論 文
右手 / 左手系複合伝送線路を用いた小形広帯域携帯端末用アンテナ
道下 尚文
†a)北原 裕久
†山田 吉英
†Small Broadband Handset Antenna Using Composite Right/Left-Handed Transmission Line
Naobumi MICHISHITA
†a), Hirohisa KITAHARA
†, and Yoshihide YAMADA
†あらまし 携帯端末用アンテナとして,右手/左手系複合伝送線路を用いた小形広帯域アンテナを開発した.こ のため,まずマッシュルーム構造を改良した単位セル構造を考案した.携帯端末用アンテナとして許される寸法 制限に納めるためには,許容できるセル長が限られる.セル長に応じた広帯域設計では,無限周期構造の分散特 性で平衡条件を満たすように単位セル構造を決定した.次に,セル数と比帯域幅,利得の関係を調べ,2セルの アンテナ構成で十分な広帯域性と利得が得られることを見出した.アンテナ実用化に関して,動作周波数の設定 法や給電法及び終端構造を明らかにした.最後に,試作アンテナの測定により,開放終端では4.2 dBi以上,短 絡終端では106%の比帯域幅と2.1 dBi以上の利得となることを確認した.
キーワード 携帯端末用アンテナ,右手/左手系複合伝送線路,広帯域,終端条件
1.
ま え が き携帯端末用アンテナは小形で高性能であることが求 められる.代表的な携帯端末用小形アンテナとして逆
F
アンテナが多く研究されている[1], [2]
.逆F
アンテ ナ単体では狭帯域であるため,広帯域化するために板 状の放射素子を用いた,板状逆F
アンテナ(PIFA)
が ある[3]
.これは放射素子を板状とすることで広帯域 化と高効率化を実現している.また,折返しダイポー ルアンテナの素子幅の比を調整することで比帯域幅42.9%
を実現できることが明らかにされている[4]
.一 方,アンテナのマルチバンド化や広帯域化のため複数 の共振周波数をもたせる手法が提案されている.PIFA
にメアンダ状の切込みを入れる手法[5]
,線状放射素子 近傍に付加素子を加える手法が提案され[6]
,マルチバ ンド化や広帯域化を実現している.以上に述べた共振アンテナを利用する方法と異なり,
進行波を利用した広帯域アンテナも研究されてきた.
右手
/
左手系複合伝送線路(CRLH-TL)
による梯子型†防衛大学校電気電子工学科,横須賀市
Department of Electrical and Electronic Engineering, Na- tional Defense Academy, 1–10–20 Hashirimizu, Yokosuka- shi, 239–8686 Japan
a) E-mail: [email protected]
漏れ波アンテナが地上デジタル放送用として提案され ている
[7]
.CRLH-TL
の動作帯域は,通常の右手系 漏れ波帯域に加え,位相速度が負となる左手系の動作 帯域が加わる.CRLH-TL
は,線路を適宜設計し分散 特性を制御することにより右手/
左手系帯域が連続し た広帯域特性を実現できる.従来の梯子型の漏れ波ア ンテナでは,伝送線路を細線導体で構成しており,放 射源となるキャパシタを挿入するギャップ幅が狭く漏 れ波は小さくなり,利得を増やすためには線路長を長 くしなければならないという欠点があった.携帯端末 用アンテナ用としては,短い線路長で効率良く放射さ せることが必要となる.本論文では,まず従来のはしご型漏れ波アンテナの 細線伝送路を幅広の金属板に変更した.伝送路はマッ シュルーム型構造となるが,給電や終端時に周期性を 保てる単位セル構造を考案した.提案する構造は幅広 金属板を用いており,少ないセル数でも強い漏れ波を 生み出せると期待できる.アンテナ寸法としては,携 帯端末内のきょう体上部のスペースである
40 mm ×
20 mm × 10 mm
とした.この寸法制限内で,単位セ ルの長さ,伝送線路幅,高さを変化させた場合につい て,利得及び比帯域幅特性を明らかにした.次に,ア ンテナ実用化で必要となる,動作周波数設定法や給電 と終端構造を明らかにした.最後に実験により計算結とができる.左手系キャパシタンス
C
Lは,ビアに対 して対称となるように2
箇所に挿入している.C
L用 のギャップ幅をg
としている.主線路は幅がLW
の金 属板で構成している.地板からの高さはh
である.ま た,地板サイズは無限としている.CRLH-TL
は,セ ル長がp
の単位セルをx
軸方向に無限に並べた周期構 造である.左手系並列インダクタンスは,主線路と地 板を接続している半径r
のビアの自己インダクタンス である.携帯端末内のきょう体上部のスペースである40 mm × 20 mm × 10 mm
をアンテナ寸法の限界と する.そこで,単位セルを図2
のように長さ40 mm
のスペースの中に複数個並べ,利得及び比帯域幅を最 大とする構造を見出すことが狙いとなる.(a)
(b) 図1 単位セル構造
Fig. 1 Configuration of unit cell. (a) Conventional mushroom structure. (b) Proposed mushroom structure.
条件を達成する.分散特性は,図
1
の無限周期構造に おいて,有限要素法による電磁界シミュレーションで 求めた単位セルのS
パラメータから計算した[8]
.セ ル長p
を変化したときの分散特性を図3
に示す.図2
のPort1, 2
ではポートインピーダンスに完全整合が とれた状態で計算している.固定するパラメータは,h = 10 mm
,LW = 20 mm, g = 1 mm
とする.セル 長p
は,図2 (a)
の2
セルではp = 20 mm
,図2 (b)
の3
セルではp = 13 . 33 mm
,図2 (c)
の4
セルではp = 10 mm
となる.平衡条件を満足するパラメータと して,p = 20 mm
ではC
L= 0.83 pF, r = 0.6 mm
,図2 アンテナスペースでのセル分割数 Fig. 2 Division number of cell in antenna space.
図3 セル長pを変化したときの分散特性 Fig. 3 Dispersion diagram whenpis varied.
図4 セル長pを変化したときの利得と比帯域幅 Fig. 4 Gain and relative bandwidth whenpis varied.
図5 高さhを変化したときの分散特性 Fig. 5 Dispersion diagram whenhis varied.
p = 13 . 33 mm
で はC
L= 1 . 2 pF, r = 0 . 1 mm
,p = 10 mm
ではC
L= 1.43 pF, r = 0.017 mm
と した.セル長p
が増加すると,図3
でAir-Line
と示 した位相速度が光速となる線の傾きが緩やかになり,右手系帯域と交わる周波数が高域にシフトするため,
漏れ波アンテナとして動作する速波領域は増加するこ とが分かる.次に,図
2
の構造において,セル長と 利得及び比帯域幅の関係を図4
に示す.p
の増加に伴 い,比帯域幅は70%
から116%
まで増加する.一方,利得は全体のアンテナ長が等しいためセル数にかかわ らずほぼ等しい.結局,
2
セルを用いることにより十 分に広帯域化が図れるため,以降は2
セル構造で検討 を行う.2. 2
アンテナ高及び線路幅の決定図
5
に高さh
を変化させたときの分散特性を示す.ここで,セル長
p = 20 mm
,線路幅LW = 20 mm
と する.高周波数側の右手系カットオフ周波数f
cRと低 周波数側の左手系カットオフ周波数f
cLは次式で表さ れる[8]
.図6 高さhを変化したときのBlochインピーダンス特性 Fig. 6 Bloch impedance whenhis varied.
f
cR= 1 2π √
C
RL
R⎛
⎝ 1 +
1 +
C
RL
RC
LL
L⎞
⎠ (1)
f
cL= 1 2 π √
C
RL
R1 −
1 +
C
RL
RC
LL
L(2)
ここで,
C
Rは主線路と地板間の並列キャパシタ,L
Rは主線路による直列インダクタである.高さを増加さ せると垂直ビアが長くなり
L
Lが増加し,地板とパッ チ間に生じるC
Rは減少する.したがって,同一周波 数で平衡条件を満たそうとすると,上式からf
cRはC
Rの影響で高くなり,f
cLは絶対値の部分が小さく なり低下する.そのため分散特性の傾きは急になり,Air-Line
の傾きは変わらないため速波領域は増加する.図
6
に高さh
を変化させたときのブロッホインピー ダンスZ
Bの変化を示す.Z
Bは次式で表される[8]
.Z
B±=± L
LC
L· 1−ω
2L
RC
L1−ω
2L
LC
R1− 1 4
ω
2L
RC
R+ 1
ω
2L
LC
L− L
R
L
L− C
RC
L 12(3)
高さ
h
を増加させることはビアのインダクタンスL
Lを増加させ,地板とパッチ間のキャパシタンス
C
Rを 減少させることになる.上式においてL
Lを増加,C
Rを減少させて平衡条件を満足させると
Z
Bの値は大き くなる.したがって,高さh
が増加するとZ
Bは増加 することになる.図
7
に単位セルを2
セル並べたときの高さと利得 及び比帯域幅の関係を示す.高さh
の増加に伴い比帯 域幅は増加する.これは,単位セルの速波領域が増加 したためである.また,利得も高さh
が増加すると大図7 高さhを変化したときの利得と比帯域幅 Fig. 7 Gain and relative bandwidth whenhis varied.
図8 線路幅LWを変化したときの分散特性 Fig. 8 Dispersion diagram whenLW is varied.
きくなる.これは,
Bloch
インピーダンスが増加して,自由空間インピーダンスの値に近づき,単位セル当り の漏れ量が増加するためである.したがって,利得及 び比帯域幅を最大にするには,アンテナに与えられた スペースの限界である
h = 10 mm
とすればよい.図
8
に線路幅LW
を変化させたときの単位セルの 分散特性を示す.ここで,セル長p = 20 mm
,高さh = 10 mm
とする.線路幅を増やすと主線路と地板 の間のキャパシタンスC
Rが増えるため,同じ周波数 で平衡条件を保つためにはL
Lを減らす必要がある.このとき,式
(1)
,(2)
から,f
cRは減少し,f
cLは上 昇する.分散曲線の傾きは緩やかになるため速波領域 は減少する.図
9
に単位セルを2
セル並べたときの線路幅と利得 及び比帯域幅の関係を示す.線路幅が増加すると,単 位セルの速波領域の減少に伴って比帯域幅は減少し,線路幅
20 mm
のときに116%
となった.一方,線路 幅が増加すると,放射源である主線路に設けたギャッ プ部分が長くなり,利得は増加する.したがって,ア ンテナ高と同様に,線路幅はスペースの限界である図9 線路幅LWを変化したときの利得と比帯域幅 Fig. 9 Gain and relative bandwidth whenLW is
varied.
LW = 20 mm
とする.以上より,図2 (a)
の構造にお いて,理想的に給電された状態では,比帯域幅116%
, 利得−2 . 5 dBi
を得られることが分かった.2 GHz
帯 で設計された文献[9]
の折り返しダイポールアンテナで はアンテナ長0.31λ
,幅0.15 λ
で利得が−2 dBi
,比 帯域幅35.6%
である.本研究では,アンテナ長0.27 λ
, 線路幅0.13 λ
で利得は−2.5 dBi
,比帯域幅116%
であ り,やや小さい寸法で同等の利得を保ちながら広帯域 化できることが分かる.3. 2
セルCRLH-TL
を用いた携帯端末 用アンテナ本章では,図
2 (a)
の構造を実用に供するための必 要技術について検討する.主な項目は,動作周波数の 設定法と実用的な給電法である.3. 1
動作周波数設定法ここでは,動作周波数の設計可能な範囲を明らかに する.図
10
に携帯端末のきょう体を模擬した45 mm
× 100 mm
の有限地板上の上端部に2
セルCRLH-TL
を配置したアンテナ構造を示す.地板端から1 mm
の距離に
CRLH-TL
を設置しその両端に方形の給電構造を付けている
[10]
.方形の給電構造と地板の間には1 mm
のギャップを開け,地板背面に設けた同軸ケー ブルの内導体を接続する.図11 (a)
に無限周期構造の 単位セルの電界分布を示す.単位セル内に地板から主 線路へ向かい垂直に電界が発生していることが分かる.図
11 (b)
に有限地板において方形給電構造を用いたと きの電界分布を示す.無限周期構造の場合と同様に地 板から垂直な電界が発生していることが分かる.よっ て,方形給電構造は周期を打ち切る線路端の影響を減 らし,給電方法として適していることが分かる.図10 2セルCRLH-TLを用いた携帯端末用アンテナ Fig. 10 Handset antenna using 2-cell CRLH-TL.
図11 観測面における電界分布
Fig. 11 Electric field distributions at observations plane. (a) Infinite periodic unit-cell. (b) Rect- angular feeding structure.
同様に線路の終端部にも同軸ケーブルを設け,
2
ポー トの解析を行う.動作周波数を変化するために,主線 路と地板をつなぐビアにチップインダクタを挿入する.動作周波数はビア半径
r
,チップキャパシタC
L,チッ プインダクタL
Lで調整できる構成としている.本構 造の直列共振周波数f
se及び並列共振周波数f
shは次 式で与えられる.f
se= 1 2π √
C
LL
R(4) f
sh= 1
2π √ C
RL
L(5)
動作周波数を低周波数化するには,
C
L, L
Lを大きく することでf
se, f
shを同時に下げる必要がある.つま り,アンテナ寸法を変えずに装荷するチップキャパシ図12 並列インダクタンスを増加したときの分散特性 Fig. 12 Dispersion diagram when shunt inductance
increases.
図13 並列インダクタンスを増加したときのS11特性 Fig. 13 S11characteristics when shunt inductance
increases.
タとインダクタの値を変更することで動作周波数を可 変にできる.
まず,単位セルの
C
L, L
Lを変化したときの分散 特性を図12
に示す.動作周波数を速波領域の下限 周波数f
Lから上限周波数f
Hの範囲とすると,チッ プインダクタを装荷しない場合は,f
L= 1.77 GHz
,f
H= 5.21 GHz
となる.チップインダクタを挿入した 場合,L
L= 6.14 nH
のときf
L= 1.09 GHz
,f
H= 3 . 18 GHz
,L
L= 22 . 9 nH
の と きf
L= 0 . 69 GHz
,f
H= 2.3 GHz
となることが分かる.ここで,チップ インダクタの値及び抵抗には村田製作所の高周波回路用 インダクタLQG15HN6N2S02
とLQG15HS22NJ02
のf
Lでの値を用いている[11]
.ここで,チップインダ クタを装荷した際には,バンドギャップがなくなるよ うにチップキャパシタの値とビア半径を変更している.図
12
で設計された3
種類の単位セルを図10
のよ うに有限地板上に配置したときのS
11特性を図13
に図14 並列インダクタンスを増加したときのS21特性 Fig. 14 S21characteristics when shunt inductance
increases.
表1 各チップインダクタ使用時の放射効率 Table 1 Radiation efficiencies at each tip inductors.
L[nH] 0 6.14 22.9
R[Ω] 0 1.13 4.28
Resistance loss 0% 5.6% 52.2%
Conductor loss 1.1% 1.0% 8.0%
ηrad 98.9% 93.4% 39.8%
Reflection loss (|S11|2) 7.5% 27.4% 8.9%
Transmission loss (|S21|2) 49.0% 49.5% 85.9%
ηant 43.0% 19.9% 2.1%
示す.
S
11≤ −6 dB
となる領域を動作帯域とすると,チップインダクタなしでは
122%
,L
L= 6.14 nH
では111%
,L
L= 22.9 nH
では135%
となった.また,イ ンダクタ値の増加により動作周波数が単位セルの速波 領域に対応して低下していることが確認できる.この ときのS
21特性を図14
に示す.動作周波数が低周波 数化されたアンテナほどS
21が高く,アンテナからの 放射量が小さくなることが分かる.これは,アンテナ の物理長が40 mm
で固定されているためである.表1
にチップインダクタを用いた場合の損失と放射効率を 示す.アンテナに給電された電力をP
0とすると,入 力された電力P
inはP
in= P
0− S
112− S
212となる.
ここで,入力電力
P
inと入力電力P
0の比を放射効率η
radとすると,η
rad= P
rad/P
inとなる.これには反 射損と透過損は含まれない.インダクタが増えると抵 抗は増加する.また,インダクタの増加により低周波 数化すると導体損が増加する.よって,放射効率η
radは低周波数化する減少する.次に,給電電力
P
0と放 射電力P
radの比をアンテナ効率η
ant= P
rad/P
inと する.インダクタを増加させると,透過損S
21が増加 し,アンテナ効率η
antは低下する.したがって,動作 周波数を低周波数化し,利得を得るには,アンテナの図15 終端条件を変化したときのS11特性 Fig. 15 S11characteristics when termination
conditions are changed.
(a)
(b)
図16 終端条件を変化したときの電流分布 Fig. 16 Surface current distributions at 2.73 GHz
when termination conditions are changed.
(a) Open. (b) Short.
物理長を長くする必要がある.
3. 2
終端条件による動作モードの変化本節では,アンテナの終端条件による利得への影響 を検討する.終端条件を変化したときの
S
11特性を 図15
に示す.50 Ω
終端及び短絡終端では広帯域にわ たりS
11が低下していることが分かる.一方,開放終 端では2
共振特性となることが分かる.図
16 (a)
に 開 放 終 端 の 第1
共 振 周 波 数 で あ る2.73 GHz
における地板上の電流分布を示す.また,図
16 (b)
に短絡終端の2.73 GHz
における地板上の電 流分布を示す.開放終端と短絡終端で電流の振幅分布 に差はあるものの,アンテナ全体にわたって同方向の 電流が流れていることが分かる.表1
に示したように,
50 Ω
終端ではポート2
に電力が吸収されるため 利得は低い.したがって,利得を得るにはCRLH-TL
の終端を開放か短絡すればよい.4.
実 験 結 果2
セルCRLH-TL
を用いたアンテナを試作し,測定 した.主線路の金属パッチは比誘電率2.6
,厚さ0.8 mm
の誘電体基板上に構成した.誘電体基板をモデル化し,パッチ間のギャップによるキャパシタの影響を含む条 件で設計を行い,チップキャパシタを
0.5 pF
,主線路 と地板をつなぐ銅線の半径を0.15 mm
とした.アン テナの両端には方形の金属板を取り付け,給電部には図17 開放終端のときのS11特性 Fig. 17 S11characteristics with open termination.
(a) (b)
(c) (d)
図18 開放終端のときの放射特性
Fig. 18 Radiation patterns with open termination.
(a) Eθ, zx plane, 2.81 GHz. (b) Eφ, yz plane, 2.81 GHz. (c)Eφ,zxplane, 4.75 GHz.
(d)Eθ,yzplane, 4.75 GHz.
コネクタを接続した.終端側の方形金属板と地板の間 には
1 mm
のギャップを開け,開放終端とした.また,短絡終端は,それらを銅線で接続した.
図
17
に開放終端のときのS
11特性を示す.シミ図19 短絡終端のときのS11特性 Fig. 19 S11characteristics with short termination.
(a) (b)
(c) (d)
(e) (f)
図20 短絡終端のときの放射特性
Fig. 20 Radiation patterns with short termination.
(a)Eθ,zxplane, 2 GHz. (b)Eφ,yzplane, 2 GHz. (c) Eφ, zx plane, 4 GHz. (d)Eθ, yz plane, 4 GHz. (e)Eθ, zxplane, 6 GHz.
(f)Eφ,yzplane, 6 GHz.
ュレ ー ション 結 果 と 測 定 結 果 は よ く 一 致 し て お り,
2.81 GHz
と4.75 GHz
において2
共振特性となること が確認できる.図18
に2.81 GHz
及び4.75 GHz
にお けるzx, yz
面の放射特性を示す.パターンの形状はよ く一致している.また,4.75 GHz
では,zx
面の270
◦ 方向とyz
面の340
◦方向にヌルが生じている.図19
に短絡終端のときのS
11特性を示す.シミュレーショ ン結果と測定結果はよく一致している.2 GHz
から6.3 GHz
においてS
11が−6 dB
以下(VSWR ≤ 3)
と なり比帯域幅は106%
である.図20
に2 GHz, 4 GHz, 6 GHz
におけるzx , yz
面の放射特性を示す.周波数 が高くなるにつれ,複数の方向にヌルが生じている.表
2
に試作アンテナの利得と比帯域幅をまとめる.開放終端では
2
共振周波数で4.2 dBi
以上の利得が得 られた.また,短絡終端では比帯域幅106%
で2.1 dBi
以上の利得が得られた.5.
む す び本論文では,
CRLH-TL
を用いた携帯端末用小形広 帯域アンテナの単位セルとして,マッシュルーム構造 の改良構造を考案した.携帯端末内のアンテナの利用 スペースを考慮し,単位セル数及び構造パラメータと 比帯域幅,利得の関係を調べた結果,セル数は2
セル でよいことが明らかとなった.線路の高さと幅は制限 スペースの値とすることにより,利得が−2 . 5 dBi
,比 帯域幅が116%
の特性の見込みが得られた.実用化に 必要な項目として,装荷するチップキャパシタとチッ プインダクタによる動作周波数の設計可能範囲を求め た.また,給電構造と終端構造を明らかにした.終端 条件によって,2
共振特性及び広帯域特性が得られる ことを示した.最後に,試作アンテナの測定により,開放終端では
4.2 dBi
以上,短絡終端では106%
の比 帯域幅と2.1 dBi
以上の利得となることを確認した.文 献
[1] 新井宏之,“小形アンテナ:小形化手法とその評価法,”信 学論(B),vol.J87-B, no.9, pp.1140–1148, Sept. 2004.
[5] I-F. Chen, “A dual band planar inverted-F antenna with non-uniform meander-line shaped slot,” IEICE Trans. Commun., vol.E87-B, no.6, pp.1767–1769, June 2004.
[6] 関根秀一,伊藤敬義,大舘紀章,村上 康,床木裕樹,“並 列共振を用いた広帯域逆Fアンテナの設計,”信学論(B), vol.J86-B, no.9, pp.1806–1815, Sept. 2003.
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International Symposium on Antennas and Propaga- tion, WeA3-3, pp.1–4, Jeju, Korea, Oct. 2011.
[11] 村田製作所,SimSurfing, Feb. 2012.
(平成24年1月6日受付,4月21日再受付)
道下 尚文 (正員)
平11横浜国大・工・電子情報卒.平16 同大大学院博士課程(後期)了.現在,防 衛大・電気電子・講師.移動体通信用アン テナ,電磁界解析,メタマテリアルに関す る研究に従事.博士(工学).平16IEEE AP-S Japan Chapter Young Engineer Award,平17本会学術奨励賞受賞.IEEE会員.
北原 裕久 (学生員)
平14電通大・電気通信・電子卒.防衛 省勤務を経て,平24防衛大・理工学研究 科博士前期課程了.メタマテリアルに関す る研究に従事.現在,防衛省勤務.
山田 吉英 (正員:フェロー)
昭46名工大・電子卒.昭48同大大学 院了.平元工博(東工大).平19本会フェ ロー.昭48日本電信電話公社(現NTT)
電気通信研究所に入所し,開口面アンテナ の開発に従事.平4NTT移動通信網(株)
に転籍し,基地局アンテナの開発に従事.
平7(株)YRP移動通信基盤技術研究所へ出向し,移動通信
システムの研究に従事.平8新潟大学客員教授,東京理科大学 非常勤講師を兼任,平10より防衛大学校教授となり,アレー アンテナ,超小形アンテナ,誘電体レンズアンテナなどの研究 を行っている.主な著書は,「移動通信の基礎」(コロナ社),「移 動通信」(丸善),「ディジタル移動通信」(科学新聞社),「図解 移動通信用アンテナ」(総合電子出版),「わかる移動通信技術 入門」(総合電子出版),「小形アンテナとシステム応用」(ケイ ラボ出版),「Mobile Antenna Systems Handbook」(Artech House)などを共著.