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富山市及び周辺地区の蚊に関すろ研究

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45

富山市及び周辺地区の蚊に関すろ研究

第1報 昭和27年夏季に就ける蚊の登生歌野 並に動物嗜好性について

金沢大学医学部細菌学教室(主任 谷教授)

專攻生 野  村  幸

      } rtt kio Nomi a      (昭和27年12月4受附)

第1章緒

 蚊は1古くよリマラリア原虫,ブイラリア虫干 の媒介者として近年は日本脳炎,ヂング熱の病 毒の媒介者として,衛生学上重要な昆虫の一種 であるため,内外の学者により各方面から研究 されて居るが,その研究の一分野として各地方 の蚊の癸生歌況,分布欺況と,マラリア,日本 脳炎との関係1こ就ての研究も各地IZZ於て行われ て居る.

 北陸地方に於ても,金沢大学細菌学教室谷敏 授の指導のもとに,輻井地方は木水氏により,

金沢:地方は沼田氏により,着々調査研究され発 表されて居る.しかるに富山県は日本脳炎多発 地の一つに挙げられ,叉マラリアの残存する地 方の一つに数えられて居るに拘らす,富山県下 の蚊の発生歌況の研究が未だ行われて居らない 事を遺憾とし,富山市及び周辺地区の蚊の発生 欺況,之とマラリア及び日本脳炎の発病との関 係を調査研究する目的を以て,この研究を開始

し,聯か知見を得たので報告する.

第2章研究方法

 富山市及び周辺地区を田園地帯,商店街,右舷,佳 宅街,山間地帯,海岸地帯,淑地携,の7地区に分類

した.田園地帯には紳明,堀川地区を,商店街には総 曲輪通り,中央通り煎びに西町電車通りの繁華街を,

台地には呉朋山一帯を選んだ.佳宅街には五福富山大 学敢育学部周辺より国立富山病院周囲を,海岸地帯に は岩瀬町の海岸に面した地区を,淑地帯には富山駅北 部牛島地帯を,山間地帯には郡部に於ける金山村を選

んだ.

 蚊は:昭和27年5月1日より毎5日毎に探晒し,同年 9月28日迄に計31回採集した。

 その実施方法は各地区に於ける採集者を指定し,毎 採集日毎に日浸30分して,人家に侵入して來る蚊を吸 虫管を用いて2時間取り,翌朝エーテルにて殺虫し,

各種属雌雄及び吸血の有無をしらべた.

 次に動物舎に於ける採集は,小杉高等学校の畜舎に て施行した.即ち牛,馬,豚,鶏,山羊,緬羊,家兎

,及び犬の畜舎にて前述の方法により,5月1日より 9月28日まで毎5日毎に計31回採集した.当高等学梗 は田園に存在し、幅1米の溜水を持つ溝が1棟の畜舎 を1周しその長さ約500米である.

 幼虫の探集は7月1日よりより9月25日迄に,毎10 日毎に計7回実施した.幼虫棲息地として水田(玉編 地帯),弛沼,永溜(寺町),下水(五禧),水槽,墓石

(梅沢町),肥溜(新庄町),竹洞等を選んだ.水槽,池 沼は適時に発見せる所を用いた.以上の土地の幼虫棲 息地より,幼虫を持ち帰り翅化せしめて,雌雄及び種 類を分類した,1)D

[ 45 ]

(2)

46

       第3章実験成績

第1節 採取蚊の分類地区別発生及び    動物舎を合せて,13,629匹,4属15種に分類さ      動物嗜好牲に就て         れ:た.

富山市及び周辺地区より探取された成虫は,

       第1表 富山市及び周辺地区の威虫蚊分類

種騨一一一一一一一pts一一u一9Wtrn一

   : 1) Culex t ritaenior hynchus Giles    I 2) Culex 1 ipiens Pallensconquillett culex 1 3) Culex Vorax Edwards     ! 4) Culex Orientalis Edwards     L 5) Culex VishnU Theobald     l 6) Cu!ex bitaenior hynchus Giles     1

Arm. 1 7) Arrnigeres obturbans walker

Aedes

コガタアカイエカ アカイエカ

トラフカクイカ バ・マダラウスカ シロハシイエカ カラツイエカ オウクロイエカ 8)Aedes albopictris Skuse       ヒトスジシマカ

9)Aedes Saponicus Theoba】d      ヤマトヤブカ 10)Aedes Togoi Theobald        トウゴウヤブカ 11)Aedes Vexans NipPonU Theobald    キンイロヤブカ 12)Aedes Esoeu3is Yamada       エゾヤブカ      13) Anoplieles sineroides Yam;}1)a

Anopheles 1 14) Anopheles hyrcanus Sinensiswiedemann      15) Anopheles Edwardsi Y: mada

エセシナハマダラカ シナハマダラカ

  14,049 s,le

6i  婁

103 l

P

45 30 0 ol o1

9−1

,i 1

4,004 5.079   5   6   2   7

 92

17 1

 1 21 145  1

32 1

ムサシノハマダラカ14,130         :

31  14

  

0,  1 0! 21

11141

 1

0   32 0    1   1214・118

 即ち第1表に示す如く,イエカ属には,カラ ンイエカ,ハマダラウスカ,コガタアカイエカ,

シロハシイエカ,アカイエカ,トラフカクイカ の6種,クロヤブ岬町では,オウクロヤブカの

1種,ヤブカ属では,ヒトスジシマカ,ヤマト ヤブカ,トウゴウヤブカ,キンイロヤブカ,工       第2表

ゾヤブカの5種に,ハマダラカ族では,シナハ マダラカ,エセシナハマダラカ,ムサシノハマ ダラカの3種に分類された.

 之を市内及び周辺部の人家のみに就て見れ ば,総計2,079匹で,内雄は132匹,雌は1,947

匹を数えた.

富山市内の蚊の分布歌聖        ト

n  区  別

@      1

毘羅 佳宅街

尞k

蝿騒 商店街 台 地

探熱数糊1373%15・・ e/o 1 issl e/o

1)アカイエカ

2)コガタアカイエカ

4)オウクロヤブカ 5)キンイロヤブカ 6)トウゴウヤブカ 7)其  の  他

      

138136.91357171.2

       

381…2{2・}3・7

3)シナ ダラカ Pユ8148 513gl 7 lil 98[62 9

71 1.8b 77[15.31 218:g,1 :r,,.9.[

4[ i.oi 6i i.il

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     ミ

3522.5

、、17.Ol、79[44.3:

    94123.2」

 1 1

   }

31 1・9140・9

412.51  0   0

21.gl 10.2    i21 1・2]1914・7

400?o/o 1235i g/o 1273, o/o 1 148 107126.41 1as162.ll ls3167.ol 124      1S;i: igiiZigl 26

 l  1 i

2351 9/o 1273,  /o

30i12.7i33112.・

        

5322.11 1816.5 31.21 51.8

        

o oi 31.O OI oi1515.4 3h.2i、65.8

 …

地区内の人・数1…394人13・as・人19・咽・3・・55人1392人1・3・898人 0 3 0 0 0

e/0

83.7 14.1

 0

2.O

 o  o  o

411人

[ 46 )

(3)

富山市及び周辺地区の蚊に関する研究 47

 更に第2表に示す如く地区別に分類すると,

佳宅街501匹,海岸地帯斗04匹,田園地帯373匹,

山間地as 235匹,商店街273匹漁地帯155 匹,台 地148匹となり,との内アカイxカ,コガタア

カイエカ,シナハマダラカの3種の全体に対す       第3表

る比率は田園地ew 95.696,同歯街82.6%,漁地 ng 92・4%,海岸地…幣93.9%,山回地帯96.9%,

商店街85.5%,台地97.8%となる.他の12種類 の蚊の合計は僅か3〜19%以内である.

動物舎に於ける蚊の分布歌況

 動物の種類牛馬

探  集  数

シナ,、マダラカ1,2SC!47.sil,6ev 57

アカイエカisgglza .、168127

       1        1

コガタアカイエカi8113.3L        829

      125.2

キソイロヤブカ1 2 011073.2

        1      1

ノ・マダラウスカ「 O q  3 0

       

其 の 他140・1】OiO

l l  一陣羊隊兎「一画r豚i計

12,700i o/o 13,2sgi%143sl o%1s671 e/61i761 o/6 r is31 o/o ii,7sOi o/o li,s77−1 oL>rimuo li−o,gso

235 49 154  0  0  0

s3.61 193 11.li 135 3s.ll 238   1 0  1  0  0   j o  o

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01

 2 146

28  01 01 01

1・il.Jf.Z・i1 2.4]一1・e 82.9i 16087.411,5 i89.3

甥鷲1:i

9 ili・網1

334i 1.7     685i36.4  82944.1  22,1.1   2ρ.1   510.2

_野   1

3,745 4,019 3,067  134   5

 10  次に動物学に於ける分布を見るに,第3表に

示す如く捕獲数10,9SO匹のうち種類は,イエカ 属のゴガタアカイエカ,アカイエカ,キンイロ ヤブカ,ハマダラウスカの4種,ハ・マダラカ属 ではシナハマダラカ,エセシナハマダラカ,ム サシノハマダラカの3種,クロヤプカ属ではオ ウクnヤブカの1種で,3属8種に分類されだ.

更に之を詳細に観察すれば,各動物舎に於ける        第4表

門:多数門門は牛舎のシナハマダラカ47.5%,厩 舎のシナハマダラカ57%,縮羊舎のコガタアカ イエカ41.9%,家兎含のアカイエカ82.9%,犬 舎のアカイエカ87.496,鶏舎のアカイエカ89.3

%,豚舎のコガタアカイエカ44.1%を示した.

 以上の結果より見れば,各種:家畜に対し夫々 特別嗜好性を有する蚊属の存在する事が明かで

ある.

各棲息地別に見たる幼虫の補字数

1)コガタアカイエカ

2)カラツイエカ 3)アカイ エカ 4)シ二一シイエカ 5)トラフカクイカ 6)オウクロヤブカ 7)ヒトスジシマカ 8)ヤマトヤブカ

9) トウゴウヤブカ IO)キンイロヤブカ 11)シナハマダラカ

水 田 369  3

10

5 95

113匹

   棲      息      三

池副水澄下水1水当墓石

12

c−o

52 0 i 1,280

1,854   3

15 23e

  71

 }

 1 39

37

肥溜1蟹

123

112

12

・2匹1 3・匹i2・392匹、1・521匹i 76匹i 235匹1 12匹

4,391匹

次に幼虫より翅化せる蚊属を分類するva,第 4表に示す如く総数4,391匹で,イエカ属はカ

[ 47 ]

(4)

ng

ラツイエカ,コガタアカイエカ,シロハシイエ カ,アカイエカ,トラフカクイカの5種,クロ ヤブ直属はオウクロヤブカの1種,ヤブカ属は ヒトスジシマカ,ヤマトヤブカ,トウゴウヤブ カ,キンイロヤブカの4種,ハマダラカ属はシ ナハマダラカの1種で,即ち4属11種に分類さ

れた.

 即ち之等の各種属蚊の内訳を見れば,アカイ エカ,コガタアカイエカは全数の91%張を示し,

シナハマダラカは約2.2%を示しfO.之を各褄 息地の多少より見ると,下水は2,392匹で最高 を示し全数の52%張であり,次に多いのは,コ ンフリー・…ト水槽で32%弱であった.

     第2節 蚊の季節的消長 第1図 富山市及び周辺地凶の人家内蚊の季節的漕長

 

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}全蚊勲

藺麟昭和21年乃至沼和27年迄  市内臼本脳炎月91」発生嶺

5月

 第1図につき富山市及び周 辺地区の蚊の季節的消長に就 て見れば,5月中旬より三二 されブヒ蚊:i数は6月中旬より急 激に上昇し,その後約1ケ月 闇は激しい高低なく過ぎ7月 申旬に更に急激に増加して,

第1の最高の頂点240匹を示 し,後7月下旬に第2の山を 形成して後急激に減少し,8 月中旬より9月初旬にかけて 60匹前後を示し,9月末殆ん

ど探集されなくなった.

 更に之を各種近心に分類し て消長を見れば,

6月

 20e  len  leo,

 14e,

 伽

 1co

 eo  co  40  00  1鹿

1

2月 8月 9月

第2図 富山市及び周辺地区蚊の各種別に見たる消長

       へ        爪        1へ

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 N. ./

      アカイエカ

   一・一・一h.噸コガタアカイエ    一… 一・・}_鱒シナ♪、マダラカ

     ○ ハマダラウスカ      〔=} 1ラフカクイh

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   嵐こ昏昏_

5月 6月 7月 e月 s月

[ 48 ]

(5)

富山市艮び周辺地区の蚊に関する研究 49

 アカイエカは成虫にて越冬すると云われて居 る故に, 1年を通じて採i集され.るはすである が,余の調査でも調査の初日5月1日より探集

され次で5月下旬より急増し.6月中旬に最 高の頂を造り,後じぐざくの曲線を画き,9月 上旬に最:後の山を作り9月末まで探集された.

 コガタアカイエカは5月15日に初めて探集さ れ,漸次増加し7月下旬より8月上旬に最高と なり,後再び漸減し9月下旬浩失した.

 次にシナハマダラカは5月20日より採集さ

れ,7月中旬に最高の山を形成し後漸次減少

す.

 次にハマダラウスカは:6月30日に,トラフカ クイカは8月4日に,夫々初めて探集された.

急性の方法で探集された蚊は雌が主であるが,

僅少さがら雄も混じて居る.而して越冬蚊の翅 化されると思われ,る5月初旬には雄が比較的多 かったが,日がたち蚊数の多くなるにつれて雌 の比率が圧倒的に多くなった.

第3図動物舎内に於ける蚊の季節的消長

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蚊全敵 吸血蚊

5月 G月

 次に動物舎に就て見ると第3図に示す如く,

6月中旬より急激に上昇し7月初旬rc 658匹と 第1の山を作り,8月初旬va 905匹と最:高の頂 を作り後急速に減少し,8月中旬に深い谷を形 成したまま9月末まで採集された.

 吸血蚊は上記の消長と卒行し夫々の山に一致 して,吸血蚊の山が作られた.

 樹お第4図に示す如く動物舎内に於ける蚊の 各種:別に見たる消長は,アカイエカは6月初旬

より上昇し7月下旬に600匹の最高の山を作り,

後急減するが8月中旬に一つの山を作り後著明

ア月 3月 9月

に減少する.コガタアカイエカ,シナハマダラ カは共va 7月中旬より上昇し,8月初旬に夫々 600匹及び530『匹の最:高の山を作り急速に減少

す.

 更に各畜舎に於ける消長を見ると,牛舎に於 ては,(第5図参照)シナハマダラカは7月初旬 より上昇し162匹に達し,:更rc 8月初旬に330 匹と最高の山を形成し,後著明に減少し小さい 起伏を生じて9月末まで探集され1た.

 コガタアカイエカは7月中旬より上昇し,8 月上旬に100匹となり以後減少した.

[ 49 ]

(6)

50

ロ 

 第4図動物吟内に於ける蚊の各鍾別に見たる清長

ll濠二二こごにく!叢

  ooc

2駒 幅。

500

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300

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5月 6月 1 Sl

一一一・一一一一一一一一

8月 9月

 アカイエカは6月初旬より捕獲さ れ,小さい起伏を示して9月下旬ま で探集された.

 厩舎は(第6図参照)シナハマダ ラカva 7月初旬rc 60匹,中旬に110 匹,8月初旬に最:高の250匹に達し,

後減じ8月下旬迄探集された.

 コガタアカイエカは7月下旬に最 高の173匹探集され,後漸次減少し

9月迄癸見された,

 アカイエカは6月下旬より小さい 隆起を示し7月下旬に頂を作り,後

9月末迄探集された.

 キンィ。ヤブカは5月末に探集さ れ,6月初旬に51匹,次で一旦清失

し,再び7月初に15匹発見されたる も以後発見出來す.

 豚舎は(第7図参照)コガタアカ イエカは6月下旬に74匹,7月初旬 に143匹,8月初旬320匹と夫,々山を 作り,後急減し9月中旬生玉集され

た.

第5図 牛舎内に於ける蚊の弓長

 

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妊二象ンOxご:}、

5月 8月 7月 8月 s月

 シナハマダラカは6月中旬より不規則な山を 作り,7月中旬に96匹の最:高となり以後じぐざ

くに減少した.

アカイエカは6月下旬,7月中旬に夫々92匹,

[ 50 ]

(7)

富山市及び馬辺地区の蚊に関する研究 51

第6図 厩舎内に於ける蚊の溝長

1

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   アカイエカ

ー,一 } } @コガタアカイ=rカ  一+一一・・一 ンナハマグラカ

   キノイロヤフカ

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5弓 6月 7月 8月 9雪

一一¥一

第7図 豚舎内に於ける蚊の消長

300

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, 一アカイニカ

 幽_昌_一一,コガタ アカイエカ 一一@ 。一.曽._,ンナハマクラヵ

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 wwt. 一 v.一

5月 6月

91匹の山を作り,後減少し9月下旬迄採集され

た.

 鶏舎は(第8図参照)アカイエカが圧倒的に 多く,7月初旬に359匹の最高の山を作り,9 月下旬迄採集された.之に反しシナハマダラカ,

コガタアカイエカは非常に少ないが,8月初旬 に73匹のコガタアカイエカの山があった.

 山羊舎は(第9図参照)シナハマダラカの山 は,7月下旬に生じ,その捕獲数は70匹で,9 月初旬tcは探集されす,叉コガタアカイエカ,

アカイエカは小さい隆起を示しお.

 縮羊舎は(第10図参照)シナハマダラカが8

ア月 SE s月

月初旬に75匹の最高となり,その他の2種の蚊 には余り特徴のない隆起を示し,

 家兎舎(第11図参照)及び犬舎(第12図参照〉

は,アカイエカの連続せる隆起が見られた.

   第3節 蚊の消長と気象との関係

 蚊の消長と気象とは密接な関係を有する.(第 1図,第3図参照)即ち気象は卒均気温25。C附 近に於て蚊数の山が形成される,もし1年中ヒ の気温に達しなければ年最:高気温の時期に山が 出現するものと解される.更に降雨量の多少は 淡水に生育する蚊は,雨季に増加する事が多く 乾季には減少すると云われる.

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(8)

52

 

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    野     村

第8図 鶏舎内に於ける蚊の浩長

卜 、

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      一一一一一一一;N=一一一一一一一 5月         6月         7月         8月

 第9図 山羊舎内に於ける蚊の消長

       アカイrカ

      一一g一・一  ゴカタ Jカイ+カ        ノナハマケ㍉カ

       N         へ /礼一一L..

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5月     6月        ア月        8月

第10図 縮羊舎内に於ける蚊の高高

      冒rカイ=カ

   一・一・一 一コガタアカイエカ

   一・一邑一冒F一・・一,¶一 〆ナノ、 rゲラカ

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5月 6月

[ 52 )

7月 8月 9駐

(9)

富山市及び周辺地区の蚊に関する研究 53

第11図家兎舎内に於ける蚊の茎長

300

200

100

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マカイTカ 一.欄_.一_.輸コカタrカイエカ

ノ  \/  \

5月 8月 7月

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8月 Sh

第12図 犬舎内に於ける蚊の浩長

70 60

30 20

一一___一_ゴガタアカイ野鴨Aカイエカ

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ノ       ㌔・

      V  N.

5月 6月

 余の調査によると,気温は7月初旬より梅雨 明けと共に急激に上昇し,7月中旬に至り平均 気温25。Cに達するが,富山市周辺地区及び動物 舎の蚊数も,気温の上昇曲線に李行ずる如く増 加する事より,蚊は気温の好適温度25。Cに連 れて増加する事を推定させるものである.

 一度増加し允蚊が急激に8月初旬及び8月中 旬に減少してしまう事は,気温との直接の関係 が認めがたV・.

 次に漁度は局所乃至微気象的に重大な影響を 及ぼすに拘らす,気候としては蚊の消長と著明 な関係を認められない場合が多い.之は漁度が 幼虫に対して通常関係なく,成虫は移動して適 当な場所に活動するためである3).

 余の調査では漁度は調査期關中82〜85% の間 を上下して居て,著しい変動なく蚊の消長との 関係は認め難かった.

アJJ 8月 9月

 次に降雨量より見ると6月下旬より7月初旬 に至る梅雨期に,富山市及び周辺:地区の蚊は100 匹台を上下して,梅雨明けと共に著明な上昇を 示し8月中旬の乾季には著しい減少を示した.

 動物舎に於ける蚊も梅雨期があがると上昇を 示し,8月中旬の乾季と共に著明な減少を示し

た.

     第4節 蚊の吸血歌態

 吸血せる蚊の分類は(第5表参照)イエカ属 では,アカイエカ,コガタアカイエカ,ハマダ

ラウスカの3種で,ヤブカ属ではトウゴウヤブ カ,キンイロヤブカの2種:,クロヤブカ属では オウクロヤブカの1種,ハマダラカ属ではシナ ハマダラカ,エセシナハマダラカの2種で合計

8種であった.

 次に第5表につき捕獲i数と吸血数の比率を見 るに,シナハマダラカは69%の最:高で,コガタ

[ 53 ]

(10)

54

第5表 探取蚊中の吸血蚊の比i率

1me 1吸血蝋

1) Culex Pipiens Pallens conquillett 2) Culex tritaenior hynchus Giles 3) Culex orienta}is Edwards 4) Armigeres obturbans walker 5) Aedes Vexans Nippontt Theobald 6) Aedes togoi Theoba]d

7) Anophe]es hyrcurms E inesiswiedemann 8) Anopheles Sineroides Yamada

アカイエカ コガタアカイエカ ハマダラウスカ オウクロヤブカ キソイロヤブカ トウゴウヤブカ シナハマダラヤブカ エセシナハマダラカ

5,109 4,049   6  103  145

 29

4,130

 32

1,825 2,083   2   2

 14

  3 2,860   2

35.7e/0 51.40/0 33.30/0 1・90/e 8.10/o lo.30/0 69・20/a 6.2e/o

アカイエカは51.4%,アカイエカは比較的低く 35.7%,陶製シナハマダラカは33.3%, トウゴ ウヤブカは10.3%,キンイロヤブカは18.1%,エ セシナハマダラカは6.2%,オウクロヤブカは 1.9%であった.

 人に対する吸血率は,アカイエカの7.5%で最 も多く,次でシナハマダラカ,コガタアカイエ カ共va 4.5%の同率である.

 動物舎に於ける吸血率は,牛にはシナハマダ ラカがで最高を示し,次でコガタアカイエ九

第6表蚊族の吸血牽

 動物舎の種類  比

1)ア

答鞭1舎】舎}犬1家兎L厩山羊豚1

    綿舎1

@率  %

J イ エ カ Kタアカイエカ

iハマダラカ

唐P53167 唐T92516

一一u  一一一一

@   %1%% %   1821[1811   125 6  0 18     5491010i69 1  1  1 %1 対i比奉

│…llζ孤33…4・圃3)シナ…

e/o

エ カ

。/0

7.5 4.5 4.5

アカイエカの順となる.シラハマダラカの吸血 牽の高い動物は牛と馬で夫々67%と69%の高率 を示す.コガタアカイエカは山羊,豚に吸血す る事が多く,その率は夫々56%,42%である.

以上より見れば各動物漏斗に対し吸血する蚊が

夫々一定する事が知られる.

 叉蚊の消長と吸血蚊の浩長も平行する,人に 対する吸血牽は何れの動物の吸血牽よりも非常 に低かった.

第4章総括及び考按

 富山市及び周辺地区の蚊の浩長を見ると,5 月下旬より各種蚊の越冬後の翅化により成虫の 増加を心すが,丁度梅雨期に入ると共に増加が 一時停頓する.しかし幼虫棲息地の増加と気温 の上昇と相まって,7月中旬,下旬に最高の山 を形成するに至る.8月中旬に至り気温漁亭亭 に著しい変化がないにも拘らす急激に減少して:

しまう.とうして9月下旬には各種蚊共殆んど 採取されなくなる.

 細井4、によれば,蚊は気温の上昇期に増加率 は日をおって高まるが,生存期間は逆に漸次短 縮する.したがって或時期迄は,前から癸生し て居た蚊の蓄積と後続発生蚊の加入により蚊数 は急激に増加する.しかるに気温が続いて上昇 すると,亭亭の現存蚊の発死期が相次で到來し 急激に減少を來す.叉9月に入り漸次少なくな

る理由として,蚊が休眠歌態に入り発生数が減 少すると云って居るが,余の調査の結果と一致

【馴】

(11)

富山市及び周辺地区の蚊に関する研究 55

するものと思われる.

 次に動物舎の蚊の消長に就て述べれば,7月 初旬と,7月中旬と,8月初旬に夫々山を作り,

富山市内の発生との間に若干の後れが見られる が,8月中旬には著明に減少した.ヒの消長に は上記の細井が述べた如き事情が関係する事は 勿論であるが,今一つ重要な要素として.当畜 舎は周辺が全く水田と溜水のある溝をめぐらし て居る事であると考えられる.

 アカイエカ,コガタアカイエカ,シナハマダ ラカの発生地は主に水田と溝であるが,水田は 5月初旬乃至5月中旬迄乾田であるが爲幼虫の 発生は見られない.

 叉8月中二二より水田は排水され乾田化し て,再び幼虫の発生不可能となる事,叉7月に 入り稻の山高は60cm程度で,水温は30。Cを示 すと幼虫の発生も多くなり,したがって7月初 旬及び中旬,8月初旬の蚊の山は頷けるが,8 月には稻の草高は約1米近くなり,日射は少な

くなり更に乾田化が生じ,同時に稻の成長と共 に株張りのために水域面積が狭小となり,また 畦畔の大豆の繁茂によって蚊の発生を抑制する

:事5)より,著明な成虫の減少を來す.

 9月中は気温の低下と棲息地の減少により発 生は少なくなり,次第に蚊は休眠歌態に移行す る爲,低い高低をたどるものと思われる.

 次に各種属蚊の癸生状況を見ると(市内及び 周辺地区及び動物舎を含む),いつれもアカイエ

カが先に山を作り,次でシナハマダラカ,次で コガタアカイエカの順に山を作る.

 之はアカイエカは1年忌通じて成虫にて越冬 するも,産卵可能となるは東京地方fi)では,4 月上旬からで5月始めに幼虫は翅化し得る.シ ナハマダラカは4月下旬に幼虫を認め,5月下 旬より6月初旬に翅化し,コガタアカイエカは

5月末に始めて幼虫を認め,6月中旬に翅化を 認めたと云う報告ががあり,3種の蚊の二化に は10〜15日前後の日差のある事が報告されて

居る.?:一の欺態にて発生して行けば,著者の項 の相違は説明されると思う.

 次に動物舎の調査は高等学校農業科の畜舎を 用いた.各種動物は一棟に集められ,薄い板に て壁が作られているにすぎなV・.ことに凡て同

日の同時刻に一勢に学生に依頓して温品を徹底 的に2時間つつ探取した.蚊の種類の差は蚊の 動物嗜好性の差に基くものと考えられる.

 しかして牛舎,厩舎,山羊含はシナハマダラ カ,緬羊舎,豚舎はコガタアカイエカ,家兎舎,

畜舎,鶏舎はアカイエカの各嗜好性が見られ だ.蚊の吸血に隔ては捕獲i数と略it平行して上 昇し,更に高島度と,27。Cの場合に最:もよく吸 血すると云われて居り,余の調査と全く一致し

た.

 叉吸血蚊体内の血液を血清学的に検査すれば 正確な動物嗜好性が判明するが鳴著者は吸血 せる蚊を軍に潰して検したる結果は,牛舎,緬 羊舎,厩舎にはシナハマダラカが,叉鶏舎,三 舎,家兎舎にはアカイエカが,山羊舎,豚舎に

はコガタアカイエカの吸一七三が最も多かった.

 樹お特記すべき事は,5月15日初めてコガタ アカイエカが採集された.同蚊の成虫にて越冬 する:事は未だ碓認されていないが,沼田氏は5 月1日に採集し,己va 4月下旬に発見したとの 報告より見れば,或はアカイエカ同様成虫にて 越参するのではないかとの疑問が持πれる.次 にエゾヤブカが標高80米の台地に於て探集され 允事も興味ある知見と考える.赤泊の報告は北 海道7)の蚊に関する1947年度の知見より,エゾ ヤブカは北海道及び樺太の森林地帯には普通見 られるが,内地では栃木s)県の那須の標高1,000 米以上の高地,34 500米以上の高地,沼田氏の 150米の高地及び木水氏の報告と(発表済)比較 的高い高地に発見されたるに,富山市及び昊羽 山の標高80米の森林地帯にかヒまれ1たる人家に て採集されたものである.

【邸】

(12)

56

      第5章結

 1)採集せる蚊は13,629匹で,次の5属i5種 に分類された.即ち多いものより述べれば,ア カイエカ,シナハマダラカ,コガタアカイエカ,

キンイロヤブカ,オウクロヤブカ,エセシナハ マダラカ,トウゴウヤブカ,ヒトスジシマカ,

シロハシイエカ,ハ・マダラウスカ, トラフカク イカ,カラツイエカ,ムサシノハマダラカ,エ ゾヤブカ,ヤマトヤブカであった.

 2)富山市及び周辺地区の分布状況は,田園地 帯,漁地帯にはシナハマダラカ,商店街,住宅 街,山間地帯はアカイエカ,海岸地帯にはコガ

タアカイエカが多かった.

 3>蚊族の季節的消長は,富山市及び周辺地区 は7月中旬に最高の山を作り,次で7月下旬に 第2の山を形成した.

 動物舎の消長は7月初旬,7月中旬,8月初 旬に夫々山を形成した.

 4)野州の上昇と気濫の上昇期は密接な関係 を示し,蚊の消長と田園は同様密接であった.

 5)動物に対する嗜好性は著明で,シナハマダ

うカは牛舎の蚊数の斗75%,厩舎の蚊数の57%

山羊舎の蚊数の53.6%を占めた.アカイエカは 家兎舎の蚊数の82.9%,犬舎の蚊数の87.4%,

鶏舎の蚊数の89.3%を示した.キンイロヤブカ は馬va集まる事が多かった.

 8)探取蚊屯吸血蚊は次の8種に見られた

.即ちアカイエカ,コガタアカイエカ,シナハ マダラカ,オウクロヤブカ,キンイロヤブカ,

トウ:ゴウヤブカ,ムサシノハマダラカ,ハマダ ラウスカである.

 7)採集した幼虫の翅化した数は,4,39三匹に 達し4属11種に分類され,アカイエカは最:も多

く2,269匹,コガタアカイエカは2,169匹認、めら れ,その他の種属は非常に少ない.棲息地別に 見れば下水2, 3921LC,水槽1,521匹,次で水田482 匹,肥溜235匹,水溜30匹,沼池竹洞の12 匹で あった.

 御指導と御棟閲下された谷敏授に深謝します.面お 今堀博士及び蚊の手取に協力下された川高諸氏に感謝

します。

1) Yamaguti and Walker LaCasse : Mosquit()

fauna(,f Japan and Korea,1950年。缶ce of the surgeon IIQ・8th army A1)0343・  2)佐々 学。浅沼:蚊を調べる人のために,昭和23年,東 京出版株式会肚.   3)細井:蚊の生物学,

昭和23年,東京出版株式会杜,    4)細井:

上海自然科学研究所彙報,14(5)=339,(1944年 置・5)生沢:公衆衛生学雑誌,7(5):271,(昭 和25年)・6)北岡:公衆衛生学維誌,6(3):13 9,(昭和24年)・7)佐々学・浅沼。高橋:日本細 菌学会雑誌,3(2)=53,(1948年). 8)耽岡:

医学と生物学,17(5):282,(昭和25年).

[ 56 ]

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