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ーのミネラルの吸着の機構解明に関する研究が望まれる。

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(1)

博 士 (地 球環 境 科学 )船 木    稔

学 位 論 文 題 名

北海道産農林水産廃棄物の高度利用に関する研究 学位論文内容の要旨

  日 本 は 景 気 低 迷 が 長 期 に わ た り 、 一 次 産 業 が 中 心 産 業 で あ る 北海 道は さら に深 刻で ある 。 米 、 牛 肉 な ど の 自 由 化 や 関 税 撤 廃 に よ る 安 価 な 農 水 産 物 の 輸 入 が 増 加 し て 、 農 水 産 業 へ の 影 響 は 多 大 で あ る 。 そ の 対 策 と し て 、 競 争 力 強 化 の た め の 制 度 の 改 革 、 効 率 化 、 大 型 化 な ど 多 様 な 施 策 が 講 じ ら れ て い る 。 ま た 、 生 産 者 自 身 も 無 農 薬 、 減 農 薬 農 産 物 の 生 産 に よ る 差 別 化 や 地 産 地 消 の 推 進 、 漁 業 で は 海 洋 環 境 保 全 の た め 河 川 上 流 域 で の 植 裁 や 水 産 資 源 保 護 を 行 う な ど 努 カ を 続 け て い る 。

  北 海 道 は 我 が 国 の 農 林 水 産 物 の 生 産 基 地 で あ り 、 生 産 物 の1次 加 工 に 副 生 す る 廃 棄 物 も 多 岐 に わ た り 、 そ の 量 も 膨 大 で あ る 。 こ の 未 利 用 資 源 の 有 効 利 用 は 新 た な 産 業 の 創 出 に っ な が る ば か り か 、 産 業 廃 棄 物 の 処 理 費 を 節 減 で き 、 製 品 の 製 造 コ ス ト を 下 げ 、 商 品 の 競 争 カ が 高 め ら れ 、 北 海 道 の 産 業 に ( と っ て : 削 除 ) 大 き く 貢 献 で き る も の と 考 え る 。 さ ら に 、 環 境 へ の 負 荷 を 減 ら す 効 果 も 期 待 で き る 。

  本 研 究 で は 養 殖 コ ン ブ か ら 昆 布 を 加 工 す る 際 に 大 量 に 副 生 す る 仮 根 、 ホ タ テ 貝 か ら 貝 柱 製 品 に 加 工 す る 際 に 廃 棄 さ れ る 外 套 膜 、 お よ ぴ 、 北 海 道 で 一 番 多 く 植 栽 さ れ て い る カ ラ マ ツ 製 材 化 の 際 に 副 生 す る 樹 皮 に 着 目 し 、 こ れ ら の 有 効 利 用 法 を 検 討 し た 。   第1章 で は 養 殖 コ ン ブ の 採 取 時 に 廃 棄 処 分 さ れ て い る コ ン ブ 仮 根 の 有 効 利 用 の た め 、 コ ン ブ の 各 部 位 別 ( 葉 状 体 、 葉 柄 、 仮 根 ) の ミ ネ ラ ル 成 分 の 分 析 を 行 い 比 較 し た 。 さ ら に 、 す で に 製 品 が 流 通 し て い る 「 根 コ ン ブ 」 と 葉 状 体 、 仮 根 部 と の ミ ネ ラ ル 組 成 の 比 較 を 行 つ た 。 そ の 結 果 、 コ ン ブ 仮 根 は ミ ネ ラ ル を 多 く 含 み 、 特 に カ リ ウ ム の 含 有 量 が 多 い こ と が 特 徴 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 カ リ ウ ム と ナ ト リ ウ ム の 比 率 は コ ン ブ 類 の2倍 程 度 で あ り 、 血 圧 の 高 い 人 の 減 塩 食 品 の 素 材 と し て 利 用 で き る 可 能 性 が あ る 。 ま た 、 根 コ ン ブ の ミ ネ ラ ル 組 成 は カ リ ウ ム 含 量 を の ぞ け ば 葉 状 体 と 類 似 し て い る こ と が わ か っ た 。 本 研 究 の 結 果 か ら 養 殖 コ ン ブ 仮 根 の 減 塩 食 品 と し て 利 用 で き る こ と が 示 唆 さ れ た の で 、 血 圧 感 受 性 ラ ッ ト を 用 い て そ の 効 果 を 調 べ た と こ ろ コ ン ブ 仮 根 を 投 与 し た ラ ッ ト に 血 圧 上 昇 抑 制 効 果 が み ら れ た 。 今 後 機 能 性 の 研 究 を 進 め る こ と に よ り 養 殖 真 コ ン ブ の 仮 根 を 用 い た 機 能 性 を 有 す る ミ ネ ラ ル 補 助 を 目 的 と す る 新 規 食 品 素 材 が 開 発 出 来 る も の と 考 え ら れ る 。   第2章 で は 、 ホ タ テ 貝 の 貝 柱 の 加 工 の 際 に 副 生 す る 外 套 膜 の 有 効 利 用 に っ い て 検 討 し た 。 貝 類 な ど の 海 洋 無 脊 椎 動 物 の 組 織 中 に 重 金 属 が 蓄 積 す る こ と に 着 目 し 、 分 離 し た 外 套 膜 へ の 金 属 類 の 吸 着 能 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、 分 離 し た 外 套 膜 は 健 康 維 持 ・ 増 進 に 有 用 な ミ ネ ラ ル で あ る2価 の ア ル カ リ 土 類 金 属 ( カ ル シ ウ ム 、 マ グ ネ シ ウ ム ) や3価 の 鉄 、2価 の 遷 移 金 属 ( 亜 鉛 、 銅 、 コ バ ル ト 、 ニ ッ ケ ル ) を 不 可 逆 に 吸 着 す る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 分 離 し た 外 套 膜 に 吸 着 さ れ る ミ ネ ラ ル 含 量 は 、 ミ ネ ラ ル 溶 液 と 処 理 条 件 ( ミ ネ ラ ル 濃 度 、 処 理 時 間 と 温 度 な ど ) を 変 え る こ と で コ ン 卜 ロ ー ル で き る こ と が わ か り 、 多 く の 用 途 に 対 応 し た ミ ネ ラ ル 補 助 食 素 材 を 工 業 的 に 生 産 で き る こ と を 明 ら か に し た 。 今 後 、 分 離 し た 外 套 膜

(2)

ーのミネラルの吸着の機構解明に関する研究が望まれる。

  

第3 章 では 、北 海道 に最 も多 く植 裁され てい る樹木であるカラマツの製材時に副生する 樹 皮の 新規利 用法 について検討した。カラマツ樹皮は一部がバーク堆肥に用いられている ほ か廃 棄され てい る。カラマツの樹皮には豊富に縮合型タンニンが含まれていることに着 目 して 、シッ クハ ウス症候群の主要な原因である環境中のホルムアルデヒドの除去能につ い て検 討した 。ホ ルムアルデヒドの除去能を、他の樹種の樹皮及び天然素材と比較してた 結果、カラ.マツ樹皮が最も高い吸着カを示した。また、他の天然物由来の吸着剤と異なり 一 度吸 着した ホル ムアルデヒドはほとんど再放出しないことから、実用的なシックハウス 症 候群 に対応 した 素材の開発に応用できるもの考えられる。っぎに、カラマツ樹皮のホル ムアルデヒド吸着機構を明らかにする目的で、樹皮の水抽出分画をSephadex LH ―20 カラム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 画 し 、 ホル ム ア ル デ ヒ ド吸 着能 、HPLC 、

1H

お よび

13C

NMR

HPLC

一TOF ―MS で検討した。その結果、吸着能を有する分画にはプロアントシアニジンが存在 し、TOF ―MS では2 から6 量体のM 一イオンピークが認められた。カラマツ樹皮ーのホルムアル デ ヒド の吸着 は主 にホルムアルデヒドと縮合型タンニンとの反応によって起こり、その結 果 、高 分子量 にホ ルムアルデヒドとクロスリンクした縮合型タンニンが生成しているもの と考えられる。

  

さら に、本 研究 の結果、これまでのホルムアルデヒド吸着試験の信頼性に問題があるこ とが判明し、新しい吸着試験装置を考案してホルムアルデヒド吸着能の評価法を確立した。

  

第4 章 では 、カ ラマ ツ樹 皮を 用い た木酢 液中 のホルムアルデヒドの除去について検討し

た 。木 酢液は 主に 農業分野で土壌改良や病虫害駆除、成長促進で用いられているが、近年

ア トピ ーや冷 え症 改善、などの入浴剤や健康飲料などにも用いられている。しかし市販の

木 酢液 には多 量の ホルムアルデヒドが含まれており、皮膚や鼻粘膜に刺激を与え、シック

ハ ウス 症候群 の原 因になる可能性がある。そのため、人に接触する機会の多い消臭剤、食

品 添加 用、入 浴剤 、健康飲料等の用途にはホルムアルデヒドを全く含まない木酢液が望ま

れ る。 そこで 、カ ラマツ樹皮が空気中のホルムアルデヒドを不可逆的に吸着する能カを有

す るこ とに着 目し 、カラマツ樹皮共存下、各種の条件下で蒸留して除去試験を行った。そ

の 結果 、これ まで 木酢液のホルムアルデヒドの低減に使われていた活性炭や木炭より効率

的 にホ ルムア ルデ ヒドを除去できることが明らかになった。さらに、他樹種の樹皮と除去

能 の比 較した とこ ろ、カラマツ樹皮のホルムアルデヒド除去能が一番高く、完全に除去す

る こと も可能 であ ることがわかった。従来、ホルムアルデヒド除去が困難であった木酢液

か ら、 ホルム アル デヒドを完全除去でき、刺激が少なく、安全性が高い木酢液が作られる

よ う に な り 、 用 途 の 拡 大 と 高 品 質 化 が 可 能 に な る も の と 考 え ら れ る 。

  

以上 、養殖 コン ブ仮根、ホタテガイ外套膜、カラマツ樹皮など北海道産農林水産廃棄物

の 利用 が可能 であ ることが明らかになった。これにより、処理経費の節減や新規利用法の

開 発に より商 品競 争カの強化、地域の産業の活性化が期待される。さらに、環境への負荷

が 低 減 さ れ る の で 、 人 間 や 環 境 に 優 し い 産 業 が 創 世 さ れ る も の と 考 え る 。

(3)

学位論文審査の要旨

主査  教授  西  則 雄 副査  教授  坂入 信 夫 副査  助教 授  春 木 雅 寛     I

副査  助教 授  門 出 健 次( 北 海 道 大学 大 学 院理学 研究科)

学 位 論 文 題 名

北海道産農林水産廃棄物の高度利用に関する研究

  北 海 道は我 が国の 農林水産 物の生産 基地で あり、生 産物の1次加 工に副生 する廃 棄物 も 多岐 に わ たり 、 そ の量 も 膨 大で ある 。この未 利用資源 の有効 利用は新 たな産 業の創 出 にっ な が るぱ か り か、 産 業 廃棄 物の 処理費を 節減でき 、製品 の製造コ ストを 下げ、

商 品の 競 争 カが 高 め られ 、 北 海道 の産 業に大き く貢献で きるも のと考え る。さ らに、

環境へ の負荷を 減らす 効果も期 待でき る。

  本 研 究 では 養 殖 コン ブ か ら昆 布 を加工 する際に 大量に 副生する 仮根、ホ タテ貝 から 貝 柱製 品 に 加工 す る 際に 廃 棄 され る外 套膜、お よび、北 海道で 一番多く 植栽さ れてい るカラ マツ製材 化の際 に副生す る樹皮 に着目し 、これ らの有効 利用法を検討している。

  第1章で は養殖コ ンブの 採取時に 廃棄処 分されて いるコ ンブ仮根 の有効利 用のた め、

コ ンブ の 各 部位 別 ( 葉状 体 、 葉柄 、仮 根)のミ ネラル成 分の分 析を行い 比較し た。さ ら に、 す で に製 品 が 流通 し て いる 「根 コンブ」 と葉状体 、仮根 部とのミ ネラル 組成の 比 較を 行 っ た。 そ の 結果 、 コ ンブ 仮根 はミネラ ルを多く 含み、 特にカリ ウムの 含有量 が 多い こ と が特 徴 で ある こ と が明 らか になった 。カリウ ムとナ トリウム の比率 はコン ブ 類の2倍 程度 で あ り、 血 圧 の高 い 人 の減 塩 食 品 の素 材 と して 利用でき る可能 性があ る 。さ ら に 今後 機 能 性の 研 究 を進 める ことによ り養殖真 コンブ の仮根を 用いた 機能性 を 有す る ミ ネラ ル 補 助を 目 的 とす る新 規食品素 材が開発 出来る 可能性が 示唆さ れた。

  第2章 では 、 ホ タテ 貝 の 貝柱 の 加 工の 際 に 副 生す る 外 套膜 の有 効利用に ついて 検討 し た。 貝 類 など の 海 洋無 脊 椎 動物 の組 織中に重 金属が蓄 積する ことに着 目し、 分離し た 外套 膜 へ の金 属 類 の吸 着 能 を調 べた 。その結 果、外套 膜は健 康維持・ 増進に 有用な ミ ネ ラ ル であ る2価の ア ル カリ 土 類 金属 ( カ ルシ ウ ム 、 マグ ネ シ ウム ) や3価 の 鉄 、 2価の 遷 移 金属 ( 亜 鉛、 銅 、 コバ ル ト 、ニ ッ ケ ル )を 不 可 逆に 吸着する ことが わかっ た 。ま た 、 吸着 さ れ るミ ネ ラ ル含 量は 、ミネラ ル溶液と 処理条 件を変え ること でコン ト ロー ル で きる こ と がわ か り 、多 くの 用途に対 応したミ ネラル 補助食素 材を工 業的に 生産で きること が明ら かになっ た。

  第3章 では 、 北 海道 に 最 も多 く 植 裁さ れ て い る樹 木 で ある カラ マツの製 材時に 副生

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する樹皮の新規利用法について検討している。カラマツ樹皮は一部がバーク堆肥に用 いられているほか廃棄されている。カラマツの樹皮には豊富に縮合型タンニンが含ま れていることに着目して、シックハウス症候群の主要な原因である環境中のホルムア ルデヒドの除去能について検討した。ホルムアルデヒドの除去能を、他の樹種の樹皮 及び天然素材と比較してた結果、カラマツ樹皮が最も高い吸着カを示した。また、他 の天然物由来の吸着剤と異なり一度吸着したホルムアルデヒドはほとんど再放出しな いことから、実用的なシックハウス症候群に対応した素材の開発に応用できるもの考 えられる。カラマツ樹皮へのホルムアルデヒドの吸着は主にホルムアルデヒドと縮合 型タンニンとの反応によって起こるものと考えられる。

  第4章では、カラマツ樹皮を用いた木酢液中のホルムアルデヒドの除去について検 討した。木酢液は主に農業分野で土壌改良や病虫害駆除、成長促進で用いられている が、近年アトピーや冷え症改善、などの入浴剤や健康飲料などにも用いられている。

しかし市販の木酢液には多量のホルムアルデヒドが含まれており、その除去が望まれ ている。そこで、カラマツ樹皮が空気中のホルムアルデヒドを不可逆的に吸着する能 カを有することに着目し、カラマツ樹皮共存下、各種の条件下で蒸留して除去試験を 行った。その結果、これまで木酢液のホルムアルデヒドの低減に使われていた活性炭 や木炭より効率的にホルムアルデヒドを除去できることが明らかになった。さらに、

他樹種の樹皮と除去能の比較したところ、カラマツ樹皮のホルムアルデヒド除去能が 一番高く、完全に・除去することも可能であることがわかった。この結果より、木酢液 の用途の拡大と高品質化が可能になるものと考えられる。

  以上、養殖コンブ仮根、ホタテガイ外套膜、カラマツ樹皮など北海道産農林水産廃 棄物の利用が可能であることが明らかになった。これにより、処理経費の節減や新規 利用法の開発により商品競争カの強化、地域の産業の活性化が期待される。さらに、

環境への負荷が低減されるので、人聞や環境に優しい産業が創世されるものと考える。

  このように著者は、北海道産農林水産廃棄物の高度利用に関して新知見を得た。

  よって、著者は博士(地球環境科学)の学位を受けるのに充分な資格を有するもの と判定した。

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