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TMI 中国最新法令情報

―(2013 年 7 月号)―

TMI 総合法律事務所

〒106-6123 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23 階 TEL: +81-(0)3-6438-5511 E-mail: chinalaw@tmi.gr.jp 〒200031 上海市徐匯区淮海中路 1045 号 淮海国際広場 2606 室 TEL: +86-(0)21-5465-2233 〒100020 北京市朝陽区朝外大街乙 12 号 昆泰国際大厦 2412A 室 TEL:+86-(0)10-5925-1200 皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。 お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事 の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下 さい。バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、 併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/global/china/legal_info.html)

目次

一.中国最新法令 1. 中央法規 (1) 増値税納税申告の調整の関連事項に関する公告 (2) 養老機構設立許可弁法・養老機構管理弁法 (3) 労務派遣行政許可実施弁法 (4) 保険消費クレーム処理管理弁法 (5) 外国人入国出国管理条例 二.連載 中国企業法実務/第四弾:企業の拡大・再編・終了(第6 回会社の解散・清算) 三.中国法務の現場より 1.大気汚染防止のための条例草案まとまる(北京) 2.取締が強化される商業賄賂

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一.中国最新法令

(2013 年 6 月中旬~2013 年 7 月中旬公布分)

1.中央法規 (1) 増値税納税申告の調整の関連事項に関する公告 1 国家税務総局 2013 年 6 月 19 日公布 同年 9 月 1 日施行 ① 背景 「中華人民共和国増値税暫定条例」及びその実施細則に基づき、国家財政部、国家 税務総局が今年の 5 月に公布した「交通運輸業及び一部の現代サービス業の営業税か ら増値税への変更試行の税収政策の全国実施に関する通知」(財税[2013]37 号)の公布 を受け、交通運輸業及び一部の現代サービス業の営業税から増値税への変更試行の全 国実施が開始されることに伴い、増値税の納税企業は、本公告の規定に従って納税申 告を行うことが求められている。 ② 主な内容 本公告は、増値税の一般納税者及び小規模納税者の納税申告フォーム及び申告時の 付属資料のリストを示し、課税対象サービスの売上高確定時の計算方法についても定 めている。また、納税申告時のその他の資料の範囲について、自動車販売統一発票、 増値税専用発票、貨物運送増値税専用発票等の控除に関する書類等が本公告に列挙さ れている。 (2) 養老機構設立許可弁法 2・養老機構管理弁法 3 民政部 2013 年 6 月 27 日公布 同年 7 月 1 日施行 ① 背景 高齢化が進んでいる中国では、介護事業、シニアビジネスの市場が国内外の投資家 や実業家から注目を集めている。しかし、これまで、養老機構に対する管理・監督や それを担う管轄部門に関する明確な法規定がなかったために、介護事業、シニアビジ ネスの安全性に懸念が生じていた。このような中、「養老機構設立許可弁法」(以下「許 可弁法」という)及び「養老機構管理弁法」(以下「管理弁法」という)の公布、施行 により、養老機構に対する管理・監督の権限・責任が明確化され、養老機構に対する 管理・監督制度の構築、中国における介護事業、シニアビジネスの健全化が促進され ることが期待されている。 また、「許可弁法」では、外国資本による中国における養老機構の設立に関する明文 上の規定が定められ、外資による中国の介護、シニアビジネスの市場への参入に対す る中国政府の積極的な姿勢が示された。 ② 主な内容 (一)許可弁法 許可弁法は、養老機構とは、高齢者に対して居住及び介護のサービスを提供する 機構を指すと定義した上(第 3 条)、国務院民政部門は、中国全国の養老機構の設立 1《关于调整增值税纳税申报有关事项的公告》(国家税务总局公告[2013]第 32 号) 2《养老机构设立许可办法》(民政部令第 48 号) 3《养老机构管理办法》(民政部令第 49 号)

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許可について管理責任を負い、県レベル以上の地方人民政府民政部門は、当該行政 区域内の養老機構の設立許可について管理責任を負う(第 4 条)と定めている。 また、許可弁法は、養老機構の設立条件について、以下のとおり定めている(第 6 条)。 ア 施設の名称、所在地、規則及び管理制度を有すること イ 養老機構に関連する規範及び技術の基準に適合しており、基本的な生活のた めの居室、施設の設備及び活動場所が国家の環境保護、消防安全及び衛生防疫 等の要求を満たしていること ウ サービスを提供するための管理人員、専門技術人員及びサービス提供人員を 有すること エ サービスの内容及び規模に見合う資金を有すること オ ベッド数が 10 床以上であること カ 法律、法規に規定されるその他の条件 さらに、許可弁法によれば、外国の組織・個人による独資又は中国の組織・個人 との合資・合作により養老機構を設立する場合、香港、マカオ、台湾地区の組織・ 個人及び華僑の独資又は中国内地(大陸)の組織・個人との合資・合作により養老 機構を設立する場合、当該所在地の省レベルの人民政府民政部門又はその委託する 区を設置する市レベルの人民政府(行政公署)民政部門が許可を実施する(第 10 条)。 (二)管理弁法 管理弁法によれば、養老機構が高齢者に対してサービスを提供するため、サービ スを受ける高齢者又はその代理人との間でサービス協議書を締結しなければならず、 サービス協議書に記載すべき事項は以下のとおりである(第 11 条)。 ア 養老機構の名称、住所、法定代表者又は主な責任者、連絡方法 イ 高齢者とその代理人及び高齢者が指定する連絡先の氏名、住所、身分証明、 連絡方法 ウ サービス内容及びサービス方法 エ 費用の基準及び費用の支払方法 オ サービス提供の期限及び場所 カ 当事者の権利及び義務 キ 協議内容の変更、解除及び終了の条件 ク 違約責任 ケ 突発事故による傷害の責任認定及び争議の解決方法 コ その他、当事者間で協議により合意した内容 また、管理弁法では、養老機構内の専門職員について、養老機構において医療、 リハビリ、ソーシャルワーク等のサービスに従事する専門技術職員は、関連部門が 発行した専門技術レベルの証書を有していなければならず、介護職員は専門技能研 修を受け、試験合格後に証書を取得してから業務に従事することと定めている(第 18 条第 2 項)。 さらに、管理弁法では、同弁法に定める事項に違反した場合、許可を与えた民政

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部門より是正を命じ、情状が重大な場合には、3 万元以下の過料を科し、犯罪を構 成する場合には、法に基づいて刑事責任を追及するなど、法律違反時の罰則も設け ている(第 33 条)。 (3) 労務派遣行政許可実施弁法4 人力資源社会保障部 2013 年 6 月 20 日公布 同年 7 月 1 日施行 ① 背景 中国国内の労務派遣市場を規範化するため、「中華人民共和国労働契約法」、「中華人 民共和国行政許可法」等の法律規定に基づき、人力資源社会保障部が、今年 6 月 20 日に「労務派遣行政許可実施弁法」(以下「実施弁法」という)を公布した。 新たに公布された実施弁法第 6 条によれば、労務派遣業務の経営については、法に 従って所在地の許可権限を有する人力資源社会保障行政部門に行政許可の申請をしな ければならず、許可を得なければ、如何なる単位又は個人も労務派遣業務に従事して はならないとされている。これまで許可制ではなかった労務派遣の業務を引続き経営 するために、労務派遣の業務を営む全ての企業は、当局からの行政許可を取得する必 要がある。実施弁法の公布・施行により、労務派遣市場への参入は従前よりハードル が高くなった。 ② 主な内容 実施弁法では、労動派遣業務経営の申請条件について以下のとおり定めている(第 7 条)。 ア 登録資本金が人民元 200 万元を下回らないこと イ 業務の経営に相応しい固定の経営場所及び施設を有すること ウ 法律、行政法規の定めに合致する労務派遣管理の制度を有すること エ 法律、行政法規が定めるその他の条件 また、実施弁法によれば、労務派遣経営許可を申請するにあたって、申請者は、以 下の資料を提出しなければならない(第 8 条)。 ア 労務派遣経営許可申請書 イ 営業許可証又は「企業名称事前許可通知書」 ウ 会社の定款及び出資検査機構が発行する出資検査報告又は財務監査報告 エ 経営場所の使用証明及び業務の経営に相応しい施設・設備、情報管理システム 等のリスト オ 法定代表者の身分証明 カ 労働契約、労動報酬、社会保険、勤務時間、休憩休暇、労動規則等労働者自身 の利益に関係する規則、制度の文章を含む労務派遣管理制度、及び使用者と締結 する予定の労動派遣契約のサンプル さらに、実施弁法によれば、労務派遣企業は、毎年 3 月 31 日までに許可機関に前年 度の労務派遣状況の報告書を提出しなければならず、報告書には、以下の内容を含む 必要がある(第 22 条)。 ア 経営状況及び前年度の財務監査報告 4《劳务派遣行政许可实施办法》(人力资源社会保障部令第 19 号)

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イ 被派遣労働者の人数及び労働契約締結の状況、工会(組合)への参加状況 ウ 被派遣労働者への労動報酬の支払状況 エ 被派遣労働者による社会保険の加入、及び社会保険料納付の状況 オ 被派遣労働者の派遣先使用者、派遣数、派遣期間、職種の状況 カ 使用者と締結する労務派遣契約の状況及び使用者による法定義務の履行状況 キ 子会社、分公司設置の状況 実施弁法の公布、施行により、企業にとって労動派遣業務への参入のハードルが以 前より高くなったとはいえ、これまで規範が樹立されていなかった労務派遣市場にお いて、参入許可制の導入は、派遣労働者の不満を解消し、健全な労務派遣市場の形成 に大いに寄与するものと期待されている。 (4) 保険消費クレーム処理管理弁法5 保険監督管理委員会 2013 年 7 月1日公布 同年 11 月 1 日施行 ① 背景 保険消費クレーム処理の業務を規範化し、保険消費者の合法的権益を保護するため に、中国保険監督管理委員会が「保険消費クレーム処理管理弁法」(以下「管理弁法」 という)を制定し、今年 11 月 1 日より施行することになった。管理弁法の公布及び年 内の施行開始により、これまで統一した基準がなかった保険業界では、消費者による クレーム処理の基準が明文化され、保険業の監督官庁及び保険機構の責任の更なる明 確化、保険消費者の権益保護が図れると、国内各方面から期待が高まっている。 ② 主な内容 管理弁法の規制対象となる保険消費クレームには、保険消費者が保険機構及び保険 仲介機構に提出する保険消費クレーム、並びに中国保険監督管理委員会及びその出先 機構に提出する保険消費クレームの両方が含まれる(第 2 条)。 また、保険消費クレームの管轄部門及び保険機構内の体制構築について、管理弁法 によれば、中国保険監督管理委員会保険消費者権益保護局が、全国の保険消費クレー ム処理業務の管理部門であり、全国の保険消費クレーム処理業務に対して監督管理を 行い(第 4 条)、保険機構、保険仲介機構は、機構内の保険消費クレーム処理業務の管 理部門及び職種を設置又は指定し、人員を配置し、機構内の保険消費クレームの処理、 統計、分析、管理の業務に当たらせなければならない(第 5 条)。 さらに、管理弁法によれば、保険機構及び保険仲介機構の処理決定は、クレームの 具体的な内容によって 5 つの状況に分かれる。①クレームが法律、行政法規、国家の 関係規定及び保険契約の約定に適合する場合、義務を履行する。②クレームが法律、 行政法規、国家の関係規定及び保険契約の約定に適合しない場合、クレームの提出者 に対して説明を行う。③法律、行政法規、国家の関係規定において明確な規定がなく、 かつ保険契約の約定が明確でない場合、公平合理の原則に基づき、クレームの提出者 と協議する。④保険消費クレームが保険消費者本人又はその受託者によって提出され たものでない場合、保険消費クレームの処理を終了し、クレームの提出者に告知する。 ⑤処理決定を行う前に、クレームの提出者が保険消費クレームを撤回した場合、保険 5《保险消费投诉处理管理办法》(保监会令[2013]第 8 号)

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消費クレームの処理を終了し、クレームの提出者に告知する(第 23 条)。 なお、保険消費クレーム処理の時間について、保険機構、保険仲介機構が消費者の クレームを受付けた後に、紛争事実が簡単な保険消費クレームの場合は、受理した日 から 10 営業日以内に、それ以外の保険消費クレームの場合は、受理した日から 30 営 業日以内に処理の決定を下さなければならず、状況が複雑な場合、機構内の保険消費 クレーム処理業務の責任者の許可を得て、処理期間の延長ができるが、期間の延長は 30 日を越えてはならないものとされている(第 24 条)。 (5) 外国人入国出国管理条例6 国務院 2013 年 7 月 12 日公布 2013 年 9 月 1 日施行 ① 背景 昨年 6 月 30 日に公布され、今年 7 月 1 日から施行開始となった「中華人民共和国出 国入国管理法」7(以下「出入国管理法」という)の実施細則として、国務院が「中華 人民共和国外国人入国出国管理条例」(以下「条例」という)を公布した。今年の 9 月 1 日より施行開始となる。条例の公布・施行により、1986 年に国務院が批准し、公 安部、外交部が公布し、1994 年及び 2010 年の 2 回の改定を経た「中華人民共和国外 国人入国出国法実施細則」が廃止となる。このように、条例は、最近施行開始となっ た出入国管理法とともに、中国の新たな出入国管理制度を構成している。 ② 主な内容 条例では、これまで 8 種類だった普通ビザが 12 種類に増やされ、M ビザ、Q ビザ、 R ビザ、S ビザが増設された。 条例では、外国人入国審査の事由によって、普通ビザを C ビザ(国際列車、航空機 及び船舶の乗務員等のビザ)、D ビザ(永住者ビザ)、F ビザ(交流、訪問、視察ビザ)、 G ビザ(トランジットビザ)、J ビザ(外国記者ビザ)、L ビザ(観光ビザ)、M ビザ(商 業活動ビザ)、Q ビザ(親族滞在ビザ)、R ビザ(高度人材ビザ)、S ビザ(配偶者、親、 子女ビザ)、X ビザ(留学ビザ)及び Z ビザ(就労ビザ)の 12 種類に分類している。 このうち、これまで、短期商用には、F ビザが用いられていたが、今後は新設され た M ビザが使われることとなる。また、帯同家族のビザは、従来就労者本人が Z ビザ ならば家族も Z ビザであったが、S ビザ(長期の S1 と短期の S2 がある)に変更とな る。 R ビザについて、国務院法制弁公室の責任者による記者の質問への回答では、R ビ ザの増設は、今後、中国政府及び関連部門が認定する外国の高度人材及び不足してい る専門人材に発給し、かかる人材の出入国の便宜を図るビザであるとされる。また、 同回答では、Q ビザは、海外居住の華僑に入国の便宜を与え、華僑が中国の親族を訪 問する際に発給する滞在期間の比較的長いビザであるとされる。 また、条例第 27 条では、金融、教育、医療、電信等の事業会社が、それらの業務に おいて外国人の身分情報を確かめる必要がある場合、公安部門出入国管理機関に申請 を行うことができるとされている。国務院法制弁公室の責任者によると、公安部門出 入国管理機関は、事業会社からの外国人の身分確認申請に対して、国籍等の身分に関 6《中华人民共和国外国人入境出境管理条例》(国务院令第 637 号) 7《中华人民共和国出境入境管理法》(主席令第 57 号)

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する情報が事実に合致しているか否かの審査意見を述べるものの、外国人の個人情報 を提供しないものとされている。 (彭涛、莊凌云・中国弁護士)

三.連載 中国企業法実務

第四弾:企業の拡大・再編・終了(第

5 回/全 6 回)

第 1 回 2013 年 2 月号 拠点の増加 第 2 回 2013 年 3 月号 多数の拠点の管理 第 3 回 2013 年 4 月号 持分の譲渡・譲受 第 4 回 2013 年 5 月号 増資・減資 第 5 回 2013 年 6 月号 合併・分割 第6 回 2013 年 7 月号 会社の解散・清算

6 回 会社の解散・清算

1.概要 外国企業が中国国内における事業の撤退・縮小を行う場合の 1 つの手段として、外商投 資企業の持分を譲渡する方法があり、この方法によれば、手続の時間やコスト、労働紛争 発生のリスク等をある程度抑えることができることは、本連載第四弾第 3 回(2013 年 4 月号)でご紹介した。しかし、持分譲渡には、取引の相手方である譲受人の存在が必要で あるが、事業の撤退・縮小が検討される場合には、当該事業は不振であるか、将来性が期 待できないことが多く、その場合には、買手を見つけ出すのはなかなか容易ではない。買 手が見つからない場合には、結局、当該外商投資企業を解散・清算する必要がある。 会社一般の解散・清算については、「会社法」や最高人民法院の司法解釈である「『会 社法』適用の若干問題に関する規定(二)」(以下「会社法適用規定(二)」という。) に規定されているが、外商投資企業の解散・清算については、その他、外商投資企業の各 類型について定める「中外合弁企業法実施条例」、「中外合作経営企業法実施細則」、「外 資独資企業法実施細則」や、商務部弁公庁による「外商投資企業の解散及び清算作業の法 に基づく遂行に関する指導意見」(以下「指導意見」という。)、国家工商行政管理局及 び商務部による「外商投資企業の解散、抹消登記管理の関連問題についての通知」(以下 「通知」という。)等にも、具体的な規定が置かれている。 これらの規定によると、中外合弁企業、中外合作経営企業、外資独資企業の解散事由は、 以下のとおりである8 8 「会社法」181 条、「中外合弁企業法実施条例」第 90 条第 1 項、「中外合作経営企業法実施細則」第 48 条第 1 項、「外資独資企業法実施細則」第 72 条第 1 項等

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中外合弁企業 中外合作経営企業 外資独資企業 合弁期間の満了 合作期間の満了 経営期間の満了 深刻な損失の発生による経営継 続の不能 重大な欠損の発生による経営継 続の不能 経営不振で深刻な損失が発生し、 外国投資者が解散を決定したこと 自然災害、戦争等の不可抗力によ る深刻な損害の発生による経営 継続の不能 不可抗力による重大な損害の発 生による経営継続の不能 自然災害、戦争等の不可抗力によ る深刻な損害の発生による経営継 続の不能 合弁当事者の一方の義務不履行 による経営の継続不能 中外合作者の 1 人又は複数の当 事者の義務不履行による経営継 続の不能 経営目的を達成しておらず、かつ 発展の見込みがないこと 合弁契約、定款におけるその他の 解散事由 合作企業契約、定款におけるその 他の解散事由 定款におけるその他の解散事由 董事会全員一致による 解散の決議 董事会又は連合管理委員会全員 一致による解散の決議 株主会による解散の決議 又は株主決定 会社の全株主の議決権の 10%以上を保有する株主による解散請求を人民法院が受理したこと 法により営業許可証が取り上げられ、閉鎖を命じられ、取消処分を受けたこと 合併(消滅会社となる場合)又は分割(解散分割の場合) 破産(破産清算) 網掛けを付した解散事由により解散するためには、審査認可機関による認可を経る必要 がある9 会社の全株主の議決権の 10%以上を保有する株主による人民法院に対する解散請求は、 デッドロックが生じた場合の解決を目的とする制度であり、①会社の経営管理において著 しい困難が生じ、②会社を引き続き存続させることが株主の利益に重大な損失を与えるお それがあり、③その他の方法によっても解決できない場合に認められる10。①の要件につ いては、「会社法適用規定(二)」において、以下の 3 つの事由が例示されている11 (i)会社が連続 2 年以上株主会又は株主総会を開催できないこと (ii)株主による議決において、法定又は会社定款に定める比率に到達することができず、 連続 2 年以上有効な株主会又は株主総会決議を行うことができないこと (iii)会社の董事が長期にわたり対立し、かつ株主会又は株主総会によっても解決できな いこと 合併又は分割、破産清算により解散する場合12を除き、会社は解散する場合、清算委員 9 「中外合弁企業法実施条例」第 90 条第 2 項、「中外合作経営企業法実施細則」第 48 条第 2 項、「外資独 資企業法実施細則」第 72 条第 2 項、「通知」第 2 条。なお、「通知」第 2 条第 3 項は、中外合弁企業又は 中外合作経営企業において、解散事由が合弁当事者又は中外合作者の義務不履行による経営の継続不能で ある場合について、審査認可機関による認可を経なくても、人民法院の裁定を経ることによって解散できる かのように規定している。 10 「会社法」第 183 条 11 「会社法適用規定(二)」第 1 条第 1 項 12 合併又は分割における手続は本連載第四弾第 5 回(2013 年 6 月号)を、破産清算における手続は本連載

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会を設立しなければならず、清算委員会が清算業務を行う13 。清算期間においては、会社 は存続するものの、清算と無関係の経営活動を行えない14 以下、有限責任会社である外商投資企業による、合併又は分割、破産清算以外の解散事 由による解散・清算の手続について解説する。 2.解散・清算の手続 (1) 概要 有限責任会社である外商投資企業による解散・清算手続の概要は以下のとおりである(会 社が期限内に自ら清算委員会を設立する場合)。 解散事由の発生、会社の権力機構による決議15 15 日以内16 審査認可機関による認可(認可が必要な場合) 15 日以内 清算委員会の設立 工商行政管理部門への届出17 (清算委員会の構成員、責任者の名簿) 債権者に対する通知及び公告 会社財産の整理 債権者による債権の届出 貸借対照表及び財産明細表の作成 債権の登録、査定 会社の財産が債務の完済に不足 することが判明した場合 清算案の作成、会社の権力機構からの 人民法院に破産宣告を申請 確認取得、執行18 破産宣告後、清算事務を人民法院に移譲19 会計士事務所による清算監査報告書の作成 税務登記、税関登記の抹消 清算報告書の作成、会社の権力機構からの確認取得20 第三弾第 5 回(2013 年 1 月号)を、それぞれご参照。 13 「会社法」第 184 条、「会社法適用規定(二)」第 7 条第 1 項、「通知」第 3 条等 14 「会社法」第 187 条第 3 項 15 人民法院又は仲裁機構の裁定により解散する場合、法により行政処罰として営業許可証を取り消され、 閉鎖を命ぜられ、又は取消処分を受けて解散する場合には、決議は不要である(「通知」の付属文書の 5 参 照)。 16 「会社法」第 184 条、「会社法適用規定(二)」第 7 条第 1 項 17 「通知」第 3 条 18 「会社法」第 187 条第 1 項、「会社法適用規定(二)」第 15 条第 1 項 19 「会社法」第 188 条 20 「会社法」第 189 条、「指導意見」第 4 条、「通知」第 4 条

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審査認可機関への清算報告書の提出、批准証書の返納21 外貨登記の抹消、株主への海外送金 工商登記の抹消手続22 会社終了の公告23 (2) 審査認可機関における審査・認可手続24 審査認可機関による審査が必要な解散の場合には、審査認可機関に対し、繰上げ解散申 請書、企業の権力機構(董事会又は株主会)による決議、批准証書、営業許可証を提出し、 解散を申請しなければならない。 中外合弁企業又は中外合作経営企業において、解散事由が合弁当事者又は中外合作者の 義務不履行による経営継続の不能である場合には、他の合弁当事者又は中外合作者は、審 査認可機関に対する解散申請の際に、繰上げ解散申請書とともに、管轄権を有する人民法 院又は仲裁機構が発行する、当該解散事由の存在を明確にする判決書又は判断書を提出し なければならない。 審査認可機関は、解散申請書及び関連資料を受領してから 10 業務日以内に解散の認可文 書を発行しなければならず、かつ、全国外商投資企業審査認可管理システムにおいて当該 企業の解散を認可した旨の情報を追加しなければならない。 (3) 清算委員会の設立、構成、業務等 解散する外商投資企業は、審査認可機関による認可が必要な解散の場合には、認可日か ら 15 日以内に、審査認可機関による認可が不要な解散の場合には、解散事由が発生した日 から 15 日以内に、清算委員会を設立して、清算を開始しなければならない25。有限責任会 社が設立する清算委員会は、株主により構成される26 ①会社が期限を徒過しても清算委員会を設立して清算を行わせない場合、②清算委員会 を設立したが故意に清算を引き延ばした場合、又は③違法な清算により債権者又は株主の 利益を著しく損ねる恐れがある場合には、債権者は(債権者が申請しない場合には株主も)、 人民法院に対し、清算委員会を指定して清算を行うよう申請することができる27 。 清算委員会は、清算期間において、以下の業務を行う28 ① 会社財産の整理、貸借対照表及び財産明細表の作成 ② 債権者に対する通知・公告 21 「指導意見」第 4 条 22 「会社法」第 189 条、「指導意見」第 4 条、「通知」第 4 条 23 「会社法」第 189 条 24 「指導意見」第 2 条 25 「会社法」184 条、「指導意見」第 2 条第 3 項 26 「会社法」184 条 27 「会社法」第 184 条、「会社法適用規定(二)」第 7 条第 2 項 28 「会社法」第 185 条

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③ 清算に関連する会社の残留業務の処理 ④ 未納の税金及び清算の過程において生じた税金の納付 ⑤ 債権及び債務の整理 ⑥ 会社が債務を弁済した後の残余財産の処分 ⑦ 会社を代表して民事訴訟活動に参加 (4) 債権者に関する手続 清算委員会は、会社の解散及び清算について、その成立の日から 10 日以内に全ての知 れている債権者に通知し、かつ 60 日以内に新聞上で公告を行わなければならない29 通知を受領した債権者は、受領日から 30 日以内に、通知書を受領していない場合は公 告の日から 45 日以内に、清算委員会に債権者を届け出なければならない30。債権の届出期 間中は、清算委員会は債権者に対して弁済を行ってはならない31 清算委員会は、届け出られた債権を登録し、査定する。債権者が清算委員会の査定した 債権に異議のある場合は、改めて査定を行うように要求することができる。清算委員会が 改めて査定することを拒否し、又は改めて査定された債権について債権者がなおも異議が ある場合は、会社を被告として人民法院に訴訟を提起することができる32 清算委員会は、会社財産が期間内に届出をした債権者への債務の完済に不足することが 判明した場合には、人民法院に破産宣告を申請しなければならない33。逆にいえば、清算 手続においては、期間内に届出をした債権者は基本的に全額弁済を受けることができる。 届出期間内に債権を届け出なかった債権者も、会社の権力機構による清算報告の確認が 終了する前に届出の追完を行った場合には、未分配の残余財産の中から弁済を受けること ができ、未分配の財産では全額を弁済することができない場合は、株主に対し、残余財産 から分配を受けた財産をもって弁済するよう請求することができる。但し、当該債権者は、 ①届出期間の徒過に重過失のある場合には、株主に対する弁済請求をすることができない 点、②会社の未分配の財産及び株主が残余財産から分配を受けた財産から全額弁済を受け られない場合でも、それを理由に清算手続が破産清算に移行することはなく、届出期間内 に届出をした債権者と対等な弁済を受けられなくなる点で、不利益を受ける可能性がある 34 。 (5) 株主の権利義務 株主が払い込んでいない出資は、払込期限が到来済みか未到来かにかかわらず、全て清 算財産とされる。会社の財産が債務の弁済に不足した場合、出資を払い込んでいない株主 及び会社設立時のその他の株主又は発起人は、未払出資の範囲内において会社の債務につ 29 「会社法」第 186 条第 1 項、「会社法適用規定(二)」第 11 条第 1 項。公告する新聞は、会社の規模及び 営業地域の範囲に基づき、全国的に又は会社の登録登記地の省レベルにおいて影響力を有する新聞でなけれ ばならない。 30 「会社法」第 186 条第 1 項 31 「会社法」第 186 条第 3 項 32 「会社法適用規定(二)」第 12 条 33 「会社法」第 188 条第 1 項 34 「会社法適用規定(二)」第 14 条

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いて連帯して弁済する責任を負う35 。 清算委員会は、清算費用、従業員の賃金、社会保険料及び法定補償金を支払い、未納の 税金を納付し、会社の債務を完済した後に、その残余財産を株主に分配する。これらの費 用、債務等の支払が完了する前に会社の財産を株主に分配してはならない36 [応用編―解散・清算手続に入る際の税務上、労務上の留意点] 外商投資企業の解散・清算手続は、順調に進めば半年程度で完了するが、場合によって は長期化し、2 年以上を要する場合もある。手続が長期化する主な要因としては、税務調 査と労働紛争が挙げられる。 会社が解散する場合、工商行政管理部門又はその他の政府部門において抹消手続を行う 前に、税務機関において税務登記を抹消する必要があるが(「税収徴収管理法実施細則」 第 15 条)、税務登記を抹消するためには、税務機関に対し、納付すべき税金、滞納金、過 料を全額納付する必要がある(同第 16 条)。その際、税務機関としては、外商投資企業に 対する監督管理権行使の最後の機会として、税務登記の抹消に先立ち、解散する会社に対 して、未納の税金、移転価格、密輸の有無等を徹底的に調査する可能性がある。その際、 会社側が税務機関に対して資料の提供や質問に対する回答等の適切な対応ができず、税務 機関に疑いを持たれた場合には、調査が長引き、なかなか税務登記の抹消ができないこと になる。さらに、未納の税金が発見された場合には、当該税金の追納及び過料の支払が必 要となる。このように、会社が存続している間は表面化しなかった税務上の問題が、解散・ 清算による納税主体の消滅という事態に直面した途端に一気に顕在化することになるの で、日頃からの適切な税務管理が重要である。 また、会社が解散する場合には、従業員との労働契約は当然に終了する。その場合、労 働契約法上は、会社は労働者に対し、勤務年数に応じた経済補償金(大まかには、1 年当 たり 1 ヶ月分)を支払う義務があるが、労働者によっては、未払残業代の存在その他の理 由により、会社に対してそれ以上の支払を求め、労働紛争に発展することがある。労働仲 裁事件や訴訟事件に発展した場合には、その終結まで清算執行が完了しないことになり、 解散・清算手続が遅延することになる。そのため、実務上は、このような労働紛争を避け るため、会社が法定の経済補償金に一定額を上乗せした金額を支払うことを条件に、労働 契約を合意解除する方式がとられることも多い。なお、上記の税務登記の抹消の際に、会 社の財務資料に通じた者がいないと対応に苦労するため、財務担当の従業員は、税務登記 の抹消が完了するまでは、引き続き雇用(再雇用)するのが望ましい。 (今村俊太郎・弁護士) 35 「会社法適用規定(二)」第 22 条 36 「会社法」第 187 条第 2 項、第 3 項

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三.中国法務の現場より

1.大気汚染防止のための条例草案まとまる(北京) 7 月 24 日、北京市政府が起草した「北京市大気汚染防治条例(草案)」が北京市人民代 表大会常務委員会に提出され、1 回目の審議が行われた。今後の審議を経て、年内にも制 定される見込みである。 条例草案は、全部で 8 章 96 条から構成されており、大気を汚染する行為に対して厳格な 管理を課し、罰則が強化されているのが目立つ。 たとえば、汚染物質排出企業の違反に対する過料は1日ごとの累計で計算する、「1回の 過料は 100 万元(約 1600 万円)を超えない」という上限額を廃止する、年間の排出総量 規制目標に達していない地域と業種の新規プロジェクトは認可してはならない、といった 内容の規定に加え、市街地域における食べ物の串焼き行為までも 2 万元以下の過料の対象 とされている。実際に施行された場合に、露天の串焼き店がどうなってしまうのか気にな るところではある。 日本でも連日報道されたように、北京では、今年の旧正月の時期に PM2.5(微小粒子状 物質)の濃度が基準値を大きく上回る日が続き、濃いスモッグで数十メートル先が見通せ ない日もあった。当時、北京に住む人々の間では、「スモッグは暖気(石炭によるスチーム 暖房)のせいだから、温かくなれば改善するはず」という噂が広まっていたが、春になっ ても空気が劇的に改善されたようには感じない。6 月末にも PM2.5 の濃度が最高レベルを 記録したとの報道がされており、大気汚染が単に暖房だけによらないことは明らかであろ う。 北京市政府の本腰を入れた大気汚染防止策によって、スカッと晴れた青空の日が少しで も多くなることを期待したい。 (野中信孝・弁護士) 2.取締が強化される商業賄賂 今月中旬、英国系大手の製薬会社の中国現地法人において高級管理職 4 名が贈賄容疑で 身柄拘束されたことが当局から公表された。 中国では「医薬分業」がなされておらず、薬で病院や医師を養っているという状況があ り、多額の賄賂資金が、高い医薬品のコスト(製造原価 30 元の薬の末端価格は 300 元と言 われる)に反映され、結局において患者の負担になっている構造が改めて明らかになった ため、社会的に注目される事件となった。 業界では、特定の医薬品の処方の対価として、医師に現金を渡すというような商業賄賂 が、特に地場系の製薬企業の間で横行しているといわれているが、外資系の製薬会社は、 海外のコンプライアンス制度を中国にも導入し、現金プロモーションではなく、学術プロ モーションを標榜し、厳しい交際費支出基準を設けて、あからさまな賄賂が行われにくく するように努めているのが通常であると理解されてきた。 しかし、今回の件では、当該外資系製薬会社が、ある旅行会社に巨額の費用を払って大 型会議等の開催を委託して、そこからキックバックをもらう等の形により、資金をプール

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して、その資金で、各種賄賂を行っていたことが明らかになった。もっとも、報道によれ ば、賄賂の先は、個別の医師だけではなく、関係政府機関(新薬の登録に関して医薬品監 督管理部門、価格に関して発展改革委員会、医療保険に関して人力資源社会保障部門)か ら、病院まで、広く対象になっているとのことである。 中国では、営業上の必要性から、各種業界で商業賄賂が使われているといわれる。それ がないと経営が成り立たないという、必要悪ないしは「潜規則」(見えない掟、隠れたルー ル)という面もビジネス上は存在するが、それは、いつでも摘発され、逮捕者を出す可能 性があるということが、今回また明らかになったといえる。 (山根基宏・弁護士) TMI 中国最新法令情報―2013 年 7 月号― 発 行:TMI 総合法律事務所 監 修:何連明・外国法事務弁護士 編集主幹:山根基宏・弁護士 発 行 日:2013 年 7 月 31 日

参照

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