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ハイスループット核磁気共鳴装置の使用で得られた研究成果

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Academic year: 2021

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(1)

X701.50Not(2013)pp101-106 (研 究 装 置 設 備)

ハ イ スル ー プ ッ ト核 磁 気 共 鳴 装 置 の 使 用 で得 られ た 研 究 成 果

倉 持

甚 也*1,高

和 人*2,横

明 弘*3,坪

太 郎*3,戸

希 一 郎*4

ResearchResultsObtainedbytheUseof

High-ThroughputNuclearMagneticResonanceSystem

JinyaKURAMOCHI*',KazutoTAKAISHI*Z,AkihiroYOKOYAMA*3,

TaroTSUBOMURA*3,KiichiroTOTANI*4

ABSTRACT:Thenuclearmagnericresonance(NMR)systemwasanindispensablemeasurement

equipmentandusedinavarietyofchemicalresearchareas.Theladder-ratioofsynthesizedpolyamidewas

estimatedbytheintegralvaluesof'HNMRspectra.Thestructureofmetalcomplexeswasdeterminedby

'H

,19F'and3'PNMRspectra.The'HNMRwasalsousedtoelucidatethestructureofsynthesized

oligosaccharide.

Keywords:nuclearmagneticresonance,ladderpolymer,metalcomplex,oligosaccharide

(ReceivedSeptember20,2013)

1.は じ め に

化 学 は原 子 や 分 子,物 質 の 変 化 を扱 う研 究 分 野 で あ る

が,原 子 や 分 子 を直 接 見 る こ と はほ とん ど 出来 な い 。 そ

の た め,各 種 の 分 光 学 的 な 手 法 を用 い,原 子 や 分 子 の 状

態 を調 べ る必 要 が あ る。核 磁 気 共 鳴装 置(以 下,NMRと

略 す)は,サ

ンプ ル を強 磁 場 中 に置 く こ と に よ り原 子 核

の ス ピ ン状 態 を変 化 させ,そ

こ に電 磁 波 を照 射 して シ グ

ナ ル を得 る装 置 で あ る。得 られ た シ グ ナ ル の解 析 に よ り,

分 子 を構成 して い る水 素 や 炭 素,リ

ンな どの 原 子 核 の 状

態 を知 る こ とが で き るた め,無 機 ・有 機 ・高 分 子 化 合 物

の 構 造 を決 定 す る」

二で 最 も強 力 な 装 置 で あ り,現 在 の 化

学 分 野 の 研 究 お い て ㎜

は 必 須 の 朋

機 器 と な り て

い る。 この 半 世 紀 の 合 成 化 学 や 天 然 物 化 学 の 目覚 ま しい

発 展 が,㎜

技 術 の進 歩 に よ り て支 え られ て き た こ と

も 自明 で あ る。

これ ま で に 本 学 で は,1996年

度 に導 入 され たNMR

装 置 の 老朽 化 が 進 み,維 持 や 安 全 管 理 の 面 で 装 置 の 更 新

*1:理 工 学 研 究 科 理 工 学 専 攻 博 士 前 期 課 程 *2:理 工 学 部 物 質 生 命 理 工 学 科 助 教 *3:理 工 学部 物質生 命 理 工学 科 教 授(ayokoyama@stseikei .acjp) *3:理 工 学 部 物 質 生 命 理 工 学 科 准 教 授

を 強 く希 望 して い た。 ま た 近 年,㎜

に使 用 され る超

伝 導磁 石 の 高性 能化 やデ ー タ 処 理 の 高 速化 が進 み,そ れ

に伴 い 新 た な測 定 手 段 が 次 々 と開 発 され,NMR装

置 は

単 な る低 分 子化 合 物 の構 造決 定 の た め の機 器で はな くな

り,生 命 科 学分 野へ 応 用 範 囲 を急 速 に 拡 げ て い る。 この

よ うな観 点 に基 づ き,迅 速 に 多 くの 情 報 が 得 られ る最新

の 高 性 能NMR装

置 を整 備 して積 極 的 な 研 究 の 展 開 を

図 るた め,2009年

度 に 日本 電 子株 式 会 社製 の核 磁気 共 鳴

装 置JNMECA-500を

購 入 した。

本 装 置 は 理 工 学部 物質 生命 理 工 学 科 の様 々 な 研 究 室 で

使 用 され て お り,そ れ ぞ れ の 分 野 に お け る研 究 の進 展 に

大 き く貢献 して い る。 本 論 文 で は 有機 化 学 研 究 室 と応 用

錯 体化 学研 究 室 お よび生 体 分 子化 学研 究 室 で行 わ れ た研

究 の うち,本 装 置 の使 用 に よっ て 得 られ た 成 果 につ い て

報 告す る。

2.ラ

ダ ー ポ リ ア ミ ドの 構 造 解 析

多 段 階反 応 により合 成 され るラ ダ ー ポ リマ ー は構 造 欠 損

を 含 む こ とが 多 い。 そ こで 有機 化 学研 究 室 で は,モ

ノマ

ー 問 に 二つ の ア ミ ド結合 を連 続 的 に構 築 す れ ば 構 造 欠 損

の な い ラダ ー ポ リア ミ ドが 得 られ る と考 え,ス キー ム1

に 示 した反 応 を 開発 した1)。

(2)

綜3麺 一ヰ 窺

鉱壕 爺1球物lll塚

SchemelReactionmechanism. CsHnO HN ・・1=、'o。   OC8H17 R=CH3(1a),Ph(1b) FigurelStructureofmonomers. こ れ ま で に 図1に 示 し た メ チ ル エ ス テ ル モ ノ マ ーla を 用 い た 重 合 を 検 討 し た と こ ろ,脱 離 成 分 と して 放 出 さ れ た メ トキ シ ドア ニ オ ン が モ ノ マ ー や 重 合 生 長 末 端 を 攻 撃 し,重 合 を 阻 害 す る こ と が わ か っ た 。 そ こ で 本 研 究 で は,副 反 応 を 抑 制 して 高 分 子 量 体 を 得 る た め に,フ ェ ニ ル エ ス テ ル モ ノ マ ー1bを 用 い た 重 合 を 検 討 し た 。 出 発 原 料 の コ ハ ク 酸 ジ メ チ ル か ら7工 程 で1bを 合 成 し,そ の 重 合 を 検 討 した 。THF中,1bに 対 し て 塩 基 と し て リ チ ウ ム ヘ キ サ メ チ ノレジ シ ラ ジ ド(L㎜S)を 作 用 さ せ て0-500Cで 重 合 さ せ た と こ ろ,反 応 温度 を 高 く す る と 高 分 子 量 の 生 成 物 が 得 ら れ,50℃ の 重 合 で 払=4300の 生 成 物 が 得 ら れ た(Tablel,Entryl-3)。IH ㎜ に よ る 角轍 ら,得 ら れ た 生 成 物}こ は ラ ダ ー 化 し て い な い 部 分 が 多 く あ る こ と が わ か っ た 。 重 合 中 の 環 化 反 応 を 促 進 す る た め に,添 加 剤 と し てN,N,N;N'一 テ トラ メ チ ル エ チ レ ン ジ ア ミ ン(TMEDA)を 加 え て0-500C で 重 合 を行 っ た と こ ろ,50℃ の と き に 生 成 物 の 分 子 量 が 最 も 大 き く な っ た(Table1,Entry4-6)。 本 重 合 で 得 ら れ た ポ リア ミ ドに は,先 にSchemelで Table1.PolymerizationoflbwithLiHMDSinTHF' EntryAdditiveTempTimeM、MGM、 (℃)(h) 示 し た 反 応 機 構 に よ っ て ラ ダ ー 型 の 骨 格 に な っ て い る 部 分 と,ス キ ー ム1の 途 中 の 段 階 で 反 応 が 止 ま り,モ ノ マ ー ユ ニ ッ トが1本 の ア ミ ド結 合 だ け で つ な が っ た 部 分 が あ る と考 え ら れ る 。そ こ で,そ の 比 率 を 求 め る た め に, 1本 の ア ミ ド結 合 を もつ モ デ ル 化 合 物2と2本 の ア ミ ド結 合 を も つ モ デ ル 化 合 物3,お よ び 重 合 で 得 ら れ た ポ リ マ ー のIHNMRを 比 較 し た(Fig.2)。2のIHNMRよ り,ア ミ ド結 合 が1本 だ け 生 成 した 部 分 で は,ア ミ ノ 基 の 隣 に あ る メ チ レ ン プ ロ ト ン の シ グ ナ ル が3.lppm付 近 に2Hの シ グ ナ ル を 与 え,ア ミ ド基 の 隣 に あ る メ チ レ ン プ ロ トン の シ グ ナ ル が3.5-4.2ppm付 近 に2Hの シ グ ナ ル を 与 え る こ と が 分 か る。一 方,3のIHNMRよ り, 環 状 構 造 に な っ た 場 合 に は ア ミ ド基 の 隣 に あ る メ チ レ ン プ ロ トン の シ グ ナ ル が3.4ppm付 近 と4.3ppm付 近 に そ れ ぞ れ2Hの シ グ ナ ル を 与 え る こ と が 分 か る。 そ れ ら の 知 見 を も と に ポ リ マ ー のIHNMRを 解 析 す る と,2.7-3.9ppm付 近 に5.08Hの シ グ ナ ル が あ り,3.9-4.8ppm 付 近 に2.00Hの シ グ ナ ル が あ る こ と か ら,こ の ポ リ マ ー に は ラ ダ ー 化 し た 部 分 が57% ,1本 の ア ミ ド結 合 で つ な が れ た 部 分 が43%の 比 率 で 構 成 さ れ て い る こ と が 分 か っ た 。 odelcompound2

篭ONT

〔)=.,ChHN〕 ◎ 二 0(CH ZCiHiS 0 O N _1」 1 ppm 1「1111r 一 II 864 Ladder-TypePolyamide z 0 1 2 3 4 5 6 TMEDA TMEDA TMEDA 0 50 0 50 483020 53 3580 1.32 1.45 4843002.33 482480 483060 483370 1.30 1.42 1.60 'PolymerizationoflbwascarriedoutinthepresenceofLiHMDS (1.Oeq)with/withoutTMEDA(5.Oeq)inTHF

C7H15

撫 旗 「

6(CH C7卜{is 0 ㎡ ξ 、

4

里. 「'"、

.i

i

1 /

1 oom 「 86一 一遜 ノ 「 zo Modelcompound 3

1畿⑪P

α 鴫D

C-N 6⑪ 戦⑪ 3c7H15 § § … i 「糞 …

i

▲」 i…

i

ii I「 馬-匿.「 Ir ppm 86420 Figure2'HNMRspectraofpolyamideandmodel compounds2and3in1,1,2,2,‐ tetrachloroethane-dzat100°C.

(3)

3.金

属 錯 体 の 合 成 と構 造

応 用 錯 体 化 学 研 究 室 にお い て 行 っ て い る新 規 の 化 合 物

合 成 の 研 究 に お い て は,得

られ た 物 質 の 構 造 を 同定 す る

こ とは 必須 の 条 件 で あ り,こ の た め に はNMRか

ら得 ら

れ る情 報 は 極 めて 有 用 で あ る。 こ こで は 最 近 の 研 究 にお

い て どの様 にNMRを

用 い た か を紹 介 した い。

蕊_

Uesugiら は フ ェ ニ ル ピ リ ジ ン 配 位 子 と キ レ ー トカ ル ベ ン 配 位 子 を 含 む 一 連 の 白 金 錯 体 を 合 成 し,こ れ らが 紫 外 線 励 起 下 に お い て 白 金 錯 体 と して は 極 め て 高 い 量 子 効 率 を も っ て(>50%),溶 液 中 で 発 光 を 示 す こ と を 見 い だ し た2)。 こ の 錯 体 の 構 造 はX線 構 造 解 析 に よ っ て 決 定 し た が,例 え ば[Pt(ppy)(Ll)]2+の 場 合,カ ル ベ ン 問 の メ チ レ ン 基 の2つ の プ ロ トン が6.2ppmに 四 重 線 で 観 測 さ れ,溶 液 中 で も カ ル ベ ン キ レー トの 構 造 が 固 定 さ れ て い る こ と が 判 明 し た(Fig.3)。 8.58.07.57.06.5 Figure3'HNMRspectrumof[Pt(ppy)(L1)]2+measured inDMSO‐ds.

Ohkuboら

は,各 種 の 単 座 ホ ス フ ィ ン を含 む パ ラ ジ ウ

ム(0)錯 体 が強 い発 光 を示 す こ と を見 い だ した。 興 味 深

い こ とに,ホ ス フ ィ ンの 種 類 に よっ て 発 光 色 が 青 か らオ

レ ン ジ ま で 変 化 す る 。 こ れ らの 錯 体 の 構 造 もX線 構 造 解 析 に よ っ て 決 定 し た が,31P核 のNMRの 測 定 の 結 果, こ れ ら の 錯 体 の シ グ ナ ル は 一7.0∼27.7ppmの 範 囲 に 一 本 ず つ 観 測 さ れ,溶 液 中 で も 一 種 類 の 化 学 種 と し て 存 在 し て い る こ と を 明 ら か に し た3)。 ま た,対 応 す る 白金(0)錯 体 の 研 究 も 行 っ て お り,例 え ば[Pt(P(m-tol))3]錯 体 の 場 合 はFig.4に 示 す と お り,溶 液 中 で 三 本 に 分 裂 し た シ グ ナ ル を 与 え る が,こ れ は リ ン原 子 が 白金 核 に 結 合 し て い る 証 拠 と な っ て い る 。 Figure4 80.070.060.050.0 31PNMRspectrumof toluene-6るsolution. 40.030.O S/ppm [Pt(P(〃-tol))3]in

Pd

[Pd(P(o-toI)a)z][Pd(P(CY)a)z]

◎9◎

◎/\ ◎

磁(ジ

[Pd(P(CY)(Ph)z)a]

多 くの遷 移 金 属イ オ ン は,水 溶 液 中 で は水 が6個

配位

し た[M(H20)6]n+型

の 錯 イ オ ン とな っ て い る こ と が 知

られ て い る。 例 え ば ニ ッケル(II)イ オ ン を含 む 水溶 液 中

の 色 が 緑 色 で あ り,ま た銅(II)イ オ ン の場 合 は ピン ク色

とな る の は,イ オ ンそ の も の の色 を見 てい る の で は な く,

上 記 の よ うな錯 イ オ ンの 色 を見 て い る こ と にな る とい う

こ とは よ く知 られ て い る。Takaoら

は,陽 イ オ ン と陰 イ

オ ンか らな る塩 で あ るに もか か わ らず 室 温 付 近 で も液 体

と な っ て い るイ オ ン 液 体 中 に[M(H20)6]n+を

含 む 塩 を

溶 かす と 自然 に脱 水 和 が 生 じ,水 溶 液 中の 色 と異 な る こ

と を発 見 した4)。 例 え ば[Co(H20)6]BF4を

水 に 溶解 す る

と ピン ク色 とな るが,イ オ ン液 体 で あ るテ トラ フル オ ロ

ホ ウ酸 エ チ ル ー3一

メ チ ル イ ミ ダ ゾ リウ ム に 溶 解 す る と青

色 溶 液 とな る。EXAFSお

よ びIH核,19F核

のNMRス

ペ ク トル の 測 定 結果 か ら溶 液 中の構 造 を研 究 し,金 属種

に は水 分子 が4つ

結 合 し,イ オ ン液 体 を構 成 す る分 子 は

金 属 の 近傍 に は 存在 しな い こ とを 示 した。

以 上 の よ うに 有機 化 学 の み な らず 無機 イ オ ン を含 む錯

体 化 学 に お い て も様 々 な 核 種 や 手 法 のNMRを

駆 使 し

て研 究 を行 っ て い る。

(4)

4.オ

リゴ糖 合 成 に お け る構 造 解 析

糖 鎖 は核 酸,タ

ンパ ク質 と並 ぶ 第 三 の 生 体 高 分 子 で あ

り,主 に タ ンパ ク質 や 脂 質 に付加 して,糖

タ ンパ ク質 や

糖 脂 質 と して 細 胞機 能 の 調 節 に 寄 与 して い る。 生 体 分 子

化 学研 究 室 で は 糖 鎖機 能 解 析 を 志 向 した オ リゴ糖 合 成 の

過 程 で,NMRを

そ れ らの構 造 解 析 に活 用 して い るの で

報 告 す る。

糖 鎖 合成 は 高 度 にデ ザ イ ン され た 糖 供 与 体 と糖 受 容 体

を 用 い て,望 み の 位 置 お よび 立 体 で グ リコ シル 化 を繰 り

返 す こ とで 達 成 され る。 そ の 際,位 置 選 択 性 は 保 護 基 の

適 切 な 導 入 に よっ て 確 実 に 制 御 で き るが,グ

リコ シ ド結

合 形成 に伴 うoし・R一

選 択 性 の 制 御 は,糖 鎖 合 成 にお け る最

も挑 戦 的 な 課 題 の ひ とつ で あ る。 と く に望 み の グ リコ シ

ド結 合 と 隣接 す る2位

水 酸 基 が不 安 定 な1,2-CZS配

の 場合,立

体選 択 的 な グ リコ シル 化 には 工 夫 を要 す る。

HO HO HO HO HO HOOH

_鑛 鄭 靱

鋤鷺

Figure5StructureofGlcaMansGlcNAc2 生 体 分 子 化 学 研 究 室 で は 小 胞 体 型 糖 タ ン パ ク 質 糖 鎖 の 合 成 と利 用 に 取 り組 ん で お り5・6),Glc3MangGlcNAc2型 14糖 の 合 成 研 究 に お い て は,い く つ か の 興 味 深 い ア プ ロ ー チ で こ の 問 題 の 解 決 に 取 り組 ん で い る。 例 え ばFig.5 中 に 示 し たoし 一グ ル コ シ ド結 合 の 構 築 に は,ア ノ マ ー 位 に お け る 双 極 子 モ ー メ ン ト の 安 定 性 を 利 用 し てa一 結 合 を 構 築 す る 手 法(ア ノ マ ー 効 果)を 用 い た 。 一 般 的 に こ の 手 法 はoし 一グ ル コ シ ドを 優 先 的 に 与 え る が,立 体 選 択 性 を 完 全 に 制 御 で き る ほ ど 強 力 で は な い 。 そ こ で 我 々 は,糖 供 与 体 の2位 水 酸 基 の 保 護 基 と し て 電 子 供 与 性 のt-butyldimethylsilyl(TBS)基 を 用 い る こ と で,ア ノ マ ー 効 果 の 増 強 を 図 っ た 。そ の 結 果,反 応 は 完 全 にoし一選 択 的 に 進 行 し,望 み の3糖 を 高 収 率 か つ 高 立 体 選 択 的 に 与 え る こ と が 分 か っ た(Fig.6)。 一 方,保 護 基 と し てTBS基 の 代 わ りに ベ ン ジ ル 基 を 用 い る と,グ リ コ シ ル 化 の 立 体 選 択 性 は5:1程 度 に 低 下 し た 。生 成 物 の 立 体 配 置 は,IHNMR に よ っ て グ リ コ シ ド結 合 に ま つ わ る ア ノ マ ー プ ロ トン の カ ッ プ リ ン グ 定 数 に 基 づ い て 決 定 し た 。Karplus曲 線 に よ れ ば,oし 一グ ル コ シ ドの カ ッ プ リ ン グ 定 数 は3∼4Hzで あ る が,R一 グル コ シ ドは8∼9Hzを 与 え,両 者 を 容 易 に 区 別 で き る 。

,,↑

。Ph鯨

レ 。MP

ノ \O・

麹 ♪OAc

ミミ/\TBSOO

O

O

Ph.↓O

O 5.8 5.6 Figure6a‐SelectiveglucosylationusingTBSgroup. ま たFig.5中 のR一 マ ン ノ シ ドは 最 も 構 築 の 難 し い 1,2-CZS型 グ リ コ シ ドで あ る 。 我 々 は こ の 結 合 の 構 築 を, 容 易 に 立 体 制 御 可 能 なR一 グ ル コ シ ド(1,2-trans)と し て 形 成 後,導 入 し た グ ル コ ー ス 残 基 の2位 水 酸 基 を 立 体 反 転 させ る方 法 で 達 成 し た(Fig.7)。 グ ル コ ー ス 残 基 の2 位 水 酸 基 を 酸 化 し て,い っ た ん ケ ト基 と し た 後,水 素 化 ホ ウ 素 ナ ト リ ウ ム に よ っ て 還 元 す る と,ヒ ド リ ドの 攻 撃 が グ リ コ シ ド結 合 や3位 水 酸 基 の 結 合 方 向 に 対 し て transの 方 向 か ら優 先 的 に 起 こ り,ア キ シ ア ル 水 酸 基 を 有 す る マ ン ノ ー ス 型 骨 格 を 生 成 し た 。 こ れ に よ り,あ ら か じ め 構 築 し て お い た グ リ コ シ ド結 合 は,結 果 と し て 望 み のR一 マ ン ノ シ ド に 変 換 す る こ と が で き た 。 生 成 物 の R一マ ン ノ シ ドへ の 変 換 は,基 質 と生 成 物 のIHNMRス ペ ク トル を 比 較 し,ア ノ マ ー プ ロ ト ン の カ ッ プ リ ン グ 定 数 が 前 述 の 原 理 に 基 づ い て 大 き く 変 化 す る こ と を 指 標 に 同

欝 ザ響 茄

1)DMSO,AcZO 2)NaBH4 t J=3.OHz

警恕〆剛

J=8.5Hz Figure7Stereo‐inversionofR‐glucoside.

(5)

定 した 。

こ の よ うにNMRは

生 体 高 分 子 の化 学 合 成 に お い て

も,研 究 を支 え る 強 力 な分 析 機 器 と して駆 使 され て い る。

5.む す び

こ こに 紹 介 した 研 究 内容 は、 本 装 置 で これ ま で に得 ら

れ た成 果 の 一 部 で あ る。 各 研 究 室 で は これ ま で に、 様 々

な 核 種 の 一 次 元 測 定 や 、 原 子 の 結 合 や 距 離 の 相 関 を調 べ

るた め の 二 次 元 測 定 を行 い 、 化 合 物 の 構 造 決 定 だ けで な

く、溶 液 中に お け る分 子 の 解 離 や 結 合 、 あ るい は コ ン フ

ォ メー シ ョン変 化 な どの 動 的 解 析 を行 っ て きた 。 今 後 も

本 装 置 を用 い る こ とに よっ て 、 多 くの 素 晴 ら しい 研 究 成

果 が 得 られ る もの と期待 され る。

参考文献

1)Yokoyama,A.;Karasawa,M;Taniguchi,M;Yokozawa,

T.Chem.Lett.2013,42,641-642.

2)Uesugi,H.;Tsukuda,T.;Takao,K;Tsubomura,T.Dalton

Trans.2013,42,7396-7403.

3)Ohkubo,T.;Takao,K;Tsubomura,T.Inorg.Chem.

Commun.2012,20,27-29.

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Inorg.Chem.2012,51,4850854.

5)Iwamoto,S.;Isoyama,M;Hirano,M;Yamaya,K;Ito,

Y;Totani,KGIycobiology2013,23,121-131.

6)Matsushima,H.;Hirano,M.,Ito,Y;Totani,K.

ChemBioChem2013,14,753-758.

参照

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