岡 監 第 5 2 8 号 平成19年12月18日
特定非営 利活動法人市民オンブズマ ンおかやま 代表者代 表 重 田 龍 三 様
岡山市監査委員 広 瀬 慶 隆
同 石 川 敬 之
同 柴 田 健 二
同 三 宅 員 義
岡山市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
( 。 「 」
平成19 年11月26日付けで地方 自治法 昭和2 2年法律第67号 以下 法 という。)第242条第1項の規定に 基づき提出された岡山市職員措 置請求書につい て,監査し た結果を同条第4項の規定 により下記のとおり通知する。
記
第1 請求 の受付
1 請求 人の住所 氏名
岡 山市乙多見347番地
特 定非営利活動法人市民オン ブズマンおかやま 代 表者代表 重 田 龍 三
2 請求 書の提出日
平 成19年11月26日 3 請求 の要件審査
本件 請求は,法第242条所要 の法定要件を満たしているもの と認め,監査 を行う ものとした。
第2 請求 の要旨
請求 人が提出した「岡山市職員 措置請求書」による請求は,次 のとおりであ る。
1億2 ,000万円の運営費貸付 金の支出は違法なので,当該支 出の差止を求 める。
2 措置 請求の理由
(1)請求 人は岡山市に所在する特定 非営利活動法人である。
(2)平成 19年9月、岡山市が10 0%出資する財団法人岡山市シ ルバー人材セ ンター (以下、「シルバー財団」とい う。)が多額の欠損と借入金を 生じさせて
、 ( ,「 。)
いるこ と シルバー財団は 財団法人岡山市公園協会 以下 公園協会とい う から5 000万円・財団法人厚生 会(以下,「厚生会」という。)か ら4700 万円の 融資を得て金融機関からの 借入金を返済したが両団体から の借入金の返 済時期 が迫っていることが、発覚 した。
(3)岡山 市は、平成19年9月定例 岡山市議会に、シルバー財団に 対して1億2 000 万円の運営費貸付金(以下、「 本件貸付金」という。)を貸し 付けるとい う議案 を提出し、岡山市議会はこ れを可決した。ただし、市議会 が可決にあた って、 第三者で組織する経営検討 専門委員会の検討を経て、市議 会保健福祉委 員会が 支出を了承するまでの間、 支出を凍結することを要請した ので、本件貸 付金は 未だ執行されていない。た だし上記「執行凍結」は岡山市 長と岡山市議 会の紳 士的合意によるものなので 、法的には本件貸付金の支出の 執行はいつで も可能 な状態にある。本件貸付に ついて、シルバー財団の理事者 の連帯保証な ど人的 担保を得ることは予定され ていない。
(4)経営 検討専門委員会は、平成1 9年11月20日、岡山市のシ ルバー財団再 建案を 審議し基本的に了承した。 これをうけて、岡山市は11月 26日に開催 される 岡山市議会保健福祉委員会 に、前記支出凍結の解除を求め て、シルバー 財団再 建案の説明を行うことを予 定している。
(5)以上 の状況から、
ⅰ 本 件貸付金の支出については 、前述のとおり、すでに市議会 のこれを可決 する議 決がなされていて、法的に はいつでも執行が可能であり、 岡山市長は市 議会と の紳士協定にかかわらずい つでも支出を執行できる。
ⅱ 岡 山市議会は、さきにシルバ ー財団の再建案が存在しない状 況下で本件貸 付金の 支出を可決しているので、 岡山市長がシルバー財団の再建 案を作成し、 第三者 による経営検討専門委員会 の審議・了承が得られた現在で は、本件貸付 の執行 の凍結解除を了承する蓋然 性が大である。
ⅲ し たがって、本件貸付金の支 出は、近い時期に執行される蓋 然性が大であ る。
ⅰ シル バー財団は、高齢者の就業 支援を設立目的としているとは いえ、その営 む事業 そのものは、造園その他の 作業の民間の需要に応じて作業 員を派遣する もので あり、民間事業者の同種事 業と競争・競合の関係にあるも のであって、 歴とし た民間企業である。このよ うな企業にその事業運営資金を 公費として貸 し付け ることには、公益性が存し ない。
ⅱ シル バー財団が負っていた民間 金融機関からの借入金債務につ いては、シル バー財 団の理事者がその連帯保証 をしていた。当該借入金責務は 公園協会・厚 生会か らの借入金によってすでに 全額返済されている。公園協会 ・厚生会の代 表者ら (うち公園協会の代表者は 岡山市副市長、厚生会の代表者 は元岡山市助 役であ る)は、シルバー財団への 貸付について各法人の理事会の 承諾を得るこ
、 、
となく 貸付を実行しており もし当該 各貸付金の回収が不調とな った場合には それに よって各法人に生じた損害 につき、賠償責任を負うべき立 場にある。
また 、シルバー財団に対する公 園協会・厚生会の貸付は、岡山 市職員からの 要請に より、岡山市のシルバー財 団にたいする貸付が実行される ことを当然の 前提と して、これがなされるまで の間シルバー財団の民間金融機 関からの借入 金を解 消させるためのつなぎ資金 としてなされている。
従っ て、
ア シル バー財団の事業資金不足状 態は、公園協会・厚生会の融資 によってほと んど解 消しており、岡山市が新た に1億2000万円もの貸付を 行う目的は、 シルバ ー財団の資金不足の解消に あるのではなく、公園協会・厚 生会にシルバ ー財団 への貸付金を回収させるこ とにある。これが実行されれば 、公園協会・ 厚生会 はシルバー財団から貸付金 の全額返済を受けることになる ので、その代 表者ら は潜在的に負っている前記 の損害賠償義務を免れることに なる。
イ 公園 協会・厚生会の貸付は、岡 山市のシルバー財団にたいする 貸付が実行さ れるこ とを当然の前提として、こ れがなされるまでの間シルバー 財団の民間金 融機関 からの借入金を解消させる ためのつなぎ資金としてなされ ている。この 貸付の 顕著な効果として、シルバ ー財団の民間金融機関からの借 入金債務の連 帯保証 をしていた同財団の理事者 の保証債務が確定的に消滅した 。前記のとお り、公 園協会・厚生会の貸付は、 岡山市の貸付と一体のものとし て意識されて 行われ ているので、岡山市の本件 貸付が行われれば、それはシル バー財団の理 事者の 連帯保証責任を解除するた めに行われたと同一の効果を有 することにな る。
この ような貸付には、公益性が あるものとはいえない。 ⅲ シル バー財団には、本件貸付金 の返済能力が存しない。
シル バー財団は、長期間にわた り毎年実質上赤字を計上しつづ けており、平 成18年度においては 年間の赤字額が3300万 円を超えている。財団の経営に あたっていた理事者 らは、長期 間にわたりこの慢性赤字体質を 放置して欠損を 累積し続けさせると ともに、それから生じる資金不足を、金融 機関からの短期 借入を繰り返す(毎年度期 末に返済し期首に借り入れる処 理を行い、決算に反 映させない)という脱法的な手 法で糊塗するとともに監督官庁 である岡山県を 欺き続け、さらには理事会の承 認手続きなくして法人の基本財 産を秘密裡に取 り崩していた。
岡 山市は、シルバー財団につ いて、平成20年度に3700 万円,21∼ 27年度に3200 ∼1700万円の黒字(黒字縮小の理由は 補助金削減見通 しによる)を実現させ、これを 財源として本件貸付金の返済に あてるという再 建案を作成したが、こ の再建案は、以下の理由により、机上の 数字合わせにす ぎず、現実は不可能 である。
ア 法人自身の売上 に依存する民間事業体にお いて、単年度3 000万円を超 える慢性赤字を続け ていた法人が、突然に3000万円を超え る黒字に転換す るということ自体、 非常識であり、まじめな考 慮に値しない。
、 。
イ 岡山市の再建案 による法人の黒字転換の主 な財源は 次のとおりである A 指定管 理事業受託の廃止による赤字の 解消 470万円
B 事務費 の7%→10%への増額による収 入増 1520万円
C 補助金 収入の増額 580万円
D 人件費 の削減( 給与の20%削減) 2890万円
E その余 の経費削減 800万円
しかしなが ら、これらの財源プランはいず れも皮算用の域を出ない。 事務費を増額す ればそれによるコスト上昇 は売上単価に反映し、法人の競 争力と売上総額と に影響するのが常識である。値上げされた 単価によって従 前どおりの売上数 量を維持できるというのは 単なる希望でしかない。
補助金収入 は、制度の変遷や補助金交付者 の財政状況などの諸般の事 情 によって変動しや すいものであり、8年間という長期間にわ たる全返済期間 について補助金の 金額に現在予測される以外 の変動がないと見込むことは危 険である。
ことになる職員に ついて、労 働意欲の維持を期待できるかど うかについて全 く考慮されていな いうえ、多 発が懸念される職員の退職に伴 う退職金の財源 措置が全く考慮さ れていない。
ウ 上 記の、岡山市の再建案に対 する各疑念は、いずれも第三者 による経営検 討専門委員会にお いて、各委員から強く主張 されたところでもある。 エ さ らに、根本的な問題として 、これらの厳しい緊縮経営を実 施することを
期待されているの は、昨 日まで赤字を垂れ流し、それを隠ぺ いまでしていた 理事者・職員なの である。彼らに、上記の、ふつうの民間企 業では実現不可 能と考えられるよ うな緊縮経営を遂行する能 力があるとは、とうてい考えら れない。彼らにその ような能力があるのなら、シルバー 財団は初手から、現 在のような経営危 機に陥ることはなかったは ずである。
7 地方自治法第2条第 14項は 地方公共団体は その事務を処 理するに当たっ
( ) 、「 、
ては、 住民の福祉の増進に努める とともに、最小の経費で最大の 効果を挙げる ように しなければならない」と定め、また地方財政法 第4条第1項は、「地方公 共団体 の経費は、その目的を達成 するための必要且つ最小の限度 をこえて、こ れを支 出してはならない」と定め ている。これらの規定は、いず れも地方公共 団体の 財政の健全化確保の目的か ら規定されたものであり、地方 自治法第2条 16項・ 17項の法意に照らせば、単 に執行担当職員に対して事務の あり方を示す にとど まるものではなく、上記各 法条の趣旨が著しく損なわれ、 社会通念上も 著しく 妥当性を欠く場合には、こ れらの法条に違反する行為は違 法かつ無効と なるも のである。
岡山市が本件貸付金 の支出をすることは、前述のとおり、民間 の財団法人に対 して公益性なくして運 営資金の貸付を行うことで あり、返済能力 のない相手に対 して貸付を行うことで もあるから、経済的合理性にも法的正当性 にも全く欠けた 行為である。従って、本件支 出は、地方自治法・地方財政法の前 記規定の地方公 共団体の財政健全化確 保の目的を没却し、社会通念上もきわめて 妥当性を欠く行 為であって、前記各法 条に反し違法である。
(8)よっ て、地方自治法第242条第1 項の規定に基づき、証拠書 類を添付して、 頭書のとおり、厳正な 措置を請求する。
平成19年12月1 2日に実施した陳述の機会 の付与の際に提出された措置理 由の追加は以下のとお りである。
措置 請求の理由に、次のとおり 追加する。
1 本件 貸付はその必要性がないの で、公益性があるとはいえない 。
1 本件貸付のうち9700万円 が公園協会 厚生会からの借入金の 返済にあてられ
( ) 、
これらの法人の貸付金の原資は 各法人の剰余資産、あるいは 少なくとも当面 費消する必要のない資産からな されているはずである。そう であれば、シル バー財団はこれらの返済につい て各法人に依頼して長期分割 返済に変更して もらえばすむことであり、岡山 市が主張するようにシルバー 財団の再建が確
、 。
実なのであれば 両法人として 期限の伸長を拒否する理由はな いはずである (2)シルバー財団は下部 組織として生きがい事業団と いう任意団体を有していて、
財団が受注する仕事の 大部分は生きがい事業団に 属する高齢者が行っている。財 団は顧客から受注した 作業をその内容に従って生 きがい事業団の5個ある班のど れかに割り振るだけで、その後の 作業の手配等は全部生きがい事 業団が行ってい
。 、 。
る 生きがい事業団の経 営は現在まで一貫して健全で 問題は指摘されていない 従って、生きがい事業団を 分離し法人化して事業を継続す れば、シルバー財団 が倒産し ても、シルバー事業は組織 と実績を有する団体によって問 題なく維持す ることが できる。
2 岡山 市が作成した再建計画は、 以下の点からも杜撰である。
(1) 先週の新聞報 道によると、シルバー財団 は職員3名(常務理事兼 事務局長、 事務局次長、会計責任者)を 懲戒解雇しようとしたが、職員側か ら手続きの不備 を指摘されたため、解 雇通告を延期したとのこと である。
このことから、 次のことがわかる。
ⅰ 岡山 市の再建計画は、具体的な 詰めの作業が全くできていない 。上記の3職 員はシルバー財団の破 綻について最も責任が重そ うに見える人たちであり、それ らの者でさえ懲戒解雇 を受け入れていないという ことは、岡山市 が再建計画の実 行とその具体的な内容 についてまだシルバー財団 の職員側の理解を得るに至って いないことを意味して いる。
ⅱ 上記 3名が懲戒解雇に抵抗する 姿勢を示しているということは 、財団の職員 。 らとの深刻な労働紛争 が発生する具体的な危険が 存在することを意味している そのような事態が具体 化すれば、再建計画は財団の人件費の大幅 カットを主な内 容としているので、計 画は初期段階から実行困難 になる。
2 再建計画によると シルバー 財団には平成19年9月末段階で 3700万円の未払
( ) 、
金があるということで あり、それらの内容は「精査中」とのこと で明らかにされ ていない(経営検討専 門委員会に提出された資料 による)。
再建計画では貸付金 1200万円のうち1000万円を この未払金の弁済にあて、残額 2700万円は平成21∼23年度にシルバー財団自身の 収益から分割返済することが予 定されている。
。 延べは公園協会や厚生 会からの借入金よりもはる かに困難である可能性がある もしこの点の見通しが 誤っていれば、シルバー財団は貸付が実行 されて予定の返 済がされた直後から資 金繰りができなくなるおそ れがある。
(3)岡山 市の再建計画は、それが確 実に実行されることの法的な担 保がない。 財団法人の場合、基本財産の寄付 者は財団が設立された後は法人 に対する法的統 制の権限がないし、岡山市はシル バー財団に対する行政的な指導 権限を持ってい ない。(これを持ってい るのは岡山県である)従って 、岡山市は本件貸付を実行 した後もその法的立場 は単なる大口債権者にすぎ ないから、法人 の役員らが支持 しなければ、岡山市は 再建案を強制する方法がな い。
これを防ぐためには、再建案に ついてあらかじめ法人の役員・ 職員らに承諾さ せて実現可能な体制を 整えておく必要があるが、それが全くでき ていないことは 1 で指摘したとおりであ り 再建案が絵に描いた餅に終わる 危険は具体化し
( ) 、
ている。
また、役員らの支持を確保 するためには、役員ら全員を貸付に ついて連帯保証 させることが有効と考 えられるが、岡山市はこのような手法を取 ることも想定し ていない。
この、貸金回収のための法的及 び事実上の担保手段を取ろうと しない岡山市の 姿勢はきわめて不可解 であり、は じめから貸金を回収する気がな いのではないか とさえ疑われる。
3 結局 、岡山市は、
(1)必要 のない貸付を行って、
(2)必ず しも救済する必要のないシ ルバー財団を救済しようとして おり、
(3)貸付 の前提として作成された再 建計画は現段階ですでに破綻の きざしを見せ ており 、
(4)既存 債務の返済計画には合理性 がなく、
(5)再建 計画の実行を担保すべき法 的手段の裏付けがないのに、こ れを補うため の手段 をとっていない。
岡山市の とろうとしている行動は、 まるで貸付金を回収する気が最 初からないか のようであ り、シルバー財団の再建を 本気で目指しているかどうかす ら疑わしい。 つまると ころ、岡山市の 行為の全体が、「公園協会・厚生会の借入 金返済のための 貸付を実行 する」という結論が先に立 ってなされており、その主目的 が本件に関与 した岡山市 幹部やOBの責任を解除して やろうとすることにあるのは明 らかである。
第3 監査 対象課
第4 請求 人への証拠の提出及び陳述 の機会の付与
1 法第 242条第6項の規定に基 づき,平成19年12月12日 請求人に対し て新た な証拠の提出及び陳述の機 会を与えたところ,陳述として 提出された請 求書を 読み上げ,補足の陳述がな されるとともに新たな証拠とし て「措置請求 理由補 充書」及び「平成18年1 1月30日付けのシルバー財団 から利用者宛 の請求 書,平成18年12月25 日の受付局日附印が押印してあ る郵便振替払 込請求 書兼受領書及び払込金受入 票」が提出された。
2 補足 の陳述の概略は,次のとお りであった。
岡山 市職員措置請求書及び措置 請求理由補充書に沿って陳述を 行った。 3 請求 人が陳述を行った際,法第 242条第7項の規定に基づき ,関係職員を
立ち会 わせた。
第5 監査 の実施
措置 請求書及び関係書類等を調 査し,平成19年12月12日 に関係職員の 陳述の 聴取を行った。また,関係 人調査を行い,合議により慎重 に監査した。 なお ,関係職員が陳述を行った 際,法第242条第7項の規定 に基づき,請 求人を 立ち会わせた。
第6 関係 職員(保健福祉局)の陳述
陳述 の概略は,次のとおりであ った。
シル バー財団は,設置根拠が「 高年齢者等の雇用の安定等に関 する法律」に よるも ので,事業目的そのものに 公益性が認められる。
本件 貸付によって個人責任を免 れさせる効果が発生したとして も,本件貸付 の目的 はあくまでシルバー財団存 続のための運営資金確保である 。シルバー財 団の存 続は法政策上の要請であり ,公益性がある。
岡山 市がシルバー財団を直営的 に管理し,経営を健全化させて いく。返済能 力はあ る。
シル バー財団の存在目的,事業 内容に公益性が認められる団体 であり,岡山
。 。
市とし ても政策上存続させなけれ ばならない その公益性から見 て妥当である
第7 監査 の結果及び判断
1 貸付 の公益性について
(1)シル バー財団そのものの公益性 及びシルバー財団への運営資金 貸付の公益性 につい て
請求 人主張理由の第1点は,「シルバー財団は、歴と した民間企業であり,そ の事業 運営資金を公費として貸し 付けることには、公益性が存しない。」という ことで あり,まず,この点につい て判断する。
請求 人が主張するようにシルバ ー財団が民間企業であることに ついては,シ ルバー 財団が公共団体又は公営企 業ではないから民間企業である という意味合 いにお いては認められる。
, , ,
シル バー財団は 急速 に進む高齢社会に対応するた め 地域の高齢者が 共働 共助し 合うことによって,高齢者 の就業を通じて福祉の増進を図 りながら自主 的に運 営する法人であり,臨時的 かつ短期的又はその他の軽易な 仕事を家庭, 事業所 ,公共団体等から引き受け ,これをシルバー財団に加入し ている会員の 希望や 能力に応じて提供すること を目的とする「高年齢者等の雇 用の安定等に 関する 法律第41条」に基づき岡 山県知事から指定された法人で ある。営利を 目的と する法人ではないことはも ちろん,高齢社会を支える役割 を高齢者自身 が担う ものであり,シルバー財団 には高度の公益性が認められる 。また,住民 生活の 維持向上に関する諸問題に 対して迅速かつ適切に対応する ことを求めら れてい る普通地方公共団体におい て,民間企業であることのみを 理由として, それへ の貸付が禁止されていると は解せられない。まして,他の 民間企業にな い強い 公益性を有するシルバー財 団に対し,高齢者福祉施策の観 点からその経 営危機 に際して公的支援を行おう とすることには裁量権の逸脱又 は濫用がある とは認 められない。
(2)貸付 目的の公益性について
つぎ に,請求人主張 理由の第2点は,「公園協会・厚生会のシ ルバー財団への 貸付は 、岡山市の貸付と一体のも のとして意識されて行われてい るので、岡山 市の本 件貸付が行われれば、それ はシルバー財団の理事者の連帯 保証責任を解 除する ために行われたと同一の効 果を有することになる。
シル バー財団も、公園協会・厚 生会も、民間の財団法人であり 、その理事者 は自分 の経営に関する行為につい て、法に従って保証債務や損害 賠償義務を負 担し履 行するべきである。本件貸 付は、これらの理事者らの責任 を岡山市(ひ いては 市民全員)の危険負担にお いて解除してやるに等しいもの である。
、 。」 ,
この ような貸付には 公益性があるものとはい えない ということであり この点 について判断する。
て,そ の運営によって生じた当面 の資金不足を解消するため貸付 をしようとす るので あるから,これに公益性が あるとした岡山市の判断は,一 般的には不合 理なも のではない。シルバー財団 の経理処理に問題があり,その ために債務超 過に陥 ったとしても,直ちに,上 記目的やシルバー財団の存在意 義が失われ, 岡山市 がその存続のための対応を 執ることが許されなくなるもの ではない。
請求 人が主張している効果は, 本件貸付行為の直接の効果では なく間接の効 果であ る。
(3)貸付 の必要性について
つぎ に,請求人主張 理由の第3点は,「公園協会・厚生会のシ ルバー財団への 貸付は 、各法人の余剰資産,ある いは少なくとも当面費消する予 定のない資産 からな されているはずであり,シ ルバー財団は返済について各法 人に依頼して 長期分 割返済に変更してもらえば 済むことである。
シル バー財団が受注する仕事の 大部分は,その下部組織である 生きがい事業 団が行 っており,この組織を分離 し法人化して事業を継続すれば ,シルバー財 団が倒 産しても,シルバー事業継 続は可能である。
この ように必要性がないので, 本件貸付には公益性があるもの とはいえな い。」 ということであり,この点につ いて判断する。
シル バー財団に資金不足があり ,外部からの資金導入以外にそ の資金繰りの 破綻を 回避する方法がないことは 明白である。
請求 人主張の公園協会・厚生会 による貸付の長期分割返済への 変更の方法に ついて は,公園協会・厚生会とも に財団法人であり営利を目的と していない団 体であ るので,現在のシルバー財 団への貸付金が期限までに返済 されず,返済 が長期 化すれば両法人の運営に大 きな影響を及ぼすものと考えら れる。また, 両法人 がシルバー財団に貸し付け ることは両法人の設置目的から 見て正常な状 態では ないので,岡山市が請求人 主張の長期分割返済への協力を 両法人に求め ること は,不正常な状態を長期に わたって固定化する方策となり ,適切ではな いと思 われる。したがって,岡山 市がこの請求人主張の方法をと らず自ら貸し 付ける ことを選択したとしても, そこには裁量権の逸脱はない。
そし て,生きがい事業団の法人 化については,その上部組織で あるシルバー 財団が ,今回のような問題を惹起 させており,その下部組織であ る生きがい事 業団の 法人格取得に監督官庁の許 可は得られる状況にはないと考 えられる。
した がって,本件貸付に必要性 がないとはいえない。
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公益 性に関する判断は以上のと おりであり シルバー財団には 公益性があり これへ の貸付目的には公益性があ り,これへの貸付の必要性も認 められる。 2 シルバ ー財団の返済能力について
違法であ るので,本件貸付に関する シルバー財団の返済能力につい て判断する。 請求人 が実現不能としている再建 計画は,経営検討専門委員会の 意見を参考に とりまと められた再建計画案にすぎ ず,シルバー財団が自ら作成し 理事会の議決 を経た再 建計画は存在していないこ とが認められた。
また, 経営検討専門委員会の意見 を参考にとりまとめられた再建 計画案の前提 となって いる債務超過原因について は,その後,使途不明金疑惑も 出てきたこと から,非 常に流動的である。
したが って,今現在においてシル バー財団の返済能力について判 断すると,返 済能力が あるといえないとしても, 全く返済能力がないとも断言は できない。前 述のとお り全く返済能力がない者へ の貸付は違法であるが,本件に おいてはシル バー財団 自身の手による貸付金の返 済計画を含む再建計画が存在し ておらず,シ ルバー財 団に全く返済能力がないと は断定できない状況であり,違 法とまではい えない。
岡 監 第 5 2 9 号 平成19年 12月18日
岡山市長 髙 谷 茂 男 様
岡山市監査委員 広 瀬 慶 隆
同 石 川 敬 之
同 柴 田 健 二
同 三 宅 員 義
住民監査請求に係る監査の結果に基づく意見について
平成19 年11月26日付けで地方 自治法(昭和22年法律第67 号)第242 条第1項の 規定に基づき特定非営利活 動法人市民オンブズマンおかや まから提出さ れた住民監 査請求について監査した結 果,その結果に基づき必要があ ると認め,下 記のとおり 意見を提出する。
記
監査の結 果は別紙のとおりであるが ,財団法人岡山市シルバー人材 センター(以 下「シルバ ー財団」という。)において,以下の条件が満たされるま で,貸付金1億 2,000 万円の予算執行を停止され るよう強く要望する。
1 再建計 画については,シルバー財 団の総意で実行可能かつ再建可 能な案がまと められ, 理事会で議決されたもので あること
1 基本財 産については,確実に復元 可能な見通しがあること