名古屋大学大学院多元数理科学研究科
2002年度前期課程(2次募集)入学試験問題
数学専門
問題は全部で11問である
.
このうちから4問を選んで解答せよ 選択した問題の番号を答案用紙の所定の欄に記入せよ. .
複素数を成分とする
1 3次正方行列全体のなす線型空間をM
3(C )
とし,
行列A ∈ M
3(C
は
) A
2= A, rankA = 2
をみたすとする.
この行列A
に対して,
線型変換F : M
3( C ) −→
M
3(C )
をF (X) = AXA, X ∈ M
3( C
によって定義する) .
このとき,
以下の問に答えよ.
(1) A
のジョルダン標準形を求めよ.
(2) F
の像I mF
の次元dim(ImF )
を求めよ.
(3) F ◦ F = F
となることに注意して, F
のジョルダン標準形を求めよ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
2
C
を複素数体, C
×を0
でない複素数全体のなす乗法群とする. a ∈ C
×, b ∈
に対し てC ,
写像f
a,b: C −→ C
をf
a,b(x) = ax + b, x ∈
によって定義しC ,
G = {f
a,b: a ∈ C
×, b ∈ C}, H = { f
1,b∈ G : b ∈ C
とおく} .
このとき,
以下の問に答えよ.
(1) G
は写像の合成に関して群をなすことを示せ. (2) H
はG
の正規部分群であることを示せ. (3 )
剰余群G /H
はC
×と同型であることを示せ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
3
有理数体Q
上√ 2, √ 3, √ 5
で生成される複素数体C
の部分体をK = Q( √ 2, √ 3, √ 5
とする) .
このとき,
以下の問に答えよ.
(1) K
をQ
上の線型空間と見たときの基底を1
組求めよ. (2) K
のQ
上のガロア群Gal(K/Q )
を決定せよ.
(3) K
に含まれるQ
の2次拡大体を全て求めよ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
4
以下の問に答えよ.
(1) X, Y
を位相空間とする.
写像f : X −→ Y
が連続であることの定義を述べよ. (2 )
位相空間X
が連結であることの定義を述べよ.
(3) X, Y
を位相空間, f : X −→ Y
を上への連続写像とする.
もし が連結なら ばX , Y
も連結であることを示せ.
(4) R
内の閉区間[0, 1 ]
と円周S
1 とは同相でないことを示せ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
5
f : R
2−→ R
をC
∞ 級関数とし, M ⊂ R
3 をそのグラフとする:M = { (x, y, f(x, y)) : (x, y) ∈ R
2 このとき}.
以下の問に答えよ
, .
(1) M
の点p = (x, y, f(x, y) )
におけるM
の単位法ベクトルν(p )
で,
第 成分が 正であるものを求めよ3
各.
p ∈ M
にν(p )
を対応させることにより, ν
をM
から単位球面S
2= { (x, y, z) ∈ R
3: x
2+ y
2+ z
2= 1
への写像とみる}
. q ∈ M
をν(q) = (0, 0, 1 )
となるM
の点とし, dν
q: T
qM −→ T
ν(q)S
を2
ν
のq
における微分写像とする.
(2) dν
qをT
qM , T
ν(q)S
2 の共通の正規直交基底{ e
1, e
2} (e
1= (1, 0, 0), e
2= (0, 1, 0)
に関して行列表示し)
その行列式, det(dν
q)
を求めよ.
(3) f(x, y) = x
2+ ay
2( a
は定数)
の場合に, det(dν
q)
を計算せよ.
(4) f
が一般の場合に, det(dν
q) = 0
なる点q ∈ M
の近傍におけるM
の形状とdet(dν
q)
の符号の関係を説明せよ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
6
x y
平面R
2 上の2
次微分形式ω = dx ∧ dy
を考える.
また, R
2 上のC
∞ 級関数 に 対しH , R
2 上のベクトル場X
H をR
2 上のすべてのベクトル場Y
に対してω(X
H, Y ) = (dH)(Y
が成り 立つという条件により定める
) .
このとき,
以下の問に答えよ.
(1 )
関数H
のX
H による微分を計算せよ 以下. , H(x, y) = 1
2 (x
2− y
2)
とする.
(2 )
ベクトル場X
H のp = (a, b) ∈ R
2 を始点とする積分曲線c
p: R −→ R
を求 めよ2
.
(3) c
p を(2 )
で定まった積分曲線とし, t ∈ R
を固定する. ϕ : R
2−→ R
2 をϕ(p) = c
p(t), p ∈ R
によって定義される微分同相写像とする
2
.
このとき, ϕ
∗ω = ω
を示せ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
7
以下の問に答えよ.
ただし,
積分路は反時計回りに向きづけられているものとする. (1 )
複素関数f(z) = (z − 1)
3(z + 3 )
に対して(i) 1 2πi
|z|=2
f
(z)
f (z) dz, (ii) 1 2πi
|z|=4
f
(z) f (z)
をそれぞれ計算せよdz .
(2 )
一般にf (z )
を円周{z : |z| = r} (r > 0 )
上に零点を持たない多項式とする こ のとき. 1
2πi
|z|=r
f
(z) f (z)
の値は何を意味しているかdz ,
述べよ.
(3 )
再びf (z) = (z − 1)
3(z + 3 )
とおく.
円周{z : |z| = 1 }
から弧{z = e
iθ: |θ| < ε
を除いた曲線を} C
ε(0 < ε < π)
とするとき,
lim
ε→01 2πi
Cε
f
(z) f(z)
を計算せよdz
(2002年1月12日) (次ページあり)
.
8
H
を内積· , ·
を備えた実ヒルベルト空間とし, x =
x, x (x ∈ H )
とおく ヒル ベルト空間. H
の元の列{x
n}
∞n=1 がx ∈ H
に弱収束するとは,
n→∞
lim x
n− x , y =
が任意の0
H
の元y
に対して成り立つことである.
このとき,
以下の問に答えよ. (1) { x
n}
がx
に弱収束するとき,
n→∞
lim (x
n2
− x
n− x
2− x
2) =
を示せ0 .
(2) {x
n}
がx
に弱収束し,
さらに n→∞lim x
n= x
が成り立っているとき,
n→∞
lim x
n− x =
を示せ0 .
(3) l
2 を ∞j=1
| a
j|
2< ∞
を満足する実数列(a
j)
の全体とする. l
2 はx, y =
∞
j=1
a
jb
j, x = (a
j), y = (b
j) ∈ l
を内積として実ヒルベルト空間となることが知られている2
. l
2 の元の列{x
nで
} 0 (
ゼロ数列)
に弱収束するが, x
nが
n → ∞
のとき に収束しないよう な例を挙げよ0
(2002年1月12日) (次ページあり)
.
9
f : R −→ R
をR
上有界な連続関数とし,
関数列{u
n}
∞n=1 を次で定義する:u
n(x) = n 2
∞
−∞
e
−n|x−t|f(t) dt, x ∈ R
このとき.
以下の問に答えよ, .
(1) u
n は次の微分方程式のR
上有界な解であることを証明せよ.
(∗) 1
n
2d
2u
dx
2− u + f = 0.
(2 )
微分方程式( ∗)
の一般解を求めよ.
また, ( ∗)
のR
上有界な解はu
に限ること を証明せよn
.
(3 )
関数列{ u
n}
∞n=1 はn → ∞
のとき, R
上で に広義一様収束することを証明 せよf
(2002年1月12日) (次ページあり)
.
10 P (x) = (x − α1)(x − α
2)(x − α
3) (α
1 < α
2< α
3)
に対し,
微分方程式
d
dt x(t) = P (x(t)
の解)
x(t )
で, x(0) = x
0 なるものを考える.
ただし, α
1< x
0< α
2,
またはα
2< x
0< α
であるとする3
.
このとき,
以下の問に答えよ. (1 )
ある有限な時刻t
0 において, lim
t→t0
x(t )
はα
1, α
2, α
のいずれにもならないこと を示せ3
.
(2 )
解x(t )
はR
上全体で定義されることを示せ. (3 )
極限値lim
t→−∞
x(t )
とlim
t→∞
x(t )
を求めよ(2002年1月12日) (次ページあり)
.
11
平面R
2 を部分集合I
n= R × [n, n + 1) (n ∈ Z )
によってR
2=
n∈Z
I
n(
ただしI
m∩ I
n= ∅ (m = n)
と分割する)
.
ここでZ
は整数全体の集合である. {I
n}
n∈Z を含む最小のσ-
加法族をF
とする1
.
ここで,
集合X
の部分集合族F
がσ -
加法族であるとは,
次の 条件を満足 することである:3 (i) ∅ ∈ F ,
(ii) A ∈ F
ならばA
c∈ F (
ただし, A
c はA
のX
における補集合を表す), (iii) { A
j}
∞j=1⊂ F
ならば ∞j=1
A
j∈ F
このとき.
以下の問に答えよ, .
(1) R
2 の部分集合B
に対し,
次が同値であることを示せ. (a) B ∈ F
1.
(b) Z
のある部分集合S
があって, B =
n∈S
I
n と表される.
(2) (R
2, F
1)
を一つの可測空間とみたとき, R
上の可測関数はどのような関数であるか
2
なるべく具体的に述べよ
, .
(3) I
k= [k, k + 1) × R (k ∈ Z )
とおき,
I
k
k∈ を含む最小の
Z
σ-
加法族をF
とする
2
.
また, J
ik= [i, i + 1) × [k, k + 1) (i, k ∈ Z )
とおき, { J
ik}
i,k∈Z を含む最小のσ-
加法族をG
とする.
このとき, G
はF
1∪ F
2 を含む最小のσ
加法族であるこ とを示せ-
(2002年1月12日) (以上)