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ケベック州における外国裁判の承認及び執行

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ケベック州における外国裁判の承認及び執行

著者 ゴールドスティン ジェラルド, 小池 未来

雑誌名 同志社法學

巻 67

号 5

ページ 2443‑2465

発行年 2015‑09‑30

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000015620

(2)

同志社法学 六七巻五号五九七    二四四三

(*)

(**)

     

 

                     

 

  

         

                                   

 

 

(3)

    同志社法学 六七巻五号五九八二四四四

       

 

Ⅰ   イ ン ト ロ ダ ク シ ョ ン

  ケベック州法における最も重要な改正の一つは、外国判決の効力を規律する準則に関するものである。これらの準則は、元々は信頼がないことに基づくものであったが、ケベック州の渉外的私法関係を相当に害した。ケベック州が新民法典

)2

(以下、﹁民法典﹂という。)を採択した後一九九四年に発効した新法は、そのアプローチを排除し、ケベック州の現代的な国際指向をはっきりと反映している

)3

  本稿の基本的な目的は、比較法的観点から、いくつかの特別で、興味深い問い(主として国際裁判管轄を扱うものである)を強調しつつ、外国裁判を扱うケベック州の準則について、比較的正確な概観を外国の法曹及び研究者に与えることである。

Ⅱ   一 般 準 則 及 び 原 理

  外国裁判の承認及び執行に対するケベック州の新たな現代的アプローチは、外国判決が、民法典三一五五条及び三一五六条 に限定列挙された要件を満たす限りは、承認又は執行されなければならないという一般原理において、具体的に表現されている。そのような原理は、外国裁判の承認及び効力に関するケベック州の準則を指導する全く新しい一般原理の文脈において理解されなければならない(A)。これらの原理に従い、ケベック州裁判所の権限に対しては、そのような裁判を扱うにあたって新たな制限を課されてきた(B)。さらに、いかなる裁判手続もなしに、いくつかの種類の裁判については直接承認(

de plano re co gn iti on

)を認める傾向が大きくなりつつあるだろう(C)。

A   一 般 的 な 指 導 原 理

  ケベック州において現在外国裁判の承認を規律している一般原理は、次の通りである。

⑴  渉外的私法関係に対する開放性(私的及び公的な国際的利益)⑵  外国裁判を承認する法体系の一貫性の維持(公的利益)⑶  適正な司法運営に対する配慮(公的利益)⑷  手続的正義の遵守(私的利益)⑸  憲法上の要件の遵守

  これらの原理は、フォーラム・ショッピング︱︱裁判所に対

(4)

同志社法学 六七巻五号五九九    二四四五 する詐欺︱︱及び同一の紛争に関する手続の重複に反対するという政策に表れている。

  渉外的私法関係に対する開放性 00000000000000は、一般にケベック州の国際裁判管轄に関連する双方的な原則に基づく間接管轄規則に表れており(民法典三一六四条)、裁判管轄合意及び仲裁合意(民法典三一六五条及び三一六八条)並びに先行する外国裁判の承認(民法典三一五五条四号)を尊重する。

  外国裁判を承認する法体系の一貫性の維持 0000000000000000000は、外国裁判が手続的及び実体的な点において公序と矛盾しないこと(民法典三一五五条三号及び五号)及び同一の紛争について既判力のあるケベック州裁判がないこと(民法典三一五五条四号)という要件に表れている。

  適正な司法運営に対する配慮 0000000000000は、外国裁判所が、民法典に規定する現実の及び実質的な関連に基づいて権限を有すること(民法典三一五五条一号、三一六四条、三一六五条、三一六八条)、外国裁判が終局的なものであること(民法典三一五五条二号)及びケベック州又は他国において既判力を有する裁判がないこと(民法典三一五五条四号)という要件に表れている。

  手続的正義の遵守 00000000並びにフォーラム・ショッピング及び裁判所に対する詐欺を否定する政策は、民法典三一六四条ないし三一六八条に規定する現実の及び実質的な国際裁判管轄の要件と、外国裁判が手続的及び実体的公序に反しないことという要件(民法典三一五五条三号)に表れている。   最後に、憲法上の要件に対する配慮 000000000000は、民法典三一六四条ないし三一六八条に規定する外国裁判所の国際裁判管轄の基準と、特に、裁判所と紛争との間の実質的な関連があることという要件(民法典三一六四条)に表れている。

B   承 認 手 続 に お け る ケ ベ ッ ク 州 裁 判 所 の 権 限

  ケベック州国際私法に見られる新たな開放性は、今では廃れてしまった二つの権限、すなわち、⑴実質的再審査及び⑵ケベック州の抵触規則により指定される法を外国裁判所が適用したことという要件の排除に反映されている。

  1  実質的再審査権限の排除

  新民法典が採択されるまで、承認執行要件を満たす外国判決(カナダのものは除く。)については、ケベック州民事訴訟法典

)4

(以下、﹁民事訴訟法典﹂という。)一七八条以下により、本案についても異議申立てをすることができた。民事訴訟法典一七八条は、外国裁判所(判決裁判所)によって適用された法により当該裁判所において提出され、又は提出されることができた抗弁全てにつき、承認手続において裁判所に新たに提出することを認めていた。この実質的再審査の権限は、準拠法が外国法であった場合であっても、それを再審査することをケベック州裁判所に認めていた

)5

。しかしながら、民事訴訟法典一七九条及び一八〇条によれば、判決がカナダの他の州のものである場合

(5)

    同志社法学 六七巻五号六〇〇二四四六

には、当該判決に係る訴訟において提出することができた抗弁は、当該州において直接送達がなされなかった場合及び被告が出頭しなかった場合を除き、新たに提出することはできなかった。

  民法典三一五八条は、外国裁判を実質的に再審査する権限を排除した。したがって、たとえば外国法により不法行為被害者に認められた損害賠償額を変更することによって、外国裁判の主文を変更することはできない。この実質的再審査の禁止は、国際礼譲の要件を反映しているが、当該原理は、裁判後に生じた事情や新たな請求を裁判所が考慮することを妨げない。

  2  ケベック州抵触規則を遵守する必要のないこと

  民法典三一五七条は、次のように規定する。

  ﹁承の典法本、が局当たし下を判裁該当、は行執は又認 0000

準則により適用されるであろう法 000000000000000とは異なる法を適用したという理由のみで拒絶することはできない。︹傍点筆者︺﹂

  同規定は、外国裁判がケベック州の抵触規則により指定される法に従いなされたことという要件を明らかに排除している。そのような要件は、英米法体系においては存在しない。旧法典においてもこのことを黙示するものは何もなかったが、家族法に関するケベック州の裁判は、この点につきフランス法を支持 する学説を繰り返し採用してきた。一九七七年の民法典草案はこの要件を排除しており、新民法典も同様である。

  承認又は執行手続の目的は、外国裁判を承認する裁判所の属する法体系において当該裁判に対し、その基礎をなす理論的根拠を審査することなく既判力又は執行力を与えることであるため、この要件は排除された。そのため、外国における手続の結果が受け容れられるものである限り、外国裁判所によっていずれの法が適用されたかは問題にならない。

  外国裁判が受け容れられるものであり、したがってケベック州において効力を与えられるか否かを確定するためには、当該裁判は、積極的要件を満たさなければならない。

C   裁 判 手 続 を 経 な い 承 認

  いかなる裁判手続も要求することなく人の身分に関する外国裁判の承認を認めるという、新たな傾向があろう。離婚又は婚姻したという身分をケベック州において承認してもらうことを求める者は、証拠に関連するわずかな形式的要件に限定された行政手続を経ることのみをなす必要があろう。しかしながら、そのような手続は、承認された身分に起因するあらゆる権利の執行 00を認めることまではせず、それを承認すべき司法裁判所に対して主張することにより、そのような身分の一応の証明となるだけである。いくつかの積極的な発展は、そのようなアプローチに影響を受けている。

(6)

同志社法学 六七巻五号六〇一    二四四七   まず第一に、民法典一三七条は、次のように規定する。

﹂によに登録簿う記する。⋮⋮載 クいおに州をッベケ書明作て書成された証明であったかの 、証該当て外れック州しで作成さたケ身分証明書を受領ベ   ﹁分州登録官は、ケベック身に住所を有する者に関てし

  しかしながら、民法典一三七条が次のようにも規定しているため、当該登録の効力は限定される。

。﹂そ正な証書として明の格を保持する性 ク判裁の州性ッベケが効に所でより承認されるまは、半真 の有そ公(された、的証明書身作分証明書を含む。)は成   ﹁か録簿へのその記載にも登かわらず、ケベック州外で

  さらに、公務員は、その有効性又は真正性について疑いがある場合には、当該外国の証明書を登録しない裁量を有する

)6

  第二に、裁判手続に関して、民事訴訟法典五八条は、次のような文言で外国の代理人の直接承認を認める。

はるケ、ベック州裁判におけ所手の当続格資でそていおに 当者るれらえ上法国外該与を限権るす理代を者す遺を産   ﹁外を国で死亡し財又は遺言、しかつ、ケベック州に、 とるきでが事こるなと者。﹂

  第三に、一九九三年の国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関するハーグ条約

)7

二三条によれば、養子縁組がなされた外国の権限ある当局により同条約に従ったことが証明された外国養子縁組は全て、裁判手続を経ることなく、ケベック州において法律上当然に承認される。それにもかかわらず、同条約二四条によれば、そのような養子縁組は、ケベック州の中央当局(﹁国際養子縁組事務局(

Se cr ét ar ia t à l’a do pt io n i nt er na tio na le

)﹂ 8

)が、その養子縁組が﹁子の最善の利益を考慮して、当該州の公序に明らかに反する﹂と宣言することをケベック州裁判所に求める場合には拒絶されうる。

  最後に、条約の適用範囲外の養子縁組に関して、いくつかの最近の事案は、裁判手続なしに人の身分に関する外国裁判を承認したか、あるいはその準備があった(が、その他の理由で承認されなかった。)。二〇〇六年

)9

には、ケベック州の下級審裁判所は、アルジェリア法上のカファーラ(﹁未成年後見﹂と法性決定される。)を直接に承認し、したがって、子の後見人に対しアルジェリアからケベック州にその住所を移動させることを認めた。より最近では、二〇一一年に、ケベック州控訴院 ₁₀

が、外国の﹁国内﹂養子縁組(すなわち、養親と養子のいずれもが養子縁組の当時に外国に住所を有していた)は、﹁人の身分ゆえに安定性の原則﹂を尊重することが必要であるとみなされる

(7)

    同志社法学 六七巻五号六〇二二四四八

ため、そのような身分の有効性又は効力に関して主張があるまでは裁判手続なしに承認されなければならないと傍論において宣言した。そのため、そのような傾向が実際にどれほどの空間を占めるのかは、決着がつかないままであるが、潜在的にはあらゆる身分に関する(人的なものであろうとなかろうと)裁判を含みうる。しかしながら、このような傾向は、身分に関する外国裁判又は紛争の執行には及ばないであろう。

Ⅲ  

外 国 裁 判 に ケ ベ ッ ク 州 に お け る 効 力 を 与 え る た め の 要 件 ( 民 法 典 三 一 五 五 条 )

  現代の法においては、外国裁判の再審査の目的は、外国でなされた審理を再び行うことではなく、むしろ、外国判決を受け容れるか否かを決定することである。当該判決は、承認が求められる地において獲得された権利には決してならないが、判決国におけるような状況を引き起こしてきた。当該裁判は異なる理由付けに基づいているため、国内裁判とは異なりうる。それにもかかわらず、様々な理由(たとえば、結果の調和、当事者の期待の実現、人の身分の安定)で、それを受け容れ、それに関して判決国におけるその効力をケベック州における同一の効力で補完することが望ましいと考えられる。しかしながら、外国判決が一定の本質的な基準に従っていなければならず、それが受け容れられることになる法体系の一貫性を害してはならな いため、この政策は一定の要件に服する。このため、ケベック州裁判所は、当該裁判を下した外国裁判所が国際裁判管轄(﹁間接﹂管轄と呼ばれる。)を有していたこと、当該裁判が外国において有効であること、その基礎となる手続が受け容れられるものであったこと、及び当該裁判が受け容れ国(ケベック州)の公序に従っていることを確保する権限を有する。これらの要件は、民法典三一五五条に定められており、次のように規定する。  ﹁

ケベック州当局は、ケベック州外で下されたあらゆる裁判を承認し、必要な場合には、執行を許す旨を宣言する。ただし、次に掲げるときは、この限りでない。

  ①  当該裁判が下された国の当局が、本章の規定により裁判管轄を有しなかったとき

  ②  当該裁判が下された地において、当該裁判につき通常の不服申立てをすることができ、又は当該裁判が終局的でなく若しくは執行が許されないとき

  ③  当該裁判が手続の基本原則に違反して下されたとき

  ④  同一当事者間で、同一事実に基づき、同一目的を有する紛争が、ケベック州で下された裁判(それが既判事項の確定力(

fo rc e de c ho se ju gé e, res judicata

)を獲得したと否とを問わない。)を生じさせたとき、ケベック州当局において最初に係属したとき、又は第三国において判断

(8)

同志社法学 六七巻五号六〇三    二四四九 が下され、かつ、ケベック州法上の承認要件を満たすとき

  ⑤  外国裁判の結果が渉外的私法関係において理解される公序に明らかに反するとき

  ⑥  当該裁判が外国の租税法から生じる義務を執行するとき﹂

  しかしながら、これらの実体的要件に加えて、いくつかの手続的要件が満たされるべきことに言及しなければならない。

  第一に、民事訴訟法典七八六条は、外国判決をケベック州において承認又は執行してもらうことを望む当事者が、当該裁判がもはや外国で通常の不服申立てに服さないこと及び当該裁判がその国で終局的であり又は執行が許されることを示す証明書であって権限ある外国公務員によって交付されたものとともに、当該裁判の写しを提出しなければならないことを付け加える。これらの文書がフランス語または英語以外の言語で作成された場合には、ケベック州において認証された翻訳も付さなければならない。ケベック州裁判所はさらに、権利が当該外国の手続法により時効消滅していないことの証明を要求する ₁₁

。最後に、民事訴訟法典六五条により、﹁ケベック州に居住していない原告又は原告であった上訴人は、その訴訟の結果生じる費用につき担保を提供しなければならない﹂ことにも気付かなくてはならない。

  それでは、民法典三一五五条のもとにおいて最も重要な実体 的要件をもう一度見てみよう。

A   外 国 当 局 の 間 接 管 轄

  手続の重複 00000を妨げることは、ケベック州裁判所の国際裁判管轄を規律する準則の基礎を成す原理である ₁₂

。したがって、外国裁判所と紛争との間の現実のかつ実質的な関連の存在を判断す 000000000000000000

る再審査 0000を準則は認めなければならない。カナダ最高裁判所は、

M or gu ar d

事件 ₁₃

及び

H un t

事件 ₁₄

において、十分な信頼と信用が他州の裁判に与えられるという黙示的な憲法上の原理により、この関連が州際レベルでの絶対に必要な要件であることを示した。

  したがって、民法典三一六四条は、次のように規定する。

。﹂るれらめ認でり限 局るす属の係当るす属にが国争紛関るす有連をな的質実が 従案事該当、いに適裁に則用される判当管轄に関する準局   ﹁国当本局の裁判管轄は、外編第三章によりケベク州ッ

  それゆえ、原則として、裁判管轄に関しては同一の要件が外国裁判所及びケベック州裁判所に適用され、さらに、外国裁判所と紛争との間の実質的な関連 000000もまた要求される。

  この追加的な要件は、二つの目的に資する。第一に、それは、現実のかつ実質的な関連の要件を採用することによって 0000000000000000000000000

(9)

    同志社法学 六七巻五号六〇四二四五〇

M or gu ar d

判決に従った裁判を具体化する。したがって、ケベック州裁判所は、民法典三一六四条前段により外国裁判所が裁判管轄を有すると考えられる場合であっても、裁判と紛争との間に実質的な関連がないときは、外国裁判所の裁判の承認を拒絶することができる。第二に、当該要件は、フォーラム・ショッピングを妨げるという政策を表している。

  しかしながら、間接管轄のいくつかの準則は、民法典三一六四条前段に定められるケベック州の管轄規則を双方化するという原則(一般的に﹁鏡像﹂原則と呼ばれる。)に基づいておらず、その代わりに、明文で規定されている(たとえば民法典三一六八条及び三一六五条において)ため、民法典三一六四条後段におけるフォーラム・ショッピングを否定する政策が、民法典三一六八条及び三一六五条が関係する財産法的な性格を有する対人訴訟についても適用されるかという問いが生じる。換言すれば、民法典三一六四条の実質的な関連テストは、民法典三一六五条及び三一六八条に服する事案においても適用されるのか?

C or ta s C an nin g

事件 ₁₅

において、上級裁判所はその問いを肯定した。テキサス州裁判所は、当該州において過失が犯され、損害が生じたため、民法典三一六八条により裁判管轄を有していたが、上級裁判所は、それにもかかわらず、民法典三一六四条に従いテキサス州裁判所と紛争との間に実質的な関連があったかを判断しようとした。この立場は、複数の法域に関わるクラス・アクションの承認に関する二つの紛争において、まずケベ ック州控訴院 ₁₆

によって、より最近にカナダ最高裁判所 ₁₇

によって、極めて明確に是認されている。

  それゆえ、原則として、ケベック州裁判所に適用される管轄規則は、外国裁判所及び他州の裁判所に関しても適用される。このことは、鏡像原則の適用から生じているのであるが、同原則は、法典において明示的に外国裁判所の裁判管轄に関する準則を定めることから立法者を解放するものである。民法典三一六四条によれば、外国裁判所に関する準則を決定するにあたっては、当該事案の事情において実質的関連の基準を満たす限り 0000000000000000000000000

0、対応するケベック州裁判所のための規定を適用することで十分である。

  しかしながら、この原則には別の制限がある。外国の準則がケベック州裁判所に関するものと異なる場合がある。したがって、同法典は、間接管轄に関していくらかの明文の準則を規定している。それゆえ、民法典三一六四条に定められる一般的な双方原則を適用する前に、そのような明文規定が存在するかどうかを初めに確認しなければならない。これについてはコメントする必要がある。

  1  明文規定

  ケベック州の準則を単に双方化するだけでは、解決策が狭すぎたり、広すぎたりすることになるであろうことから、いくつかの間接管轄に関するルールが明文化されている。

(10)

同志社法学 六七巻五号六〇五    二四五一    ⒜  民法典三一六六条

  民法典三一六六条によると、外国当局の裁判管轄は、親子関係事件については、子又は親の一方が当該国に住所又は国籍を有する場合には、ケベック州において承認される。ケベック州裁判所に裁判管轄を与える基準(子又は親の一方のケベック州における住所 ₁₈

)の単純な双方化は、当事者の国籍に基づく準則を有する多くの大陸法諸国の見地からは制限的すぎると考えられたため、そのような準則が採用された。民法典三一六六条は、養子縁組による親子関係も含むものと考えられる。

   ⒝  民法典三一六七条

  民法典三一六七条は、次のように規定する。

同の婚事件と一の要件もとで承認される。﹂ 認。るれさ裁承り限管判のそて場轄離合、はのそ、いおに 判、は轄管国裁の局当係関す国にその制度を承認る場合が   ビシル・ユ解ニオンの訟消に関する訴についは、外⑵て た認れさ認承、はに合場れさ承。ていおに国該当がる 合、夫婦が合場該たいて、当又国の国籍を有する判裁は場 少に前始し開手はくくな続とにもし有所居を国当間年該一 一、が方婦の判夫、はて裁さが下れた国住所を有し、若に   ﹁  ⑴は外国い局の裁判管轄当、訴離つ訟にるす関に婚 メは、分けてコ要ントする必がある項。 ようも対象とするにの拡張された。両消解ンオニユ・ルビシに   法は条民六典旧三一婚七離てのみを扱い年二っ〇二、がた〇

    ⅰ  離婚

  三一六七条一項は、一九七〇年六月一日の離婚及び法的別居の承認に関するハーグ条約 ₁₉

二条及び一九八七年のスイス国際私法 ₂₀

六五条一項に影響されたものである。

  しかしながら、カナダにおいては、離婚に関する裁判管轄は、連邦政府に属するものである。離婚に関する連邦法 ₂₁

二二条は、離婚についての手続開始の直前に少なくとも一年間、元夫婦の一方が判決国において通常の居所を有していた場合には、外国離婚がカナダにおいて承認される旨を規定する。民法典三一六七条は、離婚事件における間接管轄規則を拡張していると思われ、したがってその憲法上の有効性に関して現在も議論がある ₂₂

。ともかく、その準則は極めて合理的なものであると思われ、その裁判管轄の﹁反致﹂は、

P ic on e

教授が提唱する現代的かつ大胆な協働メソッドの容認とも解釈されうる ₂₃

    ⅱ  シビル・ユニオンの解消

  ケベック州法が婚姻の代替手段としてシビル・ユニオンを採用したため、当該事項を取り扱う新たな抵触規則を民法典に導入することもまた必要であると考えられた。結果として、民法

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    同志社法学 六七巻五号六〇六二四五二

典三一六七条は、二〇〇二年にシビル・ユニオンの解消に関する外国裁判の承認を認めるように改正され、それが婚姻と極めて類似しているため、少なくともケベック州法においては、婚姻の解消と同じ管轄原因が新たな制度に拡張された。

  しかしながら、それを支持するためには、シビル・ユニオンの解消が、登録パートナーシップ、シビル・ユニオン及び類似の制度に対する外国の敵意だけによるものではないという要件を付け加えることが有用であると考えられた。したがって、外国当局の裁判管轄が、関係国がそれを解消する前にその制度を 00000

承認する 0000場合に限り承認されることが要求される。それにもかかわらず、そのような制度が、当該外国の国内法又はその抵触規則により指定される準拠法により承認されなければならないかどうかは明確ではない。その準則の自由主義的な精神に照らせば、外国裁判所の国内法が当該制度又は同種のユニオンを﹁承認する﹂か、又は単に制度として有していることで十分であることが示唆される。

   ⒞  民法典三一六五条

  民法典三一六五条によれば、他国の裁判所又は仲裁廷が専属管轄を有する際に、ケベック州裁判所が外国裁判所の裁判管轄を承認しない五つの場合がある。民法典三一六五条は、次のように規定する。

。にいなれさ認承りよ   ﹁、局国当局の裁判管轄は当次州クッベケ外に合場のは

  ①  訴訟物又は当事者間の合意により、ケベック州法がその当局に、外国裁判を生じさせた訴訟について審理する専属管轄を与える場合

  ②  訴訟物又は当事者間の合意により、ケベック州法が他の外国当局の専属管轄を承認する場合

  ③  ケベック州法が仲裁廷に専属管轄を与える合意を承認する場合﹂

    ⅰ  仲裁合意

  最後の場合(三一六五条三号)は、一九五八年のニューヨーク条約に基づく仲裁合意の尊重の必要性から容易に説明される。偶然にも、仲裁合意を実施するためには、そのような条項がケベック州裁判所によりケベック州抵触規則に従い有効なものとみなされなければならない ₂₄

    ⅱ  専属管轄合意

  同様に、外国裁判所を選択する管轄合意を尊重すること(三一六五条一号及び二号)は、現代の商取引における要請に基づく。いずれの場合にも、そのような合意は、ケベック州において承認又は執行が申し立てられた裁判を下した裁判所以外の裁判所に、明確 00かつ命令的 000に、専属的な 0000裁判管轄 ₂₅

を与えるもので

(12)

同志社法学 六七巻五号六〇七    二四五三 なければならない。

    ⅲ  訴訟物に基づく専属管轄

  最後に、訴訟物に基づきケベック州(三一六五条一号)又は外国裁判所(三一六五条二号)に与えられる専属管轄は、より疑わしい問題である。

  伝統的に、いずれの国の裁判所も、不動産に対する対物管轄権を共有することを渋ってきた。民法典三一五二条が、対物訴訟がケベック州に所在する不動産又は動産に関するものである場合にケベック州裁判所に裁判管轄を与えるため、ケベック州においても同じアプローチが採られる。三一五二条は同様に、民法典三一六四条によって、外国裁判所にも、財産が外国、すなわち当該裁判所の管轄に所在する場合には拡張される。これらの準則は、論理的には、専属管轄の状況を想定していると思われる。しかしながら、夫婦財産制又は相続に関する紛争が関係する場合には、民法典三一五四 ₂₆

条及び三一五三 ₂₇

条が、不動産に関しても、それに代わる外国の裁判管轄を承認する。

  民法典三一四二条は、ケベック州当局が、子がケベック州に住所を有する場合に当該子の監護について判断する裁判管轄を有する旨を規定しているが、これはまた、ケベック州の裁判所だけでなく同一の状況にある外国裁判所にさえ黙示的な専属管轄を与えるものであろう ₂₈

  いずれにせよ、訴訟物に基づきケベック州裁判所に与えられ た唯一の明示的な専属管轄は、民法典三一五一条によるものであり、それは、ケベック州で産出された原材料につき、それが加工されたと否とを問わず、それへの接近又はその利用の結果としてケベック州内外で被った損害についての民事上の責任に関する裁判管轄を規定する。それゆえ、二〇〇四年、ケベック州控訴院は、ケベック州において産出されたアスベストに関するニューヨーク州の判決につき、民法典三一五一条によればその判決は裁判管轄を有する裁判所により下されたものではないと考えて、執行を拒絶した ₂₉

。当該準則の背景にある基本的な考えは、ケベック州裁判所によって適用され、民法典三一二九条により直接適用法とみなされるケベック州法の排他的な利益のために、外国(主として米国)法により認められたケベック州のアスベスト業者敗訴の高額の損害賠償を回避することであった。言うまでもなく、ケベック州の立法者がそのような隙のない守勢のスキームを採用したことは、極めて議論の余地のあることである ₃₀

   ⒟  民法典三一六八条

  財産法的な性格を有する対人訴訟(契約及び契約外の事件)についてケベック州裁判所に係属することを認める要素は、民法典三一四八条により明記されている。これらの要素は、フォーラム・ノン・コンビニエンスの法理(民法典三一五五条)の利用に関係しうる状況において、広範な裁判管轄を認める。そ

(13)

    同志社法学 六七巻五号六〇八二四五四

のような制限は外国裁判所の裁判管轄には明示的には適用されないため、ケベック州裁判所に関する直接管轄規則よりも制限的になるであろう、特別の間接管轄規則を採用することが適当であると考えられた。結果的に、民法典三一六八条は、次のように規定する。

。場裁判管轄は、次の合局に限り承認されるの   ﹁外る産法的な性格を有す対財人訴訟については、当国

  ①  被告が、裁判が下された国に住所を有していた場合

  ②  被告が、裁判が下された国に営業所を有しており、かつ、紛争が当該国におけるその活動に関係する場合

  ③  裁判が下された国において損害を被り、かつ、それが当該国において犯された過失又は当該国において発生した不法な行為から生じた場合

  ④  契約から生じる義務が、当該国において履行されなければならなかった場合

  ⑤  当事者が、特定の法律関係に関して彼らの間で生じた又は生じうる紛争を外国当局に付託した場合。ただし、消費者又は労働者によるその住所地の当局の裁判管轄の放棄は、することができない。

  ⑥  被告が、外国当局の裁判管轄を承認した場合﹂

  民法典三一六八条は、その要素がその他全てのものを除外す るものであることを明示的に述べているが ₃₁

、ケベック州裁判所は、後述する民法典三一六四条の双方化(いわゆる﹁鏡像原則﹂)に基づく理由付けによって、他の要素を受け容れる準備があると思われる。

  これらの要素は、民事及び商事事件における外国判決の承認及び執行に関する一九七一年のハーグ条約 ₃₂

一〇条及び一九八七年のスイス国際私法 ₃₃

四九条に影響を受けている。ほとんどの要素が多くの国によって採用されており、それらは、過剰管轄を創設しないことに対する一般的な一致を反映している。したがって、それらには、特別にコメントする価値はない ₃₄

  しかしながら、三一六八条五号によれば、消費者又は労働者が、専属的な管轄合意又は仲裁合意によってその住所地の裁判管轄を放棄することができないことには言及する価値がある。したがって、合意によって専属的に選択された裁判所又は仲裁廷が裁判管轄の基礎としてその合意を援用した場合には、その裁判は、ケベック州において承認されず ₃₅

、労働者又は消費者は、その合意に署名をしていたとしても、なおその住所地国において他方当事者を訴えることができる。

  もちろん、当該準則から利益を得るためには、消費者又は労働者は、契約の性質を証明しなければならない。したがって、

F ac eb oo k

G ue rb ue z

事件 ₃₆

において、ケベック州裁判所は、次のようなカリフォルニア州判決を執行した。それは、ケベック州市民が、他のユーザーに対し取引禁止材料をインターネッ

(14)

同志社法学 六七巻五号六〇九    二四五五 ト上で販売することを試みて、彼らの住所を詐欺的に用いたために、当該ケベック州市民に対し

F ac eb oo k

への約一〇億ドルの支払いを下したものであり、その訴訟は、

F ac eb oo k

の評判に世界的に深刻な影響を与えた。ケベック州裁判所はカリフォルニア州裁判所の裁判管轄について議論しなかったが、

F ac eb oo k

のユーザーが、カリフォルニア州裁判所に専属管轄を与える条項を承諾しなければならないという事実はよく知られており、ケベック州裁判所は、ユーザーが手数料を支払わないために、その種の契約が消費者契約ではないと判断した ₃₇

。したがって、外国の管轄合意は尊重され、

M . G ue rb ez

は、三一六八条五号が発動すべきであったことをケベック州において主張することはできなかった。

  同様の方法で、

LV H C or p.

L as V eg as H ilt on

)対

L alo nd e

事件 ₃₈

において、ケベック州裁判所は、賭博契約が消費者契約として法性決定されず、また、プレイヤーが民法典三一六八条六号によりネバダ州裁判所の裁判管轄を承認したために、ケベック州市民がラスベガスのカジノに対して負う九〇万ドルの支払いを認めたネバダ州判決を執行した。

  2  国際裁判管轄の﹁鏡像﹂理論の範囲(民法典三一六四条)

  民法典三一六四条は、ケベック州新民法典の制定の最終段階において採用された。土壇場の起草の結果として、同条は正確さを欠いており、これが驚くべき解釈をもたらした。同条の文 言は繰り返すに値する。

。﹂るれらめ認でり限 局るす属の係当るす属にが国争紛関るす有連をな的質実が 従案事該当、いに適裁に則用される判当管轄に関する準局   ﹁国当本局の裁判管轄は、外編第三章によりケベク州ッ

  民法典の国際私法に関する編の第三章への言及は、完全なものであり、限定されていない。この点に関しては、第三章は、特則(民法典三一四一条ないし三一五四条)も一般準則である三一三四条ないし三一四〇条も含んでいる ₃₉

。一般準則は、比較的広範な職権を組み入れており、それらは、たとえば民法典三一三六条により裁判拒否を妨げるために、あるいは、三一四〇条により緊急の場合に、裁判管轄を拡張することができるため、最終的にはケベック州裁判所の裁判管轄の決定の結果を変更しうる。それらはまた、民法典三一三五条のフォーラム・ノン・コンビニエンスの法理により裁判管轄の行使を拒絶することを裁判所に認める。民法典三一六四条の広範な文言の結果として、一般準則は、外国裁判所の裁判管轄を規律する準則の一部をもなすのである!したがって、外国裁判所が特則(たとえば対物訴訟を規律する準則)により裁判管轄を有する(又は有しない)と判断されると、三一六四条の双方的な承認規則により、鏡像原則に従い、ここまでの分析で疑いが向けられた裁判管轄の一

(15)

    同志社法学 六七巻五号六一〇二四五六

般準則を適用することに考慮が与えられなければならない。

  たとえば、外国裁判所Aが、民法典三一六四条の双方化に伴い三一五二条に従えば ₄₀

、ケベック州において承認されるその裁判については、財産がその領域内に所在しておらず、実際には裁判所Bの領域内に所在していたために裁判管轄を有しなかった場合には、裁判所Aによる当該財産に関する裁判は、裁判所Aが緊急の状況においてその裁判を下したときは、ケベック州において承認されうる。そのような状況においては、裁判所Aは、民法典三一四〇条により裁判管轄を有するであろう。

  それに対して、外国裁判所がケベック州においては、特則(たとえば民法典三一六八条)により裁判管轄を有すると考えられ、実際にその裁判管轄を行使した場合において、ケベック州裁判所は、(民法典三一六四条により与えられる鏡像効果によって)ケベック州裁判所が同一の状況においては民法典三一三五条に基づき裁判管轄を否定したであろうという理由で、外国裁判所の裁判を承認しないものと判断することができる。混乱を生じさせるこのような見込みは、上級裁判所の裁判である

C or ta s C an nin g

事件 ₄₁

において現実のものとなった。控訴院の裁判である

H oc kin g

事件 ₄₂

において、多数意見を書いた

B ic h

裁判官は、そのような結果を除外するのではなく、そのような理由付けの論理について疑いを表した。たしかに、第一に民法典三一六八条が外国裁判所に裁判管轄をはっきりと与えるかを判断し、第二に当該裁判管轄が、民法典三一六四条後段に定める実質的関 連テストの基準を満たすかを判断した後で、それにもかかわらず外国裁判所が民法典三一三五条に基づき裁判管轄を否定すべきであったという状況を認定するのは困難であろう ₄₃

  さらに、実務上はめったに遭遇しない国際私法規則への精通を要求するのに加えて、このような解釈をすることは予測不可能性を生じさせる。予測不可能性は、民法典三一五二条及び三一六四条における鏡像効果から導かれる特別の管轄規則を越えて、民法典三一六八条の外国裁判所の明文規定にも拡張されるため、特に不幸な結果となる。

  これらの議論を考慮して、カナダの最高裁判所は、

So cié té ca na die nn e d es p os te s

L ép in e

事件 ₄₄

において、ケベック州裁判所は三一六四条に定める鏡像原則を三一三五条にまで拡張しないと示した。結果として、ケベック州裁判所が裁判管轄を否定したであろうという事案の状況において外国当局がそうすべきであったという理由で、ケベック州における外国判決の実施を拒絶することはできなくなる。しかしながら、ケベック州裁判所が同一の状況において裁判管轄を行使したであろうという理由で(たとえば民法典三一三六条によって、裁判拒否の回避のために必要に迫られて)、外国裁判所の裁判管轄を認めることはなお可能である。外国判決への開放という新たな政策は、おそらくそのような解決策を保証するが、その結果は予見できないであろう。

(16)

同志社法学 六七巻五号六一一    二四五七

B   外 国 裁 判 の 終 局 性

  民法典三一五五条二号によると、外国裁判は、﹁通常の不服申立てをすることができ﹂るものであってはならず、﹁当該裁判が下された地において﹂終局的であり又は執行が許されるものでなければならない。ケベック州における既判力を変更するであろう裁判を承認し、又は判決国において有する以上の効力を外国裁判に与えることは妥当でないため、この要件は存在する。

  外国裁判についてもはや通常の不服申立てをすることができないという第一の要件は、ケベック州において承認手続が開始される時点で満たされていなければならない。そのような通常の不服申立てには上訴が含まれる。

  それが終局的な 0000裁判であるという第二の要件は、それが紛争を終わらせるものであること、すなわち、それを下した裁判所 000000000

による 000再審査に服さないことを意味する。結果として、債務者の資力及び債権者の需要によって再審査の影響を受けうる扶養判決の執行を認めるため、一九七三年の扶養義務に関する裁判の承認及び執行に関するハーグ条約に影響された民法典三一六〇条は、次のように規定する。

関行支払いにして承認され、執るをさ許るうれ。﹂言が旨す宣 来及び将の期限到来払すいの支たし来到限期、は判裁める   ﹁認定をベック州で下された外期の的ケ払い支料養扶な   という要件中は、それがれる国さ執最後に、外裁判が行許を 00000000

間的なものでない 00000000こと、すなわち、終局判決に先立って手続中に下されたもの(たとえば証拠に対する異議についてのもの)でないことを意味する。この種の外国裁判は、それが主文(これはケベック州において既判力の地位を有しうる判決の唯一の部分である)の一部でないために、ケベック州において効力を持たないことが期待される。

C   手 続 的 及 び 実 体 的 公 序 と の 矛 盾 の な い こ と

  1  手続的公序

  一般的に、最終的に既判力の地位を獲得するのは外国判決自体であり、その基礎となる理論的根拠ではない。それにもかかわらず、判決の再審査は、判決を導いた手続に拡張される。しかしながら、外国裁判所が自国法を遵守したことを確認することなしに、それが自国の手続規則を適用したことが受け容れられなければならないため、ケベック州裁判所は、民法典三一五五条三号に従い、その手続の﹁基本原則﹂の遵守を要求することだけが可能である。したがって、再審査の範囲は狭いが、それは、いかなる例外もない基本原則に影響する。実体的公序の場合とは異なり、民法典三一五五条三号において問題となる手続的公序は、国内法上の公序とは異なるとは思われない。

  ケベック州裁判所は、複数の法域に関わるクラス・アクショ

(17)

    同志社法学 六七巻五号六一二二四五八

ンが並行する場合において、ケベック州市民が関係するときに、和解を承認するオンタリオ州判決の承認を拒絶するため、オンタリオ州における略式手続が不十分かつ混乱させるものであり、したがってケベック州の基本的な手続原則と矛盾することを理由に、民法典三一五五条三号を適用した ₄₅

  外国裁判が欠席により下された場合には、格別の危険が生じる。したがって、民法典三一五六条は、次のように規定する。

。﹂絶承認又執行を拒はすことができるる っをとこたえかなれら与明証合す該るは局当、当はに場、 ずそは又、がきでとこる防の分御十を間時ながにめたるす 況でいせの、状当が者事手、る続を開始す文書について知 、席欠し許言だ又は執行をす旨を宣されてはならない。た こ明証をとなたれさ達送いしさ限て、らなはずれ認承、り 手始開を続従、いるに法すに文書が欠席当事者に適時地の   ﹁た判席により下された裁はれ、原告が、裁判が下さ欠

  そのような規定は、ほとんどの国際条約及び現代の法体系において見つけることができる。

  2  実体的公序

  実体的公序に関しては、判決により与えられる解決策が、法 廷地の法体系に調和的に組み入れられうるかどうかが問題となる。理論上は他州において下された裁判にも適用されるこの古典的な要件については、一般的なコメントだけで十分である。そのアプローチは具体的なものであり、民法典三一五五条五号は、判決の結果が公序と矛盾してはならないと規定する。したがって、これは、承認が求められる時点で判断されなければならず、外国裁判が下された時点で判断されるものではない。しかしながら、ケベック州上級裁判所 ₄₆

は、外国の一方的な離縁(タラーク)につき、それが差別的な法によって与えられたものであるとしても、裁判所によれば、妻は承認手続の時点では一年以上ケベック州に居住していたが、夫婦のいずれもが同州に居住していなかった時点で離縁がなされたため、ケベック州との十分な関連がなかったとして当該離縁を承認する準備があった(が、他の理由で承認されなかった。) ₄₇

D   ケ ベ ッ ク 州 又 は 他 国 に お け る 訴 訟 競 合 又 は 既 判 力 の あ る 裁 判 が な い こ と

  この要件を課す民法典三一五五条四号は、複雑で、いくぶん不明瞭である。それは、次のように規定する。

で次す旨を宣言するただし、。に、掲限のこりはとるげき はな場合に行、執を許必要、れし認承を判裁るゆらあたさ    ﹁一五五条三州ケベック第当局は、ケベク州外で下ッ

(18)

同志社法学 六七巻五号六一三    二四五九 ない。

   ⋮⋮④  同一当事者間で、同一事実に基づき、同一目的を有する紛争が、ケベック州で下された裁判(それが既判事項の確定力を獲得したと否とを問わない。)を生じさせたとき、ケベック州当局において最初に係属したとき、又は第三国において判断が下され、かつ、ケベック州法上の承認要件を満たすとき﹂

  それゆえ、民法典三一五五条四号は、少なくとも三つのシナリオを引き起こしうる。

  第一に、ケベック州において下された裁判が既判力を有する場合である。明らかに、その効力がケベック州裁判を覆すであろう外国裁判は、承認され得ない。外国裁判がケベック州裁判を単に確認するものであるとしても、それを承認するのは無意味である。

  第二に、同一の紛争に関する外国判決の承認が申し立てられた時点で、ケベック州において手続が係属している場合である。フォーラム・ショッピングを妨げるためには、外国判決は、その事案についてケベック州裁判所において最初に係属した場合 000000000000000000000

には 00承認されない ₄₈

。この要件は、訴訟がオンタリオ州において認証されたが、並行する手続がそれ以前にケベック州において開始されていたというクラス・アクションの文脈で解釈されて きた。カナダ最高裁判所は、ケベック州手続法によれば(オンタリオ州法には反するが)、クラス・アクションは裁判所によって権限が与えられるまでは開始しないとしても、同州においてクラス・アクションが提起された時点で紛争は同州裁判所に最初に係属したため、ケベック州外で成立した和解を実施するオンタリオ州裁判の承認を拒絶するのに十分であると示した ₄₉

  第一のシナリオは、外国裁判の承認が求められる時点でケベック州において裁判がすでに下されていた場合であるが、第二のシナリオとは異なり、ケベック州裁判所が最初に係属した 0000000ものであることを要求しない。ケベック州裁判所が二番目に係属した場合において、当事者の一方が国際的な訴訟競合の規定(民法典三一三七条)を援用しなかったときは、当該当事者は、ケベック州において既判力のあるケベック州裁判に異議を申し立てることは認められない。

  第三に、同一の紛争に関して他国の裁判があり、承認は未だ 00000

求められていないが 000000000、それがケベック州において承認されうる場合である。この準則は、外国裁判の間の裁判管轄の抵触を処理することを目的としており、一九六八年のブリュッセル条約 ₅₀

をモデルにしている。

参照

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