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ジャック・ジェニングズ著、吉良直・大桃敏行・高橋哲訳『アメリカ教育改革のポリティクス―公正を求めた50年の闘い』

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Academic year: 2021

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(1)文献紹介 207. [文献紹介] 比較教育学研究第 59号〔2019年〕 ジャック・ジェニングズ著、吉良直・大桃敏行・高橋哲訳 『アメリカ教育改革のポリティクス―公正を求めた 50 年の闘い』. 吉良 直 (東洋大学). 本書は、1965 年にアメリカで制定さ. などに加えて、連邦政策における司法の. れた「初等中等教育法(ESEA)」の 50 周. 役割についてまとめている。人種統合の. 年 に 合 わ せ て 刊 行 さ れ た Presidents,. ための強制バス通学、教育機関における. Congress, and the Public Schools: The. 男女平等の推進などを題材に三権の攻防. Politics of Education Reform の翻訳である。. や妥協の過程が詳述されている。. その主題は、低所得層の子どもたちの学. 著者は、土台となる地方分権的な制度. 力向上と人種間格差是正による社会的公. と連邦教育政策が二重構造になっていて、. 正の実現を求めた 50 年の闘いであり、. 土台の教育財政や優秀な教員の配置など. 大統領、連邦議会議員が、連邦最高裁判. の不公正を放置しながら、すべての生徒. 決などの影響を受けながら連邦教育政策. のための教育改善はできないと主張する。. を推進してきた過程が、ポリティクス. そして第 IV 部では、著者が真の教育. (政治力学)の視点から詳細にまとめら. 改革に不可欠とする 4 つの要素(生徒、. れている。. 教員、カリキュラム、財政支援)に関す. 著者は、1967 年から 27 年もの間、連. る研究成果のレビューをもとに、連邦政. 邦議会下院の教育労働委員会の専門スタ. 府が政策誘導を通して州や地方の教育改. ッフを務め、教育関連法案の立法過程に. 善を支援する独自の政策提言をまとめて. 携わった後、1995 年に教育政策センタ. いる。最後に憲法改正や立法を通してす. ー(CEP)を 設 立 し て 17 年 間 代 表 を 務. べての子どもに適正な(adequate)教育. めた、著名な教育専門家である。. を提供する方策も提示している。. 本書は 4 部構成で、第 I 部では、民主. 原著は 2015 年 3 月刊行だが、邦訳のた. 党リベラル派が推進した ESEA の制定背. めに著者に執筆してもらったエピローグの. 景とその変遷、貧困層の子どもへの財政. お陰で、同年 12 月制定の ESEA 再改定法. 支援を中心とするタイトル ( I 第 1 章)の. の「すべての生徒が成功する法(ESSA)」. 効果を検証している。第 II 部では、1980. や現政権下 17 年までの最新情勢も盛り. 年代後半から推進されてきたスタンダー. 込まれている。すべての子どもに適正な. ドとテストを通して結果責任を問う政策. 教育を保障する方策の模索は、格差が拡. の推進過程と効果を検証している。著者. 大している日本でも重要性を増している. はどちらも成果が限定的だったと結論付. が、その検討過程で本書が一助となれば. けている。第 III 部では、ESEA 以外の障. 幸いである。 (A5判、276頁、5600円+税、. がいのある生徒のための立法による支援. 東京大学出版会、2018 年).

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