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大腸癌における

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(1)

大腸癌における desmoplastic reaction の多様性 が持つ臨床的・分子生物学的意義に関する研究

た だ

か ず

(外科系プライマリー・ケアー学専攻)

防衛医科大学校

令和2年度

(2)

目 次

第1章 緒言 1頁

第2章 肝転移巣におけるDRの臨床病理学的意義 3頁

第1節 背景と目的 3頁

第2節 対象と方法 4頁

第3節 結果 6頁

第4節 考察 7頁

第5節 小括 9頁

第3章 リンパ節転移巣におけるDRの臨床病理学的意義 10頁

第1節 背景と目的 10頁

第2節 対象と方法 11頁

第3節 結果 12頁

第4節 考察 13頁

第5節 小括 15頁

第4章 DRの形態学的多様性が癌悪性度に関与する分子生物学的機序の解明

16頁

第1節 背景と目的 16頁

(3)

第2節 対象と方法 17頁

第3節 結果 25頁

第4節 考察 29頁

第5節 小括 33頁

第5章 全体の考察 34頁

第6章 結論 36頁

謝辞 37頁

略語一覧 39頁

引用文献 41頁

図表 50頁

(4)

- 1 -

1 緒言

癌組織は癌細胞と癌間質から構成される。大腸癌では、簇出をはじめとする 腫瘍先進部の癌細胞の脱分化所見が腫瘍の生物学的悪性度をよく反映すること が知られている1)。一方、近年では癌細胞の周囲を取り巻く癌間質が腫瘍の浸 潤・転移に影響を及ぼしているとして注目を集めている2, 3)。癌間質には骨髄 由来の免疫細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、間質細胞間に介在する細胞外基

質(ECM, Extracellular matrix)などが活性化した状態で存在し、特異的な微小

環境を形成し線維化を生じさせる2, 3)。癌細胞が浸潤する際に線維芽細胞をは じめとする間質細胞が増生し、膠原線維が領域性をもって蓄積する状態を線維 性癌間質反応(DR, desmoplastic reaction)と称する4)。このDRの評価に関し て、これまで本邦における大腸癌取扱い規約では、線維成分の多寡を基準に髄 様型、中間型、硬性型の3つに分類する方法がとられてきた5)。しかしなが ら、大腸癌は、そのほとんどが中間型に分類されるため、この分類の臨床的価 値は乏しい。一方、Uenoらは、DRを腫瘍の発育先進部に特異的に出現する myxoidな間質およびkeloid-like collagenを基準としてimmatureintermediate

mature3群に分ける「DR分類」を考案し、ステージIIIII大腸癌における

DR分類別の5年無再発生存率(RFS, relapse-free survival)はimmature群で49- 51%intermediate群で72-78%mature群で85-87%と、予後予測因子として有 用であることを報告している6, 7)(図1。この分類は個々の大腸癌のDRを量 ではなく質を基準に評価する方法であり、主組織型、深達度、腫瘍最大径、脈 管侵襲といった従来の臨床病理学的因子を凌ぐ独立した予後予測因子である可 能性が示されている7)DR分類はHematoxylin-eosin (HE) 染色標本で診断可能 であり、診断の簡便性に優れるため、実臨床における新たな治療指標になるこ とが期待される。

(5)

- 2 -

DRは大腸癌の原発巣のみに認められる所見ではなく、大腸癌の転移好発部 位である肝臓やリンパ節等の転移巣においても認められる。しかしながら、転 移巣におけるDRと原発巣のDRとの関連性や、その臨床的意義については明 らかではない。さらに、DRの多様性の基となる分子生物学的背景は明確では なく、さらに癌の悪性度とどのような機序を介して関連しているかも明らかで はない。

DRの形成には、ECMの産生と分解が強く関与しており、癌関連線維芽細胞

CAFs, cancer-associated fibroblasts)がその中心的な役割を担っている2, 3) ECMの分解には、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP, matrix

metalloproteinase)遺伝子ファミリー分子が主役を演じており、またMMP遺伝

子ファミリーの兄弟遺伝子ファミリーに属するA disintegrin and

metalloproteinase (ADAM) 分子もECMおよび生理活性物質の代謝に重要な役割 を果たしている8-10)。しかし、これまでにDRの形態的変化とADAM分子との 関連については検討されていない。

そこで本研究では、原発巣-転移巣間のDRの類似性、転移巣DRの予後予 測指標としての意義を明らかにし、さらにDRの形態学的多様性が癌悪性度に 関与する分子生物学的機序の解明を目的とした。

(6)

- 3 -

2 肝転移巣におけるDRの臨床病理学的意義

1 背景と目的

大腸癌肝転移(CRLM, colorectal liver metastases)患者に対して最も効果が高 い治療法は肝切除である。しかし、CRLM患者の肝切除後の5年全生存率

OS, overall survival)は2240%であり、10OS2026%である11)。肝 切除を施行した患者のうち5070%に再発を認め、30%以上の患者が1年以内 に再発する12)。そのため、CRLM患者の肝切除後の再発リスクを正確に予測す ることは肝切除後のサーベイランスや補助療法の検討において非常に重要であ り、本邦では、予後因子として肝転移個数、最大腫瘍径、原発巣のリンパ節転 移の程度、肝外転移の有無といった病巣の解剖学的広がりを示す量的なパラメ ーターが用いられてきた13)。一方で、これまでに肝転移巣の増殖形態14)や線維 性被膜形成の有無15)、肝転移巣内に取り込まれた正常肝細胞集塊の程度16)とい った肝転移巣の組織学的所見に着目した質的なパラメーターの報告も散見され るが、未だ臨床応用には至っていない。

これまで肝切除後の治療成績の向上のために術後化学療法の実施が検討され てきた。現在まで2つのランダム化比較試験(FFCD09002試験,Hasegawa の試験)による有効性に関する報告があり17, 18)、いずれも、OSでは手術単独 と比べて有意差を認めないものの、RFSに関しては化学療法群が有意に良好で あった。これらの結果を受け、大腸癌治療ガイドラインでは肝転移治癒切除後 の術後補助化学療法を行うことが弱く推奨されている19)。しかし、術後補助化 学療法は、手術単独治療に比較してより毒性の高い治療であるため、有効な対 象群に絞って行うことが望まれるが、治療効果の予測法は確立されていない。

これまでに多施設症例の検討において、肝転移を有する大腸癌で原発巣の

(7)

- 4 -

DR分類が予後予測因子として有用との報告があり、CRLM患者の肝切除後の 5年無病生存期間はimmature群で8%intermediate群で25%mature群で35%

と報告されている20)

肝転巣においてもDRが認められるが、肝転移巣におけるDRDRliver)の臨 床病理学的意義は明らかでない。そこで本検討では、DRliverが予後不良なサブ グループを抽出する上で有用かどうかを明らかにし、肝転移を有する大腸癌の 再発リスク評価の一つになり得るかどうか検討することを目的とした。

2 対象と方法 1) 症例

1997年から2014年までの間、防衛医科大学校病院で大腸癌の肝転移に対し て肝切除を施行した大腸癌患者204例(同時性101例、異時性103例)を対象 とした。肝切除時にR0手術を施行し得た症例は193例であった。なお、204 例のうち44例は、原発巣の手術を他院で行っているなどの理由で原発巣の病 理学的評価を行えなかった。

2) 方法

DRliverの評価のために用いた病理標本は、実臨床における病理診断のために

作製された既存のHE染色標本を使用した。肝転移巣の全切片を観察し、

DRliverを既報の原発巣におけるDR分類の評価法に従い21)immature

intermediatemature 3群に分類した。すなわち、均一な両染性あるいは好塩

基性の細胞外基質が増量したmyxoidな間質が対物40倍視野全体を占めるもの

immature、基準を満たすmyxoidな間質が存在しない場合には、好酸性のヒ

アリン化した幅の広い断片状の膠原線維(keloid-like collagen)が存在するもの

(8)

- 5 -

intermediate、存在しないものをmatureと判定した(図2。多発肝転移を認 める場合、全ての転移巣のDRをそれぞれ判定し、最も成熟度の低いDRを当

該症例のDRliverとした。その他の臨床病理学的因子に関しては診療録、病理報

告書等を参照した。なお、DRliverの評価は、予後転帰を含むすべての臨床病理 学的情報を盲検化した状態で申請者(阿尾)が施行した。評価の再現性を検証 するため、無作為に抽出した50症例の肝転移巣の病理組織標本を申請者以外 の評価者(梶原講師)が独立して評価を行い、その評価者間の判定の一致度を κ係数により評価した。原発巣のDRDRprimary)についても既報の方法に従っ 21)、原発巣の全切片を観察し、immatureintermediatemature 3群に分類 した。

3) 統計学的手法

DRliverとその他の臨床病理学的因子との関連は、カイ二乗検定を用いて検討

し、母集団の数が少なく期待値が5未満となる場合にはFisherの直接確率検定 を用いて検討した。DRliverDRprimaryとの関係強度はスピアマン順位相関係数 を用いて検討した。スピアマン係数の解釈は、0||:相関なし、0|| 0.2:ほとんど相関なし、0.2||0.4:低い相関あり、0.4||0.7:相関あ り、0.7||1.0:高い相関あり、||1.0:完全な相関とした22)。κ係数に 基づく一致率の解釈は、< 0.0:一致度不良(poor0.01-0.20:わずかな一致

slight0.21-0.40:一応の一致(fair0.41-0.60:中等度の一致

moderate0.61-0.80:実質的な一致(substantial0.81 <:ほぼ完全な一致

almost perfect)とした23)。生存率について、OSでは全死亡を、肝切除時に R0手術を施行し得た症例におけるRFSでは再発および全死亡をイベントとし

Kaplan-Maier法で算出し、ログランク検定を用いて比較検討した。単変量解

(9)

- 6 -

析にて有意な相関を示した因子に関して、Cox's proportional hazard modelによる 多変量解析を行った。P < 0.05を有意とし、各統計計算はJMP® pro14.0

SAS Institute, Cary, NC, USA)を用いて行った。

3 結果

1DRliverの評価の内訳および評価者間の一致率

対象症例におけるDRliverの分類の内訳は、immature91例(44.6%) intermediate101例(49.5%)mature12例(5.9%)であった。判定の一致 度についてκ値を検討したところ、DRliverの評価に関するκ値は0.61であり、

実質的な一致(substantial)と評価された。

2DRliverDRprimaryとの関係強度、その他の臨床病理学的因子との関連

全症例におけるDRliverDRprimaryの一致率は51.9%(同時性肝転移:62.5%, 異時性肝転移:38.4%)であった(図3A

DRlivermatureである症例においてDRprimarymatureだった症例は27%と

低率であったが、DRliverintermediateおよびimmatureでは半数以上の症例で

DRprimaryと同一の判定であった(図3BDRliverDRprimaryとの関係強度につい

てスピアマン係数を検討したところ、スピアマン係数は0.3で低い相関を認

め、DRliverDRprimaryの特徴を保持していた(P < 0.0001

また、同時性肝転移の症例で、肝切除前に化学療法が実施されていない45 例において同様にDRliverDRprimaryの一致率を検討したところ、64.4%であっ た(スピアマン係数=0.40P = 0.0069(図3A

DRliverと関連を認めた臨床病理学的因子は、DRprimaryP = 0.0001)以外は、

肝切除前CEA値(P = 0.032)のみであった(表1

(10)

- 7 -

3DRliver分類別の予後

対象症例全体の5OS51.1%、5RFS26.2%であった。DRliver分類 別のOSおよびRFSに関する生存曲線を図4に示す。5OSは、immature 35.0%mature/intermediate群で64.8%であり、immature群で有意に予後不良 であった(P = 0.0012。同様に5RFSは、immature群で16.7%

mature/intermediate群で33.8%immature群で有意に予後不良であった(P = 0.0021(図4

4)肝切除後のOSおよびRFSに関するリスク因子

DRliverを含む臨床病理学的因子別のOSRFSを表2に示す。OSに関して、

単変量解析では、肝転移個数(P = 0.0019DRliverP = 0.0054、肝外転移有 無(P = 0.0018)がOSと有意な関連を示した。上記3因子に関してCox's proportional hazard modelによる多変量解析を実施したところ、肝転移個数5 以上(P = 0.0054DRliver immatureP = 0.0072、肝外転移あり(P = 0.0035 3因子がいずれも独立したリスク因子として選択された。一方、RFSに関し て、単変量解析では、原発巣の深達度(P = 0.013、リンパ節転移分類(P = 0.026、同時性/異時性(P = 0.0006DRliverP = 0.0069)が有意な関連を示 し、上記4因子に関して多変量解析を実施したところ、原発巣の深達度T3 深(P = 0.013DRliver immatureP = 0.021) 2因子が独立したリスク因子と して選択された(表2

4 考察

肝転移を有する大腸癌症例においてDRliverの評価による予後の層別化が可能

(11)

- 8 -

であった。DRliverimmatureの症例の予後は5OS35.0%5RFS

16.7%と極めて不良であった。

近年、癌細胞のみならず癌細胞の周囲を取り巻く癌間質も腫瘍の浸潤・転移 に影響を及ぼしているとして注目されている2, 3)DR分類は癌間質の形態学的 な分類方法であり、keloid-like collagenmyxoidな間質を基準に3つの群にDR を分類するものである。keloid-like collagenは、癌の増殖と治療抵抗性を促進す I型コラーゲンの過剰析出が特徴であり24)、形態的にはケロイドに観察され る線維に類似する25)myxoidな間質を有する腫瘍の特徴として、血管新生が 乏しく、ミスマッチ修復遺伝子欠失の頻度が少ないといった特徴があり、また fibronectintenascin-CなどのECMの過剰新生、CAFsの高密度な分布、免疫 細胞浸潤の減少を認めることから21, 25-27)myxoidな間質は腫瘍が自らの発育進 展に最も有利なECMの再構築に成功した形態と捉えることができる。

Dudaらは、転移の過程で、癌細胞のみならずCAFsを含む間質成分も一緒に 転移することを報告している28)。本研究では、原発巣および肝転移巣それぞれ DRを評価し、DRliverDRprimaryとの間に有意な関連があることが明らかと なった。これはDudaらの理論と矛盾のない結果である。しかし、DRliver

DRprimaryが一致しない症例も少なからず認められる。高橋らは、原発巣の主組

織型と転移リンパ節の主組織型との一致度を評価したところ、46.2%の症例で 組織型が一致するものの半数以上の症例で不一致であることを報告している

29)。今回、DRliverDRprimaryの一致率は51.9%であったが、DRが完全に一致し

ない理由として、多くの症例で肝切除術の前に原発巣切除が先行して行われ、

その後一定期間を経て肝切除が行われていることが要因の一つとして考えられ る。日常診療では、原発巣切除から肝切除術までの間に腫瘍縮小効果を狙って 化学療法が行われるケースが多く、化学療法が癌細胞の組織型および癌間質の

(12)

- 9 -

双方の形態に変化を及ぼす可能性が考えられる。肝切除前に化学療法が行われ ていない症例群ではDRliverDRprimaryの一致率が64.4%と比較的高い結果とな った。しかしながら、この症例群においても不一致の症例が35.6%に認められ た。keloid-like collagenmyxoidな間質は、CAFsを含むcell clusterと転移臓器 との間に相互作用が生じた結果、生成される構造物と考えられるが、その生成 までに一定時間を要する。すなわち、遠隔臓器での生着後の経過時間が原発巣 と遠隔臓器におけるDRの一致度に影響を及ぼしている可能性が考えられた。

本研究の限界として、単施設による検討のためサンプル数が少ないことが挙 げられる。また後向き研究のため、肝切除前および肝切除後の治療にばらつき が存在し、化学療法による結果への修飾が排除されていない。今回の症例群で は他施設で原発巣切除を行っている症例も多く含まれ、予後予測における

DRliverDRprimaryの有用性に関する比較は行えていない。また、本結果からは

肝切除後のDRliverの判定に応じた術後補助化学療法の選択が予後に上乗せ効果 を有するかどうかは不明であり、DRliverの臨床応用については、大多数の症例 を含む前向きの臨床試験により検証を行う必要があると考えられた。

5 小括

DRliverによりCRLM患者の肝切除後の予後の層別化が可能であった。今後、

肝転移切除後の治療選択基準として利用できる可能性が示唆された。

(13)

- 10 -

3 リンパ節転移巣におけるDRの臨床病理学的意義

1 背景と目的

2000年から2004年における大腸癌研究会の全国大腸癌登録によると、登録 された初発大腸癌25,617例のうち42.9%にリンパ節転移が認められている。そ の他の初発時転移臓器・部位の頻度は、肝(10.9%、腹膜(4.5%、肺

2.4%)であり、リンパ節は大腸癌転移の最好発部位である19)。大腸癌取扱い 規約(第8版)では、遠隔転移が存在せず、リンパ節転移が陽性の症例はステ ージIIIに該当し、病理学的に確認したリンパ節転移個数が3個以下(pN1)の 症例をステージIIIa、転移個数が4個以上(pN2)およびリンパ節転移個数に関 わらず主リンパ節または側方リンパ節に転移のある症例(pN3)をステージ IIIbに分類している30)。ステージIII症例全体の5OSは、結腸癌72%,直腸 63%であり、大腸癌研究会の2007年の全国大腸癌登録によるとステージIII 症例の治癒切除後の再発率は31.8%で、5OSはステージIIIa77.7%、ステ ージIIIb60.0%であった30, 31)。ステージIII症例は、これまで一律に術後補 助化学療法を実施すべきと考えられてきた集団であるが、この集団においても 予後の層別化が可能であれば、リスクに応じた術後補助療法の選択が可能と考 えられる。

本章第1節の肝転移と同様に、大腸癌では原発巣のみならずリンパ節転移巣 においてもDRが認められるが、リンパ節転移巣におけるDRDRLN)の臨床 病理学的意義は明らかではない。そこで本検討では、DRLNがステージIII症例 における予後不良な集団を抽出する上で有用かどうかを明らかにし、術後補助 療法等の治療の選択指標になり得るかどうか検討することを目的とした。

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- 11 -

2 対象と方法

1)症例

2005年から2012年の間、防衛医科大学校病院で根治切除術を施行された深 達度T3以深のステージIII大腸癌症例363例(ステージIIIa234例・ステー IIIb129例)を対象とした。

2)方法

通常診療における病理診断用に作製されたHE染色標本を使用して検討を行 った。すべての転移リンパ節を観察し、DRLNを本章第1節の検討と同様に既 報の方法に従い21)myxoid間質とkeloid-like collagenの有無を基準に

immatureintermediatemature3群に分類した(図5。複数の転移リンパ節 が存在する症例では、すべての転移リンパ節についてそれぞれDRを評価し、

最も成熟度の低いDRを当該症例のDRLNとした。その他の臨床病理学的因子 に関しては診療録、病理報告書等を参照した。なお、DRLNの評価は、予後転 帰を含むすべての臨床病理学的情報を盲検化した状態で申請者(阿尾)が施行 した。評価の再現性を検証するため、無作為に抽出した50症例のリンパ節転 移巣の病理標本を申請者以外の評価者(梶原講師)が独立して評価を行い、そ の評価者間の判定の一致度をκ係数により評価した。DRprimaryについても既報 の方法に従い21)、原発巣の全切片を観察しimmatureintermediatemature3 群に分類した。なお、リンパ節領域に存在する脈管侵襲や神経侵襲が主たる病 巣でない非連続性癌進展病巣(ND, tumor nodule)についてはリンパ節転移巣に 含めて評価した。

3)統計学的手法

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- 12 -

DRLNとその他の臨床病理学的因子との関連は、カイ二乗検定を用いて検討 し、母集団の数が少なく期待値が5未満となる場合にはFisherの直接確率検定 を用いて検討した。DRLNDRprimaryとの関係強度はスピアマン順位相関係数を 用いて検討した。スピアマン係数とκ係数に基づく一致率の解釈は前節と同様 に行った。生存率は、OSでは全死亡を、RFSでは再発および全死亡をイベン

トとしてKaplan-Maier法で算出し、ログランク検定を用いて比較検討した。単

変量解析にて有意な相関を示した因子に関して、Cox's proportional hazard model による多変量解析を行った。P < 0.05を有意とし、各統計計算はJMP® pro14.0SAS Institute, Cary, NC, USA)を用いて行った。

3 結果

1DRLNの評価の内訳および評価者間の一致率

対象症例におけるDRLNの分類の内訳は、immature148例(40.8%) intermediate106例(29.2%)mature109例(30.0%)であった。判定の再 現性についてκ値を検討したところ、DRLNの評価に関するκ値は0.83であ り、ほぼ完全な一致(almost perfect)と評価された。

2DRLNDRprimaryとの関係強度、その他の臨床病理学的因子との関連

全症例におけるDRLNDRprimaryとの一致率は59.2%であった(図6A DRLNはいずれの群においてもDRprimary6割前後の症例で一致していた(図

6BDRLNDRprimaryとの関係強度についてスピアマン係数を検討したとこ

ろ、スピアマン係数は0.43と相関を認めた(P < 0.0001DRLNと有意な関連 を認めた臨床病理学的因子は、年齢(P = 0.014、リンパ節転移分類(P <

0.0001、リンパ管侵襲(P = 0.039、静脈侵襲(P = 0.014、簇出(P =

(16)

- 13 -

0.0020NDP < 0.0001、転移リンパ節長径(P = 0.021、転移リンパ節短径

P = 0.0070)であった(表3

3DRLN分類別の予後

対象症例全体の5OS78.9%、5RFS60.7%であった。DRLN分類別 OSおよびRFSに関する生存曲線を図6に示す。5OSは、immature群で 76.1%mature/intermediate群で80.9%であり、両群間に有意差を認めなかった

P = 0.60。一方で、5RFSは、immature群で51.9%mature/intermediate 66.8%でありimmature群で有意に予後不良であった(P = 0.0066(図7

4)手術後のRFSに関するリスク因子

DRLNを含む臨床病理学的因子別のRFSを表4に示す。RFSに関して、単変 量解析では、腫瘍占居部位(P = 0.023、原発巣の深達度(P = 0.037、リンパ 節転移分類(P < 0.0001、静脈侵襲(P = 0.013、簇出(P = 0.0083DRprimary

P < 0.0001DRLNP = 0.020)が有意な相関を示し、上記7因子に関して多 変量解析を実施したところ、N2/N3P = 0.0002、静脈侵襲あり(P = 0.022

DRprimary immatureP = 0.0001)の3因子が独立したリスク因子として選択され

たが、DRLNは独立したリスク因子としては選択されなかった(表4

4 考察

ステージIII大腸癌症例においてDRLNによりRFSに関する予後の層別化が 可能であったが、DRLNは独立した予後因子ではなかった。

これまでに予後と関連があるリンパ節の組織学的所見として、転移陰性リン パ節における傍皮質過形成やリンパ濾胞の増生32)、リンパ洞へのマクロファー

(17)

- 14 -

ジの集積33)等が報告されてきた。しかし、リンパ節の線維化に着目したパラメ ーターの報告はない。

癌の転移は、癌細胞の原発巣での増殖、原発巣からの癌細胞の離脱と脈管

(血管やリンパ管)への浸潤、脈管内での移動、転移臓器の血管内皮への接 着、転移臓器への浸潤、転移臓器内での増殖などの過程から構成されており、

すべての過程が連続的に起こった結果生じる34, 35) 。また近年、癌細胞は単一 の細胞としてだけでなく、CAFsを纏いながらクラスターとなって移動するこ とが報告されている35-40) 。今回の検討において、DRprimaryDRLNとの関係強 度は、スピアマン係数0.43と有意な関連を認め、DRLNDRprimaryと類似して おり、上記のクラスター理論と矛盾のない結果と考えられた。

これまでに、原発巣と転移巣との間でhuman epidermal growth factor receptor 2 (HER2) 遺伝子や血管内皮増殖因子 (VEGF, Vascular Endothelial Growth Factor の発現に関連があるとの報告や41)、局所免疫を示す浸潤リンパ球数の度合いに 関連があるとの報告がある42)。今回の検討にて、DRに関しても原発巣とリン パ節転移巣との間で形態的に有意な関連が認められた。近年、癌微小環境が癌 化のみならず癌悪性化や治療抵抗性に寄与することが明らかになり3, 35, 43)、癌 細胞内の異常に加えて、微小環境の異常をどのように評価し、癌診断・治療に 役立てるかが重要な課題となってきている。本検討の結果からDRprimaryの評価 が転移巣の治療を行う上で有用な surrogate markerとなる可能性が示唆され た。

リンパ節転移を有するStage III大腸癌においては、再発抑制および生命予後 の改善を目的とした術後補助化学療法が推奨されている19)。術後補助化学療法 に用いられるレジメンとしては、tegafur-uracil (UFT) + calcium folinate (LV) capecitabine (Cape)tegafur gimeracil oteracil potassium (S-1)およびFluorouracil (5-

(18)

- 15 -

FU) + levofolinate calcium (l-LV)と、oxaliplatinを併用する FOLFOXCAPOX 挙げられる。本邦では比較的予後の良好なステージIIIa大腸癌(規約第8版)

では前者の経口薬主体のレジメンが用いられることが多く、ステージIIIb大腸 癌には後者のoxaliplatin併用レジメンが用いられることが多い。しかしなが ら、後者は、より一層の予後改善効果が期待できるものの有害事象も高率であ

り、oxaliplatinによる末梢神経障害が高頻度に出現し、投薬終了後も長期間神

経障害が継続することもしばしば経験される44, 45)。よって、その適応は慎重に なされるべきと考えられる。このような観点から、Stage III大腸癌症例におけ る再発リスクの絞り込みは、有害事象のリスク軽減から重要な課題である。本 検討ではリンパ節転移個数に加え、DRprimaryを考慮することで、さらなる再発 リスクの絞り込みを行える可能性が示唆された。

本研究の限界として、本章第1節と同様に、単施設かつ後方視的研究であ り、術後補助化学療法の内容にもばらつきがある。また、DRの所見を基に

oxaliplatin併用の比較的強力なレジメンを選択することで実際に予後の上乗せ

効果が得られるかどうかは定かではないため、DRによる治療選択の妥当性に ついては評価できない。よって、さらに大多数の症例を含む大規模な前向きの 臨床試験により検証する必要があると考えられた。

5 小括

ステージIII大腸癌において、原発巣におけるDRの形態学的特徴はリンパ節 転移巣においても再現されることが示された。リンパ節転移巣におけるDR 類により、原発巣のDR分類と同様に予後の層別化が可能であったが、予後分 別能は原発巣のDR分類の方が良好であった。

(19)

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4 DRの形態学的多様性が癌悪性度に関与する分子生物学的機序の解明

1 背景と目的

近年、癌間質は癌細胞の生存や増殖を育む微小環境として認識され、癌の悪 性進展に重要であるとの概念が定着している46-48)。癌間質の中心的な構成細胞 であるCAFsは癌組織内に存在する線維芽細胞として定義され、様々な種類の 前駆細胞(線維芽細胞・上皮細胞・血管内皮細胞・血管周皮細胞・星細胞・前 脂肪細胞・骨髄由来間葉系幹細胞など)から起源し、腫瘍増殖を促進するサイ トカイン、ケモカインを産生・分泌し、癌の進展に関与している43, 49-51)(図 8。非癌部正常組織の間質と比較し、癌間質ではECMの再編成が積極的に行 われ、I型・V型コラーゲン、tenascin-CfibronectinなどのECM分子の産生 と沈着が認められる52, 53)ECMの分解には、MMP遺伝子ファミリー分子が主 役を演じており、またMMP遺伝子の兄弟遺伝子にあたるADAM遺伝子ファミ リー分子もECMの分解に重要な役割を果たしている8-10)ADAM分子はディ スインテグリン(ヘビ毒から単離された血小板凝集阻害因子)とメタロプロテ アーゼ(Zn2を活性中心に持つプロテアーゼ)ドメインを有する膜貫通型タン パク質からなり、ECM分解の他に、細胞膜上の増殖因子・受容体・接着分子の シェディングやインテグリンなどへの結合により、癌細胞の接着・運動・増殖 に関与している9)(図9

我々は、これまでに原発巣の腫瘍先進部および転移巣におけるDRの形態的 特徴の差が大腸癌の予後をよく反映することを示してきたが、このような形態 的特徴の差が生じる背景として、CAFsを主体としたECM再編成時の分子制御 機構の差がDRの形態学的多様性に反映されている可能性が考えられる。

そこで本章では、CAFsから産生されるADAM分子に着目し、DRの形態的

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特徴の背後にある分子生物学的因子の同定を試みた。

2 対象と方法 1)対象症例

20173月から201812月の間、防衛医科大学校病院にて原発巣切除を施 行したpT3以深の大腸癌症例61例(結腸癌37例・直腸癌24例)を対象と し、細胞培養用および新鮮凍結標本用の検体をそれぞれ採取した。患者背景の 詳細を表5に示す。なお、術前加療を施行した症例は本研究から除外した。術 前にすべての検体採取候補となる患者に対し、防衛医科大学校倫理委員会から 承認を得た文書を使用して同意取得を行った。

2DR分類

対象の全症例について、通常の病理診断用に作成されたHE標本を用いて、

2章第1節と同様に、既報の評価法に従い21)、原発巣のDRを評価した。

3CAFs培養

摘出直後の大腸癌手術検体から癌部および非癌部の漿膜下層組織をそれぞれ 採取し、CAFsおよび非癌部線維芽細胞(NFs, non-cancer-associated fibroblasts を培養した(図10A。非癌部漿膜下層組織は切除検体の口側断端から採取し た。また、腫瘍のheterogeneityを考慮するため、1症例あたり3個の腫瘍検体 を採取した。

5 mm角の組織切片を癌部漿膜下層および非癌部漿膜下層からそれぞれ採 取し、10%ウシ胎児血清(FBS, fetal bovine serum)および抗生剤(100 IU/ml penicillin, 100 μg/mlstreptomycin)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s medium

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(DMEMTM) (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA) 培地上で37℃、5%CO2

の条件下で培養した。3回以上継代し、純度の高いCAFsあるいはNFsを抽出 し、それぞれ3-7継代したものを実験に使用した。

4) Total RNAの抽出およびcDNA合成

培養したCAFsまたはNFsISOGENTM (Nippon gene, Tokyo, Japan) を加えて ホモジナイズし、製品プロトコルに従ってtotal RNAの抽出を行った。単鎖 cDNAの合成は,抽出したtotal RNAを鋳型としてPrime Script RT-reagent KitTM (Takara Bio Inc., Shiga, Japan) を用いて行った。

5)リアルタイム定量的RT-PCR

cDNAを鋳型としてSYBR Premix Ex Taq IITMTakara Bio Inc., Shiga, Japan を用いて各種ADAMmRNA発現を半定量的に解析した。リアルタイムRT- PCRに用いたプライマー(Perfect Real Time Support SystemTM(Takara Bio Inc.,

Shiga, Japan)と反応条件は下記の通りである。

ADAM9 増幅産物サイズ 87 bp

Forward primer TGTGAGACTAAAGGATACGGAGGAA Reverse primer GACCAGAAGTCCGTCCCTCAA

ADAM10 増幅産物サイズ 90 bp

Forward primer GCCAGTTCTGATGGCAAAGATG Reverse primer AGACCCTGTACTGCCACAAGTTGA

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ADAM12 増幅産物サイズ 146 bp

Forward primer CACATGAGCTGGGCCACAA Reverse primer CCTGCTGCAACTGCTGAACAC

ADAM17 増幅産物サイズ 150 bp

Forward primer CTTGGATCTTGGCAAGTGTAAGGA Reverse primer GCATCGACATAGGGCACACAG

GAPDH 増幅産物サイズ 138 bp

Forward primer GCACCGTCAAGGCTGAGAAC Reverse primer TGGTGAAGACGCCAGTGGA

PCRプロトコル:

(初期変性) 95℃、30

(アニーリング・伸長) 95℃、05 60℃、30秒(40サイクル)

全ての反応は二重反復試験で施行し、平均値をもって結果とした。PCR反応 終了後、融解曲線分析にて増幅産物の特異性を確認した。mRNAの相対的発現 量の評価は内因性標準遺伝子であるglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase

GAPDH)により発現を補正し、Multiplate RQTM (Takara Bio Inc., Shiga, Japan) ソフトウェアを用いて⊿⊿Ct法にて行った。

6)イムノブロット法

培養したCAFsおよびNFsにそれぞれ2×sodium dodecyl sulfate (SDS) -sample

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buffer および還元剤を加え、Bioruptor® (BM Equipment Co., Ltd., Tokyo, Japan) で超音波処理し、12,000 rpm10分間遠心した後、100℃で10分間インキュベ ートした。試料中のタンパク質をSDS- polyacrylamide gel electrophoresis (PAGE) (12.5%アクリルアミドゲル) により分離しpolyvinylidene difluoride (PVDF) 膜に 転写した。PVDF膜をBlock-AceTM (DS Pharma Biomedical Co., Ltd., Osaka, Japan) 2時間室温で撹拌後、抗ADAM9抗体 (5 µg/mL, MAB939; R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)、抗ADAM17 抗体 (5 µg/mL, AB19027; Millipore

Corporation, Temecula, CA, USA)、抗proliferating cell nuclear antigen (PCNA) 抗体 (5 µg/mL, PC-10; Boster, Pleasanton, CA, USA) および GAPDH抗体(0.2 μ g/ml, ab125247; Abcam, Cambridge, MA, USA)とそれぞれ4℃で一晩インキュベ ートした。一次抗体と反応後、0.1%tween®-20を含むPBS (PBS-T) 10 間、3回洗浄後、horseradish peroxidase (HRP) 抗体 (DAKO, Glostrup, Denmark) と室温で2時間反応させた。免疫反応性のバンドは、ECL試薬 (Thermo Fisher Scientific Inc., Waltham, MA, USA) と反応させ、LAS4000TM (GE Healthcare Japan, Tokyo, Japan) により検出した。タンパク質の発現変化は、Image J

(https://imagej.nih.gov/ij/) を用いて解析した。

7)レーザーマイクロダイセクション(LMD, laser-microdissection

手術標本の摘出直後に切り出された癌部漿膜下層を含む一割面分の標本およ び非癌部正常組織をそれぞれTissue-Tek OCT Compound TM (Sakura, Tokyo, Japan) を用いて包埋し、液体窒素で急速凍結を施行した後、-80℃下にて保存した。

保存した標本から10μm厚の連続凍結切片を作成し、エタノール加5%酢酸で3 分間固定を行った。RNase free水で洗浄した後、hematoxylin30秒染色を行 い、切片を風乾した。LMD6000TMLeica Microsystems, Wetzlar, Germany)を用

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いてDR分類別に腫瘍先進部のDRおよび非癌部正常組織の漿膜下層を選択的 に採取した。

8)免疫組織化学染色

腫瘍先進部を含む代表割面のホルマリン固定パラフィン包埋標本から4μm の薄切を行った。脱パラフィン後、濃度勾配をつけたエタノールを用いて親水 処理を行ったのち、オートクレーブにて121℃、15分間の抗原賦活を施行し た。5%過酸化水素水に10分間浸透させ内因性ペルオキシダーゼの阻害を行っ たのち、スキムミルクにて非特異的反応を抑制した。

一次抗体反応として100倍希釈したgoat anti-human ADAM9 polyclonal antibody (AF939; R&D Systems, Minneapolis, MN, USA) を用いて4℃で一晩イン キュベートした。二次抗体はEnvisionTM + system anti-goat (DAKO Cytomation, Glostrup, Denmark) を使用し室温で2時間反応させたのち、0.1%

diaminobenzidine (DAB) 溶液で10分間の発色を施した後にhematoxylin2 間の核染色を加えた。

9)オルガノイド培養

摘出直後の手術標本から採取した癌組織を小切片に細分化し、氷冷したPBS で洗浄し夾雑物を取り除いたのち、LiberaseTM TH research grade (Roche Ltd., Basel, Switzerland) 10 µLを含むHanks' Balanced Salt solution (HBSS) (Life

Technologies Corporation, Carlsbad, CA, USA) 1 mL中で37℃ 2時間撹拌した。

溶液を回収しcell strainer (pluriStrainer®-Mini) (Funakoshi, Tokyo, Japan)で濾過し

たのち、4℃、300×g5分間遠心した。沈殿した細胞ペレットをPBSで洗浄

後、Corning® Matrigel® Growth Factor Reduced (Corning, NY, USA) で包理し、48

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cell culture plate30 µL Matrigel/wellずつ分注した。DMEM/F12TM (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA) 1mL当たり100 IU penicillin-100 μg

streptomycin-250 ng amphotericin B (Fujifilm Wako Pure Chemical, Osaka, Japan),10 mM HEPESTM (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA), 2 mM GlutaMAXTM (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA), 1×B27TM (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA), 10 nM gastrin (Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA), and 1 mM N-acetylcysteine (Fujifilm Wako Pure Chemical, Osaka, Japan) を混合し基礎培地を 作成したのち、ニッチファクターとして50 ng mouse recombinant EGF (Fujifilm Wako Pure Chemical, Osaka, Japan), 100 ng mouse recombinant Noggin (Fujifilm Wako Pure Chemical, Osaka, Japan), 50% Wint-3A conditioned medium (L-WRN) (ATCC, Manassas, VA, USA), 500 nM A83-01 (Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA), 10 µM SB202190 (Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA), 10 µM Y27632 (Fujifilm Wako Pure Chemical, Osaka, Japan) を添加した。作成した混合液を300 µL/well ずつ分注しオルガノイドを培養した。

10CAFsの培養上清を用いた大腸癌株化細胞の細胞増殖アッセイ 大腸癌株化細胞HCT-116American Type Culture CollectionATCC,

Manassas, VA, USA)から購入し、HT-29Riken BRC cell bank (Riken, Tsukuba,

Japan) から購入した。CAFsの培養上清と共培養したそれぞれの大腸癌株化細

胞の増殖能を、Bromodeoxyuridine (BrdU)Roche Molecular Biochemicals, Basel, Switzerland)によるCell Proliferation ELISA法を用いて以下の要領で測定した。

細胞周期の同調ならびに増殖停止を行ったのち、大腸癌株化細胞をCAFs たはNFsの培養上清と46時間共培養した。BrdU標識溶液(10 mol/L)を培地 に添加し、2時間後に除去後、抗BrdU抗体を添加した。BrdUの光学濃度

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450nm)を、iMarkTM microplate reader (Bio-Rad, Hercules, CA) を使用して測定 した。また、細胞増殖に対するADAM9発現抑制の影響を評価するために、

short hairpin RNA (shRNA) によりADAM9のノックダウンを行ったCAFsの培 養上清と大腸癌株化細胞を共培養し、上記と同様にBrdUによるCell

Proliferation ELISA法で検討した。

11shRNAによるADAM9のノックダウン

ADAM9 shRNAとして5種類のlentivirus vectorならびに非標的shRNA vector (mock) Sigma-Aldrichから購入した。予備実験として各lentivirus vector によ

ADAM9の発現抑制効果についてイムノブロット法を用いて検討したとこ

ろ、5種類中2種類のshRNAsh1およびsh2)に抑制効果を認めたため、その

後の実験に使用した。2種類のshRNAのコード配列は以下の通りであった。

sh1: 5’-CCGGCGAATGGATGATGTCTACAAACTCGAGTTTGTAGACATCATCCA TTCGTTTTTG-3’

sh2: 5’-CCGGGCCAGTATTATGATGCTCAATCTCGAGATTGAGCATCATAATACT GGCTTTTTG-3’

12) Venus融合タンパク質 (ffLuc-cp156) による蛍光標識大腸癌株化細胞の作

ADAM9の癌悪性度への影響を調べるために、ルシフェラーゼとVenus融合

タンパク質(ffLuc-cp156)を恒常的に発現する大腸癌株化細胞(HCT-116ffLuc-

cp156およびHT-29ffLuc-cp156)を以下の要領で作製した。

HCT-116およびHT-29lentivirus上清(ffLuc-cp156)を48時間共培養して 核酸導入を行ったのち継代を繰り返し、ffLuc-cp156陽性細胞(HCT-116ffLuc-cp156

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およびHT-29ffLuc-cp156)を、Cell Sorter SH800STM (SONY, Tokyo, Japan)を用いて 収集した。得られた細胞株の95%以上が緑色蛍光タンパク質(GFP, green

fluorescent protein)陽性であることを確認し、その後の実験に使用した。

13)マウスを用いた腫瘍異種移植による腫瘍増殖能および転移能の評価

大腸癌株化細胞(HCT-116またはHT-29: それぞれ1×106個)およびDR分類 別に採取したCAFs5×105個)を、BALB/cSlc-nu/nu マウス (male, 5–6週齢) (Japan SLC, Shizuoka, Japan) の背部皮下に注入し、腫瘍の長径と短径を1週間 ごとに計測してin vivoにおける腫瘍増殖能を評価した。腫瘍体積は下記計算式 を用いて算出した。

腫瘍体積(mm2= (長径)x (短径)2 ]÷2

さらに、転移能を評価するため、HCT-116ffLuc-cp156またはHT-29ffLuc-cp156

1×106個)とDR分類別に採取したCAFs5×105個)を混合したものを麻酔

下にBALB/cSlc-nu/nuマウスの盲腸漿膜下層に注入した。腫瘍の増大と転移に

ついてIn Vivo Imaging System (IVISTM)-100 camera systemXenogen Corporation,

Alamenda, CA, USA)を使用して1週間ごとに撮影し、生物発光画像法による

検討を行った。動物実験における全ての手順は、防衛医科大学校における実験 動物の管理と使用に関するガイドラインに従って実施した。

14)統計学的手法

独立した2群間の比較には、Student’s t検定またはWilcoxon符号順位和検定 を使用した。3つ以上のグループの比較は、Kruskal-Wallis検定を使用した。

Kruskal-Wallis検定にて有意差が示された場合にはSteel-Dwass検定を用いて多

重比較を行った。2群間の関連は、カイ二乗検定で検討し、母集団が少なく期

図 1 DR 分類と予後
図 4 DR liver 分類別の全生存率( OS )および無再発生存率( RFS )
図 7 DR LN 分類別の全生存率( OS )および 無再発生存率( RFS )
図 8 癌関連線維芽細胞( CAFs, cancer-associated fibroblasts )による癌悪性化機 構
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参照

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