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播種性 Fusarium solani 感染症を合併した Ph

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Academic year: 2021

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(1)

医療の高度化に伴い Compromised host が増加 している現在,深在性真菌症の早期診断・治療は 極めて重要である.なかでも急性白血病は強力な 化学療法を行うため,深在性真菌症の合併は予後 を大きく左右する.

今回我々は,急性リンパ芽球性白血病の化学療 法中に本邦ではまれな Fusarium solani による深 在性真菌症を発症した剖検例を経験したので,真 菌学的考察を加えて報告する.

患者:56 歳,女性.

主訴:下痢,発熱.

既往歴:50 歳子宮筋腫摘出.

家族歴:祖母胃癌,伯父骨肉腫.

現病歴:1999 年 5 月 10 日,下痢を伴なう 39.5

℃の発熱を主訴として近医受診.抗菌薬の投与に よって症状は改善した.6 月 28 日,白血球の著増 を指摘され,本院血液内科に紹介され即日入院と なった.

入院時現症:身長 158.6cm,体重 52.9kg,体温

37.0℃,脈拍 88 ! 分整,血圧 128 ! 76mmHg,眼瞼結 膜に貧血,呼吸音清明.黄疸,心雑音および皮疹 なく,下腹部に手術痕を認めた.

入院時検査所見(Table 1) :WBC 60,000 ! µ l と 著増,芽球を 87% 認めた.Hb 12.1g ! dl,Platelet 18.2×10

4

! µ l.GOT 50 IU ! l ,GPT 74 IU ! l , γ -GTP 151 IU! l ,CRP 1.1mg! dl と 軽 度 増 加,LDH 639 IU ! l と高値.胸部単純 X 線には異常を認めず.骨 髄穿刺の結果,Ph

1

染色体陽性急性リンパ芽球性 白血病(ALL)と診断した.

臨床経過(Fig. 1) :直ちに厚生省リンパ腫研究 グループによるプロトコールにて化学療法を開始 し,9 月には完全寛解を得た.11 月 12 日の末梢血 において芽球が 21.5% 再出現し,Fluorescence in situ hybridization にて Ph

1

染色体が 6.3% と陽性 となり再発と診断.3 剤併用による再寛解導入療 法(enocitabine,mitoxantrone,etoposide)を開 始した.2000 年 1 月 31 日,左眼に中心性視野欠損 が出現,真菌性眼内炎と診断された.また 2 月 4 日に右前腕部に硬結を伴う腫脹が出現,その後紅 霞を伴う小水泡を全身に認めるようになった.2 月 14 日,WBC 40,000 ! µ l,芽球 79.0% となったた め,再度化学療法を開始した.開始後 4 日目には Nadir となり 2 月 20 日に 38℃ の発熱を認めた.2 月 22 日,胸部 X 線にて両下肺野を中心とした浸

播種性 Fusarium solani 感染症を合併した Ph

1

陽性 急性リンパ芽球性白血病の 1 剖検例

滋賀県立成人病センター検査部1),滋賀県立成人病センター血液内科2),神戸大学医学部附属病院中央検査部3)

西尾 久明

1)

川村 (榊原) 和子

2)

鈴木 孝世

2)

内海 貴彦

2)

木下 承晧

3)

(平成 13 年 7 月 30 日受付)

(平成 13 年 9 月 7 日受理)

症例報告

別刷請求先:(〒524―8524)滋賀県守山市守山五丁目 4 番 30 号

滋賀県立成人病センター検査部

西尾 久明

Key words: Fusarium solani, fungemia, Acute Lymphoblastic Leukemia

(2)

Table 1 Laboratory Findings on Admission

< Serology >

< Blood chemistry >

< Hematology >

mg/dl 1.1  CRP

g/dl 8.3  TP

/µl 60,000  WBC

(−)

 Hbs-Ag IU/l

50  GOT

% 3.0   Band

(−)

 HCV-Ab IU/l

74  GPT

% 1.0   Seg

mg/dl 1,418 IU/l  IgG

639  LDH

% 8.0   Lymph

mg/dl 132 IU/l  IgA

590  ALP

% 0.5   Mono

mg/dl 193 IU/l  IgM

151  γ-GTP

% 0.5   Meta

< Urine analysis > mg/dl

0.55  T-Bil

% 87.0   Blast

7.0  pH

mg/dl 5.3 /µl  UA

399 × 104  RBC

(−)

 Protein mg/dl

18.2  BUN

g/dl 12.1  Hb

(−)

 Glucose mg/dl

0.6  Cr

% 36.0  Ht

(2 +)

 Occult blood mEq/l

140 /µl  Na

18.2 × 104  PLT

< Coagulation > mEq/l

4.2  K

< Bone Marrow >

(INR)

1.08 mEq/l  PT

103 /µl  Cl

104.7 × 104  NCC

sec 26.4  APTT

mg/dl 134  FBS

/µl 81  Megk

mg/dl 404  Fib

% 91.5  Blast

(+)

 Ph1

Fig. 1 Clinical course

AMK:amikacin, ISP:isepamicin, IPM!CS:imipenem!cilastatin, MEPM:mero- penem, PAPM!BP:panipenem!betamipron, TEIC:teicoplanin, VCM:vancomycin, MINO:minocycline, CLDM:clindamycin, MCZ:miconazole, FLCZ:fluconazole, AMPH-B:amphotericin B, ST:sulfamethoxazole-trimethoprim

(3)

a a

b b

cc

潤影を認めた. β -D グルカンが 134.4pg ! ml と上昇 したため真菌性肺炎を疑い,2 月 24 日から Am- photericin B(AMPH-B)を投与した.同時に施行 された血液培養において,培養 3 日目で真菌が検 出され,以降血液培養 7 検体中 5 検体から同一の 真菌が検出された. 2 月 28 日の胸部 X 線では全肺 にびまん性陰影を認め呼吸不全の状態に陥り,3 月 2 日に死亡された.

真菌学的所見(Fig. 2) :血液培養より検出され た真菌のグラム染色は,仮性菌糸を思わせる隔壁 不明瞭な菌糸と酵母様の真菌 (実際は小分生子) を 認めたが,大分生子は認めなかった.しかし 2 日 目の CHROMagar Candida(関東化学) のコロニー 所見から糸状菌を疑い,巨大集落の観察とスライ ド培養を行った.巨大集落は 25℃,6 日間培養で 直径 6.1cm に発育し, 灰白色・羊毛状となった.

スライド培養では,小分生子(長径 10×3 µ m,円 筒形),大分生子(同 25〜35×5 µ m,三日月形),

厚膜胞子(直径 4 µ m,球形)および分生子柄(20

〜30 µ m)を認めた.以上の所見より Fusarium so- lani と同定した.分離菌の薬剤感受性を日本医真 菌学会標準化提案法に基づいた微量液体希釈法に より,MIC で調べた.AMPH-B,Fluconazole,Mi- conazole,Flucytocin,Itraconazole に対する MIC は各々 1, >64, >16, >64, >8 µ g ! ml であった.

病理組織学的所見:右前腕部の硬結を伴う腫脹 に対し生検が施行され,深部皮膚の血管内腔に菌 糸の断片を認めた(Fig. 3a).剖検において眼の硝 子体腔,網膜,脈絡膜および強膜に真菌が確認さ れた.特に脈絡膜には密に分布し,放射状に菌糸 が伸長していた (Fig. 3b) .肺臓においてもびまん 性に真菌が確認され,特に血管壁内には集塊状に 分布していた.他に心臓および腎臓からも真菌が 検出された.これらの真菌は,いずれも有隔菌糸 であることから血液培養で検出された F. solani で あることが示唆された.

Fusarium spp.は植物病原菌であるが,ヒトに対

しても角膜炎等の局所感染と,白血病患者などの compromised host に対する播種性感染を起こす ことで近年注目されている.Fusarium spp.による

深在性真菌症の報告は 1973 年 2 歳の急性白血病 患者に始まり

1)

,海外では 50 例以上,本邦におい ても 10 例以上の報告があり近年増加傾向にある.

発熱とともに有痛性で赤色丘疹や小結節を全身に 生じ, 血液培養での検出率が約 50% になるのが播

Fig. 2 Photomicrograph of

Fusarium solani

a.Monophialide? of

Fusarium solani(Gram stain from

blood culture)×1000

b.Microconidia of

Fusarium solani(Gram stain from

blood culture)×1000

c.Macrocondia, microcondia and chlamydospore Mi- crocondia are formed from monophialides .( Slide culture)×200

(4)

a a

b b

種 性 感 染 の 特 徴 で あ る

2)

.52 症 例 を 調 査 し た Susan ら

3)

によると, Fusarium spp.が確認されやす い臓器は,皮膚(85%) ,肺臓(37%) ,鼻咽腔お よび喉頭(25%)であり,今回我々が確認した眼 は組織診断を受けにくい臓器であるためか低確認 率(6%)であった.本症例では,肺臓,心臓,腎 臓および眼から F. solani と考えられる真菌を認 め,血液培養においても 7 回中 5 回に同一の真菌 を認めたことから播種性感染であったと考えられ る.

成人 ALL は化学療法によって 80% の症例に おいて完全寛解を得られるが,多くは再発し,長 期無病生存率は 20〜35% にすぎない予後不良な 疾患群である.特に本症例は,Ph

1

染色体陽性であ ること,56 歳と比較的高齢であること,初診時の

WBC が 60,000 ! µ l と増加していたことなどから ALL の中でも特に high risk group と考えられ強 力な化学療法を施行する必要があった.疾患自体 の易感染性に加え,化学療法による強い骨髄抑制 とその回復の遅延により, 日和見感染症

4)

として本 症を発症したものと考える.本症の感染経路は血 管内留置カテーテル,皮膚,副鼻腔,胃腸などが 報告されているが,本症例においては感染経路を 特定することはできなかった.しかし皮膚症状が 出現する以前から視野欠損を認め,長期に IVH カテーテルを留置していたことより,原因がカ テーテルによるものと推測される.

血液培養で F. solani が検出される以前に, β -D グルカンが 134.4pg! ml と高値を示し,さらに病状 の 進 行 と と も に 上 昇 し た.Yoshida ら

5)

は, β -D グルカンの測定は Fusarium 症においても有用で あることを報告している.近年 PCR 法を用いた検 出

6)

も試みられ,今後用いるべき検査法である.

本真菌症に対する治療として AMPH-B の投与 を行ったが,副作用のため中止した.本症例にお いて検討した AMPH-B 以外の抗真菌剤はすべて 耐性であったことから,Fusarium spp.に抗菌力の ある抗真菌剤の開発が待たれる.Sarah ら

7)

はトリ アゾール系抗真菌剤である Voriconazole の検討 を行い,比較的良好な MIC が得られたと報告して おり,将来日本において使用される選択肢が増加 するものと期待される.

Fusarium 症は今後本邦においても注意すべき

真菌症であると考えられ,その診断法および治療 法についてのさらなる研究が必要であると考え る.

謝辞:病理組織学的所見を御教示頂きました滋賀県立 成人病センター病理部武内英二先生に感謝致します.

1)Paul EN, Dignani MC, Elias JA:Taxonomy, Biol- ogy , and Clinical Aspects of

Fusarium

Species . Clin Microbiol Rev 1994;7:479―504.

2)Mario V, Alessandra M, Giuseppe G, Luciano P, Giulia M, Paolo B,

et al

.:Invasive

Fusarium solani

Infection in Patients with Acute Leukemia. Rev Infect Dis 1988;10:653―60.

3)Susan JB, Jeffrey PC, Donna NR, Lisa MC:Dis- Fig. 3 Histological findings

a.Skin lesion.

Fragments of hyphae were found in the vascular lumen of the deep dermis.(Grocott stain)×400 b.Ocular lesion.

Many hyphae were distributed from vitreous to sclera.(Grocott stain)×100

(5)

seminated

Fusarium solani

infection. J Am Acad Dermatol 1995;32:346―51.

4)Yildiran ST, Komurcu S, Sarach MA, Gonlum A, Beyan C, Gun H,

et al

.:Fusariumfungemia in se- verely neutropenic patient. mycoses 1998;40:

467―9

5)Yoshida M, Obayashi T, Iwata A, Ito M, Tsunoda S, Suzuki T,

et al

.:Detection of plasma(1→3)-β- D-glucan in patients with

Fusarium, Trichosporon, Saccharomyces

and

Acremonium

fungaemias . J

Med Vet Mycol 1997;35:371―4.

6)Francois XH, Michel H, Marie AR, Claude DB:

Specific Detection of

Fusarium

Species in Blood and Tissues by a PCR Technique. J Clin Micro- biol 1999;37:2434―8.

7)Sarah AR, Elizabeth MJ, David WW:In Vitro Studies of Activity of Voriconazole(UK-109, 496), a New Triazole Antifungal Agent, against Eme- rging and Less-Common Mold Pathogens. Antim- icrob Agents Chemother 1997;41:841―3.

An Autopsy Case of Ph

1

−Positive Acute Lymphoblastic Leukemia with Disseminated Infection of Fusarium solani

Hisaaki NISHIO

1)

, Kazuko-SAKAKIBARA-KAWAMURA

2)

, Takayo SUZUKI

2)

, Takahiko UTSUMI

2)

& Shohiro KINOSHITA

3)

1)

Department of Clinical Laboratory, Shiga Medical Center for Adults

2)

Department of Hematology and Oncology, Shiga Medical Center for Adults

3)

Department of Clinical Laboratory, Kobe University Hospital

A 56-year-old woman with Ph

1

-Positive acute Lymphoblastic Leukemia was admitted to our hos- pital for induction chemotherapy in June 1999. The patient was presented with a central scotoma of left eye during treatment course and was given diagnosis of endophthalmitis. Thereafter she also de- veloped skin induration and suffered from serious pneumonia.

Amphotericin B administration was started because of high titer of β -D-glucan, but soon discon- tinued due to its adverse effect. Blood cultures yielded colonies of fungus and it was identified Fusa- rium solani. Her general condition deteriorated with progression of pneumonia, and she died of respi- ratory insufficiency. Autopsy was performed, and its specimen revealed the disseminated infection of Fusarium solani(lung, eye, heart, kidney and skin) .

We should pay special attention to the fusariosis in Japan also.

〔J.J.A. Inf. D. 76:67〜71, 2002〕

Fig. 1 Clinical course
Fig. 2 Photomicrograph of Fusarium solani a.Monophialide? of Fusarium solani(Gram stain from

参照

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