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A Comparative Study of Japanese Flounder Culture Business between Korea and Japan

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(1)

日 ・韓 ヒ ラ メ養 殖 経 営 の 比 較*ケ

銃*イ八

A Comparative Study of Japanese Flounder Culture Business between Korea and Japan

Jung-Yoon CHOE and Tsuneo YAGI

This paper is a comparative study focusing on Japanese flounder culture busi- ness between Korea and Japan. The major aspects covered in this paper are as follows : 1) The Japanese flounder culture business, status quo, its business conditions in two countries ; 2) The major factors that result in significant difference in management conditions and profitability of Japanese flounder culture business between the countries.

The result of this study shows that the Japanese flounder production forms a significant portion of total aquaculture in Korea, while its proportion in Japan is relatively low. The major factors that affect the profitability of Japanese flounder culture business in Korea are as follows :

1) The fish production cost per kilogram is 12,594 wons.

2) The ROI (rate of increase) of the business is 170.4%.

3) The break-even point in terms of volume is 13,466kg.

4) At the break-even-volume, the portion of fixed cost is 68% and variable cost is 32%.

However, for the analysis of the major factors affecting the profitability of Japanese flounder culture business in Japan, it is difficult to set up a model farm comparable to that of the Korean one. Another study will consider it in the future.

Key words : 韓国の養魚業 aquaculture in Korea ; ヒラ メ養殖 経 営

Japanese flounder

aquaculture business ; 損益分岐点 break-even point ; 収益変動要因 fac- tors affecting profitability

1989年 度 か ら1991年 ま で,日 本 の 長 崎 大 学 と韓 国 の 釜 山 水 産 大 学 は,韓 ・日養 殖 業 の 比 較 研 究 と い う 主 題 を 選 定 して,3ヶ 年 間 交 換 訪 問 を し な が ら調 査 研 究 して き た 。 主 に 海 産 魚 類 の 養 殖 に しぼ っ て,両 の 研 究 者 た ち は重 点 的 に 研 究 資 料 を 収 集 し た 。 そ の 結 果,韓 国 と 日本 とは,自 然 条 件 特 に 海 洋 水 温 の 差 に 基 づ き,養 殖 対 象 魚 種,生 産 量,技 術 的 側 面 等 に お い て 顕 著 に 相 違 して い る こ とが 分 か っ た 。

韓 国 の 場 合 ブ リ と マ ダイ の 養 殖 は 現 在500ト ン 水

準 で あ る が,日 本 は こ の 二 つ の 魚 種 の 養 殖 量 だ け で 200,000ト ン を超 え て い る 。 こ とに ブ リ養 殖 の 場 合, 韓 国で は1975年 の7ト ンか ら始 ま り1985年 には2,910

トン に達 し た が,1990年 に は 再 び462ト ン に 激 減 し て い る 。 さ ら に マ ダ イ 養 殖 量 も韓 国 は 日本 の100分

の1に 過 ぎ な い 。 しか し ヒ ラ メ養 殖 は,日 本 も最 近 に な っ て 新 魚 種 と して 注 目 して お り,韓 国 の 場 合 そ の生 産 量 は ブ リ とマ ダイ を 凌 ぐ年 間1,000ト ン程 の生 産 実 績 を 示 し て お り,今 後 と も そ の 生 産 量 は 増 加 す

*1日 韓 両 国 に お け る 養 殖 漁 業 の 比 較 研 究―6(AComparativeStudyonJapaneseandKoreanAquaculture‑6)

.

*2国 立 釜 山 水 産 大 学 校(NationalFisheriesUniversityofPusan

,Pusan,Korea).

(2)

る見込みである。

 従って本稿では,自然条件から韓国では正常な成 立と発達が困難であるブリとマダイ養殖の韓・日間 の比較はそれほど意味を持たないと判断し,最近両 国において共に漁民たちの関心を引きながら拡大の 一路を辿っているヒラメ養殖について,主に経営の 側面から両国の比較を試みることにした。

 しかしながら,日本では魚類養殖の84%がブリと タイによって占められており,これらに関する資料 は豊富であるが,それ以外の魚種に関する資料は生 産統計の他は極めて乏しく,他方韓国においては総 養殖量の約40%を占めるヒラメ養殖業に関する資料 は豊富であるが,それ以外の魚種については詳細な 統計が極めて乏しいのが実状である。

 したがってここでは主に韓国のヒラメ養殖経営に ついて,モデル養殖場を対象にして経営分析を試み,

それと日本の関連資料を比較することによって,両 国のヒラメ養殖業を比較分析することにする。

1.日本のヒラメ養殖の現況と経営  1)ヒラメ養殖技術の発達

 現在までのヒラメ養殖生産と放養年数の推移から 見て日本のヒラメ養殖業は1982年頃までの人工種苗 生産段階,1982年〜1987年の初期普及段階,1988年 目現在の本格的事業化段階の3段階に区分すること ができる。(Table 1参照)

 日本でヒラメの人工種苗生産が成功したのは1965 年のことで,その後1978年,大分県で人工種苗の本 格的量産段階に入るようになり,1980年頃から急速 な普及をみせ,1983年になって初めて日本の統計上 648トンの生産量を記録する。その後ヒラメ養殖生産 量は1984年には838トンに増加し,1985年には1,572

Table 1. Development of Japanese flounder culture in Japan

生 産 種苗 放養地域 海産魚類総養殖

(トン) (千個) (11ヶ地域) 生 産 (トン)

1978 水槽養i殖 種苗生産 135,008 1979 初期普及期 開始 27 170,561

1980 16 島

169,717

1981 204 174,904

1982 1,223

190,931

1983 648 3,805 77 長 崎 190,355

1984 838 428 195,516

1985 1,572 1,701 1,298 196,682

1986 1,865 1,149

宮 崎

220,338

1987 2,294 1,770 鹿児島 241,946

1988 3,097 6,224 2,445

235,126

1989 4,283 3,877 248,000

1990 6,000 4,457

1991 5,235

資料:全国かん水養魚協会,要覧,日本,1991年.

3一一5m

ぢ諺

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天井網

飛び出し防止用    ネット 3mまで

50cm

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L_______.」

Fig. 1. Cage of the Japanese flounder culture.

(3)

トン,引き続き1990年には6,000トン台に達し,海 産養殖魚類のなかでブリ,マダイ,ギンザケ,マア

ジに次ぐ第5位の位置を占めるようになる。

 1990年現在,ヒラメ養殖生産量は6,000トンに達 しており,1991年の放養尾数は524万尾であるが,

なお普及過程にあると考えられる。

 草:創期のヒラメ養殖方法は網生賓による海上養殖 であったし,今でも長崎県では海面養殖の方法が多 く行われているが,他の地方では陸上水槽式養殖に 代替され,現在ではこの方法が主流になっている。

陸上水槽式も水槽の形態によって幾つかに分けられ るが,現在普及しているのは円型,八角型,正方形,

長方形の4種である。

 最近の長崎県におけるヒラメ海面養殖施設の例を あげると,Fjg。1のとおりである。

 2)日本の海産魚養殖とヒラメ養殖生産の推移  日本の海産魚類養殖生産量は1960年末には15,706

トン,1970年代なかばまでは!00,000トンに満たな かったが,その後急速に増加し,1980年には169,71ア トン,1985年には196,682トン,1986年には200,000 トン台に入り,1990年には248,000トンに至ってい る。生産量を回読llにみると第1位はブリ類,第2位 はタイ類,第3位はギンザケ,第4位はシマアジ,

第5位はヒラメである。

 このうちブリとタイ類の生産量が全体の83.5%

を占め,それらを含めて全部で45魚種が養殖されて

いる.最近の傾向は,ブリ類の隼産量が1988年の 165,928トンを頂点として生産増加の限界をみせてお り,それに代わってタイ類,アジ類,ヒラメ,フグ 類,ギンザケなどの魚種の生産量が一路拡大してお

り,特にヒラメ,ギンザケ,タイ類の養殖の発達が 顕著である。

 ヒラメ養殖は,1960年代半ばに人工種苗生産が成 功して以来,初期普及段階を経て現在は全国に拡散 しているが,1990年現在の主な養殖地域は,表1で みられるように石川,福井,島根,山口,愛媛,長 崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島,千葉などの1ユ地区 である。ヒラメ養殖の地域別分布は,長崎県が全国 の27%を占めて1位であり,第2位は大分県,第3 位は愛媛県である。

 Fig.2は1970年代以降新しく登場した主要海産養 殖魚類の放養尾数を示した資料である。最近放養尾 数の増加しつつある代表的な魚種はトラフグで,そ れに次いで旺盛な養殖趨勢をみせている魚種がヒラ メとシマアジであることが分かる。

 ヒラメは1986年から放高尾数が急激に増加してい る。このようにヒラメ養殖に対する漁民の関心が集 中してきたのは,第1に魚価が高値を維持している こと,第2に陸上養殖が可能になったので,漁業権 とは無関係に養殖施設の設置が可能になったこと,

第3に高級魚として広範かつ安定した需要基盤を保 っているなどの背景があったためと考えられる。総 務庁「家計調査年報」によると,1987〜1989年の3

(単位:1,000尾)

9,000 8,000

7,000

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000 o

トラフグ

ヒラメ  /

 //^

 , 、

I/▲誕 /へ・、/へ く、

 //

シマアジ

^4 、\く 、     駈!、隔ノ_迷   / \     /〜ソし   、\ /『   \\      一ッ《 ノ∠ぐ   、    、

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 / 、、 / /v/ \一・_. \ 、  ,,チ.ご・へ∠ /\ン ン〉<鼠毛ダィ

一一一一

T ラへ\ \♂〉ご

、箏     ■  一  曹

S.53 S54 S。55 S.56  S.57   S.58   S.59  S.60  S.61 S.62 S.63 H.1 H.2 H.3

. Fig. 2.

       資料:全国かん水養魚協会,業務資料,

Trend of the amount of cultured fry by main marine fish in Japan.

日本,1991年.

(4)

ヶ年の平均魚種別消費者価格は高級魚6種のうち,

ヒラメ価格が100g当たり326円で最も高かった。そ の次がマグロで254円,タイ241円,手ビ類238円,

カニ類220円,そしてブリ類204円の順であった。

 ヒラメの市場価格が他の高級魚種を上回り始めた のは1986年8,月のことであったが,その後もクルマ エビと共に高級魚としての地位を維持し続けてきた。

これらは『養殖』1988年7月号から引用したFig.

3にも示されている。

 3)ヒラメ養殖経営

 最近になってヒラメ養殖経営炉日本で脚光を浴び るようになり,また全国的に普及してきているにも かかわらず,経営関連資料は未だ未整備の状態であ る。このことは1990年発行の長崎県『魚類養殖の現 状と対策』中の「魚類養殖経営指導指針」でも触れ

られている。

 全国でヒラメ養殖が最も盛んである長崎県の資料 においても,ハマチとタイ以外の魚種に関する資料 はほとんど見いだすことはできない。ヒラメの比較

(円/kg)

10,000  9,000  8,000  7,000  6,000  5,000  4,000  3,000  2,000  1,000

//、

一一一一結梹s場

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I     、 大阪市場

ノ     、

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、       〆、 

1984 1985 1986 1987

12345

Fig. 3.

6789101112123456789101112123456789101112123

      資料:全国かん水養魚協会,業務資料,日本,・1991年.

Fluctuation of price of main marine cultured fish at Japanese wholesale markets by month in recent years.

Table 2. Examples of the balance sheet of Japanese flounder culture

(Unit 1 1,000won)

    経営体項 目

A    B    C   D   E   F   G 平均 構成比

放養尾数(尾)

35,000    70,000  30,000   15,000  50,000  30,000  30,000 260,000 37,143

水槽 総 面 積 850     1,753   1,050     626   1,400   1,040     954 7,673 1,096

(面    積) (17)      (75)    (35)    (15)    (36)    (23)    (31) (232) (33)

出荷までの生残率 90       33      90      80      70      80      60 170,600 65.6

出 荷 時 期

12〜3      8〜     7〜     8〜     2〜    4〜3    12〜

出荷サイズ(9) 700〜  700〜800   600〜   900〜   600〜   500〜   600〜

出荷単位(won/kg) 20,350    19,250  19,250  19,250  16,500  16,500  16,500

収  入(千won) 423,500   308,000 311,850 207,900 297,000  165,000  165,000 1,878,250 268,321

支  出(千won) 271,700   339,350 212,850  85,800 242,000  !10,000  165,000 1,426,700 203,814 100.0

種   苗   代 29,150    73,150  41,250   9,350  66,000  35,200  22,000 276,100 39,443 19.4

飼   料   代 69,850   140,250  51,700  38,500  33,000  22,000  11,000 366β00 52,328 25.7 電   気   代 46,200    46,200  42,900  13,200  66,000  24,750  33,000 272,200 38,886 19.1

人   件   費 38,500    57,750  38,500   19,250  33,000   14,300  55,000 256,300 36,614 18.0

そ   の   他 0        0      0      0       0      0   8,250 8,250 1,178 0.5

減価 償 却 費 88,00Q    22,000  38,5QO   5,500  44,000   13,750  35,750 247,500 35,357 17.3

利一益(収入一支出) 51,800   −31,350  99,000  122,!00  55,000       0       0 451,550 64,507

売上高利益率 35,8     −10.2    31.7    58.7    18.5    33.3       0 24.0

設備費(千won) 880,000   220,000 385,000  55,000 440,000  137,500 357,500 2,475,000 353,570 注:金額は韓国貨幣の単位に換算したものである.(100¥=500ウォン)

資料:大島泰雄,浅海養殖,大成出版社,1986,p.263.

(5)

的詳細な経営資料は,1986年の大島泰雄の『浅海 養殖』に示されている7経営体の陸上水槽養殖経営 の分析で,これを韓国のヒラメ養殖経営と比較する ためwon(韓国貨幣単位)に換算評価した資料が Table 2である。

 Table 2には,最小15,000尾から最大70,000尾ま での7経営体が紹介されているが,そのうち規模が 最大なのはB社である。経営体当り平均水槽面積は 1,096m2で,平均売上高は268百万won,平均生産

費は約204百万wonで差額64百万wonが営業利

益である。したがって養殖利益率24%(64,507÷

268,321×100)である。

 一方,人件費が総支出に占める割合は18%で,電 気代が19%を占めている。韓国の場合は電気代が10%

         な

未満であるので,それに比べれば,相対的に電気代 の比率が高い。種苗代25.7%は韓国に比べて顕著に 高い。逆にその他の費用と減価償却費の支出は日本 の方が低い。全体的にみるなら,日本においても陸 上水槽式ヒラメ養殖経営は収益性の良い養殖業の一 つであることが分かる。

2.韓国のヒラメ養殖現況  1)ヒラメの生産と経営体の分布

 1990年現在,韓国で行われている浅海魚類養殖業 の主要対象魚種はブリ類,メバル,ヒラメ,マダイ,

クロソイ,スズキ,フグ等8魚種に留まり,これら の魚種の年間生産量もTable 3にみられるように日 本に比して微々たる量でありながら,最近は一般に 養殖生産量の増減が厳しく,ブリの場合には経営体 数と生産量の両面で顕著な減少傾向をみせている。

しかしヒラメの場合は1987年の20トンから始まり,

1988年16トン,1989年249トン,1990年1,03アト ンと,急激な成長を遂げている。

 ヒラメ生産量が近年になって急激に増加してきた

理由として,①沿岸漁場秩序とは無関係な陸上養殖 であること,②国民の嗜好性が高く,また需要・市 場が広いこと,③魚価及び商品性の高い魚種である こと,④環境の変化に対する耐性が強く,かつ養殖 が容易であること,⑤餌料効率が高く,かつ成長の 速い魚種であること,⑥人工種苗生産技術の発達に

より,種苗の安定的確保が可能であること,⑦陸上 水槽を利用するため成育条件を人為的に統制できる

こと,などをあげることができる。

 初期のヒラメ養殖は,ヒラメ稚魚を日本から輸入 し,海上生半式養殖法によって行っていた。かかる 段階を脱却するのは1985年頃のことである。1983年 から国立水産振興院が傘下の種苗栽培場を通じて本 格的な人工種苗生産試験研究に乗り出し,1984年に 成功を収め,人工種苗を用いた海上網生粋方式の養 殖技術が沿岸漁民に普及した。同時に水温調節のた めに陸上生實への転換の要請が強まり,現在ではほ とんどが陸上養殖に依存するに至った。かくして1987 年に20トンの生産実績が初めて水産統計に記録され

る。

 Table 4は1990年末現在のヒラメ陸上水槽式養殖 経営体の分布資料である。ヒラメ陸上養殖経営四四 は1984年3経営体,面積0.2haから1900年現在250 経営体に急増しており,その範囲も,草創期は慶尚 下道にのみ限定されていたのが,東,西,南海岸全 域に拡大されている。

 経営形態別分布をみると,経営体当り水槽保有総 面積が1,000m2以下を小規模経営,1,000〜5,000m2 を中規模経営,5,000m2以上を大規模経営とした場合,

小規模のものは112経営,中規模は101経営,大規 模は37経営となり,地域別にみると,主に小規模の ものは慶尚早道に,中規模のものは済州道と慶尚北 道に,大規模のものも同じく済州道と慶尚北道に比 較的多く分布している。

Table 3. Acuaculture by main species in Korea       (Unit 1 ton)

年 度 ヒラメ ブリ類 タ イ その他

1985 1,351 62 1,413

1986 2,910

5 2,915

1987 20 2,418 335 2,773

1988 16 1,258 2 14 1,290

1989 249 1,569

843 2,661

1990 1,037 462 284 873 2,656

注:その他はクロソイ,スズキ,フグ等の合計である.

資料:農林水産部,農林水産統計年報,1985〜1991年.

 2)ヒラメの市場動向

 ソウル・カラク洞市場は,韓国の水産物消費地市 場としては全国第1位の物量を取り扱う市場である。

この市場における1989年10,月から1991年10.月ま での2年間の活ヒラメ競り落とし価格と生産者出荷 価格の推移を示したのがFig.4である。

 1kg以上の商品(上品)の月平均価格は最低21,000 wonから最高46,000wonの範囲で変動しているが,

25ヶ,月間の平均価格は32,000wonで,月別・時期別 の価格変動が激しかった。時期別市場価格の推移を

(6)

Table 4. Present situation of aquaculture management of Japanese flounder using pools in land, Korea

  項 目 K模別・一別

経営体数

@(個)

分布率

i%)

総水槽面積

@(m2)

経営体当平均

??ハ積(m2) 規模基準

江 原 8 7.1 5,162 646

忠 南

ハ 北

32

2.7

P.8

2,411 P,076

804 T38

経営体当

??ロ有面積

全 南 16 14.3 8,031 502 1,000m2以下

慶 北 32 28.6 22,956 717

慶 南 46 41.1 18,039 392

済州

5 4.4 3,035 607

小 計 112 !00.0 60,7ユ0 542

京 畿 3 3.0 5,000 1,667

江 原 3 3.0 7,383 2,461 経営体当

忠 南 5 5.0 13,241 2,648 水槽保有面積

全 北 3 3.0 7,465 2,488 1,000〜5,000m2

全 南 9 9.0 !9,324 2,147

慶 北 16 15.7 40,957 2,559

慶 南

マ 州

14 S8

13.8 S7.8

26,840 P32,346

1,917 Q,757

小 計 101 100.0 252,556 2,500

江 原 5 13.5 62,674 12,535

忠 十 S 北

11

2.7

Q.7

12,671 T,433

12,671 T,433

経営体当

??ロ有面積

全 南 5 13.5 36,442 7,288 5,000m2以上

慶 北 10 27.0 116,100 11,610

慶 南 2 5.4 11,304. 5,652

済 州 13 35.2 166,140 12,780

小 計 37 100.0 410,764 11,102

合  計 250 724,030 2,896

資料:国立水産振興院,指導課,業務資料,1990年.

千/won/kg     45 40

  35

  30格 25

20

15

『       〆へ

、      ぱ       、 s         !r         、

ヒ  /         塾一一儀\伊 倉穴  へ  ド

      ヘー市場競落価格       嵐

…一一カ産者出荷価格      、

      89  90  91

      101224681012246810,月

資料:韓国水産新報社,養殖水産物価格動向,水産養殖,1989年10   月〜1991年11月号から抜粋整理

Fig. 4. Trend of price of live Japanese flounder     at Karak−Dong Market in Seoul, Korea     (more than lkg).

見ると,7〜8,月の夏期には価格が高かったが,10〜

12.月には価格が低かった。

 一方,生産者出荷価格をみると,変動は消費地市 場価格ほど激しくはない。1989年夏までは1kg当り 25,000won台(1kg以上の上品基準)を維持していた が,!990年に入ってからは22,000wonへ漸次下落す る傾向をみせている。特にコレラ騒動のあった1991 年7月以降は1kg当り15,000wonまで急落している。

しかしコレラショックが鎮静した1991年10,月以降 も価格暴落が続いており,1991年11.月現在,1kg程 度の上品が15,000wonで出荷されている。

 経営分析結果によると,水槽式養殖によるヒラメ の場合,1kgの原価は12,594wonとなっており,販 売単価10%の変動による損益増減率が50.8%と推定 されるので,出荷単価15,000won台は利益率を大き く低下させる水準であるといえる。かかる活ヒラメ 価格の低迷現象を克服するため,1991年12月18日,

(7)

慶下聞道忠武市にある社団法人・韓国沿岸養魚協会 は,陸上水槽式養殖漁民を含む海産魚養殖漁民の協 同組合を構成する目的で,仮称「海水魚類養殖水産 協同組合」を設立して,養殖魚類の系統出荷と餌 料の共同購i入,市場開拓と生産者価格の維持などを 共同して,組織的に行おうとしている。

3.ヒラメ養殖業の経営  1)モデル養殖場の選定

 ヒラメ水槽式養殖業の広範な普及にもかかわらず,

収益性分析に活用できるような客観的資料が現在の ところ整備されていないので,この分野における経 営管理資料の入手は難しい。そこで資料収集が可能 な特定人(P氏)の陸上水槽式ヒラメ養殖場をモデ ル養殖場に選定し,経営分析を試みることにした。

 モデル養殖場は6m舗装道路に面しているので交通 が便利であり,養殖場に隣接する周辺の海水の状態 は良く,ヒラメ養殖に比較的適した条件を備えてい

る。

 モデル養殖場の経営概要と建物及び養殖水槽の配

置図はTable 5とFig。5のとおりである。

 2)損益分岐点分析   (1)ヒラメ養殖原価分析

 前途したモデル養殖場で生産したヒラメの養殖原 価を直接材料費,直接労務費及び養殖間接費に分類

し,各項目別に算定したのがTable 6である。

Table 5. Outline of model management of Japa−

    nese flounder aquaculture for the analy−

    sis of profitability (1991)

方規期条二種

殖設業六二用    高津

養施事養

法模間件数苗

出荷時の平均重量

養増生飼従

殖 期 肉 係

間数率料

業 員(常傭)

陸上水槽式方式

コンクリート4角(7m×2m)21ヶ 10年

4万尾 5tx・10cm 650g/尾 1.5年 2.3 700/,

生飼料:配合飼料=5:5 管理人1名,養殖技術者2名,

補助技術者1名 販 冗 価 格 16,000/kg

Table 6. Production

@   culture in

cost of the Japanese flounder 垂盾盾戟C Korea(more than 40,000

ジ謡 fry)

(Unit :1,000won)

項    目 金  額 構成比(%)

1.直接材料費 64,964 28.4

①飼育棟 A管理舎 B水槽

種 苗 代 煤@料 費

h養貸費

32,000 R1,395 P,569

14.0 P3.7 O.7

④高架水槽 E大型冷蔵庫

③ ③

H.直接労務費

33,600 14.7

⑥揚水場 賃金及び給料 33,600 14.7

⑦排水浄化施設

G事務室 皿.養殖間接費 130,650 56.9

⑨飼料製造室 I小型冷蔵庫 J進入道路

⑩ ⑧

問接労務費 ク価償却費 d 気 代 [ 手 当 泓?﨎カ費 C 繕 費

12,600 T6,550 Q1,600 W,280 S,620 P8,000

5.5 Q4.7 X.4 R.6 Q.0 V.8 

[@][⊃] 雑    費 9,000 3.9

IV.養殖原価

V.生 産 且

229,21418,200kg 100.0

Fig.5. Lay−out of the facilities and pools of the VI. kg 原 価* 12,594won r11ヂ

model farm.

資料:モデル養殖場(1991年). *:生残率70%基準.

(8)

 項目別原価構成を見ると,直接材料費が28.4%,直 接労務費が14.7%,養殖間接費が56.9%である。項目 別にはヒラメ養殖費用のうち最も高い比率を占める 費用は減価償却費で,その次は労務費である。労務 費は直接労務費が14.7%,間接労務費が5.5%で,し たがって労務費比率の合計は202%になる。そして 直接材料費のうち種苗代が14.0%,餌料費が13.7%を 占める。これらの資料からみてヒラメ陸上水槽式養 殖における主要費用は減価償却費,労務費,種苗代 及び餌料費であることが分かる。

  (2)損益分岐点

 費用を固定費と変動費に分け,総収入が総費用と 一致する点を計算することによって,損益分岐点を 把握できる。総収入が損益分岐点を下回れば赤字が 発生するので,損益分岐点は経営を維持するための 必要最小限の生産規模を示す。生産費は生産額の大 小に比例して増減する変動費と,生産額の大小に無 関係な一定の費用,すなわち固定費とで構成される 関係から,固定費の圧力によって損益分岐点以下の 生産額では経営の基本条件が充足できなくなるので

ある。

 モデル養殖場の損益分岐点を把握するため,損益 分岐点における生産費をTC,固定費をFC,変動費 をVCとし,生産量をnkgとすれば,

  TC=FC+VC ・・・・・・・・・・・・…一・・・・・・・・・・・・・・… (D

 変動費VCは生産高に比例する費用なので,モデ ル養殖場の単位生産(kg)当り変動費は,総変動費 75,288千wonを生産量18,200kgで割った値4.137千 wonとなる。したがって①式を改めて示せば次のよ

うになる。

Table 7 Fixed−cost and variable−cost of Japanese     flounder culture in pool (1991)

       (Unit : 1,000 won)

固  定 変  動 直接労務費 33,600 種 苗 代 32,000 間接労務費 12,600

飼料費

31,395

減価償却費 56,550

栄養剤費

1,569

電 気 代 21,600 販売手数料 5,824 諸 手 当 8,280 雑   費 4,500

福利厚生費 4,620

修繕 費

18,000

雑   費 4,500

159,750

75,288

  TC == 4.137n 十 159,720

      (単位:千won)・………・・②  かかる生産費TCが生産金額(P)と一致する点が 損益分岐点となるが,養殖ヒラメの販売価格如何に よって,生産量(生産費)とは別に生産金額が変動 するため,損益分岐点もそれに応じて変動すること になる。したがってここでは販売価格を今までの標 準価格であった1kg当り16,000wonを基準とし,そ れに±10%,±20%の変動幅を考慮した最低12,800 won,最高19,200wonの5つの場合を想定して損益 分岐点を計算してみることにする。

 生産金額Pは「販売単価×生産量」であるから,

各販売単価について生産金額を式で表わすと次のよ うになる。

  ①1kg 12,800won(20%下落)の場合:

   Pi == 12,800 × n

  ②1kg 14,400won(10%下落)の場合:

   P2 = 14,400 × n

  ③1kg 16,000won(標準)の場合:

   p3 = 16,000 × n

  ④1kg 17,600won(10%上昇)の場合:

   P4 = 17,600 × n

  ⑤lkg 19,200won(20%上昇)の場合:

   Ps == 19,200 × n

 夫々の損益分岐点は生産金額Pと生産費TCが一 致する点であるから,P−TC=0どなるnである。

これを上記5つの場合について計算すると,①の場 合は18,440kg,②の場合は15,566kg,③の場合は 13,466kg,④の場合は11,866kg,⑤の場合は10,605kg

となる。

資料:モデル養殖場(1991年).

 3)主要変動要因と経営収支の関係

 ヒラメ養殖業においては,稚魚の放下から成魚に 養成して市販するに至るまでの過程に多くの変動要 因が存在するが,主たる変動要因としては餌料費,

生残率,成長率及び市場価格などが挙げられる。特 に多様に変化する自然的環境はヒラメの成長と生産 量に決定的影響を及ぼすようになり,ヒラメの出荷 価格も収益のflowや利益の大きさに相当の影響を及

ぼす。

 静態的分析ではかかる要因の代表値を選んで分析 するので,動態的状態を把握することはできない。

しかし実際にはかかる要因が安定した状態を持続す ることはほとんどありえないし,かえって常に変動 する動態的性格を帯びている。したがってヒラメ養

(9)

殖の収益のflowに支配的な影響を及ぼす要因を把握 し,これらの要因が養殖投資の収益性や養殖収支に 結果的に如何に影響するかを分析する必要がある。

これを敏感度分析と呼んでいる。養殖経営において はこのような変動要因を合理的に管理することによ って始めて安定した収益を期待しうる。

 主な変動要因としては種苗投入量,餌料費,生残 率,十七係数,販売単価などが挙げられるが,この

うち種苗投入量は単位施設毎に標準化されるので,

.ここでは種苗投入量と餌料費を除いた3要因のみに ついて,その特性とそれらの変動が経営収支に与え

る影響について調べることにする。

  (1)生 残 率

 養殖ヒラメの生残率は,芳養から成魚への育成過 程に多く左右される放養尾数と生産尾数との比率で,

養殖量を左右し,養殖収支に多大の影響を及ぼすの みでなく,さらにその高低は餌料費と販売手数料及 び販売額とも直接関連する。生残率は次の式によっ て示される。

  生残率=生残尾数÷放養尾数×100

 モデル養殖場の生残率は70%として計算したが,

他の韓国の養殖場の事例では,小規模養殖場の場合 78%,中規模72%,そして大規模72%であった。一 方日本の初期ヒラメ養殖においては,Table 2にみ

られるように平均65.6%であった。

  (2)増肉係数

 魚類養殖において増肉係数(growth rate)は餌料 の効率性を測定する尺度となり,成長係数とも呼ば れる。これは次の式で示される。

  g= F一: G =F÷ (W3十W2−Wi)

    g:増肉係数,G:増重量,

    F:餌料量,W、:開始時の総重量,

   W2:終了時の総重量,

   W3:蝿鮮魚総重量

 増肉係数は給餌量に対する養殖魚の純増重量の比 で,この係数が低ければ低いほど餌料効率が高いこ とになる。したがって増肉係数は養殖経営において 非常に重要な概念であるといえる。

 森実康男が行った日本の実験資料(『水産増殖』第 32巻3号,1984年)によると,11月から1,月まで の61日間に132.6gから244.3gまで成長したが,餌 料別の丁丁係数はイカナゴが2.78,アジが2.24,サ ンマが2.33,イワシが2.82,雑魚が3.37となってい る。韓国のモデル養殖場ではアジ生餌を与えたが,

養殖経験を基礎に骨肉係数を2.3と算定した。

  (3)販売単価

 養殖が順調に行われたとしても,市場価格が下落 すれば当該年度の経営成果は大きな衝撃を蒙ること になる。ヒラメの生産者価格はサイズと時期によっ て変動するが,特に1991年8月〜9月のヒラメ価格 はコレラ騒動のため価格が暴落し,ヒラメ養殖業界 に甚大な打撃を与えた。

 モデル経営体が,最近9ヶ.月間に出荷したヒラメ の販売価格を月別に示したのがTable 8である。

  (4)変動要因と養殖収支

 前途した餌料費,生残率,骨肉係数及び販売単価 の4つの主要要因の変動が養殖収支に及ぼす影響に ついて考えてみる。

 養殖収支における諸費用を,上記の4つの要因の 変動と関連して変動する費用と,それらに関連しな い費用とに区分することができる。餌料費,餌料保 管費,栄養剤費用,販売手数料などは4つの要因と 関連する費用であり,その他は関連のない費用であ る。各関連費用項目と売上高との関係は次の式によ

Table 8. Price of Japanese flounder by size and month

(Unit 1 1,000 won/kg)

     ,月

Tイズ別

90年

T月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 91年

P月 2.月

200g 8.0 8.0

300g 10.0 12.0 11.0 11.0

400g 12.0

500g 14.0 14.0 13.5

600g 14.0 14.5

700g 18.0 17.0 14.5 15.0

800g 19.5 18.5 18.0 18.0 17.5

9009 19.0 20.5 19.0 19.0 20.0 18.5 18.0

1.000g 22.0

資料:慶尚南道蔚州郡西生面所在モデル業体(1991.10調査).

(10)

って示すことができる。

  餌料ee・=V×9×(r×n)×P1   餌料保管費=V×g×(r×n)×p2   栄養剤費用=V×g×(r×n)×1÷60×P3   販売手数料=V×(r×n)×P4×s

  売上高=V×(r×n)×P4

   V:1尾当平均重量(650gと仮定)

   g:丁丁係数    r:生残率

   n:当初稚魚放養量(4万尾と仮定)

   P、:1kg当餌料単価    P2:1kg当餌料保管費    P3:1kg当栄養剤単価    P4二1kg当販売単価

   s:販売手数料率(売上高の2%)

ここでは総費用のうち上記した4つの要因の変動と 関連のない非関連費用を一応すべて固定費と仮定し,

餌料費,生残率,増肉係数,販売単価の4つの要因 の変動による総費用の変動と売上高との関係を分析 することにする。

 総費用は固定費と変動費の合計であり,変動費は 餌料費,餌料保管費,栄養剤費用及び販売手数料の

合計である。すでに以前TC=FC+VCであること を示したが,この関係を改めて示せば次のようにな

る。

  TC =FC 十 V ・g・r・n・ (Pi十 P2

     +P3÷60+s÷g ・ P4) ・・・・・・・・・・・・・・・…@

 売上高TRは次のようになる。

  TR= V ・ r ・ n   P4 ・一・一・・・… ・一・・・・・・… @

 こうしてみると餌料単価,餌料保管費,栄養剤単 価等の変動は売上高には影響を及ぼさず,変動費自 体にのみ影響を及ぼす。反面生残率と種苗罫引量の 変動はすべての変動費項目は勿論,売上高にも影響 を及ぼし,増肉係数の変動は種苗代と販売手数料を 除いたすべての変動費に影響を及ぼすことがわかる。

さらに販売単価の変動は販売手数料と売上高にのみ 影響を与える。したがってモデル養殖場において,

これらの4つの要因が変動した場合,損益分岐点と 純利益がどのように変化するかを要約してみると Table 9のようになる。

4.結   論

 ヒラメ養殖技術の全国的普及と経営の活況に比較 すれば,生産及び経営管理関係の統計資料は余りに

Table 9. Analysis of sensibility by 100/o−fluctuation of main factors

(Unit 1 1,000 won, O/o)

変動項目 変動内訳 固定費 変動費 売上高 BEP売上kg 純利益

飼 料価

10%増加

P0%減少

159,750

P59,750

78,428 i+4,2)

@72,149 i一4.2)

291,200 i0.0)

Q91,200 i0.0)

 13,466 i0.0)

@13,273 i一1.4)

 53,022 i一5.6)

@59,301 i+5.6)

生  残10%増加 P0%減少

159,750

P59,750

̲

81,817 i+10.0)

@67,759

i一10.0)

320,320 i+10.0)

Q62,080 i一10P)

13,466 i0.0)

P3,466 i0.0)

 77,753 i+38.4)

@34,571

i一38.4)

種投  入 苗量

10%増加 P0%減少

159,750

P59,750

82,817 i+10.0)

@67,759 i一10.0)

320,320 i+10.0)

Q62,080 i一10.0)

13,466 i0.0)

P3,466 i0.0)

 77,753 i+38.4)

@34,571 i二38.4)

増 肉 係10%増加 P0%減少

159,750

P59,750

79,034 i+5.0)

V1,542 i一5.0)

291,200 i0.0)

Q91,200 i0.0)

 13,704 i+!.8)

@13,236 i一1.7)

 52,416 i一6.7)

@59,908 i+6.7)

販 売 単10%増加 P0%減少

159,750

P59,750

 75,870 i+0,8)

@74,706

i一〇.8)

320,320 i+10.0)

Q62,080 i一10.0)

 11,894 i一11.7)

@15,517

i+15,2)

 87,700 i+50.8)

@27,624

i一50.8)

注:()内は増減率である。BEPは損益分岐点である。

(11)

も未熟であり,経営分析を客観的に行うための資料 の入手は困難であった。このような事情から,ここ では韓国のモデル養殖場を対象とするヒラメ養殖経 営の収益性分析及び経営分析の試行に留まらざるを えなかった。かくして,養殖経営規模1,000m2,水槽 数20ヶのヒラメ陸上水槽式養殖場の経営分析と収益 性分析を行った結果,次のような結論を得た。

 第1に,韓国の場合,養殖ヒラメの生産原価は,

1kgサイズの場合1尾当り12,594wonであり,その 原価構成は種苗代,餌料費などの直接材料費28.4%,

養殖従:事者の人件費及び給料などの直接労務費14.7%,

そして電気代と減価償却費などの養殖間接費56.9%で あることが分かった。

 第2に,1,000m2規模のヒラメ水槽式養殖業の推定 損益は291,200千won,総養殖原価229,214千won,

当期純利益50,546千wonであり,売上高利益率は 21.3%,純利益率は17.4%であった。

 第3に,現在の平均価格1kg当り16,000wonを 基準とした場合,ヒラメ損益分岐点の生産水準は

1,000m2養殖規模で年間生産量13,466kgと計算され た。しかし例えばヒラメ単価が10%下落した場合は 総生産量は15,566kgに,20%下落した場合には総生 産量は18,440kgに増加しなければならない。反面,

価格が16,000wonより10%上昇した場合には総生産 量は11,866kg,20%上昇した場合には10,605kgであ

っても損益分岐点を満足させうると考えられる。

 第4に,主要変動要因に対する敏感度分析の結果 によれば,①餌料価格の10%の変動は純損益に5.6%

の影響を及ぼし,②生残率の10%の変動は純損益に 38.4%という大きな影響を及ぼし,③種苗放下量10%

の変動は純損益に生残率とほぼ同程度の影響を及ぼ し,④増肉係数10%の変動は純損益に6.7%と餌料費 同等の影響を及ぼし,⑤販売単価10%の変動は損益

率を50.8%変動させるかなり大きい影響力をもって

いた。

 以上を要約すれば,ヒラメ水槽式養殖経営の成否 を左右する経営要因は,第1に出荷単価であり,そ の次が生残率と種苗放養量であることが分かる。要 するに,養殖技術の向上と市場対応努力とを如何に 積極的に発揮してゆくかにヒラメ養殖経営の成否が かかっているのである。かかる事実がヒラメ養殖経 営者たちの養殖技術向上のための共同の努力と,経 営管理に対する新たな認識の必要性を示している。

ヒラメ養殖業における経営管理の重要性が再認識さ れるべきである。

参 考 文 献

1)大島泰雄:浅海養殖,大成出版社,!986.

2)日本全国かん水養魚協会:要覧,1991.

3)大島嚢二:水産養殖業の地理学的研究,東京大   学出版会,1972.

4)長崎県漁業経営指導協会:長崎県の魚類養殖業,

  1991. 8.

5)長崎県魚類養殖研究会:長崎県における魚類養   殖の現状と対策,1990.9.

6)韓国農林水産部:農林水産統計年報,!985〜1991.

7)国立水産振興院:業務資料,指導課,1990.

8)韓国水産新報社:水産養殖,1989年10,月号,

  1991年11.月号.

9)日本栽培漁業協会:要覧,1989.

10)大阪市中央卸売市場:市場概要,1986.4.

11)朴鐘七:ヒラメ養殖経営の収益性分析,釜山水   産大学大学院,1992.

12)崔正欽:漁場利用管理と漁村指導方向,国立水   産振興院,漁村指導研究報告第4号,1991.

参照

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