茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979),123一138. 123
時 代 色
文芸作品における色彩用語の出現度数による考察一一
木 村 俊 夫
(1978年9月30日受理)
Period Flavors:
An Investigation by Frequencies of Color Terms Used in正iterary Works
Toshio KIMuRA
(Received September 30,1978)
は し が き
本稿は,昭和53年4月22日開催の第9回日本色彩学会全国大会における「時代色一歌謡・短歌にお ける色彩語使用頻度による一」と題した特別講演の内容に若干の補筆を試みたものである。初め15分 の一→投講演として予稿を添付して申込んだところ,会期が迫ってから30分の特別講演に切替えられた ので予稿を書改める日時はなかったが,講演内容は来年用として温存していた資料を投入して一歌謡
・短歌・日記・物語に…一一と改めた。予稿集中の拙稿との内容上の差異はこのような事情に基くも のである。
1 時代色の概念
ここにいう時代色は広辞苑に「①その時代特有の傾向・特徴。②多くの年月を経てついた古色」と ある中の①の範疇に属する。この意味の時代色は,独語ではZeitbild,英語ではperiod flavor,
features(or characteristics)of an age(or a period)に該当するものであろう。ここに見 られるような時代色の色は別に色彩の意味ではない。
しかし,一・…・色彩語使用頻度による一という方法によって追求される時代色は,①の範疇に属し 更にそれが色彩に限定される。本稿は或る時代(年代)の文芸作品に見られる各種色彩語の出現頻度 の傾向・特徴の有無を検証しようとするものである。
上記の意味における時代色の探求は,一面ではやがて過去における顔料や染料の歴史的研究に繋が り,他面ではやがて時代精神の歴史的研究に繋がる,と考えられる。しかし,本稿では,生命の水を 目の粗い網で掬い漏すこと必定ではあるが,この種の問題領域開拓の基礎を築くものとして,専ら色 彩語出現度数の統計解析に終始するQしたがって,本稿にいう時代色は直ちには時代の世相とか精神
とかを意味しない。しかし,本稿が解明する時代色をそれぞれの時代における世相を理解する資料と したり時代精神の特殊的表現と解釈したりすることは,読者の自由であると考える。
124 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
2 個人の生涯における時代色一白秋の場合一
2.1 短歌の場合
1)
¥1は北原白秋の短歌制作活動の年代区分に若干の関係事項を添付したものである。表2は白秋の 短歌4247首を収載した河出書房版『白秋歌集』(全5冊,昭22)に見られる色彩語を色種別・年代別 2)
ノ集計したものである。金・銀は色沢用語であって厳密には色彩用語ではないが,或る年代の特性を 端的に表示するものとして仮りに収載した。
表2を,年代を因子とする一元型の計数分類値として眺め,隣接する年代間における色彩語出現傾 向の年代差を層合趣要因分析漁よ賄意水準25%セこおいて検定した結果は肋も有意差あり える。これは,色彩語出現傾向が年代に従って変遷しA1〜A7はそれぞれの年代色を持つことを意味 する,と解される。
表3は,表2の度数を順位に変換したものである。表3による隣接年代間およば全体・各年代間の 順位相関係数rs(−1/rs∠+1)を
求めると表4の如くである。色彩語使用 表1 白秋の短歌制作活動の年代区分
傾向の変遷は,表4の1によればA1〜A2
間,A2〜A3間において最も激しく,瑞〜A7 年代名 歌集名 制作年齢 刊行年齢 間がこ抽こ次ぐ,と解される。豆のα509と
A1 桐の花 桐の花 25〜28 29 (大2)
0.765はこれを裏打ちするものであろう。
順位相関係数のA、〜A2間における低 A2 雲母集 雲栂集 29〜30 31 (大4)
さは主として金・銀の順位上昇と青の順
ハ低下に基くものである,と解される。 A3 雀の卵 雀の卵マ想の秋 30〜37
@ 38
37 (大10)
R8 (大11)
2.2 詩の場合 A4 小田原 風隠集C 阪 39〜41 没後 白秋は歌人であると共に詩人でもあっ A5 多磨前期 白南風
イ 殿 42〜50 S3〜55
50 (昭9)
T5 (昭14)
た。表5は白秋の詩制作活動の年代区分
ノ短歌制作活動の年代区分をおおまかで A6 多磨後期 渓流唱
ノ 51 没後
はあるが対応させたものである。表6は ヘ出書房版『白秋詩集』(全5冊,昭22)
A7 薄明期 黒 桧イ丹の木 T6〜5853〜56 v後56 (昭15)
に見られる色彩語を表2と同様にして集
計したものである。 表2 白秋歌集における色彩語の出現度数
表6を表2の場合と同様に検定した結 赤燈黄緑青紫黒白灰金銀 計
果は,Bl〜B4に就いては有意水準Ob% A1 77 0 28 15 30 10 13 27 0 1 5 206 において年代差ありと言えるが,B4・B5 A2 92 0 0 7 5 2 9 14 0 23 10 162 間には有意水準5%の場合にも有意差あ A3 38 1 2 7 8 3 3 41 0 1 0 104 りとは言えない。 A4 76 3 19 22 15 3 15 41 1 2 0 197 表7は表6の度数を順位に変換したも A5 36 0 12 23 15 14 30 72 1 0 6 209 の,表8は,表7により算出した隣接年代 A6 23 0 7 2 5 1 22 33 0 0 2 95 間および全体・各年代間の順位相関係数 A7 13 0 2 1 1 2 24 39 0 4 1 87 である。色彩語使用傾向の変遷は表8の AT 355 4 70 77 79 35 116267 2 31 24 1060
1によれぽB3〜B4間が最も激しいと解さ
木 村:時 代 色 125
れるが,順位相関のB3〜B4間における
低さは主として緑・紫・白の順位の向 表3 表2の度数順位
上および銀の順位の低下に基くもので 赤 燈 黄 緑 青 紫 黒 白 灰 金 銀 ある。五の0.685と0.688はこの激しい A1 1 10。5 3 5 2 7 6 4 10.5 9 8
変遷が全体から眺めて特異な状況の中 A2 1 10 10 6 7 8 5 3 10 2 4
で生じたものであることを示している。 A3 2 8.5 7 4 3 5.5 55 1 105 8.5105
A4 1 75 4 3 55 7.5 55 2 10 9 11
2.3 短歌と詩の関係
A5 2 10,5 7 4 5 6 3 1 9 10。5 8
歌集データと詩集データを表9の如
A6 2 10 4 6.5 5 8 3 1 10 10 6.5
き二元型の計数分類値に組み込み層合
A7 3 10,5 55 8 8 55 2 1 10.5 4 8
ノ型要因分析を試みた結果は表10の如
AT 1 10 6 5 4 7 3 2 11 8 9
くである。表10は,文芸上の形式差や
年代差・形式差の交互作用が存在する 順位合計 12.067540.53(圭535!547.530.0 13.0705 53.056£[
にも拘わらず,年代差が存在すること 合計
㊧ハ 1 10 6 5 4 7 3 2 11 8 9
を示している。
表11は表9の度数を順位に変換した
ものであり,表12は表11によって求め 表4 隣接年代間および全体・各年代間の順位相関係数
られた同一年代における短歌・詩間の
順位相関係数である。この数値の年代 1 ∬ による変遷は表10の交互作用の有意性 隣接年代間 全体・各年代間 を裏打ちするものである。1また,A2・ α340 A・ α870
B3間の相関が他より低いのは黄・青の α411 A2 α509 A3 0.915
㊧ハ差が大きいことによる・ α89° 角 α963 0.808
A5 0、9200,894
A6 α901
R民族の歴史1こおける α718 A7 α765
時代色一大和・平安・
鎌倉室町の場合一
表5 白秋の詩制作活動の年代区分 3.1 歌謡・短歌の場合
表13は,表14の如く集計された色彩 4)語を含むテキストを藤村作博士に従っ
詩集名 制作年齢 対応するフ集名 対応するZ歌制作年代
B1 邪 宗 門 20才代
て時代区分したものである。C2・C3
ヤに金塊集が見えないのは金椀集が勅 B2 思 ひ 出結梃i物詩 20才代 桐の花 A1
撰でないからである。新古今集の所属 白銀の独楽 5)
伊原昭博士は(bとしておられるが, B3 真 珠 抄
ィ の 祭 20才代 雲潭集 A2
新古今集はその色彩語出現頻度の傾向 ェD5よりD6に近似するのでC3に所属さ
B4 水 墨 集 30才代 雀の卵マ想の秋 A3
せた。表14の色彩語出現度数は伊原博 B5 海豹と雲
V 頬 40才〜 風隠集
C阪以降 A4〜A7
士の労作に掲載のテキスト別・色彩別の 統計表を再編成したものである。テキ
126 茨城大学教育学部紀要(人文。社会科学・芸術),28号(1979)
表6 白秋詩集における色彩語の出現度数 表8 隣接年代間および全体・
各年代間の順位相関係数 赤 燈 黄 緑 青 紫 黒 白 灰 金 銀 計 1 丑 B1 120 2 18 3 40 3 19 19 14 7 7 252 隣接年代間 全体・各年代間 B2 111 5 57 29 113 17 34 45 3 23 31 468 Bl O.796
0,801
B3 27 2 9 3 15 2 4 7 5 9 14 97 B2 0.945 0,721
B4 11 0 6 14 15 8 2 31 4 8 3 102 B3 0.685 0,343
B5 21 0 14 21 32 14 5 43 1 4 3 158 B4 0.688 0,899
BT 290 9 104 70 215 44 64 145 27 51 58 1077 B5 0.854
表7 表6の度数順位 表9 表2と表6との組合せ
赤 燈 黄 緑 青 紫 黒 白 灰 金 銀 赤 燈 黄 緑 青紫
Bl 1 11 5 9.5 2 95 35 3.5 6 75 7.5 A1 77 0 28 15 30 10
短 A2 92 0 0 7 5 2
B2 2 10 3 7 1 9 5 4 11 8 6
A3 38 1 2 7 8 3 B3 1 10.5 45 9 2 10.5 8 6 7 45 3
歌 A4〜A7 148 3 40 48 36 20
B4 3 11 7 3 2 5.510 1 8 55 9 計 355 4 70 77 79 35
B5 3.5 11 5.5 3.5 2 55 7 1 10 8 9 B2 111 5 57 29 113 17
BT 1 11 4 5 2 9 6 3 10 8 7 B3 27 2 9 3 15 2
一} 詩 B4 11 0 6 14 15 8
順位
㈹v 11.553.525.032ズ〕 9ρ40D 33.5 15542.0335345 B5 21 0 14 21 32 14
合計 計 170 7 86 67 175 41
順位 1 11 4 5 2 9 6,5 3 10 (三5 8
黒 白 灰 金 銀 計 Al 13 27 0 1 5 206 短 A2 9 14 0 23 10 162 A3 3 41 0 1 0 104 表10 表5による要因分析表 歌 A4 )A7 91185 2 6 9 588
計 116267 2 31 24 1060 因 子 X2 レ V F (α5%)
B2 34 45 3 23 31 468 形式差 180.99 101&0991&81※※
年代差 195,44 30 (焉15 (飢77※※ B3 4 7 5 9 14 97 交互作用 411.52 3013.71714.26※※ 詩 B4 2 31 4 8 3 102 誤 差 1806205 18770 α962 B5 5 43 1 4 3 158 計 18850、00 18840 計 45126 13 44 51 825
木 村:時 代 色 127
表11 表9の度数順位 表12短歌・詩間における 順位相関係数 赤 澄 黄 緑 青 紫 黒 白 灰 金 銀
Al 1 10.5 3 5 2 7 6 4 10.5 9 8 A1 α922 B2 A2 1 10 10 6 7 8 5 3 10 2 4 A2 α516 B3 A3 2 8.5 7 4 3 5.5 5.5 1 10.5 8.5 10.5 A3 α771 B4 A4〜A7 2 10 5 4 6 7 3 1 11 9 8 A4〜A7 α813 B5 Al〜A7 1 10 6 5 4 7 3 2 11 8 9 Al〜A7 0・791 B2〜B5
B2 2 10 3 7 1 9 5 4 11 8 6
B3 1 10。5 4.5 9 2 10.5 8 6 7 4.5 3
B4 4 11 7 3 2 5.510 1 8 5.5 9 表13 テキストの時代区分と B5 3β 11 5.5 3.5 2 5.5 7 1 10 8 9 撰上年代
B2〜B5 2 11 4 5 1 9 7 3 10 8 6
テキスト名 撰上年代 古事記 712 表14 大和・平安・鎌倉室町時代の歌謡・短歌に Cl
蝌a時代 D1
日本書紀 720
おける色彩語の出現度数 D2 萬葉集 759頃
古今集 905
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計 D3 後撰集 951
D1 9 1 0 10 0 7 10 37 D4 拾遺集 1000頃
Cl D2 221 8 14 88 27 61 292 711 C2
ス安時代 後拾遺集 1086
計 230 9 14 98 27 68 302 748 金葉集 1127
D3 131 3 14 9 7 16 177 357 D5
詞花集 1151
C2 D4 54 1 16 12 8 13 61 165 千載集 1187
D5 119 3 30 28 20 21 149 370 新古今集 1205
計 304 7 60 49 35 50 387 892 新勅撰集 1232
D6 410 6 114 97 48 63 843 1581 続後撰集 1251
C3 D7 274 1 96 69 46 28 480 994 続古今集 1265
計 684 7 210 166 94 91 1323 2575 D6 続拾遺集 1278 CT 1218 23 284 313 156 209 2012 4215 新後撰集 1303
C3
剔q・室 玉葉集 1311 町時代 続千載集 1320頃
ストでは燈は赤,灰は黒に数えられる。 続後拾遺集 1325
表15は表14の度数を順位に変換したものである。表14 風雅集 1346 を,時代を因子とする計数分類値として眺め,隣接する 新千載集 1359 時代間における色彩語出現傾向の年代差を層合ノ型要因 D7 新拾遺集 1364 分析法により有意水準5%において検定した結果は表16 新後拾遺集 1384 の如くである。また,表15によって算出された順位相関 新続古今集 1439 係数は表17の通りである。表16は時代色の存在を示し,
表17は色彩語使用傾向における伝統の存在を示すものと
128 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
解される。しかし,表17におけるD2・D3間の0.536やD5・D6間の1.000は一考を要する値である。
なお,全体・各年代間の順位相関係数を示す表18によれば,相関の程度はほぼ一定している,と言
える。
3.2 日記・物語の場合一平安時代一
表19は,表2。の如く集計された色彩語を含むテキストを醐博菰よび囎古謝翼獣従って時 8)
繼謨ェしたものである。表20の色彩語出現度数は伊原博士の労作に収載された色彩語を計上したもの である。色彩語として数えた襲の色目は表の色のみを採択した。澄を黄,灰を黒,と見倣して数える
カサネ ゾキモク オモテ
ことは3.1の場合と同様である。
表21は表20の各期の度数を順位に変換したものである。表20により隣接する3期の年代差を0.5%の 有意水準で検定した結果によれば有意である。
隣接年代間および全体・各年代間の順位相関係数を表示すれば表22の如くである。表22は,日記・
物語に関して時代色および色彩語出現度数の傾向における伝統を示すものと解されるQ
なお,表23は,表20の度数を日記と物語に区分して集計し,これを順位に変換したものであるが,
日記と物語との間の順位相関係数はα964である。但し,枕草子は除外してある。α964は表12との 比較によれぽ同一作家における短歌・詩間の順位相関係数より大きい。
3・3 短歌と日記・物語の関係
表16 年代差の有無 平安時代に関する短歌データと日記・物語データを表24
黙霜藁灘驚男灘鷺翼灘集有9{B嬬および年代差.形式差の交互作用が存在するにも拘わらず, Q癒薯廊年代差が存在することを示している。 有 D・〉有 c・ {31>無
表15 表10の度数順位
表17 隣接年代間の順位
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 相関係数
Cl Dl c2
3 5 6.5 1.5 6.5 4 1.5
Q 7 6 3 5 4 1 0,750 計 2 7 6 3 5 4 1
c1{言1き8:lll
pBIζ8:灘 D・>1,000C概{31>α964
C2 D3 c4
2 7 4 5 6 3 1 Q 7 3 5 6 4 1
0,893
D5 2 7 3 4 6 5 1
計 2 7 3 5 6 4 1 表18 全体・各年代間の D6 2 7 3 4 6 5 1 順位相関係数 C3 D7 2 7 3 4 5 6 1 0,727
計 2 7 3 4 6 5 1 C・α893{鋭 α893
CT 2 7 4 3 6 5 1 D3 0.857 Dの順位合計 15 47 28.5 26.5 40.5 31 7.5 C2 0β93 {D4 0.893
@ D5 0.964 Dの合計順位 2 7 4 3 6 5 1 0.9640,964
偽 {霧 α929
木 村:時 代 色 129
表19 テキストの時代区分と成立年代 表20 平安時代の日記物語における色彩語 出現度数
テキスト名 成立年代 赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計
竹取物語 平安初期 D6
c塩
335 40 39 163 89 74 232 R70 52 37 177 182 141 280
972 P239 伊勢物語 9C末〜10C初 D6 381 58 76 167 160 86 322 1250 大和物語 10C前半 計 1086 150 152 507 431 301 834 3461 土佐物語 935年頃
Dl
ス安前期 平中物語 10C中頃
表21 表16の各期の度数順位
多武峯少将物語 10C後半 赤 黄 緑 青 紫 黒 白
落窪物語 〃 Dも 1 6 7 3 4 5 2
宇津保物語 〃 D乙
c6
1 6 7 4 3 5 2 P 7 6 3 4 5 2 蜻蛉日記 974年 計 1 7 6 3 4 5 2 紫式部日記 1010年 順、合計 3 19 20 10 11 15 6
合計順位 1 6 7 3 4 5 2 源氏物語 11C初
D塩
ス安中期 枕草子 〃 表22 隣接年代間および全体・各年代間の 和泉式部日記 11C前葉 順位相関係数
更科日記 11C中葉 0,964
栄花物語 1028〜92年
器≦l l器1
狭衣日記 1046〜58年
D6 浜中納言物語 〃 表23 表20の日記・物語別集計
平安後期 夜寝覚 11C 赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計
堤中納言物語 11後葉〜12C初
度数 日記
ィ語
131 21 16 45 40 27 100 W45 111 117 388 328 236 623
380 Q648
篁物語 鎌倉初期以前 日記 1 6 7 3 4 5 2 順位 物語 1 7 6 3 4 5 2
表24 表14と表20の組合せ
表25 表24による要因分析表
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 因 子 κ2 レ V F(α5%)
D3 131 3 14 9 77 16 177
形式差 36498 66083061.88※※
短 D4 54 1 16 12 8 13 61
年代差 6563 12 5.469 5.56※※
歌 D5 119 3 30 28 20 21 149
3.70※※
交互作用 43.65 12 計 304 7 60 49 35 50 387
日 Di 335 40 39 163 89 74 232 誤 差256257426082 0◎83
串 D4 370 52 37 177 182 141 280 計 26100.0026112 物 Dも 381 58 76 167 160 86 322
語 計 1086 150 152 507 431 301 834
130 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
表26は表24の度数を順位に変換したものであり,表27は同一年代における短歌と日記・物語との間 の順位相関係数であるQこの値は表12の値より一段と低い。色彩語出現傾向における短歌と日記。物 語との関係は短歌と詩との関係より浅いのであろうか。
表26 表24の度数順位
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 表27 短歌と日記・物語 D3 2 7 4 5 6 3 1
短 D4 2 7 3 5 6 4 1 D3 α571 D§
歌 D5 2 7 3 4 6 5 1
計 2 7 3 5 6 4 1 D4 α464 D重 月 Dl 1 6 7 3 4 5 2 D5 α714 D6 解 D4 1 6 7 4 3 5 2 D3〜D5 α643 D6〜Dl 物 D6 1 7 6 3 4 5 2
語 計 1 7 6 3 4 5 2
4 時代色のプロフィル 、
41 主要色彩語出現頻度の時代的変遷図
41.1@白秋の場合 表28は表2・表6および表9のA4〜A7を%に変換したものであり,図1
〜2は表3および表7の合計順位の何れかにおいて1〜3位を占める色彩語の%の年代的変遷を表28に よって示すものである。表28によれば,金・銀はA2・B3を特色づけるものではあるが,他の年代では 殆ど目立たない。
表29は・表28略鯨こおいて・位の頻臆たは・〜2位の頻度合計が5・%を超える色彩語の動向を 示すものである・表によれば・赤はAl〜A・における代表色の一つで劾,白は蛭A,4こおける骸
表28 白秋の作品における色彩語出現頻度の年代的変遷(%)
Al A2 A3 A4 A5 A6 A7 Bl B2 B3 B4 B5 A4〜7 AT BT 赤 3τ3 56β 3(到6 38.5 172 242 14.5 赤 47.6 23、7 27.8 108 1a3 252 335 26,9 燈 0,0 α0 0、9 1.5 0.0 0LO O,0
燈 0。8 1.1 2.1 00 0.0 Ob α4 0,8 黄 1a5 α0 19 α6 5.7 73 22 黄 7.2 1Z2 93 59 89 68 6β 9.7 1 緑 Z3 43 (三7 112 112 2,1 1.6 π 緑 1.2 6.2 3ユ 137 1a3 82 73 σ5 青 14β 3.1 τ7 7石 7.2 52 1.6 青 15.9 242 15.5 147 202 6ユ 74 20の 短 紫 4.8 12 29 1.5 6.7 13 22 紫 1.2 3.6 2.1 78 89 3.4 33 4.1
黒 6.3 56 29 7.6 144 231 27、4
詩 黒 7.5 7.3 4ユ 2{) a2
155 109 59
白 13.4 &6 39.5 2α8 34.4 趾7 44.5 白 7.5 9,6 7.2 304 27.2 315 252 13.5 歌 灰 0.0 0工〕 00 0.6 04 0.0 0.0 灰 5.5 0。6 5ユ 39 0石 03 02 2.5 金 α4 14.2 09 1.1 0、0 0.0 44 金 28 49 9.3 78 25 1ρ 2.9 4.7 銀 2。4 6.2 0C O.0 28 2,1 1.6 銀 28 6.6 144 3D 19 15 23 54 計 100の100つ100010α010α010α010α0 計 100,0100.0100.01000100つ 00,0 100.0100.0
木 村:時 代 色 131
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50
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%赤
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0 AI A, A, A、 A, A・ A・ B・ B・ B・ B・ B・
図1 表28・1における主要色彩語出現頻度 図2 表28・11における主要色彩語出現頻度 の変遷 の変遷
表29 1位のみまたは1〜2位の合計が50%以上 の色彩語
AI A2 A3 A4 A5 A6 A7 B1
1位 赤 赤 白 赤 白 白 白 赤
2位 青 赤 白 赤 赤 黒 青
% 51.9 56.8 76.1 59.3 51.6 58.9 71.9 63.5
色の一つである。 赤・白以外では,Alに青がA7に黒がそれぞれ2位に登場している。A2の5a8%
は赤の,A3の7α1%は白と赤の圧倒的優勢を表示し・A7の71・9%は有彩色の退潮を物語るものと言 える。なお,B1の青はAlにおける青の登場を予告しているかに見える。
4.1.2 大和・平安・鎌倉室町の場合 表30は表14を%に変換したものであり・図3〜4は表30 のC1〜C4)何れかにおいて1〜3位を占める色彩語出現頻度の年代的変遷を示すものである。
表31は,表30の各期において1〜2位の合計が50%を超える色彩語の動向を示すものである。表に よれぽ,Dpαの何れにおいても1位は白,2位は赤である。但し,D1においては青もまた1位で ある点が注目される。図4によれば,白と赤,とくに時代進行と共に漸増する白の圧倒的優勢が顕著 である。
4.1,3 平安時代における日記・物語の場合 表32は表20における既の度数を%に変換したもの であり,図5は表32のD3ノ〜Dlの何れかにおいて1〜3位を占める色彩語出現頻度の年代的変遷を示 すものである。紫が極大を示す以は紫式部が活躍した年代でもある。表32のPにおける紫の%と併せ考
えると興味深いものが感じられる。
表33は,表32の各期において1〜2位の合計が50%を超える色彩語の動向を示すものである。
132 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
表30 短歌・歌謡における色彩語出現頻度の時代的変遷(%)
Dl D2 D3 D4 D5 D6 D7 計 CI C2 C3 計 赤 24.3 31.1 36.7 327 32。2 25.9 27.6 289 30.7 34、1 26β 28.9 黄 2.7 1.1 0.8 0.6 α8 0.4 0.1 0.6 1.2 0.8 0.3 0.6 緑 0。0 2ρ 3.9 9.7 &1 7.2 9.7 6.7 1。9 6.7 &1 6.7
青 27.0 12.4 2.5 7.3 7.5 6.1 6.9 7.4 13.1 5.5 6.4 7.4 紫 0.0 3.8 2.0 4.8 5.4 3.1 4,6 3.7 3.6 3.9 3.7 3.7 黒 18.9 8.6 4.5 7.9 5.7 4.0 2.8 5.0 9.1 5.6 3,5 5.0 白 27.0 41.0 49.6 37.0 40.3 53.3 4&3 47.7 40.4 43、4 51.4 47.7 計 99.9 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0100.0 100.0 100.0
60 %
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赤 \
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@一 一 一 一 一 一 一
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緑 緑
DI D2 D3 D D5 DG D7 0
Cl C2 C3
図3表30における主要色彩語出現頻度の変遷 図4表30における主要色彩語出現 頻度の変遷
表311〜2位の合計が50%以上の色彩語 表32日記・物語における色彩語出現
@ 頻度の年代的変遷(%)
DI D2 D3 D4 D5 D6 D7 D6 D4 D6 P
1位 白 白 白 白 白 白 白 赤 345 29.8 30.5 19.0
青 黄 4ユ 42 4.6 25
2位 赤 赤 赤 赤 赤 赤 赤 緑 4.0 3ρ 6.1 L4
% 51.3 721 86.3 69!7 725 792 759 青 168 14.3 13.4 &0
Cl C2 C3
紫里 a1 14!7 12.8 9.2
1位 白 白 白 、、、 7,6 114 69 8.1
白 23.9 22.6 25.7 123
2位 赤 赤 赤
計 100.0 100の 100.0 60.5
% 71.1 77.5 78.0
注 PはD4の内数(紫式部)
木 村:時 代 色 133
表33 1〜2位の合計が 表34 表3,7,15,21における全体的度数順位 50%以上の色彩語
赤黄緑青紫黒白澄灰金銀 注
1伯 秋 歌 集 1 6 5 4 7 3 2 10 11 8 9 表3のAT D6 D4 Dξ 皿ノ白 秋 詩 集 1 4 5 2 9 6 3 11 10 8 7 表7のBT 1位 赤 赤 赤 1白 秋 歌 集 1 6 5 4 7 3 2 1 より
皿白 秋 詩 集 1 4 5 2 7 6 3 Hノより
2位 白 白 白
% 58.4 52.4 56.2 皿翻鹸鮪 2 7 4 3 6 5 1 表15のCT
曙記㍉藷 1 7 6 3 4 5 2 表21の計
1〜IVの順位平均
ノ基く順位 1655 3654 2
表35 色彩語出現度数の総括
40
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 澄 灰 計 30
1ノ 355 70 77 79 35 116 267 4 2 1005
ノ
πノ 290 104 70 215 44 64 145 9 27 968 計 645 174 147 294 79 180 412 13 29 1973
20
% 32.7 8.8 75 149 4ρ 9ユ 209 06 1.5 100.0 /^ 、、
I 1 359 70 77 79 35 118 267 1005 10 〆@!
豆 299 104 70 215 44 91 145 968
m 1218 23 284 313 156 209 2012 4215 0
D6 D4 Dも
】V 1086 150 152 507 431 301 834 3461
計 2962 347 583 1114 666 719 3258 9649 図5表32における主要色彩語
% 30!7 3β 6.0 11.5 69 75 33.8 100ρ 出現頻度の変遷
表33の順位は表31のD£D5における順位の逆転したものと見られる。 これは短歌と日記・物語との文 学上の形式差に基くものであろうか。但し,Dl〜D の各期における1〜2位の合計はDゴーD5の場合 より小さい。
42 時代色のプロフィル
421 時代色の表示方法 時代色を本稿では,或る時代の文芸作品に見られる各種色彩語の出 現頻度の傾向・特徴,すなわち特性と規定した。この文豚における特性は「多様の統一の仕方の独自 性」,すなわち「各色彩語出現度数間の比率の特殊性」を意味する。
この特性は,比率を表示する幾組かの数字の羅列ではなく,これらを含む一つの図形によって表示 されることが期待されている。図1〜5におけるそれぞれの折線はそれぞれ一つの図形ではあるが,
一つの色彩語の各年代における出現度数を時系列としてひとまとまりの図形に表現したものであって,
各色彩語出現度数間の比率を一つの時代に関してひとまとまりの図形の表現したものではない。一つ の時代に一つの円板を当て,各色彩語出現頻度に応じて円板を扇形に分割する方法もあるが,これも
134 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
上記の期待に十分には添うものでない。
当面の期待に最もよく応えるものは人格特性のグラフ的表示等にしばしば利用されるプロフィルで あろう。このプロフィルには幾つかの定型が見られ,それらはそれぞれ人格の全体的特性の反映と考 えられている。表34の1〜晒こ見られる順位は,表4・表8・表18・表22における全体・各年代間の 順位相関係数と併せ考えるとき,各時代(年代)における各色彩語出現度数により描かれるプロフィル に定型が存在することを期待させる。但し,1・Hは1 ・πノの榿を赤に,灰を黒に数え,金・銀を 除去した場合の度数に基く順位である。
表35の%により描かれた図6〜7の曲線は,複合W字型またはW字型と見られるが,図8の波長 9)
i色相)弁別閾曲線の形に酷似している。これらによれば,時代色の表示方法はその原型を波長弁別 閾曲線に採り,これを時計廻りで90°回転させたものをプロフィルとすることが相応しい,と考えられ
る。
図6〜7の如く色彩語が9種または7種の場合は,プロフィルの形態記述に左端・右端のほかに,
第1〜第4極小,第1〜第3極大,という名称を使用すれば便利である。但し,色彩語が9種の場合 はこれまで使用してきた色彩語の順序を変更しなけれぽならぬ煩わしさがある。
図9は,表28から金・銀を排除した9種より成る複合W字型プロフィルであるが%はそのままであ る。なお,図9で4箇の極小を持つのはA2とA4〜7だけである。
4.2.2 時代色のプロフィル 表36は表2・表6の金・銀を排除し燈を赤に灰を黒に吸収したも の,表37は表36を%に変換したものである。表37によりプロフィルを描くと図10の如くである。
図10において青と黒に2箇の極大を持つB1・B3以外のプロフィルは,何れも緑または青に1箇の極 大を持つW字型である。プロフィルにおける第1の極小は黄ないし緑,第2極小は紫ないし黒であり,
青は極大になることはあっても極小になることはない。青と緑との差異はここにあるQ
一見すればB1とB3, B4とB5はプロフィルが酷似しているが,仔細に比較すると何れも他を以て置換 するを許さぬ特徴を備えている。
なお,Al〜A4〜7およびB2〜B5について図9と図10とを比較すれぽ,7色種によるプロフィルに対 して遜色のないものであることが理解されよう。
40 40
@ \ 1 ・、 1 、。 、 、 〆{、 , \ /へ、 、 / \、 ノ
@ ▽ \/ \ノ 4 、 ノ o
1 /覧 !
赤 黄 緑 澄 青 灰 黒 紫 白 赤 黄 緑 青 紫 黒 白
図6 表35の1ノ・∬ノの計の%により描かれた 図7 表35の1〜Wの計の%により描かれた 曲線 曲線
木 村:時 代 色 135
8
9Trolandの場合
/、、、 赤
^ \ 1 黄 1 ,_ ._ニー一 一
@ ,♂■■卜5
@ _ P一 ノ
@ ー一==ニーゴ轟一 ト一 「
14・。野。1副鵬合 、 1 \ \
5テ
/ 1 1 緑 P \ ズ\ノ 1
A 、A・ >A3 角〜・ / 〆 / 〆 !
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量 4 〆 、、 1 機 \ 、、、 \\
堅 \ / \ / 短青 〉m /!
自ミ 3
U堵2 \ /一\ ノ 、 !̲ノ ・ ノ 、 ノ 灰 ノ \ ! 、 ノ 歌 、、_ノ 黒
イくぐ \ 、 ! 1
紫白
< L_、一 、 一、 隔〜 \ 〜一一一_ 艦、 一』、一r
400 450 500 550 600 650 AI A2 A3 A4{4 波 長 伽μ)
赤
}8 波長弁別閾曲線(2°視野) 黄 ノニ/
! 、^で
^ 、、
緑 B B/ 〉恥 B5 ノ
表36 白秋における色彩語出現度数 、澄
! ノ
ュ_. <ノ
@、 、一.こ\
一7色種の場合一 青
@ 詩
、∴ここ、
Q_一ツコタ凄
灰 て 1/
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計 黒 @\.
〉</ 、
Al 77 28 15 30 10 13 27 200 紫 、i \、一一、. 、、、、 \ 、、
A2 92 0 7 5 2 9 14 129 白
\ 、、、、、、 、B2 B3 B4 85.
1 A3 39 2 7 8 3 3 41 103
角Bψ
@噛18 睾8 18 11 11
@ A」B4° A何.B〜8 子8 塁8 30
短 A4 79 19 22 15 3 16 41 195
A5 36 12 23 15 14 31 72 203 図9 白秋における年代色 A6 23 7 2 5 1 22 33 93
歌 A7 13 2 1 1 2 24 39 82 表37白秋における色彩語出現頻度(%)
A4−7 151 40 48 36 20 93 185 573 一7色種の場合一
Bl 122 18 3 40 3 33 19 238
赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計
∬ B2 116 57 29 113 17 37 45 414
Al 38,514.0 7b 15ρ5ρ 6』5135 100D 詩
B3 a4
29 9 3 15 2 9 7 P1 6 14 15 8 6 31
74
X1 1
A2
̀3
713 0n 54 ag 1β 7ρ108 R7{) 19 68 7829 29398
1000 P00D B5 21 14 21 32 14 6 43 151 短
A4 405 a8113 7!715 8221ρ 100D A5 17.7 59 113 7469 153355 100ρ 歌 A6 24.7 75 22 541.1 236355 100ρ
図11の1〜Hは表30に基く大和・平安・鎌倉 A7 15.9 24 12 1224 29347β 1000 室町の歌謡・短歌における時代色のプロフィル A4〜7 263 7ρ 8.4 6.335 162323 1000 である。1のD1・D2,D3・D4・D5,D6・D7をそ Bl 51.2 75 13 16813 139 8D 100ρ れそれ大和・平安・鎌倉室町の3時代にまとめ H B2 28.0 1a8 7ρ2734ユ 89109 100D たものがHのC1・C2・C3である。
@1によれぽD1〜D7は何れも上端より下端が大 詩 B3 a4
39212.2 4020327 12.1 95 P2.1 6.615416588 6β34ρ
100D P00D きい点で図10と異なっている。 B5 13.9 9.313921293 4ρ2&4 100ρ
136 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術),28号(1979)
図11では,極大がDl・D2は青,Dぎ〜D7は
緑である。これは,青と緑の差がD1・Dメこ 赤 /
おいては極めて大きくD3〜D7においては極 黄 ,∠二てニー.一 _;穿二一一
トア r
!穴 、
めて小さいことと併せ考えれば,Dl〜D2に 語 ・<悔 ・ 偏
おいて緑をも意味した青がD3〜D7におい 青 ̲メ //フ /
歌 ,!@ !
て緑を疎外し始めたことの反映と考えられ 紫 ピ 曳 ご、、 \ 、、 、 、
るo 黒 、 、
、、@、
D3〜D7のうち, D3〜D6とD7は第1極小 白 匹 A、 瓦 角〜7 @、
が黄,極大が緑,という点で一致するが, 赤 1一ノ@ ,メ・一
@ ノ
, , .
第2極小で異なる。なお,第1極小が第2 黄 〆 〆一 く!! .! 、! 1 、
皿
@ 緑
ノ小より小さいことは図10に見られぬ傾向 青である。また,鎌倉室町時代に属するD6 詩 紫がD7よりも平安時代に属するDゴ〜D5に近似 Bl Bど〔 <B・ B・ \書・
黒
オていることは興味深い。 白
\ ) く一\ ・ \\一 、 ノ 、、一一
B【 B2 Bs B4 β5
丑は1の傾向の総括的表現であるが,C1 取゜
@A.恥ll 器 18 18 18
とほぼ同型のものは図7を別とすればほか 砺脚 繍 姫調 ll 塁1 ゆ
にない・C2とほぼ同型のものにA2とA4〜7
があるが,上端・下端の大きさを考慮すれ 図10 白秋における年代色のプロフィル ぽA4〜7だけである。C3と同型のものは
見当らない。
上端・下端の大きさは赤と白の優位を示 表38 D卸こおける色彩語出現度数の内訳 し,特に漸増する白の優勢は鎌倉室町に入
って一段と顕著である。これは中世仏教に 赤 黄 緑 青 紫 黒 白 計 紫 36 5 3 11 19 5 36 115 よる日本民族の内面生活の深まりの反映と
源 氏 199 26 14 88 95 96 116 634 も考えられる。白秋の晩年における歌風の
燒ハ的な深まりと呼応する白の増加と併せ 計 235 31 17 99 114 101 152 749
%(DM) 31.4 4.1 2.3 13.2 152 1a520.3 100.0
考えると興趣の尽きぬものがある。
枕 110 18 19 74 63 38 111 433 図12のDl・Dξ・Dlは表32に基く平安3
和 泉 6 1 6 13 期の日記・物語における年代色のプロフィ
更 科 19 3 1 3 5 2 11 44 ルである。3箇のプロフィルは何れもW字
計 135 21 20 78 68 40 ]28 490 型である。何れも,極大が両端より,第1
% 275 43 4.1 159 13.9 82 26.1 100.0
極小が第2極小より低いことは図11のD3・
D4・D5と同様である。しかし,上端が下端
より大きく,極大が青もしくは紫,第2極小が黒である点等で短歌の場合と異なっている。
D4は極大が紫であるが,このようなプロフィルは白秋にも見られない。「桐の花」においてすら紫 は第2極小なのである(表1および図10の1参照)。瑳の極大が紫であることは,表38および図12の D南が示す如く,やはり紫式部の存在に無縁ではない,と考えられる。
以上によれぽ,或る時代の文芸作品における色彩語を上述の如く赤黄緑青紫黒白に分類・計上・排 列して得られる%に基く折線は,ほぼW字型を構成し,歌謡短歌・詩・日記物語等の領域においてそ れそれ時代色のプロフィルを表示する,と言える。