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GIS Theory and Applications of GIS, 2012, Vol. 20, No.1, pp 非連続単純図形面積カルトグラム作成問題への接近法井上亮 * An Approach to the Construction of Simple-Shaped Non-C

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(1)

GIS−理論と応用

Theory and Applications of GIS, 2012, Vol. 20, No.1, pp.11-22

【原著論文】

非連続単純図形面積カルトグラム作成問題への接近法

井上 亮 *

An Approach to the Construction of Simple-Shaped Non-Contiguous Area Cartograms

Ryo INOUE*

Abstract: A simple-shaped non-contiguous area cartogram is one of the visualization tools of

spatial data; regions are represented by simple shapes, such as circles or rectangles, and their sizes are proportional to statistical data values. The construction of simple-shaped non-contiguous area cartograms is to place the given simple-shapes to represent the geographic configuration and contiguity of regions and to avoid overlaps of shapes. In this study, a new approach for their construction is proposed. The proposed approach formulates the construction as non-linear optimization problems with inequality constraints. The formulation by proposed approach is tested through the construction of rectangular cartograms, one type of non-contiguous cartograms, using the world population data. The result confirms that the proposed approach is applicable to the construction of simple-shaped non-contiguous area cartograms.

Keywords: 非連続単純図形面積カルトグラム(simple-shaped non-contiguous area cartogram),

長方形カルトグラム,(rectangular cartogram)地理空間情報可視化(geovisualiza-tion),不等式制約付き非線形最適化(nonlinear optimization with inequality con-straints) 1.はじめに 地理空間情報の可視化機能は,GISの主要機能の 一つとして用意されている.地図上への棒・円グラ フの描画やコロプレスマップの作成など典型的な可 視化手法は,標準的なGISソフトウェアやWebGIS に実装され,多くのユーザによって利用されてきた. 一方で,限られたソフトウェアにしか作成機能の 実装が進んでいない可視化手法も存在し,その一つ が,計量地理学を中心に議論されてきた面積カルト グラムと呼ばれる手法である(例えば,Monmonier, 1977; Dorling, 1996; Tobler, 2004).面積カルトグラ ムとは,地図上の地域の面積を用いて地域の属性 データの大きさを表現するように描かれた変形地図 である.面積カルトグラムの読図者は,地域形状の 変形や地域配置の違いを認識し,そこからデータの 空間分布特徴を直感的に把握することができる. 面積カルトグラムについては,これまでに多くの 種類が提案されているが,「地域形状の複雑さ」 と 「地域の隣接関係表現の有無」 の観点から分類できる. まず 「地域形状の複雑さ」 の観点からは,複雑な 地理的地図上の地域の形状を変形したものと,円や 長方形など単純な図形で地域を表すものに分類でき る.複雑な地域形状を変形して表現する面積カルト グラム(例えば,Gastner and Newman, 2004; Keim et al., 2004; Inoue and Shimizu, 2006)では,たとえ形状が大 きく歪んでいたとしても対応する地域が分かりやす いという長所を持つ反面,表現されているデータの 大小を読み取りにくいという欠点を有する.一方で, 単純な図形で地域を表す面積カルトグラムは,デー タの大きさを把握しやすいという長所を有する. この単純図形を用いた面積カルトグラムは,「地 域の隣接関係表現の有無」 から2つに大別できる. まずRasiz(1934)は,長方形で地域を表し,長方 形を隣接させて隙間無く配置し,地域の隣接関係を 表現する長方形面積カルトグラムを提案した.しか し,この方法では一般に全ての地域隣接関係を表現 * 正会員 東北大学 大学院情報科学研究科 人間社会情報科学専攻(Tohoku University)     〒 980-8577 宮城県仙台市青葉区片平 2-1-1 E-mail:[email protected]

(2)

することは不可能であるため,一部の隣接関係表現 を捨象する必要がある.この作成法はこれまでに多 く提案されている(Heilmann et al., 2004; Speckmann et al., 2006; van Kreveld and Speckmann, 2007)が,隣 接関係の一部を捨象する問題の難しさから作成アル ゴリズムが複雑になり,その利用は限られている. 一 方,Upton(1991)は 長 方 形,Dorling(1991, 1996)は円を用いて地域を表し,必ずしも全ての隣 接関係を表現することを目指さず,非連続的に図形 を配置する手法を提案している.特に円を用いた 表現は,Dorling(1991, 1996)で提案されている簡 便な作成法と相まってデータの可視化への利用(例 え ば,Yano et al., 2001; Nakaya et al., 2005)や, ソ フトウェアへの実装(例えば,Anselin et al., 2006) が見られる.また,長方形を用いた表現について Heilmann et al. (2004)は,各長方形が,その隣接地 域を表す少なくとも一つ以上の長方形と接する配置 を,遺伝的アルゴリズムを用いて探索する手法を提 案している. なお本論文では以降,非連続的に単純な図形を配 置してデータを可視化する面積カルトグラムを非連 続カルトグラム,地域を円・長方形で表す非連続カ ルトグラムを,それぞれ円カルトグラム・長方形カ ルトグラムと標記する. ところで,前述の通り,面積カルトグラムの読図 者は地理的地図上と面積カルトグラム上の地域形 状・配置を対比して違いを認識し,描かれているデー タの空間分布特徴を把握する.そのため,面積カル トグラム上の図形と地理的地図上の地域の対応関係 が分かりやすいことが重要である.しかし,非連続 カルトグラムは地域形状・隣接関係を表現しないた め,図形の相対的位置関係が図形と地域の対応関係 を認識させる手がかりとなる.そのため,視認性の 高い非連続カルトグラム作成を行うためには,地域 の地理的位置関係を面積カルトグラム上の図形配置 で表現することが極めて重要である. Dorling(1991)は,円カルトグラムの作成アルゴ リズム構築に際し,以下の作成要件を挙げている. (要 件Ⅰ) 隣接地域を表す円は,可能な限り接す るように配置する. (要 件Ⅱ) カルトグラム上の円の位置関係は,可 能な限り地理的地図上の地域の位置関係を保 持する. (要件Ⅲ) 円の重なりを防止する. しかし,Dorling(1991)のアルゴリズムは,要件 Ⅱについては,地域の地理的位置関係を円のカルト グラム座標の初期条件として与えるのみで,アルゴ リズムによって円を移動する際には明示的に考慮さ れていない.そのため,アルゴリズムから最終的に 出力される円配置が地域の地理的配置に近いものと なるかは保障されない.また,アルゴリズムは部分 最適化の繰り返しで解を探索する手法で,解の一意 性のない数学的に不明快なアルゴリズムである. 井上・清水(2005)は,円カルトグラムに対して, 要件Ⅱを重視した作成法を時間地図作成問題の解法 (清水・井上(2004))を基に提案した.しかし,こ の作成法は要件Ⅰ・Ⅱを考慮しているものの,要件 Ⅲへの対応としてあえて非連続的に円を配置するこ とを提案しており,データに合わせて地図を歪める というカルトグラム表現の特徴を活かした作図を行 うには難があると指摘せざるを得ない. そこで,Inoue(2011)では,井上・清水(2005) の要件Ⅲへの対応を改め,円カルトグラム作成問題 を不等式制約付き非線形最小二乗問題として定式化 する接近法を提案し,世界人口データへの適用を通 してその有効性を例示している. ところで,円や長方形,あるいはその他の単純図 形を配置する非連続カルトグラムを作成する問題は, 基本的にDorling(1991)が挙げた3要件を満たす図形 配置を求める問題であるという点が共通している. 一方,円以外の図形を用いた非連続カルトグラム では,地域毎に異なる形状の図形を利用することが できる.そのため,円による表現よりも面積の比較 が難しくなるという欠点がある反面,各地域の図形 形状を利用し,地理的地図上の地域形状に関して追 加的な情報を与えることができるという利点がある. 読図者がカルトグラム上の図形と地域との対応関係 を捉えやすくなるため,円以外の非連続カルトグラ ムではより分かりやすい視覚表現が可能である. そこで,本研究では,Inoue(2011)で提案した円

(3)

カルトグラム作成問題への接近法を,長方形カルト グラム作成問題へと応用し新しい定式化を導き,世 界人口データへの応用を通して適用可能性を検証す る.また,同様の接近法により,円・長方形以外を 用いた単純図形非連続面積カルトグラム作成が可能 であるかについて展望を示す. 2.円カルトグラム作成問題への接近法 本章では,Dorling(1991)の作成要件を基に提案 したInoue(2011)の円カルトグラム作成問題への接 近法について記す. 地域iの属性データDiを円カルトグラム上で表す る際,半径ri = Di π の円を用いることになる.こ のように,円カルトグラム作成問題は,各円の半径 が事前に与えられた上で,作成要件を満たすように 円の位置を定める問題であると言える. ところで,井上・清水(2005)が指摘する通り, 円カルトグラム作成は時間地図作成と類似の問題で ある.時間地図とは,地点間所要時間を地図上の地 点間距離で表すよう変形した地図である.その作成 は,地点の地理的位置関係を保ちつつ,与えられた 地点間所要時間に合わせて時間地図上の地点配置を 求める問題である.一方,円カルトグラム作成は, 例えば重心など地域の代表点の地理的位置関係をカ ルトグラム上の円配置として保ちつつ(要件Ⅱ),隣 接地域を表す円の中心間距離が半径の和になる(要 件Ⅰ)ように円の中心を配置する問題である.両者 の差異は,正確な表現には多次元空間を要する所要 時間データを2次元平面に展開する時間地図表現の 限界から,与えられた地点間所要時間よりも時間地 図上の地点間距離が短くなることについて制約がな いのに対し,円カルトグラム作成では,円の重なり を避けること(要件Ⅲ)が求められる点である. 井上・清水(2005)は,円の重なりを避けるために, 全ての円が重ならない円中心間距離を地域重心間の 地理的距離の定数倍として設定し,円中心間距離を 半径の和と地理的距離の定数倍との加重平均に合わ せる問題として定義した方法を提案した.しかしこ の方法では,円は非連続的に配置されることになる ため,地域の隣接関係の大半が表示できず,また, データの空間的偏在を印象的に可視化できない. そこで,Inoue(2011)では,時間地図作成問題の 解法(清水・井上(2004))に制約条件を付加する接 近法を提案し,作成問題の定式化を行っている. まず,地域iを表す円iの中心のカルトグラム座 標を

(

x yi, i

)

,半径をri ,地域iの重心の地理座標を x yiG, iG

(

)

,隣接地域を表す円の対の集合をCとする. 次に,隣接地域を表す円の中心間距離を半径の和 (図-1(a))としながら,地理的位置関係を保つ配置 を求める問題を,時間地図作成問題と同じ定式化を 行う.この定式化では,要件Ⅱに対応した地理的位 置関係を保つ目的関数は,隣接地域を表す円の中心 を結ぶ辺のカルトグラム座標上の方位角と,地理的 地図上の地域の重心を結ぶ辺の地理的地図上の方位 角の差を最小化する関数として記述する. 更に,円の重なりを防止するため,円の全ての対 において中心間距離が半径の和以上であるという不 等式制約を付加すると,円の中心のカルトグラム座 標を未知変数とする不等式制約付き非線形最小二乗 問題(式(1))として定式化される. min, ( , ) x y j i j i i j i j C x x y y r r α

(

)

+

(

)

+ −                 ∈

2 2 2 1 + −( ) − − − −    − −  1 1 1 2 α tan y y tan x x y y x x j i j i j G iG j G iG    (1) subject to where xnxm yn ym rm rn m n m n ( ) +( − ) ≥ + ∀( ) ≠ < < 2 2 0 1 , α 目的関数の第一項は要件Ⅰ,第二項は要件Ⅱ,制 約条件は要件Ⅲを表し,αは二つの目的関数の重み を調整するパラメータである.なお,式(1)で求ま る座標は平行移動自由であるため,少なくとも一点 はカルトグラム上の座標に固定する必要がある. (a) 円 (b) 長方形 x y (xi, yi) (xj, yj) ri i rj j i j x xlxi lxj (xi , yi) (xj, yj)

i

j

(xm, ym) (xn, yn) lym lyn m n yy

m

n

図 -1 隣接関係の表現

(4)

3.非連続カルトグラム作成問題への接近法 本章では,円カルトグラム作成問題への接近法を 基に非連続カルトグラム作成問題一般への接近法を 示し,長方形カルトグラム作成問題の定式化を行う. 3.1.非連続カルトグラム作成問題への接近法 ま ず, 前 述 の 円 カ ル ト グ ラ ム 作 成 に 関 す る Dorling (1996)と同じ三要件を,非連続カルトグラ ム作成における図形配置の要件として設定する. 次に,不等式制約付き非線形最小二乗問題として 非連続カルトグラム作成問題を定式化する接近法を 取る.ただし,円以外の形状を用いた非連続カルト グラムを作成する場合,隣接関係の表現(要件Ⅰ) および図形の重なりの防止(要件Ⅲ)に関して,円 の場合とは異なった対応が必要である. 円の隣接や重なりは,中心間距離と半径との比較 で判断できる(図-1(a))が,円以外の図形では容 易に判断できない.例えば,長方形の場合,隣接関 係は鉛直辺で隣接する場合と水平辺で隣接する場合 に分けて表現する必要があり,重なり判定は長方形 中心間の鉛直・水平方向距離と長方形の高さ・幅の 和を比較しなければならない(図-1(b)).内角が全 て等しい六角形・八角形を用いた非連続カルトグラ ムを作成する際には,隣接関係の表現や重なりの判 定は3方向・4方向の軸に対して実行する必要がある. 以上を踏まえ,次節では長方形カルトグラム作成 に関して,鉛直・水平方向毎に,隣接関係を表現す る目的関数,重なりを防止する制約条件を設定し, 作成問題の定式化を行う. 3.2.長方形カルトグラム作成問題の定式化 円カルトグラム作成の場合と同様に,まず,表現 する属性データから,カルトグラム上の長方形の大 きさを定める.地理的な地域形状を表現するため, 例えば,地域形状を包含する長方形を用いて地域を 表す(図-2)こととすると,地域の最東端・最西端 の東西方向距離と最北端・最南端の南北方向距離か ら長方形の縦横比が決まり,カルトグラム上で表現 するデータの大きさからカルトグラム上の長方形の 鉛直辺・水平辺の長さを求めることができる.そこ で,長方形カルトグラム作成問題を,辺長が決まっ た長方形を配置する問題として定式化する. 要件Ⅰに関して,まずカルトグラム上で表現する 地域隣接関係を,鉛直辺で隣接する関係・水平辺で 隣接する関係に分けて定義する.その上で,鉛直辺 隣接の場合は水平方向の中心間距離が水平辺長の和 の1/2,水平辺隣接の場合は鉛直方向の中心間距離 が鉛直辺長の和の1/2となるように長方形を配置す る目的関数を設定する. 要件Ⅱに関しては,円カルトグラム作成と同じ目 的関数を設定する.すなわち,カルトグラム上で隣 接地域を表す長方形の中心を結ぶ線の方位角と,地 理的地図上で地域重心を結ぶ線の方位角の違いを最 小化する関数として記述する.なお,長方形隣接関 係は,鉛直辺隣接・水平辺隣接に分けて記述する. 最後に,要件Ⅲに対応する重なりの防止に対して は,「全ての長方形対に対して,水平・鉛直方向の少 なくとも一方で,中心間距離が辺長の和の1/2より も長い」 ことを満足するように制約条件を設定する. 以上から長方形カルトグラム作成問題を定式化す る.地域iを表す長方形iの水平辺長をlxi,鉛直辺長 をlyi,鉛直辺で隣接する長方形対の集合をCx,水平 辺で隣接する長方形対の集合をCyとすると,長方 形カルトグラム作成問題は式(2)と定式化できる. min, , x y j i xi xj i j C n m ym yn x x l l y y l l x α − +

(

)

−         + − +

(

)

( )

∈ 2 1 2 2 −−                      + −( ) − ( )∈ −

1 1 2 1 m n C j y y y , tan α ii j i j G i G j G i G i j C x x y y x x x − − − −         − ( ),

∈ tan 1 2 + − − − − −       − − tan1 y y tan1 x x y y x x n m n m n G m G n G mG m,,n Cy (

)∈         2 (2) subject to or wher x xstlxs lxt ys yt lys lyt s t s t + + ∀( ) ≠ 2 2 , ee 0< <α 1 図 -2 長方形形状の決定 he igh t

(5)

式(2)の目的関数第一項は,鉛直辺隣接の長方形 対についてx軸方向中心間距離をx軸方向の辺長の 和の1/2に近づける項と,水平辺隣接の長方形対に ついてy軸方向中心間距離を定める項からなり,要 件Ⅰに対応する.目的関数第二項は地域の地理的配 置に近い長方形配置を得る項で要件Ⅱに対応する. なおαは二種類の目的関数の重みを調整するパラ メータである.制約条件として,長方形の全組合せ に対して重なりを防ぐ制約を設定し,要件Ⅲに対応 する.カルトグラム上の長方形中心座標を未知変数 とする不等式制約付き非線形最小二乗問題である式 (2)を解くことにより,全ての作成要件を満たす長 方形カルトグラム作成が可能である. なお,座標は平行移動自由とならないよう,少な くとも一点は固定する必要がある.また,全ての長 方形が鉛直辺または水平辺隣接関係により結びつい ていなければならないことには,注意が必要である. 以降では式(2)を整理し,より計算が容易な定式 化を目指す.まず,鉛直辺隣接の長方形対集合Cx に着目する.地理的地域配置と類似したカルトグ ラム上長方形配置を得るには,

( )

i j, ∈Cxの長方形 i, jの中心のカルトグラム上x座標の大小は,地域重 心の地理的地図上x座標の大小と一致する必要があ り,xGj x iG > ならxj >xiであるべきである.そこで, xGj x iG > が常に成立するようにCxを定義すると,目 的関数の絶対値記号を外すことができ,計算がより 容易な定式化が可能になる.同様に水平辺隣接の長 方形対集合 を定義すると,式(3)を得る. min, , x y j i xi xj i j C n m ym yn x x l l y y l l x α − +

(

)

−         + − +

(

)

( )

∈ 2 1 2 2 −−                      + −( ) − ( )∈ −

1 1 2 1 m n C j y y y , tan α ii j i j G i G j G i G i j C x x y y x x x − − − −         − ( ),

∈ tan 1 2 + − − − − −       − − tan1 y y tan1 x x y y x x n m n m n G m G n G mG m,,n Cy (

)∈         2 (3) subject to or x xstlxs lxt ys yt lys lyt s t s t + + ∀ ≠ 2 2 ( , ) , , w xj>x xi Gj >xiG∀( )i j, ∈C yx, n>y ym nG>ymG∀(m n, )∈Cy hhere 0< <α 1 地理的配置に近い長方形配置を得るための目的関 数(式(3)第二項)の水平辺隣接の長方形対集合 に 着目すると,分母のxnxmxnG x m G − が0になる可能 性があり計算上問題が大きい.この分母・分子を入 れ替えても,地理的配置に近い長方形配置を得ると いう定式化の意味を損なうことはないので,Cyに 関する項の分母・分子を入れ替える.また,arctan は単調増加関数であるので,式(3)第二項を座標値 のみで表した式(4)に書き換えても,同じく定式化 の意味を損なうことなく式を簡略化できる.

min tan tan

, − − ( )∈ − − − − −      

1 1 2 y y x x y y x x j i j i j G i G j G iG i j Cx   + − − − − −       − − ( )∈ tan tan , 1x x 1 y y x x y y n m n m n G mG n G mG m n CC j i j i j G iG j G i G i j C y x y y x x y y x x

    ≈ − − − − −        ( )∈ 2 2 min ,   + − − − − −           (

)∈ x x y y x x y y n m n m nG mG nG mG m n C, y 2 (4) ここで,鉛直辺・水平辺隣接に関して整理すると minx y, j i xi xj j i j i j G iG x x l l y y x x y y x α − α +

(

)

−         + −( ) − − − − 2 1 1 2 jj G iG i j C n m ym yn x y y l l x −                  + − +

(

)

− ( )

∈ 2 2 , α 11 1 2 2         + −( ) − − − − −               α y y x x y y x x n m n m nG mG nG mG       (m n C

,)∈y (5) subject to or x xstlxs lxt ys yt lys lyt s t s t + + ∀ ≠ 2 2 ( , ) , , w xj>x xi Gj >xiG∀( )i j, ∈C yx, n>y ym nG>ymG∀(m n, )∈Cy hhere 0< <α 1 となる.式(5)は,未知変数のカルトグラム座標が分 母・分子にあるため計算が難しい.ところで,隣接 長方形対の最適配置は,鉛直辺隣接ではxjxilxi+lxj

(

)

2,水平辺隣接ではynym

(

lym+lyn

)

2とな る時である.この最適配置が得られる時の条件を利用 し,式(5)の分母から未知変数を除くと式(6)を得る. minx y, j i xi xj j i xi xj j G x x l l y y l l y α − α +

(

)

−         + −( ) − +

(

)

− 2 1 1 2 2 −− −                      + − + ( )

y x x y y l l iG j G iG i j C n m ym y x 2 , α nn n m ym yn n G m G n G m G x x l l x x y y

(

)

−         + −( ) − +

(

)

− −−       2 1 1 2 2 α                (

)∈ 2 m n C, y (6) subject to or x xs t lxs lxt ys yt l l s t s t ys yt − ≥ + − ≥ + ∀ ≠ 2 2 ( , ) , , w xj>x xi Gj >xiG∀( )i j, ∈C yx, n>y ym nG>ymG∀(m n, )∈Cy hhere 0< <α 1 式(6)は,鉛直辺隣接・水平辺隣接それぞれの長 方形対集合に関して,第一項はx座標に関する式, 第二項はy座標に関する式となっている.鉛直辺隣 接の長方形対に着目すると,隣接する長方形の中心 の水平方向距離は,水平辺長の和の半分となり,ま

(6)

た,鉛直方向距離は,地理的地図上の位置関係を保 つため,水平辺長の和の半分に対して地理座標上に おける地域重心を結ぶ直線の傾きを考慮した距離と なる長方形配置を得る式となっている(図-3(a)). 式(6)の目的関数は線形最小二乗問題となり,式(2) より簡潔な問題として記述することができる. しかし,式(6)では,隣接地域を表す長方形が接 しない配置が得られる場合が存在する.鉛直辺隣接 の長方形対で式(7)の関係が成立すると,接するべ き鉛直辺のx座標は等しいものの,長方形が離れた 配置が得られる(図-3(b)). lxi+lxj yGj yGi xGj xiG lyi lyj

(

)

(

)

(

)

> + (7) 同様に水平辺隣接の長方形対では,式(8)の関係 が成立すると,水平方向に離れた配置が得られる. lyi+lyj xGj xiG yGj yiG lxi lxj

(

)

(

)

(

)

> + (8) ここで,この問題を回避するため,新たなパラメー タβを導入する. minx y, , j i xi xj j i xi xj x x x l l y y l l p α − α +

(

)

−         + −( ) − +

(

)

− 2 1 1 2 2 iij i j C n m ym yn x y y l l                      + − +

(

)

−    ( )

∈ 2 2 1 , α      + −( ) − +

(

)

−                 ( ) 2 2 1 2 α x x l l p n m ym yn y mn m n, ∈

∈ ,      Cy (9) subject to or x xs t lxs lxt ys yt l l s t s t ys yt − ≥ + − ≥ + ∀ ≠ 2 2 ( , ) , , w xj>x xi Gj >xiG∀( )i j, ∈C yx, n>y ym nG>ymG∀(m n, )∈Cy hhere 0< <1 0< ≤1 = − − + + α β β , min , , p y y x x l l l l x ij j G i G j G i G yi yj xi xj       = − − + +     , p x x y y l l l l y mn n G m G nG mG xm xn ym yn , min , β  β =1.0と設定すると,鉛直辺で隣接する長方形対の 鉛直方向中心間距離には,最大でも鉛直辺長の和の 1/2であるpx,ijが,水平辺隣接の長方形対の水平方向 中心間距離には同様にpy,mnが与えられる.そのため, 式(9)は,隣接地域を表す長方形は最低でも頂点で は接する長方形配置を目指すことを意味する.β <1.0 なら中心間距離の上限が小さくなり,隣接地域を表 す長方形が辺で接する配置を目指すことになる.第4 章では,β =0.8と設定して辺で接する長方形カルトグ ラムの作成を目指し,適用可能性を確認する. ここで,本研究の提案手法と,非連続長方形カ ルトグラム作成に関する先行研究(Heilmann et al. (2004))の手法との違いについて記す. 先行研究は,本研究と同様に,長方形の形状・大 きさを設定した上で配置を定める問題として,長方 形カルトグラム作成問題を定義している.「接続関係 の表現」 「地理的位置関係の表現」 「空隙の低減」 とい う3種類の目的関数を設定し,各目的関数の重みを 遺伝的アルゴリズムで変化させながら,長方形配置 の探索を繰り返す.なお,長方形配置の探索は,隣 接地域を表す長方形と最低でも1つとは接するとい う条件下で,逐次的に長方形を配置して行っている. 先行研究と本研究の違いは,3点に纏められる. まず,先行研究は,逐次的に長方形を配置してい るため,配置順序が作図結果に影響するのに対し, 本研究は,全ての長方形の中心座標を同時に求める ため,先行研究とは異なり一意な結果が得られる. 次に,先行研究は隣接地域を表す少なくとも一つ の長方形と接する配置を求めるが,本研究では隣接 地域を表す長方形と接する事を必要条件としていな い.例えば,大きな長方形群の狭間に小さな長方形 を配置する場合,本研究では,地理的位置関係を重 視して全ての長方形から離れた中間に配置するが, 先行研究では,必ずいずれかの長方形に隣接して配 置する.そのため,隣接地域を表す他の長方形との 地理的位置関係が大きく損なわれる可能性がある. 最後に,地理的位置関係の表現は,先行研究は目 的関数でしか考慮していないが,本研究では目的関 数に加えて制約式でも考慮している.先行研究では, 隣接長方形の位置関係が反転した作図例があるが, 本研究では,隣接地域に関しては水平・鉛直方向共 に位置が反転することはない. 以上のように,本研究の手法は,Heilmann et al. (2004)の手法よりも,優れた特徴を有している. (a) 接する場合 (b) 離れる場合 2 xi xj l +l 2 G G j i G G j i xi xj l y x l y x − − + 2 xi xj l +l 2 G G j i G G j i xi xj l y x l y x − − + 2 yi l 2 yj l 図 -3 式(6)による鉛直辺隣接の長方形対の配置

(7)

また,本研究の非連続カルトグラム作成問題への接 近法は,長方形以外の非連続カルトグラム作成への 拡張も可能である.次節でその概要について記す. 3.3.多角形カルトグラム作成問題への展開 本節では,提案した接近法を用いて,六角形カル トグラム作成問題を定式化し,多角形カルトグラム 作成問題への適用可能性を示す. まず,円・長方形の際と同様に,各地域を表す六 角形の形状を決定する.ただし,内角が全て120度, かつ,対辺の辺長が等しい六角形を用いることとす る.地域iに与えられたデータおよび地域の地理的 形状から,六角形iの辺長lxi, lai, lbiを決定する.なお, 対辺が平行,かつ,辺長が等しい六角形では,中心 は必ず対角線の交点となる.六角形の位置は中心座 標

(

x yi, i

)

を用いて表す.また,各辺の鉛直高さは, 図-4に示す通り表すことができる. 次に,長方形の際と同様に,地域の隣接関係を3 辺における隣接関係として定義し,隣接六角形対集 合をCy, Ca, Cbとする(図-5).隣接六角形対の中心間 距離は,隣接辺と鉛直な方向の距離で表せる.例え ば水平辺隣接の場合,水平辺と鉛直なy軸方向の中心 間距離が 3

(

lai+ + +lbi laj lbj

)

4となるように配置す れば良い.このように各辺の鉛直軸方向距離を用い て,隣接関係表現の目的関数,および,重なり防止 の制約条件を記述する.また,地域重心の地理的位 置関係を用いて各辺方向の距離を設定し,地理的地 域配置に近い六角形配置を行う目的関数を設定する. なお,長方形と同様に,隣接辺が一直線上に配置 されても,図形が接しない場合がある.例えば水平 辺隣接の場合(図-6),中心間のx軸方向距離がある 値を越えると六角形は離れてしまう.そこで,中心 間のx軸方向距離に上限を設定する.しかし,長方 形の場合とは異なり,必ずしも軸対称な図形ではな いため,配置により接するための条件が変わる.計 算時に個別に判断するのは面倒なため,ここでは短 い方の距離で上限を設定し定式化する. 以上を踏まえると,六角形カルトグラム作成問題 は式(10)と定式化される.長方形の場合とは違って, 隣接や重なりを考慮する軸方向が直交していないた め複雑に見えるが,同じ構造の式で記述されている. 八角形カルトグラムを作成する場合には,同様に 4方向の辺に対して隣接関係を定義し,その辺と鉛 直な軸方向の中心間距離を考えると,同様に定式化 が可能である. min, , x y j i ai bi aj bj i j C y y l l l l y α − + + +

(

)

−              ( )∈

3 4 1 2    + −( ) − + + +

(

)

−  1 3 4 α x x l l l l p j i ai bi aj bj y ij,            + ( − )−( − ) + + + ( ) − 2 3 3 2 α x x y y l l l l n m n m xm bm xn bn 11 1 2         + −( ) ( − ) (m n C

)∈ n m a x x , α ++ ( − ) + + + ( ) −       + 3 3 2 3 2 y y l l l l p n m xm bm xn bn a mn, α xx x y y l l l l q p q p xp ap xq bq p q C

(

)

+

(

)

+ + +

(

)

−             ( )∈ 3 2 1 2 , bb x x y y l l l q p q p xp ap xq

+ −( ) −

(

)

+

(

)

+ + + 1 3 3 α llbq p b pq

(

)

−                  2 2 , (10) subject to or y y l l l l x x t s as bs at bt t s − ≥ ( + + + ) − ( 3 4 3 ))−()( + + + ) − ( )+ − y y l l l l x x y y t s xs bs xt bt t s t s 3 2 3 or (( )≥ ( + + + )∀ ≠ > > ∀ 3 2 l l l l s t s t y y y y i xs as xt bt j i jG iG , ( , ) ,jj C x y y y x y y y m n C x y n n m m nG nG mG mG a q ( )∈ − > − − > − ∀( )∈ , 3 3 3 3 3 , ++ > + + > + ∀( )∈ < < < ≤ yq 3xp yp 3xGq yqG 3xpG ypG p q Cb 0 1 0 1 , where , , α β pp xy xy l l l l l l l y ij j G i G j G iG xi xj ai bi aj bj ai , =min , − − +

(

)

− − − − + β2 3 ll l l p x x y y x x y bi aj bj a mn n m n m n m n + +

(

)

        = ( − )+ ( − ) − ( )− , min 3 3 ( −− ) + ( )− − − − + + + ( )    y l ll ll ll ll lm am an xm bm xn bn xm bm xn bn , β2 3  = −

(

)

+

(

)

(

)

+

(

)

+

(

p x x y y x x y y l l b pq q p q p q p q p bp bq , min , 3 3 2 β

))

− − − − + + +

(

)

        l l l l l l l l xp ap xq bq xp ap xq bq 3 以上のように,本研究の提案接近法は,長方形以 外の多角形カルトグラム作成へも適用が可能である. 4.長方形カルトグラムの作成 本章では,世界人口推計(United Nations(2011)) を利用し,2010年時点で人口100万人以上の152カ 国の人口を表現する長方形カルトグラムを作成し, 提案した定式化(式(9))の適用可能性を検証する. 本研究では,式(9)の制約付き線形最小二乗問題 を,株式会社数理システムの数理最適化パッケージ 「NUOPT」 で解く.なお,計算実行には,変数であ

(8)

る長方形中心座標に対して初期値を設定する必要が ある.初期値近傍の解を探索する計算法を用いるた め出力に近い初期値を入力することが望ましく,ま た初期値では全ての不等式制約を満たしていること が望ましい.そこで,地域重心の地理座標を長方形 中心として与えた上で,長方形の重なりを解消でき る最大の定数を掛けて設定する. また提案の定式化では,全ての長方形が鉛直辺隣 接・水平辺隣接関係を通して繋がっていないと解を 得られない.そこで,島国や大陸間にダミー長方形・ データを設定し,全地域を結合する.なお,ダミー 長方形に与えるデータは,その周辺国の人口データ と地理的地図上の面積の比から計算される,カルト グラム上での長方形の拡大率を用いて設定する.ダ ミー長方形を設定する領域の地理的地図上の面積 に,周辺国の拡大率を掛けた値をダミーデータとし, 長方形配置の出力を確認後,一部調整を行う. 4.1.パラメータ設定の評価 本節では,「隣接関係表現」 と 「地理的配置保持」 の間の重みを表すパラメータαの設定による出力図 の違いを確認する.αを0.01・0.50・0.99と設定し て作成した2010年の世界人口を表現する長方形カ ルトグラムを図-7に示す.白色の長方形は各国を 表し,その面積が人口の大きさを示している.なお, 灰色の長方形はダミーデータを表す. まず,提案した定式化により,長方形カルトグラ ム作成が可能であることが確認された.地理的配置 に近いカルトグラム上長方形配置を得ることができ ており,長方形と国との対応がつきやすい図を作成 することができた.また,制約条件である重なりの 回避についても達成されていることも確認できた. 次に,αによる出力結果の違いについて着目する. 式(9)から明らかなように,αが0に近づくと,カ ルトグラム上配置と地理的配置との類似度が高く評 価され,隣接関係の表現が軽視されるため,長方形 中心の配置は地理的配置に近くなり,長方形は必ず しも接する事無く配置されることが多くなると予想 される.一方,αが1に近づくと,隣接関係の表現 が重視され,地理的配置との類似度が低く評価され るため,長方形は密接して配置される反面,相対的 な位置関係は崩れることが予想される. 図-7の各図には大きな違いは見られないが,α=0.01 の図-7(a)では地理的配置との類似性を保つため大き な隙間が存在し,α=0.99の図-7(c)では長方形が隣接 して配置されていることが確認できる. ここで,図-7の配置の違いを,隣接関係表現率と 地理的座標へのアフィン変換の残差という二つの指 標を使い評価する. まず,隣接関係表現率は,隣接関係が与えられた 長方形の組合せのうち,カルトグラム上で表現され ている割合を表す.なお,長方形中心間距離と隣接 長方形の辺の和の半分の差が1%未満の場合,長方 形配置で隣接関係が表現されているとする. 一方,カルトグラム座標の地理的座標へのアフィ ン変換の残差二乗和で,相対的配置の類似度を評価 する.アフィン変換は,拡大・縮小,回転,剪断変 形を行う変換で,これらの変換でカルトグラム上座 ( ) 3 2 lxi+lbi lxi lbi lai ( ) 3 2 lai+lbi ( ) 3 2 lxi+lai (x yi, i) (a)水平辺隣接 (b)斜辺隣接 1 (c)斜辺隣接 2 (x yi, i) (x yj, j) ( ) 3 4 lai+ + +lbi laj lbj (x ym, m) (x yn, n) ( ) 3 4 lxm+lbm+lxn+lbn (x yp, p) (x yq, q) ( ) 3 4 lxp+lap+lxq+laq (x yi, i) (x yj, j) (2lxi− +lai lbi) 4 (2lxj− +laj lbj) 4 (x yi, i) (x yj, j) (2lxi+ −lai lbi)4 (2lxj+ −laj lbj)4 図 -4 六角形の辺長・高さ・中心座標 図 -5 六角形対の隣接関係 図 -6 水平辺隣接の六角形対の配置

(9)

図 -7 2000 年世界人口長方形カルトグラム (a) α = 0.01 (b) α = 0.50 (c) α = 0.99 5億人 1億人

(10)

(a) 1980 年 (b) 2000 年 (c) 2020 年 (d) 2040 年 5億人 1億人 図 -8 1980 ∼ 2040 年の世界人口分布変遷の表現

(11)

標を地理的座標に合わせることができれば配置の類 似度は高いと言える.すなわち,大きな残差二乗和 は,配置の違いが大きいことを表す指標となる. 図-7の各図に対して計算した二つの指標を表-1 に示す.予想の通り,αが小さい時には隣接関係表 現率・残差二乗和ともに小さな値をとり,隣接関係 表現よりも配置の類似度を重視した結果が得られ た.また,隣接関係の表現と地理的配置との類似性 はトレードオフの関係にあることが確認された.た だし,パラメータの設定と出力カルトグラム形状の 関係が明快であるため,簡単に調整が可能である. 4.2.世界人口分布変遷の表現 長方形カルトグラムによるデータ表現の例とし て,1980年から2040年まで20年ごとの世界人口を 長方形カルトグラムで表現した例を示す(図-8). なお,この計算では,α = 0.99と設定している. 長方形カルトグラムによって,世界人口の増加と 共に人口の空間分布が大きく変遷していく様子が表 現されており,その変化を視覚的に捉える事ができ ることが確認された. 5.おわりに 本研究では,単純図形を用いた非連続面積カルト グラムの作成問題に対し,新たな接近法を提案した. まず,表現されているデータを理解しやすい面積 カルトグラムは,地理的地図との比較対象が容易な 図であることから,その作成問題は隣接関係・地理 的位置関係を表現しつつ,重なりを避けた形状配置 を得る問題であると整理した.その整理を元に,単 純図形非連続面積カルトグラム作成問題を,不等式 制約付きの最小二乗問題として定式化する接近法を 提案した.最後に,長方形カルトグラム作成への適 用を通して,提案した接近法により単純図形カルト グラム作成が可能であることを例示した. 前述の通り,長方形カルトグラムは地域毎に異な る形状の図形を利用するため,円による表現よりも 面積の比較が難しくなる.その反面,長方形形状を 利用し,地理的地図上での地域の形状に関する情報 を与えることができるため,カルトグラム上の図形 と地域との対応が付けやすいという利点を持つ. しかし,本研究の適用例では,図-2のルールで 長方形形状を定めているため,必ずしも多くの人が 持つ地域形状に対するイメージを表現できていな い.例えば,イタリアは細長い形状の国だと多くの 人が認識しているが,図-2のルールではほぼ正方 形に近い形状として表されてしまう.長方形カルト グラムによる表現の可能性を高めるためには,より 適切な長方形形状の設定が必要であろう.一つの地 域を複数の長方形領域に分割して表現することも一 つの方策である. また,表現対象の地域形状によっては,軸を東西・ 南北以外の方向に設定した方が分かりやすい作図が 可能な場合も存在すると考えられる.地理的地図の 座標から傾けて直交軸を設定した上で,長方形カル トグラムを作成することで対応できる.更に,地理 的地図上に非直交の任意の軸方向を設定した上で, アフィン変換を用いて直交化し長方形カルトグラム 作成を行う対応や,その後,得られた長方形カルト グラムをアフィン変換の逆変換を用いて変形し,各 地域を菱形で表現するカルトグラム作成を行う対応 も可能である.もちろん,軸方向の設定によって出 力される長方形配置は変わるため,上記の対応を利 用する際には,視覚的に分かりやすい軸方向を探索 的に定めることも必要になるであろう.このように, カルトグラム上の図形と地理的地図上での地域の形 状の対応がより分かりやすい作図を行うためには更 なる拡張が考えられ,検討が必要である. また,長方形カルトグラム以外の単純図形カルト グラムに関しては,定式化のみを行い,適用を通し た実行可能性の検証は行っていない.筆者は,六角 形や八角形を用いてより分かりやすいカルトグラム を作成できるかについては懐疑的であるが,表現と 表 -1 隣接関係表現率と地理的配置との類似度指標 α 隣接関係表現率 (%) アフィン変換 残差二乗和 鉛直辺 水平辺 0.01 43.8 36.3 2.62 ×104 0.50 45.6 38.9 2.64 ×104 0.99 56.8 51.6 2.82 ×104

(12)

しての可能性は存在する.提案した接近法に基づく 定式化による作成計算の実行可能性の検証は今後の 課題としたい.

謝辞

東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻修士 課程(当時)のMs. Nguyen Phuong Hieuには,作図 に関してご協力頂いた.ここに記し謝意を表す. 参考文献 井上 亮, 清水英範 (2005) サークルエリアカルトグ ラムの新作成手法,「GIS−理論と応用」,13(1), 43-50. 清水英範, 井上 亮 (2004) 時間地図作成問題の汎用 解法, 「土木学会論文集」,(765/IV-64),105-114. Anselin, L., Syabri, I. and Kho, Y. (2006) GeoDa: an in-troduction to spatial data analysis. Geographical

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図 -7 2000 年世界人口長方形カルトグラム(a) α = 0.01 (b) α = 0.50 (c)    α = 0.99 5億人1億人

参照

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Maria Cecilia Zanardi, São Paulo State University (UNESP), Guaratinguetá, 12516-410 São Paulo,

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