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中国沿海部の投資環境調査

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アジア業務相談室情報

Vol.22

(15−3)

SHINKIN CENTRAL BANK

総合研究所

(アジア業務相談室) 〒104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1 TEL.03-3563-7547 FAX.03-3563-7551 URL http://www.scbri.jp

S C B

(2003.9.10)

中国華北地域の投資環境

−天津市の現況−

日本の 25 倍の国土面積を持つ中国で自社の経営戦略上の投資最適地を見出すには、各地域の特 性を十分に考慮する必要があります。信用金庫取引先が多く進出する沿海部においては、少なく とも華北・華東・華南の3地域に分類して投資環境を比較検討する必要があります。 今回は、携帯電話を中心とする情報通信産業、トヨタによる自動車生産開始などで注目される 「天津市の現況」について昨年 11 月に実施した現地調査の結果を交えて報告します。 1.天津市概況 (1)天津市は面積 1.2 万 k ㎡、人口 919 万人、中国最大の人口港を持つ中央政府直轄市です。 市内全域に開発区を設置して工業化を進めており、02 年はGDP2,023 億ドル(成長率 12.6%)、直接投資契約額 58.1 億ドルを達成しています。 (2)華北の北京市・天津市・河北省を合わせた経済圏は中国GDPの約1割を産出していま す。長江デルタ・珠江デルタの工業生産力・輸出競争力には及びませんが、08 年の北京五 輪開催を控え、高い購買力を持つ経済圏として成長が期待されます。 2.天津市の開発区 (1)濱海新区は上海・浦東新区に倣い 94 年から開発が進められている天津港を中心とした経 済区域で、02 年は全市GDPの4割を産出するまで拡大しています。上海市への直接投資 が浦西地区にも分散しているのに対し、天津市では濱海新区に集中する傾向があります。 (2)天津経済技術開発区(TEDA)は濱海新区の中核となる国家級開発区で、開発区外に 設置された投資小区を含め、省級の行政権限を持つTEDA管理委員会により一元的に管理 されています。 (3)TEDAでは、開発区の柱となる情報通信・自動車産業を支える中小の部品産業・裾野 産業を育成するために、投資誘致姿勢を中小企業重視に転じています。TEDAおよび周辺 の開発区は、華北に立地するセットメーカーへの部材供給と天津港からの日本向け輸出の両 方を行う自動車・電子部品メーカーにとって進出候補地として検討に値すると思います。 3.合弁企業設立のメリット∼信用金庫取引先からのヒアリング 96 年に天津市に進出し合弁会社を経営する信用金庫取引先を訪問し、中国国内販売を志 向する場合の合弁企業のメリットについて聴取しました。中国市場での業績拡大の秘訣は、 信頼の置けるパートナーの存在と成果主義にもとづく社員・従業員に対する利益の平等な配 分という言葉が強く印象に残りました。

(はじめに)

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天津市概況 1.天津市の概要 (1)面積・人口 図表1:天津の位置図 (出所)天津統計信息網 燕山山脈 イ.面積 11,920k ㎡ ※中国全体(960 万 k ㎡)の 0.12% ロ.戸籍人口 919 万人(02 年末) ※中国全体(12.8 億人)の 0.72% なお、常住人口は 1,007 万人 ハ.人口密度 771 人/k ㎡(02 年末) (2)位置・気候 イ.位置 天津市は華北平原東北部、海河の下流 域に位置します(北緯 38 度 34 分∼40 度 15 分、東経 116 度 43 分∼118 度 04 分)。 東部は渤海に臨み、北部には燕山山脈に 続く標高千m級の山地があります。市中 心部から北京までわずか 137km で、首都 の玄関口と呼ばれます。 ロ.気候 天津市は温帯半湿潤モンスーン型気候 に属します。年平均気温は 12∼13℃です が、夏は高温(7月平均気温 26℃)、冬 は寒冷(1月平均気温−4℃)となりま す。年降水量は 400∼600 ㎜と比較的少雨 です。 (3)行政区画 中央政府直轄市・天津市の行政区画は 15 市轄区(中心区6区、濱海3区、その他市区 6区)および3市轄県により構成されます。 図表2:区県別面積、人口 (単位:k ㎡、万人、人/k ㎡) 区県名 面積 戸籍人口 人口密度 区県名 面積 戸籍人口 人口密度 中心区 168 374 22,266 その他市区 4,993 277 555 和平区 10 44 43,923 東麗区 477 32 639 河東区 38 65 16,701 西青区 535 31 543 河西区 34 71 19,052 津南区 420 37 951 南開区 38 77 19,795 北辰区 478 32 663 河北区 27 61 22,592 武清区 1,574 80 510 紅橋区 21 56 26,567 宝ディ区 1,509 65 430 濱海3区 2,257 97 430 市轄県 4,502 166 369 塘沽区 758 47 618 寧河県 1,429 36 250 漢沽区 442 17 380 静海県 1,482 50 341 大港区 1057 33 317 薊県 1,591 80 501 合計 11,920 914 765 (備考)1.人口、人口密度は 01 年末現在 2.天津統計年鑑にもとづき作成 (4)交通インフラ イ.天津港 中国最大の人工港・天津港は、面積 200 k ㎡、74 ヵ所のバースのうち 50 ヵ所に1万ト ン級の船が停泊できます。特に、天津新港内は 10 万トン級の大型船舶の航行・停泊が可 能となっています。また、市内を流れる海河は5∼7千トン級の船舶が遡航可能です。

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天津港の 02 年貨物取扱高は 1.3 億トンと上海、寧波、広州に次いで国内第4位であり、 コンテナ取扱高も 241 万 TEU(20ft コンテナ換算)と上海、深セン、青島に続き同第4位 となっています。天津市政府は今後8年間に 160 億元を追加投資し、2010 年には年間貨 物取扱高 2.6 億トン、20 万トン級の船舶が接岸可能な世界一流の深水港建設を目指して います。 図表3:沿海部主要港の規模および貨物取扱状況 (単位:ヵ所、百万トン、万 TEU) バース数 貨物取扱高 コンテナ取扱高 港名 1万㌧級 00 年 01 年 02 年 00 年 01 年 02 年 上海港 228 71 204 221 264 561 634 861 寧波港 66 19 115 129 154 − 121 186 広州港 130 32 111 128 153 − 174 217 天津港 74 50 96 113 129 − 201 241 青島港 49 32 86 104 123 − 264 341 大連港 101 39 91 100 109 − 122 135 深セン港 128 39 57 66 88 399 508 762 (備考)1.バース数は 01 年末現在、コンテナ取扱高の 00 年実績は上海港・深セン港のみ 2.中国統計年鑑、02 年中国道路水路交通業発展統計方法にもとづき作成 ロ.鉄道・道路・空港 天津市は、京山(北京−山海関)線、京滬(北京−上海)線、京九(北京−九龍・香港)線等 複数の鉄道幹線が交差する鉄道輸送の要所となっています。天津−北京間は高速列車によ り所要時間 70∼90 分で結ばれています。 天津市には京津塘(北京−天津−塘沽)高速道路など4本の国道主幹線が通っています。 この他、中心区と囲む環状道路と郊外の区県へ延びる7本の放射道路により幹線道路網が 形成されており、中心区からの所要時間は北京まで約 90 分、TEDAがある塘沽まで約 30 分です。 天津濱海国際空港は、年間旅客輸送能力 200 万人、貨物取扱能力8万トンを誇る大型国 際空港で、日本からの直行便は名古屋空港から週2便就航しています。 2.天津市の経済状況 (1)GDPの推移と産業構造の変化 02 年の天津市のGDPは 2,023 億元となり、成長率 12.5%を達成しました。過去 10 年間の GDP成長率は 98 年を除き2桁成長率を達成しています。成長率 12.5%は過去6年間で最高 です。1人あたりGDP22,068 元(前年比 1,914 元増)は全国の省・直轄市中、上海市、北 京市に次いで第3位です。03 年上期の実績はSARS要因による第3次産業の落ち込みが第 2次産業の増加によりカバーされ、GDP成長率は前年同期比 12.6%増となっています。 80 年には第2次産業がGDPの 70%を占めましたが、第3次産業の比重が徐々に高まって おり、02 年には第2次産業 48.4%に対し第3次産業 47.5%と 0.9 ポイント差まで縮小してい ます。 図表4:GDPの推移 (単位:億元、%、元) GDP 1 人あたり 年 成長率 第1次産業 第2次産業 第3次産業 GDP 80 104 10.0 7(6.3) 72(70.0) 25(23.7) 1,392 85 176 10.6 13(7.4) 114(65.0) 49(27.6) 2,198 90 311 5.4 27(8.8) 180(57.7) 104(33.5) 3,621 95 918 14.9 61(6.6) 501(54.6) 356(38.8) 10,281 98 1,336 9.3 74(5.5) 660(49.4) 602(45.1) 14,808 99 1,450 10.0 71(4.9) 712(49.1) 667(46.0) 15,976 00 1,639 10.8 73(4.5) 820(50.0) 746(45.5) 17,993 01 1,840 12.0 79(4.3) 905(49.2) 857(46.5) 20,154 02 2,023 12.5 84(4.1) 979(48.4) 960(47.5) 22,068 03/1-6 1,079 12.6 36(3.3) 578(53.5) 465(43.2) 23,488 (備考)1.カッコ内はGDPに占める各産業の比率 2.天津統計年鑑、天津市統計公報等にもとづき作成

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(2)直接投資動向 イ.直接投資額の推移 天津市への外国直接投資は 97 年以降横ばいとなりましたが、00 年以降増加基調に転じ、 02 年実績は契約件数 816 件(前年比 32%増)、契約金額 58.1 億ドル(同 26%増)と好調 でした。03 年上期は、契約件数が 490 件で前年比 40.4%増、投資契約額および実行額は 02 年 10 月に実施された外資利用額の計上基準変更(第三者からの借入金を直接投資額に 含めなくなった)の影響により表面上は前年比マイナスとなりましたが、前年実績を新基 準に修正して比較すると、契約額は前年比 110%増、実行額は同 88%増となります。 図表5:外国直接投資額の推移 (単位:件、億ドル) 年 96 97 98 99 00 01 02 03/1-6 投資契約件数 1,084 1,056 859 575 626 618 816 490 投資契約額 39.2 38.5 36.3 36.2 46.0 46.3 58.1 19.3* 投資実行額 20.1 25.1 25.2 25.3 25.6 32.2 38.1 9.6* (備考)1.03/1-6(*印)は新基準による実績 2.天津統計年鑑、天津市統計公報等にもとづき作成 ロ.業種別、国・地域別投資状況 業種別直接投資はこれまで第2次産業(製造業)が中心でしたが、最近は第3次産業(サ ービス業)への投資が増加する傾向にあります。03 年上期実績(新基準)では第2次産業、 第3次産業ともに前年比 110%増となっています。 図表6:業種別投資状況(投資契約額) (単位:件、億ドル) 年 合計 第1次産業 第2次産業 第3次産業 00 46.0 0.0 39.8 6.1 01 46.3 0.2 37.9 8.2 02 58.1 0.0 38.6 19.5 03/1-6 19.3* 0.1 11.8* 7.5* (備考)1.03/1-6(*印)は新基準による実績 2.天津統計年鑑および 02 年天津市統計公報にもとづき作成 00 年の国別・地域別直接投資契約額は米国が最大でしたが、01 年以降は香港が逆転し ています。日本は韓国とともに3番手グループにつけています。韓国は小規模の投資が多 く、契約件数は最多となっています。 図表7:国・地域別投資状況 (単位:件、億ドル) 年 合計 日本 香港 米国 韓国 台湾 契約件数 626 47 94 149 162 51 00 契約額 46.0 1.9 16.5 21.3 1.2 0.5 契約件数 618 57 86 110 152 68 01 契約額 46.3 3.0 23.0 8.6 3.9 1.6 契約件数 678 68 99 84 169 67 02 (1-10) 契約額 49.6 3.5 20.9 5.9 3.0 3.1 契約件数 385 52 47 52 108 22 03 (1-5) 契約額 14.8 1.5 4.6 1.3 1.3 0.8 (備考)1.02/1-10 は旧基準、03/1-5 は新基準による実績 2.天津統計年鑑、外経貿津網のデータにもとづき作成 (3)長江デルタ・珠江デルタとの比較 華北の北京市・天津市・河北省の3省市では中国GDPの約1割を産出しています。ほぼ 同面積の華東・長江デルタ(上海市・江蘇省・浙江省)、華南・珠江デルタ(広東省)と比 較すると、工業生産力と輸出競争力は及ばないものの、08 年の北京五輪に伴う経済効果も見 込まれ、サービス産業が発達し、高い購買力を持つ経済圏として成長が期待されます。 4つの中央政府直轄市のうち北京市・上海市・天津市は3兄弟に例えられますが、3番目 の天津市は経済規模において兄2人に若干水を開けられています。近年著しい成長を遂げて いる珠江デルタ、長江デルタの中核都市の広東省広州市・深セン市および江蘇省蘇州市は、 省轄市ながらGDP総額において直轄市の天津市・重慶市を凌ぐ規模に拡大しています。こ のため、都市別GDPランキングで天津市は第6位にランクされます。

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図表8:華北・華東・華南地区の経済力比較(02 年) GDP 面積 人口 総額 1人 あたり 工業 付加 価値額 輸出額 固定 資産総 投資額 社会消 費財小 売総額 外国直 接投資 実行額 万 k ㎡ 百万人 千億元 千元 千億元 億㌦ 千億元 千億元 億㌦ 全 国 960 1,285 102.4 8.0 45.9 3,256 43.2 40.9 527 華北(北京市・天津市 21.6 87.9 11.2 12.8 4.4 288 4.7 4.7 64 ・河北省) 比率(%) 2.3 6.8 11.0 − 9.7 8.8 10.8 11.4 12.2 華東(上海市・江蘇省 21.1 131.1 23.7 18.1 10.6 999 9.5 8.1 186 ・浙江省) 比率(%) 2.2 10.2 23.2 − 23.2 30.7 21.9 19.9 35.2 華南(広東省) 17.8 78.6 11.7 14.9 5.2 1,185 3.9 5.0 116 比率(%) 1.9 6.1 11.4 − 11.4 36.4 9.1 12.2 22.1 (備考)各省市統計公報等にもとづき作成 図表9:主要都市の概況(02 年) 都市名 面積 戸籍 人口 GDP 総額 1人 あたり GDP 固定資 産総投 資額 工業 付加価 値額 社会消 費財小 売総額 輸出額 外国直 接投資 実行額 ランク k ㎡ 万人 億元 元 億元 億元 億元 億㌦ 億㌦ 上海市 直轄市 6,341 1,335 5,409 40,639 2,158 2,313 2,035 320.6 50.3 北京市 直轄市 16,800 1,136 3,130 27,746 1,814 870 1,745 126.1 17.9 広東省広州市 副省級 7,434 717 3,002 41,857 1,001 1,068 1,371 137.8 22.8 広東省深セン市 副省級 1,953 139* 2,239 46,030 747 1,072 690 465.6 31.9 江蘇省蘇州市 地区級 8,488 584 2,080 35,700 810 − 452 185.2 48.1 天津市 直轄市 11,920 919 2,023 22,068 812 886 941 116.0 38.1 重慶市 直轄市 82,400 3,107 1,971 6,353 997 651 763 10.9 2.8 浙江省杭州市 副省級 16,596 637 1,780 28,121 769 773 524 84.8 6.5 四川省成都市 副省級 12,390 1,028 1,663 16,239 702 598 460 12.2 4.0 江蘇省無錫市 副省級 4,650 439 1,602 36,632 538 797 444 51.4 17.4 山東省青島市 副省級 10,654 716 1,518 21,291 478 681 401 105.7 23.8 浙江省寧波市 副省級 9,365 546 1,500 27,541 601 750 463 81.6 12.5 湖北省武漢市 副省級 8,467 764 1,493 19,611 570 534 770 10.9 8.6 (備考)1.深セン市の常住人口は 504 万人(1人あたりGDPは常住人口ベース) 2.蘇州市の工業付加価値額はデータなし(工業総生産額は 5,087 億元) 3.中国統計年鑑および各市統計公報にもとづき作成 天津市の開発区 1.天津市内の開発区 天津市の国家級開発区は、00 年に天津輸出加工区がTEDA内に新設され、02 年に北辰 区内の2園区(北辰区経済開発区、北辰科技工業園区)が合併し国家天津北辰科技園区に改 組されたことで合計7ヵ所となりました。 天津市轄の 18 区・県にはそれぞれ市級開発区が設置されています。なお、市轄区内の市 級開発区(下表※印)では、天津開発区総合性優恵政策にもとづき国家級開発区と同等の優 遇措置を享受できます。 図表 10:天津市内の主要開発区(市級以上) 開発区名 所在地 ランク 設立 計画面積 重点産業 天津新技術産業園区 中心区 国家級 88 年 22k ㎡ 電子・情報、光機電一体化、新素材、 新エネルギー、環境保護、航空等のハ イテク産業 天津経済技術開発区 (TEDA) 塘沽区 他 国家級 84 年 130k ㎡ 電子、電気、軽工業、ファインケミカ ル、食品、新型建材、新技術開発等 天津港保税区 塘沽区 国家級 91 年 7k ㎡ 国際貿易、保税倉庫、輸出加工等 天津輸出加工区 塘沽区 国家級 00 年 2k ㎡ 輸出加工 天津塘沽海洋高新技術 開発区 塘沽区 国家級 92 年 24k ㎡ 海洋科学技術を中心とするハイテク産 業 天津漢沽経済開発区 漢沽区 市級※ 92 年 2k ㎡ 軽工業、海洋石油化学、ファインケミ カル、合成材料等

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開発区名 所在地 ランク 設立 計画面積 重点産業 天津大港経済開発区 大港区 市級※ 92 年 2k ㎡ 電子 天津東麗経済開発区 東麗区 市級※ 92 年 2k ㎡ 電子、軽工業、食品、機械等 天津西青経済開発区 西青区 市級※ 92 年 8k ㎡ 電子、機械、食品等 天津津南経済開発区 津南区 市級※ 92 年 14k ㎡ 電子、化学、製紙等 国家天津北辰科技園区 北辰区 国家級 02 年 17k ㎡ 機電一体化、新素材、電子、バイオテ クノロジー等 天津武清高新技術開発 区 武清区 国家級 91 年 25k ㎡ 電子、機電一体化、バイオテクノロジ ー、新型建材、新エネルギー等 天津宝ディ経済開発区 宝ディ区 市級※ 92 年 10k ㎡ 機械、電子、軽工業、食品、ハイテク 製品等 天津寧河県経済開発区 寧河県 市級 92 年 2k ㎡ 機械、電子、軽工業、食品等 天津静海経済開発区 静海県 市級 92 年 14k ㎡ 軽工業、ハイテク産業 天津薊県経済開発区 薊県 市級 92 年 5k ㎡ 緑色食品、新型建材等 (備考)天津の窓(天津市各開発区)等にもとづき作成 2.濱海新区 天津市は上海の浦東新区開発に倣い、濱海新区の開発を 1994 年3月に決議しました。濱海新 区は、天津市東部の海浜地区に立地する総面積 2,270k ㎡に及ぶ経済区域で、天津経済技術開発 区、天津港、天津港保税区、塘沽区、漢沽区、大港区および海河下流工業区(東麗区、津南区 の一部を含む)により構成されます。 当初設定した数値目標は 10 年後の 04 年までにGDPが全市の 40%、輸出額が全市の 50%を 占めることでしたが、輸出額は 01 年(7年目)に全市の 50%を突破、GDPも 02 年(8年目) に全市の 40%を超えるなど、目標を前倒しで達成しています。 図表 11:天津・濱海新区と上海・浦東新区の比較 天津・濱海新区 上海・浦東新区 設置時期 94 年2月 90 年4月 面積 2,270k㎡(全市の 19.1%) 522.75k㎡(全市の 8.2%) 戸籍人口 105.4 万人(全市の 11.5%) 168.6 万人(全市の 12.7%) 人口密度 464 人/k ㎡(全市は 914 人/k ㎡) 3,253 人/k ㎡(全市は 2,093 人/k ㎡) 02 年 総 額:813 億元(全市の 40.2%) 02 年 総 額:1,251 億元(全市の 23.1%) 成長率:20.1%(全市は 12.5%) 成長率:16.7%(全市は 10.9%) 01 年 総 額:667 億元(全市の 36.3%) 01 年 総 額:1,082 億元(全市の 21.9%) 区内GDP 成長率:17.8%(全市は 12.0%) 成長率:16.1%(全市は 10.2%) 輸出額 02 年 72.0 億ドル(全市の 62.1%) 02 年 136.0 億ドル(全市の 42.4%) 01 年 54.3 億ドル(全市の 57.2%) 01 年 110.0 億ドル(全市の 42.1%) 02 年 38.9 億ドル(全市の 66.9%) 02 年 26.7 億ドル(全市の 25.2%) 外 国 直 接 投 資契約額 01 年 32.0 億ドル(全市の 69.2%) 01 年 20.0 億ドル(全市の 27.1%) 国 家 級 開 発 区 天津経済技術開発区、天津保税区、天津輸出 加工区、塘沽海洋高新技術開発区 外高橋保税区、金橋輸出加工区、陸家嘴金融 貿易区、張江高科技園区 (備考)戸籍人口・人口密度は 01 年末現在、上海市統計年鑑等にもとづき作成 濱海新区よりも早期に開発が始まった上海・浦東新区では区内GDP総額、輸出額ともに濱海 新区を上回りますが、全市における比率はGDPが 20%台、輸出も 40%台で濱海新区の様に一 極化が進んでいません。天津市では経済成長の原動力となる外国からの直接投資の7割近くが 濱海新区に集中しているのに対し、上海市では浦東新区への直接投資は全市の4分の1程度に 過ぎず、浦西地区(松江・嘉定等)にも古くから投資が分散しています。 3.天津経済技術開発区(TEDA) (1)TEDAの概要 天津経済技術開発区(TEDA)は 84 年 12 月に国務院の批准により設立された中国最初の 国家級経済技術開発区の1つで、天津・濱海新区の中核となっています。国家から付与された 優遇政策により国内外から多くの投資を集め、ハイテク産業を中心とする工業が発達していま す。開発区内では、省級の行政・経済管理権限を持つTEDA管理委員会(天津市政府の出先 機関)が一元的な管理を実施しています。

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95 年には投資環境を更に改 善し、投資家に対し多様なニ ーズに即した投資機会を提供 するために、3つの投資小区 (微電子工業区、逸仙科学工 業園、化学工業区)を設置し ています。投資小区はTED A管理委員会により統一的に 管理され、小区内企業はTE DA本体と同様の優遇措置を 享受できます。 図表 12:TEDA(本体)および投資小区 (出所)天津開発区投資網 TEDAでは、開発区面積 を拡張するために、従来の開 発区の西隣りに天津経済技術 開発区(西区)の建設を決定 しています。03 年6月から基 礎施設の建設に着手し、03 年 末まで中外企業が投資建設を 行うための基本条件を満たす 予定です。 図表 13:TEDAの開発区 名称 所在地 計画 面積 説明 天津経済技術開発区 (TEDA) 本体 40 k ㎡ 84 年 12 月に設立された天津市の中核となる開発区 2002 年実績:GDP380 億元、輸出額 57 億ドル 外資企業:認可累計件数 3,518 社、投資契約累計額 171 億ドル 支柱産業:電子電気、食品飲料、医薬化学、機械製造 ハイテク製品占有率:工業総生産額の 60%、輸出額の 58% 位置:天津市中心区まで 40 ㎞、北京国際空港まで 145 ㎞ 天津輸出加工区 TEDA 内 2.5k ㎡ 00 年4月に国務院の批准により設置された 15 ヵ所の輸出加工 区の1つ、通関・外貨管理・税務等の優遇措置を享受可能 天津大学科技園 TEDA 内 0.3k ㎡ 99 年 11 月に設置された 15 ヵ所の国家級大学科技園の1つ、 TEDA管理委員会と天津大学が共同で建設 濱海金融服務区 TEDA 内 0.5k ㎡ 03 年6月に完成した金融サービス街区、銀行・保険・会計士 事務所等が 100 社以上入居し濱海新区の金融センターとなる 予定 天津経済技術開発区 (西区) TEDA の西隣 48k ㎡ 03 年6月よりインフラ建設を開始、天津港と天津国際空港の 中間、縦横に高速道路が通り立地条件は良好 微電子工業区 西青区 1.8k ㎡ 中心区付近に立地する環境保護型の工業区、IC・コンピュー タ周辺機器・通信機器・測定機器・バイオテクノロジー等のハ イテク産業向き 逸 仙 科 学 工業 園 区 武清区 10k ㎡ 北京−天津間のハイテク回廊に所在、中心区へ 25 ㎞・北京へ 72 ㎞と立地条件良好、電子・自動車部品・包装等が中心 投 資 小 区 化学工業区 漢沽区 30k ㎡ TEDA を補完にするために設置された化学工業専用の工業区、 海洋化学・石油化学・ファインケミカル等のプロジェクトを集 約する予定 (備考)天津開発区投資網等にもとづき作成 (2)中小企業重視に転じているTEDAの投資誘致姿勢 これまでTEDAは大企業優先の投資誘致姿勢が目立ちましたが、携帯電話に代表される 情報通信産業の発展やトヨタ自動車による天津での乗用車生産開始を契機に 2000 年以降、 大企業だけでなく中小のサポーティング・インダストリーの進出を重視する方向に政策を転 換しています。 TEDAではハイテク産業向けを中心とする投資優遇策を内資・外資の分け隔てなく享受

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できるだけでなく、これまで若干割高だった土地使用権分譲価格や工場賃貸料についてもイ ニシャルコストを低く抑えられるように配慮されています。このため、TEDAおよび周辺 の開発区は、京津唐(北京・天津・唐山)地区に立地するセットメーカーへの部材供給と天 津港からの日本向け輸出の両方を行う自動車・電子部品メーカーにとって進出候補地として 検討に値すると思います。 以下は、02 年 11 月にTEDA経済発展局を訪問した際に聴取した内容を整理したもので す。 イ.94 年から 02 年までの8年間、天津市は「外資を導入し国有企業を改造する」方式で経 済発展を遂げた。この間、多数の多国籍企業が天津に進出し国有企業との合弁企業を設立 した。トヨタ、松下、三洋、オーティス、ホンダ(二輪)などは国有企業との合弁形態で ある。また、モトローラのように独資企業として進出したケースもある。大手企業誘致に 力を入れた結果、モトローラ、三洋、三星といったIT企業が柱産業に成長したことから、 天津の経済発展は大企業にもたらされたというイメージが強い。 図表 14:TEDAに投資する世界 500 大企業 国名 企業名 日本 トヨタ自動車、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、本田技研、松下電器、日 商岩井、三菱電機、キャノン、ダイエー、デンソー、豊田通商、三洋電機、野村證券、京セラ 米国 IBM、Philip Morris、Motorola、PepsiCo、Honeywell、Coca-Cola、Emerson Electric、Halliburton、

Deere、Eastman Chemical

韓国 三星電子、現代自動車、LG、ポスコ

ドイツ Volkswagen フランス Alcatel、Lafarge オランダ Akzo Nobel 英国 GlaxoSmithKline

シンガポール Flectronics スイス Nestle、ABB (備考)天津開発区網にもとづき作成 ロ.中国に進出した大手セットメーカーは製造コストを下げるために部品の現地調達化を進 める。俗に「大きな鳥が小さな鳥を招く」というように、セットメーカーの周辺には多数 の部品産業が集まる。TEDAには、約 8,000 社の中国企業が進出しているが、キーデバ イスは必ずしも中国国内で調達できるとは限らないため、部品生産を得意とする日本の中 小企業の進出を求めることになる。 図表 15:TEDA内企業ランキング(2002 年売上高) ランク 企業名 親会社 ランク 企業名 親会社 1 摩托羅拉(中国) MOTOROLA(米) 11 天津雅馬哈電子楽器 ヤマハ(日) 2 天津三星視界 三星(韓) 15 天津矢崎汽車配件 矢崎総業(日) 3 天津三星電子顕示器 三星(韓) 19 天津富士通天電子 富士通テン(日) 4 天津三星電子 三星(韓) 21 天津松下電子部品 松下電器(日) 5 天津三星電機 三星(韓) 28 普利司通(天津)輪胎 ブリヂストン(日) 6 新大洲本田摩托 本田技研(日) 34 天津三洋通信設備 三洋電機(日) 7 天津三星通信技術 三星(韓) 39 天津津住汽車線束 住友電工(日) 8 天津頂益国際食品 頂益(台)、サンヨー食品(日) 43 天津阿爾卑斯電子 アルプス電気(日) 9 天津通広三星電子 三星(韓) 48 天津統一工業 日本電池(日) 10 三星高新電機(天津) 三星(韓) 50 天津豊田汽車 トヨタ自動車(日) (備考)1.11 位以下は日本企業のみ 2.天津開発区投資網にもとづき作成 ハ.これまでTEDAに登録された 3,000 社を超える外資企業ののうち、投資総額2千万ド ル以上の大企業は 200 社程度に過ぎない。TEDAでは大企業と同様に中小企業の進出を 重視しており、2000 年以降、中小企業支援に関する以下の施策を実施している。なお、 TEDAの優遇政策はWTOの内国民待遇の原則に従い「一視同仁(ひいきがなく平等)」 に取り扱われるため、内・外資、所有形態等により区別されることはない。 (イ)TEDA小企業信用保証センターによる保証付き銀行貸出 TEDAではハイテク産業に従事し高成長が期待される区内の小規模企業(製造業の 場合、従業員 300 人未満、売上高3千万元未満、資産総額4千万元未満のいずれかを満 たす企業)の資金調達が円滑に行われるようにするため、02 年にTEDA小企業信用

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保証センター(信用保証センター)を設立した。 信用保証センターには総額2億元(当 初5千万元)の財政資金が投入され、信 用保証センターによる保証を前提とし た融資を現地銀行から受けることがで きる。融資額の上限は 200 万元で、最長 1年間運転資金を借りられる。信用保証 センターは土地使用権、建物、機械設備 等抵当権を設定可能なものを担保とし て取得する。外資系企業も保証対象とな るが、すでに利用している 38 社はいず れも中国企業である。 図表 16:信用保証センターの保証条件 ①TEDAに登記した法人であること ②銀行に基本預金口座を開設していること ③小規模企業基準を満たすこと ④国家産業政策上のハイテク企業に該当すること ⑤前途が有望で高い成長率が期待できること ⑥経営および財務管理体制が充実していること ⑦契約・約束を守り、高い信用力を持つこと (備考)TEDAホームページにもとづき作成 (ロ)天津TEDA科技風険投資株式会社の設立 ハイテク産業にとって有利なTEDAの投資環境を活用し新たなハイテク企業を育 成するために、00 年8月に天津TEDA科技風険投資株式会社(TEDAベンチャー キャピタル)が設立された。出資者はTEDA傘下企業である天津経済技術開発区総公 司、天津経済技術開発区投資有限公司等で、登録資本金は4億5千万元となっている。 投資対象となるのは、電子情報・通信関連のエンジニアリング、バイオテクノロジー、 医薬品、環境保護、新素材等で、①画期的な技術、②急成長可能な市場潜在力、③持続 的な競争力、④優秀な管理能力が評価のポイントとなる。 (ハ)生産力促進委員会の設立 区内の中小企業の生産力向上を図るために、天津開発区生産力促進委員会を設立した。 総合的なサービスを提供するやり方はシンガポールや香港を参考にしている。 (ニ)国際製造業部品調達商談会の開催 外資企業を含む地元の中小企業部品メーカーがグローバルなセットメーカーと商談 する機会を提供するために国際製造業部品調達商談会を開催している。第1回の商談会 は 02 年6月に開催した(注:第2回は 03 年7月に実施されています。)。他にインタ ーネット調達を実施するための、e−マーケットプレイスも提供している。 (ホ)中小企業工業園の建設 国家経済委員会主導によりTEDA内に面積6k ㎡の中小企業工業園の建設を予定し ている。第1期区画(1k ㎡)についてはすでに調印済みで用地も準備されている。 ニ.TEDAは土地・工場の分譲で利益を上げようと考えていない。土地使用権の分譲価格 は先ごろ大幅に引き下げた。以前は期限 50 年で 280 元/㎡だったが、製造業の場合は業 種により3段階に区分し、第1区分(電子産業等)は 60 元/㎡・50 年、第2区分(機械 産業等)は 90 元/㎡・50 年、第3区分(一般)は 120 元/㎡・50 年で分譲している。投 資規模やプロジェクトの重要度によっては更に優遇した価格を提示することもありうる。 また、貸し工場の賃料についても優遇措置を用意している。現在、市場価格は1ヵ月 25 元/㎡程度だが、TEDA管理委員会では当初2年間について財政支出による家賃補助を 実施している。補助金の限度額は業種別に異なる。ハイテク産業の場合は1ヵ月につき 20 元/㎡まで、製造業第1区分は同 15 元/㎡まで、第2区分は同 10 元/㎡まで、その 他の製造業は同5元/㎡までとなっている。 合弁企業設立のメリット∼信用金庫取引先からのヒアリング 合弁パートナーと良好な関係を構築し中国ビジネスを展開 ∼信用金庫取引先A社関連現地法人B・D社(温度測定センサー製造) 合弁企業設立はパートナー企業とトラブル発生というデメリットが大きいことから、通常の場 合は外資 100%出資の独資形態による進出が望ましいと言われます。しかしながら、独資企業は パートナーとのトラブルに悩まされることがない代わりに、進出地の地方政府との交渉や中国国

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内の販路開拓・代金回収等を自力で行う必要があるため、別の面で苦労を強いられることになり ます。 一方、運良く優良な現地パートナーに恵まれれば、中国ビジネスを進めるうえで力強い支えと なることもあり、合弁が望ましくないとは必ずしも言い切れません。今回は信頼のできるパート ナーを見出して天津で合弁事業を展開する信用金庫取引先の事例を紹介します。 住所 進出形態 設立時期 業種 B社 天津市東麗区 合弁企業 96 年 D社 天津市河北区 独資企業 00 年 温度測定用センサーおよび機器に付随する消耗品の製造 1.天津地場企業X社(鋳造業) は 89 年に日本市場向けに輸出 を開始、日系金属メーカー経由 で、工作機械メーカー向けに製 品を納入した。94 年には、その 日系金属メーカーP社と合弁 で天津にQ社(鋳物製造)を設 立した。95 年にQ社が設備を拡 張する際に納入を希望する日 本の鋳造設備メーカーと技術 交流を行った。鋳造関連の測定 機器を取り扱うA社も自社製 品を売り込むためにその一行 に加わっていた。 2.商談の席でX社側から中国企業に測定機器を販売するのであれば、消耗品は中国で生産すべき であるとの提案があった。X社は以前同じ様な機器を導入した際に、本体とともに購入した消 耗品を使い果たした時点でその機器を使用できなくなったという苦い経験があった。X社では 消耗品のみを輸入しようとしたが、外貨管理が厳しく輸入が承認されなかったことが原因であ った。日本に帰国した担当者からこの話を聞いたA社社長は、ただちに天津に飛びX社との合 弁企業設立の話をまとめ、96 年4月にB社を設立した。 図表 17:企業関係図 日本側 中国側 出資 出資 出資(60%) 出資(40%) 経営 出資(100%) 製品輸出(89年∼) 日本企業P社 (金属メーカー) 合弁企業Q社 (鋳造業、 94年設立) 合弁企業B社 (96年設立) C社 (A社協力企業) 独資企業D社 (00年設立) 中国企業X社 (鋳造業) 信用金庫取引先A社 (温度センサー製造) Q社に対する商談の際にX社との関係を構築、 自社製品合弁生産に関する交渉(95∼96年) A社製品をセールス(95年) 3.B社は鋳造工程で使用する温度測定センサーを製造している。設立当初は 100%を日本向け に輸出していたが、現在は輸出用が 60∼70%で、残りは中国で販売している。最初から国内販 売を前提に設立を認可されていたため、国内販売に対する制限はなかった。外資企業にとり中 国市場の開拓は非常に難しく、A社単独で中国国内での販売を増やすことは不可能であった。 パートナー出身のS総経理が中国鋳造協会の役員を兼ねており、業界に対する強い影響力を持 っていることも大変役に立った。 4.B社に対する投資額は当初の 15 万ドルから6年間で 90 万ドルまで拡大されており、経営は順 調である。しかしながら、合弁企業ゆえに出資比率と関係なく中国側主導の運営となりがちで あることから、日本側の経営方針を迅速に実行するには独資企業による対応も必要と考え、00 年7月に天津にD社をC社(A社協力企業)100%出資で設立した。C社はA社と直接の資本関 係はないものの、現地での経営はA社が担当している。X社も工場の手配などで全面的に支援 してくれている。D社の生産ラインでは、B社と同様の製品(鋳造用のセンサー)だけでなく 製鉄会社用の製品も製造している。D社は当面日本向け輸出に専念し国内販売は行わないが、 将来的にはB社と連携して中国鉄鋼業界への食い込みを図りたいと考えている。 5.B・D社の年商は約1千万元、従業員 40 人で業界内でも効率化が進んでいる方である。中国 鋳造業界における知名度はかなり向上しており、国内シェアは 60∼70%に達している。販売先 は日系企業 50%、中国企業 50%となっている。国内販売が中心となるB社では、やはり資金回 収の問題が発生している。問題先の多くは国営企業など体質の古い企業であるため、民営企業 向け販売に重点を置くように心掛けている。中国では、人的な関係に左右されることが多いが、 財務体質などの情報収集も重要であると考えている。 6.中国市場での業績拡大の秘訣は、信頼の置けるパートナーの存在と成果主義による利益の平

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等な配分と考えている。社員および従業員に努力すればそれに見合う成果が得られるという意 識を持たせることが肝要である。 7.02 年9月まで日本人1名が常駐していたが、現在は出張対応に切り替え日本人の常駐者は置 いていない。天津の2社がここに至るまでX社側では日本側の知らないところでの苦労も多か ったはずである。A社は本当にいいパートナーに恵まれたと思う。日系の同業者が上海に数社 進出していることもあり、今後現地での競争は厳しくなることが予想される。X社との連携を 更に深め、中国市場における競争力を強化したいと考えている。 (佐藤 克己) 本レポートは、情報提供のみを目的とした上記時点における当研究所の意見です。施策実施等に関する最終決定は、ご 自身の判断でなさるようにお願いします。また、当研究所が信頼できると考える情報源から得た各種データ等に基づいて この資料は作成されておりますが、その情報の正確性および完全性について当研究所が保証するものではありません。

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1.全国 単位 増減率 増減率 増減率 増減率 国内総生産 億元、% 82,054 7.1 89,404 8.0 95,928 7.3 102,398 8.0 第1次産業 億元、% 14,212 2.8 14,212 2.4 14,610 2.8 14,883 2.9 第2次産業 億元、% 40,806 8.1 45,488 9.6 49,064 8.7 52,982 9.9 第3次産業 億元、% 27,036 7.5 29,704 7.8 32,254 7.4 34,533 7.3 工業生産額(付加価値ベース) 億元、% 35,357 8.5 39,570 9.9 42,607 8.9 45,935 10.2 固定資産投資総額 億元、% 29,876 5.2 32,619 9.2 37,213 14.1 43,202 16.1 社会消費財小売総額 億元、% 31,140 6.8 34,153 9.7 37,595 10.1 40,911 8.8 消費者物価指数(前年100) 98.6 *** 100.4 *** 100.7 *** 99.2 *** 輸出入総額(通関ベース) 億㌦、% 3,607.0 11.3 4,743.0 31.5 5,098.0 7.5 6,207.9 21.8 輸出総額 億㌦、% 1,949.0 6.1 2,492.0 27.8 2,662.0 6.8 3,255.7 22.3 輸入総額 億㌦、% 1,658.0 18.2 2,251.0 35.8 2,436.0 8.2 2,952.2 21.2 外商直接投資 契約件数 件 17,100 -13.8 22,347 32.1 26,139 16.0 34,171 30.7 契約額 億㌦、% 412.0 -20.9 624.0 51.3 692.0 10.4 828.0 19.6 実行額 億㌦、% 404.0 -11.4 407.0 1.0 468.0 14.9 527.0 12.5 2.天津市 単位 増減率 増減率 増減率 増減率 国内総生産 億元、% 1,450 10.0 1,639 10.8 1,841 12.0 2,023 12.5 第1次産業 億元、% 71 0.1 73 3.7 79 6.3 84 6.1 第2次産業 億元、% 712 11.7 820 11.5 905 12.8 979 14.3 第3次産業 億元、% 667 8.9 746 10.5 857 11.7 960 11.2 工業生産額(付加価値ベース) 億元、% 640 12.6 739 12.2 807 12.5 886 14.5 固定資産投資総額 億元、% 567 -1.5 609 7.3 705 15.8 812 15.2 社会消費財小売総額 億元、% 657 11.9 737 12.1 833 13.0 941 13.0 消費者物価指数(前年100) 98.9 *** 99.6 *** 101.2 *** 99.6 *** 輸出入総額(通関ベース) 億㌦、% 126.1 25.8 171.6 36.1 181.9 6.0 228.3 25.5 輸出総額 億㌦、% 63.3 15.1 86.3 36.3 95.2 10.3 116.0 21.8 輸入総額 億㌦、% 62.7 38.7 85.3 35.9 86.7 1.6 112.3 29.6 外商直接投資 契約件数 件 575 -33.1 626 8.9 618 -1.3 826 33.7 契約額 億㌦、% 36.2 -0.3 46.0 27.1 46.3 0.7 58.1 25.5 実行額 億㌦、% 25.3 0.4 25.6 1.2 32.2 25.8 38.1 14.5 3.天津・濱海新区 単位 増減率 増減率 増減率 増減率 国内総生産 億元、% 464 14.7 562 18.3 667 17.8 813 20.1 第1次産業 億元、% 5 -7.5 5 4.7 6 8.9 *** *** 第2次産業 億元、% 299 17.8 382 22.5 452 18.6 *** *** 第3次産業 億元、% 160 7.6 175 6.9 209 16.2 *** *** 工業生産額(付加価値ベース) 億元、% *** *** *** *** *** *** *** *** 固定資産投資総額 億元、% 174 -2.9 184 6.2 243 32.1 281 15.4 社会消費財小売総額 億元、% 70 1.0 80 14.7 119 48.3 134 13.2 消費者物価指数(前年100) *** *** *** *** *** *** *** *** 輸出入総額(通関ベース) 億㌦、% *** *** *** *** *** *** *** *** 輸出総額 億㌦、% 30.0 6.8 44.6 48.7 54.3 21.7 72.0 32.6 輸入総額 億㌦、% *** *** *** *** *** *** *** *** 外商直接投資 契約件数 件 346 -47.4 292 -15.6 276 -5.5 371 34.4 契約額 億㌦、% 19.3 4.2 33.1 71.9 32.0 -3.2 38.9 21.4 実行額 億㌦、% *** *** 14.2 *** 24.5 72.1 *** *** (備考)中国統計年鑑、天津市統計年鑑、2002年中国統計公報、2002年天津市統計公報等にもとづき作成 2001年 2002年(速報値) 1999年 2000年 2001年 中国の主要経済データ 2000年 2001年 2002年(速報値) 1999年 2002年(速報値) 1999年 2000年

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