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(1)

小型風車の設計製作とその出力特性

浅 野 芳 宏* 佐 藤 紳 二*

大 谷 賢 二*

(平成3年8月29日受付)

Design and Performance of Wind Turbine

Yoshihiro ASANO  Sinzi SATO     and Kenji OHTANI

(Received August 29,1991)

       Abstract

 There are many possible ways of changing the wind into useful energy. For instance, the wind turbines make the mechanical power from the wind, which can be used to drive electrical generators, to pump water or air, or to perform other useful work. The wind is a clean, inexhaustible source of energy, and though it is intermittent and relatively dilute in nature as compared to fossil and nuclear fuels, it can be changed into a huge, practically untapped energy resource.

 In this research, 1.4 meter horizontal axis wind turbine and O.75 meter vertical axis wind turbine were designed and made. The performance of these devices was tested. Also, the effects of the chord length and number of blades on the performance of vertical wind turbine were tested.

1.はじめに

 1973年の石油危機発生以来,国内外における各研究機関 により石油に替わるエネルギの研究が盛んに行われるよう になったが,現在に至っては石油価格も安定し石油エネル ギの枯渇に対する不安感も弱まってきた。しかし,石油を はじめとする化石エネルギは限りあるエネルギであるた め,石油に替わるエネルギの開発はますます重要になって

くるものと考えられる。これら石油に替わるエネルギとし ては,原子力エネルギ,太陽エネルギ,地熱エネルギ,風 力エネルギ等が挙げられるが,風車による場合,騒音,危 険性,定常的にエネルギが得られにくいなどの問題点があ るものの,エネルギ変換が容易で,有害物質を発生しない,

運転コストが安価であるなど数多くの利点がある。風車に は水平軸形と垂直軸形があるが,現在各国で行われている 大型プロジェクトでは大部分が発電に適した比較的高回転 形の水平軸形を用いている。一方,垂直軸形は風向に対す る追従性を必要としないこと,動力を外部に取り出し易い

ことなど水平門形にはみられない利点があり,近年徐々に 研究が盛んになりつつある。(1)(2)

 著者らは水平凹形・垂直軸形の両者について,試験的に それぞれ直径1.4m,0.75mの小型風車を設計・製作し,そ の出力特性試験を行った。さらに垂直軸形風車について翼 弦長,翼枚数が及ぼす性能への影響を実験的に調査した。

その結果を報告する。

2.風車の設計

 風車の設計にはブレードの空力設計などの流体力学的設 計,動力伝達部などの機械力学的設計,各部分の強度に関 する材料力学的設計が必要であるが,ここでは流体力学的 設計を中心に本研究で用いた風車の設計を説明する。

2−1.水平軸形風車の設計手順

* 機械工学科

 経験的に風車の実機を設計する場合には設置する地域に おける平均風速の1.5倍を最適設計風速VDとして設計を 進める。(3)また風車の効率をη,空気密度をρ,風車の受 風面積をAとすると,水平弓形風車の出力しと直径Dの関 係は次式で表される。(4)

一 109 一

(2)

L == 一ll−v pAv.3 == 一ll−v pfD2v.3

     8L D=   7r VpVD3

(1)

(2)

したがって,例えば津山で使用する場合,津山の年間平均 風速は2.3m/sである(5)から最:適設計風速VDは3.5m/sと

なり,風車系全体の効率η=0.18,出力L=20Wに見積れ ば風車の直径Dは(2)式より3mとなるが,実験面と製作面 の都合を考慮すればこのスケールでは困難と考えられる。

また,これまでの企業における風車の設計製作実施例をみ れば,かなり高めの風速を定格風速としている(6)。そこ でここでは,地域の平均風速特性から逸脱するが,これら のことを考慮して設計風速VDを5m/sとし,風車直径Dを 1.4mに決定した。

 翼弦長は図1に示したソリディティσと先端周速比μo の関係より求めた。ソリディティは風車の掃過面積と全翼 面積の比,先端周野比は翼端望月と風速との比で,それぞ れ(3),(4)式で定義されるものである。(7)Bは翼枚数,b は翼弦長,Rは風車半径,ωは翼先端周速度, Vは風速,

Nは風車回転数である。

Spring 74

Baユance Brake  Drum

s

Bb

Bas e

αっ。寸×窒

〈3)

Prony

brake

Support

  Boユt

Fig. 2 Schematic of prony−brake.

a = 2−R

   Rca 2 rr NR

pt o = 一j7一 = NyiotTV・ v

(4)

 ここで風車の回転数Nを大まかに400rpmと見積ると先 端周速比,pt o =: 5.86となり,図1よりソリディティσ=

0.024〜O.055となる。したがってソリディティにこの平均

1.0

b O.5   0.3   O.2p

喝。.1

〇 o.05

 O.03  0.02

O.01

  1 2  4 6 10 2り Tip speed ratio 」; e

Fig. 1 Solidity versus tip speed ratio.

Support

   Bar

Blqde Hub

aeari

qoしor ng

Spring aaユance

@ Prony−

@  brak6

.αつI寸×く謀

oo寸rs

Base oole

α⊃

m・m一

Fig. 3 Schematic of holizontal axis wind turbine

値σ=0,04を用い(3)式より翼弦長bを求めると88mmとな るので,ここではb=90mmに決定した。なお,翼枚数は バランスの取り易さを考慮して2枚とした。

 翼形には,NACAの層流翼形,クラークY,ゲッチン ゲン360などがあるが,面形は精度良く加工しなければそ の翼形本来の性能が得られないので腹面が平らで加工し易 いクラークYをバルサ材から削り出して用いた。

 翼に流入する気流の流速は風車に入ってくる風速と風車 の回転による翼の周速の合成速度となるが,水平軸風車で はブレードの各半径で周速が変わってくるため翼に流入す る気流流速が異なることになる。したがって各半径で最適 の迎角αを設定するためには翼全体にねじれを持たせるこ とが必要になる。しかしバルサ材から翼下を手で削り出し ながらねじれを持たせるのは困難であるため,ブレードを 3分割して各翼素のハブへの取付け角βに変化をつけるこ とでねじれの代用とすることにした。このハブへの取付け 角βはブレードを半径方向に無次元半径(一・翼半径位置/

(3)

風車半径)x=0.1〜1.0まで10等分し,各半径位置につ いて以下のような手順で求めた。まず迎角αをoo 一. 200ま で5。ずつ変化させながらそれぞれのαについて次式で定義 される無次元出力Kpを計算し,そのなかの最大値Kpm。、

を求める。ここでaは干渉係数,φは迎角αと取付け角β との和,εは翼が受ける合成力と揚力のなす角である。

       sin( di 一e)

       pt ox2

K, = 8a (1−a)

        cos ¢

(5)

これを取付け角β:=1。一200まで1。間隔で繰り返し,もとめ たKpm。。のうちさらにKpm。。が最大になるβを求める。こ のようにしてx=O.1〜1.0までO.1間隔でブレードの各半 径位置について取付け角βを求めたわけであるが,前述の

ようにブレードは3分割するので実際にはx・・=O.4と0.7の ところでのみβを変化させることになる。 そこでx=

0.4以下の部分のβはx=0.2と0.3での平均値を,x=0.4

〜0,7の部分のβはx=0.5と0.6での平均値を,x・=・O.7−

1,0の部分のβはx ==O.8と0.9での平均値を用いることに した。その結果x=0.4以下,0.4〜0,7,0,7−1.0の部分 の取付け角βはそれぞれ8.5。,3。5。,1.5。となったが,こ の数値ではx=0.25未満の部分で失速現象が発生するので 実際のブレード長さはx=O.25〜1.0とした。

 出力の取出しはU一塁軸に直接プローニブレーキを取付 けて行った。使用したプローニブレーキの概略を図2に,

水平軸形風車の概略を図3に示す。

2−2.垂直軸形風車の設計手順

 垂直軸形風車の場合受風面が水平軸形風車の円形と異な り長方形となるが,本研究では計算の簡略下のためロータ 直径と翼長を等しくして正方形とした。したがって,水平 美形風車の場合に適用された(2)式は垂直:弓形の場合次式 のように書き直される。

    2L

D ==   7PVD3

(6)

 これより,水平軸の場合と同様に風車系全体の効率η=

0.18,出力L−20Wと仮定すれば風車直径Dは1.2mとな る。本来ならばこの数値をそのまま風車直径とするべきと ころであるが,垂直軸形風車の場合にはロータを支えるフ レームが必要であるためフレームの寸法を!.2mとし,風 車直径(および翼長)はフレームとの干渉を考慮して

0.75エnとした。

 風車の翼枚数Bを決定するためには野間の相互干渉,回 転中のトルク変動,翼以外の部分に働く抗力などによる有 害トルクを考慮しなければならない。トルク変動の大きさ は翼枚数が多いほど小さくなるが3枚以上における減少は

わずかである。(8) したがって翼間の相互干渉,有害トル クの影響を考慮すれば翼枚数Bは3枚程度が妥当であると 考えられる。本研究では垂直軸形風車における翼枚数の影 響を検証するため,翼枚数Bに3枚のものと4枚のものの

2種類を用いた。

 ここで風車回転数Nを100rpmと見積って,先端周速比 を(4)式より求めるとPt o==1.57となり,水平軸形風車の場 合と同様図1からソリディティσ=0.17〜0.40と求められ る。ソリディティσにこの平均値0.285を用い翼枚数Bを 3枚として(3)式より翼弦長bを求めると224mmとなるが,

翼弦長の影響を調査するため翼弦長b=225mm,300mmの 2種類の翼を用いた。

 翼形はクラークYよりさらに性能の良い対称翼のNAC AOO12を用い水平弓形風車の場合と同様バルサ材から削り 出すものとした。

 翼の取付け角を決定するためには翼の迎角に対する揚力 および抗力特性,ならびに損失動力特性をあらかじめ知っ ておく必要があるが,垂直軸形風車の場合ロータの回転位 置により翼に流入してくる気流の角度が異なり数値計算処 理が必要となる。しかしこのようにして求めた結果も一般 にはそのまま使えるわけではなく実際の使用に合わせて修 正が必要とされる。(8) ここでは翼の取付け角を可変でき

る構造にし実際に予備試験をしながら取付け角を10。に決 定した。

 出力の取出しは水平賢聖風車で用いたものと同じプロー ニブレーキを使用したが,垂直軸形風車の場合には市販の 樹脂歯車を用いてロータ回転数を2倍に増速して行った。

 垂直軸形風車の概略を図4に示す。

ear■n 1200

φ750

Rotor

1

Bユade

oのトー oのト

Frame

i 1

i

Spring BalanceProay brake.      Large Gear S日aU Gear

Fig. 4 Schematic of vertical axis wind turbine.

一111一

(4)

3.実 験 方 法

 実験方法の概略を図5に示す。図は水平軸形風車の場合 を示したが,垂直二形風車の場合も全く同様にして実験を 行った。風源装置は図6に示すように産業用の扇風機8台

を架台に取り付けたものを使用した。風速は扇風機の強弱 モードの切り替えと風源装置からの距離を変えることで変 化させ,風速の測定はビラム風速計を用いて図6に示した 11点で扇風機の各モード,斜走装置からの各距離について

Optical  Tachometer Source

@ of Wind

@       lm_2m

     Wind

@     Turbine k〉         ,

Fig.5 Schematic of experi皿ental apParatus

行い,計算には!1点の平均値を用いた。風車系の出力は光 電式の回転計によって測定したロータ軸の回転数とプロー ニブレーキによって測定したトルクより求め,効率はこの 出力を風車の受風面に流入する気流の持つ運動エネルギで 除して求めた。したがって本実験における効率は流体力学 的損失から伝達部および出力取出し部の機械損失まで含ん だ風車系全体の効率である。

4.実験結果および解析

4−1.水平軸形風車の出力特性

50

iヨ︶﹂OO

1

Horizontal Axis

Vmtu6.42m/s

oo卜

一  一    一 曹  一   一

500  1 500 Fan

  識

4 1

頃へめ 78

旦1 5 10 2

のdめ

」2 5 3

8⑩

250 500 250

l         I

8σ︶

   Vm t6.06m/s

偏毅㍉

︵Ez︶ト

O.5

o

200 400

  Vrn=6.42nvs

Vm=6.08mrs

  Vm=4・78閉ノS  Vm= 4.22m/s

儒\

600 N(rpm)

Fig.6 Source of wind

30

i訳︶騰

20

10

200

Vm胃δ・67m/S

Vrn=3・41 rrvS

400 600 N(rpm)

o

Vmr4・22m/s   Vr腕=4・78叫β

asN, XTSt.x一.. V.T6.42.vs

       Vmi6・08m/s

200 400 600 N(rpm)

Fig. 7 Performances of horizontal axis wind turbine.

 図7に実験から得られた水平軸形風車の出力特性を示 す。定風速曲線上についてみれば,出力Lは低回転数領域

(5)

において回転数Nの増加とともに増加するが,ある回転数 でピークをとった後,高回転数領域では回転数の増加にと もない低下する。出力の無次元値である効率ηについても 同様の傾向を示す。トルクTは回転数の増加とともに低下 するが,その低下率は比較的低回転数の領域では緩やかで あり高回転数になるにしたがい急激な低下を示す。次に風 速Vによる変化についてみると,L, Tともに風速の増加 とともに増加するが,ηはV=4m/sまで風速の増加ととも に増加しV=4m/s前後でピークをとり,その後風速の増加 とともに低下する。これらの傾向は風車の基礎理論とよく 一致している(9)。また,図から本研究で設計製作した水 平二形風車は回転数N ・= 540rpmで出力最大値51Wをとる ことがわかる。

 図8に各風速における出力最大値Lm。.と風速Vの関係 を両対数目盛りでプロットしたものを示す。理論的には風 車で得られる出力は風車に流入する風速の3乗に比例す る。実験点は傾き3の直線によく乗っており理論との一致 を示した。

50

10

︵≧︶歪﹂

1

Hor;zontal Axis

L rrm=O.1 95Va

o o

Q 60

30

i訳ッ腎20

10

o

     o

Horizontal Axis

5 V(。ノ,) 10

t

Fig. 9 Change in maximum efficiency with wind speed

4−2 垂直軸形風車の出力特性

鉛︵≧︶﹂⑳

1.0

o

Vertical Axis b=2. 25mm B==3

Vm=6,4grrvs

5 v(,,vs) 10

Fig. 8 Change in maximum power with wind speed.

 図9に各風速における最高効率η_と風速Vの関係を 示す。効率は,低風速領域において風速の増加ξともに増 加し,V=3.8m/sで最高効率27%をとった後低下する。風 車の理論効率は60%足らずであり,伝達損失等により実機 の効率は大体40%前後になる。(lo)したがって,本実験で得

られた最高効率27%はまずまずの値といえる。

スリ       α︵Ez︶トα

O.1

薫ζ鰹1・.

      100

Vバ5・78幡 Vm=5.02nvs

N(rpm) 200

o

 Vm==6.49m/S

−N 一

︵試︶黛

5,0

o

蝋酪

A・.

       .       100

Vm =3.Bfuvs

Vm=3.76:Tvs

N(rpm) 200

Vm75・02rrvts;

      Vm禺5・78rnノ鴛 ts 一 x.

    t .X N v.=6. 4gm/s   .   .

100 N(rpm) 200 Fig.10 Performances of vertical axis wind turbine.

一113

(6)

 本研究では前述のように翼枚数,翼弦長にそれぞれ2種 類のものを用意し,垂直軸形風車における翼枚数Bおよび 翼弦長bの影響について調査したが,まず基本モデルとし て翼枚数3枚,翼弦長225mmの風車の特性試験を行った。

その結果を図10に示す。定風速曲線上については低回転数 領域において出力L,効率ηともに回転数Nの増加ととも

に増加し,ある回転数でピークをとった後低下する。トル クTは回転数の増加とともに低下するが,その低下率は比 較的回転数の低い領域では緩やかであり高回転数になるに

したがい急激な低下を示す。次に風速Vによる変化につい てみると,しとTはVの増加とともに増加することがわか る。一方,ηは比較的Vの小さい領域ではVの増加ととも に増加し,V=4m/s前後でピークをとった後, Vの増加と ともに低下する。これらの傾向は水平軸形風車で得られた 結果と全く同様で風車の基礎理論とよく一致している。

5.0

1.0

︵ヨ︶歪﹂

Vertica[ Axis b=225rrvn B=5

L ndO.Oogv S

o

e o

o

 次に翼枚数Bを4枚のものに変え,出力特性試験を行っ て翼枚数の影響を調査した. 各風速における出力最大値 Lm。xの比較および最高効率ηm。。の比較をそれぞれ図 11,図12に示す。図11をみれば翼枚数3枚の場合も4枚の 場合も実験値は傾き3の直線によく乗っており両者とも風 車の基礎理論との一致を示しているが,V3にかかる係数 は4枚の方が大きく出力特性が優れていることがわかる。

最高効率η皿。。についても翼枚数3枚の場合の3.9%に対し て,翼枚数4枚の場合5.6%と高い値を示す。風車が最高 効率を取る場合,理論上風車の前の風速と風車の後の風速 の比は1:1/3になる。(11)したがって翼枚数4枚の方が 効率特性が優れているのは,翼枚数3枚にくらべて風車の 前の風速と後の風速の比がより1:1/3に近づいたこと

によるものと考える。

︵訳︶謹

5.0

o

Vertical Axis

b=225mm B=3

5 V(./s) IO

O.1

 1

3.0

1.0

︵≧︶x提﹂

O.1

 1

Vertlcal Axis b=225..

B=4

L  mu−t.Ol 2W

o o

 1 − t t l

5v鯛1。

o

︵試︶6ξ

5.0

oe o

Vertical Axis b=225mm B=4

5 v(m/s) iO

Fig.11 Comparisons of change in maximum power with    wind speed.

   oT./,)lo

Fig。12 Comparisons ofσhange in maximuエn efficiency with    wind speed.・

 次に,以上の結果に基づき翼枚数Bはより優れた特性を 示した4枚で,翼弦長b =300mmの風車の特性試験を行い,

翼弦長の影響について調査した。翼枚数B=4,翼弦長b

=300mmの風車の各風速における出力最大値L_および 最高効率η_の風速Vによる変化をそれぞれ図13,図14

に示す。出力最大値Lm。。の実験値はこれまでの結果と同

(7)

様に傾き3の直線によく乗っており,理論との一致を示す。

しかしながらV3にかかる係数は翼枚数B ・・ 4,翼弦長b

=225mmの場合に較べて小さく,出力特性はわずかながら 劣っている。 最高効率ηm。。についても,b=225mmの V=4.2m/sにおける5.6%に対してb=300mmではV=

4.Om/sにおける5.2%とわずかに劣る結果となっている。

このことは翼枚数の影響の場合と同様に,風車の前の風速 と後の風速の比に関係しているものと考えられる。 すな わち翼弦長b=300mmとb=225mmをくらべた場合, b=

225mmの方が風車の前の風速と後の風速の比がより1:1

/3に近くなっているためb == 225mmの方が優iれた効率特 性を示すものと考える。 以上の垂直軸形風車の特性試験

の結果より,本実験では翼枚数B=4,翼弦長b=

3.0

1.0

︵ヌ︶至﹂

Vertical Axis b=30Cmrn B=4

しげα01V3

o o

o o

olo

t

5 vcrn/g> 10

225mmのものが最も性能が優れており,出力では風速V ==

6.49m/s時に最大値2.9Wをとり, V=4.2m/s付近で最高 効率5.6%を与える。

5.ま と め

 直径1.4mの水平軸形風車と直径0,75mの垂直軸形風車を 設計・製作し,両者の特性試験および垂直軸形風車におけ る翼枚数ならびに翼弦長の影響について調査し,以下の結 論を得た。

(1>本研究で設計・製作した水平軸形風車,垂直軸形風車  ともに風車の基礎理論と一致する運転特性を示し,水平  軸形風車で出力最大値51W,最高効率27%,垂直軸形風  車で出力最大値2.9W,最高効率5.6%を得た。

② 本研究で設計・製作した垂直軸形風車において,翼枚  数3枚のものと4枚のものを比較した場合,4枚のもの  の方が優れた特性を示す。これは翼枚数4枚の方が風車  の前と後の風速の比がより1:1/3に近くなっている  ことによるものと考えられる。

(3)本研究で設計製作した垂直軸形風車において,翼弦長  225mmのものと300mmのものを比較した場合,225mmの  ものの方が優れた特性を示す。これは翼枚数の場合と同 様,翼弦長225mmの方が風車の前と後の風速の比がより  1:1/3に近くなっていることによるものと考えられ

 る。

Oel

 1

Fig.13 Change in maximum power with wind speed.

 回報は昭和60年度から63年度までの津山工業高等専 門学校機械工学科の卒業研究の成果をまとめたものであ る。ここに明記し,当時流体実験室でこの研究を中心になっ て推進した卒業生諸君に謝意を表す。

参 考 文 献

︵訳︶建魯

5.0

o

o o

o

1

5 o

Veriical Axis b =300mm B=4

V(./s> 10 Fig.14 Change in maximu皿efficiency with wind speed,

(1>森永智昭他2名;機械学会論文集,

 49−443B(日召58−7), 1410−1419。

② 筒井康賢,松宮輝;機械学会論文集

 51−461B(H召60−1), 333−337。

(3)津曲辰一郎他2名;小形風車の実験と工作マ  ニュアル(昭56),33,オーム社。

(4)牛山泉,三野正洋;小型風車ハンドブック  (昭56),46,パーワー社。

(5)津曲辰一郎他2名;小形風車の実験と工作マニュアル  (昭56),31,オーム社。

(6)牛山泉,三野正洋;小型風車ハンドブック  (昭56),52,パーワー社。

(7)津曲辰一郎他2名;小形風車の実験と工作マニュアル  (昭56),52,オーム社。

一115一

(8)

(8)森永智昭他2名;機械学会論文集,

 49−443B(HB58−7), 14110

〔9)原田幸夫;流体機械,(昭61),153−154,

 朝倉書店。

㈲ 牛山泉,三野正洋;小型風車ハンドブック  (昭56),46,パーワー社。

ω 原田幸夫;流体機械,(昭61),153−154,

 朝倉書店。

Fig. 4 Schematic of vertical axis wind turbine.

参照

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