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救急医療における診療支援の充実に向けた基礎と臨床の連携

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Academic year: 2021

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因 し た 強 烈 な 免 疫 応 答 に よ っ て 全 身 性 炎 症 が 惹 起 さ れ 、「 重 篤 な 臓 器 障 害 が 引 き 起 こ さ れ た 状 態 」、と 定 義 さ れ る 。病 原 体 は 様 々 な 毒 素 を 産 生 す る が 、今 世 紀 に な り 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 PAMPs (Pathogen-associated molecular patterns) の 関 与 が 注 目 を 集 め て い る 。 全 身 性 炎 症 は 感 染 症 の み な ら ず 侵 襲 的 な 疾 患 や 医 学 的 行 為 に よ っ て も 生 じ う る た め 、 免 疫 学 的 な 機 序 も 含 め た 病 態 解 析 や 、 自 己 免 疫 系 に 対 す る 影 響 を 検 討 す る こ と が 、 急 性 期 疾 患 の 治 療 の 質 の 向 上 の た め に 必 要 で あ る 。 救 急 医 療 に お け る 真 菌 感 染 症 は そ の ほ ぼ 全 例 が Candida 起 因 で あ る 。そ こ で 、Candida 属 の 臨 床 分 離 株 が 示 す 免 疫 応 答 や 炎 症 惹 起 に 関 す る 検 証 の た め に 、臨 床 分 離 株 52 株 を 天 然 培 地 (YPD) な ら び に 合 成 培 地 (C-limit) を 用 い て 培 養 し 、 菌 体 成 分 の 熱 水 抽 出 物 (Hot Water Extract; HWE ) を 作 成 し 、そ の 性 状 を 比 較 す る と と も に 、マ ウ ス を 用 い て 急 性 の 致 死 活 性 と 緩 徐 に 進 行 す る 病 態 で あ る 血 管 炎 に つ い て 検 討 し た 。

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結 語 救 急 医 療 に お け る 薬 剤 師 の 職 能 の 発 揮 と 診 療 支 援 の 質 の 向 上 の た め に は 、 臨 床 と 基 礎 を 綿 密 に 繋 ぎ 合 わ せ た 臨 床 研 究 の 推 進 が 必 要 で あ る 。 敗 血 症 に 代 表 さ れ る 重 篤 な 感 染 症 で は 、 感 染 及 び 炎 症 の 制 御 が で き れ ば 治 癒 へ と つ な が り 、 で き な け れ ば 収 拾 困 難 な 全 身 性 の 炎 症 状 態 と な り う る 。 Candida の 菌 体 成 分 は そ の プ ロ セ ス に 関 与 し て い る 可 能 性 が あ る 。 【 研 究 結 果 の 掲 載 誌 】 1) Jpn J Burn Inj. 44 (2) 71-79, 2018 2) 日 臨 救 医 会 誌 22 (4) 559-566, 2019 3) Int J Med Mushrooms. 21 (5) 413 -428, 2019

Fig. 4 大 動 脈 起 始 部 切 片 写 真;上 が 病 変 (+)、下 が 病 変 (-) CAWS (左 上 )、 C. albicans (No. 3) (右 上 )、

C. albicans (No. 21) (左 下 )、 C. albicans (No. 34) (右 下 )

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論文審査の結果の要旨 我が国では高齢化が進行しており、救急医療の役割はますます重要になっている。薬剤師は医療 チームの一員として多職種との協働を進め、安全で確実な薬物治療の実現に努める必要がある。 救急医療領域においては、救命救急センターなどの集中治療室における薬剤師の病棟薬剤業務に 対する高度の知識と技能が求められている。本研究では、救急医療における診療支援について、 感染制御ならびに診療支援に関する実施例を示し、その他の実践内容を分類して現状を分析した 上で(第一章)、感染制御に関わる基礎的研究を行い(第二章)、医療現場へフィードバックする ことを目的とした。 第1章 救命救急センターにおける薬剤師による診療支援について申請者が行ってきた約400 件 の診療支援内容を精査し、特に治療方針に影響を与えた感染症治療や薬物血中濃度に関する事例 への関与については、薬学的観点からの検討をより深める必要があることが示唆された。 重症熱傷患者においてCandida tropicalis 感染が遷延した症例において、注射用抗真菌薬を用 いた標準的な治療に加え、局所における感染・炎症に対して外用薬を使用し、感染部位への適切 な薬剤供給を図ったところ、外用薬開始後は、速やかに菌が消失した。 フェニトイン(PHT)はけいれんやてんかん患者の、特に初期治療に用いられる薬剤であり、治療 域の濃度範囲が狭く容易に中毒域に達するため、使用の際に注意を要する。本薬剤による治療に おいて、薬剤師の診療支援の有無と濃度逸脱例を比較したところ、支援群では逸脱例が減少し、 薬学的管理の重要性が示された。 これらの症例を通じ、救急医療における薬剤師は、他職種と連携しつつ状況に応じて臨機応変に 対応できる能力が必要であることを示した。また、今後の臨床薬剤師には、臨床の問題点と基礎 的検討をスムーズに連携させ、有効な診療支援、ひいては薬物治療の質の向上による治療成績や 生命予後の改善に貢献できる能力が必要であることが示唆された。 第 2 章 重篤で致死的な感染症の代表例である敗血症では、起炎微生物に対する防御反応に起 因した強烈な免疫応答によって全身性炎症が惹起される。病原体は様々な毒素を産生するが、今 世紀になり自然免疫活性化物質PAMPs (Pathogen-associated molecular patterns) の関与が注 目を集めている。全身性炎症は感染症のみならず侵襲的な疾患や医学的行為によっても生じうる ため、免疫学的な機序も含めた病態解析や、自己免疫系に対する影響を検討することが、急性期 疾患の治療の質の向上のために必要である。救急医療における真菌感染症はそのほぼ全例が

Candida 起因である。そこで、Candida属の臨床分離株が示す免疫応答や炎症惹起に関する検証

のために、臨床分離株の菌体成分の熱水抽出物 (Hot Water Extract; HWE) を作成し、その性状 を比較するとともに、マウスを用いて急性の致死活性と緩徐に進行する病態である血管炎及び心 肥大の活性について検討した。その結果、血管炎・心肥大の重篤度は、菌種によって異なり、

C.kruseiならびにC. albicans では強くC. dubliniensis、C. parapsilosis、 C. glabrata、 C.

tropicalis 、 C. guilliermondii では弱い傾向 となり、菌種間で血管炎の強度または感受性に著

しい差を認めた。これらの結果から、Candida属真菌は宿主に対して炎症応答を惹起するが、菌

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び炎症の制御ができれば治癒へとつながり、できなければ収集困難な全身性の炎症状態となりう る。Candida の菌体成分はそのプロセスに関与し、その関与は菌種によって異なっている可能性 のある事を見出した。

Fig. 3  マ ウ ス 生 存 ス コ ア (200 日 経 過 後 ) 菌種C. krusei  (1)CAWS生存スコアC. albicans (5)C. dubliniensis (3)C

参照

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