• 検索結果がありません。

Ⅰ 論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Ⅰ 論文内容の要旨"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

氏 名 高澤 信子 学 位 の 種 類 博士(文学)

報 告 番 号 甲第365号

学 位 授 与 年 月 日 2014年 3月31日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則(昭和28年4月1日文部省令第9号)

第4条第1項該当 学 位 論 文 題 目 近現代日本語表現の研究

―コミュニケーション機能表現を中心に―

審 査 委 員 (主査)沖森 卓也 小嶋 菜温子

中山 緑朗 (作新学院大学人間文化学部教授)

(2)

2

Ⅰ 論文内容の要旨

論文名……近現代日本語表現の研究 ―コミュニケーション機能表現を中心に―

(1)論文の構成

序章

第一節 表現研究の目的 第二節 先行研究 第三節 主たる調査対象

第一部 コミュニケーション機能表現の変遷 第一章 依頼表現

第一節 「依頼表現」と「要求表現」

第二節 「もらえる」形―「てもらえないか」

第三節 「ください」形―「てください」「てくださいませんか」

第四節 「いただける」形―「ていただけますか」「ていただけませんか」

第五節 「ほしい・たい」形―「~てもらいたい」「ていただきたい」

第六節 「許可求め表現」と「依頼表現」

第七節 分析結果と考察 第二章 誘い表現

第一節 はじめに

第二節 江戸語の「誘い表現」―「およんなさいまし」「おいであそばし」

第三節 明治以降の「誘い表現」―「おいでなされ」「おいでなさい」

第四節 「申し出表現」

第五節 分析結果と考察 第三章 勧め表現

第一節 「勧め表現」の文型 第二節 江戸期の「勧め表現」

第三節 明治期の「勧め表現」

第四節 大正期の「勧め表現」

第五節 「助言与え表現」と「勧め表現」

第六節 分析結果と考察 第四章 指示・命令表現 第一節 はじめに

第二節 江戸語の「指示・命令表現」

第三節 明治期の「指示・命令表現」

第四節 大正期・昭和期・平成期の「指示・命令表現」

第五節 分析結果と考察 第二部 敬語表現

第一章 「~させていただきます」考

第一節 はじめに

(3)

3 第二節 「させていただきます」

第三節 「させていただく」

第四節 「させていただきます」の史的考察 第五節 平成期における敬語表現

第六節 分析結果と考察

第二章 「あそばせことば」について 第一節 はじめに

第二節 先行研究と問題の所在

第三節 「あそばす系尊敬語」用法の変遷 第四章 用例と考察

第五節 男性が使う「高貴な―あそばせことば」について 第六節 まとめ

第三章 「~ませんか」考 第一節 はじめに

第二節 江戸語の「ませんか」

第三節 明治・大正期の「ませんか」

第四節 分析結果と考察

終章 おわりに

(4)

4

(2)論文の内容要旨

第一部では、コミュニケーション機能表現について、文学作品・新聞・雑誌などのうち 口語的資料を用いて、江戸語から東京語へと移行する過程でどのように変遷してきたかを、

大きく「依頼表現」「誘い表現」「勧め表現」「指示・命令表現」に分け、そのそれぞれ について明らかにする。第一章「依頼表現」では、「てくれないか」「てもらえないか」

「てください」「てくださいますか」「て頂戴」「てほしい」「てもらいたい」「ていた だきたい」「ておくれ」などの語法と、それらの史的変遷について分析する。ここでは、

直接的な表現である「てくれ」「てください」から、間接的な表現「てくれますか」「て くださいますか」へと、また、否定疑問形へと、現代に近づくにつれて変化してきたこと などを指摘する。第六節では、関連する「許可求め表現」(「ていただけますか」など)

の変遷にも言及する。第二章「誘い表現」では、「およんなさいまし」「おいであそばし」

「おいでなされ」「おいでなさい」などの意味用法について分析する。第四節では、「ま しょうか」などの「申し出表現」の変遷についても言及する。江戸時代にすでに「ませう

(ましょう)」が用いられていたこと、明治期では「てもらえませんか」よりも「てくれ ませんか」が多用され、また、「(遊ぼ)うぢやありませんか」の形が見えることなどを指 摘する。第三章「勧め表現」では、「たらいい」「てみらどうか」「るといい」「がいい」

「することだ」「た方がいい」などについて分析し、関連する「助言与え表現」の変遷に ついても言及する。江戸時代には、上層では「がよろしゅうございます」が、下層では「が よい」が用いられていること、明治大正期には「た方がいい」が多用されるようになるこ となどを述べる。第四章「指示・命令表現」では、「指示・命令表現」を丁寧な言い方に すると「依頼表現」になることから、その関係についても言及する。どの時代でも丁寧さ を表して「指示・命令表現」を「依頼表現」にするという共通性を指摘する。

第二部では、文末表現の形式に着目して、その表現の使用状況・変遷を明らかにする。

第一章「させていただきます」では、その連語形の成立について考察する。江戸時代には

「させていただく」という言い方は見えず、「てくださいます」「てくだんす」などのよ うな敬語表現が確認できる。「させていただく」は 1900 年代に入ってようやく見られるよ うになり、平成になって一段と多用され、その多岐にわたる用法を分類する。第二章「あ そばせことば」では、「あそばせことば」について「高貴な―あそばせことば」と「庶民 の―あそばせことば」があることを示し、その江戸時代から現在に至るまでの変遷を考察 する。この「あそばせことば」は女性語であるだけでなく「高貴な―あそばせことば」に ついては男性にも使われていることを指摘する。第三章「ませんか」では、「誘い表現」

に多用される「ませんか」が江戸語では「勧め表現」「依頼表現」に用いられていたこと、

明治期に入って「誘い表現」に用いられるようになったことなどを言明する。

終章では、現代へと変遷するにつれて、「てちょうだい」から「てもらいたい」へなど

というように、間接的な表現、人間関係を重視して相手に配慮する表現が好まれる傾向に

あることを述べる。また、命令する場合でも依頼表現にして丁寧に言い表すようになって

きたことなど、コミュニケーションを円滑に進めようとする心理的な要因が言語表現に大

きな影響を与えていることを、その変遷の様相を踏まえて指摘する。

(5)

5

Ⅱ 審査結果と要旨

本論文は、話し手が聞き手との関係でその意図に応じて言語形式を使い分けることに着 目して、それをコミュニケーション機能表現として捉え、その言語形式の成立と展開を江 戸語から東京語へ、近代語から現代語へという変遷の中で分析しようとするものである。

従来一つの助詞もしくは連語形をめぐって考察されることはあったが、依頼・誘い・勧め・

命令などの機能をもつ言語形式を総体として歴史的に研究するというものはほとんどなか った。その意味で、極めてユニークで斬新な視点を有する論考である。

第一部では、用法上の新たな発見が数多くあるが、依頼表現では、「てもらいたい」「て いただきたい」は明治後半から見え、大正期には「ていただけないでしょうか」が用いら れるようになり、昭和になると「てください」「ていただきたい」がよく用いられるよう になったことなど、誘い表現では、明治になると「(休み)ましょう」のような形式も用 いられるようになり、明治後期以降「(行き)ませんか」のような言い方が次第に増える ことなど、勧め表現では、江戸語で「た方がいい」が用いられる一方、上層では「がよろ しゅうこざいます」、下層では「がよい」が用いられ、明治になると「た方がいいじゃあ りませんか」が用いられることなど、指示命令表現では、明治期に入って次第に「なさい」

系から「てください」系へと移行し、昭和には「ていただきたい」が多用されるようにな ることなどの指摘はそれぞれ極めて有意義であり、特に注目される。

第二部は、これまでほとんど言及のなかった3つの敬語表現を取り上げ、その史的変遷 を克明に記述することに成功している。「させていただく」が 1900 年初めの資料に確認で き、次第に多用されるようになったことなど、「あそばせことば」には、高貴なものと庶 民のものという二つの流れがあることなど、「ませんか」は江戸時代に勧め表現と依頼表 現に用いられていたが、19 世紀半ばには誘い表現にも用いられるようになったことなど、

現代語へのつながりで明快に分析しえた意義も大きい。

それぞれの機能表現について、時代の特徴、その消長を丹念に追う手堅い論述には説得 力がある。そして、上記のような言語事象を踏まえ、言語変化の要因として、より相手を 意識し、思いやる表現を指向するようになってきたという心理的な側面を実証できた点も 評価できる。また、昭和に入って「させてください」「させていただきます」「ていただ きたい」などの婉曲表現、希望表現を用いて、相手に間接的に遠回しに指示命令するよう になっているという論証も妥当なものである。これまで漠然としか思い描かれてこなかっ た機能表現の変遷について、具体的かつ実証的に明らかにし、また、その位相性などにつ いても新たな知見が数多く得られたことは高く評価できる。ただ、明治前期における口語 的な資料の少なさ、そして偏りという資料的制約もあって、その全貌を捉えにくいところ もあり、また、資料の選定、分析方法にやや手薄な点があることも否めない。

このように、今後の課題として残されている点もあるものの、本論文は、江戸語から東 京語へのコミュニケーション機能表現の変遷過程について果敢に取り組んだものとして、

その価値と意義は大きい。さまざまなジャンルの多様な資料を調査して、それぞれの機能

表現の流れを丁寧に分析し、適切に記述することに成功していること、関連性のある言語

形式の消長について新たな知見が得られたことなど、いずれも本論文が質の高い研究であ

ることを裏付けている。

参照

関連したドキュメント

研究計画書(様式 2)の項目 27~29 の内容に沿って、個人情報や提供されたデータの「①利用 目的」

のようにすべきだと考えていますか。 やっと開通します。長野、太田地区方面  

不明点がある場合は、「質問」機能を使って買い手へ確認してください。

問題集については P28 をご参照ください。 (P28 以外は発行されておりませんので、ご了承く ださい。)

けいさん たす ひく かける わる せいすう しょうすう ぶんすう ながさ めんせき たいせき

本人が作成してください。なお、記載内容は指定の枠内に必ず収めてください。ま

*Windows 10 を実行しているデバイスの場合、 Windows 10 Home 、Pro 、または Enterprise をご利用ください。S

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から