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曲線と曲面の幾何学・講義ノート

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Academic year: 2021

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(1)

曲線と曲面の幾何学・講義ノート

第 11

(20201216()配信分)

(2)

§ 4. 曲面上の曲線

 この § では、曲面上の曲線について考える。一般に C

2

級曲面 M に向きを定めておき、各点 P に対し上向き単位法ベクトルを

G(P ) で表すことにする。この対応 G M から単位球面への写

像と考えて、 Gauss 写像と呼ぶ。

 弧長媒介変数で表された M 上の C

2

級曲線

X (t) =

t

(x(t), y(t), z (t)) を考える。この曲線の曲率を考えると き、 § 1 同様にして、加速度ベクトルを考えたい。接平面に沿う進 行方向左側の単位法ベクトル(曲面の法ベクトルと区別して余法 ベクトルと言う)は、 N (t) = G(X (t)) × X

(t) で与えられるの

で、平面曲線の曲率を一般化するには

N (t), X

′′

(t) = G(X (t)) × X

(t), X

′′

(t) = | G(X (t)), X

(t), X

′′

(t) |

とするのが、極めて自然である。これを測地曲率と呼ぶ。

(3)

測地曲率が恒等的に 0 である曲線を測地線と呼ぶ。これは曲面上 の少なくとも短い区間では最短距離を実現している曲線である。

平面上の直線に相当するものである。球面上では大円(中心を通 る平面による切り口)がこれにあたることが、常微分方程式

| G(X (t)), X

(t), X

′′

(t) | = 0

を解くことによって示される。

(4)

4.9  問 2.3 の曲線の、直円柱上の曲線としての測地曲率は、

xy - 平面上の曲線 y = f (x) の曲率(の絶対値)と一致することを 確かめよ。

t は弧長パラメーターではないので、まず測地曲率の定義を、弧長でないパラ メーターに書き換える。

4.14 M R

3

内の曲面、 G M Gauss 写像、 Π R

3

内の平面で、 M と交わるものとし、 X (t) は曲面 M を平面 Π

切った切り口に現れる曲線を弧長パラメーター表示したものとす る。 G(X (t))//Π ( t) のとき、 X (t) M 上の測地線であること

を示せ。

(5)

 より一般に、曲線上の各点に単位接ベクトル V (t) が与えられ

ているとき、この対応を曲線に沿う単位接ベクトル場と言う。以 下 V (t) C

1

級とする。特に

G(X (t)) × V (t), V

(t) = | G(X (t)), V (t), V

(t) | = 0

を満たすならば、平行ベクトル場と言う。この式は V

(t) V (t)

を含む垂直面からずれていないことを意味している。一方、 V (t)

は単位ベクトルであるから、 V

(t) V (t) とも直交する。従って

結局、 V

(t) G(X (t)) と平行でなければならない。測地線は、

速度ベクトル場が平行になる、すなわち進行方向がぶれていない

ような曲線であると言える。

(6)

t = t

0

における点 X (t

0

) で曲面の勝手な接ベクトル V

0

を与え

たとき、 V (t

0

) = V

0

を満たす X (t) に沿う平行ベクトル場が、た だ一つ存在することが、常微分方程式の一般論により示される。

このときの V

0

V (t) に対応させてゆく移動を X (t) に沿う平行

移動と言う。一般の曲面では、始点と終点が同じでも、曲線に よって平行移動の結果、写る先は異なる。

4.1  球面の場合に具体的にこれを見てみよ。

(7)

 平行ベクトル場 V (t) に対し、

P(t) = (G(X(t)), V (t), G(X(t)) × V (t))t(G(X(t0)), V (t0), G(X(t0)) × V (t0))

とおけば、 P (t) SO (3)

G(X (t)) = P (t)G(X (t

0

)), V (t) = P (t)V (t

0

),

G(X (t)) × V (t) = P (t)(G(X (t

0

)) × V (t

0

))

を満たし、かつ C

1

級である。

 ここで、点 X (t

0

) における任意の単位接ベクトル V

0

に対し、

ベクトル場 P (t)V

0

を考える。

V

0

= cos θV (t

0

) + sin θG(X (t

0

)) × V (t

0

)

と書ける。以下 c = cos θ, s = sin θ と略記する。

(8)

P (t)V

0

= cP (t)V (t

0

) + sP (t)(G(X (t

0

)) × V (t

0

))

= cV (t) + sG(X (t)) × V (t)

より、 P (t)V

0

V (t) G(X (t)) を軸として一定の角度 θ だけ回

転してできる単位接ベクトル場である。

V

0

によらず、 P (t)V

0

も平行ベクトル場である、すなわち同じ 曲線に沿う平行移動が共通の P (t) により表されることを示そう。

 今 V (t) は平行ベクトル場であるから、 V

(t) G(X (t)) と平

行より、 G(X (t)) × V

(t) = 0 である。一方 G(X (t)) は単位ベク

トルであることから、 (G(X (t)))

G(X (t)) と直交する。よっ

て、 (G(X (t)))

V (t) が線形独立ならば、 (G(X (t)))

× V (t) G(X (t)) と平行、 (G(X (t)))

V (t) が線形従属ならば、

(G(X (t)))

× V (t) = 0 より、

(9)

| G(X (t)), G(X (t)) × V (t), (G(X (t)) × V (t))

|

= | G(X (t)), G(X (t)) × V (t), (G(X (t)))

× V (t) | + | G(X (t)), G(X (t)) × V (t), G(X (t)) × V

(t) |

= 0

よって G(X (t)) × V (t) も平行ベクトル場となり、特に

(G(X (t)) × V (t))

G(X (t)) と平行である。

(10)

 よって、

| G(X (t)), cV (t) + sG(X (t)) × V (t), (cV (t) + sG(X (t)) × V (t))

|

= c

2

| G(X (t)), V (t), V

(t) |

+cs | G(X (t)), V (t), (G(X (t)) × V (t))

| +sc | G(X (t)), G(X (t)) × V (t), V

(t) |

+s

2

| G(X (t)), G(X (t)) × V (t), (G(X (t)) × V (t))

|

= 0

となり、 P (t)V

0

= cV (t) + sG(X (t)) × V (t) は平行ベクトル場と

なる。

 言い換えれば、

| G(X (t)), P (t)V

0

, P

(t)V

0

| = 0

が任意の V

0

に対して成り立つことが示されたことになる。

(11)

 同じ X (t) に沿う任意の単位接ベクトル場 W (t) に対し、

W (t) = cos θ(t)V (t) + sin θ(t)G(X (t)) × V (t)

と書ける。このとき

W

(t) = θ

(t) {− sin θ(t)V (t) + cos θ(t)G(X (t)) × V (t) } + cos θ(t)V

(t) + sin θ(t)(G(X (t)) × V (t))

だから、

| G(X (t)), W (t), W

(t) |

= θ

(t) | G(X (t)), cos θ(t)V (t) + sin θ(t)G(X (t)) × V (t),

sin θ(t)V (t) + cos θ(t)G(X (t)) × V (t) | + cos θ(t) | G(X (t)), W (t), V

(t) |

+ sin θ(t) | G(X (t)), W (t), (G(X (t)) × V (t))

|

(12)

ここで G(X (t)) V

(t) が平行より第2項は 0, G(X (t))

(G(X (t)) × V (t))

が平行より第3項も 0 である。よって与式は

|G(X(t)), W(t), W(t)|

= θ(t){−cosθ(t) sinθ(t)|G(X(t)), V (t), V (t)|

+ cos2 θ(t)|G(X(t)), V (t), G(X(t)) × V (t)|

sin2 θ(t)|G(X(t)), G(X(t)) × V (t), V (t)|

+ sinθ(t) cosθ(t)|G(X(t)), G(X(t)) × V (t), G(X(t)) × V (t)|}

= θ(t){−cosθ(t) sin θ(t) · 0 + cos2 θ(t) · 1

sin2 θ(t) · (1) + sinθ(t) cosθ(t) · 0}

= θ(t)

すなわち偏角の微分に一致する。

(13)

 特に W (t) = X

(t) ととれば、測地曲率がこれと一致する。

従って、測地曲率の積分は一般に、平行移動を基準に測った始点 と終点の速度ベクトルの偏角の差に一致する。しかし曲面上で は、始点と終点の速度ベクトルが一致する閉曲線に対しても、一 般には一周分の平行移動で単位ベクトルは元には戻らないので、

この偏角の差は、測地曲率の積分だけでは 2π の整数倍となると

は限らない。

(14)

第 10 回の問の解答

3.4

H = 0 のとき、主曲率を σ

1

, σ

2

とすると、 σ

1

+ σ

2

= 2H = 0

より、 Gauss 曲率は K = σ

1

σ

2

= σ

12

0 である。

(15)

3.5

ch(x)

2

h

(x)

2

1 = 0 よりまず c > 0 に注意する。

h

(x) = ±

ch(x)

2

1 なので z = h(x) に戻せば、

dz

cz

2

1 = ± dx

両辺を積分して、 z = 1

c cosh t で置換すれば、

1 c

dt = ±

dx

より、

1

c cosh

1

cz = 1

c t = ± x + c

(16)

よって、

z = 1

c cosh

c(x ± c

)

従って、 a := 1

c , b := c

と置き直せば

z = acosh x b a

を得る。

(17)

3.10

c > 0 のとき、 h(x) =

c

1

x

2

が常微分方程式

h

′′

(x) + ch(x)(1 + h

(x)

2

)

2

= 0 を満たすことを示せばよい。

3.11

 まず、常微分方程式 h

′′

(x) + ch(x)(1 + h

(x)

2

)

2

= 0 z = h(x)

のパラメーター表示 (x(t), z (t)) に書き直す。 z(t) = h(x(t)) より

z

(t) = h

(x(t))x

(t),

z

′′

(t) = h

′′

(x(t))x

(t)

2

+ h

(x(t))x

′′

(t)

であるから

h

(x(t)) = z

(t) x

(t)

h

′′

(x(t)) = z

′′

(t)x

(t) z

(t)x

′′

(t)

x

(t)

3

(18)

が成り立つ。これを代入して

x

(t)(z

′′

(t)x

(t) z

(t)x

′′

(t)) + cz(t)(x

(t)

2

+ z

(t)

2

)

2

= 0

を得る。

 後は、 c < 0 のとき、 tractrix のパラメーター表示において

a =

c

1

ととり、この常微分方程式を満たすことを示せば

よい。

参照

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講義の目標.

[R] Mark Ronan, Symmetry and the monster: one of the greatest quests of mathematics, 2006, Oxford