ミクロ経済学 基本講義
第 9 回 不完全競争 Ⅰ
Ⅰ.不完全
ふ か ん ぜ んきょうそう競 争
理論
り ろ んの体系
【 完全競争市場の 4 要件 】 【 不完全競争理論 】 ①.多数の生産者・消費者の存在 ♪ (供給)独占市場・価格差別 寡占市場 など ②.財の同質性 ♪ 独占的競争市場 ③.市場への参入・退出の自由 ♪ ゲームの理論 など ④.情報の完全性 ♪ 逆選択、モラル・ハザード など 完全競争市場均衡はパレート最適である 厚生経済学の第1命題 不完全競争理論 完全競争ではないために パレート最適にならない。 市場の失敗 完全競争市場が前提でも パレート最適にならない。Ⅱ.独占
どくせん市場
しじょう( 供 給
きょうきゅう独占
どくせん)
(1) 価格に対する行動 ⅰ).完全競争下の 1 企業 ⇒ 市場で決定された価格を一定● ●として、利潤を最大にするように生産量を決定する。 ⅱ).独占どくせん企業きぎょう ⇒ 右下がりの市場需要曲線を前提として、価格か か く支配力しはいりょくを行使して価格を設定する。 価格(一定) 生産量の決定 ◆ 利潤を最大にする生産量(供給量)の下で、消費者の最大限の支払可能額を価格として P X O ● D P0 X0 P2 X1 P1 X2 ● ● ● ● 独占状態なので、X財の多数の消 費者はすべて独占企業の顧客に なります。そこで、独占企業は、 消費者の足元をみて、高い金額を 吹っかけます。 前 提 ・ 売り手(企業) : 1 社のみ ・ 買い手(消費者) : 多数存在 プライス・メイカーの仮定(2) 利潤最大化行動 ⅰ).完全競争下の 1 企業 生産量に関係なく、常に価格は一定なので、企業の収入(R)は以下のように表せます。 収入(R)= P・X (Pは一定) よって、利潤(π)は以下のようになります。 π = P・X - TC これを生産量Xについて微分してゼロとおくと、 ⅱ).独占企業 生産量によって市場需要曲線上で設定される価格が変わるので、収入(R)を市場需要曲線の 式を使って計算します。 ⊿π ⊿X = P - = 0 ⊿TC ⊿X ∴ P = MC 【利潤最大化条件】 市場需要曲線(問題文に与えられます)をP = P(X)とすると、 収入(R)= P・X (P:価格、X:生産量) = P(X)・X 市場需要曲線をP= ~ の形にして代入する R、TC X O ● TC R ● MC P(一定) X* ex.市場需要曲線 : P = -aX+b (a、bは定数) 独占企業の収入● ●: R = P(X)・X =(-aX+b)X = -aX2+bX (上に凸の曲線となる) R、TC X O TC R MC X* ● ● MR 利潤最大
独占企業の利潤が最大化されているときには、以下の条件が成立します(前ページのグラフ参照)。 ※ 計算問題の場合、「市場需要曲線」と独占企業の「費用関数」は与えられるので、独占企業の利 潤(π)を立てて、“生産量で微分してゼロとおく”計算を行ってもOKです。 ※ 限界げんかいしゅうにゅう収 入きょくせん曲 線(MR)について 市場需要曲線 : P = -aX+b 独占企業の収入 : R = P(X)・X = -aX2+bX これを生産量Xについて微分すると、 ⊿R MR = = -2aX+b 【 独占企業の利潤最大化条件 】 収入関数の“(接線の)傾き● ●” = 費用関数の“(接線の)傾き● ●” 〔MR:限界収入、MC:限界費用〕 π = P(X)・X - TC MR = MC 微分してゼロとおく 生産量(X)を追加的に 1 単位増やした● ● ● ●ときに、収入(R)が どれだけ増加● ●するかを表す。 MR = = 収入関数の接線● ●の●傾き● ●の大きさ ★ 収入関数(R)を生産量(X)で“微分”する 収入の増加分● ● ● 生産量の増加分● ● ● ⊿R ⊿X 限界 げんかい 収 入 しゅうにゅう (MR) 【 計算による場合 】 【 グラフで示す場合 】 P、MR MR = MC
~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №187) 【 独占均衡点の特徴 】 ◆ 生産量を先に決定し(MR=MC)、市場需要曲線上で価格を設定(P>MC)。 ◆ 独占均衡点では、需要の価格弾力性が(ε)が1より大(ε>1)。 ◆ 参入・退出がないので、超過利潤はプラス(R>TC)。 独占 どくせん 均衡点 きんこうてん (クールノーの点) P X O D X* AC* P* ● ● ● ● AC MC MR ● ● E A B C 一企業により独占的に供給されるある財の価格をP、生産量をQとすると、その企業の、 総費用曲線が、TC=Q3-5Q2+15Q+80 需要曲線が、P=90-5Q で表されるとき、この企業の利潤を最大にする財の価格はどれか。 1. 5 2. 25 3. 45 4. 65 5. 85
『解説』では利潤最大化条件(MR=MC)を使った計算をしていますが、ここでは利潤(π) を立てて微分してゼロとおく計算を示しておきます。 まず、利潤(π)を収入(R)と費用(TC)の差をとって計算します。 π = R-TC = P(Q)Q-TC =(90-5Q)Q-(Q3-5Q2+15Q+80) = 90Q-5Q2-Q3+5Q2-15Q-80 = -Q3+75Q-80 これを生産量(Q)で微分してゼロとおくと、利潤を最大にする生産量が求まります。 価格は需要曲線上で設定されるので、この結果を需要曲線の式に代入します。 P=90-5Q = 90-5・5 ∴ P=65 (肢 4 が正解) (3) ラーナーの独占度ど く せ ん ど 市場の取引状況が完全競争市場から乖離するほど(= 独占の度合いが強くなるほど)価格(P)と 限界費用(MC)との差が大きくなります。 ⊿π ⊿Q = -3Q 3-1+1・75Q1-1-0 = 0 ⇔ Q2 = 25 ∴ Q=5 【 ラーナーの独占度 】 ◆ 完全競争の場合にはP=MCなので、独占度はゼロになります。 ◆ 需要の価格弾力性が大きい● ● ●ほど、ラーナーの独占度は小さく● ● ●なる。 〔ε : 需要の価格弾力性〕 P-MC P = 1 ε
(4) 売上うりあげ高最大化だ か さ い だ い か仮説か せ つ ◆ 独占企業は、売上高● ● ●(= 収入)を最大にする生産量を決定する。 売上高(= 収入)最大 接線の傾き(MR)がゼロ P X O R(収入・売上高) X* P* ● D MR A B R X O ● ● X* ● 需要の価格弾力性(ε)= 1 MC ● ● C E P** X** ある独占企業において、需要曲線P=90-0.2x(P:価格、x:数量)、限界費用曲線MC =10 が与えられている。このとき、この企業が売上高最大化をとり生産量を決定する場合は、 利潤最大化行動をとる場合と比べて、価格の高さはどうなるか。 1. 10 だけ低い 2. 5 だけ低い 3. 変わらない 4. 5 だけ高い 5. 10 だけ高い ~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №208) MR(限界収入)= 0
『解説』には示されていませんが、グラフを書きながら考えると計算もしやすくなります。 まず、限界収入(MR)を計算します。限界収入(MR)は、市場需要曲線の傾きの大きさを 2 倍したものに一致しますから、 MR=90-0.4x …… ① となります。 売上高が最大となる生産水準の下では、限界収入はゼロになるので(MR=0)、①式から 90-0.4x=0 ∴ x=225 となり、これを市場需要曲線に代入すると、売上高を最大にするときの価格が出ます。 P=90-0.2・225 ∴ P=45 一方、独占企業が利潤最大化を図る場合にはMR=MCを満たすところで生産量を決定し、市場 需要曲線上で独占価格を設定します。よって、まずは①式とMC=10 より、 MR=MC ⇔ 90-0.4x=10 ∴ x=200 となり、市場需要曲線から P=90-0.2・200 ∴ P=50 と計算できます(正解は肢 2)。 P X O 225 45 ● P=90-0.2x MR=90-0.4x B ● ● 独占均衡点 MC=10 ● ● C E 50 200 売上高最大化仮説
(5) 価格か か く差別さ べ つ(差別さ べ つ独占どくせん) ⇒ 独占企業が、1 つの財を、2 つの市場に異なる価格を設定して供給すること。 ex.一般料金と学割料金、大人料金と子供料金、通常料金と夜間割り増し料金 など ◆ 需要の価格弾力性が小さい● ● ●市場(D1) ⇒ 高い ● ● 価格を設定する ◆ 需要の価格弾力性が大きい● ● ●市場(D2) ⇒ 低い ● ● 価格を設定する 前 提 ⅰ).市場を需要の価格弾力性(ε)の大小によって分割可能であること。 ⅱ).転売が不可能であること。 工 場 市場1:D1(需要の価格弾力性 小 ) ⇒ MR1 市場2:D2(需要の価格弾力性 大 ) ⇒ MR2 価格を低くしても、需要の伸びはたかが知れている。 価格を高くしても、需要の減少は少なくて済む。 価格を低くすると、需要の伸びが大きくなる。 価格を高くすると、大きく需要が減少してしまう。 ★ 工場は 1 つ ⇒ 費用関数 1 つ ⇒ 限界費用(MC)も 1 つ 2 つの市場に供給する財は、 同じ費用条件(МC)で生産 されたものとします。 P x O A D1(D2に比べて非弾力的) P0 x0 ● ● ● ● ● D2(D1に比べて弾力的)
ある独占企業が、市場をAとBの 2 つに分割し、同一財にそれぞれの市場で異なる価格をつ けて販売する場合において、 A市場の需要曲線が、DA=5-0.5PA B市場の需要曲線が、DB=8-PB この企業の総費用曲線が、TC=5+2X で表されるとき、それぞれの市場における利潤が最大となる価格の組合せとして、妥当なのはど れか。 ただし、PAはA市場における価格、DAはA市場における需要量、PBはB市場における価格、 DBはB市場における需要量、Xは生産量とし、この財の市場間での転売はできないものとする。 A 市場 B 市場 【 価格差別における利潤最大化条件 】 MR1 = MC X1* X1 P1* MR1 D1 P MC (一定と仮定) O X2 ● ● X1* ● ● P2* MC (一定と仮定) X2* D2 MR2 市 場 1 市 場 2 εが小さいので、 高い価格を設定 εが大きいので、 低い価格を設定 MR2 = MC X2* MR1 = MR2 = MC ~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №213)
まず、各市場の需要曲線をP=~の形にします。 A市場 : PA=-2xA+10 …… ② B市場 : PB=-xB+8 …… ③ 次に、限界収入(MR)は、需要曲線の傾きの大きさを 2 倍したものに相当しますので、 A市場 : MRA=-4xA+10 …… ④ B市場 : MRB=-2xB+8 …… ⑤ となります。 一方、限界費用(MC)は、①式を各市場向けの生産量(供給量)で微分すると、 となり、各市場ともMC=2で一定であることが分かります。 ここで④、⑤式から各市場の利潤最大化条件をたてると、各市場の生産量を求められます。 A市場 : -4xA+10 = 2 (MRA=MC) ∴ xA = 2 B市場 : -2xB+8 = 2 (MRB=MC) ∴ xB = 3 最後に、価格は需要曲線上で設定されるので、この結果を②、③式に代入すると、 A市場 : PA=-2・2+10 ∴ PA = 6 B市場 : PB=-3+8 ∴ PB = 5 となります(正解は肢 5)。 ⊿C ⊿xA ⊿C ⊿xB = 0+1・2xA1-1+0 = 2 = 0+0+1・2xB1-1 = 2 工場は 1 つで、同じ費用条件で生産し ているので、限界費用も同じになる。 【 費用関数について 】 1 つの工場で生産したもの(X)を、2 つの市場に分けて供給するので(xA、xB)、 X=xA+xB となります。よって、費用関数は以下のように表すことができます。 TC = 5+2X = 5+2(xA+xB) = 5+2xA+2xB …… ① 解法 1 : 利潤最大化条件を使って解く方法
独占企業は 2 つの市場から「収入(R)」を得ますので、利潤(π)は以下のようになります。 π = RA+RB-TC = PA・xA+PB・xB-TC =(-2xA+10)xA+(-xB+8)xB-(5+2xA+2xB) = -2xA2+10xA-xB2+8xB-5-2xA-2xB …… ⑥ この⑥式を、xAとxBのそれぞれについて微分してゼロとおくと、 最後に、価格は需要曲線上で設定されますので、この結果を②、③式に代入すると、 A市場 : PA=-2・2+10 ∴ PA = 6 B市場 : PB=-3+8 ∴ PB = 5 となります(正解は肢 5)。 = -2・2xA2-1+1・10xA1-1-0+0-0-1・2xA1-1-0 = 0 ⊿π ⊿xA ⇔ -4xA+10-2 = 0 ∴ xA = 2 ⊿π ⊿xB = 0+0-2・xB2-1+1・8xB1-1-0-0-1・2xB1-1 = 0 ⇔ -2xB+8-2 = 0 ∴ xB = 3 ⊿π ⊿xA ⊿π ⊿xB = 0 = 0 xA xA* π O ● πMax xB xB* π O ● πMax 解法 2 : 利潤をたてて、微分してゼロとおいて解く方法
Ⅲ.寡占
か せ ん(複
ふく占
せん)市場 ①
※ 寡占(複占)市場 …… 2 企業で財の供給がなされている市場(消費者は多数存在)。 (1) 協 調 型きょうちょうがた寡占モデル ~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №233) 【 考え方(モデル) 】 2 企業が協力し、 共 同きょうどう利潤りじゅんが最大にするように行動する。 協調型 競争型 ⅰ).クールノー・モデル ⅱ).シュタッケルベルグ・モデル ⅲ).ベルトラン・モデル 価格競争 数量競争 ある財は 2 つの企業によって供給されている。この市場の需要関数は、 D=120-P 〔D:需要量、P:価格〕 であり、また、両企業の費用関数は同一で、いずれも、 Ci=xi2+5 〔Ci:費用、xi:企業iの生産量(i=1、2)〕 である。このとき、この 2 企業が共謀(結託)してカルテルを結び、両企業の利潤の和を最大 にするように行動したとすると、この財の市場価格はいくつになるか。 1. 50 2. 60 3. 70 4. 80 5. 90 共 同 きょうどう 利潤 りじゅん 最大化 さ い だ い か …… 2 企業が協調(共謀・結託)して、2 企業の共同利潤(=利潤の 合計)が最大になるように行動する。2 企業の利潤を合計すると、共同利潤(Π)は以下のようになります。 Π = π1+π2 = (P1・x1-C1)+(P2・x2-C2) ={(120-x1-x2)x1-(x12+5)}+{(120-x1-x2)x2-(x22+5)} = 120x1-2x12-2x1・x2+120x2-2x22-10 …… ② この②式を、x1とx2のそれぞれについて微分してゼロとおくと、 ここで③式と④式を連立して解くと、x1=20、x2=20 となります。 この結果を市場需要曲線(①式)に代入すると、価格を求めることができます(正解は肢 4)。 P= 120-x1-x2 = 120-20-20 = 80 = 1・120x11-1-2・2x12-1-1・2x11-1・x2+0-0-0 = 0 ⊿Π ⊿x1 ⇔ x2 = 60-2x1 …… ③ ⊿Π ⊿x2 = 0-0-1・2x1・x21-1+1・120x21-1-2・2x22-1+0 = 0 ⇔ x1 = 60-2x2 …… ④ ⇔ 120-4x1-2x2 = 0 ⇔ -2x1+120-4x2 = 0 【 需要関数について 】 市場に対して 2 企業で財の供給を行いますので(x1、x2)、需要量は D=x1+x2 とおくことができます。よって、需要関数は以下のようになります。 D=120-P ⇔ P=120-D =120-(x1+x2) = 120-x1-x2 …… ① 解法 1 : 共同利潤(Π)をたてて、微分してゼロとおいて解く方法
(2) クールノー・モデル ~★ 計算練習 ★~ (V問題集 №219) 【 クールノーの仮定 】 ◆ 各企業は、ライバル企業の生産量● ● ●を一定と仮定して、自己の利潤が最大となるように生産 量を決定する。 イメージ 〔A 社〕 〔B 社〕 10 個 5 個 8 個 6 個 ×個 両社の利潤が同時に最大となる状態で、 最終的な生産量の組合せが決定される。 《 クールノー均衡、クールノー・ナッシュ均衡 》 ある財が二つの企業によって生産されている複占市場がある。この財の逆需要関数が、 p=100-2(q1+q2) であるとする。ここで、pは財の価格、q1は第 1 企業が生産する財に対する需要量、q2は第 2 企業が生産する財に対する需要量を表す。また、二つの企業の費用関数は同一であり、 ci=4xi (i=1、2 で、ciは第i企業の総費用、xiは第i企業の生産量) であるとする。このとき、クールノー均衡における二つの企業の生産量はそれぞれいくらか。 1. x1=x2=4 2. x1=x2=8 3. x1=x2=16 4. x1=6、x2=4 5. x1=12、x2=8 2 企業は競争関係にあるため(競争型)、別々● ●に●利潤最大化行動をとる。
1.第 1 企業 第 1 企業の利潤(π1)は、以下のようになります。 π1 = P・x1-c1 = {100-2(x1+x2)}x1-4x1 = 100x1-2x12-2x1・x2-4x1 ここで、この式をx1について微分してゼロとおくと(利潤最大化)、 2.第 2 企業 第 2 企業の利潤(π2)は、以下のようになります。 π2 = P・x2-c2 = {100-2(x1+x2)}x2-4x2 = 100x2-2x1・x2-2x22-4x2 ⇔ x1 = - x2+24 …… ① 1 2 = 1・100x11-1-2・2x12-1-1・2x11-1・x2-1・4x11-1 = 0 ⇔ 100-4x1-2x2-4 = 0 ⊿π1 ⊿x1 第 2 企業の生産量(x2)が決まると、利潤を最大にする 第 1 企業の生産量(x1)が対応する関係を示している。 第 1 企業の反応はんのう関数かんすう 【 需要量(q)と生産量(x)の関係 】 各企業は、自社の財に対する需要量に見合った生産を行うはずなので、 q1=x1 q2=x2 となります(需要量=生産量)。
3.クールノー均衡 反応関数の交点(E点)で、2 企業の利潤が同時に最大化されます。したがって、2 企業の競争 状態はE点で均衡すると考えられます。 ①式と②式を連立して解くと(①式を②式に代入)、 費用条件が両企業とも同じなので、x1=16 となります(正解は肢 3)。 ⇔ x2 = - x1+24 …… ② 1 2 x2 = - (- x2+24)+24 1 2 1 2 ⇔ x2 = x2-12+24 ∴ x2 = 16 1 4 第 1 企業の生産量(x1)が決まると、利潤を最大にする 第 2 企業の生産量(x2)が対応する関係を示している。 第 2 企業の反応はんのう関数かんすう x2 x1 O 48 16 16 第 1 企業の反応関数(①式) E クールノー均衡 (クールノー・ナッシュ均衡) 24 ● 第 2 企業の反応関数(②式) 1 2 - -2
(3) シュタッケルベルグ・モデル 【 参 考 】 【 シュタッケルベルグの仮定 】 ◆ 2 つの企業には“情報格差”があり、行動順序に違いが出ると仮定。 イメージ ◆ リーダーが先に生産量を決定し、次いでフォロワーが生産量を決めるのですが、リーダーはフォロワー の反応関数を知った上で生産量を決めるので、計算上、先にフォロワーの反応関数を出しておきます。 リーダー(先導者) フォロワー(追随者) …… ライバルの反応関数を知って● ● ●いる● ●企業。 ライバルの反応関数を考慮して利潤最大化行動をとる。 …… ライバルの反応関数を知らない● ● ● ●企業。 ライバルの生産量を一定として自社の生産量を決める。 (クールノー・モデルの企業と同じ) このモデルは“解く順番”が超大切っ! ◆ 解く順序 ① フォロワーの利潤(π2)を立て、反応関数を出す(x2で微分してゼロとおく)。 ② フォロワーの反応関数をリーダーの利潤(π )に代入する。 〔A 社〕 π1=P(x1+x2)・x1 - C1(x1) 〔B 社〕 π2=P(x1+x2)・x2 - C2(x2) ⇔ π1=P(x1+f2(x1))・x1 - C1(x1) x1*(リーダー解) x2について微分してゼロとおく(利潤最大化) x2=f2(x1) 【B社の反応関数】 x2*(フォロワー解)
~★ 計算練習 ★~ (国税・労基・財務 平成 24 年) まず、リーダーが考慮するフォロワーの反応関数を出します。 企業 2 の利潤を①式を使って計算すると以下のようになります。 π2 = p・x2 - C2 = (36-x1-x2)・x2- 8x2 = 28x2-x1・x2-x22 ある財の市場の需要曲線が、 D=36-p (D:需要量、p:価格) で示されるとする。この市場は二つの企業 1、2 によって支配されており、財の生産における企 業 1、2 の費用関数はそれぞれ、 C1=4x1+16 (C1:企業 1 の総費用、x1:企業 1 の生産量) C2=8x2 (C2:企業 2 の総費用、x2:企業 2 の生産量) で示されるとする。企業 1 が先導者、企業 2 が追随者として行動するとき、シュタッケルベル グ均衡における二つの企業の生産量の組み合わせとして正しいのはどれか。 x1 x2 1. 4 16 2. 8 12 3. 10 12 4. 15 8 5. 18 5 【 需要関数について 】 市場に対して 2 企業で財の供給を行いますので(x1、x2)、需要量は D=x1+x2 とおくことができます。よって、需要曲線は以下のようになります。 D=36-p ⇔ p=36-D =36-(x1+x2) = 36-x1-x2 …… ①
この利潤π2を生産量x2について微分してゼロとおくと(利潤最大化)、企業 2 の反応関数とな ります。 ここで、リーダー(企業 1)の利潤(π1)を立てます。 π1 = p・x1 - C1 = (36-x1-x2)・x1-(4x1+16) = 32x1-x12-x1・x2-16 …… ③ この③式にフォロワーの反応関数(②式)を代入します。 この④式は、フォロワーの反応関数を考慮したリーダーの利潤を表しています。この状態でリー ダーが利潤最大化を図ると(xAについて微分してゼロとおく)、 となります(正解は肢 5)。 最後に、このリーダー解(x1=18)をフォロワーの反応関数(①式)に代入すると、フォロワ ーの生産量が計算できます。 = 1・28x21-1-1・x1・x21-1-2・x22-1 = 0 ⇔ 28-x1-2x2 = 0 ⇔ x2 = - x1+14 …… ② 1 2 π1 = 32x1-x12-x1(- x1+14)-16 ⇔ π1 = 18x1- x12-16 …… ④ 1 2 = 18-x1 = 0 ∴ x1=18(リーダー解) ⊿π1 ⊿x1 x2 = - ・18+14 ∴ x2=5(フォロワー解) 1 2 ⊿π2 ⊿x2 1 2
最低限解くべき問題 番 号 1 回目 2 回目 コメント № 186 / │ / │ 基本的な問題。需要曲線が D=~になっていることに注意。 № 187 / │ / │ 先に生産量を計算して、需要曲線を使って価格を出します。 № 189 / │ / │ 平均費用(AC)が与えられるパターンは知っていますね? № 192 / │ / │ “利潤”ときたら、「利潤=収入-費用」ですよ。 № 196 / │ / │ 原理・原則に沿って余剰分析をやってみましょう。 № 197 / │ / │ これも余剰分析の基本! 原理・原則が大切ですよ。 № 198 / │ / │ グラフを描きながら考えましょうね。 № 199 / │ / │ 同上。限界費用を計算すると、一定値になるね。 № 202 / │ / │ ラーナーの独占度の公式の確認に。 № 205 / │ / │ 公式覚えちゃえば、文章題もだいたい大丈夫。 № 208 / │ / │ 余力があったら№210 もやってみて下さい。 № 211 / │ / │ №213 と、式の与え方の違いに注意。 № 213 / │ / │ 時間を気にせず、レジュメを見ながら練習しましょう。 № 215 / │ / │ 頻度は低いですが、出来れば覚えて欲しいものばかりです。 № 219 / │ / │ 時間を気にせず、練習、練習。 № 221 / │ / │ “公式”よりも利潤からアプローチした方がいいかも。 № 229 / │ / │ 2 企業の費用関数が異なっています。面倒ですね…。 № 230 / │ / │ もう一問練習! № 233 / │ / │ 頻出度 C ですが、解き方は覚えておいた方がいいですよ。
~★ 計算練習 ★~ (地方上級・関東型 平成 7 年) ベルトラン・モデルに関する問題です。頻繁に出題されるものではありませんが、競争型である ことを踏まえた上で各企業の利潤を立てることができれば、あとは「微分してゼロとおく」だけで す。是非ともできるようにしておきましょう。 ベルトラン・モデルは、一言で言うと“クールノー・モデルの価格版”です。各企業は別々の需 要曲線に直面していますが(= 別々の顧客を抱えている)、需要量(d1、d2)は自社の設定価格 とライバル企業が設定した価格の影響を受ける形で与えられます。具体的には、自社が高い価格を 設定すれば自社に対する需要量は減少しますが、ライバルが高い価格を設定すれば自社に対する需 要量は増加します(問題文の需要曲線を参照)。 この下で、2企業は以下の仮定に基づいて行動すると考えます。 企業 1 と企業 2 は類似した製品を販売しており、2 企業の製品の需要曲線がそれぞれ、 d1=160-4p1+2p2 d2=400+p1-3p2 で示されるとする。2 企業の費用関数は、 c1=20x1+100 c2=10x2+200 で示されるとする。各企業は、他の企業の製品価格を所与として、自己の製品価格を利潤最大と なるように決定するとき、均衡における 2 企業の製品価格はそれぞれいくらか。 企業 1 企業 2 1. 80 110 2. 70 100 3. 60 90 4. 50 80 5. 40 70 di:企業iの製品の需要量 pi:企業iの製品価格(i=1、2) ci:企業iの総費用 xi:企業iの製品生産量(i=1、2) 【 ベルトランの仮定 】
1.企業 1 の行動 企業1が生産すべき生産量x1(x1=d1)はライバル企業の設定する価格にも依存しますから、 利潤の式の生産量x1のところに企業 1 が直面する需要曲線を代入します。 π1=p1・x1 - c1 =p1(160-4p1+2p2)-20(160-4p1+2p2)-100 =160p1-4p12+2p1・p2+80p1-40p2-3,300 この式をp1について微分してゼロとおくと(利潤最大化)、 2.企業 2 の行動 企業 2 が生産すべき生産量x2(x2=d2)はライバル企業の設定する価格にも依存しますから、 利潤の式の生産量x2のところに企業 2 が直面する需要曲線を代入します。 π2=p2・x2 - c2 =p2(400+p1-3p2)-10(400+p1-3p2)-200 =400p2+p1・p2-3p22-10p1+30p2-4,200 この式をp2について微分してゼロとおくと(利潤最大化)、 = 160-8p1+2p2+80 = 0 ⇔ p2=4p1-120 …… ① ⊿π1 ⊿p1 企業 2 の価格(p2)が決まると、利潤を最大にする 企業 1 の価格(p1)が対応する関係を示している。 企業 1 の価格か か く反応はんのう関数かんすう = 400+p1-6p2+30 = 0 ⇔ 6p2=p1+430 …… ② ⊿π2 ⊿p2 企業 1 の価格(p1)が決まると、利潤を最大にする 企業 2 の価格(p2)が対応する関係を示している。 企業 2 の価格か か く反応はんのう関数かんすう
3.ベルトラン均衡 さて、両社の価格反応関数をP1-P2平面上に描くと以下のようになります。 仮に、企業2が価格をp20に設定したとしましょう。これを受けて企業1は自らの価格反応関数を 通じて価格をp11に設定します。これに対して、企業2は設定する価格をp22に変更し、企業1はさ らにp13に変更します。 このように、互いにライバルの動きに対して価格反応関数を前提として最適反応を繰り返すことで、 やがて価格反応関数が交わるE点に至ります。E点は、両企業が同時に利潤最大化を実現する状態で すから、ライバル企業の価格に変更がないならば、もはや自己の価格水準を変更させるインセンティ ブが働かない安定的な均衡状態に至っているといえます。このような均衡状態を「ナッシュ均衡」と 呼び、特にベルトラン・モデルにおけるナッシュ均衡をベルトラン・ナッシュ均衡と呼びます。 従って、2企業の製品価格の組み合わせは価格反応関数の交点で決定されますので、①式と②式を 連立して解くと、 p1=50、p2=80 となります(正解は肢 4)。 p2 p1 O 80 50 p20 企業 1 の価格反応関数(①式) E ベルトラン均衡 (ベルトラン・ナッシュ均衡) 企業 2 の価格反応関数(②式) ● p11 p22 p13 ● ● ● ●