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調味料の成分研究

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Academic year: 2021

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(1)

一18-一 一 食 物学 会誌 ・第34号

調 味 料 の 成 分 研 究

子*,安

子*

Studies

on the Components

of Seasoning

Junko

Takahashi,

Hideko

Yasufuku

1緒

近 年,我 国 で は 食 生 活 が 多 様 化 し,加 工 食 品 の 利 用 が 急 速 に 高 ま り,調 味 料 の 分 野Y' い て も新 た に 天 然 の 風 味 を 備 え た 「天 然 調 味 料 」 が 生 み 出 され た 。 そ し て さ らに 従 来 の 化 学 調 味 料 に この天 然 調 味 料 を 加 味 し た 総 合 的 な 調 味 料,い わ ゆ る 「だ し の 素 」 と呼 ば れ る 「風 味 調 味 料 」 が 現 在 広 く利 用 さ れ る よ うに な って き て い る。 こ れ は 味 の 高 級 化 が 進 み,旨 味 を 主 体 とす る 化 学 調 味 料,お よび 複 合 調 味 料 だ け で は 消 費 者 の 欲 求 が 満 た され な くな り,天 然 調 味 料 の持 つ 独 特 の 風 味 や コ ク味 に 関 心 の 比 重 が 移 っ て きた か ら で あ る と思 わ れ るo 昭 和50年11月18日,農 林 省 告 示 とし て,風 味 調 味 料 品 質 表 示 基 準 が 定 め られ た 。 風 味 調 味 料 とは 「化 学 調 味 料,お よ び 風 味 原料 の 香 り,お よび 味 を 付 与 す る もの を 言 う」 ま た,風 味 原 料 とは 「か つ お 節,こ ん ぶ,貝 柱 等 の 粉 末,ま た は 抽 出 濃 縮 物 を 言 う」 と定 義 され て い る。 そ こで 本 研 究 で は 「風 味 調 味 料 」, お よび,同 じ く 天 然 調 味 料 を 添 加 し た 「うど ん だ し」r「カ ップ め ん の 別 添 ス ー プ 」 の3者 に つ い て 成 分 分 析 を 行 な い,各 成 分 が 実 際 に どの よ うな 割 合 で 配 合 され て い る か を 知 り, そ の 特 徴 と使 用 に 際 し て の 問 題 点,特 に 旨味 成 分 と塩 分 に つ い て 検 索 す る こ とを 目的 と し た 。 1.試 料 風 味 調 味 料 う どん だ し カ ップ め ん

皿 実 験 方 法

穎 粒 状 2種 A1, A2 粉 末 状 3種 A3, A4, A5 3種 B1, B2, B3 3種C、,C2,C3

*食 晶 材 料 学 研 究 室(Laboratory of Food Material)

以 上 11種 本 研 究 で は か つ お の 風 味 を 主 体 に し た もの に試 料 を 限 定 し,カ ップ め ん で は 「き つ ね う どん 」 の製 品 を2 種,選 定 した 。 2.実 験 方 法 お よ び 試 料 の 調 製 2-1 一 般 成 分 分 析 a)水 分 常 圧 加 熱 乾 燥 法1) b)全 窒 素 ケ ル ダ ー ル 法1) C)糖 ソモ ギ ー 変 法2) d)塩 分 モ ー ル 法3) 2-2 旨味 成 分 分 析 a)ア ミノ態 窒 素 量 ホ ル モ ール 滴 定 法3) b)遊 離 ア ミ ノ酸 組 成4) KLA-3B形 日立 ア ミ ノ酸 分 析 計 試 料 を それ ぞ れ3∼7・59精 秤 し,75%エ チ ル ア ル コー ル で 沸 騰 湯 浴 中 で 抽 出 後,炉 過 し,抽 出液 を 減 圧 濃 縮 し,エ チ ル エ ー テ ル で 色 素 等 を 除 去す る。 そ の 後,再 び 減 圧 濃 縮 し,pH2.2の ク エ ン 酸 緩 衝 液 で25mlに 定 容 し,炉 過 後,試 料 液 とし た 。 (測 定 条 件) 中 性,酸 性 ア ミ ノ酸 カ ラ ム 0.9×50cm 展 開 温 度 55℃ 分 析 時 間 3時 間 塩 基 性 ア ミノ酸 カ ラ ム 0.9×15cm 展 開 温 度31∼55℃ 分 析 時 間 4時 間30分 樹 脂Aminex A-4 c)5'一 グ ア ニ ール 酸,イ ノシ ン酸 量 イ オ ン 交 換 ク ロ マ トグ ラ フ ィー5)6) 試 料3∼69を 精 秤 後,蒸 留 水 で 抽 出 し100m1

(2)

に定容後,炉過して試料とする。 (溶出条件〉 カラム 1.2x 10cm Buffer O.lM-ギ酸 500ml 0.25Mーギ酸 500ml 1Mーギ酸 500ml 樹脂 Dowex 1 x 4 (200" ,400mesh) 流出速度 1mljmin 以

J

二20mlずつ分画液を採取し, 260mμで吸光 度を測定した。 StanderdSampleとしてGuanosine 5'-Monophoshate Disodium Salt, Inosine 5'-Mo -nophoshate Disodium Saltの溶液を用いて流出 位置を確認し,同定したo

E 実験結果及び考察

試料それぞれについての一般成分,及び遊離アミノ 酸組成分析結果は表1,表Eに示す通りであるO 一般成分では,水分は大差なく,全窒素も風味調味 料にやや多い程度であるが,塩分がうどんだし,カッ プめんに多く,同じ風味調味料でも Al' A2の頼粒製 品の方が粉末製品よりも多いことがわかるo反対に, 全糖量は Al'A2では少なくなっているO実際にうど んのかけ汁として使用した場合,塩濃度はそれぞれ風 味調味料0.4%, うどんだし1.2%,カップめん1.1% となり,そのまま使用するうどんだし,カップめんでは 標準とされる1.0%をやや上回ることになる。また,特 に注目すべき点は,風味調味料自体にも,すでに0.4 %の食塩が含まれていることであるo 太田氏7)はカツ オ節エキス,濃口しょうゆの遊離アミノ酸組成につい て研究しているが,カツオ節に多く含まれる遊離アミ ノ酸は,ヒスチジγが特に多く,次いでグリシン,アラ ニシ, リジン,ノミリン等で,グノレタミ γ酸も少なから ず含まれており,また,しょうゆ中には,グノレタミ γ 酸,アスパラギγ酸,ロイシγ, リジγ,バリγ等が 多く含まれていると述べているO ここで,今回行なっ た実験結果と比較してみると,図

I

でもわかるように, 風味調味料では,特に多いグノレタミ γ酸,確認出来な かったがスレオニγ,セリγ,プロり γ,シスチγを 除くと,その組成比は

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1

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5ともほぼ比例し,しか も含量が多かったのはヒスチジγ,グリシγ,アラニ γ,次いで、ロイシγ,イソロイシγ,バリ γであり, これはカツオ節エキス中の遊離アミノ酸と同様の傾向 を示しているO このことから,風味調味料の遊離アミ ノ酸は風味原料に由来するところが大きいと考えられ るO ところが, うどんだし,カップめんではグノレタミ Y酸,ヒスチジγ,グリシγ,アラニγ等の他に,ロ イシ/',イソロイシγ,パリ γ,アノレギニソ,アスパ ラギγ酸等も多く, うどんだし,カップめんには, 「粉末しょうゆ」が含有されているものと思われる。 また, これらの遊離アミノ酸の多少は,単に風味原料 だけによるものではなく,かなり添加されたアミノ酸 も含まれているものと考えられ,特にカップめんの

C

1,

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2等は,総合的にアミノ酸が添加されているもの と思われるo これら添加されているアミノ酸は,植物タγパク加 水分解物 (HVP),動物タγノミク加水分解物 (HAP), 及び酵母エキスによるものと考えられるが,風味調味 料等に利用されているのは主にHVPであると思われ るo この HVP中の全窒素はほとんど全部,遊離アミ ノ酸であるので, HVPの添加は全窒素量の増加を伴 うものと考えられ,食塩:量と全窒素量の比は塩味と旨 味の相互関係に影響を及ぼす因子ともなりうるO 表直 は添加された化学調味料と食塩の関係を示している。 表Eのグノレタミン酸量はその大部分が添加された MSGであると考え,そのまま MSG量とした。この MSG量は,風味調味料中でも特に Ah A2に多いこ とがわかるO この原因のーっと考えられるのは,頼粒 としての防湿のための助剤としてMSGが使われてい るということであるO 賦形剤として,でん粉,デキス トリシ,乳糖等が使用されていて,実際 AhA2でも 乳糖がその役割を果たしていることがわかっているが, さらに各種エキスの乾燥及び防湿の助剤に,デキスト リン,食塩 ,MSG,乳糖等が実際使用されている8)。こ のことから,多量に添加されている MSGは,防湿の ための助剤としても利用されているのではないかと思 われるO また,傾向としては風味調味料にこの MSG が一番多く,平均70mgjg

次いでカップめん34mgjg

一番少ないのがうどんだしで24mgjgであった口 次に5'ーヌクレオチドを見てみると, Alが5'-GMPを 含まない以外は,全て5'-GMPを1とした時, 5'-IMP を1...2の割合で配合された

5

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ーヌクレオチドナトリウ ムの形で含有しているO 普通, 5'-GMPのMSGとの 相乗効果力は5'一IMPとMSGの相乗効果力の約 3倍 であり, 5'-GMPと5'-IMPを当量混合した時はMSG との相乗呈味力は5'-IMPのみの時の約2倍と言われ ている9)。そうしてみると, 各製品とも独自の割合で 旨味の相乗効果をもたらしていると考えられるO NaCl/T-Nは,値が大きくなるほど塩味を強く感じ, 値が小さくなるほど旨味を強く感じると太田氏は述べ ている7)。風味調味料のこの値は小さく,旨味が強く

(3)

- 20-表

I

食物学会誌・第34号 (%) 般 成 分 風 味 調 味 料

う ど ん だ し カ ッ プ め ん A1 1 A2 1 A3 1 A4 1 A5 I平1均0│l

B1││ iBR21 B7s│1平

1

均 11C11 2C21I C8 3│平 均 水 分 全窒素 4.71 4.01 3.41 3.71 3.31 3.8I1 1.1 I 1.6 1 1.6 1 1.4 11 2.21 2.61 1.6 1 2.1 塩 分 全糖量 131173389320353273137110229011.725711 日 表

E

遊 離 ア ノ 酸 組 成 (mgJg) アミノ酸 Lys His Arg Asp Thr Ser Glu Pro Gly Ala Cys Val Met Ileu Leu Tyy phe Total ゆ下一山一川町一

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一 一 町 一 山 花 一 一 O 一3 3 一1 1 4 一 3 3 弓 山

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川 市 一 一 山 一 引 料下│丁斗

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味一土砂一

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一 寸 一 一 恥 一 加 味 十 2 一 ι 一 J J 1 ハ J 3 1 一ι J 一ι 丸 一

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(注) 引 一

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・ 一 ﹂ 一 ・ 定 量 一 間 一 11-o 臼 一 o η 一 1 7 一 0 必一。一蹴一ぉ一切切

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(4)

風 味i調味料 24.4 mg/g うどんだし カップめん P ..."心心""に,,~、可 ~4.3 34.2 1.S 1.0 0.5 I斗lC. Tyr. lleu. Leu. Met. Val. Cys. Ala. Gly. j r ︾ T} ム Glu. Ser. Thr. Asp. Arg. His. Lys.

ノ 酸 組 成 平 均 値 遊 離 ア 図 1 (5'-IMP)

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1.3 2.0 1.5 1.6 11.3 11. 2 17.

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一 グノレタミソ酸ナトリウム (MSG)

5'一イノ、ンγ酸 ナ ト リ ウ ム 5'ーグアニーノレ酸ナトリウム (5'-GMP)の配合割合 8 3 7 6 4 5 4 1 3 2 8 12 10 表

E

26.7

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4.5 5.2 4.9 4.9 5.2 ハ リ A 吐 つ 白 口 可 u d ι τ 1 i 風味調味料 カめ ツ プん めんの方が値が小さいことがわかるO また, MSGは食 塩量:を基準として使用量が決められるが,食塩量の 10 %が最低使用量とされている9。) そこで MSGjNaCl 感じられると思われるが,調理に際して他の調味料を 添加する場合が多く,一概に比較出来なし、。しかし, そのまま利用するうどんだしとカップめんではカップ

(5)

- 22-を見ると, うどんだし,カップめんともほぼ10%前後 となっていて,適量であると言える口風味調味料も 1 %の塩濃度に調味したと仮定すると表町のようにな る。 表 町 塩 濃 度1%にした時のMSGjNaCl% (%) ! Al

I

A2

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附 ぬ

Cl 1 25 1 18 1 6 1 13 1 8 ここで A1,Azは10%をかなり上回っており,呈味 に不必要な MSGが添加されていると考えられる。 5'-GMP /

5

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jMSGは平均84%とかなり高い値となり, MSGに対する 5'ーヌククレオチドナトリウムの割合が 多いことを示しているが, 10%以上では相乗効果の効 率は上がらない9)と言われていることから過剰に添加 されているということが言える。 以上,これらだし類の調味料においても,各社によ ってかなり成分的に相違があるが,いずれも過剰の化 学調味料をそのまま摂取することが考えられ,利用に あたっては天然だしの補助剤として,また風味のみを 生かした調理法等,適切な使用法を考えなければなら ない。日常,ィγスタγトのだしのみの利用は,化学 調味料の味に味覚が慣らされてしまい,より過剰の化 学調味料を使用しないと旨味を感じなくなるおそれが あるのではないだろうか。

町 要

(1) これら天然調味料を含む和風調味料は,食塩, 糖類,化学調味料,風味原料,呈味補助剤,粉末しょ うゆ等を原材料とし,これらの配合割合によって各製 品の特徴が出ているO (2) 風味調味料では,すでに食塩が添加されている ため,調理に際して他の調味料による塩分の添加量を 考膚、する必要があるO特に頼粒製品に塩分が多い。ま た,風味原料,および添加アミノ酸により,風味,味 食物学会誌・第34号 に差が出るため,風味原料が多くコク味も強く,塩分, MSG量,遊離アミノ酸量等の多い頼粒製品を煮炊き物 に使用し,清汁等,風味原料そのものが香気成分とな る調理には粉末製品を使用する等,調理に合わせて使 い分けた場合には,かなりの効果が得られると思われ るO (3) カップめんでは,食塩量に比べてMSG量が多く, また,

HVP

等のアミノ酸類の含量が多いことから旨味 に主点を置いたものであると考えられる。 (4) 風味調味料, うどんだし,カップ。めんのいずれ においても必要量以上の5'ーヌクレオチドナトリウム の添加が見られた。これは体内へのナトリウム摂取の 過剰をきたす原因ともなりかねないので,使用時には 使用量を減らし,不足分をしょうゆ等で楠い,不必要 な化学調味料の摂取を考慮するべきであろう。 以上の結果より,我々はこの簡便に利用できる「だ し」を適切に利用することによって,良い意味での食 生活のイ γスタγトイじを計らなければならなし、。

参 考 文 献

1) 神立誠編:最新食品分析法, 46-86, 1976,同 文書院 2) 川村亮:新版,食品学実験法,朝倉書屈

3

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大獄六郎:

FOOD

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44-123, 1976,地球社 4) KLA-3B型目立アミノ酸分析計使用説明書 5) 京都大学農学部食品工学教室編:食品工学実験 書,上巻, 184-195, 1970,養賢堂 6) 小原哲二郎他編:食品分析ハγドブック, 333→ 339, 1969,建島社 7) 太田静行:食品調味論, 46-191, 1976,辛書房 8) 椙原尚志:加工食品への天然調味料利用と技術 的進歩,ジャパγフードサイェγス1,81, 1976 9) 元崎信一編:佑学調味料74-93,1969,光琳書 院

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