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中国移転価格通信 2015年8月 - 未来へ:税源侵食と利益移転(BEPS)及び変化する中国移転価格税制に関する概要

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未来へ:税源侵食と利益移

転(

BEPS)及び変化する

中国移転価格税制に関す

る概要

㻌㻞㻜㻝㻡年㻣月㻢日及び㻣月㻣日、経済協力開発機構(“OECD”)は、税源侵食と利益移 転(“BEPS”)プロジェクトの移転価格に関する問題につき、公開討論会を行った。 今回の討論会は、移転価格を担当する第六組の主催によって開かれた。㻮㻱㻼㻿プ ロジェクトの「行動計画」は㻞㻜㻝㻟年㻣月に㻻㻱㻯㻰により提案されたもので、その後、 㻞㻜㻝㻟年㻥月、㻳㻞㻜がその「行動計画」を全面的に支持する旨を宣言した。現在、 㻮㻱㻼㻿プロジェクトは完了に近づいている。第六組は、㻞㻜㻝㻡年㻥月に移転価格ガイド ラインの最終版を完成させた後、㻞㻜㻝㻡年㻝㻜月㻤日の㻳㻞㻜財務総裁会議前に正式に 公布する予定である。㻌 㻌 㻳㻞㻜メンバー国であり、㻻㻱㻯㻰移転価格事務の長期顧問である中国は、㻮㻱㻼㻿プ ロジェクトに深く関与している。情報によると、中国の国家税務総局(“国家税務総 局”)は、近々、国税発「㻞㻜㻜㻥」㻞号通達「特別納税調整実施弁法(試行)」(“㻞号通 達”)に代わり、比較に全面的な移転価格規定を発表する予定である。㻮㻱㻼㻿プロ ジェクトは国家税務総局の移転価格に関わる政策に大きく影響を与えることが予 測されている。そのため、本通信では、㻮㻱㻼㻿プロジェクトにおける移転価格ガイド ラインの動向を考察する。㻌

2015年8月

中国移転価格通信㻌

(2)

BEPS移転価格に関する検討案

BEPSプロジェクトのうち、三つの行動計画(行動計画 8、9及び10)が移転価格の実質的な判断に影響し、一 つの行動計画(行動計画13)が移転価格のドキュメン テーションに関わる。BEPS行動計画は、移転価格にか かわる項目の主要な目標として、移転価格の結果が価 値の創造と一致することを確保することを掲げている。 現時点において、BEPSプロジェクトは、OECDによる 多国籍企業と税務機関のための移転価格ガイドライン (OECDガイドライン)による独立企業原則に基づいた現 行の移転価格ルールが多くの実際の事例に運用できる という視点を採っている。また、行動計画においては、 実際の事例において注目された問題をが列挙されてい る。例えば、多国籍企業がこれらのルールを利用して、 もしくは過って適用することにより、経済活動で創出され た利益の一部を切り離して、低税率国家或いは地域へ 移転できると考えていることに対して警鐘を鳴らしている。 行動計画8、9及び10の目標はBEPS を防ぐために、 OECDガイドラインを改定することである。理想論として は、独立企業原則の適用を明らかにするのみならず、 独立企業原則が適用できない場合の“特別措置”をも説 明することである。 BEPSプロジェクトの進行過程において、移転価格に 関する行動計画の検討案が発表されている。本移転価 格通信においては、その中の最も重要な三つの検討案 について検討する。 ► 2014年9月16日に発表された“BEPS行動計画8:無 形資産移転価格ガイドライン”(“ 無形資産ガイドライ ン”) ► 2014年12月19日に発表された“BEPS行動計画8、9 と10:移転価格ガイドラインの第一章の改定に関す る検討案(リスク、取引の再構成及び特別措置が含 まれる)”(“リスク検討案”) ► 2015年5月4日に発表された“BEPS行動計画8:移 転価格ガイドラインの第八章のコストシェアリング協 議の改定に関する検討案”(“コストシャアリング協議 検討案”)

無形資産ガイドライン

無形資産ガイドラインは、2014年9月のBEPSプロジェクト の最初の成果物にも含まれていた。大部分は、最終版とし てOECDガイドラインの改定内容が発表されたものの、肝 心な部分は依然としてドラフトの形態に留まっており、20159月に発表されるその他の移転価格に関する事項と併せ て最終化されることとなっている。 中国本土の移転価格税制上、2号通達の第21条から第 27条において、全ての種類の関連者間取引に適用されうる 移転価格方法が示されている。しかし、2号通達には無形資 産に関する具体的な指針は記載されていない。無形資産移 転価格ガイドラインの内容は2号通達の改正案に盛り込ま れる可能性がある。 無形資産移転価格ガイドラインのうち最終化された部分に は、次の項目が含まれている1 ► 立地上固有の優位性は無形資産の範囲に属さない。比 較可能要素として考慮することとなる。ただし、当該ガイ ドラインには、国連が各国の見解を取り纏めた発展途上 国のための移転価格マニュアルほどは詳細が述べられ ていない。中国国家税務総局は、発展途上国のための 移転価格マニュアルにおいて、立地上固有の優位性に ついても幾つか重要な見解を述べている。従って、発展 途上国マニュアルにおける国家税務総局の見解の方が、 無形資産移転価格ガイドラインよりも、一層、2号通達の 改正に影響を及ぼす可能性がある。 ► 移転価格税制上の無形資産について広範囲の定義が 提示され、さらに、第三者との取引と同様に、営業権 (goodwill)と継続企業価値(going concern value)につ いても補償されるべきであることが明確にされた。 ► 無形資産の譲渡のための独立企業間価格を算定する ための資産評価方法(例えば:収益法)の使用にかかる ガイドラインを提示した。すでに認知されている五つの移 転価格方法を補完し、独立価格比準法の適用に信頼性 が欠ける場合に役立つと考えられる。 1. 出典 http://www.oecd-ilibrary.org/docserver/download/2314291e.pdf?expires=1432

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無形資産移転価格ガイドラインのうちドラフトに留まっ ている部分には、次の内容が含まれている。 ► 無形資産の法的所有者であることのみを以って、無 形資産の開発によりもたらされた利益を獲得する権 利を持つとは限らない。 ► 企業が無形資産の資金提供のみを行う場合、通常、 出資者として融資コストに対する一定の合理的な収 益率による報酬を獲得する。無形資産移転価格ガイ ドラインには、それは“リスク調整レート”とされてい たが、第六組は、2015年7月6日と7月7日の討論会 において、通常、リスクフリーレート(risk-free rate)と なることが言及された。 ► 無形資産に関わる利益は、無形資産の開発、改良、 維持、保護、利用(“DEMPE”)において、機能とコン トロールを実施する関連者へ移転すべきである。 最近、国家税務総局の高官が公的なスピーチで度々 言及する立地上固有の優位性と同様に、無形資産に関 する報酬の分配について、国家税務総局は、サプライ チェーンのすべての参加者の価値貢献の程度について 分析する必要性を強調し続けるであろう。また、無形資 産に関する取引がより重要となり、複雑化する傾向が考 慮され、2号通達の改正版においても、無形資産の価値 評価方法(コスト法、市場法、収益法)が提示される可 能性がある。

リスク検討案

リスク検討案には三つの大きなテーマが含まれている。ま ず初めに、検討案は、グループが直面するリスクをいかに 評価し、そのリスクをグループ内の各メンバーにどのように 分配するか、そして、リスクの分配がいかに移転価格に影 響するかについて、指針を示している。次に、どのような場 合に税務局により実際の取引を認識しないか、再構成され るかについても記載された。さらに、OECD移転価格ガイド ラインが改定された後も、依然として残るBEPSリスクに対 する潜在的な特別措置を列挙している。 2015年7月6日と7月7日の討論会において、第六組は、リ スクに関するガイドラインが大きく改定されることを示唆した。 リスク検討案のガイドラインと考えられる改定を次に纏めた。 第六組は、再構成に関するガイドラインは抜本的な改正が 見込まれていることに言及しているため、本移転価格通信 では詳細は説明しない。また、第六組はOECDが現時点に おいてはいかなる特別措置も必要としないことに言及してい ることから、リスク検討案における特別措置についても詳細 な言及は避けるものとする。 リスト検討案のガイドラインには、移転価格税制上のリス ク評価に関する次の内容が含まれている2 ► リスクを負担する関連者がそのリスクに相応する収益を 取得すべきであるから、リスクの分配は移転価格の核心 である。予測収益はリスク上昇を上回る可能性があるに もかかわらず、実際の収益は(潜在的な損失を含む)リ スクが本当に実現するか否かによって変化する。 ► 無形資産については、DEMPEの機能に関するリスクの 分配が無形資産に関する予測収益の分配の核心とある。 ► 各産業とコンサルティング会社の評論者達は、リスク検 討案に、関連者間の契約において約定されたリスク分配 が十分に考慮されていないことに懸念を示している。第 六組は、最終版のガイドラインにおいては、契約の位置 づけをより明確にすることを示唆している。 ► 関連者間におけるリスク配分においては、ある関連者が リスクコントロールに関する重要なコントロール機能を果 たしている場合、重視される。さもなければ、リスクはそ のリスクを最もコントロールしている者に配分される。 2、出典 http://www.oecd.org/ctp/transfer-pricing/discussion-draft- actions-8-9-10-chapter-1-TP-Guidelines-risk-recharacterisation-special-measures.pdf

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► 第六組は、最終版のガイドラインにおいて、リスクコ ントロールのアウトソーシングに注意を払うことを示 している。例えば、リスクをコントロールするグループ 企業がアウトソーシング活動の目標を設定する否か、 目標の実現を評価するか否か、サービス提供者の 雇用と解雇の責任を持つか否かが挙げられる。単な る形式上の政策立案者である場合、例えば、取締会 の議事録作成や書類への署名などでは企業がリス クをコントロールしていることを証明できない。 ► 広範囲なリスクの定義とリスクコントロール活動の 様々な程度を鑑みて、リスク検討案における移転価 格分析が理論的、かつ複雑化しすぎることが懸念さ れている。例えば、他の方法がより適切である状況 においても、利益分割法の採用が要求されてしまう ことも考えられる。第六組はより実務的なガイドライ ン(重要性による線引きを含む)を提供することに同 意している。 リスク検討案の内容は、国家税務総局の2号通達の 改正に影響を及ぼす可能性がある。現行の2号通達は、 独立企業間価格の算定におけるリスクの重要性を強調 しているものの、リスクをいかに評価するかについては ほとんど具体的なガイドラインを示していない。国家税 務総局は、一般的に、リスクと資本の価値の認定の面 では保守的な立場を取り続けてきた。ただし、最近、中 国において対外投資が増加していることと、2014年、初 めて中国が純資本流出が流入を上回ったことを鑑みる と、国家税務総局は、今後、価値創出について、よりバ ランスのとれた技術的な視点を受け入れることとなるか もしれない。

コストシェアリング協議検討案

コストシェアリング協議(「CSA」)は、契約当事者間で、 無形資産の開発のためのコストとリスクを分担し、これ に応じて、その無形資産の所有権を共有する契約によ る取り極めである。2号通達の64条から75条にはコスト シェアリングに関する内容が記載してあり、69条にはコ ストシェアリング協議の基準及び項目の審査プロセスも 記載してある。最近発布された(2015年6月16日)「中国 国家税務総局によるコストシェアリング協議管理規範化 に関する公告([2015]第45号)」により、国家税務総局 による事前の審査は不要となったが、コストシェアリング 協議に関する実質的な指針はまだ改定されていない。 国家税務総局は2号通達の改正にあたり、BEPSのコ ストシェアリング協議にかかるガイドライン、特に、便益 配分の原則について参考にする可能性がある。これま で国家税務総局が立地上固有の優位性を強調してきた ことを鑑みると、国家税務総局は、中国の参加者の予 測便益を評価するために貢献比率やマーケットプレミア ムを決定する際に、立地上固有の優位性を考慮するよ う要求する可能性がある。 コストシェアリング協議検討案の重要なポイントは以 下の通りである。 ► コストシェアリング協議の参加者となるためには、コ ストシェアリングの活動から便益を得ることが合理的 に予測され、かつ、コストシェアリングに関わるリスク をコントロールすることが要求される。 ► コストシェアリングの各参加者の貢献は創出される 価値で評価すべきであり、コストで評価すべきではな い。例えば、ある参加者が研究開発活動を行う場合、 そのコストシェアリングへの貢献比率は、第三者が 類似する研究開発活動を行った場合に受領するで あろう価値であり、独立企業原則に基づくべきである。 (例えば、コストに一定の合理的なマークアップを付 加する) ► コストシェアリングの参加者の貢献比率はコストシェ アリングに係る活動により合理的に予測される便益 がベースとなる。

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まとめ

BEPSプロジェクトは、この半世紀の中で最も劇的、か つ、世界規模の国際租税の改革である。そして、その中 でも移転価格税制は変化の中心にある。世界で最速の 経済成長を遂げている国の1つである中国は、その経済 成長に合致するよう、自国の租税システムの近代化と 拡大に力を注ぐ必要がある。当該世界レベルの改革と 同時に改正作業が進められている中国の国内租税法 規は、より大きく変更され、より厳しくなるかもしれない。 近々公布される予定の2号通達の改正もこの激変の 一つである。多国籍企業には、自社の世界全体の移転 価格戦略とその一部である中国の役割を慎重に分析さ れるようお勧めする。特に、世界及び中国における無形 資産の認識、及び各グループ企業の負担するDEMPE 機能の対価の算定について、注意を払うようお勧めする。

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