自動車リサイクル法 正式名当使用済自動車の再資源化等に関する法律」以下、白リ法と略す。)が施行された のが、二○○五年一月一日。この法律による新しいシステムがスタートして、年度暦でも早や三年目に突入した。 そして一一○○七年四月一七日、財団法人自動車リサイクル促進センターは、二○○六年度(一一○○六年四月~一一○ ○七年三月)のシステム運用状況を公表し穂 はじめに 論説 自動車リサイクル法の施行状況について
’五年目の「見直し」にあたっての予備的考察
外川健一
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新しいシステムがスタートする際には、何らかの社会的摩擦が生じるのが世の常であるが、今回の白リ法による 新しいシステムに関しては、それをほとんど耳にしない。預託金の徴収や、ASR・フロン類・エァバッグ類の支 払いに関しても、何がしかの大きな問題が指摘されるケースはほとんど耳にしない。前者に関しては法施行後の累 計で約七、七九四万台、額にして七、五四一億円の預託が着実に進行したという。二○○七年八月末現在の自動車保 (2) 有台数は七九、五一一一二、○九○台であるので、ほぼすべての登録車でリサイクル料金の預託が済んだと考えてよい。 また、電子マニフェストによって、一応の処理・リサイクル工程の管理が可能になったので、新しいシステムに よって処理・リサイクルされた台数は、下一桁単位まで完壁にフォローできるようになった。その結果、新しいシ ステムによって引取られた処理台数は一一○○六年度の場合、対前年比一一七%である、三、五七一一一、一一一五台に達し た。メーカー等がその処理・リサイクルの責務を担っている、ASR・フロン類・エアバッグ類に関しても、それ ぞれの処理台数が、一一一、五八一一一、七七○(対前年比一一一一%)、一一、四六九、七九四(対前年比一一七%)、七一一三、一一 一一三(対前年比一五七%)と着実に増加しているという。 このような事実を背景に、経済産業省をはじめとする政府筋は「おおむね順調」にシステムは推移していると胸 (3) をはっている。順調にスタートできた北円景には、幸運な要因が重なっている。第一は世界的に観察される素材市況 の高騰である。このためリサイクル製品に対する需要が急増し、処理・リサイクルの停滞という法施行当初の懸念 が一時的ではあるにしる払拭された。さらに日本のリーディング企業であるトヨタ、ホンダ、日産をはじめとする 世界に冠たる自動車メーカー各社が、あるときは協力し、あるときは切瑳琢磨しながら、この極めて大きな社会シ ステムを動かすための資金・人材を投資することができ蕊もしも中国を中心とする国四・m諸国が牽引している現 在の景気が失速し、その影響で自動車メーカーが経営に行き詰まりを生じるような事態であったとすれば、このシ
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一一○○六年二一月に政府審議会で報告された、「家電リサイクル制度等の見直しに当たっての検討課題(案)」 (以下「家リ法見直し資料」と略す。)では、家リ法の見直しにあたって考慮すべき検討課題として「見えないフロー の把握」と相互的な対策の実施がその中心に掲げられ麓家リ法でリサイクルの対象となっている廃家電製品四品 目(ブラウン管テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、エアコン)の場合、それらが廃家電となった際には、家リ法で 定めたリサイクル施設にはそれらの半数程度しか運ばれずに、消費者の手元を離れた後の行方がわからない「見え ないフロー」が多く存在するという指摘が、多くの関係者から投げかけられたのである。当初の予想発生台数の計 算方法が間違っていたのではないかという指摘も無視できないが、やはり考慮すべきは、新しいリサイクル法に基 づいた制度にのらない使用済家電の「見えないフロー」が、相当な割合に上っているのではないかというという懸 念である。以下の文章は、「家リ法見直し資料」からの抜粋である。 ステムがこれほど順調に立ち上がったのか、疑問符がつく。 (5) ところで白リ法による新しいシステムは五年後に見直すことが規定されており、本格施行後約一二年を経たこのシ ステムも、来年(一一○○九年)・再来年(二○一○年)にはその議論が本格化きれるはずである。そこで一九九八 年に成立し、二○○一年四月から本格施行ざれ昨年度に見直しの議論がされた「家電リサイクル法 (正式名昌特 定家庭用機器再商品化法」以下、家リ法と略す。)の見直しの議論と比較しながら、「おおむね順調 とされている 日本の自動車リサイクル制度について、検討したい。
111、「見えないフロー」の問題
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論 説
⑨消費者等に対する普及啓発 ⑥再商品化率の在り方 ⑦効率的な収集運搬システムの整備 ③離島における収集運搬に係る費用軽減 ⑤対象品目の在り方 ④リサイクル料金の在り方 ③3Rの推進 ①不法投棄の対策の強化 ②環境配慮設計の推進 この「見えないフロー」の中には、不法投棄され、大きな社会経済上の問題となっているものを始め、近年の資 源価格の高騰を背景に、中古品輸出と偽装した実質的な廃棄物が不適正に輸出されたり、国内でフロン回収等を行 わずに分解、破砕きれるなど不適正に処理され、環境に悪影響を及ぼしているものが存在する可能性があるのでは ないか。このような「見えないフロー」の全体像を把握することは困難だが、その実態を可能な限り把握しつつ、 課題を明らかにした上で、適正に特定家電機器のリサイクルが行われるような総合的な対策を講じることが必要で はないか。
この問題意識の下、「家リ法」の見直しに当たっては、以下の一○項目を中心に議論が進められている。
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