(1)こ
魚
白
い
と
し ろ
さ か な
え ほった
絵・堀田アツコ
サ
メ
の
子
1
(2)こ
魚
白
い と
し ろ
さ か な
え ほった
絵・堀田アツコ
サメ
の子
1
白
し
ろ
い
魚
さ
か
な
と
サ
メ
の
子
こ
1
広 ひろ
い
広 ひろ
い
海 うみ
の
あるところに
白 しろ
い
魚 さかな
が
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
は
ほかの
魚 さかな
にくらべて
泳 およ
ぐのが
おそく
カラフルでもなく
話 はなし
をするのも
苦 に
が
て
手
でした。
そして
いつも
ほかの
魚 さかな
たちから
いじめられていました。
泳 およ
ぐのが
速 はや
い
魚 さかな
「おまえなんか
あっちに
行
い
け!」
カラフルな
魚 さかな
「わたしたちに
ちかよらないでっ」
いじめられるのが
いやで
かくれてばかりの
白 しろ
い
魚 さかな
は
いつも
ひとりぼっちでした。
実 じつえん
演
ノート
からかうように
本 ほん
気
き
でいやがるように
(3)(4)2
ある
日
ひ
のこと。
あばれんぼうの
サメの
子
こ
どもがやってきました。
サメの
子
こ
ども
「おなかが
すいているんだよ!
おいしい
魚 さかな
は
どこにいる?」
泳 およ
ぐのが
速 はや
い
魚 さかな
たちは
みんな
いっせいに
にげました。
そこで
次 つぎ
に
サメが
向
む
かったのは
─
速 はや
くぬく
─
実 じつえん
演
ノート
えらそうに
いばって
2
(5)(6)3
カラフルな
魚 さかな
たちが
集 あつ
まる
場
ば
所 しょ
でした。
カラフルな
魚 さかな
たちは
力 ちから
を
合
あ
わせ
それは
それは
美 うつく
しい
ダンスを
サメの
子
こ
どもに
見
み
せました。
サメの
子
こ
ども
「こんなにキレイで
ダンスも
うまいとなると
きっと
人 にん
気
き
者 もの
だぞ…。
人 にん
気
き
者 もの
に
きらわれると
みんなにも
ぼくは
きらわれてしまうかも。
ここは
そっと
しておこう」
サメの
子
こ
は
しずかに
その
場
ば
を
去
さ
りました。
実 じつえん
演
ノート
心 こころ
の
中 なか
で
つぶやくように
3
(7)(8)4
サメの
子
こ
が
次 つぎ
に
たどりついた
場
ば
所 しょ
には
話 はなし
じょうずな
魚 さかな
たちが
集 あつ
まっていました。
話 はなし
じょうずな
魚 さかな
たちは
サメの
子
こ
を
かこんで
次 つぎ
から
次 つぎ
へと
おもしろい
話 はなし
や
ためになる
話 はなし
を
しました。
サメの
子
こ
ども
「この
頭 あたま
のいい
魚 さかな
たちは
ぼくが
こまったときに
きっと
役 やく
に
立
た
つぞ。
今 き
ょ
う
日
は
食
た
べないでおいてやろう」
実 じつえん
演
ノート
ずるがしこそうに
4
(9)(10)5
サメの
子
こ
は
うろうろ
泳 およ
ぐうちに
おなかが
すきすぎて
イライラしてきました。
サメの
子
こ
ども
「まったく!
今 き
ょ
う
日
の
ぼくの
ごちそうは
いったい
どこにいるんだ!」
そう
言
い
いながら
岩 いわ
のかげや
サンゴの
すきまを
のぞいてまわると
遠 とお
くに
白 しろ
い
魚 さかな
を
見
み
つけました。
─
ゆっくりぬく
─
実 じつえん
演
ノート
イライラした
口 くち
ぶりで
5
(11)(12)6
何 なに
も
知
し
らない
白 しろ
い
魚 さかな
は
自
じ
分 ぶん
が
知
し
っている
かくれがを
てんてんと
いどうしながら
ふと
思 おも
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
「ぼくは
みんなに
きらわれているんだ。
ぼくなんて
いなくなってもいい…。
サメに
食
た
べられちゃっても
いいかな」
実 じつえん
演
ノート
力 ちから
なく
さびしそうに
6
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
いなくなってもいい
魚 さかな
(
人 ひ
と
)
は、
本 ほん
と
う
当
にいると
思 おも
いますか?
また、それはどうしてですか?
いなくなってはいけない。
命 いのち
は
平 びょうどう
等
だから。それぞれに
家
か
族 ぞく
がいるから。
回
かいとうれい
答例
(13)(14)7
すると
そこに
白 しろ
い
魚 さかな
の
お
母 かあ
さんが
やってきました。
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「こんなところで
何 なに
をしているの!
サメにでも
見
み
つかったら
どうするつもり!」
白 しろ
い
魚 さかな
「ぼくなんか
サメに
見
み
つかればいいんだよ。
食
た
べられちゃえば
もう
いじめられないし
ひとりぼっちで
さびしくなることも
ないから…」
実 じつえん
演
ノート
心 しんぱい
配
で
おこっているふうに
泣
な
きそうな
声 こえ
で
7
(15)(16)8
白 しろ
い
魚 さかな
の
お
母 かあ
さんは
そのときに
はじめて
自
じ
分 ぶん
の
子
こ
どもが
いじめられていることを
知
し
ったのでした。
そして
シクシク
なきました。
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「
気
き
づいてあげられなくて
ごめんね。
でも
食
た
べられてもいいなんて
言
い
わないで」
白 しろ
い
魚 さかな
は
はっとしました。
「あなたが
食
た
べられたら…
悲 かな
しくて
悲 かな
しくて
海 うみ
の
水 みず
が
お
母 かあ
さんのなみだで
あふれてしまうくらい
ないてしまうわ」
白 しろ
い
魚 さかな
は
お
母 かあ
さんが
なくのを
はじめて
見
み
ました。
実 じつえん
演
ノート
泣
な
いているときに
話 はな
すように
とぎれ
とぎれで
8
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さんは、
どうして
泣 な
いたのでしょう?
みなさんは、
悩 なや
み
事 ご
と
をだれに
相 そうだん
談
しますか?
(だれかに
相 そうだん
談
できますか?)
愛 あい
する
子
こ
どもが、
死
し
にたいと
思 おも
う
くらい
悩 なや
んでいたことを
知
し
り、か
わいそうに
思 おも
ったから。
自
じ
分 ぶん
の
子
こ
どものことなのに、
気
き
づ
いてあげられず、
反 はんせい
省
したから。
家 か
ぞ
く
族
。
友 と
もだち
達
。
先 せんせい
生
。
回
かいとうれい
答例
回
かいとうれい
答例
(17)(18)9
白 しろ
い
魚 さかな
「ぼく
お
母 かあ
さんが
そんなに
悲 かな
しむなんて
知
し
らなかった。
食
た
べられてもいいなんて
もう
言
い
わない」
すると
お
母 かあ
さんは
言
い
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「よく
聞
き
いて。
どんなに
つらい
目
め
に
あっても
自
じ
分 ぶん
から
食
た
べられてもいいなんて
考 かんが
えちゃ
ぜったいにダメ。
命 いのち
は
とても
大 たいせつ
切
なものなのよ」
その
会 かい
話
わ
を
こっそりと
聞
き
いていたサメの
子
こ
は
なぜかないていました。
そして
その
場
ば
を
去
さ
って
行
い
きました。
─
次
じ
ページを
右 みぎ
にここまでぬく
─
実 じつえん
演
ノート
しょんぼりしながら
言
い
い
聞
き
かせるように
9
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
なぜ、
命 いのち
は
大 たいせつ
切
なのだと
思 おも
いますか?
白 しろ
い
魚 さかな
の
親 おや
子 こ
の
会 かい
話 わ
を
聞 き
いていたサメの
子 こ
が、
こっそりと
泣 な
いたのはなぜでしょう?
命 いのち
はたった
一 ひ
と
つしかない、
かけがえのないものだから。
白 しろ
い
魚 さかな
のことが、
かわいそうになったから。
回
かいとうれい
答例
回
かいとうれい
答例
(19)(20)
白 しろ
い
魚 さかな
は
考 かんが
えました。
「お
母 かあ
さんを
悲 かな
しませないようにしなきゃ。
ぼくもみんなと
同 おな
じになれるように
今 き
ょ
う
日
から
がんばろう!」
そう
考 かんが
えた
白 しろ
い
魚 さかな
は
速 はや
く
泳 およ
げるように
練 れん
習 しゅう
を
したり
─
3
分 ぶん
の1ぬく
─
カラフルになれるように
ひろった
貝 かい
がらを
自
じ
分 ぶん
の
体 からだ
に
はってみたり
─
ゆっくり
全 ぜん
部
ぶ
ぬく
─
話 はなし
じょうずになるように
いろいろな
本 ほん
を
読
よ
みました。
実 じつえん
演
ノート
10
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
白 しろ
い
魚 さかな
は、
始 はじ
め、どうすれば
友 と
もだち
達
ができると
思 おも
っていたのでしょう?
他 ほか
の
魚 さかな
と
同 おな
じ
特 と
く
ぎ
技
を
持
も
ったり、
同 おな
じ
見
み
た
目
め
になれば、
友 と
もだち
達
になってもらえると
思 おも
っていた。
回
かいとうれい
答例
(21)(22)
でも…。
白 しろ
い
魚 さかな
は
やっぱり
ひとりぼっちのままでした。
白 しろ
い
魚 さかな
「がんばっても
がんばっても
やっぱり
ぼくは
みんなと
同 おな
じには
なれないんだ…」
白 しろ
い
魚 さかな
は
くやしい
気
き
持
も
ちと
悲 かな
しい
気
き
持
も
ちで
むねが
いっぱいになり
声 こえ
をあげてなきました。
そして
自
じ
分 ぶん
の
かくれがに
とじこもり
いつのまにか
なきつかれて
ねむってしまいました。
実 じつえん
演
ノート
くやし
泣
な
きを
こらえるように
11
(23)(24)
ねむっている
白 しろ
い
魚 さかな
の
ゆめの
中 なか
に
まぶしく
光 ひか
る
大 おお
きなリュウが
あらわれました。
リュウ
「なかまに
なるということは
なかまと
同 おな
じになること
じゃないんだ。
ありのままの
君 きみ
を
すきになってくれるのが
本 ほんとう
当
のなかまというものだ。
自
じ
分 ぶん
らしさを
大 たいせつ
切
にしなさい。
君 きみ
にも
いいところは
たくさんある。
でも
かくれてばかりいたら
君 きみ
の
いいところは
ほかの
魚 さかな
に
見
み
てもらえないぞ」
そう
言
い
うと
リュウは
スーッと
消
き
えてしまいました。
実 じつえん
演
ノート
しずかに
おちついて
さとすように
12
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
大 おお
きなリュウが、
白 しろ
い
魚 さかな
に
伝 つた
えたかったことを
簡 かんたん
単
に
言 い
うと、どんなことでしょう?
自 じ
ぶ
ん
分
らしさが
大 たいせつ
切
だということ。
かくれてばかりいるのは
良
よ
くないということ。
回
かいとうれい
答例
(25)(26)
白 しろ
い
魚 さかな
が
めざめると
そこには
ピカピカに
光 ひか
る
リュウの
ながーい
ながーい
ヒゲが
一 いっぽん
本
ありました。
白 しろ
い
魚 さかな
は
その
光 ひか
るヒゲを
クルクルとロープのように
まいて
かくれがの
すみに
大 たいせつ
切
に
しまい
家 いえ
に
帰 かえ
りました。
実 じつえん
演
ノート
13
(27)(28)
白 しろ
い
魚 さかな
は
お
母 かあ
さんに
聞
き
きました。
白 しろ
い
魚 さかな
「お
母 かあ
さん
ぼくの『
自
じ
分 ぶん
らしさ』って
何 なん
だと
思 おも
う?」
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「そうねぇ
『これだけは
負
ま
けない!』
って
思 おも
えるものを
見
み
つけてごらんなさい」
しばらく
考 かんが
えてから
白 しろ
い
魚 さかな
は
言
い
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
「そんなもの…
ぼくには
ない…。
ぼくは
泳 およ
ぐのも
おそいし
色 いろ
も
キレイじゃないし
お
話 はなし
も
じょうずじゃ
ないんだもん…」
実 じつえん
演
ノート
少 すこ
し
困 こま
ったように
やさしく
ゆっくりと
しょんぼりとして
14
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
みなさんの
『
自 じ
分 ぶん
らしさ』
(『これだけは
負 ま
けない!』
)
というものを
1つ
考 かんが
えてみましょう。
高 こうがくねん
学年
になるほど、
自
じ
分 ぶん
の
長 ちょうしょ
所
は
発 はつげん
言
しづらいものです。
隣 と
なり
の
人 ひ
と
の、
「
良
よ
いところ」を
発 はっぴょう
表
してもらうのも
良
よ
いでしょう。
ポイント
(29)(30)
白 しろ
い
魚 さかな
は
毎 まいにち
日
かくれがへ
行
い
って
『
自
じ
分 ぶん
らしさ』について
考 かんが
えていました。
そんなある
日
ひ
。
遠 とお
くから
話 はなし
じょうずな
魚 さかな
「た、
助 たす
けてー!」
泳 およ
ぐのが
速 はや
い
魚 さかな
「
流 なが
されるー、
だ、だれかーっ!」
と
悲
ひ
鳴 めい
のような
声 こえ
が
聞
き
こえてきました。
かくれがから
外 そと
をのぞくと
海 うみ
のそこにある
すなが
まいあがり
まるで
夜 よる
のように
真
ま
っ
暗 くら
になっていました。
とつぜん
あらしが
やってきたのです。
実 じつえん
演
ノート
あせっているように
こわがっているように
15
(31)(32)
白 しろ
い
魚 さかな
は
始 はじ
め
かくれがで
ジッとしていました。
でも
何 なん
度
ど
も
「
助 たす
けて!」
という
声 こえ
を
聞
き
くと
ジッとしていることが
できませんでした。
白 しろ
い
魚 さかな
は
光 ひか
るリュウのヒゲを
とりだし
かたほうを
岩 いわ
にくくりつけ
もうかたほうを
自
じ
分 ぶん
の
体 からだ
にまきつけて
あれくるう
真
ま
っ
暗 くら
な
海 うみ
へと
とび
出
だ
して
行
い
きました。
実 じつえん
演
ノート
意
い
を
決 けっ
したように
力 ち
か
ら
強 づよ
く
16
(33)(34)
リュウがおいていった
ヒゲがキラキラ
光 ひか
るので
白 しろ
い
魚 さかな
の
体 からだ
も
キラキラと
かがやき
暗 くら
い
海 うみ
を
てらすことができました。
その
明
あ
かりを
目
め
じるしに
ほかの
魚 さかな
たちが
集 あつ
まってきました。
カラフルな
魚 さかな
「
真
ま
っ
暗 くら
で
どこへ
向
む
かって
泳 およ
げばいいか
わからないの」
サメの
子
こ
「こんなに
流 なが
れが
速 はや
い
海 うみ
は
はじめてだ…」
話 はなし
じょうずな
魚 さかな
「おねがいだ、
助 たす
けてくれ」
たくさんの
魚 さかな
たちが
なきそうになりながら
白 しろ
い
魚 さかな
に
言
い
いました。
実 じつえん
演
ノート
おびえるように
ぼうぜんとしながら
助 たす
けを
こうように
17
(35)(36)
白 しろ
い
魚 さかな
「とにかく
ぼくに
ついてきて」
白 しろ
い
魚 さかな
は
そう
言
い
って
ほかの
魚 さかな
たちを
自
じ
分 ぶん
が
知
し
っている
かくれがに
あんない
しました。
白 しろ
い
魚 さかな
は
あちこちに
小 ちい
さな
岩 いわ
かげや
大 おお
きな
ほらあなを
たくさん
知
し
っていたので
全 ぜん
部
ぶ
の
魚 さかな
たちを
安 あんぜん
全
な
場
ば
所 しょ
に
つれて
行
い
くことができました。
実 じつえん
演
ノート
たよりになる
感 かん
じで
18
(37)(38)
いったい
どれくらい
泳 およ
ぎつづけたでしょう。
白 しろ
い
魚 さかな
は
すなに
もまれながら
岩 いわ
に
ぶつかりながら
たくさんの
魚 さかな
たちを
助 たす
けました。
白 しろ
い
魚 さかな
の
体 からだ
は
きずだらけでした。
泳 およ
ぎつかれて
クタクタでした。
でも
心 こころ
は
つかれていませんでした。
実 じつえん
演
ノート
19
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
魚 さかな
たちのことを
助 たす
けた
白 しろ
い
魚 さかな
は、
泳 およ
ぎ
疲 つか
れてクタクタに
なりましたが、
心 こころ
は
疲 つか
れていなかったとあります。
それは、なぜだと
思 おも
いますか?
みんなを
助 たす
けることができて「よかった」という
充 じゅうじつかん
実感
でいっぱいだったから。
かくれてばかりの
自 じ
ぶ
ん
分
ではなくなったから。
回
かいとうれい
答例
(39)(40)
あらしが
すぎると
海 うみ
のあちこちに
自
じ
分 ぶん
の
子
こ
どもをさがす
親 おや
たちがいました。
自
じ
分 ぶん
の
子
こ
どもを
見
み
つけた
親 おや
たちは
子
こ
どものぶじを
知
し
って
ないて
よろこびました。
その
中 なか
には
白 しろ
い
魚 さかな
の
親 おや
子
こ
のすがたもありました。
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「こわかったでしょう。
あなたが
みんなを
助 たす
けたのね。
えらかったわね」
白 しろ
い
魚 さかな
は
お
母 かあ
さんに
たくさん
たくさん
ほめられました。
ほかの
魚 さかな
の
親 おや
たちからも
たくさんの
お
礼 れい
を
言
い
われました。
実 じつえん
演
ノート
子
こ
どもを
つつみこむように
20
(41)(42)
そんな
中 なか
ひとりぼっちの
魚 さかな
がいました。
サメの
子
こ
です。
サメの
子
こ
「ぼくの
親 おや
は
すぐ
ぼくをおこるし
なかなか
家 いえ
にも
帰 かえ
ってこない。
だれも
ぼくのことなんて
心 しんぱい
配
じゃないんだ…」
サメの
子
こ
は
とても
悲 かな
しそうでした。
それを
聞
き
いた
白 しろ
い
魚 さかな
は
言
い
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
「それなら
うちにおいでよ。
お
母 かあ
さん、いいでしょ?」
お
母 かあ
さんは
えがおで
うなずきました。
実 じつえん
演
ノート
なげやりな
感 かん
じで
明 あか
るい
声 こえ
で
21
(43)(44)
白 しろ
い
魚 さかな
の
親 おや
子
こ
に
親 しんせつ
切
にされた
サメの
子
こ
は
白 しろ
い
魚 さかな
に
言
い
いました。
サメの
子
こ
「ぼくは
君 きみ
が
いじめられているのを
本 ほんとう
当
は
知
し
っていたんだ…。
知
し
らんぷりして
ごめんなさい。
本 ほんとう
当
に
ごめんなさい」
白 しろ
い
魚 さかな
「もう
あやまらないで。
もし
また
だれかが
いじめられていたら
今 こん
度
ど
は
いっしょに
その
子
こ
を
助 たす
けてあげようね」
サメの
子
こ
は
大 おお
きく
うなずき
白 しろ
い
魚 さかな
と
サメの
子
こ
は
とても
なかよくなりました。
実 じつえん
演
ノート
言
い
い
出
だ
しにくい
感 かん
じで
心 こころ
から
反 はんせい
省
する
感 かん
じで
優 やさ
しい
声 こえ
で
22
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
もし、みなさんがサメの
子 こ
だったら、
いじめられている
白 しろ
い
魚 さかな
を
助 たす
けようと
思 おも
いますか?
それはどうしてですか?
助 たす
ける→かわいそうだから。
いじめはよくないから。
助 たす
けない→
面 めんどう
倒
だから。
自 じ
ぶ
ん
分
もいじめられるように
なるかもしれないから。
回
かいとうれい
答例
いずれの
場 ば
あ
い
合
でも、
「いじめ」に
気
き
づいた
人 ひ
と
は、
先 せんせい
生
や
親 おや
に
報 ほうこく
告
するように
伝 つた
えましょう。
ポイント
(45)(46)
次 つぎ
の
日
ひ
。
白 しろ
い
魚 さかな
とサメの
子
こ
が
いっしょに
泳 およ
いでいると
あらしの
日
ひ
に
助 たす
けてもらった
魚 さかな
たちが
次 つぎつぎ
々
に
集 あつ
まってきました。
話 はなし
じょうずな
魚 さかな
「ぼくたちは
君 きみ
を
いじめていたのに
君 きみ
は
ぼくたちを
助 たす
けてくれた。
ぼくは
自
じ
分 ぶん
のことが
はずかしいよ」
カラフルな
魚 さかな
「わたしも
ちかよらないでなんて
言
い
って
本 ほんとう
当
に
ごめんなさい」
遠 とお
くに
行
い
っていた
サメのお
母 かあ
さんも
サメの
子
こ
を
むかえにきて
言
い
いました。
サメのお
母 かあ
さん
「うちの
子
こ
を
助 たす
けてくれて
本 ほんとう
当
に
ありがとう」
この
日
ひ
から
白 しろ
い
魚 さかな
を
いじめる
魚 さかな
は
いなくなりました。
実 じつえん
演
ノート
言
い
いづらそうに
心 こころ
から
反 はんせい
省
する
感 かん
じで
心 こころ
からの
感 かんしゃ
謝
の
気
き
も
持
ちをこめて
23
(47)(48)
たくさんの
なかまができた
白 しろ
い
魚 さかな
は
お
母 かあ
さんに
言
い
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
「ぼくは『
自
じ
分 ぶん
らしさ』が
何 なん
なのか
今 いま
も
よくわからない。
でもね
わかったこともあるんだ。
ゆうきと
やさしさを
持
も
つと
とても
気
き
も
持
ちがいいし
たくさんの
なかまもできるってこと」
お
母 かあ
さんはうれしそうに
言
い
いました。
白 しろ
い
魚 さかな
のお
母 かあ
さん
「あなたの
場
ば
合 あい
は
その『やさしさ』や
ほかの
魚 さかな
を『
思 おも
いやれる
心 こころ
』が
自
じ
分 ぶん
らしさなのよ」
実 じつえん
演
ノート
すこし
困 こんわく
惑
した
様 よ
う
す
子
で
ほこらしげに
ゆっくりと
さとすように
24
(49)(50)
あらしの
前 まえ
は
同 おな
じ
魚 さかな
だけで
むれを
作 つく
り
泳 およ
いでいましたが
今 いま
では
いろいろな
魚 さかな
が
なかよく
いっしょに
泳 およ
いでいます。
そして
海 うみ
は
前 まえ
よりも
ずーっと
美 うつく
しくなりました。
ほうせきばこの
ように
キラキラと
かがやく
海 うみ
を
リュウも
うれしそうに
空 そら
から
ながめていました。
(おわり)
実 じつえん
演
ノート
25
読よ んだあとに
考
かんが
えよう!
海 うみ
が
前 まえ
よりもずっと
美 うつく
しくなったのは
なぜだと
思 おも
いますか?
いじめのない
海 うみ
になったから。
みんなが
仲 なか
よくなったから。
回
かいとうれい
答例