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2. 調査の内容 2.1 日欧のディーゼル車比率の相違ディーゼル車は ガソリン車と比較して燃費が良く CO 2 排出量の点から優れた特性を有しているが 排出ガス中の NOx PMのレベルが高く 大気環境汚染の要因となっている このような中で わが国でのディーゼル乗用車の 2001 年における新車販売

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1.我が国におけるディーゼル乗用車普及可能性に関する調査

PEC 企画調査部 早内 義隆 新日鉱テクノリサーチ㈱ 瀬川 秀夫

1.調査の背景・目的

我が国のCO2削減策が手詰まり状態にある中で、CO2の約 20%を排出する運輸部門に おいて、燃費に優れたディーゼル乗用車の普及は効果的な手段であると考えられる。一方、 石油製品需給の観点からは、我が国ではディーゼル車用燃料である軽油の需要が暫減傾向 にある中でガソリン需要は暫増していることから、連産品である石油製品の生産バランス と需要とのギャップが懸念されつつある。(図1参照) つまり、CO2削減及び石油製品 の安定供給の両観点から、ディーゼル乗用車の普及は効果的な対策と考えられる。 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 年度 千 K L ガソリン 灯油 軽油 A重油 図1 燃料油需要の推移 しかし、我が国の新車登録におけるディーゼル乗用車の比率は 1990 年以降減少してき ている。逆に欧州では大きく増加している。この理由として、欧州においては、ディーゼ ル乗用車が高性能であること、排ガス規制がディーゼル車に甘いこと、乗用車メーカーに 対する企業別平均燃費規制(CAFE)の影響等が云われているが、その実態は明らかにはな っていない。 このような背景を踏まえ、本調査では欧州でディーゼル乗用車のシェアが大きく伸びて いる理由を明らかにするとともに、我が国におけるディーゼル乗用車の普及可能性及び普 及した際のCO2削減効果と石油製品需給への影響について調査を実施した。

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2.調査の内容

2.1 日欧のディーゼル車比率の相違 ディーゼル車は、ガソリン車と比較して燃費が良く、CO2排出量の点から優れた特性を 有しているが、排出ガス中のNOx・PMのレベルが高く、大気環境汚染の要因となってい る。 このような中で、わが国でのディーゼル乗用車の 2001 年における新車販売に占める割 合は 0.3%と非常に低く、一方、欧州では平均 40%程度までディーゼル乗用車市場が拡大 しており、日欧のディーゼル乗用車の普及状況には大きな違いが見られる。(図2参照) 図2 欧州と日本における乗用車新車登録台数に占めるディーゼル車比率推移 2.2 欧米のディーゼル乗用車の動向 欧州の状況を歴史的に見ると、1980 年代半ばまではディーゼル車の普及率は、我が国と 余り差が無かった。しかし 1990 年代になると、ディーゼル乗用車に直噴・ターボエンジン が導入されたことにより、燃費が大幅に改善されるとともに、加速性や騒音等の運転性能 がガソリン車と遜色のないレベルになったことから、ディーゼル車の普及に弾みがついた。 また、1998 年以降になると、コモンレール技術が導入され、排ガス性状が大幅に改善され、 さらに 2000 年代に入ると小型車がラインアップされ、乗用車のディーゼル化が一段と加速 されるようになった。つまり、ディーゼル車の性能改善とラインアップの充実が継続的に 計られてきたことがうかがわれる。 欧州では、新車販売におけるディーゼル乗用車比率が平均で既に 40%に達しているが、 今後の予測として、2010 年で約 50%まで達し、その後についてはバランスするとの見方が 一般的である。ただし、現在検討中の次期排ガス規制である EURO5 の規制値が厳しくなれ ば、その規制対応コスト増が販売価格に跳ね返り易い小型ディーゼル乗用車販売は低迷す るものとみられている。 他方、米国のディーゼル乗用車の比率については、現状はほほゼロであるものの、わず

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デ ィ ー ゼ ル 比 率 ( % )

日本

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かではあるが上昇傾向にあり、今後については、SUVを中心とした小型トラックに対す る燃費規制強化対応として伸びるという意見と、横ばいとの意見が混在している状況であ る。 2.3 我が国のディーゼル乗用車の動向 我が国では、1990 年の自動車税制変更により、ディーゼル車の税額が実質的に増税され た。また、1993 年 12 月に実施された軽油引取税の増税及び 1996 年の石油製品の輸入自由 化等に伴って、ガソリンと軽油の価格差が縮小したことが脱ディーゼルを加速させたと考 えられる。図3にこの間のディーゼル乗用車比率と燃料油価格の推移を示す。 図3 日本のディーゼル乗用車比率と燃料油価格 2.4 日欧の燃料油需要動向と対応 欧州石連(EUROPIA)の需要予測によると、軽油は、1990 年の石油需要に対する構成比 が 20%であったものが、2000 年では 26%、2020 年では 36%と顕著に増加し、他方、ガソ リンは 25%から 23%程度と減少傾向にある。なお、欧州ではガソリン・軽油の需給ギャッ プは既に現れており、不足する軽油は主にロシアから輸入し、余剰のガソリンは主に米国 へ輸出するバランスとなっている。しかし、現状では輸出ガソリン価格が輸入軽油価格よ り高いため、輸出入に伴って利益をあげている状況である。また、将来のガソリン・軽油 需要の変化に対して、ガソリン需要減には老朽化した FCC 装置の休止、軽油需要増には水 素化分解装置の増強で対応する方向である。 我が国の石油製品の需要予測は、平成 14 年度のPEC報告書(PEC-2002P-02)によると、 ガソリンは 2010 年/2000 年で年率+0.4∼0.5%と微増するものの、2020 年/2010 年では -0.4∼-1.9%と減少する。軽油は、2010 年/2000 年で-1.2∼-2.5%の減少、2020 年/2010 0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0 1 6 0 1983 19851987 1989 1991 1993 19951997 1999 2001 年 度 S S 価 格 ( 円 / L ) 0 .0 % 2 .0 % 4 .0 % 6 .0 % 8 .0 % 1 0 .0 % 1 2 .0 % ディーゼル 比率 ガソリン 軽油 価格差 1990 年 か ら の 自 動 車 税改訂 1993年12月の軽油引 取税増税 1996 年 の 特 石 法 廃 止 に よ る ガソリン、軽油価格のフラット化

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年でも-0.9∼-2.4%の減少と予測されている。 2.5 ディーゼル乗用車の普及の要因分析 2.5.1 ガソリンと軽油のSS店頭価格差 欧州、米国および日本におけるガソリンと軽油のSS店頭価格差を図4に示す。これを みると 、英 国を 除く 欧州 諸国 およ び日 本で は価 格差は 減少 して きて おり 、現 状そ の差は 20¢/L程度である。なお、英国は軽油の方が若干割高に推移しており、これが欧州内で 英国のディーゼル車比率が低位にある主原因であると考えらえる。 -0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 価 格 差 (ド ル / L ) フランス ドイツ イタリア 英国 日本 米国 図4 ガソリンと軽油の価格差 2.5.2 自動車税 我が国では同一排気量であれば、ガソリン車とディーゼル車の間に税の差はない。 欧州では、以下の例のように各国により細かな点は異なるものの、ガソリン車とディー ゼル車の税額にはほとんど差はない。 ・ ドイツ:ディーゼル車の税率が高いが、排ガス規制適合車や低CO2排出量車に減税 措置がとられている。 ・ 英国 :CO2 排出量による税率を適用していることから、実質的にディーゼル車の 税率はわずかであるが安くなっている。 ・ フランス:乗用車については税が撤廃されている。 なお、各国の自動車諸税の税制は異なっているが、これらの統一化については、2002 年 よりEUにて話し合いを始めたばかりであり、当分は実現しないといわれている。 2.5.3 日欧におけるコストパフォーマンス比較 乗用車の年間平均走行距離は各国で異なり、米国は長く、欧州、日本の順に短くなり、 我が国では 10,000km/年程度である。 フランスは、乗用車平均で 14,000km/年程度であるが、ディーゼル車の 18,000km/年に 対し、ガソリン車は 11,000km/年と、ディーゼル車の方が走行距離が長くなっている。ま

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た 、 欧 州 の 調 査 機 関 ( D R I ) が ド イ ツ を 中 心 に 実 施 し た 調 査 で は 、 デ ィ ー ゼ ル 車 の 23,000km/年に対し、ガソリン車は 14,000km/年と、やはりディーゼル車の走行距離の長 いことが目立つ。つまり、燃費の良いディーゼル車は、走行距離が長くなるほど、そのコ ストメリットが活きてくるが、実際ディーゼル車のユーザーの方が走行距離は長く、車種 選択の際に燃料費が重視されていることを裏づけている。 我が国でも、燃費差およびガソリンと軽油の価格差から、定性的にはディーゼル車が有 利となるが、走行距離が短いことからそのメリットは小さい。また、税込みの燃料油価格 が欧州よりも安いことと走行距離が短いことから燃料費の総額が余り大きくなく、一方、 高速道路や駐車場等の燃料費以外の費用が大きいことから、燃料費の差が車種選択の際の 大きなポイントとなっていないことも、我が国でディーゼル乗用車が普及しない理由の一 つと考えられる。 ディーゼル乗用車を取り巻く欧州および我が国の状況をまとめたものを表1に示す。 表1 ディーゼル乗用車を取り巻く欧州および日本の状況

欧州

日本

ディーゼル 乗用車の性能 ○:最新型 ・直噴:燃費向上 ・ターボ:パワーアアップ ・コモンレール:排ガス浄化 ×:旧型が多い ( 燃 費 が 悪 く 、 パ ワ ー が 無 く 、 排ガスがダーティー) ユーザーの 走行距離 ○:長い ・平均で 15,000km/年 ・ デ ィ ー ゼ ル 車 は 更 に 長 い ( 燃 費 差 を享受できる) △:短い ・平均 10,000km/年 自動車側の 規制 ○:CAFE(メーカー別平均燃費規制) △:PMがきつく、NOx が緩やか △車重毎の規制 ×PMが緩く、NOx がきつい ○×△:ディーゼル車にとって有利か否かの指標 2.5.4 一般ユーザーの意識 欧州の調査機関(DRI)が実施した欧州における乗用車購入に関するユーザーの意識 調査は、我が国におけるディーゼル車のイメージとほぼ対極に近いものである。具体的に は、「燃費」・「加速性」はディーゼル車の方が高評価であり、「静粛性」においてもディー ゼル車とガソリン車の差は殆ど無い。また、「快適性」・「走行安定性・ハンドリング」・「最 高速度・運転性」の点でもディーゼル車の方が高評価となっている。これらは、1990 年代 以降に登場した直噴・ターボ・コモンレールといった最新技術を搭載したディーゼル車が、 従来の我が国でのイメージを一新する性能を有している結果と思われる。 また、年間走行距離はディーゼル車では約 23,000km/年、ガソリン車は約 14,000km/ 年であり、燃料費のかさむヘビーユーザーほどディーゼル車を使用していることが明らか となった。さらに、ディーゼル車の利用者の方が収入指数及び教育度指数が高いという結 果を示しているが、これは欧州では大型車ほどディーゼルの普及率が高いことと関連して

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いるものと考えられる。 2.6 各国の排ガス規制と燃費規制の状況 2.6.1 排ガス規制 我が国の自動車排ガス規制は、2005 年から新長期規制が適用されることが決定しており、 米国では、1996 年から Tier1規制値が適用され、2004 年から Tier2規制値が段階的に適 用される予定になっている。欧州では 2000 年から EURO3規制が、2005 年から EURO4規制 が開始される予定になっている。 2.6.2 CO2対策 各国はCO2削減対策の一環として、運輸部門における自動車の燃費規制強化を図ってい る。欧州でも我が国と同様、自動車保有台数増加に伴うCO2排出量増加が問題となってお り、その対策について、行政当局と自動車会社間の協議の結果、自動車会社の自主協定の形 で乗用車に対して以下のような燃費基準が設定されている。(1995 年比 25%削減) ・2000 年までに 120g- CO2/km(ディ ーゼル 車換算で 22km/L)以 下の モデ ルを投 入 すること。 ・2008 年まで に企業 別平 均燃 費規 制(CAFE)で 140g- CO2/km(ディー ゼル 車換 算で 18.9km/L)を達成すること。 2.6.3 燃費向上対策 欧州では、燃費規制が企業別平均燃費規制(CAFE)であったことから、高収益車である が燃費が悪い大型車・中型車を中心に乗用車のディーゼル化を進めており、近年は小型車 のディーゼル化も始まっている。また、ハイブリッド化よりもディーゼル化の方が、コス トパフォーマンスが高く、ユーザーが受け入れ易い燃費向上策との意見が大勢であった。 一方、我が国の燃費規制は車重毎の規制であることから、車種毎の燃費規制を達成して も、昨今のワンボックスカーブームのように、需要が大型車にシフトすれば実際の燃費は 悪化することになる。しかし、我が国においても市販されている乗用車の車両重量とCO2 排出量の関係は、図5に示すように、ラインアップは少ないものの直噴ディーゼル車は、 従来型ガソリン車よりもCO2排出量は 20%程度少なくなっており、ガソリン車からディ ーゼル車へのシフトは、CO2排出量削減の有効な手段であることが解る。なお、我が国の 自動車業界では、トヨタのプリウスに代表されるガソリンハイブリッド車を燃費対策の柱 に据えているようにも見える。

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我が国の自動車の車重とCO2排出量

(H14/12末) 従来型ガソリン ディーゼル直噴 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 車両重量(kg) C O 2 排 出 量 (g -c o 2 / k m ) ガソリン直噴エンジン ハイブリット自動車 ガソリンリーンバーンエンジン 高圧噴射 従来型ディーゼル 従来型ガソリン ディーゼル直噴エンジン (国土 交通省「自動車燃費一覧表」平成 15 年 3 月のデータを基に作成) 図5 日本の乗用車の車両重量別CO2排出量 2.7 乗用車のディーゼル化に伴う我が国の石油製品生産バランスへの影響 乗用車のディーゼル化が進んだ場合の石油需給に与える影響について次の前提条件の基 に試算を行った。 ①乗用車の新車販売台数は、過去 10 年平均並の 440 万台(軽乗用車含)が継続すると仮定。 ②乗用車の新車販売に占めるディーゼル比率が、2004 年から急上昇し、その状態が 2010 年まで継続すると仮定。 ③ディーゼル乗用車に移行するユーザーの平均走行距離を 15,000km/年と仮定。 ④CO2排出量については、以下の原単位を採用。 製油所:ガソリン製造:227g/L 、軽油製造:150g/L 車両(VW-GOLF を仮定):ガソリン車:160g/km(燃費:14.7km/L より算出) ディーゼル車:138g/km(燃費:19.2km/L より算出) 以上の前提条件を基に試算を行った結果、表2に示すように、軽油の需要量は増えるも のの、ディーゼル車の燃費の良さから、ガソリンを含めた自動車用燃料の総需要量は減少 することがわかった。仮に新車販売におけるディーゼル乗用車比率が 2004 年から 20%で 一定に推移した場合に、2010 年におけるガソリン+軽油の総需要は約 150 万 KL 程度の減 少となる。

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表2 ガソリン、軽油需要量への影響 (単位:千 KL/年) 2005 年 2010 年 ディーゼル 比率 ガソリン 軽油 計 ガソリン 軽油 計 5% △ 426 + 326 △100 △ 1,492 +1,142 △ 350 10% △ 875 + 670 △205 △ 3,063 +2,345 △ 718 20% △1,773 +1,358 △416 △ 6,206 +4,752 △1,455 30% △2,671 +2,045 △626 △ 9,349 +7,158 △2,191 40% △3,569 +2,733 △837 △12,492 +9,564 △2,928 (注)2003 年のガソリン:60 百万 KL、軽油:40 百万 KL からの増減を示す。 なお、同条件でのCO2排出量の年間削減効果として、表3に示すように、製油所での精 製段階で約 100 万トン、自動車からは約 200 万トンの、計 300 万トン程度が期待できる。 表3 CO2排出量への影響 (単位:千トンCO2/年) 2005 年 2010 年 ディーゼ ル 比率 製油所 車両 計 製油所 車両 計 5% △69 (△0.21) △138 (△0.06) △207 △ 242 (△0.73) △482 (△0.19) △724 10% △142 (△0.43) △283 (△0.11) △425 △497 (△1.51) △991 (△0.40) △1,487 20% △287 (△0.87) △573 (△0.23) △861 △1,006 (△3.05) △2,007 (△0.80) △3,013 30% △433 (△1.31) △864 (△0.35) △1,297 △1,516 (△4.59) △3,023 (△1.21) △4,540 40% △579 (△1.75) △1,154 (△0.46) △1,733 △2,026 (△6.14) △4,040 (△1.62) △6,066 (注)( )内は、総CO2排出量に対する割合(%) 総排出量:製油所:33,000 千トン/年、運輸部門:250,000 千トン/年 2.8 我が国でディーゼル乗用車を普及させるための課題 我が国では、乗用車の平均走行距離は欧米より短いものの、業務用や通勤で使用する場 合の年間走行距離は欧州並みに長いと考えられることから、ディーゼル車の燃費メリット を活かせるものと考えられる。 しかし、我が国でディーゼル乗用車を普及させるためには、自動車メーカー側の対応と して以下のような課題がある。 ・燃費、走行性能、排ガス性状に優れた最新ディーゼル乗用車をラインアップさせるた めのリードタイムが必要となる。 ・今後の排ガス規制(ポスト新長期規制)によっては、ディーゼル車のコストが更に上

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がる可能性が大きい。 ・ディーゼル乗用車を普及させる場合に、ユーザーの購入意欲がなければ意味が無いこ とから、日本で定着しているディーゼル車への悪いイメージを払拭する啓蒙活動や、 ディーゼル車NO作戦への対応等の課題がある。

3.調査結果のまとめ

本調査の成果として、明確になった点を整理して以下に示す。 ①我が国の新車登録におけるディーゼル乗用車の比率は 1990 年以降減少し始め、現在では 0.3%まで落ちている。我が国におけるディー ゼル乗用車の減少の理由としては、1989 年の自動車税制の変更に伴ってそれまでのディーゼル乗用車の優遇がなくなったことや、 1990 年代の半ば以降、ガソリンと軽油の価格差が減少したこと等があげられる。また、 東京都のディーゼル車規制やNOx・PM法の動きから、ディーゼル車は環境面で問題視 されるようになっていることも理由となっている。 ②一方、欧州では新車登録におけるディーゼル乗用車の比率は平均で 40%まで増加してい る。この背景として、欧州における利用者側から見ると、年間平均走行距離が長いこと から燃費の良いディーゼル乗用車のコストパフォーマンスが得られること、直噴・ター ボエンジンの導入に伴って燃費の大幅な改善が図られると共に、運転性能がガソリン車 並もしくはそれ以上になったこと、さらにコモンレール等の最新技術の導入によって過 去の環境面の問題点が改善されたこと等があげられる。自動車メーカー側から見ると、 企業別平均燃費規制を達成するためには燃費の良いディーゼル乗用車を普及させる必要 があったことがあげられる。 ③我が国でディーゼル乗用車が普及した場合、CO2排出量削減には製油所及び車両走行時 の双方に効果があり、また油製品需要面からは、軽油増、ガソリン減となるものの、燃 費の差からガソリン、軽油の全体需要量は若干減少するという傾向があることが明らか になった。 以 上

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