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はじめに

伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町を含む洞爺湖有珠山周辺地域は、2008 年からジオ パーク構想が計画され、2009 年に「日本ジオパーク」に認定されました。そして同年 8 月には「世界ジオパーク」に認定され、世界中の人々が当地域の魅力を知ることになり ました。 火山活動のたびに姿を変える「変動する大地」と、そこに息づく森林や湖沼、河川、 動植物、さらにこの大地や生態系の豊かな恵みを享受しながら暮らす人々の営み ―こ のように、当地域には様々な魅力があります。特に、世界有数の活発な火山活動がみら れる有珠山と共に暮らしてきた人々の持つ減災の知恵と遺構は、世界中の人々や次世代 を担う子どもたちが学び、活かすことのできる、世界に誇る財産です。 洞爺湖有珠山ジオパークは、これからも世界ジオパークとして世界中にその魅力を発 信し、世界中から訪れる人々を受け入れて発展を続けていきます。このマスタープラン は、洞爺湖有珠山ジオパークが今後どのような発展を目指すのか、その基本的な考え方 を記したものです。これによって洞爺湖有珠山ジオパークの基本的な考え方や活動方針 が、地域に暮らす人々や洞爺湖有珠山ジオパークを支援する人々に共有され、当地域の 発展に向けて共に活動していってもらえることを願っています。 2012 年 3 月 洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会

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も く じ

第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

1-1. 世界ジオパークの基本理念 ... 2 1-2. 洞爺湖有珠山ジオパークを推進する目的 ... 4 1-3. 洞爺湖有珠山ジオパークエリアの概要 ... 5

第 2 章 マスタープラン策定の目的と位置付け

2-1. 策定の目的... 12 2-2. 計画期間 ... 13 2-3. 位置付け ... 14

第 3 章 運営計画

3-1. 各主体の参画による運営 ... 16 3-2. 運営組織 ... 18 3-3. 運営予算 ... 21

第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

4-1. 研究活動 ... 26 4-2. ジオパークエリア・ジオサイト等の保全・管理 ... 28 4-3. 教育・普及... 32 4-4. ツーリズム... 34 4-5. 情報発信 ... 38 4-6. 地域連携 ... 42 4-7. 活火山地域における安全確保と減災システムの向上 ... 44

第 5 章 実施計画

5-1. 実施計画 ... 48 5-2. 推進の指標... 49

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

1

第 1 章

洞爺湖有珠山ジオパーク

推進の目的

1-1.世界ジオパークの基本理念

1-2.洞爺湖有珠山ジオパークを

推進する目的

1-3.洞爺湖有珠山ジオパーク

エリアの概要

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

1-1.世界ジオパークの基本理念

(1) ジオパークの目指す姿

ジオパークは、以下の図に示す通り、地域の資源である『大地の遺産(geoheritage)』を「研 究・保全(Conservation)」、「教育・普及(Education)」、「ジオツーリズム(Geotourism)」の 3 つの観点から活用することによって、地域住民と地域経済とを豊かにし、地域の持続可能な 発展を目指すことを基本理念としています。 図 1 ジオパークの基本理念

地域の持続可能な発展

豊かになった経済で 地域の遺産を継続して 研究・保全する

研究・保全

ジオツーリズム

教育・普及

*大地の遺産の存在と 価値を明らかにする *大地の遺産を 後世に伝承する *子ども達を中心とした 地域住民がその価値を理解し、 自らの郷土に誇りと自信を持つ *地域が国内外から注目され、 観光客が増加し、地域経済が 活性化される

ヒト

エ コ

ジ オ

地形・地質学的に重要で貴重な大地 その大地を基盤として根付く 豊かな生態系 大地や生態系の恵みを享受し 共に暮らしてきた人々の歴史と文化 地域の資源

『大地の遺産

(geoheritage)

研究・保全によって得られた 知見や魅力を活用する 住民たちが地域の価値を発信し、 観光資源として活用する

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

3

(2) 世界ジオパークに求められる要件

世界ジオパークネットワーク(以下、「GGN」という)は、GGN への加盟を認定する基準 として、以下の 6 項目を世界ジオパークの定義として定めています。 GGN は、ジオパークの基本理念や定義を GGN ガイドライン(別添資料1)及び加盟審査 時に提出を求めている自己評価票(別添資料2)によって示し、それに基づいた質の維持や向 上を加盟地域に求めています。 したがって、世界ジオパークである『洞爺湖有珠山ジオパーク(以下、「本ジオパーク」と いう)』は、前項のジオパークのめざす姿を目標とし、上の定義を満たすよう、質の維持や向 上、ならびに運営組織や管理・財政計画などにおいて、地域の独自性を活かしながら継続的に 推進していくことが必要です。 ■地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産、考古学的・生態学的もしくは文化 的な価値のあるサイトも含む、明瞭に境界を定められた地域であること。 ■公的機関・地域社会ならびに民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政 計画を持つこと。 ■ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会・経済発展を育成すること。 ■博物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関す る教育・普及活動を行うこと。 ■それぞれの地域の伝統と法に基づき地質遺産を確実に保護すること。 ■世界的ネットワークの一員として、相互に情報交換を行い、会議に参加し、ネッ トワークを積極的に活性化させること。

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

1-2.洞爺湖有珠山ジオパークを

推進する目的

本ジオパークは、約 10 万年スケールの洞爺カルデラと火砕流台地、約 2 万年前の噴火で誕 生し今もなお繰り返される火山活動によって姿を変える有珠山、多数の温泉など、地球のダイ ナミズムをまざまざと見せるユニークな地域です。そこには、火山活動の影響を多分に受けて 育まれた多彩な動植物等の自然環境と、それらの恵みを享受しながら暮らしていた縄文・アイ ヌの先人たちの遺跡、そして現代、火山学・火山防災や砂防・治山分野において火山との共生 のために貢献した人々の歴史といった、数多くの「大地の遺産」を有しています。 洞爺湖有珠山地域(以下、「当地域」という)では、このような地域の魅力ある資源を活用 し、これまでにも研究・教育活動や、ジオツーリズム・エコツーリズム等の様々な取り組みを 行い、地域内外の人々に学びと観光の場を提供してきました。また、火山と向き合って暮らし てきた当地域では、幾度の噴火災害の経験から、住民・行政・学識者とが連携をして、地域減 災に関する多くの取り組みが行われてきました。そしてこうした取り組みは、当地域の減災文 化を地域内外に継承していくことにつながっています。 当地域のこれらの取り組みが GGN に高く評価され、洞爺湖有珠山ジオパークは 2009 年 8 月に世界ジオパークとなり GGN への加盟を果たしました。 今後は、「世界ジオパーク」という新しい理念のもとに、さらに地域が結束して活動を充実 させ、当地域の学術、教育及び経済の振興に一層大きな効果をもたらすことが期待できます。 本ジオパークの推進により当地域の持続可能な発展に寄与することを目的として、各種取り組 みを実施していきます。 図 2 洞爺湖有珠山ジオパークの基本理念

持続可能な地域の発展

(減災文化・産業・遺構)

ジオツーリズム

教育・普及

研究・保全

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

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1-3.洞爺湖有珠山ジオパーク

エリアの概要

基 本 情 報

【位 置】 北海道南西部、札幌から南西約 100 ㎞ 北海道の玄関口である新千歳空港から車や JR で約1時間半、札幌から約 2 時間 高速道路、路線バスなどが整備されている 【エリア】 北海道胆振総合振興局および後志総合振興局が所管の一部 伊達市・豊浦町・壮瞥町・洞爺湖町・留寿都村の一部・真狩村の一部 面積 約 1,180 ㎢ 【気 候】 亜寒帯湿潤気候(Dfa)~亜寒帯冬季少雨気候(Dwa~Dwb) 年平均気温 7.8℃、年平均降水量 932mm、年間日照積算 1,463 時間(伊達市) 【自然環境】 中央には約 11 万年前の大規模火砕流噴火によってできた洞爺カルデラと噴火活動を 繰り返す有珠山を擁し、南は穏やかな噴火湾に面しており、これらの自然の恵みと 火山災害と共生してきた地域である。支笏洞爺国立公園の一部を含む。 【人 口】 約 54,450 人 (住民基本台帳人口 2010 年 9 月 30 日より)

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※詳細情報:別添資料3 伊達市 67.5% 壮瞥町 5.4% 洞爺湖町 18.8% 豊浦町 8.2%

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

観 光 入 込

z 658 万人(北海道全体の 14.1%:2010 年・北海道調べ)

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国際会議等

z 昭和新山生成 50 周年記念国際火山ワークショップ(1995 年) z 第 1 回日本・スウェーデン科学協会ワークショップ 「北方圏の環境と文明」国際シンポジウム(2009 年) z 北海道洞爺湖サミット(2008 年) z 第 2 回日本ジオパーク全国大会(2011 年)

4

主 な 行 事

z 洞爺湖ロングラン花火大会 (洞爺湖) 4 月下旬~10 月末 z 洞爺湖マラソン (洞爺湖) 5 月下旬 z いちご豚肉まつり (豊 浦) 6 月上旬 z 伊達武者まつり (伊 達) 8 月上旬 z 北海道ツーデーマーチ (洞爺湖) 9 月中旬 z そうべつりんごまつり (壮 瞥) 10 月上旬 z だて物産まつり (伊 達) 10 月中旬 z おおたき国際スキーマラソン (大 滝) 2 月上旬 z 昭和新山国際雪合戦 (壮 瞥) 2 月下旬 など

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

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産 業

(平成 17 年国勢調査結果より) z 第一次産業 13.4% 主な第一次産業: 農業(畑作、果樹作、畜産)、 林業、 漁業(水産業) z 第二次産業 17.1% 主な第二次産業: 建設業、 製造業(畜水産食品製造業)、 鉱業(採石業) z 第三次産業 68.5% 主な第三次産業: 医療・福祉、 卸売・小売業、 宿泊業・飲食サービス業

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第三次産業内訳 第一次産業内訳 第二次産業内訳 農業 80.8% 林業 1.4% 漁業 17.9% 鉱業 0.6% 建設業 58.4% 製造業 41.0% 医療・福祉 22.7% 卸売・小売業 21.2% 飲食店・宿泊 業 14.1% その他 42.0% 第一次産業 13.4% 第二次産業 17.1% 第三次産業 68.5% その他 1.0%

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

地域の沿革

表 1 洞爺湖有珠山周辺地域の沿革 年 代 大地の変動 人の暮らし ~100 万年前 火山活動が相次ぎ、現在の地盤が 形成 約 11 万年前 大規模火砕流噴火で洞爺カルデラ が誕生 約 5 万年前 洞爺湖中央部で噴火が繰り返され 中島が誕生 約 2 万年前 洞爺湖南岸で噴火が始まり、有珠 成層火山が誕生 約 7-8 千年前 有珠成層火山が噴火に伴い山体崩 壊。南麓に流れ山地形を形成 縄文~アイヌ 時代 山体崩壊後、1663 年まで洞爺湖有 珠山周辺で火山活動はなかった 国史跡・入江貝塚(約 7,000 年前~) 国史跡・北黄金貝塚(約 6,000 年前~) 高砂貝塚(約 4,500 年前~) 有珠モシリ遺跡(約 1,800 年前~) 国名勝・カムイチャシ(16 世紀~) 1640 年 北海道駒ケ岳が噴火し、山体崩壊 で噴火湾一帯に津波が発生 有珠沿岸を含む噴火湾沿岸一体で 700 名が犠牲 となった 1663 年 有珠山山頂で噴火 火砕流が発生して山麓の集落が全焼し、5 名が 犠牲となった 17 世紀末 古文書記録にない有珠山噴火 1769 年 有珠山山頂で噴火。おそらくこの 火山活動で小有珠が誕生 火砕流で集落が消滅したが、住民は事前に避難 し犠牲者は出なかった 1822 年 有珠山山頂で噴火。この火山活動 でオガリ山が誕生 山麓の集落では全員が避難したが、沈静化傾向 と判断して戻ったところ、火砕サージが集落を 襲い、103 名が犠牲となった 1853 年 有珠山山頂で噴火。この火山活動 で大有珠が誕生 火砕流が発生したが、1822 年の教訓を活かし、 山麓住民は事前に避難、犠牲者は出なかった 1869 年 伊達に開拓役所が設置される 1880 年 虻田村役場が設置される 1899 年 壮瞥村役場が設置される 1902 年 弁辺村と礼文村が合併し弁辺村に 本ジオパークエリアでは、古くからのジオ・エコ・ヒトの活動を知ることができます。 地域の沿革概要は表 1 の通りです。別添資料 4に詳細情報があります。

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第 1 章 洞爺湖有珠山ジオパーク推進の目的

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年 代 大地の変動 人の暮らし 1910 年 有 珠 山 山 頂 で 噴 火。この火山活動 に よ っ て 四 十 三 山が誕生し、温泉 が湧出した 噴火直前に室蘭警察署長の命令で山麓の全住民約 1 万 5 千人の 避難が成功(制止を無視して規制箇所に立入った 1 名が熱泥流 に巻き込まれ死亡)。この噴火では日本で初めて地震計による前 兆地震の観測に成功し、近代火山学の発祥の地とされている。 さらに地元の郵便局員三松正夫氏、警察署長飯田誠一氏の日記 によって社会情報が残され、大森房吉氏、佐藤傳蔵氏の二名の 火山研究者による詳細な火山活動の推移の記録によって、その 後の日本の火山学研究や噴火対応の礎となった。 1943-45 年 有 珠 山 東 麓 で 噴 火。この火山活動 に よ っ て 昭 和 新 山が誕生 火砕サージが民家に吹き込み火山灰で窒息して 0 歳児 1 名が犠 牲となった。この噴火では有珠山東麓のフカバ集落一体が隆起 して昭和新山を形成。地元の郵便局長であった三松正夫氏が大 森房吉氏ら研究者のアドバイスに基づき溶岩ドームの隆起の様 子を克明に記録し、後にミマツダイヤグラムとして発表、全世 界から高い評価を受けた。 1949 年 5 月 16 日 支笏洞爺国立公園が指定される 1951 年 6 月 9 日 昭和新山が国指定特別天然記念物に指定される 1977~82 年 有 珠 山 山 頂 で 噴 火。この火山活動 に よ っ て 有 珠 新 山が誕生 噴火一年後の降雨で降り積もった火山灰が泥流となって流下 し、2 名死亡、1 名が行方不明となった。この噴火では、有珠山 山麓の広い範囲に軽石が降り、火山灰は道内 119 市町村に降り 注ぎ、農作物等に多大な被害を生じた。また 1982 年 3 月まで付 近一帯で地殻変動が続き、多くの建造物などが破壊された。 1983 年 壮瞥町で「子ども郷土史講座」が開講。以来毎年継続開催 1995 年 10 月 昭和新山生成 50 周年記念国際ワークショップを開催 2000 年 有 珠 山 北 西 麓 で 噴火。この火山活 動によって 2000 年新山が誕生 約 3 日前から前兆地震が発生し始め、火山研究者、気象庁を中 心に地元自治体と協力して広域避難を実施した。人が暮らすす ぐ近くで噴火したが、人的な犠牲はなかった。初めて噴火前に 「緊急火山情報」が発表されるなど、その後の日本の噴火予知 や災害対応を大きく前進させた。 2000 年 同年の有珠山噴火の復興段階で、噴火遺構を活用した『エコミ ュージアム構想』が提案され、以降、有珠山周辺地域のまちづ くりの基本的な考え方のひとつとして周辺自治体が協働で推進 された 2006 年 伊達市が大滝村を編入合併 虻田町と洞爺村が合併し洞爺湖町に 2008 年 洞爺湖周辺地域エコミュージアム構想の中で、同地域のジオパ ーク構想が提案され、世界ジオパーク認定に向けて推進するこ とが決められる 2008 年 7 月 洞爺湖町を主会場に G8 北海道洞爺湖サミット開催 2009 年 8 月 22 日 洞爺湖有珠山ジオパークが世界ジオパークに認定される 2011 年 3 月 11 日 M9 の地震に伴う 津 波 が 有 珠 山 周 辺 地 域 沿 岸 に 襲 来 伊達市、豊浦町、洞爺湖町の太平洋沿岸で避難勧告。豊浦で住 宅浸水被害が発生した

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第 2 章 マスタープラン策定の目的と位置付け

11

第 2 章

マスタープラン策定の

目的と位置付け

2-1.策定の目的

2-2.計画期間

2-3.位置付け

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12

第 2 章 マスタープラン策定の目的と位置付け

2-1.策定の目的

「洞爺湖有珠山ジオパークマスタープラン」(以下、「本プラン」という)は、本ジオパーク の総合的な指針として、本ジオパークの基本理念とその推進にあたっての基本的な考え方や取 り組みの方向性を示しています。 本ジオパークは、本プランに基づいて、様々なしくみづくりや取り組みに関する具体の計画 を立案して推進していきます。そのためには、住民・事業者・行政など地域の構成員がそれぞ れの場面で目指すべき方向を確認しながら、各々の役割と責任を担う「協働」の取り組みが一 層重要となります。 本プランは以上の認識のもと、以下の3点が達成されることを目的として策定しています。

ジオパーク推進目的の明確化

本ジオパークの基本理念を示すことによって、ジオパークを推進する目的

を明確にする。

体系的かつ総合的なジオパークの推進

基本的な考え方や取り組みの方向性を示すことによって、様々な個別計画

の整合性を確保し、本ジオパークの体系的かつ総合的な推進を図る。

関わる各主体との認識の共有と協働

住民・事業者・行政など、地域を構成する多様な主体が本マスタープラン

を共有することによって、共通認識のもとでの協働による持続可能なジオ

パークの推進を図る。

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第 2 章 マスタープラン策定の目的と位置付け

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2-2.計画期間

本ジオパークの持続可能な発展を目指して、本プランの計画期間は平成 23 年度から概ね 10 年間とします。ただし、GGN の再審査、本プランの検証結果、地域実情や社会経済の変化等 に応じて適宜見直しを行っていきます。 【計画期間の理由】 構成自治体の長期計画との整合性をとったうえで持続的な推進を行うため、また、 有珠山の次期噴火を見越しての減災対策を進めていくために、計画期間は概ね 10 年 としています。ただし、ジオサイトの状況や地域の社会情勢は日々変化していくこ とが予想されることからも、状況に応じて適宜見直しを行っていくことを前提とし ています。

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第 2 章 マスタープラン策定の目的と位置付け

2-3.位置付け

本プランは、上位計画である当地域内自治体(伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町)のまち づくり計画に準拠します。また、世界ジオパークとしての質を保証しその質をより高めていく ために、GGN のガイドライン及び自己評価票の内容を踏まえて策定しています。 本ジオパークの具体の活動計画は、今後、本プランの基本的な考えに基づいて下位に策定さ れます。また、本プランと当地域内自治体の地域防災計画は整合が図られるよう調整されるこ とが望まれます。 図 3 本プランと地域の計画の位置付け 《行政》 第6次伊達市総合計画(H21~H30) 第5次豊浦町総合計画(H20~H29) 第4次壮瞥町まちづくり総合計画(H22~H28) 洞爺湖町まちづくり総合計画(H19~H28) ジオパークを活用した 観光地づくり推進計画 各種推進計画・活動計画 伊達市地域防災計画 豊浦町地域防災計画 壮瞥町地域防災計画 洞爺湖町地域防災計画 《GGN》 ガイドライン 自己評価票 サイン(解説・案内板)整備計画 洞爺湖有珠山ジオパーク ロゴマーク使用要領 洞爺湖有珠山ジオパーク イメージグラフィック使用要領 《ジオパーク推進協議会》

マスタープラン

《有珠火山防災会議協議会》 有珠火山防災計画 洞爺湖有珠山ジオパーク ・パートナー登録制度要領

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第 3 章 運営計画

15

第 3 章

運営計画

3-1.各主体の参画による運営

3-2.運営組織

3-3.運営予算

(22)

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第 3 章 運営計画

3-1.各主体の参画による運営

本ジオパークは、当地域に暮らす住民が主体となって推進することが望まれます。なぜなら 火山活動の度に変動するこの大地に暮らし、火山活動を理解し克服しようと努めてきた住民ひ とりひとりが、自らの言葉で当地域のストーリーを語り伝える主人公なのです。ボランタリー 精神をもって本ジオパークの推進活動に携わる住民が増えることによって地域が持続的に活 性化され、結果、自らの生活の糧を得ることができるようになります。本ジオパークを推進す ることは、そのような住民が育まれる環境づくりにもなるのです。 こうした地域住民の活動を支える運営組織が「洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会」(以下、 「協議会」という)です。協議会は図5に示すような多様な主体の参画によって構成されてい ます。本ジオパークの推進における取り組みの方針や具体の内容を検討したり、上部組織であ る GGN、アジアパシフィックジオパークネットワーク(APGN)、日本ジオパークネットワー ク(JGN)や日本ジオパーク委員会(JGC)、支援を行う関係諸機関との連携の窓口としての 役割を担っています。 図 4 ジオパークネットワークの組織体制図 支 援 支 援 アジアパシフィック ジオパーク ネットワーク(APGN) 認定審査 候補選定 ユネスコ 日本ユネスコ 国内委員会 GGN加盟 申請 日本ジオパーク ネットワーク(JGN) ジオパークの広報・普及:企画 ヨーロッパ ジオパーク ネットワーク(EGN)

世界ジオパーク

ネットワーク(GGN)

日本ジオパーク 委員会(JGC) ジオパークの評価 GGN申請候補の推薦 JGN加盟認定 事務局: (独)産業技術総合研究所 ジオパークを目指す 地域(準会員)

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第 3 章 運営計画

17

図 5 洞爺湖有珠山ジオパークの基本構造 研 究 機 関 国土交通省 (室蘭開発建設部) 環 境 省 (北海道地方環境事務所) 北海道 (胆振総合振興局) 林 野 庁 (北海道森林管理局 後志森林管理署)

洞爺湖有珠山

ジオパーク

マスメディア 国内外 ツーリスト 関 連 省 庁 関連学会・協会 ユネスコ 支 援 GGN,APGN,JGC,JGN

地域住民

住民・事業者・観光協会 火山マイスター 学芸員・有識者等 住民団体・一般住民 ガイド団体・教育関係者 観光協会・事業者 学識経験者・地元有識者 地元自治体・行政機関等

推 進 協 議 会

地域住民

住民・事業者・観光協会 火山マイスター 学芸員・有識者等

(24)

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第 3 章 運営計画

3-2.運営組織

(1) 運営体制

協議会は GGN のガイドラインに沿って本ジオパークを推進するため、以下の事項について 協議・推進を行います。 図 6 協議会の構成図(平成 23 年 3 月現在) ■ジオパークの運営、維持、発展に必要な企画検討および広報活動 ■ジオパーク事業の推進にあたって関係する団体との情報交換および調整 ■各主体が実施するジオパーク事業の内容が本ジオパークとして適切なものとなる ための管理および調整 ■一元化された対外的な対応窓口 ■安定した財政的基盤を持つ自立した運営体制の構築 幹 事 会 協 議 会 ■伊達市長 ■豊浦町長 ■壮瞥町長 ■洞爺湖町長 ■(社)洞爺湖温泉観光協会長 ■伊達市教育 委員会教育長 ■豊浦町教育委員会教育長 ■壮瞥町教育委員会教育長 ■洞爺湖町教育委員会教育 長 ■各運営委員会委員長 ≪アドバイザー≫ ■北海道開発局室蘭開発建設部長 ■北海道森林管理局後志森林管理署長 ■北 海道地方環境事務所長 ■北海道教育庁胆振教育局長 ■北海道胆振総合振興局長 ■日本旅行業協 会北海道支部長 ■NPO法人環境防災総合政策研究機構理事 学識顧問会議 地質学、火山学、岩石学、 地球物理学、環境防災工学、 歴史学、考古学、自然環境 科学、自然史科学などの 学識経験者 ■構成市町のジオパーク担当課長 ≪アドバイザー≫ ■北海道開発局室蘭開発建設部地域振興対策室 ■北海道開発局室蘭開発建設部 有珠復旧事務所 ■北海道森林管理局後志森林管理署 ■北海道地方環境事務所洞爺湖自然保護官事 務所 ■北海道胆振総合振興局地域政策部地域政策課 ■北海道胆振総合振興局産業振興部商工労働 観光課観光室 ■北海道胆振総合振興局室蘭建設管理部事業室地域調整課 ■北海道胆振総合振興局 室蘭建設管理部洞爺出張所 ■北海道教育庁胆振教育局教育支援課 各委員会 行政委員会 1市3町の 観光課 教育委員会 など ガイド委員会 住民ガイド ガイド団体 など 住民委員会 地域住民 住民団体 など 観光委員会 観光事業者 観光協会 など 教育・普及委員会 学識経験者 地元有識者 学芸員 など 洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会 事 務 局 洞爺湖有珠山ジオパーク事務局(壮瞥町総務課ジオパーク推進室)

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第 3 章 運営計画

19

(2) 各会議の役割と分担

協議会の目的を遂行するため、協議会では様々な検討を行います。そのため、幹事会や 5 つ の専門委員会、学識顧問会議などを設けています。 各会議の役割と分担は以下の通りです。

【協議会】

協議会は以下に示す各委員会の議決を総理し、学識顧問会議のアドバイスを受け ながら、運営の方向性や実施事項など本ジオパークの推進に関するすべての事項 についての最終決定機関となる。実際の推進に関わる取り組みについてはすべて 協議会の決定内容に基づく。

【幹事会】

幹事会は協議会の運営について具体的な検討、計画を行う。主として総会に付議 すべき事項などについての審議を行う。

【学識顧問会議】

学識顧問会議は協議会の顧問によって構成され、協議会の運営および科学的研究 活動等に関する助言を行う。顧問は、主に地質学、火山学、岩石学、地球物理学、 環境防災工学、歴史学、考古学、自然環境科学、自然史科学などに関する知見を 有する洞爺湖有珠山地域の研究や関わりの深い有識者に対し、会長が委嘱する。

【事務局】

協議会および各委員会の事務局は協議会会長の所属する自治体に設置されジオパ ーク運営全般の事務を行う。主に会議の運営から、協議会や各委員会にて決定さ れた事項の実施、ジオパークに関する取り組みのサポートなどを行う。学芸員等、 本ジオパークを運営するための専門的な知識を持ったスタッフの配置が求められ る。

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第 3 章 運営計画

【行政委員会】

行政委員会は本ジオパークエリアに属する 1 市 3 町の観光課や教育委員会などジ オパークの運営に関わる部署の担当者を委員とする。ジオサイトの保全に関する ことや、施設の維持管理、有効活用の方法などを審議するとともに、本ジオパー クエリア内の各種団体との連携調整に関することを検討、実施する。

【ガイド委員会】

ガイド委員会は本ジオパークエリア内で活動を行っている住民ガイド団体の代表 などを委員とする。ジオパークにおけるガイドのあり方全般(ジオパークの基本 理念に基づいて研究者との連携による正確なガイド、外国人観光客を含め幅広い 人が理解し楽しむことができるガイド等)を検討する。特にガイドの認定や組織 化に関することについて、本ジオパークエリア内の既存ガイド団体の代表や住民 ガイドとして活動する人を委員とすることで、実情に即した視点から審議する。

【住民委員会】

住民委員会は本ジオパークエリア内の住民や住民団体の代表などを委員とする。 地域住民は、火山と向き合ってきた自分たちの歴史と共に本ジオパークのストー リーを語り伝えることによって、本ジオパークの発展を導く重要な役割を担う。 ジオパーク内の様々な大地の遺産を活用した住民活動に関する事項や地域住民へ の啓発活動に関することを審議する。

【観光委員会】

観光委員会は本ジオパークエリア内の観光事業者や観光協会の代表などを委員と して構成する。ジオパークを活用した観光振興全般、地域の観光事業者への啓発 活動、観光客への窓口機能、マーケティング、ジオパークブランドを用いた新た な商品開発など、ジオツーリズムの推進全般に関することを審議する。

【教育・普及委員会】

教育・普及委員会は学識経験者や地元有識者、学芸員、その他学識顧問から推薦 された人などを委員とし、ジオパークの調査研究、維持に関することや科学的知 見に基づくジオパークの活用に関することを審議する。また、ジオパークを広く 周知し、わかりやすい情報を伝えていくための方法など、ジオパークの普及啓発 に関することを検討、審議する。

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第 3 章 運営計画

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3-3.運営予算

協議会運営に係る経費は、構成市町による負担、北海道等行政機関による交付金及びその他 の収入をもって充当します。また、協議会はジオパークの持続可能な発展に向けて、継続的な 資金づくりを行うことを目指しています。

構成市町による分担金

伊達市 21%、豊浦町 11%、壮瞥町 30%、洞爺湖町 38% (平成 23 年度) ※算出方法:均等割 10%、施設数(ジオサイト数)割 70%、観光入込数割 20%

行政機関からの交付金

国や道などが行う各種交付金、助成金、基金などへの申請を行い、ジオパーク推進 における資金を確保する。

その他の持続可能な収入

本ジオパークの持続可能な発展のためには、自立した収入の確保が必要となる。構 成市町による分担金や交付金のほか、運営組織が持続的に資金を得られる仕組みと 体制を構築していく。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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第 4 章

持続可能な発展を目指した

ジオパーク推進計画

4-1.研究活動

4-2.ジオパークエリア・

ジオサイト等の保全・管理

4-3.教育・普及

4-4.ツーリズム

4-5.情報発信

4-6.地域連携

4-7.活火山地域における安全確保と

減災システムの向上

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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本章では、『ジオパーク活動』に関するこれまでの蓄積と課題を整理し、本ジオパークの持 続的な発展のために推進すべき事項について、その基本的な考え方や取り組みの方向性を示し ています。なかでも、ジオパーク推進の根底を成す最も基本的な視点は次の5つです。

科学的根拠に基づいていること

ジオパークでは、地域の遺産に科学的な根拠を与え、科学的価値とともに紹 介されることが必要です。したがって、本ジオパークの様々な活動は、学識 者などのアドバイスを受けながら行われることが求められます。

幅広い人が楽しめること

様々な来訪者に、当地域を楽しみ、学び、満足してもらうことができるよう、 提供する情報は専門的なものから易しい内容のものまで、年齢層、目的、言 語などについて多種多様に用意することが必要です。

自然環境と地域経済に配慮したものであること

将来にわたって持続可能な地域の発展を目指すためには、「ヒト」が「ジオ」 や「エコ」の保全を十分に考慮した社会活動を営むとともに、ジオパークの 活動を通して地域経済が活性化されることが求められます。

持続可能であること

度重なる噴火を乗り越え蓄積された当地域の「ジオ」、「エコ」、「ヒト」の共 生の文化 ― その知恵と教訓は、今後も長く継承されるべき、また他地域で も活かされるべき重要な財産です。地域住民が主体となり、ジオパーク活動 を通じてこの文化を継承していくことが次期噴火への備えとなり、持続可能 な地域の発展を可能にします。

安全であること

変動する大地を抱える本ジオパークでは、時に「ジオ」、「エコ」が人間の生 活に危険を及ぼすことがあります。平時のツーリズムや火山活動が活発化し たときには安全に配慮した行動が必要です。また、こうした安全を考慮した 当地域の文化は、国内外に広く発信される、本ジオパークの重要な資源です。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

4-1.研究活動

当地域では、火山学、地質学分野をはじめ、生態学、考古学、人文科学などの研究に重要な フィールドが多数存在し、世界中から多くの研究者が調査に入り数々の成果が発表されていま す。また 2000 年有珠山噴火においては、火山研究者が中心となって地元自治体や様々な防災 関係機関との連携のもと、人的被害を防ぐ住民事前避難を成功させた地域です。 ジオパークでは、地域の遺産に科学的な根拠を与えて紹介すること、さらなる研究活動によ って地域の遺産の存在や価値を掘り起こしていくことが求められます。各分野の研究者と密接 に連携し、本ジオパークにおける研究活動を推進することは重要な取り組みです。

(1) 専門知識を持つ人材の確保と育成および適所への配置

《現状と課題》 科学的価値に基づいて地域の遺産を紹介し、自らの言葉で本ジオパークを語ること ができる専門的な知識を持った人材が十分ではありません。

《対策と推進計画》 本ジオパークの運営組織や情報発信施設等に専任の学芸員やそれに準ずる知識を 持った人を配置し、専門知識に基づいて広報戦略やジオサイト活用などの企画・運営 に関わることができるようにしていきます。また、そのような人材を確保・育成でき る環境づくりに努めます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(2) 研究者との継続的かつ密な連携体制の構築

《現状と課題》 本ジオパーク活動へのアドバイスや様々な取り組みに参画してもらえる研究者と の連携を継続的に構築していくことが必要です。

《対策と推進計画》 様々な分野の研究者に対し、本ジオパークエリアの研究テーマやフィールドの提供 を積極的に行います。そして、ジオパークに関する教育普及活動等において研究者に 協力を仰いだり、研究者の取り組みをジオパークで紹介・活用するなどして、研究者 との日頃からの密な連携体制を構築していきます。

(3) 調査研究に関する資料の収集と活用

《現状と課題》 これまでに当地域をテーマとした学術研究は多数発表されていますが、それらを遺 産の保全・教育普及・ツーリズム等に十分に活用できていないのが現状です。ジオパ ーク活動の推進や国内外からの来訪者からの要求や緊急時にいつでも参照できるよ う整理しておくことが必要です。

《対策と推進計画》 協議会は、国内外のジオパークに関する研究資料や広報資料、本ジオパークに関連 する学術研究の論文やその他研究成果などを収集し、整理・保管します。そのうち閲 覧公開可能な資料を、ミュージアムやインフォメーション等で、より多くの人の目に 容易に触れるように配置して、本ジオパークへの理解が深まるようにしていくことが 望まれます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

4-2.ジオパークエリア・

ジオサイト等の保全・管理

科学的根拠に基づいた価値のある遺産を教育・普及やツーリズムで活用し、来訪者や後世の 人々に伝えていきます。こうした活動を継続的に行い地域の持続可能な発展を推進するために は、地域の遺産を地域の人々の手で保全・管理していくことが大切です。

(1) 法で保護されているエリアや遺産

《現状と課題》 本ジオパークには世界や国内レベルで学術的、文化的、環境的に重要なエリアや遺 産が多く存在し、一部はすでに国や道、自治体などによって関係法令で保護されてい ます。主なものは 30~31 ページの表 2 に、詳細を別添資料 5に示します。

《対策と推進計画》 これらのエリアや遺産は、関係法令に従い継続的に保全と活用を行っていくことが 大前提です。協議会では印刷物の発行や勉強会等の機会を用いて、来訪者や地域住民 に対して、エリアや遺産の保護について、その理由を付して周知するよう努めます。

(2) ジオサイトの適切な保全・管理

《現状と課題》 関係法令で保護されたもの以外にも世界的・国内的に重要な遺産が多数あり、ジオ サイトとして選定されています。これらの管理は各行政機関や民間企業、個人等にそ れぞれ委ねられていますが、今後は遺産の保全や管理に対する明確な方針を定めてい くことが必要です。2012 年 3 月現在のジオサイトは別添資料 6に示します。

《対策と推進計画》 その性質や特徴によって、保全管理には以下の 2 通りの方針が考えられます。 ①変動する大地の一部として風化や自然崩壊など自然の経過に任せるもの ②人為的に手を加えて維持を図るもの 協議会において、学識顧問会議の助言のもと各エリアやサイトに適合した保全管理 方法を設定し、それぞれの管理主体や来訪者の案内を行う人々に対して保全管理の必 要性とその方法を周知・啓発していきます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(3) ツーリズムにおける利用制限区域の明確化

《現状と課題》 本ジオパークエリアの多くが火山地域であることから、災害対策基本法(第十七条) に基づいて設置されている「有珠火山防災会議協議会」では、来訪者の安全管理と持 続的な利用のため、利用制限区域を設定しています。今後は、利用制限の理由の明確 化と活用方法について十分に検討していくことが必要です。 2012 年 3 月現在の有珠火山防災会議協議会で定めている立ち入り規制区域を、別 添資料 7に示します。

《対策と推進計画》 安全性を確保し、オーバーユースにならないようにするため、利用制限区域には以 下のような段階分けが必要になります。 ①原則として立ち入ることができない区域 ②研究目的や危険性を認識している有識者を伴う一部の教育・ツーリズム活動等に おいて立ち入ることができる区域 ③一般的なジオツーリズム等で活用することができる区域 協議会では、今後これらの明確なエリア設定を行うとともに、地域住民や案内者、 来訪者に、利用制限区域についてその理由を付して周知・啓発していきます。

(4) ジオサイトの選定ルールの設定

《現状と課題》 現状のジオサイトは、GGN 申請時に有識者会議によって選定されたものですが、 この他にも地域の遺産が数多く存在すると考えられます。また、時代のニーズの変化 に応じて新たなサイトの追加や削除などの対応が必要となります。ジオサイトの選定 ルールを明確にし、価値ある遺産を紹介していく仕組みづくりが必要です。

《対策と推進計画》 地域の魅力ある遺産は地域に暮らす人々の手で発掘され、研究者が科学的な根拠を 与えて、ジオサイトとして多くの人に訪れてもらえるようにすることが望ましいと考 えます。協議会では、地域住民から広く新ジオサイトの推薦を受け付け、学識顧問会 議等で柔軟かつ現実的に選定する仕組みづくりを行うとともに、推薦・選定のルール を明確化し周知していきます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画 表 2 法で保護されているエリアや遺産 (2012 年 3 月現在) 法律名(指定管理者) 法律の概要 自然公園法(環境省) 優れた自然の風景地の保護、利用の増進による国民の保健、休養及び教 化に資し、生物多様性の確保に寄与することを目的に、環境大臣が指定 する。 国立公園は我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地を 指定し、その保護と適正な利用に努める。2012 年現在、国内には 30 ヵ 所が指定されている。 名 称 対 象 ■支笏洞爺国立公園 【特別保護地区】【第1種特別地域】【第2種特別地域】 【第3種特別地域】【普通地域】 法律名(指定管理者) 法律の概要 国有林野の管理経営 に関する法律(林野庁) 国有林野は国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進 を図るとともに、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の 活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向 上に寄与することにあるものとする。 分 類 ■国有林 法律名(指定管理者) 法律の概要 文化財保護法(文部科学 省・文化庁) 文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資 するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。 分 類 対 象 ■有形文化財 【国宝】(該当無し) 【重要文化財】・旧三戸部家住宅 ・北海道有珠モシリ遺跡出 土品 ・蝦夷三官寺善光寺関係資料 【文化財】・釈迦如来立像 ・円空作聖観音像 ・入江馬頭観 世音碑 ■無形文化財 【重要文化財】(該当無し) 【文化財】(該当無し) ■民俗資料 【重要民俗資料】(該当無し) 【民俗資料】(該当無し) ■埋蔵文化財 (該当無し) ■史跡名勝天然記念物 【特別史跡】(該当無し) 【史跡】・善光寺跡 ・入江・高砂貝塚 ・北黄金貝塚 【特別名勝】(該当無し) 【名勝】・ピリカノカ カムイチャシ 【特別天然記念物】・昭和新山 【天然記念物】

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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法律名(指定管理者) 法律の概要 鳥獣保護法(環境省) 正式には「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」といい、著しく 増減した野生鳥獣について科学的・計画的な保護管理を推進するため、 生物多様性の確保、生活環境の保全、農林水産業の健全な発展などを通 じて自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全 な発展を目的としている。 分 類 ■禁漁区 ■休猟区 法律名(指定管理者) 法律の概要 北海道自然環境等保 全条例(北海道) 自然環境の適正な保全を総合的に推進するとともに、国土の無秩序な開 発を防止し、もって道民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを 目的とする。 環境緑地として維持又は属性することが必要な地区や良好な自然景観 地として保護することが必要な地区、学術上価値のあるものとして保護 することが必要な地区などを北海道知事が指定する。 分 類 対 象 ■環境緑地保護地区 【伊達市】・長和 ・伊達市開拓記念館 ・紋別川 ・南黄金 ・気仙川 【豊浦町】・綾晶寺 【壮瞥町】・紫明苑 ■自然景観保護地区 【伊達市】・稀府岳 【豊浦町】・静狩 ・礼文華 ■学術自然保護地区 【伊達市】・有珠 ・長和 ・善光寺 ■指定記念樹 【伊達市】・善光寺の銀杏 ・三本杉 ・石割桜 ・清住の赤松 ・弄月の サイカチ ・松ケ枝のサイカチ ・伊達の楡 ・末永の橧 ・寺 島の銀杏 ・北稀府の赤松 【豊浦町】・大久保の栗 【洞爺湖町】・老三樹 ■鳥獣保護区 【伊達市】・伊達地域 ・大滝区 【洞爺湖町】・洞爺湖 ・中島 ・周辺山林 【壮瞥町】・洞爺湖 ・中島 ・周辺山林 【豊浦町】・豊浦町 法律名(指定管理者) 法律の概要 各自治体における文 化財保護条例 文化財保護法の規定により、地方公共団体は国指定の文化財以外の文化 財について「当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なもの を指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができ る」とされている(同法第 182 条第 2 項)。これに基づき各都道府県・ 市町村ではそれぞれ文化財保護条例を定め、有形・無形の文化財の指定 を行っている。 分 類 ■伊達市文化財保護条例 ■豊浦町文化財保護条例 ■壮瞥町文化財保護条例 ■洞爺湖町文化財保護条例

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

4-3.教育・普及

研究・保全によって得られた価値のある地域の遺産を、多くの人に知ってもらい、学び、活 かしてもらうことが、本ジオパークを推進する重要な目的のひとつです。当地域特有の地球科 学的な遺産や人々の暮らしと文化、そして火山と共生する知恵や遺構は、世界中から訪れる来 訪者にとって重要な教材であり、これらを保全し活用することは地域の持続的な発展へとつな がります。 特に当地域の『教材』では、私たちがまさに生きている地球の上で暮らし、「ジオ」や「エ コ」の恵みを受けて生かしてもらっていると同時に、時としてこれらが人の生活に災いをもた らすことを学ぶことができます。すなわち、「ジオ」や「エコ」と共生して暮らしていくこと の大切さに気付かせてくれます。未来を担う子どもたちがこれらの教材を体感し、学び、楽し むことが豊かな未来へとつながり、また大人たちが「ジオ」や「エコ」と共生する知恵や教訓 を学ぶことによって、より豊かで安全に暮らすヒントが得られるのです。

(1) 子どもたちに向けた教育・普及の取り組み

《現状と課題》 当地域では、以前から子どもたちに地域の遺産や減災の知恵を伝える取り組みが実 施されていますが、継続的に行われているのは特定の地域のみとなっています。また、 プレート沈み込み帯の活火山を抱える本ジオパークは貴重な学習テーマであり(別添 資料 3参照)、フィールド教室、体験学習、ミュージアム見学等を利用した学習プロ グラムや、副読本や有珠山ガイドブック、ジオパークガイド等の教材も豊富にありま すが、その資源が十分に周知・活用されていないのが現状です。 より多くの子どもたちに、本ジオパークにある多様なテーマの教材を実際に体感し 学んでもらえるような、継続的な仕組みづくりが必要です。

《対策と推進計画》 教育委員会や学校等と連携し、当地域の貴重で豊富なプログラムや教材を学校カリ キュラムに取り入れてもらったり修学旅行等で当地域を訪れてもらえるよう働きか けるとともに、教員向けの学習会等を行って普及を図ります。同時に、当然ながら地 域の子どもたちに、郷土の素晴らしさに気づき地域への愛着心を持ってもらうことも 重要です。協議会では、今後もこうした取り組みを継続的に企画・実施します。 一方で、地域の遺産の価値や減災の知恵を知る大人たちが子どもたちにそれを伝え ていくことが、当地域を訪れる来訪者にとっての大きな魅力となることでしょう。こ うした取り組みの機会を地域住民が主体となって企画・実施していくことも期待され ます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(2) 大人たちに向けた教育・普及の取り組み

《現状と課題》 世界的に価値の高い当地域の遺産や減災文化を学びに訪れる大人たちに対しても、 そのニーズに応じた学習プログラムや解説が提供できるような仕組みづくりが必要 です。また、本ジオパークを持続的に発展させていくには、地域の人々がジオパーク を十分に理解し、ジオパークの取り組みに主体的に参画していくことが必要です。

《対策と推進計画》 地域住民が当地域の遺産の価値を知り、減災の知恵を学び、ジオパークを通じて次 世代を担う子どもたちに継承していけるよう、協議会では、地域住民に向けた情報提 供や勉強会等を積極的に企画・実施していきます。そして、住民が主体的に本ジオパ ークの取り組みに関わっていけるよう、自治体や民間団体の取り組みに対して人材や ノウハウの支援を行います。 こうした多様な地域主体の幅広い取り組みをもって、地域住民が自らの言葉で本ジ オパークを語ることによって、多様な目的で当地域を学びに訪れる人々に、より深い 満足を与えられることが期待できます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画 年度 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 入込客数 9,168 8,942 8,797 4,940 8,176 8,276 8,315 8,308 8,082 7,080 7,558 7,390 6,874 6,582 ※洞爺湖有珠山ジオパークを構成する伊達市、豊浦町、壮瞥町及び洞爺湖町の観光入込客数の合計(合併前の町村を含む) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22

ジオパーク地域観光入込客数の推移(平成9年度~)

(単位:千人)

4-4.ツーリズム

本ジオパークでは、多くの人々が「ジオ」からはじまるストーリーに気づき、学び、楽しむ ことができるようなジオツーリズムを展開し、地域の活性化を目指します。 「ジオ」からはじまるストーリーとは、変動する大地と、それが生み出す生態系、そしてそ れらを活用し、共生する人々の歴史と文化が一連となった当地域独自の物語です。その中には 地質や地形・景観、森林や湖沼・河川、特有の動植物をはじめ、先人が残した遺跡や文化、産 業、レジャー、そしてこの地の減災の知恵や遺構などの価値ある遺産が存在し、これらを教材 として、商品として活用し、地域の持続可能な発展を目指します。 協議会では、本ジオパークのツーリズム活動を推進するため、「ジオパークを活用した観光 地づくり推進計画」を策定しています。 図 7 本ジオパークエリア内の観光入込客数の推移 ▲2000 年噴火

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(1) ニーズに合ったツアーの企画・支援

《現状と課題》 ツーリズムは、これまで主流だった団体旅行を中心とする観光旅行スタイルから、 個人で長期滞在しながら多様な目的を持って地域を楽しむスタイルへと変化傾向に あります。こうした変化やさらに多様化していくであろうニーズをしっかりとらえ、 多種多様な新たなツアーの企画・提案をしていくことが必要です。

《対策と推進計画》 人々の興味を喚起させ新たな来訪者を増やすために、新鮮かつ多様なスタイルのパ ッケージツアーやオプショナルツアーの開発や情報提供を行います。特に本ジオパー クのツーリズムは、観光バス等でスポット的に観光ポイントを移動する従来の観光形 態から、地域全体を面でとらえ、「体験する」、「交流する」、「学ぶ」ことができる、 体感ツーリズムを推進します。 協議会では、定期的な市場動向調査等を行い来訪者のニーズの把握に努めるととも に、上記のようなツアーの企画や情報提供、実施を支援します。また、ツーリズムの 窓口となる旅行業者などに対して地域一丸となって本ジオパークの魅力を PR し、有 効な連携体制を構築していきます。 さらに今後、より多様化するニーズを満たすよう、様々な場所をつなぐ安全なフッ トパスの整備を検討していきます。

(2) 事前に入手できる情報の充実

《現状と課題》 旅行者が来訪先の魅力や楽しみ方、巡り方を、事前に調べて旅行プランを立てる際 に、特に「ジオパーク」という新しい概念が加わった当地域ではどのようなことを提 供しているのか、また、エージェントや地域外の学校が組むツアーにおいてどのよう な対応が可能なのかを知ることができるよう、事前の情報提供がなされる必要があり ます。

《対策と推進計画》 事前情報の入手方法として、ホームページが大いに活用される傾向にあることか ら、鮮度の高い情報を常に更新していくことが重要となります。年間のイベントスケ ジュールやジオパークの利用計画、季節毎のおすすめツアーや、地域住民・来訪者の 生の声を、本ジオパークのホームページで積極的に発信していきます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

(3) わかりやすい案内表示などの情報提供

《現状と課題》 当地域を訪れた人々が、実際にどのような手段で、どこに行けば、どのような内容 で本ジオパークを楽しむことができるのか、現地で入手できる情報が十分とはいえま せん。来訪者が自ら行動プランを立てることができるよう、知りたい情報を即時にわ かりやすく伝えることができる環境整備が必要です。

《対策と推進計画》 本ジオパークの入口となる JR 駅やバスターミナル、情報収集の窓口となるミュー ジアムや案内施設等において、多様な目的に応じた配布物や掲示物等の情報素材を拡 充するとともに、インフォメーションスタッフを配置したり、案内板や解説サインを 適切な場所に設置して、情報提供を充実化させます。また、多機能携帯電話や二次元 バーコード、GPS、カメラ機能などの情報端末を活用した次世代の案内システムを検 討していきます。 協議会では、ジオパークの拠点施設やジオサイトにおけるわかりやすい情報提供を 行うため、「サイン(解説・案内版)整備計画」を策定し、各主体が整備に努めることを 求めていきます。

(4) 交通網の充実と利便性の向上

《現状と課題》 当地域は、外部から本ジオパークへのアクセス方法は比較的充実していますが、エ リア内を自由に移動できる交通網は不十分です。各サイトを巡る交通手段の拡充や公 共交通機関の利便性の向上、及び各フットパスを結ぶルート整備・拡充が必要です。

《対策と推進計画》 来訪者が容易にかつ効率よく移動できるよう、多種多様な移動手段をもってジオパ ークエリア全体の交通ネットワークの構築が求められています。協議会では、他地域 の事例などを参考にし、必要に応じて JR やバス会社等の交通機関に働きかけながら 既存交通手段の利便性を向上させるとともに、レンタサイクルやフットパスなど、エ リア内の移動方法の整備をしていきます。外国人や地域事情に疎い来訪者にも利用し やすいよう、駅やバス停、ジオサイト等に一目でわかりやすい番号表示を付加するな ど、交通案内についても働きかけを行っていきます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(5) 案内者の育成

《現状と課題》 当地域にはガイドツアーを案内する多くの団体があります。しかし、ほとんどの団 体はそれぞれ特定のエリアで活動をしており、本ジオパークエリア全体を案内できる 人は多くありません。また、ジオパークの理念を理解して自らの言葉で地域の魅力を 紹介したり、十分な安全管理のもとでフィールドを案内できる人、さらに外国人来訪 者に対して案内をできる人はごく一部に限られます。 本ジオパークを案内できる地域の人が増えることはもちろんですが、一層多様化し ていく来訪者ニーズに応えられるよう、様々な知識や得意分野をもった案内者を育成 していくことが必要です。

《対策と推進計画》 世界ジオパークとしての質の高いガイダンスができる案内者を育成します。特に今 後必要とされるのは以下のような案内者です。 ■ジオパークの理念を理解し、「ジオ」から始まるストーリーを自らの言葉で語るこ とができる案内者 ■ジオパークエリア全体を案内できる案内者 ■フィールドツアーにおいて、責任を持って来訪者の安全を管理できる案内者 ■外国からの来訪者に本ジオパークのストーリーを語ることができる案内者 協議会では、ジオパーク案内者の制度を検討し、案内者の技術・知識の向上を目指 した勉強会等を継続的に実施します。また、各団体で蓄積されている、本ジオパーク に関する知識や経験を交換し、活用し合えるよう、団体間の連携体制づくりを行いま す。同時に、各団体の活性化やビジネスチャンスの拡大に資する取り組みを推進しま す。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

4-5.情報発信

より多くの人々に本ジオパークを認知してもらい、有効に活用してもらえるよう、本ジオパ ークが持つ「ジオ」、「エコ」、「ヒト」の魅力を、様々な視点から多様な手段で広く発信するこ とが大切です。

(1) 多様な情報発信

《現状と課題》 様々な目的で本ジオパークを知り、学びたいと考える様々な対象者に対して、情報 を定期的に発信していくことが重要です。幅広いニーズに応じるためには、多様な発 信ツールから、そのツールの特性に合った情報発信を検討する必要があります。また それらのニーズを収集したり、求められた情報を即時返信できるよう、人々と本ジオ パークの双方向コミュニケーションの場を構築していくことも重要な課題です。

《対策と推進計画》 発信情報の例としては、以下のようなものが考えられます。 ①地域住民から伝えられる生の情報 ②ホームページやパンフレットなどによるアウトプット情報 ③書籍や学術書などの専門情報 ④来訪者の口コミによる情報 ⑤解説看板などによる情報 対象に応じて高度な専門知識が表現されているものから、広くわかりやすく表現さ れているものまで複数のチャンネルから発信していくことが求められます。協議会で は、これらの多様な情報内容やその発信方法などを抽出・整理し、全体の中から優先 順位を検討して、随時実施していきます。 また、本ジオパークの公式ガイドブック『ジオパークガイド』や公式パンフレット、 地図、DVD など学識者が監修した質の保証された情報素材を積極的に制作し、情報 発信施設などで販売する体制づくりも順次行っていきます。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

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(2) 国際化への対応

《現状と課題》 世界ジオパークとなった本ジオパークは世界的にも注目され、海外からの来訪者が 徐々に増加してきています。特に、大地の遺産を学びに知的好奇心を持って来訪する 外国人も増えると考えられます。したがって、案内表示、提供情報、案内者など様々 な面で国際化に対応することが、今後一層求められることになります。

《対策と推進計画》 本ジオパークの情報発信では、日本語と英語を必須言語とします。さらに、当面は 中国語(繁体字・簡体字)と韓国語も必要に応じて表示するようにしますが、今後の ニーズ変化に応じて随時必須言語を検討していきます。 また、海外からの来訪者の多くは、情報収集にホームページを活用しています。し たがって、本ジオパークのホームページも順次多国語に対応し、その国のニーズに合 わせた内容を充実させていきます。 外国語を用いて本ジオパークを案内できる人材も必要です。地域で育成したり、外 部から誘致して、ジオパーク活動に参加してもらう仕組みを構築し、今後も増加する であろう海外からの来訪者が満足できる受け入れ体制をつくります。

(3) 情報の質の向上

《現状と課題》 本ジオパークの情報は、地域の様々な主体から多様な内容のものが発信されること が重要です。そこでは、質の高い情報が発信されるよう、情報を評価したり学識者の アドバイスをいつでも受けられる環境を整備することもまた重要です。それを図るた めの協議会の役割や責任が重要となります。

《対策と推進計画》 協議会が公式に発信する情報は、常に適切で質の高い情報であることが求められま す。したがって、学識顧問会議の助言や監修などの協力を得て情報を作成していきま す。また、民間事業者など地域のその他の主体から発信される情報も、助言や監修な どの依頼があれば、いつでも支援できる体制を整えています。これらは協議会が窓口 となって行います。

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第 4 章 持続可能な発展を目指したジオパーク推進計画

(4) 新着情報など随時更新する情報発信

《現状と課題》 本ジオパークの理念やジオサイトなどの情報がいつも同じ内容で提供されていて も、「変動する大地」、及びそれと「共生して暮らす人々」が財産である本ジオパーク の魅力は伝わりません。日々活動的であり、常に新しい魅力が味わえる、そのような 情報を随時提供していくことが求められています。

《対策と推進計画》 本ジオパークの現況や取り組みに関する新着情報を、ホームページやその他更新可 能な情報ツールで発信していきます。今後予定されている行事はもちろん、実施され たイベントレポートを随時更新していきます。また、インターネットなどの双方向性 ツールを活用して、来訪者の声(質問や評価など)を受け、今後のジオパーク活動の 参考にするような仕組みを検討していきます。

(5) ロゴマークなどの活用

《現状と課題》 本ジオパークでは、洞爺湖周辺地域エコミュージアムの理念を踏襲した洞爺湖有珠 山ジオパークのオリジナルロゴマークと、より幅広い人に本ジオパークのイメージを 伝えるためのイメージグラフィックを設定しています。これらの活用目的や使用ルー ルを設定し、周知していくことが必要です。

《対策と推進計画》 本ジオパークのイメージを伝えるシンボルマークとしてロゴマー クが定められています。ロゴマークは本ジオパークから発信される 公式の情報に添付されたり、協力者に配付されて広く周知を図りま す。ロゴマークを使用する場合は協議会に申請し、内容が適切であ るかどうかの確認を受ける必要があります。 イメージグラフィックは、洞爺湖有珠山の景観をベースにしたイ メージツールとして活用されます。使用にあたっては一定のルール があり、協議会に届け出ることが必要です。 これらのマークの仕様は協議会で一元管理し、ジオパークに関す る情報の質の維持と統一的な広報を目指します。 協議会ではロゴマークやイメージグラフィックを円滑に幅広く活用するため、「洞 爺湖有珠山ジオパークロゴマーク使用要領」「洞爺湖有珠山ジオパークイメージグラ フィック使用要領」を策定しています。

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