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自動搬送システムにおける衝突確率の解析

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Academic year: 2021

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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

自動搬送システムにおける衝突確率の解析

Author(s)

千葉, 英史

Citation

Issue Date

2006‑03

Type

Thesis or Dissertation

Text version

author

URL

http://hdl.handle.net/10119/970

Rights

Description

Supervisor:浅野 哲夫, 情報科学研究科, 博士

(2)

自動搬送システムにおける衝突確率の解析 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科情報処理学専攻

千葉 英史

概要:半導体や液晶の製造メーカーは,現在の競争社会を勝ち抜くために,日々努力を重ね,他社の製造装置よ りも性能の良いものを作り続けている.他社よりも優れた製造装置を作り出す製造メーカーとは,製造装置の本 質的な理論に最も近づいたメーカーである.実は,製造装置の数学的モデル及び性能評価については未だに完全 なものは存在しておらず,製造の担当者及び研究者の果敢な挑戦が続いている.

製造装置モデルには様々なものが存在する.典型的なスケジューリング理論では,ジョブの処理時間が決定的で あり,全体の処理時間(メイクスパン)の最小化するようなジョブの順序を求めることを目標とすることが多い.

一方,我々が対象としている半導体や液晶の製造装置は,上記とは違った状況にある.そこでは,同じ製品を大 量に生産するので,ジョブの順序付けには意味がない.また,ジョブが搬送系に到着する間隔は実際には一定で はなく,各処理装置(または,単に機械)での処理時間も環境によって異なる.そこで,ジョブの到着間隔と各処 理装置での処理時間はある確率分布に従っていると仮定する.このような状況下では,待ち行列モデルを使って 解析を行うのが一般的である.

待ち行列モデルは,主に,ジョブの到着分布,各機械での処理時間の分布,機械の個数で表現される.待ち行 列の研究は盛んに行われており,多くの解析結果が知られている.しかし,それらの結果は製造装置に関する待 ち行列モデルにはうまく適用できない.なぜなら,待ち行列理論で解析可能な到着分布や処理分布と,実際の製 造装置モデルでの到着分布と処理分布が異なるためである.そのため,最も基本的な直列型でさえ扱うのが難し い.また,実際の製造装置は独自の複雑な制約を持っていることが多く,解析をさらに難しくしている.

本研究では,液晶や半導体などの製造装置によく見られる直列型の搬送系をモデル化して,搬送系を流れるジョ ブ同士の衝突確率を解析した.その際,ジョブの処理時間は,実際の状況をよく表している正規分布に従うと仮 定した.また,実際の状況をよく表しているわけではないが,処理時間が指数分布に従うと仮定した場合につい ても解析を行って,理論的に大変興味深い結果を得た.正規分布の場合の解析結果は,多重積分を含むものなの で,実際に値を計算するときに数値積分などに頼ると計算誤差の障害が生じてしまう.一方,指数分布の場合の 解析結果は多重積分を含まない.指数分布の性質をうまく利用することで,このように都合の良い結果が得られ る.そのため,実際に値を求めるのも容易である.

次に直列型の搬送系上を多数のジョブが流れていく過程で,衝突が生じるかどうかを判定するシミュレーショ ンプログラムを示した.処理時間が正規分布に従う場合は,上述の理論的な解析結果は多重積分を含んでいるの で,具体的な値を求めることがしばしば困難となる.しかし,このシミュレーションプログラムを利用すれば,容 易に衝突確率を求めることができる.理論結果とシミュレーション結果がほぼ一致していることから,実際の場 面で何らかの目安として使う分には,計算機シミュレーションによる結果で十分であると言える.

さらに,直列型搬送系で,各機械がバッファを持つときの衝突確率をシミュレーションを利用して求めた.この 結果から,各機械がバッファを つずつ持つだけで,衝突確率を低く保ったまま,タクトタイムを劇的に小さく することができることが判明した.実際に,処理時間の平均値と同じ値にタクトタイムを設定したとしても,ほ ぼ衝突確率はであった.また,シミュレーション結果から機械の台数を増やしても,衝突確率が増えないとい う性質も得られた.実際の製造装置は数百機械から構成されているとみなすことができるので,この性質はたい へん都合が良いと考えられる.

最後に,製造の担当者を悩ませている他の問題についても触れた.搬送計画問題は,多品種製造ラインにおけ る最適な搬送計画を求める問題である.我々は,この問題を決定問題として定式化して,さらに完全であるこ とを証明した.そして,ある制約の下では多項式時間で解けることを示した.ジャストインタイムスケジューリン グ問題は,与えられた納期ちょうどにジョブの処理を完了するようなスケジュールを求める問題である.我々は 周期的なタイムスロットという現実的な仮定の下で,この問題を取り扱う.そして,多項式時間で計算可能な任意 の関数«Òに対して,でない限り,この問題を«Ò以内の近似比で近似することは不可能である,とい う結果を得た.本研究では,機械数が の場合に,高性能なヒューリスティックアルゴリズムを開発した.また,

このアルゴリズムは妥当な制約の下で定数近似比を持つ近似アルゴリズムであることも証明した.

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