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青 年 期 ・成 人 期 の発 達 課 題 に関す る考 察

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(1)

青 年 期 ・成 人 期 の発 達 課 題 に関す る考 察

就職及 び結婚 に関す る人学生 の意識

向 後 礼 子*・ 豊 川 輝**・ 神 谷 直 樹***

1.は じ め に

大 学 時 代 は発 達 段 階 で いえ ば青 年 期 に位 置 づ け られ る。 も っ と も青 年 期 と い う時 期 が 発 達 段 階 に位 置 づ け られ る こ と にな っ た 当初 は、 概 ね 、 高 等 学 校 卒 業 時 まで を そ の 対 象 年 齢 と して い た。 青 年 期 と は来 るべ き成 人 期 に向 けて 準 備 を す る段 階 と考 え られ て いた が 、 当 時 は高 等 学 校 を卒 業 した段 階 で 職 業 人 生 を始 め る こ とが 多 か っ たか らで あ る。

これ は、 発 達 課 題 論 の 提 唱 者 と して 知 られ るハ ヴ ィ ガー ス トが あ げた 青 年 期 の 課 題 を み る と

よ くわ か る 。 ハ ヴ ィ ガ ー ス トの 青 年 期 の 課 題 は 学 校 時 代 を 終 え 、 一一人 前 の"お と な"と して 社

会 に 出て い く時 期 に達 成 す る こ とが 求 め られ る課 題 で あ り、 成 人 性 の 獲 得 につ な が る課 題 で あ

る 。 こ の こ と は 、 次 の 成 人 前 期 の 課 題 と 比 較 して み る と 明 らか で あ る(表1)。

表1ハ ヴ ィ ガー ス トに よ る青 年 期 ・成 人 前 期 の 発 達 課 題(1972)

青年期の課題成人前期の課題

① 同 世 代 の 男 女 の 友 人 と新 しい、 成 熟 した 人 間 関 係 を 結 ぶ

② 男 性 あ る い は女 性 と して の 社 会 的 役 割 を 身 につ け る

③ 自分 の 身 体 的 変 化 を 受 け入 れ 、 身 体 を 有 効 に使 う

④ 両 親 や 他 の 大 人 か ら情 緒 的 に独 立 す る

⑤ 結 婚 と家 庭 生 活 の 準 備 を す る

⑥ 職 業 に就 く準 備 を す る

⑦ 行 動 の 指 針 と して の 価 値 観 や 倫 理 体 系 を 身 につ け る

⑧ 社 会 人 と して 責 任 あ る行 動 を と る

① 配 偶 者 を 選 ぶ

② 結 婚 した 相 手 と一 緒 に生 活 して い くこ とを 学 ぶ

⑧ 家 庭 を形 成 す る

④ 子 ど もを 育 て る

⑤ 家 庭 を管 理 す る

⑥ 職 業 生 活 を ス ター トさせ る

⑦ 市 民 と して の 責 任 を 引 き受 け る

⑧ 気 の あ う社 交 の グル ー プ を見 つ けだ す

出典:児 玉 憲 典 ・飯 塚 裕 子 訳(1997)『 ハ ヴ ィガ ー ス トの 発 達 課 題 と教 育 」 川 島 書 店

*近 畿大学教職教育部講師

** Pacific Lutheran University

***立 教 大 学

(2)

と こ ろで 、 現 在 で は どの く らいの 若 者 が 大 学 生 で あ る こ とを 選 択 す るの だ ろ うか 。 平 成22年 度 の学 校 基 本 調 査 に よ れ ば 、 高 等 学 校(全 日制 課 程 ・定 時 制 課 程)の 卒 業 者 う ち、54.3%が 大 学 等 へ 進 学 し、 い まや2人 に1人 以 上 が 大 学 生 を 経 験 す るの で あ る。 した が って 、 多 くの 若 者 に と って 青 年 期 はか つ て よ りも延 長 され て い る と いえ る。 さ らに、 大 学 を 卒 業 した と して も必 ず しも職 に就 く(就 け る)と い うわ けで もな い。 厳 しい雇 用 情 勢 等 を 背 景 に就 職 を 先 送 り して 大 学 院 に進 学 した り、 フ リー タ ーを 選 択 す る、 あ る い は、 選 択 せ ざ るを 得 な い若 者 が 増 え るな ど、青 年 期 ・成人 期 の課 題 との 対応 が 曖 昧 にな り、移 行 の境 目が は っき り と しな い現 状 に あ る。

ま た、 こ う した現 実 は、 青 年 期 に達 成 す べ き課 題 を先 送 りす る と い う結 果 を もた らす 可 能 性 が 高 い。

結 婚 に関 して も、 国 勢 調 査 に よれ ば2005年 時 点 で 、 男 性 の 約6人 に1人 、 女 性 の 約14人 に1 人 は、1度 も結 婚 をす る こ とな く50歳 を迎 え て い る。 この よ うな 時 代 に あ って 、 大 学 生 は"お と な"に な る こ とを どの よ う に捉 え て い るの か 、 ま た、 将 来 の 自分 につ いて どの よ うな 像 を 描 いて るの か 、2つ の 調 査 結 果 に基 づ いて 考 察 した い。

2.大 学 生 が 考 え る"お と な"と は:「 進 路 並 び に 成 人 性 に 関 す る 調 査 」 の 結 果 か ら (1)調 査 の 概 要

首 都 圏 の 大 学 生1年 生279名(平 均 年 齢18.9歳 ±1.01男 性200名 ・女 性79名)を 対 象 に 行 っ た 調 査 で は 、 ① 「成 人(お と な)」 と考 え る 年 齢 、 ② 「成 人(お と な)」 と み な さ れ る た め に 必 要 と さ れ る 課 題 に つ い て 尋 ね た 。

な お 、 ② の 調 査 項 目 に 関 して は 、Arnett(1997;2003)が 成 人 性 の 概 念 を 検 討 す る た め に 構 成 し た36項 目 の う ち 、 年 齢 を 直 接 的 に 尋 ね る 項 目 を 除 い た32項 目 を 用 い た(表2)。 ま た 、 課 題 の 必 要 度 に 関 して は 、 「1.全 く必 要 な い 」 〜 「5.絶 対 必 要 で あ る 」 の5段 階 で 評 価 を 求 め た 。

(2)結 果

1)成 人(お と な)と 考 え る 年 齢 に つ い て

279名 中 、 年 齢 の 指 定 が な か っ た24名 を 除 く255名 の 平 均 は21.8±3.15歳 で あ っ た 。 そ の 内 訳 に つ い て み る と 最 も 多 い 回 答 は 、 法 律 に お い て 成 年 に 達 す る20歳 で あ っ た(表3網 掛 け 部 分)。

た だ し、 高 校 卒 業(18歳)、 大 学 卒 業 も し く は 大 学 院(修 士 課 程)修 了 の 年 齢 で あ る22歳 〜25 歳 に も 一 定 の 回 答 が み られ た 。 ま た 、26歳 以 降 の 回 答 は 減 少 す る が 、30歳 よ り上 の 年 齢 を 記 入

(3)

表2調 査 票 で 用 い た 課 題(1) 1 親 か ら経 済 的 に 自立 して い る

2 親 と同 居 して い な い

3 (高等 学 校 の)教 育 を 終 了 して い る ⑧ で は、()内 は 表 記 して い な い 4 結 婚 して い る

5 少 な くと も子 ど もが 一 人 い る 6 長 期 の 仕 事 に落 ち着 い て い る 7 正 規 雇 用 の 仕 事 に就 い て い る 8 自分 の 家 を 購 入 す る

9 親 や 他 人 の 影 響 を 受 けず に 自分 の 信 念 や 価 値 を 決 め られ る 10 親 と対 等 の 大 人 と して の 関 係 を 結 ぶ

11 自 分 の 感 情 を い つ も う ま く コ ン ト ロ ー ル で き る 12 情 緒 的 に親 に依 存 しな い

13 長 期 的 な 恋 愛 関 係 を 続 けて い る 14 過 度 にお 酒 に酔 わ な い

15 二 人 以 上 の 相 手 と同 時 に 性 的 関 係 を もた な い 16 車 の 制 限 速 度 を 守 って 運 転 す る

17 飲 酒 運 転 を しな い

18 万 引 きや 器 物 破 損 とい った 小 規 模 な 犯 罪 を 犯 す こ とを 避 け る 19 卑 俗 な/下 品 な 言 葉 遣 い を しな い

20 性 交 渉 を もつ と き に は避 妊 具 を 用 い 、 妊 娠 し(さ せ)な い よ うに 努 め る 21 子 ど もを 産 む こ とが で き る よ う にな る(女 性)

22 子 ど もを つ くる こ とが で き る よ う にな る(男 性) 23 身 長 が 十 分 伸 び き る

24 性 的 関 係 を もつ よ う にな る 25 運 転 免 許 証 を 取 得 して い る 26 選 挙 権 を 得 て い る

27 自分 の 行 為 の 結 果 に対 して 責 任 を もつ 28 生 涯 つ き合 え る と思 え る友 人 を 得 る 29 家 族 を 経 済 的 に支 え る こ とが で き る(男 性) 30 家 族 を 経 済 的 に支 え る こ とが で き る(女 性) 31 自分 の 子 ど もの 世 話 を す る こ とが で き る(男 性) 32 自分 の 子 ど もの 世 話 を す る こ とが で き る(女 性) 33 世 帯 を もつ こ とが で き る(男 性)

34 世 帯 を もつ こ とが で き る(女 性)

表3「 成 人(=お とな)」 と考 え る年 齢

年 齢

人 数(%)

年 齢

人 数(%)

年 齢

人 数(%)

17歳 以 下

7(2.5%)

22歳

18(6.5%)

27歳

1(0.4%)

18歳 22(7.9%) 23歳

27(9.7%)

28歳

2(0.7%)

19歳

7(2.5%)

24歳

15(5.4%)

30歳

14(5.0%)

20歳

103(36.9%)

25歳

33(11.8%) 年齢指定 な し 24(8.6%)

21歳

2(0.7%)

26歳

4(1.4%)

(4)

した者 は お らず 、 年 齢 の 期 限 はな い と回 答 した者 を 除 くと少 な くと も31歳 以 上 につ いて は成 人 (お とな)と 考 え て い る こ とが分 か る。

2)課 題 達 成 の 必 要 度

34項 目 に 関 して 、 「人 が 一 般 的 に 成 人(お と な)」 と見 な さ れ る た め に は 、 各 項 目 が そ れ ぞ れ 、 ど の 程 度 達 成 さ れ て い る必 要 が あ る と 思 う か 」 に つ い て5段 階 で 尋 ね た 結 果 に つ い て 図1に 示 す 。 図1か ら分 か る よ う に 、平 均3.0以 下 の 評 価 と な っ た 項 目 は34項 目 中14項 目 あ り、 特 に 結 婚 や 子 ど も を 持 つ こ と に 関 す る 評 価 は 、2.0以 下 と低 か っ た(「 少 な く と も子 ど もが 一 人 い る:1.8±

1.05」 「結 婚 し て い る:2.0±1.11」)。 そ の 一 方 で 、 「自分 の 子 ど も の 世 話 が で き る こ と 」 に 関 す る 評 価 は 、 男 性 ・女 性 を 問 わ ず4.0を 越 え て お り、 高 い 評 価 と な っ た(男 性:4.2±0.96/女 性:

4.3±0.93)。 し た が っ て 、 結 婚 し、 子 ど も を 持 つ か ど う か は 、 成 人(お と な)で あ る こ と の 要 件 で は な い が 、 子 ど も を 持 つ の で あ れ ば 、 そ の 世 話 が で き な くて は な ら な い と 考 え て い る こ と が 分 か る 。

一 方、 評 価 点 が4.0を 上 回 り、 達 成 の 必 要 度 が 高 い と 評 価 さ れ た 項 目 は 、 上 記 の 子 育 て に 関 す

る2項 目 以 外 に4項 目 あ っ た 。 そ の う ち 、 「自分 の 行 為 の 結 果 に 対 し て 責 任 を もつ:4.6±0.73」

「万 引 き や 器 物 破 損 と い っ た 小 規 模 な 犯 罪 を 犯 す こ と を 避 け る:4.4±0.95」 の2項 目 は 、 ハ ヴ ィ ガ ー ス トの 青 年 期 の 課 題 で あ る 「⑦ 行 動 の 指 針 と し て の 価 値 観 や 倫 理 体 系 を 身 に つ け る 」

「⑧ 社 会 人 と し て 責 任 あ る 行 動 を と る 」 と 関 連 の あ る 項 目 と い え る 。

他 の2項 目 は 「親 か ら経 済 的 に 自 立 して い る:4.3±0.81」 並 び に 「家 族 を 経 済 的 に 支 え る こ と が で き る(男 性):4.1±1.04」 で あ り、 「職 業 に 就 く準 備 」 を して 「職 業 生 活 を ス タ ー トさ せ る 」 と い う 青 年 期 か ら成 人 期 へ の 移 行 の 課 題 の 達 成 と い え る 。

しか し な が ら、 経 済 的 な 自 立 と 関 連 が 深 い と 考 え られ る 「正 規 雇 用 の 仕 事 に 就 い て い る(以 下 、 正 規 雇 用 の 仕 事)」 「長 期 の 仕 事 に 落 ち 着 い て い る(以 下 、 長 期 の 仕 事)」 の 評 価 は い ず れ

も高 い と は い え な い 。 そ こ で 、 「親 か ら経 済 的 に 自立 し て い る(以 下 、 経 済 的 自立)」 と 「正 規 雇 用 の 仕 事 」 「長 期 の 仕 事 」 の 回 答 傾 向 に 関 し て κ2検 定 に よ る 分 析 を 行 っ た 。

そ の 結 果 、 「経 済 的 自 立 」 と 「正 規 雇 用 の 仕 事 」 で は1%水 準(κ2=41.68,df=16,p<.01) で 、 「長 期 の 仕 事 」 で は5%水 準(κ2=31.12,df=16,p<.05)で 有 意 差 が 認 め ら れ た 。

ま た 、 残 差 分 析 の 結 果 、 「経 済 的 自 立 」 と 「正 規 雇 用 の 仕 事 」 で は 、 同 じ 値 を 回 答 す る 傾 向 が 強 い こ と が 示 唆 さ れ た 。 す な わ ち 、 「経 済 的 自 立 」 の 重 要 度 を ど う 考 え る か と 「正 規 雇 用 の

(5)

少な くとも子 どもが 一人 いる 結 婚している 自分 の 家を購入す る 身 長 が十 分伸 びきる 長期 的な 恋愛 関係 を続 けている 運 転 免許 証を取 得している (高等 学校 の)教 育を終 了している 性 的 関係をもつようになる 親 と同居 していない 過 度に お酒 に酔 わない 車 の制 限速 度 を守 って運転す る 子 どもを産む ことができるようになる(女性) 二 人以 上の 相 手 と同時 に性 的関係 をもたない 子 どもをつくることができるようになる(男性) 正規 雇 用の 仕 事に就 いている 世 帯 をもつ ことができる(女性) 世 帯 をもつ ことができる(男性) 選 挙 権を得ている 長期 の 仕事 に落 ち着 いている 親 と対等 の 大 人としての 関 係を結 ぶ 卑 俗 な/下 品な言葉 遣いをしない 家族 を経 済 的 に支えることができる(女性) 性 交 渉をもつ ときには 避妊具 を用 いる

生 涯 つき合 えると思 える友 人を得 る 自分 の感 情をい つもうまくコントロー ルできる 情 緒 的に親 に依 存しな い 自分 の信 念 や価 値を決め られ る

飲 酒運 転をしな い 家族 を経 済 的 に支えることができる(男性) 自分 の子 どもの世 話をすることができる(男性) 親 から経 済 的に 自立 している 自分 の子 どもの世 話をすることができる(女性) 万引 き等 の小 規模 な犯 罪を犯す ことを避 ける 自分 の行 為 の結 果 に対して責任 をもつ

図1課 題 達 成 の 必 要 度

(6)

仕 事 」 の重 要 度 を どの よ うに考 え るか に は一 致 した 傾 向 が あ る とい え よ う。 また 、 「 長 期 の 仕 事 」 に関 して は 「全 く必 要 な い」 も し くは 「 絶 対 必 要 で あ る」 と回 答 した者 は 「経 済 的 自立 」 で も 同様 の 傾 向が あ る こ とが 示 唆 され た。(表4)。

表4経 済的 自立 と正規雇用 ・長期の仕事の回答傾向 正 規 雇 用

1 2 3 4 5

合計

経 済 的 自 立

1

度 数

2 0 0 0 0 2

% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%

調整済み残差

3.8** 一 〇.4 一 〇.9 一1 .1 ,6

2

度 数

1 1 0 3 0 5

% 20.0% 20.0% 0.0% 60.0% 0.0% 100.0%

調整済み残差

0.5 0.9 一1 .4 1.1 ,9

3

度 数

3 3 18 10 3 37

% 8.1% 8.1% 48.6% 27.0% 8.1% 100.0%

調整済み残差

一 〇.8 一 〇.2 2.9** 一1 .2 一1 ,2

4

度 数

15 9 29 47 7 107

% 14.0% 8.4% 27.1% 43.9% 6.5% 100.0%

調整済み残差

0.7 一 〇.3 一 〇.5 2.2* 一2 .9**

5

度 数

13 12 33 40 30 128

% 10.2% 9.4% 25.8% 31.3% 23.4% 100.0%

調整済み残差

一1 .0 0.2 一1 .0 一1 .5 4.0**

合 計 度 数

34 25 80 100 40 279

% 12.2% 9.0% 28.7% 35.8% 14.3% 100.0%

長 期 の 仕 事

合 計

1 2 3 4 5

経 済 的 自 立

1

度 数

2 0 0 .0 0 2

% 100.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%

調整済み残差

3.9** 一 〇.5 一 〇.8 一1 .1 。7

2

度 数

1 1 0 3 0 5

% 20.0% 20.0% 0.0% 60.0% 0.0% 100.0%

調整済み残差

0.6 0.7 一1 .2 1.0 一1 。1

3

度 数

2 6 12 11 4 35

% 5.7% 17.1% 34.3% 31.4% 11.4% 100.0%

調整済み残差

一1 .2 1.5 1.8 .8 一1 。1

4

度 数

14 10 24 43 14 105

% 13.3% 9.5% 22.9% 41.0% 13.3% 100.0%

調整済み残差

0.7 一 〇.3 0.2 0.8 一1 。6

5

度 数

13 11 25 47 32 128

% 10.2% 8.6% 19.5% 36.7% 25.0% 100.0%

調整済み残差

一 〇.7 一 〇.8 一1 .0 .4 2.7**

合 計 度 数

32 28 61 104 50 275

% 11.6% 10.2% 22.2% 37.8% 18.2% 100.0%

**1%水 準 で有 意*5%水 準 で 有意

(7)

(3)性 差 に つ い て の 検 討

男 女 の 回 答 傾 向 の 違 い に つ い て 、 お と な と み な さ れ る 年 齢 及 び 各 課 題 の 必 要 性 に 関 し て 、 κ2 検 定 に よ る 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 年 齢 に 関 して は 、 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 一 方 、 必 要 性 に 関 して は 、 性 差 を あ らか じ め 見 込 ん だ8課 題 を 除 く26課 題 中6課 題 に お い て 有 意 差 が 認 め られ た 。

1%水 準 で 有 意 差 が 認 め ら れ た の は4課 題 で あ っ た 。 こ の う ち 、 「車 の 制 限 速 度 を 守 っ て 運 転 す る(κ2=13.93,df=4,p<.01))」 「性 交 渉 を も つ と き に は 避 妊 具 を 用 い 、 妊 娠 し(さ せ) な い よ う に 努 め る(κ2‑21.14,df‑4,p<.01)」 「自 分 の 行 為 の 結 果 に 対 して 責 任 を も つ(κ2

=14 .20,df=4,p〈.01)」 に 関 して は 、女 性 の 方 が そ の 必 要 性 が 高 く評 価 さ れ て い た 。 一 方 、 「運 転 免 許 証 を 取 得 して い る(κ2=15.49,df=4,p<.01)」 に 関 し て は 、男 性 の 評 価 が 高 か っ た 。 こ う し た 結 果 か ら は 、 お と な と み な さ れ る た め に 必 要 な 要 件 と して 、 女 性 の 方 が 社 会 的 な 規 範 を 守 る こ と や 行 為 の 結 果 に 責 任 を 持 つ こ と を よ り強 く意 識 して い る と い え よ う 。

ま た 、5%水 準 で 有 意 差 が 認 め ら れ た の は 、 「親 と 同 居 して い な い(κ2=10.54,df=4,p〈

.05))」、 「少 な く と も子 ど も が 一 人 い る(κ2‑10.54,df‑4,p<.05)」 の2課 題 で あ っ た 。 い ず れ に 関 して も女 性 の 方 が 、 よ り必 要 性 が 低 い と 評 価 さ れ て い た 。

上 記 の よ う に 一 部 に 回 答 傾 向 の 違 い が 認 め られ た も の の 、26課 題 中18課 題 に つ い て は 有 意 差 は 認 め られ ず 、 結 婚 や 職 に 就 く こ と 、 経 済 的 自 立 な ど に 関 す る 性 差 は 少 な い と 考 え ら れ る 。

2.青 年 期 ・成 人 期 の 課 題 の 達 成 可 能 性:「 成 人 性 並 び に 将 来 展 望 に 関 す る 調 査 」 の 結 果 か ら

(1)調 査 の 概 要

お と な に な る こ と(成 人 期 へ の 移 行)の た め に は、 達 成 した い と考 え る課 題 を どの 程 度 、 達 成 可 能 と考 え て い るか 、 ま た、 その 課 題 の 達 成 に関 して 、 どの 程 度 、 自分 の コ ン トロー ル 下 に あ る と考 え て い るか 、 な ど と関 連 が 深 い と考 え られ る。

そ こで 、 首 都 圏 の 大 学 生137名(平 均 年 齢20.4歳 ±1.12男 性67名 ・女 性68名 、 不 明2名)を 対 象 に調 査 を 行 っ た。 調 査 で は、 ① 将 来 の課 題 ・目標 と して の重 要 度(「1.全 く重 要 で な い」

〜 「5 .非 常 に重 要 で あ る」 の5段 階 評 価)、 ② 課 題 の 達 成 ・実 現 可 能 性(確 率 を%で 記 入)、

③ 課 題 の 達 成 ・実 現 に関 して どの 程 度 、 自分 の コ ン トロ ール(自 分 の 努 力 や 能 力)下 に あ るか

(「1.全 く 自分 の コ ン トロー ル下 に な い」 〜 「5.全 く自分 の コ ン トロー ル 下 に あ る」 の5段 階

(8)

評 価)、 ④ 課 題 が 達 成 さ れ る と考 え ら れ る 年 齢 に つ い て 尋 ね た 。

調 査 項 目 は 、 調 査(そ の1)と 共 通 す る10項 目 とEstherS.Chang.et.al(2006)の 論 文 等 を 参 考 に 加 え た5項 目 の15項 目 か ら構 成 さ れ た(表5)。

表5調 査 票 で 用 い た 課 題(2) 1

大学を卒業す る

2 正 規 雇 用 の 仕 事 に就 く 3 恋 愛 関 係 を 維 持 、 発 展 させ る 4 経 済 的 に 自立 す る

5 結 婚 す る

6 自分 の 行 為 の 結 果 に責 任 を もつ 7 子 ど もを もつ

8 親 か ら情 緒 的 に独 立 す る

9 他 人 の 影 響 を 受 けず に、 自分 の 信 念 や 価 値 を 決 め られ る 10 自 分 の 感 情 を う ま く コ ン ト ロ ー ル す る

11 人 間 と して 成 長 す る 12 趣 味 を 楽 しむ

13 親 の 家 か ら 出 て 、 自 分 の ア パ ー ト ・家 に 住 む 14 自分 の 親 を 経 済 的 に支 援 す る

15 自分 に と って 天 職 を 見 つ け る

(2)結 果

1)課 題 の 重 要 度 と達 成 可 能 性 に つ い て

15課 題 に関 して 、 各 課 題 の 重 要 度 と その 課 題 が 達 成 可 能 で あ る と考 え る確 率(以 下 、 達 成 可 能 性)に つ いて 表6に 示 した(課 題 は重 要 度 の 高 い順 に並 べ 替 え た)。

度 数 が6以 上 の 項 目 につ いて み る と、 いず れ も重 要 度 が 高 い と回 答 した 者 ほ ど、 そ の 達 成 可 能 性 の 確 率 を高 く見 積 も って い る こ とが わ か る。 ま た、 各 課 題 につ いて は調 査 に よ って 質 問 の 仕 方(「 必 要 か」 「 重 要 か 」)が 異 な る た め、 直 接 的 な比 較 は で き な い が、 「 進 路 並 び に成 人 性 に 関 す る調 査 」 に お け る 回答 に お い て 「 必 要 度 」 が高 か った 「 経 済 的 に 自立 す る」 「自分 の 行 為 の 結 果 に責 任 を持 つ」 に 関 して は、 重 要 度 は高 く、 一 方 、 「 必 要 度 」 の低 か っ た 「 結 婚 す る」

「 子 ど もを もつ」 に 関 して は、 重 要 度 は低 く評 価 され て い た。

な お、最 も達 成 可 能 性 が高 い と見 積 も られ て い た の は、 「 大 学 を卒 業 す る(91.6%)」 で あ り、

最 も低 く見 積 も られ て い た の は 「 天 職 を 見 つ け る(58.4%)」 で あ った 。 ま た、 「 経 済 的 に 自立

す る(81.5%)」 「 正 規 の仕 事 に就 く(81.2%)」 に 関 して は 、 い ず れ も約8割 で あ った。

(9)

表6各 課 題 の 重 要 度 と課 題 が 達 成 可 能 で あ る と考 え る確 率 上 段:重 要 度

下 段:達 成 可 能 性

1 (%)

2 (%)

3 (%)

4 (%)

5 (%)

平 均 (%)

経 済 的 に 自立 す る 0

0.0%

0 0.0%

3 46.7%

22 72.5%

112 84.2%

4.8 81.5%

人 間 と して 成 長 す る 1

5.0%

0 0.0%

5 42.0%

28 71.4%

103 81.2%

4.7 77.2%

自分 の 行 為 の 結 果 に責 任 を もつ 0

0.0%

1 60.0%

4 62.5%

37 72.2%

95 83.0%

4.6 79.3%

大学を卒業す る

50.0%1 100.0%1 76.7%9 84.0%25 95.2%101 91.6%4.6

自 分 の 感 情 を う ま く コ ン ト ロ ー ル す る 0

0.0%

1 70.0%

5 62.0%

55 71.2%

76 74.9%

4.5 72.9%

正 規 雇 用 の 仕 事 に就 く 2

50.0%

1 50.0%

11 64.5%

37 75.4%

86 87.0%

4.5 81.2%

親 か ら情 緒 的 に独 立 す る 2

60.0%

4 61.3%

15 57.3%

37 72.8%

79 84.2%

4.4 77.2%

他 人 の 影 響 を 受 けず に、 自分 の 信 念 や 価 値 を 決 め られ る

0 0.0%

2 30.0%

12 59.2%

61 68.5%

61 75.1%

4.3 70.1%

趣 味 を 楽 しむ 0

0.0%

3 60.0%

22 56.6%

43 74.3%

69 88.1%

4.3 78.1%

自分 に と って 天 職 を 見 つ け る 2

6.5%

4 20.0%

27 43.0%

43 62.6%

61 66.5%

4.1 58.4%

自分 の 親 を 経 済 的 に支 援 す る 3

29.3%

7 25.0%

34 52.4%

47 66.5%

46 78.4%

3.9 64.1%

親 の 家 か ら 出 て 、 自 分 の ア パ ー ト ・家 に 住 む 5 66.0%

10 52.5%

32 67.2%

42 78.0%

48 91.2%

3.9 77.8%

結 婚 す る 12

18.8%

5 44.0%

33 53.0%

38 71.6%

49 80.6%

3.8 64.7%

子 ど もを もつ 7

21.6%

12 35.0%

32 50.2%

40 68.0%

45 82.2%

3.8 63.2%

恋 愛 関 係 を 維 持 、 発 展 させ る 8

10.9%

16 27.9%

36 54.0%

37 67.2%

39 83.8%

3.6 60.6%

2)課 題 達 成 の 見 積 も り

各 課 題 が 達 成 され る と考 え る年 齢 と その 課 題 の 達 成 ・実 現 に関 して どの 程 度 、 自分 の コ ン ト ロ ール(自 分 の 努 力 や 能 力)下 に あ るか 、 ま た、 どの く らいの 確 率 で 達 成 され る と考 え るか に つ いて 表7に 示 した(課 題 は達 成 年 齢 順 に並 べ 替 え た)。

結 果 か らは、大 学生 が描 く将 来 の イ メー ジが読 み取 れ る。 具体 的 に は、「22〜23歳 で 大 学 を 卒

業 し、 独 り暮 ら しを 始 め、 正 規 雇 用 の 仕 事 に就 く。 同時 に 自分 の 行 為 の 結 果 につ いて も責 任 を

もて る よ う にな る。 人 間 関 係 の 面 で は、 恋 愛 関 係 を 維 持 、 発 展 させ 、 精 神 面 で は、 親 か らの 情

緒 的 な独 立 を果 た し、 自分 の 感 情 が う ま くコ ン トロ ール で き る よ う にな り、 自分 の 信 念 や 価 値

観 を他 者 の 影 響 を受 け る こ とな く決 め られ る よ う にな る。 その 後 、25歳 の 時 点 で は、 経 済 的 な

(10)

独 立 を 果 た し、 趣 味 を 楽 しむ よ う に な る 。28歳 く ら い で 結 婚 し、 子 ど も を も う け る 。 そ の 頃 に は 人 間 的 な 成 長 が 果 た さ れ て お り、30歳 手 前 で は 、 天 職 に 出 会 う 。 そ して 、30歳 を 越 え る 頃 に は 、 親 を 経 済 的 に 支 え る と い う 役 目 を 担 う よ う に な る 』 と い う も の で あ る 。

こ う し た 並 び に 順 に 関 して は 、 ハ ヴ ィ ガ ー ス トが 挙 げ た 青 年 期 ・成 人 期 の 課 題 と 大 き な 齪 齪 は 認 め られ な い 。 しか しな が ら、 達 成 年 齢 に 対 して 、 そ の 時 期 の 課 題 が 自 分 の コ ン トロ ー ル 下 に あ る と 考 え て い る か に 注 目 して み る と 、 正 規 雇 用 の 仕 事 に 就 く こ と や 、 恋 愛 、 結 婚 、 子 ど も を 持 つ こ と な ど に 関 して は 、 い ず れ も4.0以 下 で あ り、 他 の 課 題 よ り低 い 。 確 か に 、 こ れ ら の 課 題 を 達 成 す る た あ に は"相 手(企 業 ・恋 人 な ど)"か ら の 合 意 が 必 要 で あ る こ と を 考 え れ ば 、 妥 当 な 結 論 と い え る か も しれ な い 。 た だ し、 正 規 雇 用 の 仕 事 に 就 く こ と に 関 して は 、 他 の 課 題 よ り も 達 成 の 確 率 が 高 く評 価 さ れ て い た 。

表7課 題 の 達 成 年 齢 ・コ ン トロー ル に関 す る評 価 ・達 成 の 確 率

達成年齢

コ ン ト ロ ー ル

達成の確率

平均

SD

平均

SD

平均

SD

大学を卒業す る

22.5 0.81 4.5 0.77 91.6 6.80

親 の 家 か ら出 て 、 自分 の アパ ー ト ・家 に住 む 22.8 3.38 3.9 1.15 77.8 14.98

正 規 雇 用 の 仕 事 に就 く 23.3 2.03 3.9 0.97 81.2 14.17

自分 の 行 為 の 結 果 に責 任 を もつ 23.4 3.54 4.3 0.76 79.3 20.07 恋 愛 関 係 を 維 持 、 発 展 させ る 23.6 3.65 3.4 1.09 60.6 18.97

親 か ら情 緒 的 に独 立 す る 23.8 4.08 4.1 0.94 77.2 18.61

自 分 の 感 情 を う ま く コ ン ト ロ ー ル す る 24.0 5.88 4.2 0.96 72.9 20.14

他 人 の 影 響 を 受 けず に 、 自分 の 信 念 や 価 値 を 決 め られ る 24.5 6.51 4.0 0.98 70.1 20.98

経 済 的 に 自立 す る 25.4 6.22 4.0 0.95 81.5 17.64

趣 味 を 楽 しむ 26.2 11.15 4.4 0.84 78.1 15.76

結 婚 す る 28.1 6.53 3.2 1.15 64.7 20.33

子 ど もを もつ 28.8 2.48 3.2 1.22 63.2 18.51

人 間 と して 成 長 す る 28.9 11.04 4.2 0.95 77.2 16.82

自分 に と って 天 職 を 見 つ け る 28.9 7.51 3.3 1.22 58.4 26.02 自分 の 親 を 経 済 的 に支 援 す る 31.0 6.87 3.7 1.09 64.1 22.29

3)性 差 に つ い て の 検 討

男 女 の 回 答 傾 向 の 違 い に つ い て 、 重 要 度 、 コ ン ト ロ ー ル に 関 し て は κ2検 定 で 、 達 成 可 能 性 に 関 し て は 、t検 定 で 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 有 意 差 が 認 め ら れ た の は 、 重 要 度 、 コ ン トロ ー ル 、 達 成 可 能 性 の い ず れ に お い て も 「大 学 を 卒 業 す る 」 の1課 題 の み で あ っ た(重 要 度(κ2=18.05,

(11)

df=4,p<.01)/コ ン トロ ー ル(κ2=14.67,df=4,p<.01)/達 成 可 能 性(t=‑2.129,df=133,

p<.05))。 具 体 的 に は 女 性 は 男 性 に 比 べ て 大 学 を 卒 業 す る こ と を 、 よ り 重 要 で あ り 、 達 成 可 能 性 が 高 く、 コ ン トロ ー ル 可 能 で あ る と 回 答 して い た 。

3.総 合 考 察

調 査 の 結 果 、 現 代 の 大 学 生 に あ って も、 その 描 か れ る将 来 像 か らはハ ヴ ィガ ー ス トが 挙 げた 青 年 期 ・成 人 期 の 発 達 課 題 が 見 て とれ た。 しか しな が ら、 一一 方 で 、 そ う した 課 題 の 達 成 を 妨 げ る社 会 の 現 実 が あ る。 以 下 で は、 調 査 結 果 と社 会 状 況 に関 す る統 計 を 比 較 し、 青 年 期 ・成 人 期 の 発 達 課 題 につ いて 考 察 した い。

1)経 済 的 自立 と職 業 に就 くこ と

2つ の 調 査 の結 果 か ら、 「 経 済 的 自立 」 は、 お とな と み な され る た め に必 要 な 課 題 で あ り、

ま た、 将 来 、 達 成 した い課 題 と して も重 要 で あ る と考 え られ て い る こ とが 示 唆 され た 。 しか しな が ら、 経 済 的 な 自立 を どの よ う に達 成 す るか と関 連 が 深 い 「 正 規 雇 用 の 仕 事 」 に関 して は、 必 要 性 、 重 要 度 共 に 「 経 済 的 自立 」 よ りも低 く評 価 され て いた 。 また 、 「 経 済 的 自立 」

「 正 規 雇 用 の仕 事 」 共 に将 来 的 な達 成 可 能 性 は約80%と 評 価 され て い た。

現 在 の 大 学 生 の 卒 業 後 の 進 路 につ いて み る と 「 一 時 的 な 仕 事 に就 いた 者(臨 時 的 な 収 入 を 目

的 とす る仕 事 に就 い た者:ア ル バ イ ト ・パ ー トな ど)」 と 「そ の他(家 事 の 手 伝 い な ど就 職 で

も"進 学 者"や"専 修 学 校 ・外 国 の 学 校 等 入 学 者"等 で もな い こ とが 明 らか な 者)」 を合 算 す

る と平 成20年 で12.9%、 平 成21年 で は14.4%と な って い る(表8)。 つ ま り、7〜8人 に1人 は

卒 業 後 の 進 路 が 未 決 定 な ま ま大 学 を 卒 業 して い くの で あ る。 もち ろん 、 こ う した 若 者 の 中 に

は、"希 望 す る進 路 の た め に 次 の 入 学 時 期 や就 職 時 期 ま で と い った 期 間 限 定 の 見 通 しを持 っ

て"、 あ るい は、"自 分 の 夢 の た め に あえ で'一 時 的 な 仕 事 を選 択 した 者 な ど も含 まれ る。 しか

しな が ら、 少 な くな い割 合 で 、 卒 業 後 の 進 路 が 曖 昧 な ま ま社 会 に 出て 行 く若 者 が い る こ と も ま

た、 現 実 で あ る。 加 え て 、 平 成20年 版 青 少 年 白書(内 閣 府)で は、 「 正 規 の 職 員 ・従 業 員 以 外

の 雇 用 者 の比 率 は、 平 成4年 頃 か ら急 増 し、 平 成19年 で は、20〜24歳 で43.2%と,他 の 年 齢 層

に比 較 して 高 い 水 準 に あ る」 こ とが 指 摘 さ れ て い る。 こ う した 時 代 に あ って は 、 「 職 に就 く準

備 」を した と して も、「 職 業 生 活 を ス タ ー トさせ る」 こ とが で き るか ど うか に不 安 は大 き い。 こ

う した社 会 状 況 が 今 回 の 調 査 の 結 果 に お け る達 成 可 能 性 に影 響 して いた と考 え られ る。

(12)

表8大 学卒業後の進路

大 学 計

一 時 的 な仕 事 に就 い た者 そ の他 の者

平 成20年3月 555,690

11,485(2.1%) 59,791(10.8%)

平 成21年3月 559,539

12,991(2.3%) 67,894(12.1%)

短期大学 計

一 時 的 な仕 事 に就 い た者 そ の 他 の者

平 成20年3月 83,900

3,215(3.8%) 8,400(10.0%)

平 成21年3月 78,056

3,450(4.4%) 9,037(11.6%)

単 位:人/()内 は全 卒 業 者 に 占め る割 合

ま た、 雇 用 形 態 別 の 賃 金 を比 較 す る と 「 正 規 の 職 員 ・従 業 員 」 と 「 正 規 の 職 員 ・従 業 員 以 外 の 雇 用 者 」 で は、 年 齢 と共 に賃 金 格 差 が 広 が り、 ま た、 雇 用 の 継 続 が 難 し くな るな ど、 安 定 し た経 済 的 自立 は困 難 とな る可 能 性 が 高 い。 「 経 済 的 自立 」 は、"お とな"と み な され るた め に必 要 な 課 題 で あ り、 ま た、 将 来 、 達 成 した い課 題 と して も重 要 で あ る と考 え られ て い るが 、 経 済 的 自立 が 達 成 され な い状 況 に あ る場 合 、 お とな にな る こ とを どの よ う に考 え れ ば良 いの だ ろ う か 。 こ う した現 実 は、 「 青 年 期 の終 期 は お とな に な った とき」、 つ ま り成 人 期 に移 行 した と き と す る青 年 期 か ら成 人 期 へ の 移 行 の 境 目 を よ り曖 昧 に もの と して い る と考 え られ る。

2)結 婚 と 子 育 て

成 人 期 の 課 題 の う ち 、 家 庭 を つ く る こ と に 関 す る 課 題 は 大 き な 部 分 を 占 め て い る 。 す な わ ち 、 「配 偶 者 を 選 び 、 結 婚 す る こ と」 「子 ど も を も つ こ と 」 な ど で あ る 。 しか しな が ら 、 今 回 の 調 査 に お い て は 、"お と な"と み な さ れ る た め の 必 要 性 も、 ま た 、 将 来 、 達 成 し た い 課 題 と し て の 重 要 度 も 他 の 課 題 と 比 較 して 低 い 評 価 と な っ た 。

結 婚 に 関 し て は 、 国 勢 調 査 か ら算 出 さ れ た 生 涯 未 婚 率 は1970年 以 降 、 急 速 に 上 昇 して お り、

1970年 に は 男 性 で は1.70%だ っ た 生 涯 未 婚 率 は 、 冒 頭 で も述 べ た よ う に2005年 時 点 で は15.96%

と 約6人 に1人 は1度 も 結 婚 を す る こ と な く50歳 を 迎 え て い る(女 性 に 関 して は 、 男 性 よ り も 緩 や か な 上 昇 で あ る が 、約14人 に1人 で あ る:表9)。 ま た 、平 均 初 婚 年 齢 も 一 貫 して 上 昇 して お り、 男 性 に 関 して は 、1990年 度 で す で に30歳 を 越 え て お り、 女 性 に 関 して も30歳 に 近 づ い て い る 。

な お 、 女 性 の 平 均 初 婚 年 齢 が 上 昇 す る と い う こ と は 、 出 生 し た と き の 母 親 の 平 均 年 齢 も 遅 く な る と い う 晩 産 化 の 傾 向 に つ な が る 。 少 子 化 社 会 白 書(2009)に よ れ ば 、 「2007年 の 場 合 、 第

1子 が29.4歳 、 第2子 が31.4歳 、 第3子 が32.9歳 で あ り、 ほ ぼ30年 前 の1975年 と 比 較 す る と 、 そ

(13)

表9生 涯未婚率並び に平均初婚年齢の推移

年次 男 性 女 性

生涯未婚率(%) 平均初婚年齢(歳) 生涯未婚率(%) 平均初婚年齢(歳)

1970 1.70 27.5 3.34 24.7

1975 2.12 27.7 4.32 24.5

1980 2.60 28.7 4.45 25.1

1985 3.89 29.6 4.32 25.8

1990 5.57 30.4 4.33 26.9

1995 8.99 30.7 5.10 27.7

2000 12.57 30.8 5.82 28.6

2005 15.96 31.1 7.25 29.4

れ そ れ3.7歳 、3.4歳 、2.6歳 遅 くな っ て い る」 と報 告 さ れ て い る。

今 回 の 調 査 か ら分 か る よ う に 、 年 齢 的 に は 、 早 け れ ば20歳 で 、 ま た 遅 く と も 「30歳 ま で 」 に は お と な と み な さ れ る と 考 え て い る 現 代 の 大 学 生 に あ っ て 、 男 女 の 初 婚 年 齢 が30歳 前 後 で あ る こ と 、 第1子 を 出 産 す る 母 親 の 平 均 年 齢 が 同 様 に30歳 前 後 で あ る こ と を 考 え る と 、 結 婚 な ら び に 子 ど も を も つ こ と を お と な の 要 件 と しな い こ と は 、 現 実 を 反 映 した 理 解 と い え る の か も しれ な い 。

4.今 後 の 課 題

本 考 察 で は、 職 業 に就 くこ と及 び結 婚 ・子 ど もを 持 つ こ と に焦 点 を あて て 検 討 した 。 しか し なが ら、 こ う した課 題 を 誰 もが 達 成 す る と は限 らな い現 状 に お いて 、"お とな"で あ る こ とは、

よ り精 神 的 な 成 熟 に求 め られ て い くの か も しれ な い。 青 年 期 ・成 人 期 の 発 達 課 題 につ いて 、 今 後 は、 こ う した側 面 か らの 分 析 を 深 め る こ とが 必 要 と いえ よ う。

ま た、 今 回 の 分 析 で は、 性 差 を あ らか じめ見 込 ん だ 課 題 を 除 け ば、 性 差 に関 す る有 意 差 が 認 め られ た課 題 は少 な か っ た。 ただ し、 子 ど も を持 つ こ と に関 して は、 男 性 よ りも女 性 にお いて そ の必 要 性 が 低 く評 価 さ れ て い た。 両 者 に は ラ イ フサ イ ク ル に お け る差 が あ る こ と考 慮 す れ ば、 こ う した点 を含 め、 今 後 、 よ り詳 細 な 分 析 が 必 要 と いえ る。

引 用 ・参 考 文 献

Arnett, J.J. (1997).

and Society, 29,

Young people's conceptions of the transition to adulthood.

3-23.

Youth

(14)

Arnett, J.J., & Galambos, N. L. (Eds.) (2003). Exploring cultural conceptions of the transition to adulthood. San Francisco: Jossey-Bass.

Esther S. Chang, Chuansheng Chen, Ellen Greenberger, David Dooley, & Jutta Heckhausen (2006) What Do They Want in Life?: The Life Goals of a Multi-Ethnic,

Multi-Generational Sample of High School Seniors (2006) Journal of Youth and Adolescence, Vol. 35, No. 3, pp. 321-332.

国 立 社 会 保 障 ・人 口問 題 研 究 所(2008)人 口統 計 資 料 集

児 玉 憲 典 ・飯 塚 裕 子 訳(1997)『 ハ ヴ ィガ ー ス トの発 達 課 題 と教 育 』 川 島書 店 内閣 府(2010)平 成22年 版 子 ど も ・若 者 白書

文 部 科 学 省(2009)学 校 基 本 調 査 文 部 科 学 省(2010)学 校 基 本 調 査 内閣 府(2008)平 成20年 版   青 少 年 白書

厚 生 労 働 省(2010)平 成21年 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査

内閣 府(2009)平 成21年 版   少 子 化 社 会 白書

参照

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