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粒子堆積を伴う繊維層フィルターの集塵性能

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Academic year: 2021

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(1)

粒子堆積を伴う繊維層フィルターの集塵性能

著者 平木 外二

雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査

結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科

号 平成2年6月

ページ 81‑86

発行年 1990‑02‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/33158

(2)

氏 名 平 木 外 二

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目 論 文 審 査 委 員

学術博士 学博甲第24号 平成2年3月25日

博士課程修了(学位規則第5条第 項)

粒子堆横を伴う繊維層フィルターの集塵性能 ( 主 査 ) 平 井 英 二

( 副 査 ) 金 岡 千 嘉 男 ( 副 査 ) 江 見 準 ( 幅 査 ) 岡 島 厚 ( 副 査 ) 森 茂

学 位 論 文 要 旨

Fibrousairfilteriswidelyusedtopurifythelocalenvironmentsinceitis capableofremovingfineparticlesathighefficiencybutatlowpressuredrop.

Thefilterperformanceisseverelyaffectedbyparticlesaccumulatedonfibers inthefilterasaresultoffiltrationprocess.However,theeffectsofthe accumulationonfilterperformancehavenotbeenwellunderstoodbecauseof randomnatureofparticlecollection.

Inthisstudy,depositionpatternofparticlesonasinglefiberatvarious filtrationconditionswasfirstobservedandgeneralfeatureofthepatternwas

relatedtothecollectionmechanism.

Then,thegrowingprocessofparticleaccumulationsonafiberwassimulated usingMonteCarlotechniqueonthebasisoftheobservationresults,Fromthis simulation,thecollectioneffiencyandthedragfOrcefOrasinglefiberwas estimatedadoptingfractalanalysis.

Theseresultswerecomparedwithexperimentalvaluesfrommodelfibrous filtersandwerefoundtopredictfairlywellcharacteristicforthebehaviorof thesinglefiber.

Inconclusion,basedonthesinglefiberpeculiarity,therelationbetweenfilter

performanceandthatstructurewasinvestigated.

(3)

本研究で対象とした繊維層フィルターは,最近特にクリーンルームのように厳しい空 気清浄度力ざ必要となる所の除塵装置として注目されている。このフィルターは本体内部 で粉塵粒子を捕集することから,含塵ガスを処理するにつれ,内部に粉塵が堆積する。

その影響でフィルター性能は炉過時間の経過とともに刻々と変化するが,この現象は複 雑でしかもランダム性を含んでいるせいか,初期のフィルター性能がよく調べられてい

るのに比べ,性能の経時変化に関しては十分に把握されていない。

そこで,本論文はランダム性を含む炉過現象を,モンテカルロ法による計算機シミュ レーションやフラクタル幾何学などを駆使して解析し,粒子堆種を伴うフィルター性能 の把握に努め,その結果としてフィルターの長寿命化について検討した。

まず最初に,フィルター性能変化の源となる堆積物の観察を行った。この際,繊維層 フィルターの空隙率は通常95%以上であり,隣接する繊維との間隔は繊維径の2,3倍以 上となっていることから,堆積物の観察は一本の繊維に粒子を堆積させて行った。堆積 させる条件は,粒子自身のもつ慣性やブラウン拡散などの機械的な機構によるものと静 電気的に捕集する二つとし,走査型電子顕微鏡の観察下で撮影した写真から堆積物の特 徴を捉えた。この観察から,粒子を機械的に捕集すると堆積物は時間と共に大きくなる

ものの,その輪郭形状は初期の捕集機構で特徴づけられ,図1で示すようにパターン化 されることが明かとなった。また,静電気的に捕集した場合には機械的な時と全く様相 が異なり粒子は数珠つなぎに付着

P 挫 奪 畠 員 . へ 会 b ‐ し 生 ク ー ク 冬 4 坐 エ 塞 鑑 。 ‐Pe画一

Sik毒O

P e 。 O g j J , g X S 1 k = ‑

し,堆積量の多いときには堆積物 全体として網目状の構造をとるこ

と が わ か っ た 。 こ れ ら の 結 果 の霧 一

で,粒子慣性支配で堆積するとき は繊維表面の付着確率から,また 静電気的に捕集するときは各種静 電気力の大きさの比較からそれぞ

れ 形 状 の 特 徴 を 説 明 で き , 特 に 後 図 1 イ

れ 形 状 の 特 徴 を 説 明 で き , 特 に 後 図 1 捕 集 機 構 に よ る 堆 積 形 状 の 変 化 者では大勾配電界中で誘電体に作 (粒子は図上部から流入)

用する数珠玉形成力が堆積物構造の鍵を握っているとの知見を得た。

次に,モンテカルロ法を用いた粒子堆積過程の計算機シミュレーションを行い,観察 実験による結果と比較するとともに,その結果を用いてより詳細な堆積物の構造解析を 行った。

シミュレーションにあたっては,粒子のブラウン運動が活発な条件,慣性力が働く条 件,及び静電気力が働く条件で個別のアルゴリズムをたて,それぞれの条件に於ける粒 子運動ができるだけ正確に更現されるよう工夫した。その結果,堆積量の少ないときは,

ほぼ全ての条件で実験結果の傾向と一致をみたが,堆積量が多くなると堆積粒子による 流れの変化を無視しているため何れの条件でも粒子の流入方向に向かって成長してしま い,観察とは異なる結果となった。そこで,ブラウン運動が活発な時と粒子慣性が働く 条件のシミュレーションで,粒子が一旦付着したのち堆積物粒子の表面上を移動させ,

これが流れの変化に対応するものとして計算したところ,両者の条件でほぼ実験結果の

(4)

傾向を表現することができた。また,静電気力ざ作用するシミュレーションでは堆積物粒 子近傍の大勾配電界が粒子径の2倍程度の半球領域で粒子運動に寄与するとして計算す ると,実験結果のような数珠状の傾向が現れ,きわめて小さな領域の運動が堆積構造に 影響することがわかった。

ここで,これらのシミュレーションから得られた堆積物で粒子充填率αp,配位数Nc, 表面または輪郭線のフラクタル次元Ds,DL,及び(1),(2)式で定義した幾何学比Gs,GL

を算出した。

1/Ds

G s = 1 粗 視 化 表 面 積 )

1/3

(粗視化体積)

1/DL

G L = 1 粗 視 化 輪 郭 線 )

1/3

(粗視化表面積)

( 1 ) ( 2 )

粒子充填率αpは高々20〜30%程度で,通常の粒子充填層から比べてかなり低い値とな った。また,配位数と粒子充填率の関係を調べてみると,粒子充填層から得られる関係 にそう結果であることがわかった。

堆積物表面のフラクタル次元Dsは,平滑面の次元2から出発して堆積量Vcとともに 増加する傾向を示したが,粒子を捕集する条件にはほとんど依存せず(3)式でほぼ表現さ れる結果となった。

D s = 1 . 2 V c ' ' 2 + 2 ( 3 )

流れに垂直な平面へ投影した堆積物の輪郭線では,次元DLは滑らかな線の1から次第に大 きくなり,しかも捕集条件により異なる値となった。DsとDLの差を求めると,DLが捕集 条件に依存するため多少変動するものの,何れの条件においてもほぼ1近辺の値をとっ た。また,幾何学比Gsは堆積量とともに単調に減少し,捕集効率の高い条件程減少速度 は速くなる結果となりほぼ(4)式で表わされた。次元と同様に流れに垂直な面への投影図

Gs=1.92‑aGVc''2(aG:const.)(4)

で(2)式のGLを計算しGs,GLの相関をとると,Gs/GLは堆横量とともに増加し,その傾向 は拡散域の堆積物で特に顕著となった。

以上の粒子堆種過程のシミュレーション及び堆積物の構造解析から単一繊維上で生ず る現象をほぼ定量的に把握することが可能となったので,これらを基に単一繊維の集塵 性能を調べてみた。

単一繊維捕集効率〃mはシミュレーションの実行中に堆種個数と繊維投影断面内で発生 した粒子個数を計数して求めることができる。〃mの粒子堆積量Vcに対する変化を調べる と,初期効率"oを用いて(5)式のようなVcの一次式でほぼ近似でき,各捕集条件におけ る比例定数4の値は図2,3中の実線で示すようになった。

" m / W o = 1 + 4 ・ V c ( 5 )

単一繊維の流体抗力Fmは,堆積物表面のフラクタル次元Ds,幾何学比Gs,現象の尺度r 及び初期抗力Foを用いて(6)式で表される。

{ ' r / 4 ( 1 + V c ) } D I 3

S D

里印

一一

脇一日

( r / d f ) 2 ‑ D s ( 6 )

(5)

なお,CD'は尺度rにおける堆積物表面での抵抗係数である。尺度rを仮定して抗力比 を計算すると図4で示すように増加し,また尺度rを小さくすると同図よりも増加速度 が速くなる結果が得られた。

単一繊維集塵性能の実験的な評価は,図5のモデルフィルターを数十枚重ねたものの 炉過実験から行った。本実験から得られた(5)式の4は図2,3中の丸プロットであり,

絶対値は一致していないものの,捕集機構の目安となるパラメーター(Pe数,R数)に対 する傾向は,実験とシミュレーションの間で一致した。また,実測した輪郭線のフラク

タル次元DLと幾何学比GLは図6,7となり,シミュレーションから求めた同図破線と傾 向力爵類似した結果となった。従って,現象の尺度rを一定と仮定して本条件の抗力比を 予測するとほぼ図4(u=50cm/s)のように変化するが,実測した抗力比は図8(Stk=

0.12)のように堆積量と共に加速的に増加した。すなわち,尺度rは堆積量と共に変化 しStk=0.12の条件では,粒径の半分程度の尺度から次第に小さくなって行くと推測さ れる。なお流体抗力については,このように(6)からフラクタル的に堆積物表面の流体淀 みを考慮した解析の他に,表面の流体淀みなどの影響を抵抗係数に含め、(7)式で抗力比 を考えてみた。

FmCDmdfm

( 7 ) F o C D o d !

なおdim/d!はきわめて小さい尺度rのときの繊維径比に相当する。実験から求まる繊維 径比と抗力比から(7)式の抵抗係数比を算出すると図9となり,データはばらついている

ものの,その相関線は比較的単調に増加することがわかった。

1 0 4

S↑kpO

I O 3

52 Z

﹇l︺ぐ

I 0 s

1 ぴ I O 2

I o 3 2 5 . , o 4 3

P e [ ‑ ]

図 2 拡 散 効 果 の 4 へ の 影 響

0 0 . 0 4 0 . O 8 R E ‑ ]

さえぎり効果の4への影響 図 3

5

﹇I︺唾ぺぜ

$↑eeIfrQme

I

0 0 . 0 1 Q O 2 。 、 1 0 . 2

Vc[3

抗 力 比 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果

fIber

図 5 モ デ ル フ ィ ル タ ー 図 4

mmおいり︑24c

L2J

.●叩

●0 ddu

(6)

O p 2 5

1.6 2.0

Z , . s

42

﹇I︺Jロ J①

1.0

1.0 Q 6

O p 1 0 . 0 2 0 . 1 0 2 0 . 2 5

V c [ ‑ ] GLの堆積量に対する変化

Q 0 1 0 . 0 2 0 . 1 0 2 Q 2 5 0

V c [ = ]

輪郭線のフラクタル次元

0

7︐

2 6 図z

﹇l︺◎︒︿︺︑E○○

図 6

Z O /◎

︒/o

O/

80 22 00 ■● 0O ■連 Ra

0 4

﹇I︺西\医

駄壁表 0.51 1.0

1.0

0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 3 5 0 0 . 1 0 . 2 0 . 3 0 . 3 5

V c [ ‑ ] V c [ J 図 8 抗 力 比 の 実 測 値 図 9 C D m の 堆 積 量 に 対 す る 変 化 最後に,以上の単一性能に関する結果を基に繊維層フィルターの長寿命化について検 討した。寿命を延ばすにはフィルターの入口ほど繊維充填率を低くするか,あるいは繊 維径を太くすることが感覚的に予想され,ここでは先の単一性能からこれらの構造を持 つフィルターの捕集効率,圧力損失,フィルター内堆積量分布などを推算した。その結 果,フィルター構造の変化のさせ方による違いは現れなかったが,勾配をつけたフィル ターでは圧力損失の増加が遅く,堆積量もフィルター全体に均一分布する形に近づい た。またモデルフィルターで勾配をつけたフィルターを作成しその炉過実験を行ったと ころ,堆積量のピークはフィルター出口へ移動し,実験からもこの方式で長寿命化が図 られることを検証した。

論文審査の結果の要旨

平成2年2月2日第1回論文審査委員会を開催し,審査委員長の選出と審査方法を 協議。その後2月2日,3日に第2回,3回委員会を開催,面接審査を行い,さらに2

月15日に行われた口頭発表の後に開催した第4回審査委員会で以下のように判定した。

本論文は局所空間の浄化の目的で用いられる繊維層フィルターの集塵性能の時間的変 化を扱ったものであり,以下の成果を得ている。

1.実験的には,1本の繊維上への粒子の堆積成長過程を各捕集機構の場合について詳 細に観察するとともに,繊維が規則的に配列したモデルフィルターによる捕集実験に より,捕集効率,圧力損失の時間的変化を捕集機構と相関している。その結果,単一

ロ■

■ 0

U ■

◎S↑k雷0.12.

△S↑kロ0.22

●Pep2400

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1 0

.S1k画Q632

〃 ■Pep22000 ︒△ Q︾Q︾ →→

LKLK碑

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12 22

■ ■

(7)

繊維捕集効率は捕集機構によらず,堆積粒子量の一次関数として近似でき,その比例 定数である効率上昇因子が捕集効率の関数として与えれることを明らかにしている。

2.理論的には,1本の繊維への粒子の捕集,堆積成長過程モンテカルロシミュレーシ ョンし,それを基に粒子堆積形状・捕集効率を実験結果と比較し,よい一致を見てい る。さらに,堆積物構造のフラクタル解析を行い,堆積形状・捕集機構とフラクタル 次元の関係を明らかにするとともに,その流体抗力に及ぼす影響を検討している。

3.最後に,単一繊維について得られた知見をもとに繊維層フィルターの長寿命化につ いて,理論的に予測するとともに,実験により検証しよい一致を見ている。

以上のように,本研究は1本の繊維の堆積形状,効率,抵抗係数などを理論,実験的

に詳細に検討し,粉塵負荷を伴う繊維層フィルターの集塵性能を明らかにしており,学

術博士に値すると判定する。

参照

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