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既設送電用中空鋼管鉄塔に対する耐風補強効果に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)既設送電用中空鋼管鉄塔に対する耐風補強効果に関する研究 澁江 昭芳 1. 序 近年大型台風の襲来が. 80. 頻発し,さらには局所地形によ. 70 60 U(t) [m/sec]. る強風増速の見直しによって, 設計強度が不足すると想定さ れる既設送電用中空鋼管鉄塔. 50 40 30 20. の耐風補強の必要性が高まっ. 10 0. ている。本研究では既設送電用 -400. 中空鋼管鉄塔の合理的な耐風 補強工法として考案した,山形. -200. 0. 200 -. [sec]. 400. 600. 800. 図 2-1 カルマン型風速波形(z=10m;風速パターン 1). 鋼を主柱材に添接する山形鋼 添接材工法 1)2)(図 1-1)を適用 した実存鉄塔の塔体モデルに 対する数値計算から添接材工. !"#$%. 法の耐風補強効果を動的およ び静的に検証する。 図 1-1 添接材工法. 2. 解析ケース 第 13 パネルより下側全パネルの主柱 材に山形鋼添接材工法を適用した塔高59.7m のLA 型送. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18. 電用懸垂型鋼管鉄塔について,補強前後において以下. )*+ )*,. 0.0. 0.5. 1.0. の解析を行った。カルマン型変動風速場(図 2-1)を用. 1.5. 2.0. 2.5. &'( [tonf]. 図 2-2 塔体に作用する平均風圧力. いた動的解析によって強風に対する応答特性をシミュ レートし,また平均風速場を用い架渉線(以下,ケー ブル)を考慮した非線形静解析から支配的な荷重であ. 3. るケーブル張力の影響を検討した。なお,風速場は鉛. 2. 直高さ 10m における平均風速 40.0m/sec を基準風速と した。パネル中心位置の平均風速を用いて算出した塔. 4 1 5 9. 体に作用する平均風圧力を図 2-2 に示す。 3. 耐風補強鉄塔の風応答特性 3.1 時刻歴応答変位 鉄塔を 72 質点にモデル化し,乱 れの絶対強さ 8.0m/sec, 乱れのスケール 100m のカルマ ン型変動風速場に対する時刻歴応答解析を Newmark の ベータ法を用いて解析した。平均値および最大値の検 討をするのに十分なデータを得るために, 不規則(ラ. 65. ンダム)な波形の変動風速場を 50 種類用意した。順に 風速パターン 1,2,・・・50 と呼ぶ。解析はサンプリン. 69. c. グ周波数 10Hz で 15 分間行い,風が作用して 5 分後か らの 10 分間について検討する。解析モデルにおける集. b. 中質点位置は図 3-1 に示すように各主柱材接合部に設. d a 図 3-1 72 質点モデル. け,鉄塔頂部の a 脚側を第 1 質点,柱脚部の d 脚側を. 23-1.

(2) 1 2 4. 3. 3.0. 6. 5. )*+ )*,. 2.5. 0. 100. 200. 300. 400. 500. 600. 18 17. 0.0 -0.5. 9 16 15 14. 0.5. 8. 7. 1.0. 10. !"#$%. 1.5. 13 12 11. /0 [m/m]. 2.0. 700. -. [sec]. be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r be f ore af te r. )*+23 )*+45 )*,23 )*,45. 0.0. 0.5. 1.0. 1.5. 2.0. 2.5. 3.0. 2.0. 2.5. 3.0. 2. 1. /0 [m/m]. 4. 3. 3.0. 0.5 0.0 0. 100. 200. 300. 400. 500. 600. 700. 18. -0.5. 8 14 13. 1.0. 10 9. 1.5. 12 11. !"#$%. 7. 2.0. 17 16 15. 1./0 [m/m]. 6. 5. 2.5. -. [sec]. bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after bef o re after. 0.0. 0.5. 1.0. 1.5. 1./0 [m/m]. 図 3-2 頂部応答変位波形. 図 3-3 平均および最大変位. (風速パターン 1). (10 分間×50 回). 第 72 質点とした。図 3-2 に風速パターン 1 に対する第. 3.2 最大応力度 各質点の最大層間変位時の変位より. 1 質点の時刻歴応答変位を, 図 3-3 に全パネルにおける. 算出した静的等価荷重を用いた有限要素静解析を補強. 全風速パターンの平均および最大変位を示す。なお図. 前後で行い,10 分間×50 回の風応答における最大の部. 中の値は,補強前の平均値が 1.0 となるように無次元. 材応力度をパネルごとに求めた。解析には汎用構造解. 化している。. 析プログラム NASTRAN for Windows Ver4.5 を用いた。. 第 13∼17 パネルでは,添接材取付による受風面積増. 解析モデルの部材要素は,鋼管(主柱材,腹材)また. 加の増加に伴い補強後に風圧力が増加しているが(図. は山形鋼(補助材)の断面形状を有する梁要素とし,. 2-1) ,補強による強度上昇のため応答変位は減少して. 部材接合部は全て剛接合とした。要素数は補強前後で. いる。第 17 パネルの変位減少の割合は他の質点に比べ. それぞれ 171,179,節点数は 66,70 である。なお,梁. て少ないが,これは第 18 パネルの変位が補強前後で変. 要素にモデル化した添接材工法適用主柱材の断面積は,. 化がないためで,層間変位は減少している。また第 18. 増加した添接材の断面積を割り増して考慮した。また. パネルにおいて変位に変化がないのは,添接材取付に. 曲げ剛性としては,単材の構造詳細モデルによる解析. よる受風面積増加の影響と補強による強度上昇効果と. より合成断面として等価な断面 2 次モーメントを求め. が打ち消し合っているためである。その一方で,第 1. た。図 3-4 に最大圧縮応力度の補強前後における変化. ∼12 パネルの変位も減少しており,添接材を取り付け. を,降伏応力度との比(以下,応力比)を用いて示す。. ていないパネルに対しても変位の抑制効果があること. 図 3-4 において,添接材を取り付けた第 13∼18 パネ. が分かる。したがって補強後に変位が増加している質. ルの主柱材に着目すると,補強後の応力比が著しく減. 点はなく,塔体の風荷重に対する変位は添接材取付に. 少していることが確認できる。その一方で腹材につい. よって抑えることができると言える。. ては第13∼18パネルにおいて補強後に増加が見られる。 この傾向は特に,柱脚部(第 18 パネル)において顕著. 23-2.

(3) !"#$%. の鉄塔からそれぞれ 542m,372m である。また,支持点. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13 14 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J 0.00. 間には高低差が存在し,解析鉄塔は高支持点側である。 ケーブルは引張力のみを伝え,無風時にはその自重が, 強風時には自重および風圧力が鉄塔に張力として作用 する。ケーブル全体に支持点高さにおける風が等しく. )*+ )*,. 作用すると仮定し,鉄塔に作用する張力を算出した。 その値を鉄塔塔体の自重, 風圧力と共に表4-1に示す。 表中 x,y,z はそれぞれ荷重の線路直角方向,線路 方向,鉛直方向成分を,左右はケーブルが b・c 脚側で. 0.05. 0.10. 0.15 M(N. 0.20. 0.25. あるか,a・d 脚側であるかを示す。表よりケーブル張. 0.30. 力の線路直角方向成分(計 72.8tonf)は,塔体に作用. (a)主柱材圧縮応力比. !"#$%. する風圧力(補強前で計 8.8tonf,補強後で 12.6tonf) に比べて非常に大きい。. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13L 13J 14L 14J 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J 0.00. 解析においては無風時における固定荷重を載荷後, 風荷重を 10 段階(ステップ)に分けて載荷し,全ステ ップの荷重状態における応力度について検討した。 )*+ )*,. 表 4-1 補強前後における荷重値の変化(tonf) FAGH. 0.05. 0.10. 0.15. 0.20 M(N. 0.25. 0.30. 0.35. )*+ >?@A )*, 678 )*+ >?&'( )*, 678 9: BCD#E( ;: <= )*+ <= )*, 678. 0.40. (b)腹材圧縮応力比 図 3-4 最大応力状態. である。これは主柱材が負担していた応力が,添接材 の取付により添接材と同時に腹材にも流れるようにな ったことを意味し,腹材の補強法の開発が望まれる。. I&y z 17.6 29.83 0.69 0.15 13.84 0 13.62 0.15 27.46 0.15 45.06 0.15 57.29 0 0.27. x 8.75 12.59 0.44 36.38 36.46 72.84 81.59 85.43 0.05. *&y 0.54 0 0.54 0.54 0.54 0. z 17.6 29.83 0.69 13.84 13.62 27.46 45.06 74.89 0.66. また,第 6 および第 10∼12 パネルの主柱材応力度も添 接材工法を適用した主柱材と同様の減少が見られ,添. 4.2 トリガ部材の出現 荷重の増加に伴い部材の降伏. 接材を適用していないパネルについても補強効果を確. が始まると,その部材は強度を発揮できなくなり塔体. 認することができる。なお,その他のパネルでは補強. は倒壊に至る。このとき倒壊の引き金(trigger)とな. 前後で変化はほとんどない。ところで,補強前では曲. る部材をトリガ部材といい,下層パネルの圧縮によっ. げ点以下の全パネルの主柱材が一度に降伏し鉄塔が倒. て現れる。解析の結果,補強前では基準高さ 10m の平. 壊する恐れがあるのに対し,補強後において降伏が予. 均風速(以下,基準平均風速)が 33.5m/sec のときに. 測されるのは柱脚部の腹材のみである。したがって,. トリガ部材が出現しているが,補強後では基準平均風. 塔体全体の耐風強度は増加していると言える。. 速 40.0m/sec の風が作用してもトリガ部材はなく,補 強によってトリガ部材の出現を抑制することができる。. 4. 架渉線荷重を考慮した場合の耐風補強効果 4.1 架渉線荷重の影響 平均風速より風圧力およびケ. 4.3 応力状態. ーブル張力を算出し有限要素幾何学的非線形解析を行. 4.3.1 補強前後の比較 図 4-1 に補強前のトリガ部材. った。非線形解析における十分な精度を得るため 3.2. 出現時,図 4-2 に基準平均風速 40.0m/sec 作用時にお. 節で用いた解析モデルの梁要素を 5 分割し,補強前後. ける補強前後の応力比の変化を示す。なお図 4-2 に関. の要素数は 2084,2220,節点数を 2484,2644 とした。. して,トリガ部材出現時以降の解析結果は信頼性に欠. 鉄塔径間長は発電所に近い側(若番) ,遠い側(老番). けるが,参考値として補強前の値も示した。図 4-1 に. 23-3.

(4) 0.0. !"#$%. !"#$%. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13 14 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J. )*+ )*,. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. 1.0. 1.2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13 14 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J. 1.4. )*+ )*,. 0.0. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. M(N. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13L 13J 14L 14J 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J. )*+ )*,. 0.2. 0.4. 0.6 M(N. 1.2. 1.4. 1.6. 1.8. (a)主柱材圧縮応力比. !"#$%. !"#$%. (a)主柱材圧縮応力比. 0.0. 1.0 M(N. 0.8. 1.0. 1.2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L 11J 12L 12J 13L 13J 14L 14J 15L 15J 16L 16J 17L 17J 18L 18K 18J 0.0. )*+ )*,. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. 1.0 M(N. 1.2. 1.4. 1.6. (b)腹材圧縮応力比. (b)腹材圧縮応力比. 図 4-1 平均応力状態(基準風速 33.5m/sec). 図 4-2 平均応力状態(基準風速 40.0m/sec). 1.8. おいて添接材を取り付けた第13∼18パネルの主柱材に. ない。これは補強前後において荷重値増加の割合が異. 着目すると,補強後の応力比が著しく減少している。. なるためで,径間長が大きい高支持点側の鉄塔ではケ. これらは全て補強前において圧縮応力比が 0.9 以上で. ーブルによる風荷重が支配的になり,受風面積増加の. あり降伏もしくは降伏が予測される部材であるが,図. 影響が受風面積増加の影響がわずかであることを意味. 4-2 から補強後では基準平均風速 40.0m/sec において. している。. も,これらの部材は降伏応力度に達していない。また, 第6 および第10∼12 パネルの主柱材応力比が同様に減. 5.まとめ 送電用中空鋼管鉄塔に耐風補強工法を適用. 少しているほか,若干ながら減少している部材をいく. する前後で数値計算を行ったところ補強材の取付は,. つか確認できる。したがって,補強後において塔体全. 主柱材に作用する応力度を減少させ塔体全体に対して. 体の耐風強度は増加していると言える。. も補強効果があること,トリガ部材の出現を抑制する 効果があること,径間長が大きい高支持点側の鉄塔に おいて特に有効であることが分かった。. 4.3.2 ケーブル張力を考慮しない場合との比較 ケーブル張力を考慮しない場合(図 3-4)においても. 参考文献 1)松永他;送電用中空鋼管鉄塔主柱材の耐風補強工法―圧 縮時補強効果について―,第 16 回風工学シンポジウム論 文集,2000 2)幸田他;送電用中空鋼管鉄塔主柱材の耐風補強工法に関 する研究(その 2)−補強効果に及ぼす添接材設定条件の 影響−,日本建築学会九州支部研究報告第 40 号,2000. 同様の部材において応力度が減少あるいは増加がして おり,応力分布もほとんど同じである。しかしながら 腹材についてはケーブル張力を作用する場合では下層 パネルにおいて補強後に応力の増加が見られるのに対 し,これを考慮した場合では若干増加している部材を 除き全てのパネルで減少しているか,あるいは変化が. 23-4.

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