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右京三条一坊一坪・二坪の 調査

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Academic year: 2021

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186 奈文研紀要 2016

調査の経緯と目的  本調査は、国土交通省による史跡 朱雀大路跡等の整備にともなうもので、朱雀門前におけ る朱雀大路の規模、ならびに平城京右京三条一坊一坪・

二坪やその間を通る三条条間北小路の実態をあきらかに することを目的として実施した。詳細は次年度の紀要で 報告する予定である。

 調査地は、右京三条一坊一坪・二坪の朱雀大路に面し た東側に位置する。調査面積は北区356㎡、南区440㎡の 計796㎡、調査期間は2015年12月16日から2016年3月30 日までである。

周辺のこれまでの調査  今回の調査地である右京三条 一坊一坪・二坪は、平城宮の正門である朱雀門の南西に 位置する平城京の街区にあたる。当研究所や奈良市教育 委員会による過去の調査で、朱雀大路の東側溝は、左 京三条一坊一坪・二坪付近では幅3.8~4.5m、西側溝は、

平城宮南面大垣付近では幅約2.5m、右京三条一坊三坪・

四坪付近では幅約3mであることが判明している。二条 大路北側溝との合流点付近における朱雀大路の規模は、

東西側溝の心心間で約73.9mであった。

 右京三条一坊一坪・二坪では、奈良県立橿原考古学研 究所が今回の調査地の西方で発掘調査をおこない、三条 条間北小路をなす南北両側溝を検出した。その規模は、

北側溝が幅約1.3m、南側溝が幅約1mで、側溝の心心 間距離は約6.5m、三条条間北小路の路面の幅は約5.1m と発表している(奈良県立橿原考古学研究所『平城京右京三 条一坊一・二・七・八坪 発掘調査現地説明会資料』2015年12 月20日)。このほか、今回の調査地と朱雀大路をはさんだ 東対称位置にあたる左京三条一坊一坪・二坪とその周辺 の調査成果によると、一坪の北辺・西辺・南辺には築地 塀等の遮蔽施設がなく、広場として利用されてきた可能 性が高いと指摘されている。

調査の成果  主な調査成果は以下の4点である。

 第一に、北区・南区あわせて、朱雀大路西側溝を計約 40mにわたって検出した。朱雀大路の規模は、朱雀大路 をはさんで東対称位置にある、左京三条一坊一坪・二坪 の調査による東側溝の成果とあわせると、側溝の心心間 で約74mとなる。これはこれまでの調査で判明している

朱雀大路の規模と整合する。今回の調査では、これまで の調査よりも大きな面積で西側溝を検出したことによ り、朱雀大路の規模や平城京の排水計画を検討するため の十分な資料を得ることができた。

 2つ目の成果としては、右京三条一坊一坪の南北を二 分する位置付近で東西溝を検出した。この位置は、左京 三条一坊一坪で検出した坪内道路北側溝の位置とほぼ一 致する。またこの溝と朱雀大路西側溝の接続地点で、朱 雀大路西側溝を渡る橋の遺構を検出した。この2点か ら、右京三条一坊一坪にも坪内道路が存在したと推測で きる。坪内道路の幅については、北側溝と橋との位置関 係などから、さらに検討が必要である。

 3点目として、三条条間北小路の南北両側溝を確認し た。その規模は両側溝の心心間で約5.5m。二坪を区画 する築地塀は削平されたと考えられる。しかし、雨落溝 に相当する素掘溝を検出し、また周辺から出土した多量 の瓦類の存在から、本来築地塀が存在したと推測でき る。これは左京三条一坊二坪の成果と共通し、左京・右 京とも二坪は、朱雀大路に面する東辺と、三条条間北小 路に面する北辺に築地塀が築かれていた可能性が高いこ とがあきらかとなった。

 最後に、右京三条一坊一坪は、少なくとも東辺と南辺 に遮蔽施設がない可能性の高いことが判明した。左京三 条一坊一坪にも遮蔽施設がないことが判明しており、朱 雀門前は左京・右京の三条一坊一坪を取り込んだ東西約 260m、南北約140mにおよぶ広場的な機能をもつ空間で あったとみられる。このことは、朱雀門前の利用方法を 考えるうえで重要な成果といえる。 (丹羽崇史)

右京三条一坊一坪・二坪の 調査

-第552次

図₂₁₄ 第₅₅₂次調査区位置図 1:₄₀₀₀ 478次 市336次 市404次 市342次 市336次 180次 201次 130次

市119次

市143次 市119次

市321次

市356次

市321次 141‑25次

103‑15次 201次

143次

491次 495次 495次

502次

552次 502次

486次 488次

282‑4次 515次

515次 522次

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Ⅲ-2 平城京と寺院等の調査 図₂₁₇ 北区朱雀大路西側溝完掘状況(南西から)

図₂₁₅ 北区全景(南西から) 図₂₁₆ 南区全景(北から)

参照

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