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戦略的人間資源管理の規定要因
一 一 四 国 地 方 の 機 械 工 業 を 対 象 と し た 実 証 研 究 一 一山 口 博 幸
I はじめに われわれは,戦略的人間資源管理に関する実証研究のための文献レビューを おこなった結果,し、くつかの研究課題が残されていることを指摘した(山口, 1987年 a)。そのうち,一つの課題を除いて不十分ながら,すでに取り組むこと ができた(山口, 1988年〉。まだ取り組んでいない一つの課題とは,戦略的人間 資源管理の規定要因に関する仮説の検証である。すなわち,戦略的人間資源管 理の規定要因として, Meshoulam (1984)が仮定している要因が,経験的妥当 性をもつか否かの検証である。本稿は,この課題に取り組もうとするものである。 E 概念の選択と理論的仮説l
問題意識と文献レビュー 特定の組織特性はどのような要因によって規定されるか,としづ問題は,と くに実証科学的組織論では,比較的ふるくから関心がもたれてきた。英国アス トン大学グループ CPughet al, 1969)は,規定要因として実証的に確定できる のは,唯一,組織の規模のみであることを明らかにした。ほほ同時期,同じく 英国のWoodward (1965)は,生産技術の複雑性が組織を規定することを実証 していた。その後,環境不確実性や市場環境の多様性を組織特性の規定要因と して実証的に明らかにする研究者もあらわれた CLawrence& Lorsch, 1967; 野中, 1974年;加護野, 1980年〉。また, Cook (978)は,経営者が従業員を費 用とみるか資源とみるかという経営者の従業員観が人間資源管理スタイルを規-106- 香川大学経済論叢 180 定することを実証した。 そんななか, Meshoulam (1984) は,山口 0987年a,表 5) で紹介したよ うな「人間資源管理の発展段階モデ、ノレ」という一種の組織特'性の記述モデ)レを 展開し,各発展段階の経験的妥当性を定性的ではあるが実証的に検討した後, 発展段階の規定要因を仮説的に取り上げて因果モデルを形成し,その検証をそ の後の調査課題として残している。そこで展開されている因果モデルは,図
l
のように図示することができるであろう。 図1 人間資源管理発展段階の規定要因に関するM告shoulamの仮説匝
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境
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注〉上段の4要因は外的規定要因であることを示し,下段は人間資源管理の発展段階を示すととも に,各段階の前期も規定要因となることを示す。また,矢印の交差は交互作用を示す。 出所)Meshoulam, 1984, pp 199-215から作成。山口, 1987年a,図6を再掲。 このモデルは,組織特性の規定要因モデノレとしても,いくつかの注目すべき 特徴をもっている。 (1) 組織特性や人間資源管理の性格の規定要因は,組織の規模か環境の多様 性(生産技術の複雑性も含む〉かで引はなくて,いずれが規定要因になるかは発 展段階によって異なるという一種のコンティンジェンシー・モデルないし「進 化論モデルJ
CBaird&
Meshoulam, 1988) のアイデアを吸収している。 (お組織の成長,組織の規模,環境の多様性,経営者の将来志向性といっ た,人間資源管理の外的規定要因のみならず¥前段階が後段階を規定するとい う因果関係も考慮されている。これは,r
学習理論J
CMeshoulam, 1984) ない し「組織のライフサイクル・モデルJ
CBaird&
Meshoulam, 1988)のアイデア を吸収したものである。(
3
)
r
経営者の将来志向性」を規定要因として新たに加えることによって,181 戦略的人間資源管理の規定望書因 -107-環境決定論の立場からだけでなく, I戦略的選択
J
(Child, 1972)の理論の立場 からも,規定関係の発生するメカニズムを考えている。つまり,規定関係は経 営者が組織の成長・規模に「受動的に反応するJ
(react)ことによって発生す るだけでなく,将来志向性でもって「積極的に対応するJ
(proact)ことによっ ても発生することを示唆している。いずれのメカニス町ムが発生するかも,発展 段階に依存する。 以上のように, Meshoulam (1984)の人間資源管理発展段階の規定要因モデ ルは,多くの示唆を与えるのであるが,われわれはそれをそのまま無批判に吸 収して,検証しようというのではない。とくに,被規定要因である人間資源管 理発展段階の記述モデルは,前稿 (LIJ口, 1988年〉で述べたように,文献レ ビューの典拠が明らかでなく,それをそのまま吸収することはできない。概念 の選択と,検証しようとする理論的仮説の明示とについて,あらためて述べて おく必要がある。Z
概念の選択 ここでは,われわれが検証しようとしている理論モデルを構成する概念を選 択し,一般的定義をおこなう。 1) 人事/人間資源管理 われわれの主題は戦略的人間資源管理の規定要因にある。しかし,戦略的人 間資源管理は,人事/人間資源管理というー般変数の一つの変数値ないしカテ ゴリー(あるいは類型の一つ〉にすぎない。したがって,ここで一般的定義の 対象になるのは,人事/人間資源管理 (personnel
/
humanresource manage-ment)である。われわれは, Meshoulam (1984) やBaird
&
Meshoulam (1988)の文献レ ビューとは別に,独自の文献レビューから「人事/人間資源管理の類型」化を試(1) Meshoulam (1984)やBaird& Meshoulam (1988)では,人事/人間資源管理に関
する文献レピコーの対象が明示的でない。主として組織発展段階説を文献レビコー している。
-108- 香川│大学経済論叢 182 みた(山口, 1987年b,図7)。それによれば, 2つの観点から人事/人間資源 管理を一般的に定義できる(山口, 1988年〉。いずれの観点からも,
r
人事管 理J
r
人間関係論的人事管理J
r
人間資源管理J
r
戦略的人間資源管理」の4類型 を識別できるようになっている。 第1
の観点は,人事/人間資源管理を連続的発展段階として定義するもので ある。これは, Cook (1978)の見解をほとんどそのまま吸収したもので,かの 女にならって,r
H
RM
スタイルJ
(HRM
Style)とよび,第2
の観点、からの定義 と区別する。これは,管理の対象である従業員についての概念の資源志向性の 強度によって,人事/人間資源管理の類型を識別しようとするものである。連 続線上で考えて,人間資源概念が最高度に達したHRM
スタイルを「戦略的人間 資源管理J
,その対極にあって労働力費用概念が最高度に達したHRM
スタイノレ を「人事管理」と,われわれはよぶ。人事管理と戦略的人間資源管理を対極と する連続線上の中聞に,r
人間関係論的人事管理」と「人間資源管理」とを位置 づけることができょう。したがって,HRM
スタイルは単←次元をなすと想定さ れる。 第2
の観点は,人事/人間資源管理を異質的発展段階として定義するもので ある。われわれの区分基準には, Tichy et al(1982)およびFombrunet al.. (1984)の「人間資源管理の階層モデルJ
が示唆するような施策主体による質 的区分と, Meshoulam (1984)の「人間資源管理の発展段階モデ町ル」が示唆す るような重点施策による質的区分とが,含まれている。第1
の観点からの定義 と区別するため,r
H
RM
レベルJ
(HRM
Level)とよぶことにする。人事部ス タyフを施策主体とし労働力の選考と技能訓練を重点施策とするHRM
レベノレ を「人事管理J
,第一線管理者を施策主体とし従業員の社会的欲求の充足と第 一線管理者の感受性訓練を重点施策とするHRM
レベルを「人間関係論的人事 管理J
,第一線管理者をはじめとするライン管理者を施策主体とし自己実現欲 求の充足を重点施策とするHRM
レベルを「人間資源管理J
,トップ・マネジメ ントを施策主体とし戦略的人間資源の調達と人間資源開発を重点施策とするHRM
レベルを「戦略的人間資源管理」と,質的に区別する。したがって,183 戦略的人間資源管理の規定要因
-109-HRM
レベルは4
次元をなすと先験的には想定される。 2) 規定要因 規定要因としては, Meshoulam (1984)を吸収して, 4要因を取り上げる。 ただし,それぞれの定義に関しては,それ以前の典拠に遡るため,多少異なる ことがある。 (1) 組織の成長 規定要因の第l
は,組織の成長 (organizationgrowth)である。ある一定期 間の組織規模の変化で一般的に定義される。したがって,組織規模の拡大のみ ならず縮小も負の成長として把握する。たとえば,従業員数の増減,売上高の 伸び率などが,それである。 (2) 組織の規模 規定要因の第2は組織の規模 (organizationsize)である。売上高‘や資本金な どの事業規模での定義もあるが,組織論では従業員規模での定義が多い。アス トン・クuループの定義も従業員規模である。 Meshoulam(1984)では,プロセ スである成長と,状態である規模とが,区別されている。 (3) 環境の多様性 規 定 要 因 の 第 3は 環 境 , と く に タ ス ク 環 境 の 多 様 性 (environmental complexity)である。タスク環境の多様性の定義に関して最初に貢献のあった のは, Thompson (1967)であろう。かれは,環境の多様性あるいは不確実性 を,空間的多様性である「異質性」と時間的多様性である「不安定性」の2次 元で先験的に定義している。その後の実証研究もこれを継承することが多いの で,われわれも次元を経験的に確認した上で,それに従いたい。環境の多様性 は,環境ノえラエティ (environmental variety)とよばれることもある。ω
)
経営者の将来志向性 規定要因の最後は経営者の志向性 (managementorientation)である。これ は,上述の 3つのリアクティフ (reactive)な規定要因とちがって,プロアク ティブ (proactive)な規定要因であり,従来あまり取り上げられなかった要因 である。 CEO(最高経営者〉ないしトップ・マネジメントなどの組織の指導者-110ー 香川大学経済論叢 184 の長期的将来に対する関心の強さのことである。それは従業員を資源としてみ る志向性が高いことでもある。将来に対して長期的な見通しをつけ,組織を一 定の方向へ方向付けようとする経営者を,将来志向的 Cfutureoriented)であ る,とし、う。
3
)
経営成果 人事/人間資源管理を規定する要因が何になるかは発展段階に依存する,あ るいは規定要因と発展段階の「適合」が組織の成果をもたらすというコンティ ンジzンシー・モデノレの命題を検証するために,経営成果 (performance)の 概念も選択しておく必要がある。経営成果は,戦略的人間資源管理の有効性に 関する実証研究について報告した前稿(山口, 1988年〉と同様にして,イン プットとアウトプットの対比でみる組織の能率 (efficiency)の基準(収益性, 成長性など〉のみならず,多様な目標の達成度でみる組織の有効性 (effective -ness)の基準(革新性など〉も含む概念である。 3 理論的仮説の形成 以上のようにして選択された概念を論理的に結合して,規定要因と人事/人 間資源管理に関する因果関係を表現すれば,理論的仮説が形成される。 われわれの仮説の基本的アイデアは, Meshoulam (1984)から吸収している ので類似点もあるが,相違点もある。類似点は,経営者の将来志向性というプ ロアクティブな規定要因をはじめとする規定要因についてのアイデアを吸収し ていることに由来する。さきに述べたMeshoulam(1984)の規定要因に関する 因果モデ、ルの特徴は,コンティンジェンシー・モデルのアイデアをはじめ,で きるだけ維持しようとしている。いずれが人事/人間資源管理の規定要因か, ではなくて,いずれが規定要因になるかは発展段階ないし類型に依存する,と 考える。また,規定要因と人事/人間資源管理の「適合jがより高い経営成果を 生むという命題を仮説とする。 相違点は,被規定要因である人事/人間資源管理の定義に主として由来する。 わ れ わ れ は 次 元 を 異 に し 同 時 並 存 も 可 能 な 「 類 型 」 で 定 義 し て お り ,l
i
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i
-l i -i i i i i 185 戦略的人間資源管理の規定要因 -111-Meshoulam (1984)は前段階が後段階を規定する「発展段階」で定義してい る。ところが,類型と発展段階に共通性もある。とくに,人事管理と第2
段 階,戦略的人間資源管理と第5
段階は類似点が多い。人間資源管理を第3
段 階,人間資源管理を第4段階とみなせば, Meshoulam (1984)の発展段階規定 要因モデルをそのまま類型規定要因モデルとしても数の上では整合的である。 しかし,これでは理論モデノレ(理論的仮説体系〉とはならない。なぜ,組織の 成長が人事管理を,組織の規模が人間関係論的人事管理を規定すると言えるの であろうか。規定要因が入れ替わってはいけないのだろうか。 じつは, Baird&
Meshoulam (1988)は,組織の規模を第2段階の規定要因としている。組織 の成長が第2段階の,組織の規模が第3段階の規定要因とするMeshoulam (1984)のモデルも理論的根拠が明確でなかったことを示している。要する に,組織の成長と組織の規模について,それぞれの機能を厳密に区別すること はできないし,必要ないであろう。同様のことは,環境の多様性と経営者の将 来志向性についても言えるであろう。それに対応させて,人事/人間資源管理 も,人事管理と戦略的人間資源管理を両極とする,あるいは,大別して人事管 理と人間資源管理からなる,と定義することもできる。 それでは,第3段階は,前段階である第2段階(その規定要悶は組織の成 長〉と組織の規模との交互作用効果によって規定されるというMeshoulamのい わゆる「学習理論」ないし「組織のライフサイクル・モデル」のアイデアは全 面的に放棄するのか。そうではない。組織の成長と組織の規模の交互作用効果 を考慮したい。 以上のように,人事/人間資源管理の規定要因に関しては,確たる理論が既 にあるとは言えない。したがって,この実証研究は,仮説の検証のみならず, 仮説の探索・発見を課題とする探索的実証研究でもあるほうが望ましい。その うlち,仮説検証としみ実証研究のために,暫定的に理論的仮説を明示すると, (2) 前稿〈山口, 1988年〕で報告したように,人事/人間資源管理の質的発展段階 (HRMレベル〕の先験的4次元は,今回われわれが得たデータでは,経験的に確認 できず,せいぜ、い 2次元が妥当であることが明らかになった。-112- 香川大学経済論叢 186 つぎのようになるであろう。 (1) 組織の成長および組織の規模は人事管理の規定要因であり,環境の多様 性および経営者の将来志向性は戦略的人間資源管理の規定要因である。 (2) 組織の成長が著しく,かつ組織の規模が大であるとき,人事管理が生じ やすく,環境の多様性が大で,かつ経営者の将来志向性が高いとき,戦略的人 間資源管理が生じやすい。 (3) 組織の成長が著しく,組織の規模が大であるとき,人事管理は収益性・ 成長性という経営成果をもたらし,環境の多様性が大で,経営者の将来志向性 が高いとき,戦略的人間資源管理は革新性という経営成果をもたらす。 第
1
仮説は,規定要因は人事/人間資源管理の類型によって異なる,という アイデアを命題化したものである。人事管理の究極目的は能率であり,アウト プット量に対するインプット量の比や前者の量的拡大が関心の中心である。し たがって,人事管理は,組織の成長や組織の規模といった量的要因に規定され るであろう。これに対し,その対極をなす戦略的人間資源管理は,革新や多角 化など質的転換を志向するものである。したがって,戦略的人間資源管理は, 環境の多様性や経営者の将来志向性といった質的要因に規定されると考えられ る。 第2
仮説は,学習理論ないし組織のライフサイクル・モデノレのアイデアを吸 収しようとした命題である。戦略的人間資源管理は,その前段階が環境の多様 性によって規定された上に,経営者の将来志向d性が加わったほうが,より促進 されるはずである。ただし,われわれは, Meshoulam (1984)と違って,組織 の成長が著しく,かつ組織の規模が大であるときは,人間関係論的人事管理が 促進されるのでなく,戦略的人間資源管理の対極にある人事管理が促進される と想定している。 第3
仮説は,組織のコンティンジェンシー・モデ、ルのアイデアを吸収しよう としたものである。コンティンジェンシー・モデ ノレの基本的アイデアは,適合 が成果を生む,という考えである。前稿の戦略的人間資源管理の有効性に関す る実証研究(山口, 1988年〉では,主として人事/人間資源管理と戦略・組織と9JV ' ' ' e , , A の「内的適合」を問題にした。本稿では,規定要因と人事/人間資源管理の「外 的適合」を検証しようとしている。これが検証されれば,
r
二重適合」の検証の 完成へ近づくことができる。経営成果は,能率の基準によるものと,有効性の おおまかに大別しである。 戦略的人間資源管理の規定要因 187 基準によるものとに, 概念の操作化と仮説の特定化 前節では先験的に概念を選択し,理論的仮説を形成した。ここでは,理論を 構成する概念の操作化と仮説の特定化をおこなう。概念の操作化の中心的任務 はインディケータの選択である。各インディケータにつきスケールが選択され ると要因は変数となり,質問票構成の論拠も明らかとなる。質問票の回答者を サンプリングし,回答を因子分析し,先験的に選択した次元を経験的に確定す る。確定された次元をもとに,情報を圧縮し,インデックスないし類型を構成 することで概念の操作化は完了する。操作化された概念を論理的に結合すれ ば,理論的仮説は特定化され,特定仮説ないし作業仮説となる。 m 出 インディケータの選択 前節で選択された3種の概念について,先験的な次元別にインディケータを 選択し,各インディケータのスケーノレを選択し,質問票の構成を論拠づける。 1)r
人事/人間資源管理」概念の次元とインディケータ この概念については前節で述べたように, L 2つの観点から定義し,それぞれ と称した。r
H
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スタイルJ
は,基本的にはC
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k
(19
8
7
)
の定義を吸収したものであ り,概念の操作化もかの女にならった。先験的には単一次元の概念である。 5点 スケールのインディケータを7
つ用意した。1
点に近いほど人事管理スタイル であり, 5点に近いほど戦略的資源管理スタイルであると操作的に定義できる。r
H
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レベル」については,われわれが文献レビューからえた「人事/人間 資源管理の類型J
をTichye
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(19
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8
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の「人間資源 管理の組織階層aモデ円ノレ」およびM
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の「人間資源管理の発展段r
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レベル」i l
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-114- 香川大学経済論議 188 階 モ デ ル
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の う ち 施 策 ポ ー ト フ ォ リ オ(
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の 項 目 を 合 わ せ て 参 照 し な が ら 操 作 化 を 試 み た 。 先 験 的 に は 人 事 管 理 ・ 人 間 関 係 論 的 人 事 管 理 ・ 人 間 資 源 管 理 ・ 戦 略 的 人 間 資 源 管 理 の4次 元 概 念 で あ る 。 各 次 元 に つ き 施 策 主 体 の 組 織 階 層 レ ベ ル と 重 点 施 策 と に つ い て の イ ン デ ィ ケ ー タ を 開 発 し た 。 rHRM
ス タ イ ル 」 お よ び r HRM
レ ベ ノ レ 」 の 概 念 , 次 元 , イ ン デ ィ ケ ー タ , ス ケ ー ル , 質 問 票 項 目 の 対 応 表 は 前 稿 ( 山 口 , 1988年 , 表2)に 示 し て あ る 。 2) 規 定 要 因 規 定 要 因 と 想 定 さ れ て い る4つ の 概 念 の 次 元 と イ ン デ ィ ケ ー タ の 選 択 は 以 下 の よ う に し て お と な っ た 。 そ れ ぞ れ の 概 念 , 次 元 , イ ン デ ィ ケ ー タ , ス ケ ー ル , 質 問 項 目 の 対 応 関 係 は 表l
に 要 約 し て あ る 。 (1)r
組 織 の 成 長 」 概 念 の 次 元 と イ ン デ ィ ケ ー タ 表 規 定 要 因 」 概 念 の 次 元 と イ ン デ ィ ケ ー タ 概 j念; 次 フE インディケ タ スケ レノ議欝室長
組織の成長 (単次元) 会社従業員数の変化 (滅) (増〉 QlICX 5 組織の規模 (単一次五〉 会社従業員数 比率然 尺 度 会社従業員数 CEMPL 自 対 数 環境の多様性 環境異質性 市場面の異質性 (低〕 (高〉 間 4① Q0401 1 7 (R) 技術面の異質性 (低) (高〉 間 4② Q0402 l 7 (R) 製造設備の異質性 Q0403 (低〉 (高) 問 4③ l 7 (R) 原材料部品の異質性 (低) (高〉 問 4③ Q0404 l 7 (R) 環境不当t定性 出荷品目のライフサイクノレの (低〉 (高〕 関(R5①〉 短さ Q0501 l 7 設備装霞の陳腐化年数の短さ (低〕 (高〉 問 5② Q0502 l 7 (R) 経営者の将来 (単一次フじ〕 採用方針の将来志向性 (低) 高5〕 問(1R4①〕 (a〉 志向性 Q14Al l 報酬制度の将来志向性 〔低〉 (商) 問14②(乱〉 Q14A2 1 5 教育訓練の将来志向性 (低〕 (高〉 間14③ (a) Q14A3 l 5 業務割当の将来志向性 (低) (高〉 問14④ (a) Q14A4 1 5 評価基準の将来志向性 (低〕 (高) 問14⑤ (a) Q14A5 l 5 従業員維持確保の将来志向性 (低〕 (高〉 間14⑥ (a) Q14A6 l 5 現場'iiii替方式の将来志向性 (低) (高) 問(1R4⑦〉 (a〕 Q14A7 1 5189 戦略的人間資源管理の規定要因 -115-組織の成長は,単一次元であり,会社全体の従業員数の5年前と比較した変 化の度合をインディケータとした。スケールは,
r
非常に減少(約50%以下 )J から「非常に増加(約151%以上 )J までの5点スケールである。 (2)r
組織の規模」概念の次元とインディケータ 組織の規模は,単一次元であり,質問票への回答として得られた会社従業員 数の自然対数をインディケータとした。自然対数をとったのはアストン・グ ルーフ。にならった。 (3)r
環境の多様性」概念の次元とインディケータ 環境の多様性は,先験的には,環境の異質性と環境不安定性の2
次元をなす。 それぞれのインディケータの選択に際しては,加護野(19
8
0
年)の質問票を適 用した。環境の異質性のインディケータとしては,事業所の主要な出荷品目と その他の会社出荷品目との聞の,①顧客・流通経路等の市場面の共通性,②技 術的知識・技術者等の技術面の共通性,③製造関係の設備の共通性,④原材料 または部品の共通性の,逆転7
点リッカート・スケールを用いた。つまり,共 通性が高いほど異質性は低くなる。環境不安定性のインディケータとしては, ①主要出荷品目の平均的なライフサイクルの長さ,②生産設備・装置の経済的 な陳腐化の平均年数の長さの,逆転7
点リッカート・スケールを用いたc
r
短 い(3
年以下 )J をl
点,r
長い(15
年以上)J を7
点とした)。短いほど不安定 性は高いことになる。 (4)r
経営者の将来志向性」概念の次元とインディケータ 経営者の将来志向性は,先験的には,それが高いか低いかの単一次元をなす。 インディケータとしては,C
o
o
k
(19
7
8
)
が,HRM
スタイルの規定要因として選 択した「経営者の従業員観」の7
つのインデ日イケータを適用した。それは,① 従業員の採用方針,②非金銭的報酬も含めた報酬制度,③教育訓練,④従業員 への業務割当,⑤従業員の評価基準,⑥従業員維持確保,⑦現場監督方式につ いて,r
公式の経営方針に反映されているあるべき姿(タテマエ)J で,経営者 の将来志向性の程度を測定しようとするものである。われわれは5
点リッ カート・スケーノレで測定する(ただし,①と⑦は逆転スケール〉。-116- 香川大学経済論議 190 3) 経 営 成 果 経営成果は,先験的には,収益性・成長性・革新性の3次元をなす。それぞ れの次元の経営成果を測定するための次元,インディケータ,スケール,およ び質問票項目の対応関係は,前稿(山口,
1
9
8
8
年 , 表3)
で示してある。投下 資本収益率などの収益性目標,売上高成長率などの成長性目標,新製品比率な どの革新性目標のほか,人材の開発などの「人的成果」目標の達成についての 経営者の態度(満足度〉を,それぞれのインディケータとしている。2
.
.
サンプリング データ・ソースも前稿(山口,1
9
8
8
年〕と同じである。四国地方で機械工業 に従事し,かつ従業員3
0
人以上を擁する全事業所を対象とした郵送質問書調査 (19
8
6
年末実施〕によって得られた1
7
0
通の回答がデータ・ソースである。 3.. 次元の確定とインデックスの合成 以上のような概念の操作化とサンプリングによって,われわれは理論的仮説 検証のためのデータを収集することができた。しかし,仮説検証をおこなうに は,なお2つ の 任 務 が 残 っ て い る 。 第lは,先験的次元にもとづいて選択した インディケータがそれぞれの概念の次元を適切に測定しているか否かの検討で (3) 本稿のサブタイトルは,この事実に由来している。しかし,本稿は,四園地方の 機械工業の現状や後進性を述べることを目的としているのではない。あくまで,そ のとき得たデータを一般的な理論の検証に適用した実証研究の報告が目的である。 それにもかかわらず,サブタイトルに「四園地方の機械工業」を含めたのは,サン ブ。ルの特殊性(中小企業が多いなど〕に注意を喚起したかったからである。 郵送調査票名は「人材の育成・活用に関するアンケート調査」である。この調査 票は,昭和61年度四園地方の機械工業に関する調査委員会(委員長・細川 進)に よる共同設計であり,本稿で述べているような理論の検証を直接の目的にしたもの ではない。質問票の一部に理論検証にも適用できるような質問項目を含めさせても らった。このような配慮およびデータの学術研究目的利用の許可については,同委 員会に感謝の意を表したい。また,質問票の郵送・回収の労をとっていただいた四 国通商産業局開発企画課(当時〕にも感謝の意を表したい。調査票については文末 を参照のこと。191 戦略的人間資源管理の規定要因 -117-ある。その検討は因子分析によって可能である。これは,先験的に選択した次 元を経験的に確定することでもある。第2は,因子分析の結果を考慮して,情 報圧縮のため,インデックスないし類型を合成することである。ただし,われ われは因子分析の結果に盲目的に従ってインデックスや類型を合成することは しない。次元の確定は,理論的根拠をもっ先験的次元と経験的次元が一致する ことを原則的条件とする。その条件の範囲内でインデックスを合成する。 1) 因子分析による次元の確定 (1) 人事/人間資源管理
HRM
スタイルを測定するための7
つのインディケータについて因子分析を おこなった結果,先験的には単一次元宏想定したのに経験的には2
次元となっ た(各インディケータの因子負荷量については,山口,1
9
8
8
年,表7
を参照の こと〕。第2
因子に高い負荷量を示すインディケータは,採用方針および現場 監督方式の資源志向性である。われわれは,この2
つのインディケータを除い た5
つのインディケータを合成してインデックスとする。HRM
レベルを測定するため1
0
のインディケータについて因子分析をした結 果,因子の数は想定したとうり 4因子であったが,その内容は想定とかなり異 なっていた(各インディケータの因子負荷量については,山口,1
9
8
8
年,表8
を参照のこと)。第1
因子に高い負荷量を示しているインディケータは,先験 的な「人事管理J
次元と「人間関係論的人事管理」次元にまたがっているし, 第2因子は「人間資源管理」と「戦略的人間資源管理」にまたがっている。第 3因子と第 4因子は,ともに「戦略的人間資源管理」と想定したものが経験的 には別の次元になっている。これらの結果を考慮して,われわれは寄与;率の高 い2つの因子のみを取り上げ,第l因子を「人事管理レベルJ
,第2因子を「人 間資源管理レベル」と命名し,因子負荷量の高いインディケータのみでイン デックスを合成することにした。(
4
)
因子分析は,MELCOM SIGMA SPSS (R 7
.
.
0
5
)
のFACTOR
プログラムを用いて おこなった。-118- 香 川 大 学 経 済 論 叢 192 (引規定要因 4つの規定要因のうち,組織の成長と組織の規模については,それぞれ単一 次元を想定し,単一のインディケータしか用意してないので,それぞれのイン ディケータをインデックスにするしかない。 環境の多様性については,先験的には
2
次元を想定した。6
つのインデ、イ ケータにつき因子分析をおこなった結果は,表2
の と お り で あ る 。 想 定 ど お り,2
次元をなしていることが確認された。2
つのインデックスを合成するで あろう。 経営者の将来志向性については,7
つ の イ ン デ ィ ケ ー タ を 用 い て 測 定 し た が,先験的には単一次元を想定した。表3
にみられるように,因子分析の結果 表2 環境の多様性」インディケータの因子負荷量 ケ - !J. Q0401 Q0402 Q04039
但坐 Q0501 Q0502 注1)数値はバリマックス回転後の因子負荷量。 注2)*は因子負荷量の絶対値がo
6以上であることを示す。 注3)サンプノレサイズは, N=146。 表3 経営者の将来志向性」インディケータの 因子負荷量 イ ン デ ィ ケ ー 採用方針の将来志向性 報酬制度の将来志向性 教育訓練の将来志向性 業務割当の将来志向性 評価基準の将来志向性 従業員維持確保の将来志向性 欝 ヂ 方 的 将 来 志 向 性 注1)数値は因子負荷量。 F Q14Al Q14A2 Q14A3 Q14A4 Q14A5 Q14A6 Q14A7 斗亘王 5810*
..6821*
..6723*
6714*
7495*
6484 .4350 2..8774 41.153 注2) *は因子負荷量の絶対値が0.6以上であることを示す。 注3)サンフ。ノレサイズは, N=163。Z
亘主 - 0301 0662 1269 .0982 *8712*
.8392 14185 旦n
193 戦 略 的 人 間 資 源 管 理 の 規 定 要 因 -119ー も単一次元であることを示した。 ただし,第
1
インディケータと第7
インディ ケータの因子負荷量は低いので,残りの5
つのインディケータでインデックス を合成するであろう。 (3) 経営成果 経営成果については, 15のインディケータを用いて測定したが,先験的に は,収益性・成長性・革新性・人的成果の4
次元を想定した。因子分析の結果 は既に前稿(山口,1
9
8
8
年,表9)
で示している。第l
因子が収益性,第3
因 子が成長性の先験的次元と一致したので,該当するインディケータを用いてイ ンデックスを合成することにした。 革新性の先験的次元には,因子分析の結果を考慮して,修正を加えた。研究 開発能力の強化,マーケティング能力の強化,それに人材の開発に高い因子負 表4 規 定 要 因 に 関 す る 仮 説 検 証 の た め の 情 報 圧 縮 ( イ ン デ ッ ク ス の 合 成 〉 概 念 インデックス メ口当、 成 方 式 HRMスタイノレ (単一インデックス〉 (Q 14B2〕+/QN1H4B3+Q14B4+Q 14B5 HRMST +Q14B 6) /NHRMST HRMレベル 人事管理レベル (Q 1304+ Q 1307+ Q 1308) /NHRML1 HRML1 人間資源管理レベル (Q1303十Q1306)/NHRML2 HRML2 組織の成長 (単一インデックス〉 Ql1CX OGROW 組織の規模 (単一インデックス〕 会社従業員数の自然対数 OSIZE LN (CEMPL) 環境の多様性 環境異質性 (Q0401+ Q0402+ Q0403+ Q0404) /NEVARl EVARl 環境不安定性 ( Q 0501+ Q 0502) /NEV AR2 EVAR2経営者の将来志 (単一インデックス〕 (Q 14A2〕+/QN1M4AFO3R+I Q 14A4+Q 14A5 向性 MORIE +Q14A 6 経営成果 収益性 (Q0904+ Q0905+ Q0906+ Q0911)/NPERFI PERFl 成長性 (Q0901+ Q0902) /NPERF2 PERF2 資源の有効活用 (Q 0907+ Q 0908 + Q 0912) /NPERF3 PERF3 戦略的資源蓄積 (Q0909+ Q0910+ Q0914) /NPERF4 PERF4 注)HRMスタイノレ, HRMレベル,経営成果については,前稿(山口, 1988年〕を再掲。ただし,変 数名を一部変更した。インデッタス名の頭にNをつけた変数(たとえば, NHRMST)は,当該 インデックス合成項目への各回答者の回答項目数を示す。合成項目中に欠損値をもっサンプノレ もできるだけ生かすため,このようにした。
一120ー 香川大学経済論叢 194 荷 量 を も っ 第
2
因子を「戦略的資源蓄積J
,生産・物流の合理化,出荷品目の品 質 改 善 , そ れ に 従 業 員 モ ラ ー ル の 改 善 に 高 い 因 子 負 荷 量 を も っ 第4因 子 を 「 資 源 の 有 効 活 用 」 と 命 名 し て , イ ン デ ッ ク ス を 合 成 す る こ と に し た ;2
)
イ ン デ ッ ク ス の 合 成 以 上 , わ れ わ れ は , 人 事 / 人 間 資 源 管 理 の 規 定 要 因 に 関 す る 仮 説 を 検 証 す る た め に 必 要 な 概 念 に つ い て , 次 元 を 確 定 で き た 。 そ こ で , 情 報 圧 縮 の た め 表4 の よ う な イ ン デ ッ ク ス を 合 成 す る こ と が で き る 。 ま た , 表5
は , そ の よ う な 各 イ ン デ ッ ク ス に つ い て の 基 本 的 統 計 で あ る 平 均 値 , 標 準 偏 差 , 最 小 値 , 最 大 値 を示している。 4.. 仮 説 の 特 定 化 以 上 の イ ン デ ッ ク ス の 合 成 で 概 念 の 操 作 化 を 完 了 し た 。 そ れ ら の イ ン デ ッ ク スを用いれば,さきに述べた理論仮説を特定化することができる。 表5 各インデックスの平均値・標準偏差・最小値・最大値 概 念 インデ‘ックス 平 均 値 標準偏差 最 小 値 最 大 値 N HRMスタイノレ (単一インデックス〕 2 6218 6334 1 0000 4 5999 167 HRMST HRMレベル 人事管理レベル 3 7988 6467 2..0000 5.0000 169 HRML1 人間資源管理レベル 3 4791 8177 1 0000 5..0000 168 HRML2 組織の成長 (単一インデックス〉 30679 1 0581 LOOOO 5 0000 162 OGROW 組織の規模 (単一インデックス〕 49037 14254 27080 107995 165 OSIZE 環境の多様性 環境異質性 27577 L8286 1 0000 7..0000 151 EVARl 環境不安定性 35303 L5808 10000 7.0000 165 EVAR2 経営者の将来 (単一インデックス〕 3. 0722 5321 LOOOO 5.0000 164 志向性 MORIE 経営成果 収益性 24595 6084 1 0000 40000 165 PERFl 成長性 25361 7018 LOOOO 4.5000 166 PERF2 資源の有効活用 27309 5313 1 0000 4.0000 166 PERF3 戦略的資源蓄積 24367 5389 1 0000 46666 166 PERF4195 戦略的人間資源管理の規定要肘 , , “ qr a , , 第
1
の理論的仮説からは,人事/人間資源管理の2
概念・3
次元に応じて, つぎのような3つの特的仮説が形成できる。(Ll)HRM
スタイルに対して,組織の成長および組織の規模は,負の相関 (効果〉をもち,環境の異質性,環境不安定性,および経営者の将来志向性 は,正の相関(効果〕をもっ。 ( L21)人事管理レベルに対して,組織の成長および組織の規模は,正の相 関〔効果〉をもっ。 ( L22)人間資源管理レベルに対して,環境の異質性,環境不安定性,経営 者の将来志向性は,正の相関(効果)をもっ。 第2
の理論的仮説からは,上と同様にして,つぎのような3
つの特定仮説が 形成できる。(
2
.
.
1
)
HRM
スタイルに対して,組織の成長と組織の規模は,負の主効果と 負の交互作用効果をもたらし,環境異質性,環境不安定性,経営者の将来志向 性は,正の主効果と正の交互作用効果をもっ。(
2
.21)人事管理レベルに対して,組織の成長と組織の規模は,正の主効果 と正の交互作用効果をもたらす。 ( 2.22)人間資源管理レベルに対して,環境異質性,環境不安定性,経営者 の将来志向性は,正の主効果と正の交互作用効果をもたらす。 第3
の理論的仮説からは,経営成果の2
大基準(能率と有効性)に応じて, つぎのような2
つの特定仮説が形成できる。(
3
1)収益性および成長性とし、う経営成果に対して,HRM
スタイノレは負の 主効果を,人事管理レベル,組織の成長,および組織の規模はそれぞれ正の主 効果をもたらし,HRM
スタイルと組織の成長,組織の規模とは負の交互作用効 果を,人事管理レベルと組織の成長,組織の規模とは正の交互作用効果をもた らす。c
3
刷
2) 資源の有効活用および戦略的資源蓄積という経営成果に対して,HRM
スタイル,人間資源管理レベル,環境異質性,環境不安定性,経営者の将 来志向性は,それぞれ正の主効果をもたらし,HRM
スタイルと環境異質性,環-122- 香川大学経済論叢 196 境不安定性,経営者の将来志向性,また,人間資源管理レベノレと環境異質性, 環境不安定性,経営者の将来志向性とは,正の交互作用効果をもたらす。 以上の合計6つの特定仮説に含まれる変数を用いて,人事/人間資源管理の 規定要因に関するわれわれの実証研究のためのフレームワークを図示すれば, 図2のようになる。 図2 人事/人間資源管理の規定要因に関する本実証研究のフレームワーク 規定要因 人事/人間資源管理 経営成果 組織の成長 人事管理レベル 収主主性 OGROW HRML1 〉ー→ PERFl 組織の規模 人間資源管理レベル 成長性 OSIZE HRML2 PERF2 環境異質性 EVARl 資源の有効活用 環境不安定性 PERF3 〉ー→ 戦略的資源蓄積 EVAR2 HRMST PERF4 経営者の将来志向性 MORIE 注〉矢印の交差は交互作用を示す。ただし,人事/人間資源管理に対する規定要因相互の交互作用効 果は割愛Lている。
W
仮説の検証と探索 l データ分析の方法 人事/人間資源管理の規定要因に関する仮説の検証は,規定要因と人事/人間 資源管理との因果関係の確定である。因果関係の確定のためには,①独立変数 と従属変数の共変,②独立変数の従属変数に対する時間的先行,③第三変数の 統制の, 3つの条件が満たされなければならない(山口, 1987年 b)。われわれ は,規定要因の人事/人間資源管理に対する時間的先行を仮定して無理がない ことを確認した上で,規定要因と人事/人間資源管理との共変関係をみる。そ の手法として,相関分析および回帰分析の手法を用いることができる。第l
仮 説の検証は,この手法でおこなう。第2仮説および第3仮説の検証は,交互作 用項を回帰式の右辺に投入した重回帰分析によって,これをおこなうことがで197 戦略的人間資源管理の規定要因 -123-きる。このことは第三変数を統制することにもなる。 相関分析や回帰分析への変数の投入に際しては,つぎの
3
つのことを考慮し て,おこなった。まず第Iに,本実証研究の主目的は仮説の検証であるから, 特定仮説の文面どうりの変数関係の検証のため,当然ながら,そこに含まれる 変数がすべて投入されるようにした。しかしながら,特定仮説の根拠たる理論 が確たるものとは言えない現状にある。ということは,探索的実証研究の必要 性も残っていることである。そこで,われわれは,第2に,特定仮説に明示さ れない変数も含めた相関分析や回帰分析によって,仮説の探索・発見をおこな う。たとえば,人事管理レベルに対しては組織の成長および組織の規模が正の 相関(効果)をもっ,とし、う仮説を検証する際に,独立変数としては組織の成 長および組織の規模だけでなく,環境の多様性や経営者の将来志向性も投入す るのである。これによって,人事管理の規定要因は組織の成長や規模ではなく て,環境の多様性や経営者の将来志向性である,としみ仮説の探索・発見の余 地を残す。第3
に,組織の成長,組織の規模,環境の多様性,経営者の将来志 向 性 は , こ の 順 に , 人 事 / 人 間 資 源 管 理 の 発 展 段 階 を 規 定 す る , と い う Meshoulam (1984)の仮説が支持される可能性もできるだけ残す。たとえば, 連続尺度であるHRM
スタイルを人為的に4
階級に区分して階級と規定要因の 適合性を探ったり,順番どうりの2
元交互作用効果をそうでない2
元交互作用 効果と比較できるような回帰分析を試みたり,するつもりである。Z
仮説の検証と探索 1) 人事/人間資源管理と規定要因との相関仮説の検証と探索 第l
仮説は人事/人間資源管理と特定の規定要因とが相関をもっという仮説 である。表6は人事/人間資源管理の各インデックスとその規定要因と想定さ れている5
つのインデックスとの単純相関係数を示している。また,表7
は人 事/人間資源管理の規定要因についての回帰分析の結果である。(
5
)
相関分析および重回帰分析は,MELCOM SIGMA SPSS (R 7
0
5
)
のPEARSON
-124- 香川大学経済論叢 表6 規 定 要 因 と 人 事 / 人 間 資 源 管 理 と の 単 純 相 関 係 数 従属変数 HRMスタイノレ 人事管理レベル 人間資源管理レベ 独立変数 HRMST HRML1 レノ HRML2 組織の成長 0204 0408 0020 OGROW (160) (162) (164) 組織の規模 0646 0318 1804* OSIZE (162) (64) (63) 環境異質性 1318+ 1116+ 0706 EVAR1 (149) (150) (149) 環境不安定性 -0836 -0388 一0053 EVAR2 (163) (164) (163) 経営者の将来志向性 4976*** 1334* 1272+ MORIE (163) (163) (163) 注1)各区分の数値はピアソン積率相関係数,( )内はサンフ勺レ・サイズである。サ ンプノレ・サイズが一定でないのは,欠損値をもっサンプノレをベア・ワイズで除去し であるためである。 注 2)統計的有意牲は, +P<.lO, *P< 05,判P<01, ***Pく0010 表7 人 事 / 人 間 資 源 管 理 の 規 定 要 因 に 関 す る 回 帰 分 析 従属変数 HRMスタイノレ 人事管理レベル 人間資源管理レベ 独立変数 HRMST HRML1 ノレ HRML2 組織の成長 0111 0600 0129 OGROW (0 022) (0 503) (0 024) 組織の規模 0604 0210 1871 * OSIZE (0683) (0 062) (5 105) 環境異質性 0765 0928 -..0734 EVAR1
o
045) (1069) (0 749) 環境不安定性 -0870 -0353 自 0927 EVAR2 (1374) (0 173) (0.012) 経営者の将来志向性 4839*米* ー1218 ー1139 MORIE (43.342) (2.094) (1.872) R' .2622 .0311 .0534 注1)各区分の数値は標準化回帰係数 (s係数), R'は決定係数(寄与率〉である。 注2)各 区 分 の ( )内は偏F{直で,第2自由度(=標本数一独立変数の数一1)は 140である。統計的有意性は, +p< 10,本p<05,料p<01, *料pく001である。 198 表6
は,HRM
スタイルと,経営者の将来志向性および環境異質性との有意な 相闘を示している。このことは,経営者の将来志向性および環境異質性がHRM
スタイルに対して正の相関をもっとしづ特定仮説(L
1)の後半の一部を 支持していることになる。HRM
スタイルの極大化した状態は,戦略的人間資源 管理である。したがって,戦略的人間資源管理の規定要因は,環境の多様性 (とくに異質性〉および経営者の将来志向性であって,組織の成長や組織の規199 戦略的人間資源管理の規定要因 -125-模ではないと,言えそうである。 しかしながら,
HRM
スタイルに対して,組織の成長および組織の規模は負の 相闘をもっとし寸特定仮説 (L1)の前半は支持されなかった。したがって, 組織の成長や組織の規模が人事管理を強化させるとし、う理論仮説も支持されな い。このことは,人事管理レベルと規定要因との相関分析からも言える。特定 仮 説 (L21)によれば,人事管理レベルは組織の成長および組織の規模と正の 相関をもつはずであったが,表6では有意な相関が示されていない。逆に,環 境異質性および経営者の将来志向性と有意な負の相闘を示している。このこと は,特定仮説では明示してなかったのであるから,一種の新たな発見事実であ る。環境異質性および経営者の将来志向性は,戦略的人間資源管理のみlなら ず,人事管理の規定要因であることも示唆している。つまり,環境異質性や経 営者の将来志向性が低ければ,人事管理が促進される傾向にあることを示唆し ている。 特 定 仮 説 (L22)は,人間資源管理レベルに対して,環境異質性,環境不安 定性,および経営者の将来志向性が正の相関をもっという仮説である。しかし ながら,表6は,予見に反して経営者の将来志向性が負の相闘を示し,予見し なかった組織の規模が正の相関を示している。人間資源管理レベルの操作的定 義は,実際には人事管理に近い定義だったのだろうか。 表7
は,経営者の将来志向性がHRM
スタイルの規定要因であるという仮説 の支持を強化し,組織の規模が人間資源管理の規定要因で可あるという発見事実 を強化している。 図3
は,サンプル(回答企業〉をHRM
スタイルのスコアによって人為的に4
階級に分け,階級別の各規定要因スコアの平均値をプロットしたものである。 各規定要因は, Meshoulam (1984)の仮説にあるような順で,人事/人間資源管 理の各発展段階(HRM
スタイル・スコアの階級〉を規定しているか否かを見ょ うとしている。もし,かれの仮説が正しければ,各段階を規定すると想定され ている要因の平均スコアは,その前階級からその階級にいたるとき急激な伸び を示し,その後の階級での伸びは緩やかになるはずである。200 香川大学経済論叢 -126-HRMスタイルの階級と規定要因スコアの平均値 図3 組 織 の 規 模i 川
-ーー一一一一一一一一ー
--ーー『 ー環境不安定性ー / .こ_.,/ / 、 、ー
ρ 戸ーー ~、.~- てー-F ---ーーー----、、~.::..旬、,ー
一
一
一ー
一
一
ー
一
一
一
-~ 環境異質性 / 来 / 州 、 / 者性 営向 経志 、 丸 、 4 0 組 織 の 成 長 一 一 一 土 プ ヲ プ チ 規定要因スコア平均値 3 0 2豆Xく3 3二五Xく4 HRMスタイノレ (HRMST)の 階 級 注〉規定要因スコアの平均値は,スクーノレがそれぞれ異なるので,その大きさの比較は意味がない。 HRM スタイルの階級に応じた変化の様子にのみ意味がある。なお,組織の規模の平均値は,計測値から1を減 じて,図示してある。 4~X~5 1 ~玉 X く 2 図3は,一部で、Meshoulam(1984)の仮説を支持するところもあるが,そう でないところもあることをど示している。経営者の将来志向性や環境異質性につ いては,支持しているようである。環境不安定性については,仮説に反してい る。組織の規模に関しては,第2
階級にいたるとき最大の伸びを示すのである から,仮説を支持しているようであるが,その後の急激な減少傾向が不可解な こともあって,理論的根拠を見いだせないわれわれには,偶然としか思えない。 組織の成長については,仮説検証に充分な証拠は得られなかった。以上の分析 結果は,規定のIJ国,とくに環境異質性と経営者の将来志向性の規定の順に関し ては,なお再考してみる価値があることを示唆した。だが,ここでは,これら2
つの要因がHRM
スタイル(とくに,その後期段階,すなわち戦略的人間資源 管理〉の規定要因であるという仮説の支持を強化するものとして再確認し,そ れ以上の結論はみちびかないことにしよう。 2) 規定要因相互の交互作用仮説の検証と探索 第2
仮説は人事/人間資源管理に対する規定要因相互の交互作用効果に関す る仮説である。特定仮説 (2 1),特定仮説(2.
.
2
1
)
,および特定仮説(2.
.
2
2)201 戦略的人間資源管理の規定要因 -127-を検証するため,加えて新たな仮説を探索するため,われわれは3つの操作的 に定義された人事/人間資源管理を推定する重回帰式の独立変数に, 5つの操 作的に定義された規定要因に加えて,それら規定要因の組合せで10の2元交互 作用項をつくり,計15独立変数を投入した。つまり, 15の独立変数からなる回 帰式をそれぞれの人事/人間資源管理にMついて3つ想定した。回帰分析は最小 偏
F
値を2
としたステップワイズの変数追加法でおこなった。 結果は以F
のとおりである。係数は偏回帰係数であり,標準化回帰係数 (s 係数〉ではない。また,各係数の下に付した( )内は偏F
値を示す。なお, 回帰式の推定にあたっては,多重共線性による推定{直の精度の低下を防く!た め,独立変数の規定要因に関する 5項目は,平均値からの偏差に変換してある。 したがって,あとの10の交互作用項はすべて変換後の積になっている。 HRMスタイル HRMST=2..6122+0..5884MORIE+0..0232EVARl*EVAR2 R2=0..2617 人事管理レベル (45 3356) (2 6260) HRMLl
=3.. 7988-0..0621MORIE (2..500) R2=0..0178 人間資源管理レベル HRML2=3..4791 +0. 10240SIZE-0.. 1914MORIE ( 4. 5894) (2 2344) R2=0..0480 以上の分析結果は,各人事/人間資源管理に対する経営者の将来志向性 (MORIE)の正・負の主効果や人間資源管理レベルに対する組織の規模 (OSIZE)の正の主効果を示し,前述の仮説支持や発見事実を再確認さしてく れる。肝心の交互作用効果については,環境異質性と環境不安定性のHRMスタ イルに対する正の交互作用 (EVARl *EV AR2)効果が有意なだけである。こ-128- 香川大学経済論叢 202 れは,環境不安定性が大なるとき,環境異質性のHRMスタイルに対する効果 は,より大になることを意味し,特定仮説 (2..1)の一部を支持している。環 境異質性が高く,かつ環境不安定性が高いとき,つまり環境の多様性が最大に なるとき,戦略的人間資源管理は促進されるのである。このことは,しかし, 経営者の将来志向性の主効果を含めて,第l仮説の検証を補強したにすぎない。 つまり,戦略的人間資源管理の規定要因は経営者の将来志向性と環境の多様性 であることがより明確になった。特定仮説 C221)および特定仮説 C2..22)を 直接的に支持する証拠は皆無であった。 3) 人事/人間資源管理と規定要因の交互作用仮説の検証と探索 第
3
仮説は経営成果に対する人事/人間資源管理と規定要因の交互作用効果 に関する仮説である。特定仮説(3 1 )および特定仮説 (3..2)の検証のた め,加えて新たな仮説を探索するため,われわれは 4つの操作的に定義された 経営成果を推定する重回帰式に, 3つの人事/人間資源管理および 5つの規定 要因に加えて,両者の組合せで15の2元交互作用項をつくり,計23の独立変数 を投入した。つまり, 23の独立変数からなる回帰式をそれぞれの経営成果につ いて4つ想定した。回帰分析は最小偏F値を2としたステップワイスhの変数追 加法でおこなった。結果は以下のとおりである。係数は偏回帰係数であり,標 準化回帰係数(戸係数〉ではない。また,各係数の下に付した( )内は偏F 値を示す。なお,回帰式の推定にあたっては,多重共線性による推定値の精度 の低下を防ぐため,独立変数の人事/人間資源管理に関する 3項目および規定 要因に関する 5項目は,平均値からの偏差に変換してある。したがって, 15の 寸 交互作用項はすべて変換後の積になっている。 収益性PERF1=2.. 4701 +0.. 237
1
H
RML2*MORIE-0. 0699HRML2*EVARl (57585) (4..3741)-0.. 1567HRML1 * OGROW + 0.. 0760HRML2 * EV AR2 (3 7744) (2. 6450)
203 戦略的人間資源管理の規定要因
-129-成長性
PERF2 = 2.. 4920 -0.. 1545HRMST * OSIZE + 0れ0682HRMST*EVARl (4.6262) (2" 0849)
+0.. 11120GROW -0.. 1636HRML1 *OGROW +0.. 18
1
O
HRMST*MORIE (4 1554) (3 1536) (2 2727)R2=0 1091
資源の有効活用
PERF3=2.. 7373+0. 0542EVARl +0 102
1
H
RML2+0..1038HRMST*OGROW (5引2458) (36820) (2.9279)+0.. 0619HRML1 *EVARl (2 4493)
R2=0..0939
戦略的資源蓄積
PERF4=2..4367十0..0482EV AR 1 + 0.. 04930SIZE
(3 9220) (2.4970) R2=0..0488 分析結果は,以下のことを示している。先に設定した特定仮説(
3
.
1
)およ び特定仮説 (3.2)を直接的に支持する証拠は少ないが,今後の研究のために 仮説を探索する眼でみれば,示唆を与える事実はいくつか発見できる。 収益性という経営成果 (PERFl)に対する人事/人間資源管理と規定要因と の交互作用効果に関する仮説(特定仮説(3 1
)の一部〉を支持する直接的証 拠は得られなかった。人事管理レベルと組織の成長 (HRML1*OGROW)は負 の交互作用効果を示し,仮説に反している。つまり,人事管理の収益性におよ ぼす影響は,成長度が低い企業ほど,大きいことを,分析結果は示している。 他に,人間資源管理 (HRML2)と3つの規定要因との交互作用が示されている(0“2731MORIE-0.. 0699EVARl +0. 0760EVAR2)。環境異質性とは負の交互
作用効果を示している。これは間接的に仮説を支持するものである。環境異質 性が高いとき,人間資源管理は資源の有効活用や戦略的資源蓄積に対し正の交 互作用効果をもたらすと想定したが,収益性に対しては逆効果をもたらすこと
-130ー 香川大学経済論議 204 を示している。そのことと一見,矛盾するようであるが,経営者の将来志向性 および環境不安定性とは正の交互作用効果を示している。「適合は成果をもた らす」とし、う仮説の支持ではあるが,その場合の成果とは資源の有効活用や戦 略的資源蓄積であるという,われわれの仮説に反して,収益性とし、う成果をも たらすことを示唆している。環境異質性と環境不安定性は同じく環境の多様性 を示すインデックスでありながら,収益性という経営成果に対しては異なる影 響をおよぽすのかもしれない。 成長性ー一一売上高成長率および市場占有率の合成ーーーという経営成果 CPERF2)に対しては,組織の規模(OSIZE)一一一従業員数一ーの正の主効果と, HRMスタイルと組織の規模との負の交互作用 (HRMST*OSIZE)効果が,特 定 仮 説 (
3
1)の一部を支持している。従業員が増えれば売上高も伸びる,と いう,あたりまえのことを示しているにすぎないが,それだけかえってデータ の信愚牲も示しているといえよう。しかし,人事管理レベルと組織規模の負の 交互作用 (HRML1
*OGROW)効果は,仮説に反している。他に, HRMスタイ ル (HRMST)は2つ の 規 定 要 因 と 正 の 交 互 作 用 を 示 し て い る (0,,0682 EVARl +0.. 1810MORIE)。環境異質性および経営者の将来志向性との正の交 互作用という「適合」は,成長性という「成果」をもたらすことを,分析結果 は示している。 資源の有効活用という経営成果 (PERF3)に対する環境異質性 (EVARl)お よび人間資源管理レベル (HRML2)の正の主効果は,特定仮説(32)の一部 を支持するものである。 HRMスタイルと組織の成長との正の交互作用効果は 間接的に仮説を支持するものである。当該仮説には明示されていないが,この 交互作用効果は収益性か成長性であれば負であったはずだが,資源展開である ので正になったと考えられるからである。人事管理レベルと環境異質性の正の 交互作用 (HRML1
*EV ARl)効果は,現在のところ,われわれの理論的考察 の範閣を超えた発見事実である。戦略的資源蓄積という経営成果 (PERF4)に対する環境異質性(EVARl)の 正の主効果は,特定仮説 (3引2) の一部を支持するものである。しかし,有意
205 戦略的人間資源管理の規定要凶 -131-な交互作用効果はいっさい示されていない。環境異質性は,戦略的資源蓄積に 対しては,あらゆる人事/人間資源管理よりも大きな影響力をもつことを示唆 している。組織の規模 (QSIZE)の正の主効果は,現在のところ,われわれの 理論的考察の範囲を超えた発見事実である。 V 結論とインプリケーション L 結論 われわれは,前節において,大別して
3
つの仮説の検証と探索を試みた。第1
は人事/人間資源管理と規定要因の相関仮説であり,第山2
は規定要因相互の 人事/人間資源管理に対する交互作用効果仮説lで『あり,第3
は人事/人間資源管 理と規定要因の経営成果に対する交互作用効果仮説である。検証の結果からつ ぎのような結論を導くことができょう。 (1)HRM
スタイルと経営者の将来志向性ならびに環境異質性は正の相関を 示した。このことから,経営者の将来志向性のみならず,環境異質性も,戦略 的人間資源管理念規定する,と結論できる。ただし,当初の仮説と少し追っ て,これら2つの要因は,人事管理を規定しないとはかぎらない。人事管理レ ベルと2
つの要因とは負の相闘を示したからである。したがって,経営者の将 来志向性と環境異質性は,それらが大になるにつれ,人事管理活動は少なく なってゆくという意味で,その規定要因である可能性がある。人間資源管理レ ベルの規定要因は,われわれの仮説とは違ったが,組織規模であることが示唆 された。 (2) 人事/人間資源管理に対する規定要因相互の交互作用仮説の検証過程、で,HRM
スタイノレに対する環境異質性と環境不安定性の交互作用効果が確認され た。このことから,戦略的人間資源管理に対する環境異質性の効果は,環境不 安定性が大になるにしたがって,なお一層大きくなる,と結論できる。(
3
)
経営成果に対する人事/人間資源管理と規定要因の交互作用仮説は,ほ とんど検証されなかった。ただ,その過程で,資源の有効活用および戦略的資 源蓄積に対する環境異質性の正の主効果が明示された。このことから,われわ-132- 香川大学経済論叢 206 れは,環境異質性は,人事/人間資源管理のいかんにかかわらず,それ自体で, 資源の有効活用および戦略的資源蓄積の促進要因である,と結論できる。
2
併 理論的インプリケーション 前節の仮説検証の結果は,今後のわれわれの研究に対して,つぎのような理 論的インプリケーションを与える。 (1) 戦略的人間資源管理の規定要因は経営者の将来志向性ならびに環境の多 様性である,としみ当初の仮説はほぼ検証できた。しかし,規定要因は人事/人 間資源管理の発展段階ないし類型によって異なる,という理論命題は,今回の 実証研究では一部しか検証できなかった。他方で,人事/人間資源管理の規定 要因は,一般的に,組織の成長や組織の規模というよりも環境の多様性および 経営者の将来志向性である,という新たな仮説が妥当するかもしれないことも 示唆された。(
2
)
人事/人間資源管理に対する環境異質性と環境不安定性の交互作用効果 仮説はほぼ検証された。しかし,組織の成長,組織の規模,環境の多様性,経 営者の将来志向性が,この順に交互作用しながら,人事管理から戦略的人間資 源管理への発展を規定してゆく,というMeshoulam (1984)の仮説は,今回の 実証研究では確定できなかった。しかしながら,ここで直ちにMeshoulam (1984)の仮説を棄却するつもりはない。検証方法,とくに調査票の設計とサ ンプリングに再考を加える余地を残したと思っている。(
3
)
経営成果に対する人事/人間資源管理と規定要因の交互作用効果というl
外的適合J
の仮説は,ほとんど検証されなかった。しかし,資源の有効活用 や戦略的資源蓄積に対する環境異質性の正の主効果が発見された。これは,山 口(1988年〉における戦略的資源蓄積に対する組織間関係の正の主効果と同様 のインプリケーションをわれわれに与える。つまり,環境異質性や組織間関係 は,資源活用や資源蓄積に対しては,人事/人間資源管理よりも強力な影響要 因であることを示唆している。207 戦略的人間資源管理の規定要因 -133-3引 実践的インプリケーション 今回の実証研究の結論は,われわれに,つぎのような実践的インプリケ-1ンョンを与える。 (1) 今回の実証研究で,われわれは,戦略的人間資源管理の規定要因は環境 異質性ならびに経営者の将来志向性である,とし、う結論を得ることができた。 この結論は,戦略的人間資源管理の構築のためには,環境異質性や経営者の将 来志向性を高める必要のあることを示唆している。これらの規定要因は,