福井における平成30年豪雪時の企業対応と個人の交 通行動
著者 川本 義海, 梅林 翼
雑誌名 福井大学地域環境研究教育センター研究紀要 「日
本海地域の自然と環境」
巻 26
ページ 49‑56
発行年 2020‑03‑01
URL http://hdl.handle.net/10098/10885
福 井 大 学 地 域 環 境 研 究 教 育 セ ン タ ー研 究 紀 要
「日本 海 地 域 の 自然 と環 境 」 No.26,49‑56,2019
福 井 にお け る平 成30年 豪 雪 時 の企 業対 応 と個 人 の交 通 行 動
CorrespondenceofcompanyandtrafHcbehaviorofindividualsduringheavysnowfallin2018inFukui
川 本 義 海*
(福井 大 学 学 術 研 究 院 工 学 系 部 門 建 築 建 設 工 学 領 域)
梅 林 翼**
(東海 旅 客 鉄 道 株 式 会 社)
1.は じ め に
福 井 県 内 で は 平 成30年2月6日 か ら8日 に か け て 記 録 的 な 大 雪 と な り、 福 井 市 で は 最 人 積 雪 深 147cmを 記 録 す る な ど 、38豪 雪 、56豪 雪 に 次 ぐ3番 目 の 豪 雪 と な っ た 。
今 回 の 豪 雪 時 は 、 先 の38豪 雪 や56豪 雪 時 と比 べ て 自動 車 保 有 台 数 お よ び 道 路 延 長 が 大 幅 に 増 加 し た こ と に よ り、 豪 雪 に よ る 道 路 交 通 へ の 影 響 は よ り人 きか っ た と 考 え ら れ る 。 な お 平 成 に 入 っ て 発 生
した 平 成13年 大 雪 、 平 成18年 豪 雪 、 平 成23年 大 雪 時 と 同 様 、 国 道8号 な ど の 主 要 幹 線 道 路 で は 大 規 模 な 立 ち 往 生 が 発 生 し、 福 井 県 内 一 円 で 広 域 的 に 交 通 が 麻 痺 す る こ と と な っ た 。 ま た こ の こ と が 福 井 県 内 の 多 くの 企 業 ・団 体 に お け る事 業 継 続 に大 き な 影 響 を 及 ぼ した 。
こ の よ う な 長 時 間 で 広 域 的 な 交 通 混 乱 を緩 和 す る た め の 対 策 の1つ と し て 、 例 え ば 国 土 交 通 省 は 集 中 的 な 大 雪 時 の 需 要 抑 制 を 挙 げ て い る 。 こ れ ま で に も 「大 雪 に 関 す る 緊 急 発 表 」 等 で 道 路 利 用 者 に 不 要 ・不 急 の 外 出 を 控 え る こ と や 時 間 の 変 更 等 を 呼 び か け て は い る も の の 、 実 際 に 道 路 利 用 を控 え る 行 動 を起 こ す に は 十 分 と は 言 え な か っ た 。 そ こ で 自 家 用 車 の 使 用 を減 らす 手 法 の1つ と して 挙 げ られ る 、
自動 車 の 効 率 的 利 用 や 公 共 交 通 転 換 な ど、 交 通 行 動 の 変 更 を促 し て 発 生 交 通 量 の 抑 制 や 交 通 集 中 の 平 準 化 等 、 交 通 需 要 の 調 整 を行 う こ と に よ り、 道 路 交 通 混 雑 の 緩 和 して い く取 り組 み(Transportation DemandManagement、 以 下 「TDM」 と い う)が 注 目 さ れ て い る 。
他 方 で2011年3月11日 に 発 生 した 東 日本 大 震 災 で は 、 想 定 を 大 き く上 回 る 地 震 と大 津 波 に よ り甚 大 な 被 害 が も た ら さ れ 、 以 降 、 こ の よ う な 大 規 模 広 域 災 害 に 備 え る 対 策 と して 事 業 継 続 計 画(Business ContinuityPlan、 以 下 「BCP」 とい う)の 重 要1生が 広 く認 識 さ れ 、 様 々 な 機 関 で 取 り組 み が 活 発 に な っ て い る 。 福 井 県 内 は 全 域 が 豪 雪 地 帯 な い し は 特 別 豪 雪 地 帯 に 指 定 さ れ て お り、 幾 度 と な く豪 雪 見 舞 わ れ て き て い る が 、 大 雪 の 度 に 今 回 の よ う な 事 態 が 発 生 して お り、 企 業 の 事 業 継 続 が 困 難 と な れ ば 、 今 後 の 企 業 進 出 や 取 引 先 に 大 き な 影 響 が 出 る と推 測 さ れ る こ とか らBCPに 対 す る 取 り組 み を 強 化 す る 必 要 に 迫 られ て い る と い え る 。
そ こ で 本 稿 で は 、 ま ず 今 回 の 豪 雪 に よ り市 内 が 最 も混 乱 した 時 に 、 福 井 市 内 の 企 業 に 勤 め る従 業 員 が ど の よ う な 交 通 手 段 で 通 勤 した の か 、 ま た そ の 際 に どの 程 度 の 通 勤 時 間 を要 し た の か 、 さ ら に 通 常 時 に 比 べ て 通 勤 手 段 の 変 化 や 通 勤 時 間 の 変 化 は ど の 程 度 で あ っ た の か に つ い てTDMの 観 点 か ら 明 ら か に す る 。
ま た 今 後 の 豪 雪 時 に お い て 、BCPを 踏 ま え てTDMを 行 い 影 響 の 緩 和 を 図 る た め に は どの よ う な 施 策 が 有 効 で あ る か を 検 討 す る た め に 、 個 人 と企 業 を 対 象 と した ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 し、 そ の 実 態 を 明 ら か に す る 。
(キ ー ワ ー ド:豪 雪 、 企 業 と個 人 、 交 通 行 動 、BCP)
*
**
YoshimiKawamoto
(Professor,FacultyofEngineeringArchitectureandCivilEngineeringUniversityofFukui,Fukui,910‑8507) TsubasaUmebayashi
(CentralJapanRailwayCompany,Aichi,450‑6101)
川本 義 海 ・梅林 翼
2.豪 雪 時 の 通 勤 手段 と通 勤 時 間 の 変 化 2.1調 査 の 概 要
福 井 市 街 地(JR福 井 駅 か ら南 に約2km)に 所 在 す る事 業 所Aに 勤 め る全 従 業 員 を対 象 と して 、 通 常 時 の通 勤 手段 と通勤 時 間及 び今 回 の豪 雪 時 の 通勤 手段 と通 勤 時 間 につ い て 調査 した(表 一1)。
表 一1通 勤 者 ア ン ケ ー トの 概 要
【調 査 対 象 】福 井 市 内 の事 業 所Aに 勤 務 す る従 業 員
【調 査 月 日】2018年11月 下旬 か ら12月 上旬
【調 査 方 法 】事 業 所Aの 担 当者 を通 じて 全職 員 に配 布 。 回収 ボ ッ クス を設 置 し回 収
【回収 数/配 布 数(回 収 率)】767/1100(697%)
【内容 】 ① 属性(住 所 ・年齢 ・性 別 ・職業)、 ② 通 常 時 とH30大 雪 時 の交 通 行 動 、③ 豪 雪 時 の 交 通行 動 に対 す る意 識 他
2.2通 勤 手 段 の 変 化
通 常 時 の 通 勤 手 段 は 自 家 用 車564人(77%)、 徒 歩82人(11%)、 自転 車62人(9%)、 鉄 道 ・バ ス 22人(3%)に 対 し 、H30大 雪 時 は 徒 歩373人(53%)、 自家 用 車311人(44%)、 鉄 道 ・バ ス12人(2
%)、 そ の 他13人(2%)と な り、自 家 用 車 が 大 き く減 少(253人 減)し た 一 方 で 徒 歩 が 大 き く増 加(291 人 増)し た(図 一1)。
豪雪時
過常時
44%
合
53%・ 、・730
圃
\
77%
1 含/〃
11%Illlllll:1・n・709
o%
z〔%軌
60θも 8〔既100%
■ 自家用車■■徒歩0自 転車 ■公共交通 口その他
図一1豪 雪時 の 通 勤 手 段 の 変化
2.3通 勤 時 間 の 変 化
通 勤 時 間 の 変 化 量(全 通 勤 手 段)は 図 一2及 び 表 一2に 示 す と お り、 通 常 時 に 比 べ て 所 要 時 間 が 長 く な っ て い る 。 通 常 時 の 平 均 通 勤 時 間22分 に対 し 、H30大 雪 時 は106分 と な り遅 延 は84分 で 通 常 時 の4.8倍 と な っ た 。
福 井 にお け る平 成30年 豪 雪 時の企 業対 応 と個 人の交 通行 動
⊃ハU人30く
250
200150
10050
0■通 常 時 圃H30大 雪 時
1 i
1
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°、9 (分)
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図一2通 勤 時 間 の 変 化(全 手段)
ま た 通 常 時 と豪 雪 時 の 通 勤 時 間 別 変 化 量 を表 一2に 示 す 。 ご く一 部 、 通 常 時 の 方 が 豪 雪 時 よ り短 時 間 と な っ て い る が 、 こ れ ら は 大 雪 に備 え て 事 前 に 職 場 近 く に宿 泊(前 泊)し た もの と 考 え ら れ る こ と か ら 、 そ れ 以 外 の ほ ぼ す べ て の 人 が 通 常 よ り も通 勤 時 間 が 長 くな っ た こ とが 分 か る 。
表 一2通 勤 時間 の変 化 量(通 常 時 と豪 雪 時)
H300 ‑10 豪 雪時 分 通 常時
10‑20 分
20‑30 分
30‑40 分
40‑50 分
50‑60 分
60‑70 分
70‑80 分
80‑90 分
90‑
100 分
100
‑llO
110一 分120分
120一 分
計 (人)
0‑10分
18139
17 18 10 6 11 1 3 3 Ol 1 12810‑20分
0151
28 35 25 32 40 21 17 12 317 40 28520‑30分 Ol
ol
1 2 6 16 4 9 13 322 49 12630‑40分 01 0
31
1 0 0 1 2 5 116 58 8840‑50分 01 0 1
ol
0 0 2 0 4 27 36 5350‑60分 00 1 0 0
11
1 0 0 0 02 23 2860‑70分 00 0 0 0 0
ol
0 0 0 01 5 670‑80分 00 0 0 0 0 0
ol
0 0 00 2 2計(人)18574658384568293137
注)グ レ ー の 太 枠 ハ ッチ 部 分 は 、 通 常 時 に 比 べ てH30大 雪 時 に お い て 通 勤 時 間 が 長 く な っ た 人 の 数 を 表 す 。 966214716
2.4通 勤 時 間 別 に見 た交 通 手段 別 所 要 時間
通 常 時 に 自家 用 車 で 通 勤 時 間 が30分 未 満 の通 勤 者 に つ い て 、H30豪 雪 時 に も変 わ らず 自家 用 車 で 通勤 した場 合 と、 自家 用 車 か ら徒 歩 に切 り替 え た場 合 の 通 勤 時 間 の変 化 量 を表 一3に 示 す 。
通 常 時 に 自家 用 車 で 通 勤 して い る 人 につ い て み る と、 そ の 通 勤 時 間 が20分 未 満 で あ っ た 場 合 、 H30豪 雪 時 に 自家 用 車 か ら徒 歩 に切 り替 え た 方 が 通 勤 時 間 は 平 均 で 約20分 短 くな って い た で あ ろ う
こ とが分 か っ た。 一 方 で 、 通常 時 に 自家 用 車 で の通 勤 時 間 が20〜30分 の人 は 、逆 に徒 歩 に切 り替 え
川 本 義 海 ・梅林 翼
た 人 の 方 が 通 勤 時 間 は 平 均 で 約56分 長 く な っ て い た で あ ろ う こ と が 分 か っ た 。 こ の こ とか ら、 通 常 時 に 自 家 用 車 で 通 勤 し て い る 人(564人)の う ち 、 約47%に あ た る265人 に つ い て はH30豪 雪 時 に 自家 用 車 か ら徒 歩 に切 り替 え た 方 が 通 勤 時 間 は 短 くな っ た 可 能 性 が あ る と考 え ら れ る 。 な お こ の 可 能 性 が あ っ た 人 の 中 で 実 際 に 徒 歩 に 切 り替 え た 人 は180人(68%)で あ っ た 。
以 上 の こ とか ら 、 豪 雪 時 に は 無 用 な 道 路 渋 滞 や 路 上 ト ラ ブ ル 等 を 回 避 す る な ら ば 、 近 距 離 の 通 勤 で は で き る だ け 自 家 用 車 利 用 を 避 け 、 徒 歩 に 切 り替 え る こ と が 効 果 的 と考 え ら れ る 。 同 時 に 、 徒 歩 に よ る 移 動 の 安 全 性 を 考 え た 除 雪 対 応 や 交 通 規 制 な ど も合 わ せ て 検 討 す る こ とが 望 ま れ る 。
表 一3通 常 時 の 自家用 車 通 勤 時 間 別 にみ たH30豪 雪 時 の通 勤 時間 通常時
自家用車
H30豪 雪 時
自家 用 車A 徒歩B
時 間 差 A‑B
0‑10分 64ラ}(10ノ 臆) 46ラ}(46ノ 臆) 18分
10‑20分 95分(75人) 74分(134人) 21分
20‑30分 141分(73人) 197分(7人) 一56分
3.個 人 ・企 業 か らみ た交 通 需 要 マ ネ ジ メ ン ト
こ こで は、 今 後 も発 生 す る と考 え られ る大 雪 ・豪雪 時 に お い て、 と くに地 域住 民 お よび企 業 の交 通 行 動 に対 す る働 きか け とそ の交 通 行 動 の 変 容 に よ って 大 雪 の 影響 を低 減 させ る 方 策 につ い て検 討 し た。 具 体 的 に は どの よ うな交 通 行 動 変 容 に対 す る方 策 が実 施 可 能 で か つ 効 果 的 と考 え られ る か、 今 回 の豪 雪 時 の よ う な状 況 を どの程 度 ま で な ら許 容 し得 るか に つ い て、 個 人 お よび企 業 を対 象 に行 っ た ア
ンケ ー トを もと に分析 す る 。
3.1個 人 か らみ た 交 通 行 動 の 実 態 と意 識
今 回 の 大 雪 時 に お け る 個 人 レベ ル で の 実 際 の 交 通 行 動 と意 識 に つ い て 、 お も に 交 通 需 要 マ ネ ジ メ ン ト(以 下 、 「TDM」 と い う)の 観 点 か ら分 析 す る 。
豪 雪 時 の 通 勤 時 に で き そ う なTDM施 策(図 一3)を み る と 、 「該 当 な し 」 が28%あ る もの の 、 で き そ う な 施 策 と して 「時 差 出 勤 」が32%、 「マ イ カ ー 自粛 」が24%、 「家 族 の 送 迎 」が20%あ る こ とか ら、
一 定 のTDM施 策 は 実 施 で き る で あ ろ う こ と が 示 さ れ た。
該当ねし
在宅勤務
n=1083 (複 数 回 答)
自動 車の相乗 り
公共交通の積極的利用
家族による送迎マイ カー自粛 ■■■一 ■■
時差出勤
o 50
245人(32%)
100 150 200
図 一3通 勤 時 に 可 能 なTDM施 策
250
{人) 300
福 井 にお け る平 成30年 豪 雪 時の 企業対 応 と個 人の交 通行 動
3.2企 業 か らみ た交 通 行 動 の 実 態 と意 識
個 人 と同様 に今 回 の豪 雪 時 にお け る企 業 レベ ルの 実 際 の 交 通行 動 と意 識 につ い て、 お もに福 井 市 内 で事 業 を展 開 してい る企 業 を対 象 と して表 一4に 示 す ア ンケ ー ト調 査 を実 施 した 。
表 一4企 業 ア ン ケ ー トの 概 要
【調 査対 象 】 福 井 商工 会 議 所 会 員企 業(会 員 企 業 の う ち従 業員 数 上 位600社(従 業 員 数30名 以 上))
【調 査期 間】2018年12月 中旬 か ら12月 下 旬
【調査 方法 】 郵 送 調査 法
【回 収 数/配 布 数(回 収 率)】300/600(50%)
【内 容】 ① 属 性(住 所 ・事 業 所 区 分 ・従 業 員 数 ・業 種 他)、 ② 平 成30年2月 豪 雪 時 にお け るBCP(事 業 継 続 計 画)の 策 定 状 況 、③ 豪 雪 時 の 交 通行 動 の状 況 ・意識 他
近 年 各 地 で 頻 発 し て い る 地 震 や 水 害 を は じ め とす る 自 然 災 害 を 受 け て 、 防 災 減 災 の 観 点 か ら 「地 域 継 続 計 画(DCP:DistrictContinuityPlan)」 や 「事 業 継 続 計 画(BCP:BusinessContinuityPlan)」
が 注 目 さ れ て い る 。
本 調 査 に 回 答 い た だ い た 企 業300社 の う ち 、H30豪 雪 時 にBCPを 策 定 済 み で あ っ た 企 業 は81社 (27%)、 ま た そ の 中 で 雪 害 を想 定 して い た 企 業 は33社(41%)で あ り、 雪 害 に つ い て は 地 震(94%) や 水 害(72%)レ ベ ル で のBCP対 象 と し て の 位 置 づ け は さ れ て い な い こ と が 分 か っ た 。 ま たBCP 策 定 済 み の 企 業 の う ち 、 今 回 の 豪 雪 時 にBCPが 役 立 っ た と 回 答 し た の は 半 数 未 満 の34社(42%) で あ っ た 。
つ ぎ に 今 回 の 豪 雪 時 に お い て 、 企 業 で ど の よ う な 交 通 行 動 の 変 容 が あ っ た の か に つ い て み た も の を 図 一4に 示 す 。 こ れ よ り 「不 要 不 急 の 自 動 車 利 用 の 自粛 」、 「時 差 出 勤 の 推 進 」 を行 っ た 企 業 は 比 較 的 多 くみ られ た 。 ま たBCP策 定 の 有 無 とTDMに 関 わ る 交 通 行 動 変 容 の 有 無 と の 相 関 を み る た め に 有 意 差 検 定 を行 っ た 結 果 、 個 人 レ ベ ル で は 実 施 が 難 しい と さ れ た 「在 宅 勤 務 の 推 進 」、 「公 共 交 通 で の 通 勤 の 推 進 」 で 高 度 に 有 意(有 意 水 準1%)、 ま た 「不 要 不 急 の 自 家 用 車 利 用 の 自粛 」、「時 差 出 勤 の 推 進 」 が 有 意(有 意 水 準5%)と な っ た(表 一5)。 よ っ て こ れ ら のTDM施 策 に つ い て は 、BCP策 定 済 み の 企 業 の 方 がBCP未 策 定 の 企 業 に 比 べ て 実 際 に も有 意 に 行 動 変 容 し た こ とが 分 か っ た 。
在宅勤務の推進::::==:顧 ■■■■■■■■ ■■■■n冨295
相 乗 りの推進公 共交 通での 通勤の 推進
不 要 不 急 の 自 動 車 利 用 の 自 粛1・.・ 一 凸.『 …..・ … ・:■ 舳 回冒 一n=294
時 差 出勤の 推進E::=::=::::章 ■■■咀■■■■■■■ 圃n=293
O%Zα 蕗4【 」%6〔 脱8{跳100腸 0は い 幽い い え
図 一4企 業 に お け る 交 通 行 動 の 変 容
川本 義 海 ・梅林 翼
表 一5BCPの 有 無 と交 通 行動 変容 の相 関
行動 P値 オ ッズ 比 95%CI
在宅勤務 の推進 0.0026** 2.28 1.34‑387
相 乗 りの推 進 0.3418 1.38 0.76‑252
公共交通での通勤の推進 α0076** 277 1.32‑579
不 要不 急 の 自動 車 利 用 の 自粛 α0219* 221 1ユ1‑4.38
時差出勤の推進 α0118* 2.01 1ユ9‑341
(*p<。05,**p<。01)
さ らに今 後 の 豪 雪 時 に お け る交 通 行 動 の 意 識 ・行 動(意 向)を 確 認 す るた め に同様 の検 定 を行 った 結 果 、平 成30年 豪 雪 時 にBCP策 定 済 み の企 業 はBCP未 策 定 の企 業 よ り も、 時差 出勤 ・フ レ ッ クス タ イ ム を行 う可 能性 が 高 い と考 え られ るが 、在 宅勤 務 を実 施 す る可 能 性 に違 い が あ る とは言 え なか っ た(表 一6)。
表 一6今 後 の豪 雪時 に お け る交 通 行 動 ・意 識
行動 P値 オ ッズ 比 95%CI
時 差 出 勤
フ レ ッ クス タイ ム α0055(P<つ1) 2.14 1.27‑3.61
在宅勤務 0ユ062(ユ0〈P) 1.54 091‑2.61
4.行 動 変 容 に 向 け た 働 き か け と許 容 の 限 度
人 々 の 交 通 行 動 を 変 容 さ せ る た め に は 、 そ の よ う な 行 動 を 促 す 働 きか け が 必 要 で あ る 。 今 回 の 豪 雪 で は 福 井 県 知 事 か ら 県 民 に 対 して 「不 要 不 急 の 外 出 を 控 え て 」 と い っ た 主 旨 の 声 明 が2月12日 に 出 さ れ た 。 そ こ で 、 こ の 声 明 が 個 人 ・企 業 に ど の よ う に 捉 え ら れ た の か に つ い て 比 較 した も の を 図 一
5に 示 す 。 カ イ ニ 乗 検 定 を 行 っ た 結 果 、 個 人 と 企 業 の 問 に 有 意 な 差 が み られ な か っ た(κ2(4)=4.310、
p=4.31)も の の 、 両 者 と も に 「賛 成 」 「や や 賛 成 」 を 合 わ せ て 約7割 を 占 め た 。 同 時 に 、 賛 成 反 対 の ど ち ら で も な い が20%程 度 あ っ た 。 こ れ は 「不 要 不 急 」 の 具 体 的 対 象 が ど の よ う な も の で あ る の か が 曖 昧 な た め 判 断 で き な い と い う意 見 と して 多 くみ ら れ た 。
薗 ﹃
ど
賢 ・
遡
個 人 企 業
図一5福 井 県 知 事 が 出 した不 要 不 急 の車 での 外 出 自粛 声 明 に対 す るの 賛 否
図 一6は 一 般 的 な事 業継 続 計 画(BCP)の 概 念 を示 した もの で あ る。 こ の よ うに企 業 や 組 織 が 災 害 や 事 故 な どで被 害 を受 け た と して もその 重 要 な業 務 を中 断 させ ない 、 あ るい は 中 断 した と して も最 低 限許 容 され る期 間 で 事 業 を再 開 す る こ とが 重 要 で あ る 。 わ が 国 で は2011年 の 東 日本 大 震 災 を契 機 と
してBCPが 広 く認識 され る に至 り、 今 回の 豪 雪 にお い て もそ の重 要 性 、 必 要性 が再 認 識 され た。
福 井 にお け る平 成30年 豪 雪 時の企 業対 応 と個 人の交 通行 動
福 井 商 工 会 議 所 が 豪 雪 直 後 の2018年2月 中 旬 に 会 員 企 業 を 対 象 と し て 行 っ た 調 査 に 拠 る と 、BCP を 策 定 済 み で 対 応 で き た と し た 企 業 は 回 答 の あ っ た884社 の う ち54社 で 全 体 の6%に 留 ま る と い っ た 結 果 が 示 さ れ て い る 。 ま たBCPは 策 定 済 み で あ っ た が 役 立 た な か っ た と した 回 答 が14%、 そ も そ
もBCPを 作 成 し て い な か っ た と した 回 答 が80%に も達 して い る 。
③灘音瀬罫以上 のレ殉 レセ事継
を継融 せ愚 ②許窃される閉 撮業
度
(
製 供品 給量 な
)ど
▲ 聞内に燥繋 度壱
事前 事後(初 動対応 εEOP対 応)復 旧させ る 一4 レ
1009も 復 旧
目標 許容限 界
一.‑‑
、 レ)
目標 駐容限界 時間軸
現状予灘 旧齢 醍 灘 繍 甑 繊 糖 、
鵬P奥 跳後の 復1日囲線
図一6事 業 継 続 計 画(BCP)の 概 念 図
そ こ で 、 今 回 の 豪 雪 時 の 最 も酷 か っ た 状 況 を どの 程 度 ま で 許 容 で き る か に つ い て 個 人 レ ベ ル 、 企 業 レ ベ ル の 双 方 で み た もの を 図 一7に 示 す 。
個 人 と企 業 間 で 有 意 差 検 定 した 結 果 、「半 日未 満 」 「半 日程 度 」 で 個 人 の 方 が 有 意 に 多 く、一 方 で 「2 日程 度 」 「3日 以 上 」 で 有 意 に 少 な く な っ た 。 な お 個 人 、 企 業 の い ず れ に お い て も2日 ま で で 許 容 を 超 え る と い う割 合 が8割 を 超 え る こ と か ら、 個 人 、 企 業 を 問 わ ず こ の2日 が お よ そ の 人 々 の 我 慢 の 限 界 で あ り、3日 が ほ ぼ 全 員(社 会)の 我 慢 の 限 界 とい う こ と が 分 か っ た 。
圏半日未満 ■半 日程度 ■1日程度 圧1日半程度
■⊇日程度 齪 日半程度■3日程度 ■それ以上
図 一7大 雪 時 の 状 況 を許 容 で き る 日数(最 もひ どか った時 の状 況)
川 本 義 海 ・梅林 翼
5.ま とめ
本 稿 で は、2018年2月 豪 雪 時 の福 井 に お け る企 業 及 び個 人 の交 通 行 動 の実 態 を明 らか にす る こ と、
ま た これ に よ り、今 後 も想 定 され る豪 雪 時 の 影響 緩 和 を図 る た め の方 策 を事 前 に検 討 し備 え る こ とを 目的 と した。
分 析 の 結 果 か ら、 通常 時 と比 較 して豪 雪 時 にお い て個 人 で の 自家 用 車 の 利 用 は実態 と して大 幅 に減 少 した こ と、 ま た個 人 の 交 通 行 動 意 向 と企 業 の 交 通行 動 変 容 の 実 態 か ら、 実 行 可 能 で か つ 効 果 的 な TDM施 策 は 「時 差 出勤 」 お よび 「マ イ カ ー 自粛 」 で あ る こ とが 分 か っ た。 豪 雪 時 に は無 用 な道 路 滞 や路 上 トラ ブ ル等 を回 避す る とい っ た理 由 か ら、 近距 離 で は で きる だ け 自家 用 車利 用 を避 け、 徒 歩 に 切 り替 え る こ とが効 果 的 と考 え られ る。
ま たBCP未 策 定 の 企業 よ りもBCP策 定 済 み の 企 業 の 方 が今 回 の豪 雪 時 に は有 意 にTDM施 策 を推 進 して お り、 また福 井 県 知 事 が 出 した声 明 に対 して も協 力 的 で あ った 。 よ って 今 後BCPの 策 定 率 を 高 め てい くこ と に よ り、豪 雪 時 にお け るTDM施 策 は実 行 しや す くな る と考 え られ る。
さ らに個 人 よ りも企 業 の 方 が酷 い状 況 を許 容 で きる 日数 が 長 い こ とか ら、 大 雪 時 のTDMは 個 人 よ り企 業 の 方 が よ り受 け入 れ られ やす い と考 え られ る 。 また福 井 県 知 事 が 出 した 車 の利 用 自粛 声 明 につ い て は、 両 者 と も に賛 成 が約7割 あ り、 効 果 が期 待 で きる 。
以 上 の こ とか ら、 まず は個 人 レベ ルの 雪 対 応 を優 先 させ る と と もに、 企 業 が 従 業 員 に対 してTDM 施 策 を促 す こ と、 さ らに行 政が 自動 車 利 用 の 自粛 を要 請す る こ とが 有 効 とい え る。
謝 辞
本 研 究 は 、福 井 大 学2018年 度 地域 環 境 研 究教 育 セ ン タ ー研 究 支 援 を頂 い て 実施 した もの で す 。 こ こ に記 して感 謝 申 し上 げ ます 。
参 考 文 献
1)川 本 義 海 、 梅 林 翼 、2019、 大 雪 時 に お け る個 人 ・企 業 か らみ た 交 通 需 要 マ ネ ジ メ ン ト、 土 木 学 会 年 次 学 術 講 演 会 概 要 集 、74、4、1V136
2)川 本 義 海 、2019、 平 成30年 大 雪 時 に お け る 通 勤 手 段 と 通 勤 時 間 、 雪 氷 研 究 大 会2019・ 山 形 、 B4‑9
3)福 井 商 工 会 議 所 、2018、 豪 雪 の 影 響 に 関 す る 調 査(確 定 版)結 果 要 旨