77 表 3-2-1 実験で使用した海亀の詳細 図 3-2-3. 背甲に計測機器を取り付けたアカウミガメ(左)と加速度ロガー(右). 水槽内に設置した実験網に,計測機器を取り付けた実験個体を入れ,海亀の脱出装置へ の誘導過程について調べた。実験網内の海亀の行動は,海亀の背甲に装着したビデオカメ ラと加速度ロガーに加えて,水槽上部およびダイバーによる水中撮影ビデオカメラにより 記録した。水中撮影は,実験網の 4 隅の 1 つに設けた入網口から行った。 「結果と考察」 海亀の網内での行動を調べる実験を計 10 回行った。その結果,すべての実験において海 亀は脱出に成功した。アカウミガメ,アオウミガメともに,時間経過にともなって呼吸欲 求が高まると,連続した一連の突き上げを行ったり,あるいは天井網の傾斜に沿って遊泳 したりして傾斜の上部にある脱出装置に接近した(図 3-2-4, 5)。アカウミガメとアオウミガ メの,傾斜した天井網を連続して突き上げながら脱出装置に接近した経路の一例を図 3-2-6 に示す。ここでは,突き上げながら移動する経路を矢印で表し,その中で脱出に至った移 動経路を太い矢印で示した。この例では,アカウミガメは一連の突き上げを何度か行って 脱出に至っていた。水槽上部およびダイバー撮影によるビデオカメラの映像から求めた, 突き上げながら移動する際のアカウミガメとアオウミガメの突き上げの継続時間,突き上 げ時のはばたき回数,突き上げながら移動する距離の平均を表 3-2-2 に示す。連続した一連 種 個体ID 標準直甲長(cm) 最小直甲長(cm) 直甲幅(cm) 前肢長(cm) ※ L1 63.3 61.6 50.8 43.7 L2 65.4 64.2 52.2 44.2 L3 73.8 73.2 60.3 43.0 L4 84.1 82.7 63.5 48.3 L5 86.0 85.9 68.1 50.6 G1 38.9 38.3 33.2 26.5 G2 54.2 53.6 45.1 30.4 G3 58.1 57.2 47.3 34.6 G4 61.8 61.2 51.8 34.9 G5 72.2 72.2 59.4 44.2 ※ 前肢の付け根から先端までの長さ アカウミガメ アオウミガメ
78 の突き上げ継続時間は平均で 10 秒程度であり,両種に顕著な違いはなかった。一方,この 時の前肢のはばたき回数はアカウミガメで平均 4.7 回,アオウミガメで平均 9.1 回であり, アオウミガメの方が多いという結果であった。このように,連続して突き上げを行う際の はばたき回数に若干の相違は見られたものの,両種ともに天井網の傾斜によって頂点部の 脱出装置に誘導され,そこでさらに突き上げを継続することで脱出に成功した。このこと から,海亀脱出支援システムは,アカウミガメだけではなく,アオウミガメに対しても有 効である可能性を改めて確認できた。 図 3-2-4. アカウミガメの突き上げ行動. 図 3-2-5. 脱出装置に遭遇したアカウミガメ.
79 図 3-2-6. 連続した一連の突き上げにより脱出装置に向かって移動した際の経路例(赤: アカ ウミガメ L4 個体, 青: アオウミガメ G1 個体). 丸数字は一連の突き上げの順番を,回数 は突き上げ時の前肢のはばたき回数を示している. 表 3-2-2 アカウミガメとアオウミガメにおける連続した一連の突き上げにおける平均継続 時間,平均はばたき回数,および平均移動距離 種 突き上げの 継続時間 (秒) 突き上げ時の はばたき回数 (回) 突き上げながら 移動する距離 (m) アカウミガメ 10.6 4.7 2.2 アオウミガメ 11.9 9.1 3.0
80 ◎加速度ロガーによる突き上げの抽出 「材料と方法」
海亀の網内での行動を記録する加速度ロガーとして,W1000-3MPD3GTロガー(Little Leonardo Co. 製,長さ174mm,φ26mm,空中重量120g)を用いた(図3-2-3)。この加速度ロ ガーは,3 軸(surge 軸 (Y), Sway 軸 (X), Heave 軸 (Z))加速度センサー・3 軸磁気センサ ー・プロペラセンサー・圧力センサー・温度センサーを搭載し,それぞれ3 軸加速度・3 軸 地磁気・遊泳速度・水深・水温を計測する。計測周波数は毎秒32回(32Hz)とした。実験 時には,加速度ロガーのSurge軸(長軸)と海亀の体軸が平行になるようにして背甲に取り 付けた。加速度ロガーに記録された時系列データは,Logger Tools (Little Leonardo 社製) を 用いてPC に読み込んだ。解析にはIGOR Pro 6.2 (Wave metrics 社製) 及び拡張機能である Ethographerを用いた。記録された加速度を,Ethographerを用いて,重力に由来する静的加速 度と動物の動きに由来する動的加速度に分離した。海亀の体軸と水平面とが成す角を姿勢 角とし,静的加速度を用いて求めた。また,海亀の行動の激しさの指標として,3軸分の動 的加速度の絶対値を合計したODBA(Overall Body Dynamic Acceleration)を算出した。突き 上げ時には海亀の姿勢角が大きくなり,またODBAの値も大きくなると想定し,姿勢角と ODBAにそれぞれ閾値(姿勢角: 30, 35, 40, 45, 50°,ODBA: 1.0, 1.5, 2.0m/s2)を設け,両者を 組み合わせることで抽出条件(姿勢角&ODBA)とした。ビデオカメラの映像から得た突き 上げ行動と照合することにより,加速度データからの突き上げの抽出を試みた。ここでは, ビデオカメラから得た全突き上げのうち正しく抽出した割合(一致率)と,全抽出に占め る非突き上げ行動の割合(誤抽出率)を抽出条件(姿勢角 &ODBA)別に算出し,一致率 が最も高く誤抽出率が最も低いものを最適な抽出条件とした。32Hzで計測された場合に、 姿勢角とODBAの時系列データにはノイズが多く見られた。そのため,時系列データのある 一定区間ごとの平均値を,区間をずらしながら求めて平滑化する(移動平均)ことで、ノ イズによるデータの変動を抑えた。移動平均を計算する上での区間を,2秒間から1秒ごと に8秒間まで変化させることで,突き上げの抽出に与える影響についても併せて検討した。 「結果と考察」 アカウミガメ及びアオウミガメの姿勢角とODBAはそれぞれ,通常遊泳時では平均3.3° と0.8m/s2及び,1.7°と0.7m/s2であり,突き上げ時では平均56.8°と1.7m/s2及び,52.9°と2.4 m/s2であった。通常遊泳時のODBAは両種ともほぼ同程度であったが,突き上げ時にはアオ ウミガメの方がODBA値が高く,動きが激しいという結果が得られた。アカウミガメとアオ ウミガメを用いた実験における,抽出条件とデータの移動平均時間別の一致率,誤抽出率 の結果を表3-2-3に示す。アカウミガメでは,移動平均を8秒間とした抽出条件(30&1.0)で 一致率100%,誤抽出率13.6%を得たのに対して,アオウミガメでは,移動平均を6秒間とし た抽出条件(30&1.5)で一致率91.7%,誤抽出率8.3%を得た。このように,両種の最適な抽
81 出条件におけるODBA値に違いが生じたのは,突き上げ時のODBA値の違いによるものであ ると考えられた。 表 3-2-3. アカウミガメ(上)とアオウミガメ(下)における抽出条件別の一致率と誤抽出率 この一連の結果から,加速度データから得られた姿勢角およびODBAに閾値を設定するこ とで,突き上げ行動抽出の可能性を確認できた。しかし,抽出される突き上げの中には, 実際の突き上げではない誤抽出も含まれる。そのため,誤抽出を無くしてより正確に抽出 を行うことが今後の課題となる。誤抽出を避ける手段として,深度のデータを加えて解析 することが考えられる。本実験を行った水槽の水深はわずか2m程度であり,加速度ロガー での深度計測の分解能(0.25m)では遊泳深度の違いを評価するのには限界があると考えら れた。しかし,志摩定置のように,実際の定置網の網規模では海亀の遊泳深度の情報も利 抽出条件 2秒 3秒 4秒 5秒 6秒 7秒 8秒 2秒 3秒 4秒 5秒 6秒 7秒 8秒 30 & 1.0 100 100 100 100 100 100 100 51 44 32 24 21 17 14 30 & 1.5 89 84 79 74 74 68 58 26 20 21 22 7 7 0 30 & 2.0 58 53 42 32 32 32 32 0 0 0 0 0 0 0 35 & 1.0 100 100 100 100 100 95 95 34 30 27 21 17 19 15 35 & 1.5 89 84 79 68 74 63 58 19 16 17 19 0 0 0 35 & 2.0 58 53 42 32 32 32 32 0 0 0 0 0 0 0 40 & 1.0 100 100 100 100 95 95 95 21 27 21 17 18 10 14 40 & 1.5 89 84 79 74 68 63 53 11 11 6 13 0 0 0 40 & 2.0 58 53 42 32 32 32 32 0 0 0 0 0 0 0 45 & 1.0 100 100 100 95 95 89 89 24 27 24 18 18 15 16 45 & 1.5 89 84 79 68 68 58 53 11 11 12 13 7 0 9 45 & 2.0 58 53 37 32 32 32 32 0 0 0 0 0 0 0 50 & 1.0 95 95 89 89 89 89 89 22 22 19 15 15 11 11 50 & 1.5 89 84 74 68 63 58 53 15 11 7 7 8 8 9 50 & 2.0 58 47 37 32 32 32 32 0 0 0 0 0 0 0 移動平均 移動平均 一致率(%) 誤抽出率(%) 抽出条件 2秒 3秒 4秒 5秒 6秒 7秒 8秒 2秒 3秒 4秒 5秒 6秒 7秒 8秒 30 & 1.0 92 92 92 92 92 83 79 53 44 35 29 24 26 27 30 & 1.5 92 92 92 92 92 83 75 39 29 24 12 8 5 5 30 & 2.0 88 83 83 83 83 67 54 19 13 9 5 0 0 0 35 & 1.0 92 92 88 88 83 75 63 46 35 30 22 23 25 25 35 & 1.5 92 92 88 88 83 75 58 31 24 22 9 9 5 13 35 & 2.0 88 83 79 79 75 54 46 16 5 5 0 0 0 0 40 & 1.0 88 83 79 75 67 58 58 40 33 30 28 24 26 22 40 & 1.5 88 83 79 75 67 58 54 25 26 21 14 11 7 7 40 & 2.0 79 75 71 63 54 46 42 14 10 11 0 0 0 0 45 & 1.0 83 83 71 58 58 58 50 38 35 19 22 22 18 14 45 & 1.5 83 83 71 58 58 58 46 23 26 19 13 13 7 15 45 & 2.0 75 71 50 46 46 46 38 10 11 8 0 0 0 18 50 & 1.0 75 67 58 54 54 46 42 33 20 22 24 13 15 17 50 & 1.5 75 67 54 54 54 46 42 25 11 24 13 13 15 17 50 & 2.0 67 54 46 42 46 42 38 11 7 0 0 0 17 18 移動平均 移動平均 一致率(%) 誤抽出率(%)
82 用できる可能性があり,今後の検討課題としたい。このように,誤抽出の回避策の検討も 含めて,今回得られた結果を志摩定置において行った海上試験のデータに適用することで, 実海域で記録されたデータの中から突き上げを抽出することが可能かどうか,検討してい きたい。 また,今年度は,従来使用していたW1000-3MPD3GTロガー(以後,旧ロガー)に加えて, 新しく9軸DTロガー(以後,新ロガー; Biologging Solutions Co. 製)の導入を試みた。新ロ ガーは旧ロガーと比べて深度計測における分解能が高く(10×10-15 m),実験水槽内でも海 亀の遊泳深度を詳細に計測でき,突き上げの抽出に利用できることが期待されたことと, 非常に小型で取扱いも容易であった。プロペラセンサーを内蔵していないために海亀の遊 泳速度の計測はできないが,現段階では加速度を用いることで突き上げの抽出は十分可能 であると考えられることから,新ロガーの有効性も高いと考えられた。しかし,海亀の同 個体に旧ロガーと新ロガーを同時に装着した実験でデータに相違が見られる場合があった ため,今後更に詳細な検討を行う必要がある。 ◎実海域実験 「材料と方法」 本試験は,「② 定置網内における海亀と魚類の行動把握」の小課題で 9 月に実施した実 海域試験において行った。当試験では,中層箱網の天井網部を 20 度傾斜させた網を使用し た(②項 図 2-2-4, 2-2-5 参照)。傾斜を配した天井網の詳細を図 3-2-7 に示した。 本試験では,②と同様に海亀の背甲に装着したビデオカメラと超音波ピンガー,深度計 のデータにより海亀の行動を分析した。使用したアカウミガメ,ならびに基本的な計測, 分析手法は②と同様である。また,潮流等の流れが,特に天井網の形状(網成り)に与え る影響について調べるために,天井網の四隅,計 4 本の斜辺の各中間部,および脱出装置 近傍に計 9 本の深度計(JFE アドバンテック社製 DEFI-D20)を装着した(図 3-2-7)。 図 3-2-7. 試験に使用した天井網の概要と深度計装着位置 (丸数字および●印は深度計の番号と装着位置を表す). 「結果と考察」
②
④
⑥
⑧
⑨
⑤
⑦
①
③
返し側 魚捕側 魚捕部83 海亀の行動 L6 個体(標準直甲長 68.4cm)を用いた 2 回の試験における行動軌跡を図 3-2-8, 3-2-9 に示 す。1 回目の試験では,入網後は側面の網に沿って遊泳する場合が多く,特に沖側の網に沿 って返し側と魚捕側を往復する様子が多く見られた。また,箱網の全体において表層側と 底層側を広く遊泳していた。その後,連続した突き上げや傾斜に沿った遊泳を行いながら 脱出装置に遭遇したところを船上に引き上げた。網を下げてから脱出装置に遭遇して回収 されるまでの時間は約 8 分であった。 図 3-2-8. L6 個体の 1 回目の試験の行動軌跡. (上は網の上面図,下は網の側面図. 点線はいずれも想定される網の輪郭を表し,海亀脱出 装置の位置を赤線で示した. 磯側・魚捕側の網の角を原点(0,0)とした. ). 同個体の 2 回目の試験では,1 回目とは異なって網内を広く遊泳せず,主に魚捕側の表層 海亀脱出装置
84 側で遊泳していた。そして,天井網を突き上げながら脱出装置に近づく(誘導される)様 子が多く見られ(図中の太い矢印を参照),その後に脱出口に遭遇した。この実験回では, 網を下げてから脱出口に至るまでに要した時間は約 7 分であった。 図 3-2-9. L6 個体の 2 回目の試験の行動軌跡 (上図,および下図は図 3-2-8 と同様. ) 天井網に 20 度の傾斜を配した中層箱網内における海亀の行動を調べた結果,天井網を突 海亀脱出装置
85 き上げながら上部(脱出装置の装着部)へ移動する様子(図 3-2-10)が多数見られた。この ように,天井網の傾斜による誘導は,実海域の定置網においても有効であると考えられた。 しかし,使用個体も少ないことから,今後更に試験結果の蓄積と詳細な分析が求められる。 図 3-2-10. 志摩定置での実海域試験において,海亀が天井網を突き上げながら移動する様子. 傾斜を配した天井網の網成りについて 天井網の各部に装着した深度計の記録から,流れを受けることによって生じる流体抵抗 の影響により,天井網が設計よりも寝てしまう(あるいは設計よりも立ち上がる)ような 現象が生じているかどうかを調べるために,天井網の斜辺それぞれの隅と中間点にあたる ①と⑤,②と⑥,③と⑦,④と⑧の深度差の経時変化を図 3-2-11 に示した。この結果,18 時~22 時頃において①-⑤の深度差が減少する一方で③-⑦が増加し,同様に②-⑥が減少す る一方で④-⑧がやや増加するという変化が見られ,特に 20 時頃にその現象は顕著であった (図 3-2-11 の矢印の時点)。本試験では,流向流速計の不調により流況のデータは取得でき なかったが,中層箱網の返し側から魚捕側への流れがあり,その影響で上流側にあたる返 し側で傾斜が倒れ込むような形状になり,下流側である魚捕部側では傾斜がより立ち上が るという網成りの変化が生じたものと考えられた。このように,天井網に傾斜を配する海 亀誘導手法では,流れの影響によって網成りが崩れ,想定した傾斜角が得られない場合も あることから,今後,網成りの維持に必要な,天井網への適切な浮力の与え方等を検討す る必要がある。
86 図 3-2-11. 傾斜を配した天井網における各斜辺の深度差の経時変化. 丸数字は深度計の 番号を表す(図 3-2-7 参照). 矢印で示す 20 時頃は,返し側の傾斜部の深度差が小 さくなり,魚捕側の深度差が大きくなるという現象が顕著に生じていた。 本試験において,天井網に傾斜を設け,その頂点部に脱出装置を装着する手法の有効性 を確認することができた。今後,海亀のより有効な誘導や網成りの維持などについて検討 と改良を行いながら,海亀脱出支援システムの実用化に向けた試験を進めていきたいと考 える。
15
19
23
3
7
15
19
23
3
7
時刻
深
度
差
(m)
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③ 海亀混獲防止手法の開発
③-3 海亀混獲回避ネット
日東製網株式会社
「目的」 第一箱網と中層箱網との連結部分を仕切る網を用い,定置網に入ってしまった海亀を中 層箱網へ侵入させることなく,漁獲対象種である魚類のみを中層箱網へ追い込むことを目 的としている。昨年度は実験時期が 1 月で海亀来遊時期ではなく,魚類の網目選択効果の みの実験となった。本年度は海亀の網目に対する行動の検証を行うため,海亀を収容して いる生簀に仕切網を張り実験を行うこととした。 「材料と方法」 安乗漁港に設置している生簀網(5m×5m×D 5m)を中心で 2 分割するように,仕切網(5 m×5m)を設置した。仕切網の仕様は材質 HS(ポリエチレンとスパンナイロンの混撚り), 網脚直径約 7mm,目合 50cm 角であり,底部に鉛ロープを取り付けた(図 3-2-11,図 3-2-12)。 目合の大きさは,6 月に実験を行った海亀の最大直甲長の 86cm を参考として,網目の対角 線の方が小さくなるように試作した。実験に用いた海亀は三重県志摩市大王埼地先にて丸 友水産有限会社が経営する定置網(波切定置網)ならびに志摩定置で混獲された海亀を採 捕したものである。海亀の採捕にあたっては,三重県海区漁業調整委員会へ申請・承諾後, 規定に従い実施した。採捕した海亀は上記の生簀網にて実験に使用するまで収容・管理し た。実験にはアカウミガメ 2 個体(表 3-2-4)を用いた。観測機材として水中カメラ 1 台を 使用した。 仕切網で仕切られた生簀網の片側に海亀 2 個体を入れ,生簀上から水中カメラを投入し 海亀の行動を観測した。 図3-2-11. 仕切網. 図3-2-12. 仕切網設置の概略図.88 「結果と考察」 海亀の行動観測を計 2 回行った。1 回目の実験では個体 L7 が網に絡まり抜け出すのが困 難な状態になってしまい実験を中止した。 行動観測の結果,個体 L7,L8 ともに網を前にして引き返すという行動をとることはなく, 個体 L7 は網に絡まるのを繰り返し,一方個体 L8 は網のすり抜けを繰り返すことが確認さ れた(図 3-2-13,図 3-2-14)。このことから,海亀は仕切り網を認識していない,または認 識していても気にすることなく遊泳をしていたと考えられる。そのため,仕切網の網脚の 太さの変更や目合の大きさの選定のみで海亀と魚類を分離させることは難しいものと考え られた。そこで,今後仕切網を検討する場合には,海亀が箱網から中層箱網へ迷入する際 の経路や深度(表層なのか底層なのか,など)を複合的に考慮して検討することが必要で ある。 実験日時 個体番号 標準直甲長(cm) 体重(kg) 9 月 8 日 L7 90 100 L8 68.4 51 表3-2-4 実験に使用したアカウミガメ 図3-2-13. 個体 L7 の羅網. 図3-2-14. 個体 L8 のすり抜け後.
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