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農業法人における従業員確保と人材育成

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 10 日

農業法人における従業員確保と人材育成

-農業生産法人A社を事例として-

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学講座 農業経営学 石丸 百恵実

1.はじめに

我が国では,人口減少と高齢化が同時に進行しており,生産力の基盤である労働力への関心が各 分野で高まっている。生産年齢人口は戦後一貫して増加を続け,1995 年をピークに減少局面に入っ ている。農業就業人口も減少を続け,2015 年農業センサス概数値によると平均年齢は 66.3 歳,65 歳以上が占める割合は 63.5% となった。他方では,効率的かつ安定的な農業経営体の形成のため に農業法人化が推し進められ,農業法人の数,雇い入れている農業法人数と実人数も増加傾向にあ る。しかし,多くの農業法人が立地する地方における人口減少及び高齢化の中で,農業法人が従業 員を確保することは難しくなってきていると考えられる。

2.方法

早期に農業法人化し,多数の従業員を雇用してきた大規模野菜作経営,農業生産法人 A 社を取り 上げ,事例分析を行う。雇用型経営を確立した同社が,農村地域労働市場が縮小する中で,従業員 の確保・育成に向けていかなる対応を取り,経営展開にどのような影響を及ぼしているのかを検討 した上で,こうした法人経営の対応について考察する。A 社は,1995 年に農業生産法人化し,2015 年末現在,延べ 103ha の自社農場でごぼう,らっきょう,キャベツ等を栽培し,園芸組合登録の約 470 戸からさといも,さつまいも等を仕入れ,自社の加工場でカット・袋詰めを行っている。取扱 量に占める自社農場と仕入の比率は3対7となっており,商品は農協を通さず直接販売している。

3.結果と考察

A 社は自社農場の規模拡大に対応して高齢者雇用,多角化にはパート採用の増加で対応し,2008 年頃まで従業員数が増加していたが,その後,少子高齢化や地元採用の困難を受けて従業員数が半 減した。そのため,営農部門では外国人実習生の採用,加工部門では障害者雇用の拡大で対応して いる。正社員に対しては,行政の研修制度等の活用により全国労働市場より人員を確保している。

従業員数の制約に対し A 社は,勤続年数が短く,独立志向のある研修生的な性格を持った正社員 でも適格に作業できるよう,ICT を活用し,ほ場の情報,作業記録,生産・出荷の共有化を行い,

営農部門の効率化をはかった。一方,経営においては販売への比重が高まり,顧客との安定的な関 係を築くことができる人材が必要となってきている。

4.まとめ

少子高齢化や地元採用の困難による従業員数の減少の中で,限られた人数で利益が生み出せるよ う経営展開も変化している。農産物の仕入先の確保も難しくなっていくと考えられる中,仕入先や 顧客との関係も築くことができるような人材の定着が求められる。一方で,研修生制度は独立や転 職を意図したものが多く,法人の従業員定着の阻害要因となっている面も指摘できる。人材の定着 のためには,農業法人の従業員がその地域でライフプランを描けるような配慮も必要となってくる。

参照

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