文(1)の述語nakedが,主語Johnとネクサスの関係にあることを見るた めに,例文 (3a)をパラフレ}ズすると,例文(8)がえられる.

(8)  John was naked hepainted Mary. 

例文(8)において,主語Johnと述語nakedはbe動詞で結ばれ,ネクサスの 関係が成立していると同時に,主語he (John)と述部paintedMaryの間

(5)

114  JohnpntedMynaked"の文法

にもネクサスの関係が成立していることが分かる.このように,例文(1)は述 語nakedの有無に関わりなく,主語Johnと述部paintedMaryの聞にネク サスの関係を保つ文法的な文であり,二次述語構造として分類される.

また,例文 (3b)における述語nakedと目的語Myの関係をわかり やすくパラフレーズすると,次の例文(9)がえられる.

(9)  Mary was naked as John painted her. 

例文(9)は, paintの目的語である Mγと述語nakedがネクサスの関係にあ り,またnakedの有無に関わりなく,主語Johnと述部paintedher (Mary)  の間にネクサスの関係を保つ,文法的な文であることが分かる.従って,例 文(1)において,主語や目的語とネクサスの関係を保つてはいるが,文法上義 務的な要素でない述語nakedは,二次述語であるといえる4

セクションEで例文(1)を二次述語構造として捉えたが,その三つの解釈はタ それぞれどのような文法構造を反映していると考えられるであろうか.

Najlaは,二次述語とその被修飾要素との関係を表す代表的な例として,

次の3つのタイプを挙げている

同 a.  John drove home happy. (ジョンは幸せに運転して帰った.)  b.  M81γdr81lk coffee hot. (メアリーはコーヒーをホットで飲ん

だ.) 

C. Tom harnmered the meta1 flat. (トムは金属をたたいて平たく した。)

Nakajimaによると,例文 (10a)のhappyは,主語に対する叙述を行

(6)

John painted M.創ynaked"の文法 115  う主語指向の述語(circumstantial)であるが, (10 b)のhotは,目的語 に対する叙述を行う目的語指向の述語 (depictive)である.一方, (10 c)  のflatは,目的語に対する結果を表している述語 (restative)である 例文(1)の解釈 (2a)には主語指向の述語のタイプが,そして (2b)には

目的語指向の述語のタイプがそれぞれあてはまる.

また,目的語に対する結果を表す述語のタイプにおいては,目的語が動調 によって表される行為によって,二次述語が表わす状態に達成したことにな る.その点に関してLevinand Rappaport Hovavは,次のように述べてい る。

In fact. . . resu1tative phrases often derive accomplishments from  activities. Accomplishments are usually analyzed as complex  eventualities consisiting of an action and a state, where the activity  resu1ts in the bringing about of the state. Accomplishments

, 

then

, 

describe causative changes of state. . . 

τ .

'he resultative construction  dirs'Om lexically simple acomplishmentsin that both the activity  and the result state are lexically specified, each by a direntpredi.te: former by the verb andelatter by the resultative XP. For example

, 

in  Terryωiped the t.αble cleαn, theverbωipe specifies the activity and the  APcleαn specifies the result state. 

上の引用文における "wipedthe table clean"の場合,目的語tableは, wipe  という行為の結果, cleanという状態になったと考えられる.しかし, table  はwipeという行為が進むにつれて徐々にcleanという状態に成っていくと いう解釈も可能である.従って,結果を表わす二次述語構文(結果構文)は,

動調と二次述語の両方によって表わされるプロセスを経て,二次述語の状態 が達成されると考えられる.

(7)

116  JohnpaintedMynaked"の文法

ただし, (2 c)の解釈は,一見,結果構文のタイプには当てはまらない ように思われる. しかし「メアリーの絵を描いた」という場合, paint M但ずは, paintthe picture ofMarγ'の意味を表しており,服を着ていた メアリーをキャンヴァスの上でヌードにしたという解釈に立てば,言語上表 現されていない thepicture"は,動詞と述語の両方の表す「裸婦を描く」

というプロセスを通して,メアリーの「裸婦画

J

が達成されたと解釈するこ とにより, (2 c)は結果構文のタイプに当てはまると考えられる.以上の 議論から,例文(l)は,主語指向及ぴ目的語指向の二次述語,及ぴ結果構文の 3つのタイプの解釈が可能な文であり,そのために意味上の暖昧性が生じる といえる.

生成変形文法においては,指摘された3つのタイプに対して,それぞれ異 なった構造を考えている。ここではRapoporlにより提案された構造を概観 する.Rapoporlは,例文(1la, b)の主語指向及び目的語指向の述語の 構造に対して,例文(1lc) の結果を表す述語の構造を区別して捉えてい

る.

ω 

a.  Noa ate the meat nude. (ノアは裸で肉を食べた.)  b.  Noaathemeat raw. (ノアは肉を生で食べた.) 

c.  Ethan wiped the 

untery.(エサンはカウンターを拭いて乾 かした.) 

主語指向の二次述語である例文(1la) の構造,および目的語指向の二次 述語である例文 (11b)の構造として同を提案している

(8)

JohnpntedMynaked"の文法 117  (

12) 

/ ¥ I  

f x  

NP  VP  / "   /'へL Noa  VP  ^‑r 

¥ ¥ .  

V'  nuae  / 戸 ¥ V'  A:P 

/ ¥ ¥  

V  NP  raw 

/  ぷ斗

ate  meat 

構造(叫において,動詞ateと目的語meatは相互にM統御しており,他動 詞の構造上の特性を反映している.また,述語nudeは主語Noaを, raw 

は目的語meatをそれぞれM統御しており,その構造上は,それぞれの述語 が,異なった名詞句をM統御することはない従って,構造

ω

が正しいと すれば,二次述語が主語指向であるか,目的語指向であるかはその付加され る位置によって決まるといえる.

構造同に対し, Rapoportは目的語指向の結果を表す二次述語の構造につい ては,次の構造(l3)を提案している 10

(l3) 

ρI 

,/'  /'へ¥

Eth VP

V' 

/'¥ 

NP 

/ ¥  乙込

AP the counter 

Wl

/ ム

peCl  Clry 

(9)

118  John painted Mmy naked"の文法

構造(l3)は,動詞wipedと二次述語dryが 拭き取って乾かす"という行 為を表す複合された述部V'を成し V'全体が目的語thecounterにO役割

を付与している.

構造(叫及び¥l3)の適合性についてはここでは触れないが,それらが正しいと 仮定した場合,例文(1)の意味上の暖昧性に関連して,次のような問題点が生

じる.第一に.nudeの付加される位置と, rawの付加される位置は,それ ぞれの文の意味から判断されたものと考えられ,述語nudeやrawの持つ特 性から決まるものではない 11例文(1)においては,同じ二次述語nakedが, 解釈 (2a)においては,主語指向として, (2 b)においては目的語指向 の述語として解釈されていることからも判断できる.このことは,二次述語 が主語指向と目的語指向のどちらにも容易に解釈されやすい性質を備えた要 素であり,二次述語とその主語との関係の暖昧性が生じやすいことを示唆し ている.それではそのような陵昧性が生じやすい理由はどこにあるのであろ うか.また第二に,構造(叫に見られた,結果を表す二次述語と述語動詞との 意味上及び統語上の結び付きの強さは,どのような理由から考えられるので あろうか.この二点に関してセクションVI,Vで述べてみたい.

二次述語はその名の示すとおり,述語として分類されている.それは主語 あるいは目的語と二次述語との聞に,意味上ネクサスの関係が成立している と考えられるからである.しかし,これまで見てきたような二次述語の持つ 主語指向か目的語指向かという暖昧性や,二次述語の現れる文末という位置 を考えた時,二次述語は述語としてではなく,副詞類として機能しているの ではないかということを提案したい.

はじめに,主語指向の二次述語と考えられるタイプを見てみよう(二次述 語と主述関係にある名詞句に同一指標を付けている). 

(10)

John painted Mynaked"の文法 119  (14)  a.  JOM ate the fish nuda. (ジョンは裸で魚を食べた.) 

b.  Boh drank his coffee angryi. (ボブは怒ってコーヒーを飲んだ.)  同 a. *John ate the fish nuda. 

b.  *Bob drank his coffea angryi. 

例文同から, nudeangryを目的語指向として捉えた文は,意味上容認さ れないことがわかる.

例文同と闘の適格性の基準になるものは, eatdrinkなどの動詞の構造 ではないことは,次にみる目的語指向の二次述語のタイプから判断できる.

同 a.  John ate the si丑liraWi.(ジョンは魚を生で食べた.) 

b.  Bob drank his ∞妊eablac恥(ボブはコーヒ}をブラックで飲ん だ.) 

伺 a. *JOM ate the fish raWi.  b.  *Boh drank his coffee black. 

例文(1ゅでは二次述語が主語指向で、あったが,同じ構造の例文(l6)においては二 次述語が目的語指向として機能していることは,二次述語を主語指向として 捉えた例文例が容認されないことから判断できる.以上のことから,二次述 語を含む文において,構造的には二次述語は主語指向にも,目的語指向にも 捉えられる可能性を持っているといえる.

二次述語が主語指向か目的語指向かを判断する基準は,二次述語の特性で もないことは,例文同にみられるように, nudenakedが主語指向と目的 語指向のどちらにも解釈されることからも分かる.

(

18)  a.官 官 田 町 並valsiaMarynuda

b.τ'he cannivals ate Maryi nuda. 

(11)

120  JohnpaintedMynaked"の文法 c.  Jolm painted Mary naked. 

d.  John painted Maryi naked. 

例文倒の適格性から,統語上は,二次述語は主語指向とも目的語指向とも解 釈可能であることが分かる.従って,例文闘のように,二次述語が主語と目 的語の両方に結び付く解釈が可能な場合には暖昧性が生じるが,例文但)や闘 にみられるように,二次述語が主語か目的語のどちらに結び付くかが言語外 の知識として明らかな場合には,その指向性は明白に判断可能である.従っ て,二次述語の指向性を決めているものは,その文法構造ではなく言語外の 情報であり,文法構造上は常に,主語指向とも目的語指向とも解釈可能な位 置にあると考えられる.従って,主語指向と目的語指向の二次述語のタイプ にそれぞれ異なった構造を仮定していたRapoportによる同の構造には問題 があると思われる。

以上の考察から,これまで述語として捉えられていた二次述語は,文法構 造上は副詞類として機能し,動調の表す行為の様態や過程と関係しており,

その行為の表現に対する話者のコメントの付け方が主語指向か目的語指向か という点で,その副調類の名調勾との主述関係が決定されると考えられる.

二次述語が副調類として機能していると考えるもう一つの理由として,二次 述語を尋ねる疑問文が, "How...?"であることが挙げられる.

(19)  a.  How did John eat the fish?  b.  Heateirawi.

側 a. How did John eat the fish?  b.  Hs ate it naked. 

例文(19b)においてはrawが,また例文 (20b)においてはnakedが,

「魚を食べた」という行為の様態や過程を表しでおり,文法上は動詞匂を修

(12)

John painted Mary naked"の文法 121  飾する副詞類として働いている.そして言語外の情報として「生で」は「魚

J

と,

I

裸で

J

は「ジョン

J

と結び付くために, (19 b)においてはrawが目 的語に対するコメントであり, (20 b)においてはnakedが主語に対するコ メントと解釈されるのである.

二次述語を副詞類と捉えた場合,二次述語の形態上の問題が残る.これま でみてきた二次述語は全て形態上は形容調である.しかし,接尾辞 圃ly'を 持たず形容詞と同形で用いられる副詞として,単純形副詞 (flatadverb)が あり,二次述語を副詞類と捉える場合には,単純形副調と考えることができ る.

単純形副詞の語順に関して,

I

単純形副詞は '‑ly'副詞と異なり,主語と 動詞の聞には来れない

J

12という制約がある.

同 a. John ate the fish raw.  b. *John raw ate the fish.  ω a .  Johnatelefish nude. 

b . *John nude ate the fish. 

例文 (21b), (22 b)から, rawnudeが 却'副詞の位置に生起できな いことがわかるが, raw nudeを単純形副調と考えれば, (21  b)及び

(22 b)の非文法性が説明できる.

また.

I

多くの場合,単純形副調と '‑ly'副詞は交換可能である

J

13ことか ら,単純形副調と同形の '‑ly'副調を持つもので,二次述語と考えられるも のが, 骨'副詞と交換可能であれば,それは単純形副詞と考えられる.その ような副調として,加.gryとangrilyがある.

倒 a.  He looks angry. (彼は怒っているようだ¥) b.  Hell

Iks angrily. (彼は腹立たしげに見た.) 

(13)

122  'JohnpaindMynaked"の文法

凶 a.  Helefter

, ∞ I i l l

angry. (彼は怒って,部屋を出た.)  b.  He left the r

∞ ,

ImangIy.(彼は慈って,部屋を出た.) 

例文句)ではangryと沼港叫yの交替が意味の違いを作り出しており, (23 a)  のangryは,形容詞であり,補語として働いているが,例文仰)においては,

angryとangrilyの交替は意味の違いを作り出していないために, (24 b)  のangryは単純形副調として機能しているといえる 14

以上の考察から,主語指向及び目的語指向の二次述語は単純形副調であり,

統語的には動詞を修飾する要素として機能しており,主語指向であるか,目 的語指向であるかは単純形副詞の表す内容が,主語と目的語のどちらの名詞 匂と結び付きやすいのかという言語外の情報によって決定されることがわか った.また,主語指向か目的語指向かという解釈が暖味である場合が生ずる のは,言語外の情報として単純形副調の表す内容が,主語と目的語のどちら にも結び付く可能性があるためであり,単純形副詞は統語的には動詞を修飾 する要素であるために,主語と目的語のどちらにも統語上関与せず,意味上 の関わりは完全に言語外の情報から決定されると考えられる.

最後に,結果構文の二次述語について概観してみたい.このタイプの二次 述語に対して, Rapoportは他のタイプの二次述語と異なった構造帥を仮定 した.その理由として結果を表す二次述語においては,二次述語が行為を修 飾するという役割と,二次述語として働く形容詞の選択かヲ動詞によって制限 されるという事実から,主題関係において二次述語が動調と結び付いている という議論がなされてきており,そのために二次述語と動詞が結合し,一つ の行為を表し,それらの二つの要素が複合動詞として,目的語にO役割を付 与すると考えたためである 15

Rapoportの主張によれば,次の例文郎)に見られる結果を表す二次述語の

(14)

John painted Mary naked"の文法 123  構文において,それぞれの文によって表される行為は,単に動詞だけによっ

て表される行為とは異なった行為を表現していることになる 16

師 a. Eli nailed the window shut. (イライは釘を打って,窓が空か ないようにした.) 

b.  Tom hammered the metal flat.  (トムは金属をたたいて平たく した.) 

凶 a.  Eli nailed the window. (イライは窓に釘を打った.) 

b.  Tom hammered the metal. (トムは金属をトントン叩いた.) 

例文伺,闘から, nail shuthammerflatは複合動詞のような機能を持ち,

nailhammerなどの動調のみによって表現される行為とは異なった行為 を表していることが分かる.このように動調と深く結び付き,動詞とともに 一つの行為を表現する要素となった場合には, shutや 自atは,副調として 動調を修飾しているのではなく,複合動調の一部として機能していると考え

られる.

結果を表す二次述語が副調でないことは,二次述語を尋ねる

の疑間文に対して,結果構文で答えた場合には容認性がかなり低くなること からも導かれる.

a. How did Eli nail the window? 

b.  ?He nailed it shut. 

C. He nailed it celly.

加9 a.  How did Tom hammer也eme1? b.  ?He hammered it flat. 

c.  He hammered it quickly. 

(15)

124  'John pamted Mary naked"の文法

How.. .?"の疑問文に対し,様態の副詞を用いて答えた (27c), (28 c)  はそれぞれ文法的な文であるが, (27 b), (28 b)の様にshutゃflatなど がhowに対する答えとなる場合には容認、性がかなり低くなる.このことは 結果を表す二次述語が,副詞としての文の副次的な修飾要素ではなく,複合 動調の一部として機能している可能性を示唆していると考えられる.

また例文倒において,行った行為の内容を尋ねる 明lat.ー?"の疑問文に 対して,二次述語を含んだ文とそうでないものが,意味上違いがあることが 分かる.

倒 a.What did Eli do to the window? 

b.  He nailed it shut.  c.  He nailed it. 

例文 (29b)と (29c)はそれぞれ異なった行為を表しており,

r

釘を打っ

て,窓を空かなくした」という意味では, (29 c)は行為を正しく表現して いないことになる 17以上の考察より,結果を表す二次述語は,意味的にも また統語的にも動詞と結び付き,主語が目的語に対して行う一つの行為を表 現する複合動詞の一部を成していると考えられる.従って,結果を表す二次 述語は常に目的語指向であるといえる.

V I  

主語指向と目的語指向の二次述語が,単純形副詞であると主張し,統語的 には名調句ではなく動詞を修飾する要素であることを述べた.また,二次述 語が主語指向か目的語指向か暖味である解釈が生じるのは,副詞であるため にその機能上,動詞を修飾しており,統語的には主語と目的語のどちらに関 与しているのかを決定できず,それを決めるのは言語外の情報である.また そのことは,統語上,主語指向と目的語指向の両方の解釈を可能にしている

(16)

JohnpntedMynaked"の文法 125 

と結論づけた.また,結果を表す二次述語は,その意味と文法的振るまいか ら,動詞と結び付き複合動調として機能しており,また,複合動詞として,

目的語に対する一つの行為を表すために,常に目的語指向の解釈が成される と考えた.

主語及び目的語指向の二次述語が副詞であるならば,様態,程度,時間,

場所,頻度などを表す他の副調との共起の問題を考慮する必要がある.また,

結果を表す二次述語が複合動詞の一部であると考えるならば,二次述語は目 的語に対するネクサスの関係をすでに持たなくなっているのか,またどの品 調として分類されるのかなどの問題については,今後の研究課題としたい.

R. M. W.四五on,A New Approαch to English Grammαηon Semαnticinciples ewYork: Oxford University Press, 1991)  p. 31. 

例 克4)はDixonp.31より引用.

3  Jespersenの疑似述語に関する分析は, Otto Jespersen, A Modern English  Grammar, on Historiqu Principles, III (London: George and Unw)pp. 35863を参 照.例文(5)~(7)は, Jespersenp.358よりヲI

ただし, (2 c)の解釈においては,目的語の名詞勾と三次述語は,直接ネクサ スの関係を持っていないように恩われるが,この場合は,結果構文の一種として捉 え,その点についてはセクション Eで述べる.

5  Heizou Nakaja,Se

ndyPredition,"The LiuisticRωieω 7  (1990), pp.  27677. 

6  Nakajlaによると, (10 a)のタイプの二次述語は1P内に, (1b)のタイプ の二次述語はV P内に,また, (10 c)のタイプの二次述語はV'に内にそれぞれ位 置していると説明している.

7  Beth Le吋nand Malka Rappaport Hovav, Unαccαtivity(Cambridge: eMIT Press, 1995), pp. 49印.

8  T. R. RapoportSgeand Adjunct Predi.tes"KnoωledgeαndLαnguαge: IssS

in Lexical and Conαptual Structure, eds. E. Reuland and W. Abraham (Dordrecht:  uwerAcademic Publishers, 1'3).構造草刈は, 170頁より引用.

9  I ABを支配せず¥ Aを支配する最大投射であるXBも支配している場合,

はBをM統御するJという.Rapoport (1993)によると,動詞ateと目的語meat

(17)

126  John painted Mary naked"の文法

は,相互にM統御しており,述語rawは名詞勾meatのみを,また述語nudeは名 詞句NoaのみをM統御することにより,正しくθ役割が付与されることになる.

10.構造装1 Rapoport (13)p.164より引用.

11.ただし,二次述語となりうる述語は,名認勾に対するある種の段階を表した stage‑Ievelの述語でなければならず,固有のあるいは変ることのない属性を表す individ ual‑Ievelの述語は二次述語にはなれない.詳しくは, T. R. Rapoport, 

'Adjunct‑Predicate Licensing and D‑Structure," SyntlωαndSemαntics 25, ed S.  Rothste恒 例ewYork: Academic Press, 11).参照.

12.荒木一雄・安井稔編,

r

現代英文法辞典j(東京三省堂, 1992), 522頁.

13. 

r

現代英文法辞典j, 522頁.

14.同様に, Marutaは, Johnreturned safe / safely."や 'Johnbought the cαr  cheα'P  / cheα'Ply"などの文における,二次述語と真の副詞との交換可能性から,三 次述語が副詞的な機能を持つことを指摘している.Marutaも,主語指向及び目的 語指向の二次述語を,述語ではなく,行為または動作/変化の結果性 (actionor  motion / change‑eventualities)を修飾する盲目認類であるということを,生成変形文 法の枠組みで議論している.詳しくは, Tadao Maruta, "The Semantics of  Depictives" E;lishLuguistics12 (Tokyo: Kaitakusha, 1995), pp. 125‑46.を参照.

15. Rapoport (1993), pp. 164‑65.  16. Rapoport (1991), pp. 161‑62. 

17.  Rapoportの説明によれば, Noaate the meat raw."で表されている行為は eatingという行為の一種に過ぎないが, Elinailed the window shut."の場合は,

単なる n剖胎19という行為ではなく, naling shutという行為を表していることにな る.Rapoport (11)p. 161.参照.

参照

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