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第5回学際領域における分子イメージングフォーラム

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Academic year: 2021

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(1)

第5回学際領域における分子イメージングフォーラム

Proceedings of the 5th Interdisciplinary Forum on Molecular Imaging

主催

宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発本部 流体グループ・風洞技術 開発センター

※ 各リンクはすべて、PDF形式となっています。

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(2)

はしがき

本報告集は、2009年11月10日に、調布航空宇宙センター 事務棟1号館講堂に おいて開催された第5回「学際領域における分子イメージングフォーラム」の講演要 旨を収録したものである。

本フォーラムは流体、化学、光学及び画像処理技術といった異分野間の研究連 携による相乗効果を狙い、『分子イメージング』を共通のキーワードに、引き続き JAXA研究開発本部(流体グループおよび風洞技術開発センター)の主催により開 催されたものである。 講演者、発表者、参加者同士の距離が近い、活発な質疑 応答及び意見交換を意図して大規模なシンポジウムではなく比較的小規模な研究 会形式で行うことを特徴としている。

今回は外部から分子イメージング技術に関する異なる分野(生物、計測、宇宙化 学、環境・エネルギー分野)の研究について、国内の著名な研究者4名を招待し、

最先端の研究成果について総括的講演をしていただいた。一方、JAXA側から、航 空宇宙分野への適用について、流体に限定せず、構造・材料、エンジンといった多 分野への展開を目指す目的で、流体グループ長が講演した。

全体の傾向としては、第1回~第4回の本フォーラムの中心課題である、感温・感 圧塗料技術(PSP、TSP)に加え、水中での酸素濃度分布計測、pH計測など、それ 以外の研究報告が増える傾向にある。これらから将来のJAXAの中核的な研究に 発展しうるシーズの発掘、創出につながることが期待され、新しい研究の方向性を 探るという本フォーラムの趣旨に沿った成果といえよう。また、ポスター発表会場か らは分子イメージング技術を自らの研究分野とは異なる視点から見ることができた と、参加者から好評であった。

今回のフォーラムでは、主催組織として風洞技術開発センターが新たに加わると ともに、これまで主体であった空力・流体分野以外への技術展開を意識した招待 講演をお願いするなど、活動領域の拡大を意図した。次回以降も分子イメージング 技術の適用分野の拡大、異分野連携の推進につながるようなフォーラムになるよ う関係各位と相談しつつ企画していきたいと考えている。

平成22年1月吉日

渡辺 重哉 分子イメージングフォーラム実行委員長 流体グループ 研究開発本部

TABLE OF CONTENTS

~ 招待講演 ~ Cruising inside cells

宮脇 敦史 <理化学研究所>

物理計測のための面発光素子 三浦 登 <明治大学>

同位体のイメージング: isotopography

(3)

圦本 尚義 <北海道大学>

特殊環境下におけるその場X線吸収分光法 ― 固体酸化物形燃料電池材料の評価 雨澤 浩史 <東北大学>

航空宇宙分野における分子イメージング技術の可能性 渡辺 重哉 <宇宙航空研究開発機構>

~ ポスターセッション ~

パラジウムオクタエチルポルフィリンを使った超高感度二次元酸素センサの 開発

小栗 一将、野牧 秀隆、菅 寿美、北里 洋 <海洋研究開発機構>

PSP一体型励起光システムの開発

飯島 由美、坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

新規白金二核錯体を利用した光学酸素センサーの開発 天尾 豊 <大分大学>

矢野 重信 <京都大学>

表面修飾されたマイクロチャンネル内の流れ挙動

三ツ石 方也、Sabiha Sultana、松井 淳、宮下 徳治 <東北大学>

火星大気風洞に適用可能な感圧塗料の開発と評価 小野 直志 <東北大学>

蛍光油膜を用いた鈍頭物体周りの摩擦応力面分布計測 角田 智哉 <東北大学>

寿命法による圧力・温度同時計測光ファイバーセンサーの開発 須貝 直之 <東北大学>

東北大学における低速・非定常感圧塗料計測の現状と今後の展望 依田 大輔、杉本 珠生、永井 大樹、浅井 圭介 <東北大学>

鳴海 智博 <九州工業大学>

感圧分子センサへの適用を目指したポルフィリン 誘導体電解重合膜の作製 坂村 芳孝、鈴木 孝典、川端 繁樹 <富山県立大学>

ターボ機械への適用へ向けたPSPの低速度流れ場における性能調査

森 英男、吉本 俊純、内田 和徳、田上 博明、文 吉周、井上 雄策 <九州大学>

マイクロ超音速流れ計測を目的としたMTVシステムの開発

藤河 智己、山口 秀記、今村 幸平、半田 太郎、益田 光治 <九州大学>

応力発光体を用いた配管内欠陥の可視化

小野 大輔、李 承周、ト 楠 <産業技術総合研究所>

徐 超男 <産業技術総合研究所> <九州大学> <科学技術振興機構>

(4)

感圧塗料を用いた回転ディスク表面の圧力計測

亀谷 知宏、松田 佑、山口 浩樹、江上 泰広、新美 智秀 <名古屋大学>

感圧分子膜の光劣化に関する研究

見崎 亮太、松田 佑、内田 徹、鈴木 卓、山口 浩樹、江上泰広、新美智秀 <名 古屋大学>

温度キャンセリング機構を備えた高速応答型AAPSPの非定常可視化試験 久力 琢磨、宮嵜 武 <電気通信大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

モーションキャンセリングを可能とする非定常面計測法の開発 宮本 健輔、宮嵜 武 <電気通信大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

HPTSを用いた顕微鏡下での植物表皮系におけるpHイメージング 清水 惠、風間 晴子 <国際基督教大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

ナノクリスタルQdotを発光体とする陽極酸化皮膜型感温塗料の広温度範囲 への適発

相川 明久 <上智大学>

坂上 博隆、飯島 由美 <宇宙航空研究開発機構>

陽極酸化皮膜型感圧コーティングを用いた水中可視化法 尾崎 達哉、石川 仁 <東京理科大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

スプレー型感圧コーティングの非定常流への適用 垣迫 卓馬、石川 仁 <東京理科大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

Coumarin7の感圧塗料への適用 木村 有花 <電気通信大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

感圧塗料を用いた液体の流束可視化に関する研究 佐藤 立樹 <山形大学>

木村 有花 <電気通信大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

望月 修一 <大阪工業大学>

瀧浦 晃基 <Subaru Telescope>

寿命法を用いたエンジン内壁温度計測

染矢 聡、内田 光則、富永 馨、石井 慶子、李 艶栄 <東京大学>

白金ポルフィリン(PtTFPP)を適用したAAPSPのディッピング法に起因する特性調 査

石井 慶子 <東京理科大学>

坂上 博隆 <宇宙航空研究開発機構>

(5)

第5回学際領域における分子イメージングフォーラム 組織委員・実行委員

組織委員

  渡辺 重哉(宇宙航空研究開発機構)

  大倉 一郎(東京工業大学)

  浅井 圭介(東北大学)

  新美 智秀(名古屋大学)

  西出 宏之(早稲田大学)

  小栗 一将(海洋研究開発機構)

実行委員

  坂上 博隆(宇宙航空研究開発機構)

  飯島 由美(宇宙航空研究開発機構)

  中北 和之(宇宙航空研究開発機構)

  守田 克彰(宇宙航空研究開発機構)

  大久保 ゆ

かり (宇宙航空研究開発機構)

  座安 悦子(宇宙航空研究開発機構)

  植松 瞳 (宇宙航空研究開発機構)

  才田 恵里

奈 (宇宙航空研究開発機構)

フォーラム主催 : 宇宙航空研究開発機構

流体グループ・風洞技術開発センター

東京都調布市深大寺東町7-44-1

(6)

Cruising inside cells

宮脇敦史 理化学研究所

細胞の中を動き回る生体分子の挙動を追跡しながら、ふと大洋を泳ぐクジラの群を想い起こす。クジラの回 遊を人工衛星で追うアルゴスシステムのことである。背びれに電波発信器を装着したクジラを海に戻す時、な んとか自分の種の群に戻ってくれることをスタッフは願う。今でこそ小型化された発信器だが昔はこれが大きか った。やっかいなものをぶら下げた奴と、仲間から警戒され村八分にされてしまう危険があった。クジラの回遊 が潮の流れや餌となる小魚の群とどう関わっているのか、種の異なるクジラの群の間にどのような interaction があるのか。捕鯨の時代を超えて、人間は海の同胞の真の姿を理解しようと試みてきた。

ライブイメージング技術において、電波発信器の代わりに活躍するものとして蛍光プローブがある。生体分子 の特定部位に蛍光プローブをラベルし細胞内に帰してやれば、外界の刺激に伴って生体分子が踊ったり走っ たりする様が実時間で可視化できる。蛍光は物理現象であるから、その特性を活かせば様々な情報を抽出で きる。例えば、ある蛍光分子ドナー(エネルギー供与体)の励起エネルギーがアクセプター(エネルギー受容体)

へ移動する現象(蛍光のエネルギー移動)は、ドナーとアクセプター間の距離および向きに依存するので、これ を利用して生体分子間の相互作用や生体分子の構造変化を観ることができる。蛍光のエネルギー移動に限ら ず、蛍光の偏光、消光、退色、光異性化反応など、あらゆる特性が活用できる。

今生物学はポストゲノム時代に突入したと言わ れる。ポストゲノムプロジェクトを云々するに、より 実際的な意味において、細胞内シグナル伝達系を 記述するための同時観測可能なパラメータをどん どん増やす試みが重要である。細胞の心をつかむ ためのスパイ分子を我々は開発している。材料と なるのは主に蛍光タンパク質である。自ら発色団 を形成して蛍光活性を獲得するタンパク質である。

(c) S. Karasawa and A. Miyawaki

図:色とりどりの蛍光タンパク質

遺伝子導入技術の進歩のおかげで、蛍光タンパク質を利用したスパイ分子がますます活躍している。我々は また、新しい蛍光タンパク質を求めて、様々な生き物(主に刺胞動物)からのクローニングを行っている。狙い のひとつは、蛍光の様々な物理特性を、蛍光タンパク質から引き出して、新しいスタイルのイメージング技術 を開発することだ。

超ミクロ決死隊を結成し、微小管の上をジェットコースターのように滑走したり、核移行シグナルの旗を掲げ てクロマチンのジャングルに潜り込んだりして細胞の中をクルージングする、そんな adventurous な遊び心をも ちたいと思う。大切なのは科学の力を総動員することと、想像力をたくましくすること。そして whale watching を 楽しむような心のゆとりが serendipitous な発見を引き寄せるのだと信じている。

(7)

物理計測のための面発光素子 三浦登

明治大学

概 要

無機蛍光体やそれを用いた電子デバイスは、ディスプレイや光源として広く用いられているが、それらの特性・使 用材料の物性に着目するとセンシィング材料・デバイスとして有効に寄与する。特に無機エレクトロルミネッセンス は材料の安定性と寿命が確保できることから計測用光源として期待できる。さらに形状に自由度がある面上の発 光デバイスを容易に形成することができることから、感圧塗料と組み合わせた流体計測に用いる光源として非常に 有用である。この無機エレクトロルミネッセンスには多くの種類・材料が研究されており、近年急速に開発が進み、

種々のデバイスが報告されるとともに、特性が向上してきている。

1. 背 景

今から120年前、Thomas A Edison による白熱電球の発明がなされて以来、電気をエネルギーとして光を取り出 すことが急速に普及したのは周知の事実である。電球が点光源デバイスであるのに対し、線光源である蛍光灯が 1938年に開発された。1990年代後半になると、青色発光ダイオード(LED) と蛍光体を組み合わせた白色LEDが開 発された。そんな中、「低消費電力」・「CO2削減」・「脱水銀」といった環境問題の高まりから、光源開発が加速して いる。最近ではLED照明が非常に注目されている他、次世代光源として「有機EL」と呼ばれる面状発光デバイスが 盛ん研究され注目を集めている。

「EL」とは、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence) の略称で、1936年に ZnS 系蛍光体粉末に交流電界 を印加した際に発光に対して名付けられた言葉であり、「電界発光」と訳される。この電界発光を用いた面状の光 源デバイスは1950年頃に米国のシルバニア社から製品が発表され、次世代光源として非常に注目を集め世界的 規模で研究開発が行われたものの寿命と輝度などの特性が満足できなかったことなどから用途が限定され研究開 発は電流注入デバイス(直流印加)であるLEDに向けられるようになった。こうした状況で、LEDの発光を「注入型 EL」と呼び、電界発光素子を「真性EL」と呼んで区別するようになった。「有機EL」は、有機物質に直流を印加して発 光を得るデバイスであり、欧米では Organic Light Emitting Diode (OLED) と呼ばれるのが通例であるが、日本国内 では「有機EL」の名前が定着してしまい、最近では「EL」と呼ぶと「有機EL」のこと解釈されることが多くなってきてし まったため、従来の電界発光が無機蛍光体を用いることから「無機EL」と読んで区別されるようになってきた。

シルバニア社から発表された蛍光体粉末に交流を印加するデバイスは、一般照明に用いるほどの特性はない が面状で柔軟性があり輝度劣化はあるものの電球のフィラメントが突然破断して消灯してしまうようなことがないと いった特徴から、イルミネーションや特別な用途で使用されており、我々の日常でもよく目にする。これとは別に、

「無機EL」を用いたディスプレイもよく知られている。これは、粉末蛍光体を用いたEL素子の研究開発が一段落した 1970年代頃から研究が進められたもので、薄膜蛍光体を用いたデバイスである。比較的高輝度が得られ、寿命が 長いこともあって薄型ディスプレイの有力候補として注目されていたが、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディス プレイなどと比較するとカラー化が遅れたこともあり、無機ELはディスプレイ分野においても本流から外れ、寿命や 信頼性の高さが要求される用途などで用いられているにとどまっている。

無機ELに面状光源デバイスとディスプレイがあるように、発光素子は照明用の光源として開発される一方で、デ ィスプレイ素子として研究開発されてきた。ほんの少し前までディスプレイ素子の主流であったブラウン管を用いた カラーテレビが普及してきた1960年頃から薄型ディスプレイの開発が本格化した。テレビは「三種の神器」の一つと 言われ、電気業界では「テレビは家電の王様」と呼ばれ薄型テレビの開発競争は熾烈であった。そんなこともあり、

発光素子の研究者達の目線はディスプレイの性能向上に注がれ、そこから得られた研究成果が照明用の光源に 向けられてきている。こういった状況の中で、各種発光素子を照明やディスプレイとは異なる用途に応用していくこ とも徐々に進められるようになった。LEDと半導体受光素子を組み合わせたフォトカプラ・フォトインターラプタは電 気回路や自動制御装置になくてはならないものになっている。光触媒効果を示す酸化チタンと発光素子を組み合 わせた環境浄化装置・空気清浄器なども知られている。一方で、発光素子によっては特定の波長で発光が得られ

(8)

る場合もあり、光計測用の光源として用いられることも多いが、光学特性以外での計測用光源として発光素子を用 いることは殆どなされてきていなかった。

そんな中、無機ELと感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint: PSP) を組み合わせた圧力計測が検討されるようにな ってきている(1)。また、太陽電池の半導体特性をそれ自体のELによって計測するような試みもされてきている(2)。 種々の発光素子には、それぞれの発光機構と物理が存在し、材料によって物性が異なるために発光素子に用い る材料によって特性が異なる。これらの特徴を巧みに用いることで物理計測が可能であると考えられるが、これま でそういった試みは殆どなされていない。本報告では、発光デバイスを用いていかに物理計測を行うかの例を紹介 するとともに、航空機の風洞実験で用いられる感圧塗料を用いた圧力の分布計測に必要な面状発光素子とし有望 である無機EL素子の構造・特徴・特性、ならびに作製方法と最近の開発状況をまとめる。

2. 発光素子

2.1 発光素子の発光機構による分類

電球は、言うまでもなく物体の加熱による発光でありジュール熱を伴うが、発熱を伴わない発光を総称してルミネ ッセンスを呼ぶ。電球以外の発光素子は、ルミネッセンスを用いている。例えば、ブラウン管は蛍光体を加速電子 によって衝突励起させその緩和エネルギーを発光として取り出している。このような電子線照射による発光を Cathodeluminescence: CL と呼ぶ。一方、蛍光灯はガラス管中に生じた放電により水銀を励起し、その発光によっ て管表面に塗布された蛍光体を励起・発光させており、光による励起を用いていることから Photoluminescence:

PL と呼ぶ。ELに分類されるLED、無機EL素子、有機ELは、固体上に直接電極を設け、電界を印加することにより 発光を得る。電界を印加して発光を得るこれらの素子は、電界によって固体中で加速された電子を蛍光体に衝突 させて発光を得るものと、半導体のp-n接合のように異種の材料を接合し、そこへ直流を印加することで接合部付 近に生じる電子・正孔が再結合発光するものに大別される。

2.2 蛍光体

発光素子を励起・発光機構から見ると、蛍光体を用いるものと半導体などのキャリヤ再結合を用いるものに大別 できることがわかる。従って、発光素子の特性は蛍光体の特性あるいは半導体材料の物性が大きな影響を与える ことが理解できる。蛍光体開発は錬金術師の時代から行われ、多くの元素の組み合わせが確かめられ、幾種もの 蛍光体が開発されてきた。無機材料ばかりでなく有機色素や有機顔料なども含めると、無限の材料の組み合わせ が考えられる。半導体自体の中にも蛍光体として寄与するものがある。

蛍光体の発光は、基底状態と励起状態の電子遷移により生じる。この電子遷移確立は温度に依存する。蛍光 体開発者は発光を得ることを目的に材料開発を行っており、通常室温付近で効率的に発光する材料を探索してき た。通常、室温付近で効率良く発光する材料は、高温下では効率が下がり(温度消光)、低温下では効率が上昇す る。蛍光体開発の過程では、低温でよく発光しても室温で発光が得られない材料は、日の目を見ることも無く忘れ 去られてしまっている物も多い。しかしよく考えてみると、蛍光体の発光強度をモニターすることで、蛍光体の置か れている環境の温度を知ることが可能である。無機の蛍光体は数百度まで安定なものも多く、極低温から数百度 までの温度計測に用いることができると思われる。

2.3 キャリヤ注入発光素子

LEDは単結晶デバイスであり、性質の異なる半導体材料をエピタキシャル成長させて構成される。多結晶やアモ ルファス半導体では、発光効率が著しく減少し実用的には用いることができない。そのため、基板材料を選ばない 無機ELとは異なり、単結晶基板上に作製しなければならない制約を受けることになる。また、素子面積が大きくな ると面内の均一性を保つのが難しく、面状発光素子とすることは難しい。

有機ELの場合は、LEDと異なり有機材料をアモルファス薄膜にしたものを用いる。比較的低温で作製することが できるので、プラスチック基板などの上にも作製可能で、大面積化のハードルも低い。こういったことから照明用光 源や大型ディスプレイへの応用が試みられている。しかし、材料が不安定で、特に水分に弱い。そのために、有機 薄膜を完全に外気から遮断する必要があり、短時間の使用においても薄膜の封止が不可欠である。また、薄膜の 厚さは100 nm 以下であり、膜厚を一様にするには特別な手法を用いる必要がある。さらに、LEDや有機ELなどの キャリヤ注入素子の場合、電流を流して発光を得るために、面積が大きくなると電流がかさむばかりでなく電極で の発熱・抵抗が無視できなくなる。

(9)

3. 無 機 E L

3.1 発光素子の発光機構による分類

無機EL素子は、比較的安定な無機蛍光体粉末あるいは薄膜を用いた発光素子であり、大面積化が可能である のに加え作製も容易である。他の発光デバイスと比較するとカラー化(発光波長の制御)が遅れたものの、最近で はカラー化も進展してきた。

無機ELは、発光機構・使用材料・構造など色々な視点で分類することができるが、構造で分類すると理解しやす い。構造から「分散型EL」と「薄膜型EL」の2つに分別される。分散型ELは、粒径10 μm 程度の粉末蛍光体を誘電 体中に分散させたものに電界を印加するものである。分散剤にガラスなどの無機物を用いることもあるが、最近で は有機樹脂を用いることが多い。一方、蛍光体を1 μm 以下の厚さで薄膜状にして電界を印加するものを薄膜EL と呼ぶ。蛍光体の厚さが薄いために、蛍光体には容易に大きな電界を印加することが可能である。ここでは、簡便 な方法で作製でき、感圧塗料と組み合わせた圧力計測が検討されている分散型ELについて示す。

3.2 分散型ELの構造

現在用いられている分散ELの構造を図1に示す。アルミ箔上にBaTiO3などの高誘電率絶縁材料の粉末をバイ ンダ中に分散させたものをスクリーン印刷法などにより塗布し誘電体層を形成する。この上に、バインダ中に分散 させた蛍光体粉末をスクリーン印刷法などにより20~100μmの均一な厚さになるように塗布する。この時、蛍光体 粒子ができあがった膜中で完全に遊離分散しているようにバインダと蛍光体の混合比や塗布方法を選択・制御し なければならないと言われていたが、現在では蛍光体粒子が厚さ方向に2から3個積み重なりお互いが接触してい るような状態になっている素子が用いられる。蛍光体まで形成された素子の上に透明導電膜(ITO)付きのプラスチ ックフィルムを導電膜が蛍光体層と接するように圧着し、素子周囲で表裏のプラスチックフィルムを融着(あるいは 接着)し素子が完成する。

先ほどとは逆に、透明導電膜付きのプラスチックシート上に素子を形成する場合もある。この場合、蛍光体層・

誘電体層を形成後、カーボンインキを塗布・乾燥して背面電極とする。

蛍光体を分散させる誘電体バインダには、パッケージ型においてはシアノエチルセルローズなどの比較的誘電 率の大きな材料を、ストリップ型ではシアノエチルセルローズなどと比べると誘電率が低めのフッ化ゴムバインダ

(ポリフッ化ビニリデンゴム)などを用いる。バインダの誘電率に違いがあるために、ストリップ型では電極間距離を 狭くしているが、この場合寿命が短くなる傾向があると言われている。

3.3 分散型EL用蛍光体

無機蛍光体の多くは蛍光体母体中に微量添加した不純物を介した発光であるが、分散型EL用においてはその 中でもドナー・アクセプタ対(D-Aペア)型の蛍光体が用いられる。これは、ZnSなどの蛍光体母体中に微量添加し た不純物がエネルギー準位を形成し、そのエネルギー準位間の電子遷移によって発光を得るものである。添加不 純物の種類・組み合わせ・濃度によって発光波長が変化する。ドナー・アクセプタ対型蛍光体の他にも、蛍光体母 体に添加したMnや希土類の内殻遷移による発光を利用する局在型発光中心を持つ蛍光体も幾つか知られてい る。

ドナーとしてCl、アクセプタとしてCuをZnSに添加したZnS:Cu,Clは、粉末ELの代表的な蛍光体である。この材料で は、Clの量を変えることにより青色発光(約460nm)から緑色発光(約510nm)発光が得られる。ZnS:Cu,Alは緑色を 示す。粉末ELでは、青色・緑色発光は得られるものの、現在においても実用的な赤色蛍光体が報告されていな い。そこで、白色発光を得るには補色による白色発光、色変換材料との組み合わせ、2つの方法が用いられてい る。ZnS:Cu,Cl青色蛍光体に黄橙色発光を示すMnを共添加した捕色型白色蛍光体(ZnS:Cu,Mn,Cl)や、青色蛍光体 に有機顔料系の色変換材料を混ぜた白色発光素子がよく使われている。後者の素子は、青色発光とそれによって 励起された蛍光体の発光(フォトルミネッセンス)の重ね合わせで白色を得る。

分散型ELに用いるZnSは、本来水分に対して強いとは決して言えない。そのために耐湿性を高めたカプセル蛍光 体を用いているためである。カプセル蛍光体は1990年前半に発表されたもので、蛍光体の表面にアルミナなどの 薄い金属酸化膜が付与されている。分散型EL用蛍光体の粒径は5~30μm程度とされているが、粒径制御ととも に粒径の小さな蛍光体による素子特性の改善なども今後の課題である。近年、蛍光体の分野においてもナノテクノ ロジー技術の成果が報告されているばかりでなく、昨今は分析・評価技術が著しく進歩していることなどを考える と、分散型EL素子について学術的・科学的に再度検証していく必要を感じる。

(10)

3.4 分散型EL素子の特性

直流駆動の分散型EL素子もあるが、現在用いられている素子は交流駆動である。駆動電圧は40から200V程度、

駆動周波数は50Hzから10kHz程度である。図2は典型的な分散型EL素子の電気的特性である。駆動電圧および 駆動周波数の上昇と共に輝度は増加する。また、D-Aペア蛍光体を用いる分散型EL素子においては、駆動電圧や 駆動周波数によって発光波長が図3に示すようにシフトする。これは、励起エネルギーの変化によってドナーとアク セプタに捕獲された電荷のクーロン力が変化するためである。

4. まとめ

物理計測のための発光素子として、蛍光体の物性を有効に用いることが考えられ、蛍光体を用いた発光デバイ スの中で作製が容易で大面積化にも対応できる分散型ELを中心に紹介した。これら素子に関しては、数多くの論 文・解説資料が報告されている(3-5)

参考文献

(1) 飯島由美 等:第4回学際領域における分子イメージングフォーラム, (2008).

(2) Takashi Fuyuki and Athapol Kitiyanan: “Photographic diagnosis of crystalline silicon solar cells utilizing electroluminescence”, Appl. Phys. A, Vol.96 (2009) 189.

(3) 小林洋志: 発光の物理 朝倉書店.

(4) エレクトロルミネッセントディスプレイ: 猪口敏夫 産業図書 (5) 三浦登: “無機ELディスプレイ” 未来材料, Vol.9 (2009) 36.

基 板  ( ガラス , フィルム)

透明電極

誘電体層

背面電極(Al, Cu, C)

蛍光体層

       20~

100μm

図1:分散型EL素子の構造。

(11)

0 1 0 0 20 0 3 00 4 00 0

1 00 2 00 3 00 4 00 5 00

f = 1 kH z

A pplie d V o ltage : V

0 -p(V ) Luminance : L (cd/m2 )

0 2 4 6 8 1 0

Efficiency : η (lm/W)

η: 3 ~10 lm/W Life: 1000 ~5000 hour

⎥⎥

⎢⎢

⎡ ⎟

⎜ ⎞

−⎛

⎟=

⎜ ⎞

⎝⎛−

2 / 1 0

0exp

exp V

B V E B C

20 40 60 80 100 120 140 160

1 10 100

1000 3200Hz

1600Hz 800Hz 400Hz 200Hz 100Hz 50Hz

:L (cd/m2 )

印加電圧:Vrms (V)

図2:分散型EL素子の基本的な電気特性例。

3 5 0 4 0 0 4 5 0 5 0 0 5 5 0 6 0 0 6 5 0 4 9 5

7 0 n m

EL Intensity (a.u.)

W a v e le n g t h ( n m ) 1 0 0 V ( @ 6 0 H z )

3 5 0 4 0 0 4 5 0 5 0 0 5 5 0 6 0 0 6 5 0

4 6 1

7 0 n m

EL Intensity (a.u.)

W a v e le n g t h (n m ) 1 0 0 V (@ 5 k H z )

r E e

E Eg r h r

E D A

υ πε

) 4 (

) ( ) (

+ 2

+

=

=

D

A

 r

図3:分散型EL素子の発光波長の変化。

(12)

同位体のイメージング:isotopography

圦本尚義 北海道大学

同位体は互いの化学的性質が非常に似ているため、化学反応や物質の起源・移動を明らかにするトレーサー として有効である(図 1)。したがって、同位体は、化学・物理学はもとより、宇宙科学・地球科学・環境科学等の 自然を対象とする分野はもちろんのこと、生命科学・医学・農学等の生物を対象とする分野や物質科学等の工 業的分野にわたるひろい科学分野の研究に利用されている。光学顕微鏡や電子顕微鏡が、物質の微細な構 造や組成を観察できるように、物質中の微細な同位体の組成分布を観察できる顕微鏡、同位体顕微鏡、があ れば同位体の有用性はもっと大きくなると考えられる。しかし、同位体顕微鏡は現在でも一般的ではない。

その原因として次のような理由が考えられる。(1)ほとんどの元素は一つの同位体の存在度が卓越し、それ以 外の同位体存在度は極めて小さい。(2)化学的性質が似ているため天然における同位体変動は小さく、天然の 化学反応においては普通%オーダー以下である。これらの理由のため同位体顕微鏡の実現には、(1)高感度 計測,(2)広ダイナミックレンジ計測、(3)高精度計測を同時に満足することを要求される。現在のところ、これら の要求をミクロ領域で満足する可能性を持つ同位体分析法は二次イオン質量分析法 SIMS をおいて見当たら ない。

最近 10 年間の二次イオン分析法 SIMS はマイクロメータ領域の点分析にはじまり、線分析、面分析へと発展 してきた。その結果、サブミクロンの分解能をもつ同位体顕微鏡が開発され、質量分析も岩石顕微鏡や電子顕 微鏡、EPMA 等による元素顕微鏡のような有用な顕微鏡の一つとなりつつある(図 2)。同位体顕微鏡は微量元 素顕微鏡としても機能する。SIMS は高感度な微量元素分析法でもあるからである。このことは、地球化学にお いても、固体中の組織と同位体・微量元素分布との対応を問題解決の重要な情報源とできる時代がきた事を 意味している。我々はこの同位体で見る固体組織をアイソトポグラフィー(同位体組織学)と名づけている(図 1)。

アイソトポグラフィーは、酸素同位体異常の発見以来宇宙化学者を悩ませ続けている隕石中に観察される金 属元素と酸素同位体のパラドックスを解消しつつある。その結果、原始太陽系星雲には酸素同位体比が異な る 2 種類の気相が存在していた事が明らかになってきた。そして、太陽系起源論は従来の静的なものからダイ ナミックなものへと転換されはじめた。また、この研究の過程で、太陽系の原料となるプレソーラー粒子や、太 陽系の始原水を記録した宇宙シンプレクタイトの発見という副産物を生み出し、太陽系起源研究のフロンティア を広げつつある。

本発表では同位体顕微鏡の原理を紹介する。そして,同位体顕微鏡で隕石の組織を観察するとどのような新 しいイメージが見えてき、惑星科学的ブレークスルーがおこるかを「火星の水(図 3)」と「プレソーラー粒子(図 4)」を例に挙げ紹介する。我々は同位体顕微鏡により原始太陽系を解剖すべく研究を進めている(図 5)。

参考文献

Greenwood J. P., Itoh S., Sakamoto N., Vicenzi E. P. and Yurimoto H. (2008) Hydrogen isotope evidence for loss of water from Mars through time,. Geophys. Res. Lett. 35, L05203.

Sakamoto N., Seto Y., Itoh S., Kuramoto K., Fujino K., Nagashima K., Krot A. N. and Yurimoto H. (2007) Remnants of the early solar system water enriched in heavy oxygen isotopes. Science 317, 231-233.

Nagashima K., Krot A. N. and Yurimoto H. (2004) Stardust silicates from primitive meteorites. Nature 428, 921-924.

Yurimoto H., Nagashima K. and Kunihiro T. (2003) High precision isotope micro-imaging of materials. Appl. Surf.

Sci. 203-204, 793-797.

Yurimoto H. (2006) Star dusts-Precursors of Planets-. In Origin of Matter and Evolution of Galaxies, Vol.

CP847 (ed. S. Kubono, W. Aoki, T. Kajino, T. Motobayashi, and K. Nomoto), pp. 319-323. American Institute of Physics.

(13)

図 1:元素分布と同位体分布の比較例。

図 2:同位体顕微鏡を実現するイオン光学系と 2 次元検出器 SCAPS。

図 3:火星からきたシャーゴッティ隕石中の水分布とその同位体分布。

(14)

図 4:隕石中のプレソーラー粒子の観測例。

図 5:原始太陽系の解剖学研究の模式図。

(15)

特殊環境下におけるその場 X 線吸収分光法 ― 固体酸化物形燃料電池材料の評価

雨澤浩史 東北大学

1. 緒言 物質に X 線を照射すると、含まれる元素に応じて、特定のエネルギーをもつ X 線が吸収される。こ れは内殻電子の励起に伴うものであり、このときの吸収スペクトルを解析するのが X 線吸収分光法(XAS)であ る。励起された電子が遷移選択則を満たしつつ空軌道へ遷移するときのスペクトルである X 線吸収端構造

(XANES)は、内殻に空孔がある状態の空軌道を反映し、原子の価数や電子構造に関する情報を与える。一方,

励起後の電子が隣接原子によって散乱されるときのスペクトルは広域 X 線吸収微細構造(EXAFS)と呼ばれ,

この振動を解析することで隣接原子の配位数,結合距離、局所歪などの局所構造に関する情報を得ることが できる。材料分析手法としての XAS の一つの大きな長所は、極低温や高真空などの特別な測定条件を必要と しないことである。そのため、XAS を用いれば、特殊環境における材料の化学・物理状態のその場測定が可能 である。特に放射光施設で得られる高輝度の X 線を利用することにより、短時間、微小領域の分析も可能とな る。本発表では、高温(600~1000℃)作動の燃料電池である固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電解質、電極 材料のその場分析に XAS を用いた例を紹介する。

2. 固体酸化物形燃料電池(SOFC) 燃料電池は,水素などに代表される燃料の燃焼反応により得られるギ ブスエネルギー変化を直接電気エネルギーに変換する発電システムであり、その高いエネルギー変換効率か ら、次世代の環境調和型エネルギー変換システムとして期待されている。そのなかでもイオン導電性セラミック スを電解質に用いる SOFC は、高い動作温度ゆえに、電極反応に伴うエネルギーロスが小さい、燃料適応性に 優れる、排熱を利用したコンバインドサイクルの構築が可能である、等の特徴を有しており、分散型電源や大 電力発電システムとして、実用化に向けた活発な研究が進められている。SOFC のさらなる高性能化、高効率 化、長寿命化を図るためには、電池作動時の各構成材料(電解質、空気極、燃料極など)の化学・物理状態を 正確に把握することが必要不可欠である。しかしながら、SOFC は、高温、特殊雰囲気(酸素,水素雰囲気)、

通電状態という、通常の分析手法にとって苛酷な条件で作動する。そのため、これまで SOFC 作動時の各構成 材料の状態を正確に評価する手法は非常に限定されていた。

3. その場 XAS 測定 前節までに述べた背景を踏まえ、我々は、京都大学、高輝度光科学研究センター

(JASRI)との共同研究により、高温、制御雰囲気、通電状態における測定が可能な、各種その場 XAS 測定技 術の開発を行ってきた。ここでは、そのうちの一つであるその場マイクロ XAS 測定について述べる。

(図 1)に、SPring-8 の BL37XU において行っているその場マイクロ XAS 測定装置の外観を示す。図中の試料 ホルダーは、中央に SOFC ハーフセルを配置し、ホルダー後部から電極(作用極、対極、参照極)リード線を取 ることにより、3 電極方式でセルへの通電が可能な構造となっている。またホルダー全体をカプトン膜付の蓋で 覆うことにより、内部の雰囲気(例えば酸素分圧)を制御することができる。入射 X 線は、ビームライン付属の K-B ミラーによって、0.7 x 1.5μm のビームサイズに集光させ、μm オーダーの位置分解能での測定を可能として いる。

(16)

電 解 質 に Mn 添 加 イ ッ ト リ ア 安 定 化 ジ ル コ ニ ア

(Mn-YSZ)を、モデル空気極に Pt 緻密薄膜電極を用い た際に測定された Mn K 吸収端の XANES スペクトルを (図 2)に示す。スペクトルは,電極界面から 30μm の電解 質内において、開回路および電圧印加時に測定した。

図より明らかな通り、電圧を印加することにより、吸収端 位置が低エネルギー側にシフトする傾向が観測された。

一般に、XANES スペクトルの吸収端位置は、測定元素 の酸化状態を反映しており、低エネルギーになるほど低 価数状態にあると言われている。すなわち(図 2) の結 果は、電解質における酸素ポテンシャルが、電圧印加 により、開回路時に比べ還元状態になることを示してい る。このような酸素ポテンシャルの変化が電解質内でど

のように生じているかを明らかにするために、同様の測定を電解質内の様々な位置において行った。得られた XANES スペクトルの吸収端ピークエネルギー値を、電解質内の位置に対してプロットしたものを(図 3)に示す。

横軸のx = 0 が、電解質/電極/気相界面(三相界面)直下に相当する。電極から離れた位置(x < ~100 μm)

では、吸収端エネルギーは開回路時とほとんど変わりなかった。一方、三相界面直下近傍(100 < x < 100 μm)では、吸収端エネルギーが急激に低エネルギー側に変化した。またその変化量は、電極からの距離が遠 くなるにつれて小さくなった。用いた Pt 緻密薄膜電極では、三相界面近傍においてのみ酸素ガスの電気化学 還元反応が生じていると考えられる。以上の結果は、Pt 電極では反応場が三相界面に限定されているために、

その近傍において電流が集中し、局所的に酸素ポテンシャルの変化が生じていることを示している。このような SOFC 電解質中における酸素ポテンシャル分布については、コンピューターシミュレーションにより評価した例 は数多くあるが、実際に実験的に観測した例は本研究が初めてである。

4. 結言 以上で述べた通り、XAS 測定は、SOFC で用いられる各種材料のその場分析に有効である。これに より得られる情報は、SOFC 材料の熱力学的・機械的安定性の評価、セル・スタック構造の設計、運転条件の 最適化などを行うにあたり、非常に有益である。同様の測定は、SOFC に限らず、特殊条件下で用いられる材 料のその場分析にも適用可能であろう。本発表では,上述のその場マイクロ XAS 測定を含め、我々により開発 された各種その場 XAS 測定技術を紹介するが、これらが皆様の研究の一助となれば幸いである。

図 1:SPring8 のビームライン BL37XU に設置された

その場マイクロ XAS 測定装置の概観 図 2:開回路及び閉回路時の Mn-YSZ 電解質

(973K)における Mn K 吸収端の XANES スペクトル

図 3:閉回路時の Mn-YSZ 電解質(973K)における Mn K 吸収端のピークエネルギーの位置分布

(17)

航空宇宙分野における分子イメージング技術の可能性

渡辺 重哉 宇宙航空研究開発機構

1. はじめに ~ 分子イメージング技術の現状

分子イメージング技術について、当「分子イメージングフォーラム」では、「流体分野をはじめ幅広い分野での ブレークスルーとなりうる[機能性]分子を用いたイメージング技術」として定義してきた。

本技術の特徴は、1)光学計測が主体であること、2)非接触/非侵襲(non-intrusive)な計測が可能であること、

3)供試体が簡易(物理的な細工が不要)であること、4)一般的に高解像度な計測が可能であること、5)面~空 間計測(2~3次元)により多くの情報量を取得できること、5)定性的な可視化技術だけでなく定量計測技術も発 達してきていること、である。

近年、本技術は理工学や医学など広範囲の分野において活用され、これまで取得することの出来なかった 詳細な情報の提供を通じて、学術の発展および各種技術の向上に貢献しつつある。

航空宇宙分野においても、特に流体分野では、感圧色素を用いて表面圧力分布を計測する感圧塗料法 (Pressure-Sensitive Paint: PSP)(1)、同様に表面温度を計測する感温塗料法 (Temperature-Sensitive Paint:

TSP)、気流に導入した蛍光分子により気体の密度や温度を計測するレーザ誘起蛍光法 (Laser-Induced Flu- orescence: LIF)などが実用レベルで活用されつつある。これらの分子イメージング技術により、これまでの点計 測を中心とした手法から面や空間の計測へと拡張され、現象の理解を助けるだけでなく、積分量等のより高精 度な計測が可能となるとともに、センサを組み込むことが困難だった領域の計測が可能となるなど、学術的な 価値だけでなく、製品開発などの実用面での技術的な貢献も非常に大きい。現在開発中の国産小型旅客機 MRJ (Mitsubishi Regional Jet)の構造設計用データの取得のために感圧塗料技術が用いられたケースなどは その好例であろう(2)

一方、エンジンの分野では、高温の反応性流れを対象とすることやファン、タービンなどの回転要素を含む 内部流を扱うことになるために光学的アクセスが困難であることなどから、分子イメージング技術の適用は遅 れており、上記のLIFに加え、CARS (Coherent Anti-Stokes Raman Spectroscopy )による燃焼流の温度測定

(点計測)などが行われている程度に過ぎない。

また、構造/材料分野においても分子イメージング技術の適用は現状のところ稀である。

本稿では、航空宇宙分野における分子イージング技術のさらなる活用の促進を目的として、将来の適用が 期待される分野や技術課題について概観する。

2. 空力分野における可能性

空力分野において要求される計測状態量は、主なものだけでも1)空気力、2)圧力(表面、空間)、3)温度(表面、

空間)、4)流速、5)表面剪断応力、6)熱伝達率、7)気体組成など多岐にわたる。

現状、この中で最も広く活用されている分子イメージング技術は、詳細表面圧力分布の計測が可能な前述の PSPであり、従来の遷音速以上の高速流だけでなく低速流への適用が進んでいる(図1)(3)とともに、定常流だけ でなく非定常流の計測も可能となりつつある(図2)(4)。今後さらにその実用性を向上させるためには、1)塗料の 改良(複合塗料、低温度感度PSPの開発など;化学分野との連携が重要)、計測機器の高度化による計測精度 の向上や、2)塗装方法改善、計測機器/処理ソフトウェアの高度化、同時計測(PIV, 騒音, 遷移等との同時)の 実現によるデータ生産性(効率)の向上が重要である。また、1~10kHzの応答性能を当面の目標とした非定常 計測技術の開発が進めば、空力騒音、バフェット、ヘリブレード等の多くの領域への活用が可能となり、航空宇 宙分野のみならず、自動車、鉄道などのその他の輸送分野からの期待も大きい。

一方、速度場計測については、現在最も広く用いられている粒子画像流速測定法(Particle Image Veloci- metry: PIV) は、照明の粒子による散乱光画像を用いる計測手法であり、分子イメージング技術ではない。本 手法は実験室レベルから大型風洞までその適用範囲を拡大しつつある(図3)(5)が、1)個別の粒子ではなく粒子 群の平均速度を算出するため空間分解能が低い、2)気流に混入するシード粒子の気流追従遅れによる誤差 が存在する、3)シード粒子による風洞等の汚染や人体へ悪影響の問題があるなどのいくつかの欠点を抱えて いる。これらの欠点を解決する分子イメージング技術として、Molecular Tagging Velocimetry (MTV)法(6)の向上 が期待される。ただし、まだ実験室レベルでいろいろな可能性が研究されている段階であり、実用化するため には、空間分解能向上、高精度化、3次元計測への拡張、乱れの強い流れへの適用性の向上、適切なTagging 分子の選択(安全性を考慮)など課題も多い。

(18)

また、速度場と空間圧力(または温度)場を同時に計測する技術として、安部らがマイクロカプセル(粒径 13μm)にルテニウム錯体を付加した感圧/PIV粒子を用いる手法を提案しているが(7)、このような方法が実用化 されれば、速度と圧力を独立に測る必要がないという意味でデータ生産性が向上するとともに、数値流体力学 (CFD)の検証用の詳細データを取得するという観点でも有効である。

3. 構造・材料分野における可能性

構造・材料分野において要求される計測状態量としては、1)歪、2)応力、3)温度などがある。

これらの計測が可能な分子イメージング技術はほとんどないが、元Florida大のHubnerらによりLuminescent Brittle Coating (LBC)法とLuminescent Photoelastic Coating (LPC)法と呼ばれる歪計測法が提案されている(8)。 ただし、まだ実用化のレベルにはないようである。

一方、分子イメージング技術ではないが、「熱弾性応力測定法」と呼ばれる、材料の変形による断熱膨張/圧 縮に伴う温度変化から応力を計測する手法が「場の計測」手法として広く普及しつつある。ただし温度変化は 1/100~1/1000℃程度のオーダーで高精度計測が困難である点が大きな課題であり、将来的に分子イメージ ング技術により、この微小な温度変化を光学的手法等により拡大することができれば、その有用性は高い。

4. 航空エンジン分野における可能性

航空エンジンに関する計測状態量としては、1)圧力(表面、空間)、2)温度(表面、空間)、3)流速、4)気体組成、

5)歪などがあり、空力分野と共通のものが多い。一方、空力分野と異なる計測上の制約として、高速回転、高 温、内部流(光学アクセス悪い)がある。

本分野での分子イメージング技術への期待の一つは、コンプレッサ動翼ブレードの非定常圧力計測である。

静翼は回転しないため圧力分布は計測可能だが、高速回転する動翼には圧力センサの埋め込みは困難であ り、非定常PSPの適用が期待される。静翼と動翼の干渉でブレード上の圧力が数十kHz程度の高周波数で変 動するため、それに対応可能な高速応答PSPや高感度カメラ、高出力レーザの開発や、温度依存性の補償方 法や光学アクセスの確保方法などの計測手法の工夫などがカギとなる。

5. まとめ

航空宇宙分野への分子イメージング技術の適用は、PSP、TSPを中心として確実に拡大しつつあり、本技術 の導入による面/空間の高解像度計測、高効率/低コスト計測、非定常計測が期待されている。今後、多くのコ ンセプトレベルの手法を実用化して行くためには、更なる技術の向上が必須である。また、分子イメージング技 術は多分野への適用可能性があり、流体分野だけでなく視野を広げて適用先を探すことが重要と考えられる。

最後に、分子イメージング技術の上記のような発展を実現するためには、航空宇宙分野と化学分野の研究者・

技術者、計測機器技術者との連携が不可欠であることを強調しておきたい。

謝辞 本稿の作成に当たっては、JAXA研究開発本部 石川隆司氏、坂上博隆氏、飯島由美氏、中北和之氏、

加藤裕之氏、満尾和徳氏、栗田充氏、杉本直氏、武田真一氏、西澤敏雄氏から助言、協力を賜った。ここに厚 く感謝の意を表する。

参考文献

(1) Nakakita, K., Kurita, M., Mitsuo, K., and Watanabe, S., “Practical pressure-sensitive paint measurement system for industrial wind tunnels at JAXA,”

Meas. Sci. Technol. 17, 2006, pp. 359–366.

(2) 栗田他, “感圧塗料計測技術の実用性向上による開発風洞試験への適用,” 第44回飛行機シンポジウム講演集, 2006.

(3) Mitsuo, K., et al., “PSP Measurement of a High-Lift-Device Model in JAXA 6.5m×5.5m Low- Speed Wind Tun- nel,” AIAA-2007-1065, 2007.

(4) Nakakita, K. and Arizono, H., “Visualization of Unsteady Pressure Behavior of Transonic Flutter Using Pres- sure-Sensitive Paint Measurement,” AIAA-2009-3847, 2009.

(5) Watanabe, S., Kato, H., Kwak, D-Y., Shirotake, M., and Rinoie, K., “Stereoscopic PIV measurements of leading edge separation vortices on a cranked arrow wing,” Meas. Sci. Technol. 15, 2004, pp. 1079–1089.

(6) Koochesfahani, M. M., “Molecular Tagging Velocimetry (MTV) - Progress and applications,” AIAA-1999-3786, 1999.

(19)

(7) 安部ら, “PIV-PSP hybrid systemによる空間の酸素濃度分布と速度分布の同時可視化計測,” 可視化情報, Vol.

24, Suppl. No. 1, 2004, pp. 399-402.

(8) Hubner, J., et al., “Luminescent Strain Sensitive Coatings, ” AIAA-2003-1437, 2003.

α=15deg α=10deg

α=5deg

Cp Cp Cp

1 1 1

0 0 0

-1 -1 -1

-2

-2 -2

-3 -3 -3

-4 -4 -4

-5 -5 -5

フラップ

エンジンナセル スラット

迎角α=5deg α=10deg α=15deg

迎角

図1:高揚力装置半裁模型の低速PSP計測結果(風速60m/s)(3)

30.1899 s

+9.5 ms +0.5 ms

+1.0 ms

+1.5 ms

+2.0 ms

+2.5 ms

+3.0 ms

+3.5 ms

+4.0 ms

+4.5 ms

+5.0 ms

+5.5 ms

+6.0 ms

+6.5 ms

+7.0 ms

+7.5 ms

+8.0 ms

+8.5 ms

+9.0 ms

衝撃波

時系列

図2:陽極酸化型非定常PSPによる後退翼の遷音速フラッター計測結果(4) (白が圧力低、黒が圧力高)。

α = 20°

α = 20°

α = 12°

α = 12°

図3:PIVによるクランクトアロー翼上面の前縁剥離渦の速度場計測結果(流線と渦度)(5)

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パラジウムオクタエチルポルフィリンを使った超高感度二次元酸素センサの開発

小栗一将 野牧秀隆 菅寿美 北里洋 海洋研究開発機構

生物地球化学分野では、地質時代に存在した、酸素が欠乏した海洋環境の理解や、現在の地球温暖化に伴 う海洋の酸性化と、それに伴う酸素濃度の減少についての理解が求められている。海洋研究開発機構では、

海底における生物と環境との関わりを理解するため、海底現場で、生元素として最も重要な分子である酸素の 分布・拡散・消費の観測を行っている。本発表では、平成 20 年度「よこすか-しんかい 6500」YK08-11 航海に おいて、インド洋・アラビア海海底における生元素循環解明のための調査の一環として行われた、深海で使用 するための超高感度二次元酸素センサの開発と、実際の観測結果について報告する。

アラビア海(図 1)は、モンスーンの影響を強く受け、硝酸塩に富んだ海水が海洋表層に達することで、莫大な 量の植物プランクトンが増殖する(1)。これらは死んで水中を沈降する際に好気分解を受けるが、このときに水 中の酸素が消費され、水深 200~600m には、酸素はほとんど溶存しない(図 2)。

酸素濃度がきわめて低い海底で、濃度プロファイルを測定するには現場観測技術は不可欠である。なぜな ら、海底で採取された試料を船上で採取する際、大気中の酸素の汚染を受けるためである。また、海底は生物 活動が存在するため、酸素をはじめとする親生物元素の分布は不均質であると考えられる。このため、酸素に 対して感度・精度がきわめて高く、かつプロファイルの二次元分布を測定できるセンサの開発が不可欠である。

この問題を解決するため、酸素消光性が極めて高い、PdOEP(2)を使用した二次元酸素センサと、その現場校 正方法を開発した。センサは、ポリスチレンペレットと PdOEP をトルエンに溶かした溶液を OHP フィルム上に延 ばし、トルエンを蒸発させた後、熱処理を施して作成した。センサのサイズは約 10cm×10cm である。このセン サを水槽内のガラス面に貼り付け、堆積物と水を入れた後、燐光のライフタイムイメージング法によって、酸素 濃度分布に対する燐光の発光寿命分布を計測した(図 3)。

実験の結果、製作した PdOEP センサが発する燐光の寿命は、濃度 30μM 以下においては酸素濃度と反比 例の関係が確認できたが、それ以上の濃度では関係が崩れることが分かった(図 4)。原因は、発光強度の減 少が、寿命の変換に用いる指数関数を外れるためである。しかし、アラビア海海底の観測点における酸素濃度 は 30μM よりも低いため、従来の指数関数を用いても問題なく使用できる。

(図 5)は、PdOEP センサ、制御コンピューターやバッテリーなどを搭載した観測装置である。これらの機器はラ ンダーシステム(3)と呼ばれる水中エレベーターに搭載され、船上から自由落下によって海底に運ばれる。一台 の容器にはアクリル製の耐圧窓が付き、その前面には、センサを取り付けた潜望鏡がマウントされている。ラン ダーシステムは海底に着底後、「しんかい 6500」のアーム操作によって、着底による海底の巻き上がりの影響 のない場所に移動させられる。その後、マニピュレーターによってスイッチが入れられ、観測を開始する。装置 に電源が入るとモーターの力によって潜望鏡部分が海底にささり、適切な位置に達するとモーターが停止し、

マルチゲート CCD カメラと制御 PC がそれぞれ起動する。測定はバッテリーの消費を考慮し、一時間間隔で行 った。ランダーシステムは、測定終了後、船上からウエイト切り離しの音響信号を受信してウエイトを切り離す。

これによって浮力が働き、ランダーは上昇を始める。回収は、ランダーが海面に到達したところで行われる。下 降・上昇中のランダーの位置は、音響計測によって常に船上でモニタされている。

PdOEP は、低酸素濃度領域においてきわめて高い感度特性を示すが、低酸素濃度の溶液を安定に保つこ とが難しいため、実験室での校正は困難である。そこで本観測では、装置を海底に降下させる間、リファレンス センサを使い、酸素濃度の測定と燐光の発光寿命測定を同時に行い、回収後にこれらのデータを照らし合わ

(21)

せることで校正を行う、現場校正法を開発した(図 6)。

(図 7)は、アラビア海、水深 800m における海底の酸素濃度分布と、燐光の強度画像である。酸素濃度測定に は、燐光の寿命計測法を用いているため、透過型のセンサホイルを用い、燐光の強度画像を堆積物断面のモ ノクロ画像として得ることもできる(4)。水中の酸素濃度 1.5~5μM と非常に低いものの、時間によって濃度の変 動を伴うことが明らかになった。変化の周期が約 12 時間であったことから、この変動は潮汐サイクルに関係す るらしいことが推測されるが、詳細は解析中である。

PdOEP を使ったセンサと現場校正法の開発によって、これまで測定が不可能とされてきた、低酸素濃度領域 における海底の二次元酸素濃度プロファイルを時系列観測することに成功した。

謝辞:観測・研究を進めるにあたり、「よこすか」YK08-11 航海クルー、「しんかい 6500」チーム、乗船研究支 援員、乗船研究者の方々には並々ならぬ協力を頂きました。ここに深く謝意を表します。この研究には、

JAMSTEC 研究費、科学研究費補助金(基盤研究(A) 17204046、若手研究(B) 18710021)を使用しました。

参考文献

(1) Habeebrehman, H. et al. “Variability in biological responses influenced by upwelling events in the Eastern Arabian Sea”. Journal of Marine Systems 2008, vol74, pp545 - 560.

(2) Amao, Y. et al “Optical oxygen detection based on luminescence change of metalloporphyrins immobilized in poly(isobutylmethacrylate-co-trifluoroethylmethacrylate) film” Analytica Chimica Acta 2000, vol421, 167 – 174.

(3) Tengberg, A. et al. “Benthic chamber and profiling landers in oceanography - A review of design, technical solutions and functioning” Progress in Oceanography 1995, vol35, 253 - 295.

(4) Holst, G. and Grunwald, B. “Luminescence lifetime imaging with transparent oxygen optodes” Sensors and Actuators B Chemistry 2001, vol74, pp78 – 90.

図 1:観測地点。

(22)

図 2:アラビア海における温度、塩分、溶存酸素濃度プロファイル。測定は YK08-11 航海で実施。

図 3:水中(室温)の酸素濃度と、様々な酸素消光性色素が発する燐光の発光寿命の関係。PtOEP:白金オクタエチ ルポルフィリン、RuDPP:トリス (4, 7-ジフェニル-1, 10-フェナントロリン)ルテニウム (II)クロリド、PdOEP:パラジウム オクタエチルポルフィリン。

(23)

図 4:ポリスチレン-PdOEP センサホイルが発する燐光の強度の時間変化。酸素濃度 30μM 以上では、消光特性は 指数関数曲線を外れる。

図 5:二次元酸素センサと制御装置を搭載した、ランダーシステム。写真左:ランダーシステム全体。写真右上:セン サ部分と制御部分。写真右下:センサを貼り付けた潜望鏡部分。この潜望鏡を海底に突き刺して、断面の酸素濃度 イメージングを行う。

(24)

図 6:二次元酸素センサの校正方法。降下中のランダーシステムは、水中においてもセンサが発する燐光の寿命計 測を行う。回収後、別の酸素センサが記録した酸素濃度と照らし合わせることで、発光寿命と酸素濃度の三点検量 を行う。左の三枚の画像は、600m, 900m, そして 1100m で測定した、センサの発光寿命画像である。なお、校正は水 深 1200m の測点で実施した。

(25)

図 7:二次元酸素センサが測定した、アラビア海水深 800m における堆積物-水境界における酸素濃度分布と、同時 に取得された燐光の強度画像(断面のモノクロ画像)。上:低酸素濃度時、下:高酸素濃度時の酸素濃度プロファイ ルと海底の様子。

YK08-11 JAMSTEC YK08-11 JAMSTEC

YK08-11 JAMSTEC YK08-11 JAMSTEC

図 1:元素分布と同位体分布の比較例。
図 4:隕石中のプレソーラー粒子の観測例。
図 1:観測地点。
図 2:アラビア海における温度、塩分、溶存酸素濃度プロファイル。測定は YK08-11 航海で実施。
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参照

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