利 根 川 水 系
香 取 ・ 銚 子 圏 域 河 川 整 備 計 画
平 成 1 8 年 1 2 月
千 葉 県
利根川水系香取・銚子圏域河川整備計画
目 次
第 1 章 計 画 対 象 区 間 と 計 画 対 象 期 間 - - - 1 第 1 節 計 画 対 象 区 間 - - - 1 第 2 節 計 画 対 象 期 間 - - - 1 第 2 章 圏 域 の 概 要 - - - 3 第 3 章 河 川 の 現 状 と 課 題 - - - 4 第 1 節 河 川 の 概 要 - - - 4 第 2 節 治 水 に 関 す る 現 状 と 課 題 - - - 5 第 3 節 河 川 の 利 用 に 関 す る 現 状 と 課 題 - - - 6 第 4 節 河 川 環 境 に 関 す る 現 状 と 課 題 - - - 8 第 4 章 河 川 整 備 計 画 の 目 標 に 関 す る 事 項 - - - 9 第 1 節 洪 水 に よ る 災 害 の 発 生 の 防 止 又 は 軽 減 に 関 す る 事 項 - - - 9 第 2 節 河 川 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 に 関 す る 事 項 - - - 9 第 3 節 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 に 関 す る 事 項 - - - 1 0 第 5 章 河 川 の 整 備 の 実 施 に 関 す る 事 項 - - - 1 1 第 1 節 河 川 工 事 の 目 的 、 種 類 及 び 施 行 の 場 所 - - - 1 1 第 2 節 当 該 河 川 工 事 の 施 行 に よ り 設 置 さ れ る 河 川 管 理 施 設 の 機 能 の 概 要 - - - 1 2 第 3 節 河 川 の 維 持 の 目 的 、 種 類 及 び 施 行 の 場 所 - - - 2 0 第 4 節 そ の 他 - - - 2 1第 1章 計 画 対 象 区 間 と計 画 対 象 期 間
第 1 節 計 画 対 象 区 間
本 河川整 備計 画の策 定に 当たっ て、 千葉県 の利 根川流 域の うち、 首都 圏近郊 整備地 帯外となる下流地域を「利根川水系香取か と り・銚子ち ょ う し圏域」とした。 計 画対象 区間 は、圏 域内 の一級 河川 のうち 、河 川法第 9条 第2項 の規 定によ り千葉 県知事が河川管理の一部を行う区間とする。 河川名 延長[㎞] 計 画 対 象 区 間 与田浦川 左:15.9 右: 13.6 横利根川からの分派点から常陸利根川 大須賀川 8.1 鹿之駒橋から利根川 上八間川 3.4 神崎町本宿工区用水機場付近から派川大須賀川 下八間川 3.8 派川大須賀川からの分派点から利根川 派川大須賀川 3.9 大須賀川からの分派点から利根川 小野川 5.8 香取市新市場地先堀土橋の上流無名橋から利根川 香西川 1.9 豊橋から小野川 黒部川 18.1 旭市溝原地先町道橋上流から利根川 桁沼川 3.5 東庄町羽計地先無名橋から黒部川 玉 川 3.4 香取市下飯田地先無名橋から黒部川 小堀川 5.3 香取市一ノ分目地先無名橋から黒部川 清水川 (香取市) 2.8 山川橋の上流無名橋から黒部川 中 川 1.3 遊仙橋上流から黒部川 高田川 2.5 銚子市三門町地先市道橋から利根川 三宅川 1.4 三宅橋から利根川 清水川 (銚子市) 1.6 市道飯沼長塚線武木田橋下流端利根川平 成 1 8 年 3 月 3 1 日 現 在
佐 原 市 、山 田 町 、栗 源 町 、小 見 川 町 が 合 併 し で 香 取 市 と な る 。 成 田 市 が 下 総 町 と 大 栄 町 を 編 入 合 併 。
第 2章 圏 域 の概 要
「利根川水系香取・銚子圏域」は、県の北西部に位置し、成田市な り た し(旧下総町し も う さ ま ち区域)、 香取市か と り し、旭市あ さ ひ し、銚子市ち ょ う し しおよび神崎町こ う ざ き ま ち、 東 庄 町とうのしょうまちの4市2町が関係している。圏域市町の 総面積は 544.83km2で県全体の約 10.6%であり、平成 13 年の人口は約 238,000 人で 県全体の約 4.0%となっている。主産業は農業である。 圏域内の低地は、約 1 万年程前の縄文時代には太平洋の浅海せ ん か いであり、当時の生活の 痕跡が貝塚として各所に残っている。それらの中には考古学上重要な遺跡が多くあり 、 香 取 市 阿玉台あ た ま だ い貝 塚 で は 縄 文 時 代 中 期 前 半 の 標 式 土 器 が 出 土 し て い る 。 飛鳥あ す か時 代 に は 、 農 耕 文 化 の 発 展 に 伴 い 各 地 に 有 力 な 豪 族 が あ ら わ れ 、 当 時 の 権 威 を 象 徴 す る 古 墳 が 香 取市の香取神宮周辺などに多く分布している。鎌倉時代中期より、利根川沿川で は河岸か し や 渡船場と せ ん じ ょ うが 発 達 し 、 特 に 江 戸 幕 府 成 立 後 、 利 根 川 の 東遷と う せ ん、 江 戸 川 の 開 削 事 業 に 伴 い 利 根 川 の 舟 運 が 発 達 し て き た 。 圏 域 で も 「 佐 原 み な と 」 「 小 見 川 河 岸 」 を は じ め と し た 各 河 岸 が 発 達 し 、 こ れ ら の 河 岸 を 中 心 と し て 現 在 の 町 が 形 成 さ れ て い る 。 と く に 銚 子 市 に お い て は 醤油し ょ う ゆと 漁 業 の 町 と し て 繁 盛 し て き た 。 舟 運 の 発 達 と と も に 街 道 の 整 備 も 進 み 、 こ れ が 、 江 戸 と 房総ぼ う そ う諸 国 の 結 び つ き を 一 層 密 に し 、 江 戸 文 化 や 学 者 の 往 来 を 盛 ん に し た 。 江 戸 時 代 後 期 に は 、 関 東 の 農 村 復 興 に 貢 献 し た 代 表 的 な 人 物 、 大原お お は ら幽学ゆ う が くが 香取郡長部な が べ村(現旭市)の復興に尽力した。また、香取市の出身である伊能い の う忠敬た だ た かは、我 が 国最初の詳密地図とも言える「大日本だ い に ほ ん沿海え ん か い輿地よ ち全図ぜ ん ず」を作った偉大な測量家である。 圏域の地形は、標高 40~50m の下総し も う さ台地と標高 1~4m 程度の利根川沿いの沖積平 野 で 形 成 さ れ て い る 。 地 質 は 主 に 砂 ・ シ ル ト ・ 粘 土 層 で あ り 、 下 総 台 地 の 表 面 に は 風 化火山灰層であるローム層が堆積している。 圏域の気候は海洋性気候区にある。平成元年から平成 10 年までの 10 年間の平均気 温は銚子市では 15.7℃、香取市では 14.5℃、年降水量は銚子市では約 1,700mm、香 取市では約 1,400mm となっており、太平洋側にいくに従い温暖で多雨である傾向が見 られる。 利 根川下 流部 や圏域 内の 河川の 一部 は水郷 筑波 国定公 園に 指定さ れて いる。 また、 利 根 川 の 神 崎 大 橋 か ら 水 郷 大 橋 ま で の 河 川 敷 と 丘 陵 地 が 、 県 立 大 利 根 自 然 公 園 に 指 定 さ れ て い る 。 銚 子 市 の 猿田さ る た神 社 の 森 に つ い て は 県 の 郷 土 環 境 保 全 地 域 に 指 定 さ れ て い る 。 香 取 市 の 小 野 川 周 辺 は 、 国 指 定 重 要 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 で あ り 、 伊 能 忠 敬 の 旧宅がある他、圏域内には大原幽学の旧宅、香取神宮本殿、 龍 正 院りゅうしょういん仁王門に お う も んなどの国 指 定 文 化 財 や 、 神 崎 の 大 ク ス 、 良文よ し ぶ み貝 塚 な ど の 国 指 定 天 然 記 念 物 を は じ め と す る 数 多 く の文化財がある。 土地利用については、利根川沿川を通る JR 成田線沿線に市街地が広がっており、 低地は水田、台地部は畑と山林となっている。第 3章 河 川 の現 状 と課 題
第 1 節 河 川 の 概 要
計画対象河川は、大須賀川お お す が が わ、小野川お の が わ、黒部川く ろ べ が わ、与田よ だ 浦川う ら が わ、高田川た か だ が わ、清水川し み ず が わの6 河川 とその支川の 10 河川であり、流域面積は合計約 283km2、総延長は約 80.2km となっ て い る 。 い ず れ の 河 川 も 勾 配 が 緩 や か で 、 市 街 地 を 流 れ る 区 間 以 外 は 硬 質 な 護 岸 の 少 ない河川であり、田園地帯をゆったりとながれている。 小野川と黒部川は香取市、桁沼川は東庄町、清水川は銚子市の中心部を流れている。 与 田浦 川は利 根川 の左岸 側に 位置し 、横よ こ利根川と ね が わか ら分派 し常陸ひ た ち利根川と ね が わに 合流す る流 域面積約 28km2、延長約 13.6km の河川である。与田浦川の流域はもともと利根川と 霞ヶ浦か す み が う らの 洪水こ う ず い氾濫原は ん ら ん げ んで あ っ た 広 大 な 湿 地 で あ り 、 与 田 浦 川 は こ れ を 干 拓 し た と き に 生 じた河川である。 大須賀川は、 両りょう総用水そ う よ う す い事業に伴い改修された河川であり、旧川は派川は せ ん大須賀川お お す が が わとし てその姿を残している。流域面積は約83km2、延長は約8.1km であり、下流は背割堤 により両総用水と房総道水路の取水路として兼用されている。また、支川の上八間川か み は ち け ん が わ、 下八間川し も は ち け ん が わも土地改良事業により整備された河川である。 小野川は香西川か さ い が わを支川として持ち、流域面積約 36km2、延長約5.8km の河川である。 上 流 部 は 香 西 川 と と も に 田 園 地 帯 を 流 下 し 、 下 流 部 で は 沿 川 に 伊 能 忠 敬 旧 宅 を 中 心 と した歴史を感じる町並みのある香取市の旧佐原市街地を流れている。 黒 部 川は 、圏 域 内で 最も 流 域面 積が 大 きな 河川 で あり 、流 域 面積 は約 103km2、延 長は約 18.1km、桁け た沼川ぬ ま か わ、玉川た ま か わ、小堀川こ ぼ り が わ、清水川し み ず が わ、中川な か が わの 5 つの支川がある。 黒 部川下 流部 は、貯 水池 として 整備 されて おり 広い水 面を 有して 緩や かな流 れとな っている。圏域の重要な水源として利用されている。 高田川は三宅川み や け が わを支川として持ち、流域面積約 27km2、延長約 2.5km の小規模な河 川 で あ る が 、 上 流 の 銚 子 市 が 管 理 す る 準 用 河 川 区 間 に お い て 水 道 用 水 の 開 発 を 目 的 に 白石ダムが建設されている。 銚子市の中心市街地を流れる清水川は、流域面積約 7km2、延長約 1.5km と、圏域 の一次支川の中で最も流域面積の小さい河川である。第 2 節 治 水 に 関 す る 現 状 と 課 題
本圏域は利根川沿いの低地であり、多くの河川は、農地の開拓とともに河道が形成 さ れ 、 香 取 市 の 旧 佐原さ わ ら市し街 や 旧 小見川お み が わ市し 街 な ど で は 舟 運 の た め 河 岸 が 石 積 み で 築 か れ ている。治水対策としては、昭和 33 年、昭和 46 年等の出水を契機に、河道改修が進 められている。また、地形的に内水被害を受けやすい特性を有している。 与田浦川は、霞ヶ浦の総合開発や土地改良事業等により改修されており、外浪逆浦 や 横 利 根 川 と の 間 に は 、 洪 水 排 水 及 び 逆 流 防 止 の た め の 水 門 及 び 排 水 機 場 が 設 置 さ れ ている。これにより、近年は家屋の被害等を伴う水害はほとんど発生していない。 大須賀川、派川大須賀川、上八間川、下八間川は昭和40年に完成した両総用水 事 業 及 び 土 地 改 良 事 業 等 に よ り 河 道 が 整 備 さ れ て お り 、 近 年 、 洪 水 に よ る 家 屋 へ の 浸 水 被 害 は ほ と ん ど 生 じ て い な い が 、 大 須 賀 川 の 利 根 川 合 流 点 か ら 仲 橋 の 間 で は 、 農 地 の 湛水被害防止のため土地改良事業により現在二次改修が行われている。 小野川については、川沿いの伝統的建造物保存のため、香取市の旧佐原市街部の河 道拡幅を避けて、市街地上流から流下する洪水を直接利根川に導く放水路を建設した 。 ま た 、 内 水 対 策 と し て 、 小 野 川 水 門 と 小 野 川 排 水 機 場 が 整 備 さ れ て い る 。 今 後 は 、 香 取 市 公 共 下 水 道 ( 雨 水 計 画 ) と 整 合 し た 市 街 地 内 の 河 道 の 治 水 安 全 度 の 向 上 が 必 要 である。 黒部川は、総合開発事業や平成11年の出水を契機とした災害復旧助成事業等に よ り 整 備 が 進 め ら れ て い る が 、 市 街 地 を 浸 水 被 害 か ら 守 る た め に 、 日 の 橋 付 近 中 流 部 及 び平成橋より下流の整備が必要である。 小堀川、桁沼川については、これまでの整備によって、近年、家屋への浸水被害 は ほ と ん ど 生 じ て い な い 。 ま た 、 内 水 対 策 と し て 、 一 之 分 目 揚 排 水 機 場 、 黒 部 川 排 水 機 場 、 豊 排 水 機 場 が 設 置 さ れ て い る 。 玉 川 下 流 域 の 家 屋 密 集 地 区 に お い て は 浸 水 被 害 が 発生しており、対策が求められている。 高田川、三宅川は昭和 54 年の集中豪雨を受けて下流部から市街地部にかけての河 道改修が完了しており、近年では顕著な浸水被害は発生していない。 銚子市の中心部を流れる清水川(銚子市)は、一部区間の改修が行われているが 全 体的に川幅がせまく、平成 4 年、平成 8 年等に浸水被害が発生している。現況河道は 既成市街地を貫流しており、JR 総武本線の横断や銚子大橋の上空占用などがあり、改 修が難しい状況である。 本圏域内の各河川は、これまでの河川の整備に伴って、浸水被害は減少傾向にある も の の 、 近 年 で も 被 害 は 発 生 し て お り 、 今 後 も 河 川 改 修 に よ り 被 害 の 軽 減 を 図 る 必 要 がある。第 3 節 河 川 の 利 用 に 関 す る 現 状 と 課 題
( 1 ) 流 水 の 利 用 圏域内の河川の多くでは、流水が農業用水として利用されている。 小野川及び香西川では農業用水最大 1.255m3/s、与田浦川では利根川から最大 6.264 m3/s が注水され農業用水として利用されているほか、自流を水源として農業用水最大 0.182 m3/s が取水されている。 黒部川については、水道用水として河川総合開発事業により 0.63 m3/s の水資源開 発が行われ、既得の水道用水源と合わせ 1.386 m3/s が取水されている。農業用水につ い て は 、 利 根 川 か ら の 注 水 に よ り 東 総 用 水 及 び 大 利 根 用 水 ほ か 既 得 用 水 の 水 源 と し て 最大 14.742m3/s が取水されている。また、黒部川自流を水源とした既得農業用水とし て支川と合わせ最大 3.548m3/s が取水されている。 高田川及び三宅川では、農業用水最大 0.431 m3/s が取水されている他、上流の銚子 市管理準用河川の区間において、ダムにより、0.092 m3/s の水資源開発が行われてお り、銚子市の水道に利用されている。 大須賀川及び支川の派川大須賀川、下八間川、上八間川では農業用水最大 2.647m3/s が 取 水 さ れ て い る 他 、 大 須 賀 川 下 流 部 が 両 総 用 水 及 び 房 総 導 水 路 の 導 水 路 と し て 兼 用 されている。 本圏域への水供給は、圏域内の河川のほか、利根川への依存が大きく、渇水時に お い て は 利 根 川 の 流 況 に よ る 影 響 が 大 き い 。 塩 害 に 関 し て は 、 利 根 川 河 口 堰 の 完 成 以 降 顕著な被害は発生していない。 圏域内の各河川では、黒部川及び小野川において水位観測が行われているのみで あ り 、 年 間 を 通 じ て の 流 量 観 測 は 行 わ れ て い な い 。 ま た 、 利 根 川 の 背水は い す いの 影 響 や 農 業 用 水 の 還 元 等 の 水 収 支 が 複 雑 で あ る こ と な ど に よ り 、 河 川 の 流 況 の 把 握 が 難 し く 、 現 時 点では流水の正常な機能を維持するために必要な流量は設定していない。 ( 2 ) 河 川 利 用 圏 域 内 の 河 川 利 用 状 況 と し て は 、 与 田 浦 川 と そ の 支 川 を 舟 で 巡 る 「 佐 原 ・ 加藤洲か と う ず 十 二 橋 じゅうにきょう め ぐ り 」 が 有 名 で あ り 、 ア ヤ メ の 季 節 に は 県 内 外 か ら 多 く の 観 光 客 が 訪 れ て い る。 小 野川下 流部 周辺の 重要 伝統的 建造 物群保 存地 区には 、伊 能忠敬 旧宅 や記念 館、残 したい日本の音百選に選ばれた樋橋と よ は し(じゃーじゃー橋)があり、小野川沿いの道路が散策 路 と し て 利 用 さ れ て い る 。 ま た 、 佐 原 の 大祭た い さ いの 際 に は 小 野 川 で 観 光 客 を 輸 送 す る た め の シ ャ ト ル 船 が 運 航 さ れ 、 現 在 、 観 光 船 と し て こ の シ ャ ト ル 船 の 常 時 運 航 を 目 的 と す る NPO 法人が設立されている。 黒 部川下 流は 、水上 スキ ー、カ ヌー 、ヨッ ト、 ボート など 、さま ざま な水上 スポー ツ に 利 用 さ れ て お り 、 貯 水 池 に お い て 香 取 市 の 市 民 レ ガ ッ タ を 始 め と す る ス ポ ー ツ イ ベ ン ト が 開 催 さ れ て い る 。 ま た 、 年 間 を 通 じ て 釣 り が 楽 し ま れ て お り 、 フ ィ ッ シ ン グ 大 会 等 の イ ベ ン ト も 行 わ れ て い る 。 東 庄 町 で は 、 黒 部 川 堤 防 に 遊 歩 道 の 整 備 、 オ オ ムラ サ キ ( ツ ツ ジ 科 ) や サ ク ラ の 植 裁 な ど 「 ふ る さ と の 川 づ く り 」 が 行 わ れ て お り 、 小
見川町には黒部川のJR成田線~昭和橋までの約 650m の区間に桜並木があり、花見
や散策路などに利用されている。
与田浦川においては張網などの漁業が行われている他、圏域内の各河川で魚釣りや 、 河川管理用通路や沿川の道路が散策路などとして利用されている。
水質経年変化 0 1 2 3 4 5 6 7 8 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 年度 B O D (75%値 ) 黒 部 川 水 門 A 類 型小 野 川 水 門 B 類 型 大 須 賀 川 ( 関 橋 ) A 類 型 高 田 川 (白 石 取 水 場 ) A 類 型
第 4 節 河 川 環 境 に 関 す る 現 状 と 課 題
( 1 ) 水 質 大須賀川、黒部川下流、清水川(香取市)、高田川が水質汚濁に関する環境基準の A 類型に、小野川、黒部川上流が B 類型に指定されている。 各河川の環境基準点における近年の水質観測結果で、環境基準(BOD)をほぼ満足 しているのは高田川である。 他の河川については、BOD 値で環境基準を満たしておらず、特に、水道水源となっ ている黒部川(貯水池)については水質汚濁が著いため、水環境改善緊急行動計画(清 流 ル ネ ッ サ ン ス 2 1 及 び 清 流 ル ネ ッ サ ン ス Ⅱ ) に 基 づ き 、 貯 水 池 及 び 流 入 河 川 で の 浄 化 対 策 及 び 、 生 活 排 水 対 策 や 畜 産 排 水 対 策 な ど の 流 域 対 策 を 行 な っ て き た と こ ろ で あ る が 、 市 街 化 及 び 地 域 の 主 要 産 業 で あ る 畜 産 業 の 進 展 等 に よ る 汚 濁 機 構 の 変 化 の 影 響 も あ り 、 目 標 水 質 の 達 成 に は 至 っ て い な い 。 こ の よ う な 状 況 か ら 、 黒 部 川 に つ い て は 今後も積極的な水質改善を図る必要がある。 ( 2 ) 自 然 環 境 圏域を貫流する利根川は、広大なヨシ原を中心に、多様な生物が生息する重要な環 境 と な っ て い る 。 利 根 川 に 合 流 す る 圏 域 内 の 各 河 川 に お い て も 、 利 根 川 と 連 続 し た 環 境 を 形 成 し て お り 、 オ オ セ ッ カ や ヒ ヌ マ イ ト ト ン ボ 等 の 利 根 川 下 流 部 の 特 徴 的 な 生 物 も確認されている。 現地調査や文献によれば、河川沿いの植生としてはヨシ・ススキなどの一般的なも の が 多 く 見 ら れ る 。 圏 域 内 の 各 河 川 に お い て 、 魚 介 類 に つ い て は 主 に コ イ 、 ギ ン ブ ナ が 多 く 、 ヨ シ ノ ボ リ 、 テ ナ ガ エ ビ 、 モ ク ズ ガ ニ な ど も 確 認 さ れ て い る 。 鳥 類 と し て は バ ン や チ ュ ウ サ ギ 、 カ ル ガ モ を 中 心 に 、 オ オ セ ッ カ 、 チ ュ ウ ヒ 、 コ ジ ュ リ ン な ど の 貴 重 種 も 確 認 さ れ て い る 。 ま た 、 昆 虫 類 で は ト ン ボ 類 や チ ョ ウ 類 な ど を 中 心 に 、 オ オ モ ノ サ シ ト ン ボ や ヒ ヌ マ イ ト ト ン ボ な ど の 希 少 種 が 確 認 さ れ て い る 。 こ の 他 、 小 野 川 で は セ キ シ ョ ウ モ 、 コ ウ ホ ネ 、 黒 部 川 の 河 口 で は タ コ ノ ア シ な ど の 希 少 な 植 物 も 確 認 さ れ て い る 。 大 須 賀 川 で は メ ダ カ な ど が 、 小 野 川 で は メ ダ カ や ツ チ フ キ 、 タ モ ロ コ な ど が 、 与 田 浦 川 で は ホ ト ケ ド ジ ョ ウ 、 ヌ マ チ チ ブ な ど が 、 黒 部 川 で は シ マ ド ジ ョ ウ 、 ス ゴ モ ロ コ 、 マ シ ジ ミ な ど が 、 高 田 川 で は ホ ト ケ ド ジ ョ ウ や メ ダ カ な ど の 魚 介 類 が 確 認 されている。第 4章 河 川 整 備 計 画 の目 標 に関 する事 項
第 1 節 洪 水 に よ る 災 害 の 発 生 の 防 止 又 は 軽 減 に 関 す る 事 項
洪 水によ る災 害の発 生の 防止又 は軽 減に関 する 目標に つい ては、 1時 間に5 0mm の 降 雨 に 対 す る 整 備 を 行 う こ と と す る が 、 黒 部 川 と そ の 支 川 で は 、 近 年 の 平 成 1 1 年 1 0 月 の 豪 雨 に よ り 、 ま た 、 銚 子 市 の 清 水 川 で は 、 平 成 4 年 1 0 月 の 台 風 1 8 号 で 大 きな浸水被害が発生したことから、被災実績に対応できる整備を行なうこととする。 【小野川流域】 小野川は、制水門より下流域に対し香取市公共下水道(雨水)と整合した、 1時間に50mmの降雨に対し、市街地の浸水被害を軽減させることを目標とす る。 なお、平成16年度に放水路が完成し、制水門により上流域からの洪水は全て 放水路から利根川へと放流されるため、この整備目標により制水門下流において も近年の平成11年10月相当の豪雨に対し、河川からの越水を防止することが できる。 【黒部川流域】 黒 部 川 及 び そ の 支 川 に つ い て は 、近 年 の 平 成 1 1 年 1 0 月 の 豪 雨 に よ る 被 災 実 績 に 対 応 で き る 整 備 を お こ な い 、家 屋 等 の 浸 水 被 害 を 防 止 す る こ と を 目 標 と す る 。 【清水川(銚子市)】 清水川(銚子市)は、近年の平成 4 年 10 月の台風 18 号による被災実績に対応で きる整備をおこない、家屋等の浸水被害を防止することを目標とする。第 2 節 河 川 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 に 関 す る 事 項
圏 域内河 川の 流水の 利用 では、 渇水 や塩害 によ る農業 への 大きな 影響 は近年 特に生 じておらず、動植物の生息・生育環境への顕著な影響も発生していないと考えられる。 このため、当面は現在の平常時の流量を保持するよう監視を行うとともに、流水 の 正 常な機能を維持するために必要な流量設定のため調査、検討を実施していく。
第 3 節 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 に 関 す る 事 項
河 川の整 備に おいて は、 周辺の 自然 環境に 配慮 すると とも に、良 好な 水質や みお筋 を 保 全 す る な ど 、 動 植 物 の 生 育 と 生 息 環 境 の 確 保 に 努 め る 。 ま た 、 河 川 の 工 事 に お い て は 、 生 物 の 多 様 な 生 息 ・ 生 育 環 境 の 保 全 ・ 回 復 を 図 る と と も に 、 水 郷 ら し い 河 川 景 観の継承等を地域住民、関係機関等と連携して取り組む。 水 質の保 全に ついて は、 各河川 の環 境基準 を達 成する こと を目標 とし 、現在 、類型 指 定 さ れ て い な い 河 川 に つ い て も 水 質 の 監 視 に 努 め る 。 黒 部 川 に お い て は 、 第 二 期 水 環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)に基づき、水質の向上に努める。 こ の他、 河川 空間や 河川 に関わ る観 光、イ ベン トなど に配 慮し、 人々 が川と ふれあ い親しむことの出来る川づくりに努める。第 5章 河 川 の整 備 の実 施 に関 する事 項
第 1 節 河 川 工 事 の 目 的 、 種 類 及 び 施 行 の 場 所
( 1 ) 河 川 工 事 の 目 的 大 雨によ る浸 水被害 の解 消と軽 減を 図り、 洪水 を安全 かつ 速やか に利 根川に 排水す るため、河道の流下能力の増大を図ることを目的として河川工事を行う。 河 道の整 備に 当たっ ては 、動植 物の 良好な 生息 環境を 創出 すると とも に、地 域にお ける適正な河川利用を考慮した施設を配置する。 水質改善の要請が特に高い河川においては、河川水の浄化を目的とした整備を行う。 ( 2 ) 河 川 工 事 の 種 類 河 道の流 下能 力増大 のた めの工 事は 、築堤 、掘 削、護 岸工 等の河 道改 修及び 放水路 工事とする。 水質改善を目的とする工事は、植生護岸とする。 ( 3 ) 河 川 工 事 の 施 行 の 場 所 河川工事の施行の場所は、下表に示す区間とする。 河 川 工 事 の 施 行 の 場 所 河 川 名 施 行 場 所 延 長 整 備 内 容 小 野 川 利 根 川 合 流 点 ~ 牧 野 制 水 門 約 2 . 9 k m 河 床 掘 削 、 護 岸 、 築 堤 貯 水 池 部 - 直 接 浄 化 施 設 、 植 生 護 岸 黒 部 川 小 堀 川 合 流 点 ~ 平 成 橋 約 2 . 1 k m 河 床 掘 削 日 之 橋 ~ 光 土 橋: 左 岸 約 0 . 5 k m 河 道 拡 幅 、 築 堤 玉 川 玉 川 橋 ~ 提 橋 約 0 . 5 k m 河 道 拡 幅 、 河 床 掘 削 、 築 堤 清 水 川 ( 香 取 市 ) 山 川 橋 付 近 約 0 . 4 k m 河 床 掘 削 、 護 岸 清 水 川 ( 銚 子 市 ) 利 根 川 合 流 点 ~ 武 木 田 橋 約 1 . 6 k m 河 道 拡 幅 、 河 床 掘 削 、 護 岸第 2節 当 該 河 川 工 事 の施 行 により設 置 される河 川 管 理 施 設 の機 能 の概 要
【小野川流域】
制 水門上 流か らの洪 水の 全量を 放水 路によ って 利根川 に排 水し、 下流 市街部 の外水 氾濫による被害の防止と、上流域の農地の浸水被害軽減を図る。 利 根川合 流部 から制 水門 までの 河道 は、計 画規 模の降 雨に よる香 取市 街地部 からの 流 出 量 を 安 全 に 流 下 さ せ る も の と す る 。 河 川 工 事 に 当 た っ て は 、 水 辺 の 環 境 学 習 や 沿 川 の 散 策 、 観 光 船 の 乗 降 等 の 河 川 利 用 を 考 慮 し た 整 備 を 香 取 市 と 連 携 し て 実 施 す る 。 な お 、 利 根 川 合 流 部 か ら 学 校 橋 ま で の 間 で 地 元 が 計 画 し て い る 観 光 船 の 運 航 に 配 慮 す ることとする。 計画流量配分図代表断面図 [放水路部]
[小野川 新橋上流]
【黒部川流域】
黒 部川と その 支川で ある 中川、 清水 川及び 玉川 につい て、 河道の 整備 により 計画規 模の洪水の安全な流下を図る。 河 岸は、 可能 な範囲 で勾 配を緩 やか にして 植生 の再生 を図 り、水 域か ら陸域 への連 続性を確保し、動植物の良好な生息環境を創出する。 直 接浄化 施設 は、貯 水池 部にお いて 流水を 浄化 し、既 設の 直接浄 化施 設とと もに、 水環境改善緊急行動計画の目標とする水質の確保に資する。 黒部川計画流量配分図代表断面図 [黒部川 平成橋下流付近] [黒部川 光土橋下流付近] [玉川 玉川橋上流付近] [清水川(小見川町) 山川橋付近] H.W.L:計画高水位 M.W.L:平常時水位 :現況河道断面 :整備計画断面 凡 例
河 川 区 域 約 5 ~ 2 0 m 4 m 都 市 公 園 0 .3m