1. はじめに
持 続 的 腎 代 替 療 法(continuous renal replacement therapy:CRRT)は 80 ∼ 100 mL/min 程度の緩徐な血流 量 で 持 続 的 に 血 液 浄 化 を 行 う 腎 代 替 療 法(renal replacement therapy:RRT) で あ り、 通 常 の 血 液 透 析 (hemodialysis:HD)と比較して循環動態への影響が小 さいことから、主に ICU などの急性期病棟において循 環動態が不安定な患者に導入される。CRRT の目的は主 に尿毒性物質の除去や体液バランスの補正であり、患者 の 状 態 に 合 わ せ て 持 続 血 液 濾 過(continuous hemodialysis:CHD)、 持 続 血 液 濾 過(continuous hemofiltration:CHF)およびその両者を組み合わせた持 続 血 液 濾 過 透 析(continuous hemodiafilttration:CHDF) などの実施モードがあるが、小分子物質の除去メカニズ ムは基本的に拡散、限外濾過といった単純な物理現象で ある。そのため、透析膜のポアサイズよりも小さい物質 は全て除去の対象であり、分子量が概ね 300 ∼ 1,500 Da の範囲内にある薬物も CRRT により除去されることと なる1), 2)。従って、CRRT 導入時には CRRT による薬物 除去を考慮した慎重な投与設計が重要であり、特に抗菌 薬など厳密な血中濃度コントロールが必要な薬物では各 種ガイドライン(表 1)3)を参考に投与量を決定するこ とがほとんどと考えられる。しかし、これらのガイドラ 山本武人 東京大学医学部附属病院薬剤部 受付日:2013 年 3 月 29 日 受理日 2013 年 12 月 11 日
総 説
クリアランス理論に基づく持続的腎代替療法(CRRT)
施行時の薬物投与設計の考え方
山 本 武 人
1樋 坂 章 博
2鈴 木 洋 史
1東京大学医学部附属病院薬剤部
1東京大学医学部附属病院 22 世紀医療センター薬理動態学
2 Key words: 持続的腎代替療法、投与設計、クリアランス要 旨
持続的腎代替療法(CRRT)は、主に急性期病棟において循環動態が不安定な患者に導入されるが、 CRRT により治療上必要な薬物も除去され、血中濃度コントロールに難渋することも多い。そのため、 CRRT 導入患者に対しては慎重な投与設計が必要であるが、ガイドラインで推奨されている投与量は、 限られた CRRT 実施条件における検討に基づくものがほとんどである。そのため、施設毎・患者毎に実 施条件が異なる CRRT 導入患者に対して適切な投与設計を行うためには、CRRT による薬物のクリアラ ンス(CLCRRT)と CRRT 実施条件の関連性を理解し、CRRT 導入による全身クリアランス(CLtot)の変 化を定量的に評価する必要がある。 まず、CRRT による小分子薬物の除去メカニズムは基本的には濾過と拡散であるが、アルブミンと結 合した薬物は透析膜を透過できないことから、血漿中の非結合型薬物のみが除去の対象となる。従って、 CLCRRTは薬物のタンパク非結合型分率と CRRT 実施条件により理論的に推定可能であり、通常の実施条 件(透析液流量と濾過量の合計が 10 ∼ 35 mL/min 程度)であればクレアチニンクリアランス(CLcr)と して 10~35 mL/min に相当する。一方で、CRRT 導入時の投与設計を行う上では薬物の未変化体尿中排泄 率(Ae)も重要なパラメーターであると考えられる。すなわち、CRRT 導入時の投与量としては、各種 文献に示されている CLcrが 10 ∼ 50 mL/min 相当の投与量を目安とするが、Aeの大きい腎排泄型薬物では、 患者の腎機能が廃絶している場合には CRRT 実施条件の個人差が CRRT 導入時の CLtotに与える影響が大 きく、CRRT 実施条件を考慮した投与設計が必要となる可能性がある。さらに、CRRT 導入患者であっ ても初回投与量は腎機能正常者と同量とすること、CRRT は尿細管分泌や再吸収を代替できないため、 それらの寄与の大きい薬物では予想外の薬物動態変化を示す可能性があることなどにも注意が必要であ る。本稿では CRRT 施行時のクリアランスの考え方について理論的背景を紹介した後、抗菌薬を例に臨 床における投与設計への応用について解説する。インに記載された投与量の多くは限られた CRRT 実施 条件における検討に基づいて設定されており、施設毎・ 患者毎に実施条件が大きく異なる CRRT 導入患者に対 して普遍的に適応することは難しい。また、CRRT 導入 患者の残存腎機能は、ほぼ腎機能が廃絶しているケース から non-renal indication のように比較的腎機能が保たれ ているケースまで様々であることも CRRT 導入患者に 対する投与設計を困難なものとしている。そのため、臨 床現場において CRRT 導入患者に対して適切な投与設 計を行うためには CRRT による薬物除去のメカニズム やクリアランスの決定要因に関する基礎理論を理解し、 臨床的な薬物動態変化と論理的かつ定量的に結び付ける ことが重要である(図 1)4)。 そこで本稿では、CRRT 導入患者に対する理論的な投 与設計を行う上で必要となる CRRT による薬物クリア ラン(CLCRRT)の決定要因や、CLCRRTを実際の投与設計 に反映させるための具体的な考え方について紹介する。 なお、本稿で解説する考え方は、透析膜を透過可能な薬 物を対象としており、抗体製剤のようにアルブミンより も分子量が大きく、透析膜を透過できない薬物は対象外 となることにご注意いただきたい。また、前述のように 患者の残存腎機能も CRRT 導入患者における投与設計 に影響を与え得るが、本稿では CRRT の実施条件と CLCRRTの定量的関係を中心に議論するため、原則として 残存腎機能は極めて小さく、無視できる程度であると仮 定して解説する。
2. CRRT による薬物除去のメカニズムとクリアラ
ンスの考え方
CRRT 導入時の薬物動態変化を考える際には、まず CRRT による薬物除去のメカニズムを理解する必要があ る。そこで本項では CRRT による薬物除去のメカニズ ムとして①濾過(filtration)、②拡散(diffusion)、および ③吸着(adsorption)の 3 点について解説する。 なお、本稿においては理解を助けるため数式中に単位 を記載しているが、それらはあくまで一例である。例え ば本稿で L/hr とされているものであれば、本質的には 容積/時間であればよく、適切な換算がなされるならば 表 1 主な抗菌薬の CRRT 導入時の推奨投与量 推奨投与量抗菌薬 Aronoff et al.a) Trotman et al.b) Heintz et al.c) Sanford Guided) CL
cr=10~50 mL/mind) アミカシン 7.5 mg/kg q24~72hrLD: 10 mg/kgMD: 7.5 mg/kg q24~48hrLD: 10 mg/kgMD: 7.5 mg/kg q24~48hr7.5mg q24hr 7.5mg q24hr シプロフロキサシン 400 mg q24hr 200~400 mg q12hr 400 mg q12~24hr 400 mg q24hr 200~300 mg q12hr レボフロキサシン 500 mg q48hr LD: 500 mgMD: 250 mg q24hr LD: 500~750 mgMD: 250~500 mg q24hrLD: 750 mgMD: 500mmg q48hr 750 mg q48hr メロペネム 1~2 g q12hr 1g q12hr LD: 1gMD: 0.5~1 g q8~12hr1g q12hr 1g q12hr タゾバクタム- ピペラシリン 4.5 g q8hr 2.25~3.375 g q6hr 2.25~3.375 g q6hr 2.25 g q6hr 2.25 g q6hr (CLcr 20>: q8hr) バンコマイシン 1 g q24~96hr LD: 15~20 mg/kgMD: 1 g q24hr LD: 15~20 mg/kgMD: 10~15 mg/kg q24hr500 mg q24~48hr 1 g q24~96hr 文献 1 を基に一部データを補足して作成。 LD: 初回負荷投与量、MD: 維持投与量、q##hr: ## 時間毎に投与
a): 文献 12、 b): Trotman RL et al.: Clin. Infect. Dis. 2005: 41: 1159-1166、 c): Heintz BH et al.: Pharmacotherapy 2009: 29: 562-577、 d): 文献 13。
mL/min などを用いても全く問題は無い。 1) 薬物除去効率の評価基準:クリアランス 薬物動態学においてクリアランス(clearance:CL)は 「薬物除去速度を血中薬物濃度で規格化した値」として 定義される(式 1)。 ただし、v:薬物除去速度、CB:血中薬物濃度 つまり、一般に薬物除去速度(v)は血中薬物濃度(CB) に比例して変化してしまい、定量的に比較可能な薬物除 去効率の指標としては使いにくいため、式 1 で定義され る CL を用いるのである。これを、CRRT による薬物の 消失に当てはめて考えると(図 2)、v は、透析器入口の 薬物濃度(CB,in)と出口の薬物濃度(CB,out)の差に血流 速度(QB)を乗じることで算出されることがわかる。 そのため、CL は式 2 により算出され、図 2 のケースで は 20 mL/min(= 1.2 L/hr)と算出される(図 2)。 ただし、v については、血中薬物濃度の変化からだけ ではなく、単位時間当たりの濾過液や透析液への薬物の 回収量からも算出可能であり、以降の数式の一部ではそ ういった算出法を用いていることにご注意いただきた い。なお、図 2B に示すように、CL は単位時間当たり に完全に薬物を浄化する(すなわち濃度をゼロにする) ことが可能な血液量を意味しているとも言える。ここで、 式 2 の最大値は当然 CB,outが 0 の時であり、その時 CL は QBと一致する。このことは「いかに優れた浄化装置 であっても流入量以上の浄化は不可能であり、CL は絶 対に QBを超えることは無い」4)ことを明確に示している。 なお、この原則は CRRT に限らず一般的な薬物消失臓 器(肝臓、腎臓など)であっても常に成立する薬物動態 理論の基本概念である。 以上、CL の概念について若干の解説を加えたが、以 降では CL を理解していることを前提としているため、 CL の概念について把握しておいていただきたい。次に 濾過、拡散、吸着による薬物除去のメカニズムと CL の 算出方法について詳述する。 2) 濾過による薬物除去メカニズムとクリアランス 濾過は、水分とともに薬物が透析膜を通過することに よる薬物除去であり(図 3)、透析膜のポアサイズより も分子量が小さい物質であれば分子量の影響は受けない が、アルブミン等の血漿タンパクに結合した薬物は透析 膜を通過することはできない。そのため、濾液中の薬物 濃度(CF)は血漿中非結合型薬物濃度と等しくなり、濾 過による薬物のクリアランス(CLF)は式 3 により定義 される。 ただし、CP:血漿中薬物濃度、fU:タンパク非結合型 CRRT 導入患者に薬物を投与したケースを考え、CRRT 装置の血流量が 80 mL/min、装置に 流入する血液中、および装置から流出する血液中の薬物濃度がそれぞれ 10 μg/mL、7.5 μg/ mL であったとする。(A)血液中からの薬物消失速度を基にしたクリアランスの算出。血中濃 度の低下と血流量から薬物消失速度を求め、クリアランス(CL)を計算すると 20 mL/min と 算出される。(B)クリアランスのイメージ。血液浄化により 80 mL/min で流入する血液のうち、 CL に相当する 20 mL/min から完全に薬物が除去され、再度攪拌されたとすると血中濃度は 7.5 μg/mL となり、(A)の条件と一致する。すなわち、CL は単位時間あたりに薬物濃度をゼロ にすることができる容積と考えることができる。 図 2 血流量とクリアランスの関係
分率、QF:濾過量。 式 3 は、CLFが fUと QFによって決定されることを意 味している。なお、血液浄化療法の専門書では CFと CP の比(CF/CP)を篩係数(sieving coefficient:SC)と記載 しており、式 3 には厳密には fUではなく SCを用いるべ きであるが、こと薬物に関しては SCと fUはほぼ一致す ると考えて差し障りない。 3) 拡散による薬物除去メカニズムとクリアランス 拡散による薬物除去メカニズムは血漿と透析液中の間 での薬物濃度勾配を駆動力とした単純拡散と考えてよ い。従って、拡散によるクリアランス(CLD)を考える 上では単純拡散がどの程度まで進行するかが重要な要素 であり、それを理解するためには透析液流量(QD)と QBのバランスに着目する必要がある。図 4A には QBに 比較して QDが十分に小さいケースにおける模式図を示 す。一般的な CRRT は QB = 80~100 mL/min 程度、QD = 10~20 mL/min 程度であり、この図 4A のケースに該当す るが、QDが小さい場合には血漿から移行した薬物が透 析液内にとどまるため、血漿と透析液中の非結合型薬物 濃度は平衡に達する。ここで、QDが QBに比べて小さい ことから、透析液中に薬物が移行することによる CPの 変化を無視できると考えれば透析液中薬物濃度(CD) は血漿中非結合型薬物濃度(=CP× fU)と等しいと考え ることができる。そのため、CLDは式 4 で表現すること が可能である。 式 4 は QDが QBに比べて小さい場合、CLDは QBに依 存せず、QDによって決定されることを示している。 一方、図 4B には QDが QB対して十分に大きいケース を示すが、通常の HD は QB = 200~300 mL/min 程度、QD = 500 mL/min 程度の設定で実施するため、図 4B のケー スに該当する。この場合、QDが速く、透析液中に移行 した薬物は速やか廃液として排出されるため、透析膜を 介して血液に接触する透析液中の薬物濃度は常に低く、 濃度勾配は維持される。そのため、近似的には血漿中の 非結合型薬物が完全に透析液中に除去されると考えるこ とが可能であり、CLDは式 5 で表されることとなる。 ただし、Hct:ヘマトクリット 式 5 は、QDが QBに比べて大きい場合、逆の場合とは 異なり、CLDは QBにより規定され、QDの影響を受けな いことを意味する。ただし、小分子である尿素は血球と 血漿の間での分配が速やかであり、HD により血球中か らも除去されることが示唆するデータが存在する5)。著 者の知る限り、一般の薬物に関する同様の検討は報告さ れていないが、式 5 において 1-Hct を乗じるべきか否か については今後の検証が必要と考えられる。さらに、本 稿では詳細は割愛するが、CLDには透析膜の膜抵抗も影 響を与えることが知られており6)、Q Bが膜抵抗よりも 大きい場合、理論的には CLDは式 5 で算出される値よ りも小さくなる。 図 5 には式 4、5 に示した QD、QB、CLDの関係をまと めた。QDが小さい時、CLDは QDとほぼ一致しており、 QBの影響を受けない一方で、QDが非常に大きい場合 CLDは頭打ちになり、QBが規定要因となっていること が理解できる。よく教科書などで述べられる「血液浄化 療法において CLDは QBと QDのいずれか小さい方を超 濾過による薬物除去のメカニズムを示す。透析膜側に機械的に陰圧をかけることで、薬物は 水分と共に透析膜を通過して除去される。ただし、透析膜はアルブミン等の結合タンパク質を 通過させないため、タンパク結合した薬物は透析膜を通過できず、濾過液中の薬物濃度は血漿 中非結合型濃度と等しくなる。 図 3 限外濾過による薬物除去メカニズム
えることは無い」という原則4)はこのようなメカニズム に基づいているのである。 さて、図 5 に示すように、本稿で着目する CRRT で は通常 QDは QBに比べて小さいことから CLDは式 4 で 表現されることとなる。前述の SCは拡散(透析)にお いても CDと CPの比として定義可能であるが、濾過の 場合と異なり、分子量が拡散速度に影響を与える、すな わちポアサイズ以下の分子量であっても分子量が大きい ほど拡散は遅く SCは小さくなることが知られている。 ただし、CRRT においては、著者の知る限り薬物(分子 量 300 ∼ 1,500 Da 程度)の分子量の影響はそれほど大 きくなく、SCと fUはほぼ一致するものと考えられる。 4) 膜への吸着による薬物除去のメカニズム 最後に第 3 のメカニズムとして透析膜への吸着による 除去であるが、メカニズムは極めて単純で、物質が透析 膜に何らかの相互作用を介して結合することにより血漿 中より除去される。臨床的にはポリメチルメタクリレー ト(Polymethyl methacrylate:PMMA)膜によるサイト カインの除去やポリミキシン B カラムによるリポ多糖 の除去が知られている。一方、薬物については透析膜に 吸着するものも報告されているが(表 2)、その数は多 くは無い7)。また、現在 CRRT で主流となっているポリ スルホン(polysulfone:PS)膜については薬物吸着に関 する報告は少ないが、抗菌薬などで吸着が小さいことを 示唆する報告もあり8)、PS 膜を用いた CRRT について は透析膜への吸着は薬物の除去メカニズムとして重要で はないと考えられる。ただし、近年使用頻度が増加して きている PMMA 膜にテイコプラニンが強力に吸着する との報告もあり9)、PMMA 膜に対する薬物の吸着性につ いては今後の検討が待たれる。 図 4 拡散による薬物除去メカニズム 拡散による薬物除去のメカニズムを示す。(A)QDが QBに比べて小さいケースでは、血漿と 透析液の間の濃度勾配が徐々に小さくなり、最終的に非結合型薬物が平衡に達する。そのため、 透析液中薬物濃度(CD)は血漿中非結合型薬物濃度と等しくなる。(B)QDが QBに比べて大き いケースでは、透析液中薬物濃度は上昇しにくく常に濃度勾配が保たれるため、近似的には透 析液に移行可能な(非結合型)薬物は全て透析液中に移行すると考えることができる。 CRRT では QDが QBより小さく(A)のケースに相当するため、クリアランスは式 4 により 表現することが可能である。
5)CRRT による薬物クリアランスはどのように記述され るか? ここまで CRRT による物質除去のメカニズムとして ①濾過、②拡散、③吸着について解説した。透析膜への 吸着による除去が無視できる場合、CLCRRTは CLFと CLD の合計となり、式 3、4 に基づき式 6 により記述するこ とが可能である。 すなわち、CLCRRTには薬物の特性としての fUと CRRT 実施条件のみが影響し、基本的には対象薬物と CRRT 条 件が決まれば一義的に算出することが可能である。次項 では、CLCRRTを薬物投与設計に反映させるための具体的 な考え方やポイントについて解説する。なお、前述した ように PMMA 膜については薬物が吸着により除去され ることが示唆されており、式 6 が一般的に成立しない可 能性は否定できない。そのため、以下の議論では原則と して PMMA 膜を用いた CRRT は除外していることにご 注意いただきたい(ただし、PMMA 膜への吸着の影響 が否定できる薬物であれば、以下の議論を適応可能と考 えて差し障りない)。
3. CRRT 導入患者に対する薬物投与設計の基本原則
CRRT 導入時の投与設計を定量的に考える上では、 CLCRRTに加えて、CRRT 導入により全身クリアランス (CLtot)がどの程度変動するかを定量的に把握する必要 があり、そのために重要なパラメーターとして未変化体 尿中排泄率(Ae)とクリアランス残存率(RCL)が挙げ られる。 1)CRRT 導入時の CLtotの変化を定量的に考える 一般に、生体に投与された薬物は肝臓におけるチトク ロム P450(CYP)酵素系などによる代謝、あるいは腎 臓から尿中への排泄により体内から消失する。従って、 CLtotは、基本的には肝代謝クリアランス(CLH)と腎排 泄クリアランス(CLR)の和と考えてよい(式 7)。 図 5 透析液流量とクリアランスの関係 CRRT HD QB = 200 mL/min QB = 120 mL/min QB = 80 mL/min CL D [mL/min] 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 QD [mL/min] 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 表 2 薬物の吸着一覧 透析膜 膜電荷 吸着する薬物 PS 中性 メシル酸ガベキサート、バンコマイシン PMMA 陰性 アプリンジン、アルガトロバン、インスリン、 エリスロポエチン、グルカゴン、メシル酸ナ ファモスタット、リファンピシン AN69 陰性 シメチジン、ジルチアゼム、プロカインアミド、 メシル酸ナファモスタット、アミノグリコシ ド系抗菌薬、メキシレチン、バンコマイシン 文献 7 より一部抜粋。 実際に薬物の吸着を観察している実験系は同一ではないので単純比較 はできないことに注意が必要である。詳細は文献 6 やそれに引用され た原著論文を参照していただきたい。QBを 80 mL/min、120 mL/min、200 mL/min とした場合の CLDと QDの関係を示す。一般
的な CRRT では QDはせいぜい 20 mL/min 前後であるが、その領域では CLDはほぼ QDにより 決定されており、QBはほとんど影響を与えていないことがわかる。一方で、一般的な血液透析 (HD)では、QDが 500 mL/min と CRRT に比べて非常に早く、CLDは式 5 に従い、QDではな く QBに依存することとなる(あくまで、QBと QDの大小関係についてイメージするためのグ ラフであり、透析膜の膜抵抗など他の要因は考慮していない。そのため、値の絶対値について は参考程度と捉えていただきたい)。
ここで、CLRは Aeを用いて CLR = Ae× CLtotと表せる ことから、式 7 は以下のように変形することができる。 なお、本稿では Aeを薬物のバイオアベイラビリティー で補正した値として定義しており、大野らの総説10)に 紹介されている Rrと同義であると考えてよい。算出時 の注意点については大野らの総説10)をご参照いただき たい。
ここで患者に急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)
が発症し、CLRがほぼゼロとなり、そこに CRRT が導入 されたと仮定する。CRRT 導入時の全身クリアランスを CLtot,CRRTとすれば CLtot,CRRTは式 9 により表現される。 CL が変動した際の投与量調整の原則は AUC を一定 に保つことであるが、AUC は投与量(D)と CLtotから 式 10 で表現される。 従 っ て、CRRT 導入時に、腎機能正常者と同様の AUC を保つための投与量を DCRRTと置けば DCRRTは式 11 により求めることができる。 なお、式 8 において、CLR(=Ae× CLtot)が患者の糸
球体濾過速度(Glomerular Filtration Rate:GFR)に比例し、 腎機能正常者の GFR が 100 mL/minであると仮定すると、 GFR が GFRRF mL/min に低下した腎機能低下患者の全身 クリアランス(CLtot,RF)は式 12 により求められる。 従って、腎機能障害患者において AUC を一定に保つ 図 6 Aeと RCLを用いた CRRT 導入患者に対する投与設計のコンセプト R CL R CL2.0 /R CL0.6 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 (A) (B) 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0.1 0 0.2 Ae Ae QF + QD = 0.6 L/hr CLcr = 50 mL/min Guisti-Hayton法 CLcr = 10 mL/min Guisti-Hayton法 QF + QD = 2.0 L/hr 0.4 0.6 * 0.8 1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 (A) Aeと RCLの関係。○:QF + QDを 0.6L/hr とした場合の RCL(RCL0.6)、△:QF + QDを 2.0L/ hr とした場合の RCL(RCL2.0)、網掛部は CLcrを 10 ~ 50 mL/min とした場合の Guisti-Hayton 法による補正係数の範囲を示す。RCL0.6が高めの外れ値となっている薬物(図中に * で示す)は フルコナゾールであるが、フルコナゾールの RCL2.0は 1 を超えるため、プロットされていない。(B) Aeと RCL2.0/RCL0.6の関係を示す。Aeが大きいほど RCL2.0/RCL0.6比は大きい傾向があり、RCLが CRRT 実施条件の個人差の影響を受けやすいことがわかる。
ための投与量(DRF)は式 11 と同様の計算により式 13 により求めることができる。 式 13 は Guisti-Hayton 法11)として知られる腎機能障害 患者に対する投与量補正式であり、式 11 と非常に類似 していることがわかる。つまり、CRRT 導入患者に対す る投与設計の基本は Gustit-Hayton 法と共通する部分が 多いのである。 2)RCLに基づく CRRT 導入患者に対する投与設計の考え 方 さて、それでは式 11 を用いて、実際に RCLを考えて みよう。表 3 には(多少著者の主観は入るが)CRRT 導 入患者に対してよく使用される薬物 34 種の薬物動態パ ラメーターをまとめた。表 3 に示したパラメーターを基 に、前項と同じく患者の残存腎機能をゼロ(あるいは無 視できるほど小さい)と仮定して式 11 を用いて算出し た各薬物の RCLを Aeに対してプロットしたものが図 6A である。図 6A に示すように、一般的な CRRT で設定さ れ る QF + QDの 範 囲(QF + QD = 0.6 ∼ 2.0 L/hr =10 ∼ 33.3 mL/min)において RCLはほぼ Guisti-Hayton 法(式 13)において GFR を 10 ∼ 50 mL/min と仮定した場合の 補正係数の範囲内に収まっている。このことは、CRRT 導入患者における投与設計では Drug Prescribing in Renal
Failure12)や Sanford Guide 201313)などに記載されている
CLcrが 10 ∼ 50 mL/min 相当の患者に対する投与量が妥 当であることを示しており、大まかには肝代謝型薬物 (Ae<0.3) で は 腎 機 能 正 常 者 と 同 量、 中 間 型 薬 物 (0.3<Ae<0.7)では50%程度の減量、腎排泄型薬物(Ae>0.7) では 80 ∼ 90% 程度の減量を目安となると考えられる。 それでは、CRRT 実施条件の個人差は投与設計のどこ に効いてくるのであろうか?図 6B には QF + QDを 2.0 L/hr とした場合の RCL(RCL2.0)と 0.6 L/hr とした場合の RCL(RCL0.6)の比(RCL2.0/RCL0.6)と薬物の Aeの関係を示 した。縦軸の値が大きいほど、RCLが QF + QDの変化、 すなわち CRRT 実施条件の個人差の影響を受けやすい 表 3 CRRT 導入患者によく使用される薬剤の薬物動態パラメーター 消失経路 薬剤名 Ae fU [L/hr]CLtot [L/kg]Vd [L/hr]CLR RCL0.6 RCL2.0 RCL2.0/RCL0.6 腎排泄型 セフタジジム 0.93 0.81 7.91 0.21 7.36 0.13 0.28 2.09 セフェピム 0.92 0.83 8.58 0.30 7.89 0.14 0.27 1.98 セフピロム 0.80 0.90 8.52 0.30 6.82 0.26 0.41 1.56 セファゾリン 0.89 0.28 4.00 0.17 3.56 0.15 0.25 1.64 ピペラシリン 0.56 0.84 16.3 0.26 9.13 0.47 0.54 1.15 タゾバクタム 0.80 0.96 14.5 0.26 11.6 0.24 0.33 1.39 イミペネム 0.48 0.91 15.0 0.29 7.20 0.56 0.64 1.15 メロペネム 0.65 0.92 17.5 0.50 11.4 0.38 0.46 1.19 ドリペネム 0.75 0.91 14.6 0.32 10.9 0.29 0.37 1.30 レボフロキサシン 0.80 0.69 7.98 1.28 6.38 0.25 0.37 1.48 アルベカシン 0.90 0.93 5.08 0.20 4.59 0.21 0.46 2.24 アミカシン 0.72 1.00 5.44 0.21 3.94 0.39 0.64 1.67 バンコマイシン 0.90 0.66 6.31 0.62 5.68 0.16 0.31 1.90 テイコプラニン 0.50 0.10 1.09 1.13 0.55 0.56 0.68 1.23 ダプトマイシン 0.52 0.08 0.57 0.12 0.30 0.56 0.76 1.35 フルコナゾール 0.80 0.89 0.97 0.92 0.77 0.75 2.04 2.70 アシクロビル 0.76 0.79 17.5 0.78 13.3 0.27 0.33 1.24 ジゴキシン 0.65 0.70 9.10 8.00 5.92 0.40 0.50 1.27 ジソピラミド 0.90 0.60 5.70 0.24 5.13 0.16 0.31 1.90 ソタロール 0.75 0.91 7.20 1.80 5.40 0.33 0.50 1.54 中間型 セフトリアキソン 0.55 0.15 0.81 0.11 0.45 0.56 0.82 1.46 シプロフロキサシン 0.55 0.71 35.0 2.34 19.3 0.46 0.49 1.06 リネゾリド 0.51 0.69 7.80 0.79 3.98 0.54 0.67 1.23 プロカインアミド 0.67 0.85 41.0 2.93 27.5 0.34 0.37 1.08 ニフェカラント 0.30 0.10 51.0 0.13 15.3 0.70 0.70 1.00 フレカイニド 0.30 0.54 24.3 9.00 7.29 0.71 0.74 1.04 肝代謝型 ミカファンギン 0.01 0.02 0.71 3.71 0.01 1.00 1.03 1.03 プロパフェノン 0.01 0.10 45.3 3.73 0.45 0.99 0.99 1.00 メキシレチン 0.11 0.45 18.0 3.90 1.96 0.91 0.94 1.04 アミオダロン 0.05 0.04 10.0 66.0 0.50 0.95 0.96 1.01 ジルチアゼム 0.05 0.25 59.9 3.20 3.00 0.95 0.96 1.01 プロプラノロール 0.03 0.10 63.0 4.30 1.89 0.97 0.97 1.00 リドカイン 0.03 0.30 57.0 9.00 1.60 0.98 0.98 1.01 フェニトイン 0.004 0.10 6.53 0.58 0.03 1.01 1.03 1.02 各 薬 剤 の イ ン タ ビ ュ ー フ ォ ー ム や Kenneth E. Thummel et al.: Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 11th ed (ed. by Laurence L. Brunton), Mc Graw Hill Companies, New York, 2006, pp.1787-1888. を参考に作成し た。Aeの値については、半減期の長い薬物では蓄尿時間が適切でなく、正確な評価となっていない可能性はある。そのため、
ことを意味するが、Aeが大きい腎排泄型薬物では RCL2.0/ RCL0.6が 2 に近いのに対し、中間型薬物、肝代謝型薬物 では概ね 1 ∼ 1.5 の間であり、QF + QDの個人差による RCLの変化は小さいと考えられる。従って、図 6A、B の データを統合して考えれば、腎機能が廃絶している(あ るいは残存腎機能が無視できる程度に小さい)CRRT 導 入患者に対する投与設計は以下のように考えることが可 能と思われる。 肝代謝型薬物:原則として減量は不要であり、腎機 能正常患者に対する投与量と同量を投与する(塩酸 モルヒネなど代謝物が活性本体である場合や代謝 物に毒性がある場合はこの限りではない)。 中間型薬物:CRRT 導入患者に対する投与量は CLcr が 10 ∼ 50 mL/min 相当の患者に対する投与量と同 量に設定する。CRRT 実施条件の個人差の影響は小 さいため、CRRT 実施条件(QF + QD)に応じた調 整は原則不要である。 腎排泄型薬物:CRRT 導入患者に対する投与量は CLcrが 10 ∼ 50 mL/min 相当の患者に対する投与量 と同量に設定するが、CRRT 実施条件の個人差の影 響が大きいため、CRRT 実施条件(QF + QD)に応 じた調整を行う。 なお、non-renal indication のケースなど、患者の残腎 機能が無視できない場合には、理論的には式 9 において 右辺に残腎機能が加算されることとなる。CRRT 実施条 件にもよるが、CLcrとして 30 ∼ 40 mL/min 程度の残腎 機能があれば、QF + QDと合計で CLcrとして 50 mL/min 以上相当となり、中間型薬物や腎排泄型薬物であっても 投与量調整は不要と考えられる。一方で、極端なケース ではあるが肝機能・腎機能が共に廃絶している場合、理 論的には肝代謝型薬物であっても CLtot,CRRTに占める CLCRRTの割合が大きくなり、CRRT 実施条件の個人差の 影響が無視できなくなることが予測される。そのため、 重篤な肝障害を併発している CRRT 導入患者では十分 な注意が必要である。 一方で、成書・総説などで常に注意喚起されているこ とではあるが、腎機能障害者や CRRT 導入患者におい て調整が必要な投与量は維持投与量(Dmaintain)であり、 初回投与量については原則として減量しないことにも注 意が必要である4), 14)。すなわち、D maintainは、定常状態に おける薬物消失速度(vss)と釣り合う投与量であり、定 常状態の平均血中濃度を Cmean,ssとすれば、CL の定義式 (式 1)を応用して下式により算出される(式 14)。 ここで、式 14 においては 24hr 当たりの Dmaintainを算 出しているため、CLtotや vssも 24hr 当たりに換算してい ることにご注意いただきたい。例えば 48hr 当たりの Dmaintainを算出するには CLtotを 48hr 当たりに換算して代 入する必要がある。式 14 は、維持投与量が CLtotに比例 することを意味している。なお、Cmean,ssはある期間にお ける AUC の時間平均値であり、期間を 24hr とした場合 であれば式 15 により算出可能である。 一方で、初回投与量(Dinitial)、すなわち血中濃度をゼ ロから Cmean,ssにまで速やかに上昇させるための投与量は
分布容積(Distribution volume:Vd)にのみ依存し CLtot
は影響しない(式 16)。 例えばダムを考えてみよう。人口が 100 万人の都市に 水を供給するダム A と人口が 1 万人の都市に水を供給 するダム B があり、その容積は同じと仮定する。ダム B の方が利用人数が少ないため、満水状態を維持するの に必要な雨量はダム B の方が少なくて済む。しかし。 ダムが空の状態からとりあえず満水にしようとする際に 必要な雨量は、容積が同じであるためダム A と B で違 いは無い。ダムの容積を Vd、ダムの利用者数を CL、満 水状態を維持するための雨量を Dmaintain、空の状態から満 水状態に押し上げるために必要な雨量を Dinitialと考えれ ば、式 14 ∼ 16 の意味するところが理解しやすいと思わ れる。もちろん、理論的には Dmaintainを半減期の 4 ∼ 7 倍の期間投与し続ければ定常状態に達するが、一般に CRRT 導入患者において薬物の消失半減期は延長しこそ すれ、短縮することは無く、腎機能正常患者よりも定常 状態に達するには長時間を要することとなる。そのため、 速やかな濃度上昇を達成するために Dinitialを腎機能正常 者と同等とすることが重要であり、特にテイコプラニン などのように腎機能正常患者においても半減期が長く ローディングドーズが必要な薬剤では必須である。 次項では、CRRT 実施条件の個人差が投与設計に大き く影響する腎排泄型薬物について、CLCRRTを考慮するこ との重要性や CLCRRTを考慮した投与設計の具体的な手 順について著者の研究成果や自験例を示しつつ解説す る。 3) CRRT 実施条件の個人差を考慮した CRRT 導入患者 に対する腎排泄型薬物の投与設計の実際 a) CRRT 実施条件の個人差と薬物動態 図 6 に示すように、理論的には腎排泄型薬物の薬物動 態に CRRT 実施条件の個人差は大きく影響を与えるこ とが予測される。それでは、実際にどの程度影響がある のであろうか? 著者らは、2005 ∼ 2008 年に東京大学医学部附属病院 に お い て CRRT を 導 入 さ れ、 バ ン コ マ イ シ ン (vancomycin:VCM)、 テ イ コ プ ラ ニ ン(teicoplanin: TEIC)、およびアミカシン(amikacin:AMK)の投与を
受けた患者 16 名を対象に、カルテから投与量、CRRT 実施条件(QF + QD)等を抽出し、算出した CLCRRTを用 いて各患者の血中濃度シミュレーションを行った。具体 的なシミュレーション方法や用いたパラメーターの詳細 については著者らの報告15)をご参照いただきたいが、 QF + QDは 0.7 ∼ 2.0 L/hr、濾過の比率(QF/(QF + QD))は 0.1 ∼ 0.9 と CRRT 実施条件は患者毎に大きく異なって いたが、濃度推移シミュレーションは VCM、TEIC、 AMK いずれにおいても TDM 実測値と良好に一致した (図 7A)。また、全 16 症例の集計においても、ほとんど の測定点が予測値の 0.5 ∼ 2 倍の範囲内に収まり(図 7B)、実測値を基に算出した CL と CLCRRTは良好に一致 していた(図 7C)。これらの結果は、CLCRRTを考慮した 投与設計を行うことで、CRRT 導入患者において VCM、 AMK、TEIC の厳密な血中濃度管理が可能であることを 示唆していると考えられる。そこで、次に QF + QDを考 慮した最適投与量の一覧表の作成を行った。 b) CRRT 実施条件に応じた投与量一覧の作成 抗菌薬は、抗菌作用が起因菌の最小発育阻止濃度 (Minimum inhibitory Concentration:MIC)を血中濃度が 上回っていた時間の割合(% Time Above MIC:%TAM)
に依存する時間依存型の抗菌薬と、最高血中濃度(Cpeak)
/MIC、あるいは 24 時間 AUC(AUC24hr)/MIC に依存す
る濃度依存型の抗菌薬に分けることができ、最適投与設
計の考え方も PK/PD 目標値によって異なってくる16)。
検 討 し た 抗 菌 薬 の う ち VCM、TEIC は AUC24hr/MIC、
AMK は Cpeak/MIC に抗菌効果が依存することが報告され
て お り、VCM、TEIC については AUC24hrを、AMK は
Cpeakを最適化することが必要となる(表 4)17)-22)。具体 的な投与量の計算方法については、著者らの総説4)に詳 図 7 CRRT 導入患者における抗菌薬の血漿中濃度シミュレーション結果 VCM[mg/L] AMK濃度[mg/L] 血漿中濃度実測値[mg/L] CLCRRT 実測値[mL/min/kg] 血漿中濃度予測値[mg/L] 1 10 VCM TEIC AMK VCM TEIC AMK 100 CLCRRT予測値[mL/min/kg] 0.02 0.20 2.00 TEIC濃度[mg/L] 0 48 96 144 192 240 288 0 120 240 360 480 600 720 経過時間(hr) 0 72 144 216 288 360 432 504 経過時間(hr) 経過時間(hr) (A) (B) 60 50 40 30 20 10 0 80 60 40 20 0 40 30 20 10 0 100 10 1 2.00 0.20 0.02
(A) VCM、TEIC、AMK の代表的症例。○:VCM 実測値、□:TEIC 実測値、△:AMK 実測値、点線:シミュレーションにより作成した予測血中濃度推移。(B) 全 16 患者の血漿中濃 度予測値と実測値の関係(左)、および CLCRRT予測値と実測値の関係(右)。○:VCM、□:
TEIC、△:AMK、実線:予測値と同値、点線:予測値の 0.67 倍および 1.5 倍、破線:予測値 の 0.5 倍及び 2 倍。
述しているので紙面の都合上割愛するが、VCM、TEIC、 AMK について表 4 に示した目標濃度を達成するための 最適投与量を、腎機能が廃絶した(あるいは残腎機能が 無視できる程度に小さい)CRRT 導入患者であることを 前提に QF + QD毎に一覧表にしたものが表 5 である。 CRRT 実施条件と PK/PD 理論を考慮して設計した投与 量と Sanford Guide 201313)に記載された投与量を比較し たところ、表 5 に示すように特に QF + QDが大きいケー
スや起因菌の MIC が高いケースでは Sanford Guide 2013 の投与量では十分な濃度を保つことが難しいことが示唆 され、CRRT 導入患者に対しては、画一的な投与量を適 応するのではなく CLCRRTを個別に考えた投与設計を行 うことが重要と考えられた。なお、表 5 に示す一覧表を 掲載した著者らの報告15)については 2012 年に刊行され た抗菌薬 TDM ガイドライン23)にも引用されているので 興味のある読者はご一読いただければ幸いである。 c) 臨床症例への応用例 ここで、前述の投与量一覧表を臨床応用した症例を紹 介させていただく。 【症例】 26 歳男性、体重 70kg。骨髄移植後の拒絶反応により 生じた小腸穿孔からグラム陰性菌が起因菌と推定される 腹膜炎を発症した。ドリペネムによる治療が開始された が経過は不良であり、最終的に敗血症性ショックに伴う AKI に陥り CRRT 導入が必要となった。CRRT 導入時は ほぼ無尿であり、QF + QDは 2.4 L/hr(=34.3 mL/hr/kg) 表 4 バンコマイシン、テイコプラニン、アミカシンの PK/PD 目標値および目標トラフ値 薬物 PK/PD 目標値 目標トラフ値 参考文献 バンコマイシン AUC24hr/MIC > 400 10 ~ 20 mg/L 19, 21 テイコプラニン AUC24hr/MIC > 345 10 ~ 60 mg/L 18, 22 アミカシン Cpeak/MIC > 8 5 mg/L 以下 17, 20
AUC24hr:24 時間 AUC、Cpeak:ピーク濃度、MIC:最少発育阻止濃度
表 5 各抗菌薬の最適投与量一覧 (A) - VCM の投与量一覧表-a) MIC QF + QD/ 体重 [mL/h/kg] c) 15 20 25 30 35 2 mg/L 初回投与量 [mg/kg] 20 20 25 25 30 維持投与量 [mg/kg] 23 25 25 23 27 維持投与間隔 [hr] 72 60 48 36 36 予測トラフ値 [mg/L] 19.6 18.4 18.4 19.5 17.8 1 mg/L 初回投与量 [mg/kg] 15 15 20 20 20 維持投与量 [mg/kg] 3.4 5.1 6.4 7.6 8.9 維持投与間隔 [hr] 24 24 24 24 24 予測トラフ値 [mg/L] 12.3 13.1 12.4 11.7 11.0 (B) - TEIC の投与量一覧表-b) MIC QF + QD/ 体重 [mL/h/kg]c) 15 20 25 30 35 4 mg/L 維持投与量 [mg/kg/24 hr]予測トラフ値 [mg/L] 51.94.4 50.25.8 48.57.3 46.98.7 45.410 2 mg/L 維持投与量 [mg/kg/24 hr]予測トラフ値 [mg/L] 2.226 25.12.9 24.23.6 23.54.4 22.75.1 (C) - AMK の投与量一覧表- MIC QF + QD/ 体重 [mL/h/kg] c) 15 20 25 30 35 8 mg/L 1 回投与量 [mg/kg] 20 20 20 20 20 投与間隔 [hr] 96 72 60 48 48 予測ピーク濃度 [mg/L] 67.5 66.8 65.7 65.5 63.3 予測トラフ濃度 [mg/L] 4.0 4.0 3.6 4.1 2.6 4 mg/L 1 回投与量 [mg/kg] 10 10 10 10 10 投与間隔 [hr] 72 60 48 36 36 予測ピーク濃度 [mg/L] 35.8 34.6 34.3 34.8 33.2 予測トラフ濃度 [mg/L] 4.1 3.2 3.2 4.2 2.9 a):初日に初回投与量を投与後、投与 2 日目より維持投与量で投与継続する b): 維持投与量開始の前に 6~12 mg/kg を 12hr 毎に 3 回のローディング投与を 行う。 c): 患者の残存腎機能が大きく推定可能な場合は、Q F + QDに残存腎機能を加算 すべきである。 濃灰色部は Sanford Guide 2013 の記載用量より 1 日当たりの投与量が多いこと を、薄灰色部は 1 日当たりの投与量は Sanford Guide 2013 の記載用量以下だが、 投与間隔が異なることを示す。
であった。CRRT 導入翌日より AMK 投与の方針となり、 投与設計が依頼された症例である。
【投与設計】
起因菌が不明であったため、アンチバイオグラムを参 考に AMK に対する MIC は 4 mg/L とし、目標濃度は
Cpeak/MIC = 8(Cpeak = 32mg/L)、トラフ値は 5 mg/L 以下
とした。表 5 の AMK の投与量一覧を参照し、QF + QD = 35 mL/hr/kg、MIC = 4 mg/L の最適投与量を見ると AMK 10 mg/kg(= 700 mg)を 36hr 毎に投与することが適切と 判断されたため、医師に提案した。 【血中濃度測定結果】 AMK は、提案通り 700 mg を 36hr 毎で投与開始され、 1 回目の投与開始後 1hr 値(Cpeak)と 23hr 値はそれぞれ 32.3 mg/L、5.4 mg/L とほぼシミュレーションと一致し た濃度であり(図 8)、その後の投与量は 700 mg を 36hr 毎の継続となった。 本症例における QF + QDは我が国の平均的な QF + QD より大きい 34.3 mL/hr/kg であったが、一覧表を用いる ことで適切な濃度管理が可能であった。このことは、少 なくとも腎排泄型の抗菌薬においては CRRT 実施条件 の個人差を考慮した投与量調整が重要であることを示唆 していると考えられる。
4. 生体腎と CRRT の違いと薬物投与設計への影響
ここまでは CRRT による薬物除去のメカニズムや、 CLCRRTを用いた CRRT 導入患者に対する抗菌薬の投与 量調整の原則について具体的事例を示しつつ解説した。 本項では、例外的な事項ではあるが CRRT と生体腎に おける物質除去メカニズムの差が薬物動態に与える影響 について、フルコナゾール(FLCZ)を例に考えてみる。 FLCZ は図 6 において例外的に CRRT 導入時の RCLが 1 に近く、CRRT 導入時と腎機能正常者で全身クリアラン スが同程度となっている薬物である。 図 8 自験例における血漿中 AMK 濃度実測値と予測値の関係 経過時間(hr) 実測値 シミュレーション 0 12 24 36 48 60 40 30 20 10 0 血漿中AMK濃度[mg/L] 図 9 生体腎と CRRT による物質除去メカニズムの比較 (A) 生体腎における薬物除法 (B) CRRTによる薬物除法 自験例における血漿中 AMK 濃度実測値(△)とシミュレーションによる予測(破線)の関 係を示す。予測値と実測値はよく一致しており、表 5 に示した投与量一覧表が実臨床において も有用であることが示唆される。症例の詳細は本文を参照のこと。 (A) ネフロン(生体腎)における薬物除去メカニズム。糸球体濾過に加えて尿細管分泌によ る能動的な排泄や、再吸収が関与するため、腎クリアランス(CLR)は CLR = (fU× GFR + CLsec)×(1 - F)として記述される。(B) CRRT による薬物除去メカニズム。CRRT において は血液と透析液が透析装置内でしか接触せず、濾過と透析による受動的な薬物除去のみが行わ れる。そのため、CRRT は生体腎における糸球体濾過のみを代替していると考えることができる。1) CRRT は生体腎における糸球体濾過のみを代替する。 図 9 には生体腎における物質除去メカニズム(図 9A) と CRRT による物質除去メカニズム(図 9B)を模式図 で示した。図 9 に示すように生体腎においては糸球体濾 過に加えて種々のトランスポーターによる尿細管分泌 や、再吸収過程が存在するが、CRRT では基本的に濾過 と拡散のみで物質除去が行われており、生体腎における 糸球体濾過のみを代替している。もちろん透析膜にトラ ンスポーターは発現しておらず、透析液は速やかに排液 され血液との再接触は無いため、CRRT においては分泌 や再吸収は関与していないと考えてよい。そのため、こ れらの寄与が大きい薬物では CRRT 導入により予想外 の体内動態変化を示す場合があるので、薬物の腎排泄機 構を理解しておくことは重要である。 2) 腎排泄機構の評価指標:濾過依存度 それでは、薬物の腎排泄機構はどのように評価すれば よいだろうか?現時点ではヒトにおいて尿細管分泌と再 吸収を分離して定量的に評価する方法論は存在しないた め、式 17 により定義される濾過依存度を指標として定 性的に評価することが多い。 ただし、GFR:腎機能正常者の GFR(6.0 L/hr = 100 mL/min)、CLsec:尿細管分泌クリアランス、F:再吸収 率 式 17 より、濾過依存度が 1 より大きい場合は再吸収 の関与を否定はできないが CLsecが大きい、すなわち尿 細管分泌の寄与が大きいことは結論でき、逆に濾過依存 度が 1 より小さい場合は尿細管分泌の寄与を否定はでき ないが F が大きいこと、すなわち再吸収の寄与が大き いことを結論できる。一方で、濾過依存度が 1 に近い場 合は、尿細管分泌、再吸収が共に寄与が小さいか、同程 度に大きいことが示唆される。図 10 には①イヌリン(尿 細管分泌、再吸収ともに受けない)、②グルコース(再 吸収の寄与が大きい)、③インドキシル硫酸(代表的な 尿毒性物質であり、尿細管分泌の寄与が大きい)につい て濾過依存度をまとめたが、腎排泄機構を濾過依存度に よってある程度推定可能であることがわかる。ここで重 要な点は、尿細管分泌、再吸収ともに受けない物質であ れば CRRT により QF + QDと同等の CLcr相当の薬物除去 が期待できる一方で、再吸収の寄与が大きい物質では QF + QDから予測される以上の薬物除去が CRRT で達成 される可能性があり、逆に尿細管分泌の寄与が大きい薬 物では QF + QDと同等の CLcrに相当する薬物除去が難し い可能性がある点である。 3) なぜ FLCZ では例外的にクリアランス残存率が高い のか? それでは、CRRT 導入患者によく使用される薬物の濾 過依存度はどの程度となっているのであろうか?表 6 に は表 3 に示した薬剤のうち、腎排泄型薬物をピックアッ プして濾過依存度をまとめたが、FLCZ のみが 0.14 と極 端に低い値を示していることがわかる。つまりフルコナ ゾールは(CLsecが無視できると仮定すれば)糸球体濾 過を受けた薬物のうち 86% が再吸収され、尿中に排泄 される割合は 14% にとどまると考えられるわけである。 図 11 には、再吸収率 86% を仮定した場合の、①腎機 能正常患者(CLcr = 100 mL/min)、②腎機能低下患者(CLcr = 20 mL/min)、③ CRRT 導入患者(CLcr = 0 mL/min、QF 図 10 濾過依存度による腎排泄機構の評価 文献報告値を基に算出した①イヌリン、②グルコース、および③インドキシル硫酸の濾過依 存度を示す。濾過依存度はそれぞれ 1.23、0、11.8 であり、濾過依存度により腎排泄機構を考察 することが可能である。
+ QD = 20 mL/min)における FLCZ の CL を模式的に示 したが、CRRT では再吸収機構が働かないため、見た目 の CL は腎機能正常患者に匹敵する値となるのである。 従って、CRRT 導入患者に対する FLCZ の投与量は少な くとも腎機能正常患者と同量が必要であり、状況によっ ては増量を検討すべきと考えられる。実際 FLCZ は CRRT により効率的に除去されることが報告されてお り24)、Sanford Guide 201313)においても CRRT 導入患者 に対する投与量は 200 ∼ 400mg を 24hr 毎と通常用量 (100 ∼ 400 mg を 24hr 毎)が推奨されている。このよ うに、少数ではあるものの特殊な腎排泄機構を有する薬 物では CRRT 導入により予測外の体内動態変化を起こ す可能性があるため、注意が必要である。
5. おわりに
CRRT 導入時の薬物投与設計に関しては、特に抗菌薬 を中心に多数の報告があるが、そのほとんどは限られた CRRT 実施条件下に投与したデータに基づく経験的な投 与量であるため、日常臨床に普遍的に応用するのは難い のが現状である。そのため、日常臨床で直面する様々な 状況、特に過去に臨床的なエビデンスが存在しない薬物 を投与する際や、CRRT 実施条件が一般的な設定と異な る場合に柔軟に対応するためには CRRT による薬物除 去のメカニズムや CL の決定要因を理解し、薬物の性質 も加味した上で論理的妥当性のある投与設計を行うこと が重要と考えられる。そのような観点から本稿ではまず CRRT による薬物除去のメカニズと CLCRRTの決定要因 表 6 CRRT 導入患者によく使用される腎排泄型薬物の濾過依存度 薬剤名 fU CLR[L/hr] 濾過依存度 セフタジジム 0.81 7.36 1.51 セフェピム 0.83 7.89 1.59 セフピロム 0.90 6.82 1.26 セファゾリン 0.28 3.56 2.12 ピペラシリン 0.84 9.13 1.81 タゾバクタム 0.96 11.6 2.01 イミペネム 0.91 7.20 1.32 メロペネム 0.92 11.4 2.06 ドリペネム 0.91 10.9 2.00 レボフロキサシン 0.69 6.38 1.54 アルベカシン 0.93 4.59 0.83 アミカシン 1.00 3.94 0.66 バンコマイシン 0.66 5.68 1.43 テイコプラニン 0.10 0.55 0.91 ダプトマイシン 0.08 0.30 0.62 フルコナゾール 0.89 0.77 0.14 アシクロビル 0.79 13.3 2.81 ジゴキシン 0.70 5.92 1.41 ジソピラミド 0.60 5.13 1.43 ソタロール 0.91 5.40 0.99 濾過依存度は式 17 により算出した。 図 11 腎機能正常者および腎障害患者における FLCZ のクリアランス ①腎機能正常者 (CLcr = 100 mL/min) ②腎障害患者 (CLcr = 20 mL/min) ③CRRT導入患者 (QF + QD = 20 mL/min) 糸球体濾過(100) 再吸収(86) 再吸収(17) 糸球体濾過(20) 濾過+透析(20) 尿へ排泄(14) 尿へ排泄(3) 排液へ(20) 濾過依存度を基に、FLCZ の再吸収率を 86%と仮定した場合の FLCZ のクリアランスを①腎 機能正常者、②腎機能障害者、および③ CRRT 導入患者の場合について模式的に示す。CRRT 導入患者では再吸収機構が働かないため、見た目のクリアランスは腎機能正常者に匹敵するこ とが理解できる。について解説した。また、CLCRRTを具体的な投与設計に 反映させる際に必要なパラメーターである Aeと RCLに ついても解説を加え、それらのパラメーターに基づく CRRT 導入患者に対する薬物投与設計の原則を提案した (図 12)。さらに、CRRT 実施条件の個人差が投与設計 に 大 き く 影 響 す る 腎 排 泄 型 の 抗 菌 薬 の う ち VCM、 TEIC、AMK の投与設計に関して著者らの研究成果に基 づき解説するとともに、その臨床応用について自験例を 例に説明した。一方で、CRRT が生体腎を完全には代替 できないことが予測外の薬物動態変化に繋がりうること も FLCZ を例にして解説した。 これらの薬物動態理論に基づいた投与設計の臨床的有 用性については今後の臨床試験により検証される必要が あるが、本稿が CRRT 導入患者に対する投与設計にか かわる読者の参考になることを期待したい。
6. 謝辞
本稿は東京大学医学部附属病院薬剤部・安野伸浩助教 (現・関越病院薬剤部)同集中治療部・矢作直樹先生、 片田正一先生(現・茨城県立中央病院救急部)、同血液 浄化療法部・藤田敏郎先生、野入英世先生、花房規男先 生との共同研究により得られたデータに基づいて執筆さ れたものであり、共同研究者の先生方にこの場を借りて 厚く御礼申し上げる。7. 利益相反
本論文の共著者である樋坂章博は、製薬企業 7 社(ア ステラス製薬株式会社、エーザイ株式会社、塩野義製薬 株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、 ノバルティスファーマ株式会社、万有製薬株式会社)の 寄附により設立された東京大学医学部附属病院 22 世紀 医療センター・薬理動態学講座に所属している。本論文 に関して、他に申請すべきものは無い。引用文献
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ABSTRACTS
Principles of Dosage Adjustment for Patients Receiving
Continuous Renal Replacement Therapy (CRRT) Based on
the Quantitative Estimation of Clearance by CRRT
Yamamoto Takehito
1Hisaka Akihiro
2Suzuki Hiroshi
1Department of Pharmacy, The University of Tokyo Hospital
1Pharmacology and Pharmacokinetics, 22
ndMedical Center, The University of Tokyo Hospital
2 Key words: continuous renal replacement therapy, dosage adjustment, clearanceContinuous renal replacement therapy (CRRT) is often introduced to critically ill patients with hemodynamic instability to remove the uremic toxins or inflammatory cytokines. However, it is often the case that CRRT also removes drugs from the body and makes it difficult to maintain the therapeutic concentrations. Therefore, the dosage for patients receiving CRRT should be carefully determined. Although some guidelines recommend dosage for the patients receiving CRRT, most of these dosages are based on the reports of the limited number of clinical studies with limited CRRT conditions and may not be directly applied for daily clinical settings because of the significant inter-individual and/or inter-institutional difference in CRRT condition. Thus, to optimize the dosage for the patients receiving CRRT, it is necessary to understand the relationship between drug clearance by CRRT (CLCRRT) and CRRT
condition and to quantitatively evaluate the change in total body clearances (CLtot) by application of CRRT.
Basically, removal of low molecular drugs by CRRT depends on filtration and diffusion through the dialyzer membrane, and only unbound drugs are removed from the body since the dialyzer membrane is impenetrable to albumin-bound drugs. Therefore, CLCRRT can be calculated from plasma unbound fraction (fU) of drugs and CRRT
condition, and is approximately equivalent to creatinine clearance (CLcr) of 10~35 mL/min at the standard CRRT
condition (i.e., the sum of ultrafiltration rate and dialysate flow rate of 10~35 mL/min). On the other hand, it is quite important to consider the urinary excretion ratio of the unchanged drug (Ae) to adjust the dosage for patients
receiving CRRT. In principle, suggested dosage for the patients receiving CRRT is equal to that for patients with CLcr of 10~50 mL/min, which is described in authoritative references (i.e. “Sanford Guide” or “Drug Prescribing in
Renal Failure” etc.) However in case of renally excreted drugs (i.e. drugs with large Ae values), individual CRRT
condition should be considered to achieve the precise concentration control because the inter-individual difference in CRRT condition is significantly affect the CLtot during CRRT when the residual renal function of the patients are
negligible. In addition, the initial dosages for patients receiving CRRT should be equal to those for patients with normal renal function to rapidly increase the drug concentration. Furthermore, it should be taken into account that CRRT exclusively replaces the glomerular filtration of kidneys. This means that the unexpected pharmacokinetic changes can be occurred in drugs which extensively secreted or resorbed at the renal tubular. In this review, the principle for the quantitative estimation of drug clearances by CRRT and its application for dosage adjustment of antibiotics are discussed.