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グローバル企業の会計情報システムに関する覚書-香川大学学術情報リポジトリ

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一J− グローバル企業の会計情報システム

に関する覚書

井 上 信 一 Ⅰ はじめに ⅠⅠ グローバル化の若干の指標 ⅠⅠⅠグローバル・ネットワーク化の実態 ⅠⅤ 意志決定権限の相互性 Ⅴ 会計情報システムの整備と国際移転 ⅤⅠ結びにかえて 付録 調査票 Ⅰ は じ め に

本稿は,「グローバル企業の管理会計」というグローバル化したわが国製造企

業への郵送調査に基づいて書いた2つの論文1)の補遺的な役割をするものであ

る。すなわち,上述の2つの論文で紹介出来なかった企業のグローバル・ネッ

トワーク化と会計情報システムの調査項目を中心に,一部断片的になるかも知

れないが,これまでの小生の面接調査や郵送調査の経験をも加味して,グロ、−

パルな観点から管理会計・原価管理の研究をする際に留意する必要があると思

われる事項について,落ち葉拾い的に整理・紹介することを目的にしている。

1)井上(1992)及び同(1993)を参照のこと。

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ー2− 香川大学経済学部 研究年報 32 J992 ⅠⅠ グローバル化の若干の指標 本節では,調査したグローバル企業の実態を示すいくつかの指標を中心に紹 介し,わが国企業のグローバル化の−囁を,これまでに紹介した指標をも考慮 しながら,垣間みることである。すなわち,まずグローバル化した日本企業(親 企業)の戦略的目標を,海外子会社の戦略的目標(在米日系企業と在英日系企 業の場合)と比較し,その相違を見てみる。また,わが国のグローバル企業に おける海外子会社の実態(利益責任単位(profit center)になっている海外子 会社数,原価責任単位(costcenter)になっている海外子会社数,製品・部品 を輸入(逆輸出)している海外子会社数を検討する。同時に,海外子会社への 製品・部品を販売する際の販売基準(FOB基準あるいはCIF基準のうち,いず れの基準を採用しているか),また海外子会社の製品の開発,設計費用(研究開 発費)として,海外子会社から日本の親企業がロイヤリティ(royality)を受け とっているかどうかをも紹介する。 2−1企業の戦略的目標 企業の戦略的目標は,日本企業と欧米企業では対照的であり,欧米では投資 利益率など短期的利益を重視するのに対して,日本企業はマーケット・シェア のような長期的目標を重視することが,これまでに実証されている三) ここでは,日本企業と海外進出した日本企業の海外子会社の戦略上の目標に 差異があるかどうかを,表−1により検討する。 それによると,日本企業では,市場占有率が第1位(1.48点),投下資本利益

率(returnoninvestment:ROI)と売上高利益率(returnonsales=ROS)

は共に2位(1“42)と,以上の3項目が上位3位を占めている。やはり日本企 業では,マーケット・シェアを伸ばすことと利益を確保するというのが最大の 2)加護野忠男他(1984)24ページを参照のこと。それによると,米国企業では重視されて いる戦略的指標の重要度は,つぎのとおりである。投資収益率(斤OJ)が1位(243),株 価の上昇(キャピタル・ゲイン)2位(114),市場占有率3位(0“73),製品好一トフォ リオの改善4位(050),生産・流通システムの合理化5位(046)である。

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グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 −3− 表−1企業(日本の親企業,海外子会社)の戦略目標 日本企業 在米企業 在英企業 1)市場占有率 1小48(1) 1.20(1) 1り31(1) 2)投下資本利益率(ROI) 1,42(2) 95(4) 54(4) 3)売上高利益率(ROS) 142(2) 114(2) 1‖00(2) 4)新製品比率 09(8) 45(6) 33(6) 5)株主のキャピタル・ゲイン 08(9) 09(9) 02(9) 6)生産・流通システムの合理化 63(4) 99(3) 1..00(2) 7)自己資本利益率 15(7) 13(8) 19(8) 8)作業条件の改善 07(10) 47(5) 33(6) 9)会社の社会的イメージ 29(5) 40(7) 36(5) 10)そ の他 25(6) *)n=199(JPCs:日本企業),n=86(JUSs:在米日系企業),n=36(JUKs: 在英日系企業)。「−」印は,調査項目に「その他」がない。 なお,上記表中の得点は,1位→3点,2位→2点,3位→1点とし,合計点を だし,それを回答企業数で割ったものである。 出所:在米日系企業,在英日系企業の数字は,同様の調査項目を海外子会社の経 営者に筆者が郵送調査したデータ(1noue(1992))による。 眼目であり,本社サイドではその思いが現地日系企業よりも相対的に高くなっ ている。 他方,海外子会社の戦略上の目標は,在米日系企業の場合は,第1位市場占 有率(1..20),第2位売上高利益率(1.14),第3位生産・流通システムの合 理化(0‖99),そして第4位投下資本利益率(0.95)という順位になっている。 また,在英日系企業においても,第1位市場占有率(1.31),第2位売上高 利益率(1い00),第2位生産・流通システムの合理化(1.00)と第4位投下資 本利益率(0‖54)と,得点は若干異なりそのウエイトにも差異がみられるが, その順位は在米日系企業の場合と同様の順位になっている。 在米日系企業及び在英日系企業いずれの場合にも,生産・流通システムの合 理化は約1。.00点と,日本の親企業の0.63点に比べると順位も得点のいずれも 高くなっており,日本の親企業に比べて流通ネットワークの整備がいまだ不十

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,.ト 香川大学経済学部 研究年報 32 J992 分であり,現在その整備にかなりの精力を注いでいることがわかる。そのこと は,とりわけ近年欧米諸国での現地生産・現地販売が貿易摩擦などを解消する 必要性から生じてきた結果,これまで以上に現地生産をベースにした自社の販 売・流通ネットワークを築くことが緊急かつ必須の課題になっていることを示 している。このことは,1989年および1992年の在英日系企業への面接調査やこ れまでの郵送調査でもいわれていることであり,日本の親企業への郵送調査の 結果と比べると,現地サイドでは生産・流通システムの合理化は,より切実な 課題になっていることが確認されている。 その他,日本企業と比較して,海外の子会社(在米日系企業と在英日系企業) では,新製品比率,作業条件の改善という項目が比較的重視されているのが目 立っている。ただ株主のキャピタル・ゲインは,いずれの場合(日本企業,在 米日系企業,在英日系企業)にも,ほとんど戦略的に重要な目標になっていな いことは米国企業の場合とは対照的である喜) 2−2 海外子会社の実態 次に日本の親企業と海外子会社の関係を,製品あるいは部品の海外子会社か らの輸入(いわゆる逆輸出)の場合,海外子会社の独立性(利益責任単位にな っているかそれとも原価責任単位であるか)によってみてみよう。また,海外 子会社への研究開発,設計活動などのローカル化を示す(あるいはその道を結 果するかもしれない)指標であるロイヤリティ(r■Oyality)の支払状況,及び海 外子会社の棚卸資産の在高(在庫,特に原材料在庫に関係する),日本の親会社 と海外子会社間での販売基準(時点)を示す本船渡値段(freeonboar−d:FOB)

と運賃・保険料込値段(cost,insuranceandfreight:CIF)のいずれの基準で

取引されているかを検討する。 1)製品・部品を日本本社に輸出している海外生産子会社 この場合,グローバル化した日本の親企業が,海外の生産子会社から製品を 輸入している場合と部品を輸入している場合の両方が考えられるが,ここでは 3)Bromwich&lnoue(1993)を参照のこと。

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グローバル企業の会計情報システムに関する覚普 −β一 両者を合わせて海外製道子会社の内,どのくらい海外子会社から日本の親企業 が製品あるいは部品を輸入しているかを検討する。そのことは,海外子会社の 役割として,もともと製品あるいは部品の市場として日本を考え生産子会社を 海外に作った場合(原材料,あるいは部品の供給基地として,例えばアジア諸 国)と,海外子会社が独自にそれぞれの地域に市場を持っているケース(例え ばアメリカやヨーロッパ諸国)が考えられるが,同時に海外の製造子会社のロ ーカル化を示す一つの指標でもあろう。 表−2によると,回答企業は全体で145社あり,全般的な傾向としてはアジア から280社と,アジア諸国に進出している海外子会社からの製品・部品の輸入 が圧倒的に多くなっている。これは,進出企業数,進出目的,地理的な近接性, あるいはこれまでの歴史的な関係などからして当然の帰結であろう。ただ,北 米あるいは欧州へは貿易摩擦の解消や現地市場の確保が進出動機の中心である と思われるが,研究開発(R&D)のローカル化や貿易摩擦解消などの問題も影 響してか,すでに北米では93社の海外子会社が日本の親企業へ製品・部品を輸 出し,欧州ではそれが43社になっている含) 表−2 製品・部品を輸入している海外生産子会社 北 米 欧 州 アジア その他 企 業 数 研究開発型 56 28 146 7 (N= 75) 製造販売塾 37 15 134 10 (N= 70) 合 計 93 43 280 17 (N=145) *)表の中の数字は,海外子会社の数である。 2)利益責任単位としての海外子会社 海外子会社は,日本の親企業とは別法人(会社)であり,海外のそれぞれの 4)ここで,「研究開発型」企業とは,「海外子会社に製品企画,研究開発,設計部門(ある いは別会社として)のいずれか一つ以上を持っている企業」のことを指し,上記のいずれ の部門(会社)も海外子会社にない場合を「製造販売型」企業,と定義した。詳細は,井 上(1992),同(1993)をも参照のこと。

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−6− 香川大学経済学部 研究年報 32 J.992 国の法律に基づいて設立されているので,当然独立した1企業として利益責任 単位であると思われる。そのことは,別稿でも検討したように,海外子会社の 業績評価の指標が主に利益と売上高に関係する指標が重視されていたことから も理解できる。また,海外子会社の戦略的目標として利益や売上高に関する指 標が重視されていたことからもわかる三)ただ,現実には日本のグローバル化し た親企業の戦略的必要性の・一・環として,製造責任,金融責任など,ある特定の 目的で設立され未だ完全に独立(ローカル化)した利益責任単位になっていな い海外子会社も多くみられる。利益責任単位としての海外子会社数は,表−3に 示すとおりである。 表−3 利益責任単位としての海外子会社数 北 米 欧 州 アジア その他 企 業 数 研究開発型 335 435 440 162 (N= 76) 製造販売塾 197 121 217 33 (N= 65) 合 計 532 556 657 195 (N=141) 3)原価責任単位としての海外子会社 海外子会社は,形式的には日本の親企業とは別法人であり,海外子会社の立 場からは,実質的にもそうあるのが望ましいかもしれない。しかし,日本の親 企業のグローバル戦略の観点から,海外に子会社を早急に設立することが必要 なケースもある。例えば,アメリカとの貿易摩擦の解消やEC統合を控え,これ までの製品輸出型の海外進出から,現地生産=現地販売塾の進出が求められる と,現地の販売会社はこれまで日本の工場で生産されたものを輸入・販売して いたものを,現地に製造会社を設立することが社会的にも要求される。その場 合は,とりあえずは,新しく設立された現地の製造子会社は,製造費任は求め られるが,販売責任はこれまでにすでに進出している同資本系列の販売会社が 5)井上(1992)及び表−1などを参照のこと。

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グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 −7一 引き受け,新しく設立された製造会社は製造費任の遂行(生産)に専念する場 合がよく見られる。この場合には,海外製造子会社は原価費任単位ではあるが, 利益責任単位にはなっていないと理解出来る。そのような海外子会社がどの程 度あるか,結果は表≠4に示すとおりである。 表−4 原価責任単位としての海外子会社数 北 米 欧 州 アジア その他 企 業 数 研究開発型 134 117 133 36 (N=56) 製造販売型 74 74 130 20 (N=42) 合 計 208 191 263 56 (N=98) 4)研究開発費(ロイヤリティ) 海外子会社のローカル化のためには,製造活動だけでなく研究開発の国際移 転(ローカル化)が必須の課題になって来ている。しかし現時点では,グロー バル化した日本企業が,海外子会社で研究開発を行っている企業は,最近増加 してきているといえども,いまだ自動車や電気機械などの多国籍化に積極的な 大企業でそれがある程度まで達成されているに過ぎない。例えば,デザイン・ センターなどを設け,ローカルなこ−ズを適切にタイムリーに反映するための 製品企画やそのための設計を行う詳細設計をローカルに行っている場合,ある いは最も進んだケ・−スとしては,国際的な研究開発体制の中でそれぞれの地域 の特性を生かしたR&Dの役割をある程度分担しているケースもみられる。そ の場合でも,日本本社のR&Dに比べると,勿論製造している製品数などの規 模が大きく異なるため,研究開発の人員(設計者などの技術者数)は,1桁以 上少ないオーダの人数である(例えば小生の面接調査では,R&Dの技術者は 多い場合で数十人から数百人の規模である。全体の従業員に対するR&D要員 比率は,多い場合で8∼10%である。)しかし,大部分の在外日系企業は,日本 の親企業で設計された製品を海外子会社で製造(生産)している段階にある。 従って,海外生産子会社は,製品の研究開発・設計の経費として日本の親企業

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ーバー 香川大学経済学部 研究年報 32 エ992 にロイヤリティ(royality)としてその経費を支払う必要がある。現実にそれを 支払っているかどうかの結果は表一5に示すとおりである。 表−5 研究開発真の受取の有無 受取有り 受取無し そ の他 企業数

研 究 開 発 型 769%

17.6% 5.5% N= 91

製 造 販 売 型 629

30..9 62 N= 97 計 697 24.5 5‖8 N=188 *)「受取有り」というのは,海外子会社から日本の親企業がロイヤリティの支払を受 けており,「受取無し」というのはそれを受けていない場合をいう。「その他」はケー ス・バイ・ケースなどである。 海外子会社からロイヤリティの支払を受けている企業は,全体の70%近くに なっている。詳細には,研究開発型で76い9%と平均値を上回っており,逆に製 造販売型では62.9%と,14%もロイヤリティを支払っている企業の比率が少 なくなっている。この数字を如何に解釈するかであるが,小生の面接調査など から判断すると,ローカル化が進んだ研究開発型の企業と言えども,海外子会 社は研究開発及び基本設計のかなりの部分は日本の親企業に依存しており,当 然研究開発費の支払もしているようである。他方,製造販売型の企業も,こと の性格から研究開発費の支払が必要であるが,経営成績あるいは海外子会社の 内部留保を高めるなどの理由から,現在のところそれが免除されているケース もみられるので,いまだ−儀的な解釈は出来ない邑) 6)研究開発のローカル化が進めば,換言すれば研究開発・設計活動をすべて現地子会社で 行うようになれば,ロイヤリティ(royality)の支払はしなくてよくなるか,あるいはロイ ヤリティの支払いが親会社と子会社の間で双力向的になってくるであろう。しかし,現実 には海外子会社の経営成績がいまだ長くないため,ロイヤリティの支払が免除されている という指摘も小生の面接調査でみられた。また,ロイヤリティそのものには,親企業が海 外子会社からの利益の回収という側面もあり,配当金,製品・部品などの国際移転価格な どと共に微妙な問題を内包している。

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グローバル企業の会計隙報システムに関する覚書 −9− 5)海外子会社への販売基準 日本の親企業から海外子会社への原材料及び製品の販売基準には,本船渡値

段基準(freeonboard:FOB基準)と運賃保険料込値段基準(cost,insurance

andfreight:CIF基準)の二つが考えられる。これは,在外日系企業の在庫あ るいは棚卸資産の在高を日本の親会社や外国企業のそれと比較する場合,どち らの基準を採用しているかで大きな影響が出てくる。その理由は,例えば在英 日系企業が日本から製品あるいは原材料を輸入(購入)している場合,日本か ら英国への輸送期間は通常船舶で約1ケ月を要する。従って,在英日系企業は 輸送中の製品の1ケ月間のリードタイムを考慮に入れて,日本の親企業に製品 あるいは原材料を発注する(販売計画あるいは製造計画を立てる)必要がある。 その場合,FOB基準では,在英日系企業は船舶での輸送中の在庫を余計に保持 しなくてはならない。それに対して,CIF基準では船中の在庫が無い分だけ, 在庫が少なくなると思われる。そこで,CIF基準を採用しているかあるいは FOB基準であるかは,日本企業や外国企業と在外日系企業の在庫を比較する場 合,採用している基準は現時点では大きな意味を持っている。勿論,在外日系 企業の在庫は,日本の親企業からの調達比率(いわゆるロ・−カルコンテンツの 問題の裏返しである)の如何も大きく影響していることは言うまでもない。(な お,販売価格の決定はFOB基準あるいはCIF基準であるが,在庫の計算は税関 通過ベースで行うという企業もあった。) 海外子会社への販売基準の実態は,表−6のとおりである。全体では,FOB基 表−6 海外子会社への販売基準

FOB基準 CIF基準 そ の他 企業数

研 究 開 発 型 57.1% 51小7% 132% N= 91

製 造 販 売 型 620

41.3 8て N= 92 計 596 46小5 109 N=183 *)地域により採用している基準が異なる場合があり,複数回答のケースもあるので, FOB+CIF+その他の合計が,100%にならない。100%を越える部分は複数回答のた めである。

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香川大学経済学部 研究年報 32 J992 −J() 準を採用している企業が59‥5%,CIF基準を採用しているものは46..5%,そ して「その他」が10..9%である。その他には,前述の「販売価格はFOB基準 あるいはCIF基準であるが,在庫の計算は税関通過ベースで行うという企業」 などが含まれる。なお,幾つかの企業では,地域によりFOB基準とCIF基準の 二つの基準を使い分けている企業もあり,全体が100%になっていない。 ⅠⅠⅠグローバル・ネットワーク化の実態 多国籍化した日本企業にとって,それに対応するグローバルな情報ネットワ ークの整備は,経営戦略のグローバル展開のためには重要かつ必須の課題であ ることは言うまでもない。ここでは,国際的な情報ネットワ、−ク・システムの 整備と日本本社のデータベースシステムへの海外子会社からの利用可能性に限 って検討する。 3−1国際ネットワーク・システム 日本企業のグローバル展開にとって,グローバル・ネットワークシステムの 果たす役割の重要性は,ますます増大して来ている。日本企業のグローバル・ ネットワーク化の実態を表−7により考察しよう。 表一丁 グローバルネットワーク・システム 本社+販売会社間 本社+製造会社間 海外子会社間 企業数 研 究 開 発 型 202 184 149 N= 89 製 造 販 売 型 1.49 1.41 1.27 N= 96 計 1小75 1.62 1..38 N=185 *)表中の得点は,「1→ほとんど整備されていない,3→ある程度整備されている, 5→全面的に整備されている」として回答していただき,得点合計をだし,それを回 答企業数で割って平均点をだした。 全体的には,グロ1−パル・ネットワーク化はいまだ整備が始まったばかりで あり,ある程度整備されている企業もー部みられるが,いまだこれからグロー

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グロ・−パル企業の会計情報システムに関する覚書 −ヱユー パルなネットワーク・システムを整備して行こうという段階にあるのが,現時 点でのグローバル化された日本企業の実態のようである。 ただそれでも,詳細に検討すると,日本本社と海外販売会社間のネットワー ク・システムは,販売会社の設立が最も古いというこれまでの実績の積み重ね もあり,1い75点と相対的には最も整備が進んでいるといえる。次に本社と製造 子会社間のネットワーク・システムは1..62点と,逆に海外製造子会社の設立か ら日が浅いこともあり相対的に得点が低くなっている。海外子会社相互間で は,ネットワーク・システムの整備は1..38点と,その整備の困難性もあり,整 備が最も遅れており,いまだほとんど手が付けられていない状態である。いず れにしろ,日本企業がグロ・−バルに国際経営を展開していくうえで,グローバ ル・ネットワークは大変重要な戦略的役割を持ってくるので,日本企業でも今 後徐々にその整備が進むと思われる。 3−2 データベース・システム データベース・システムは現在の企業経営にとってなくてはならない情報シ ステムであり,日本企業でも経営活動のあらゆる側面で利用が進められている。 企業経営がグローバルになってくると,グローバルな視座から情報システムを 考える必要があることは,これまでにみてきたとおりである。データベース・ システムも企業の国際展開を前提にして,グローバル・ネットワークの上で再 構築されることになる。 そこで,ここでは本社のデータベース・システムへの海外子会社からのアク セス可能性に限って検討するが,その結果は表−8のとおりである三) 7)本来は,海外の子会社の視点から日本の親企業のデータベースヘのアクセスの可能性と 同時に,双方向的に日本本社から海外子会社のデータベースヘのアクセスの可能性を検討 する必要があることは言うまでもない。ローカル化の視点からは,海外子会社からの視点 からだけでも良いが,日本の親企業のグロ1−パル化の視点からは,親企業から海外子会社 のデータベ・−スへのアクセスの可能性をも調査する必要がある。またそのようなコメント もいただいた。日本企業のグローカル展開の視点からは,重要な問題を含んでいると思わ れるが,今回は管理会計のグローバル展開の一頃としての調査であったため不十分である。 別の機会に考察したい。

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一Jご−− 香川大学経済学部 研究年報 32 表−8 海外子会社からのデータペースへの■アクセス可能性 J992 研究開発型 製造販売型 合 計 企業数 1)海外販売会社より 1..62 1.28 1..44 N=170 2)海外生産会社より a)技術利用日的 1.55 1.31 1.43 N=170 b)原価管理目的 1.35 1.23 1“29 N=163 C)販売管理目的 1,36 1.23 1“29 N=160 *)1→ほとんど整備されていない,3→ある程度整備されている,5→全面的に整備 されている。総得点合計をだし,それを回答企業数で割って平均点をだした。 現在のところ,海外子会社から日本本社のデータベースへのアクセスは,ネ ットワーク・システムの場合以上に整備がされていない。すべてのケースが− 点台の前半であり,海外の販売会社からと海外の生産子会社では,部品表など 技術的な側面で剛部アクセスが可能な企業もあり,相対的には若干進んでいる が,その他の目的のためのデータベースは,殆ど整備がなされていない。いず れにしろ,今後に展開・整備が待たれる分野であり,現在のところはいまだそ れを議論する段階にまで至っていない,というのが大多数の日本企業の実状で ある。 ⅠⅤ 意志決定権限の相互性 グローバル化した日本の親企業と海外子会社との間で,現地(地域)で販売 する新製品の価格決定,海外子会社の新規の設備投資,また現地子会社の予算 編成と評価8)を行う際,それぞれの意志決定の権限が両者の間で如何に分担さ れているか(役割分担のレベルがどの程度か)を検討する。そのことにより, 日本企業は,欧米企業に比べて,意志決定権限が本社集中型であるといわれて 8)予算編成と評価という項目を調査票にあげたのであるが,「編成」権はローカル化の程度 が非常に高いが,逆に「評価」は日本の親企業に保持されている割合が多いので両者を分 離して褒間をするのが正確でないかというコメントをいただいた場合がある。そのとおり であり,今後の調査研究の中で取り入れて行きたい。

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グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 −J3− いることを間接的に明らかにしたい芝) まず,新製品の価格決定,新規の設備投資の決定,及び予算の編成と評価に ついて,日本の親企業と海外子会社のいずれが意志決定権限をもっていると日 本の親会社は理解しているかを,表−9によって地域別に検討する。 表−9 意志決定機能の役割分担(全体) 北 米 欧 州 ア ジ ア

平均 SD 平均 S‖D 平均 SD

1)新製品価格決定 3.71 1“07 3.60 1.10 3.51 122 2)新規の設備投資の決定 2..86 0..90 284 0.95 277 0‖86 3)予算の編成と評価 3り50 0.95 3.47 098 3.45 1.00 *)n=172(JUSs:北米),n=134(JECs:欧州),n=171(JASs:アジア)。 得点は,1点→全面的に日本本社が担当,…‥ 3点→両者の中間…州5点→全面的 に海外子会社が担当とし,総合計点をだし,回答企業数で割って平均点をだした。 まず,新製品の価格決定,新規の設備投資,予算の編成と評価のいずれの場 合も,北アメリカ,欧州,アジアのうち,北アメリカの子会社の場合が,最も 権限を多く委譲されており,ついで欧州そしてアジア諸国という順序に権限委 譲のレベルが低くなっている。 次に,項目別に検討してみると,新製品の価格決定の権限の委譲が最も高く, 北アメリカの場合は3,71点であり,予算の編成と評価の権限は3.50点と,権 限の委譲の程度が比較的高く,新規の設備投資は2…86点と,最も意志決定の権 限が日本の親企業サイドに留保されている。欧州では,北アメリカの場合より 9)例えば,Bartlett,C AandGhoshal,S,(1989)の第1部などを参照のこと。そこで は,欧州企業は「グローバル(global)型)」と呼ばれ,権限が現地子会社に最もローカル に保持(権限の分散化が最も高く)され,アメリカ企業は「マルチナショナ)t/(multi rnational)型」であり,権限の本社への集中と現地子会社への分散が適度に調和されてい る。それに対して,日本企業は「インターナショナ)t/(international)型」であり,権限 が最も本社集中型であるとされている。そして,将来のあるべきグローバル企業の理想型 としては,「トランスナショナル(transnational)型」であるとされ,その理念型が第2部 で提示されている。

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香川大学経済学部 研究年報 32 −・J4− J9玖2 も現地子会社への権限の委譲のレベルがいずれの場合も若干低く,さらにアジ アではより低くなっていることがわかる。 このことは,小生の在英日系企業への面接調査でも明らかになったが,設備 投資の意志決定についてはほとんどの企業で,日本の親企業の承認事項である と指摘されていた。また,現地で販売する新製品については日本本社と相談す るケースが多いが,最終的には現地の事情を考慮して価格設定をするので,現 地サイドが中心に決定しているという指摘をよく聞いた。また,予算の編成と 評価については,大部分は予算の基本方針あるいはガイドライン(あるいはも う少し包括的な各海外子会社の事業計画の基本方針)が本社より示され,それ 以後の大部分の意志決定権限は現地の海外子会社に委譲されている(ほとんど の企業で,「年2回(3月と9月),日本の親企業で事業計画や予算の説明・報 告をするが,よほどのことがない限り修正を求められることはない」と言われ た)という説明がなされていたと0)

Ⅴ 会計情報システムの整備と国際移転

ここでは,海外子会社における会計情報システムについて,損益計算書や貸 10)事計計画(あるいは予算)は,1年間の場合が多いが,半期(6ケ月)の場合もみられ た。いずれにしろ,6ケ月間の事業計画(予算)に基づく活動の成果の報告と向こう6ケ 月の事業計画(予算)の報告(承認)を,6ケ月ごとに本社にするのが大部分のケースの ようである。 なお参考までに,ローカル化のレベル別(研究開発型と製造販売型)に,意志決定機能 の役割分担を地域別(北アメリカ,欧州及びアジア)に示すと,次の表のとおりになる。 いずれの場合にも,両者の間にはとりわけて目だった差異はみられない。 1)北アメリカの場合 意志決定機能の役割分担(北アメリカ) 研究開発型 製造販売型 全 体

平均 SD 平均 SD小 平均 SD

1)新製品価格決定

376 106 372 106 3小74 106

2)新規の設備投資の決定 2.76 94 296 85 2小86 90 3)予算の編成と評価 346 99 3..54 92 350 95 *)研究開発型(n=86),製造販売型(n=79),全体(n=165)。

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グロ・−パル企業の会計情報システムに関する覚書 −J5一 倍対照表のような公表財務諸表を作成するための財務会計システム,企業の予 算編成及び調整・統制を行う予算管理システム及び製品製造原価の計算・管理 のための原価計算システムに分けて,その整備の実態と国際移転の程度を考察 する。 5−1海外子会社の会計情報システムの整備 海外の製造子会社では,日本本社と同じレベルの良質の製品を生産するため, まず生産システムあるいは生産管理システムの整備が第⊥・の課題である。それ と共に,財務諸表作成のための財務会計システム,予算管理のための予算管理 システムや原価計算・原価管理のための原価計算システムの整備も重要な課題 であり,その規模に応じて会計情報システムの整備がなされているというのが, 海外子会社への面接調査からの印象である。 1)北アメリカの場合 意志決定機能の役割分担(北アメリカ) 研究開発型 製造販売型 全 体

平均 SD 平均 SD 平均 SD

1)新製品価格決定 3小76 106 372 1小06 3小74 1.06 2)新規の設備投資の決定 276 94 2.96 85 2小86 90 3)予算の編成と評価 3一46 99 354 92 3“50 95 *)研究開発型(n=86),製造販売型(n=79),全体(n=165)。 2)欧州の場合 意志決定機能の役割分担(欧州) 研究開発型 製造販売型 全 体

平均 SD 平均 SD 平均 SD

1)新製品価格決定 368 112 3小57 1小06 364 1.09 2)新規の設備投資の決定 282 1り05 2小90 81 2.85 96 3)予算の編成と評価 346 101 3り4L7 93 347 97 *)研究開発型(n=76),製造販売塾(n=54),全体(n=130)。

(16)

−J6− 香川大学経済学部 研究年報 32 J。992 1)全体的な傾向 ここでは,海外子会社の会計情報システムの整備の実態を,財務会計システ ム,予算管理システムおよび原価計算システムにわけて,親企業サイドからみ てどの程度整備がされていると理解しているか,表−10に基づいて検討する。 表一川 海外子会社の会計情報システムの整備(全体) 北アメリカ 欧 州 ア ジ ア 1)財務会計システム 4.09 392 383 2)予算管理システム 3い79 362 345 3)原価計算システム 3,.71 3.59 350 *)n=181(JUSs),n=143(JECs),n=174(JASs)。 表中の得点は,1点→ほとんど整備されていない,…3点→ある程度整備されて いる,…・5点→ほぼ完全に整備されているとし,総得点を計算し,回答企業数で 割って,平均点を算出した。 表−10から理解できるように,北アメリカ,欧州,アジアのいずれの地域でも, 最も整備が行き届いているのは進出先国の商法,税法など各国の法制度に基づ いて作成される財務会計システムであり,いずれの地域でも4点前後と,大部 分の企業で整備がほぼ行き届いている。ついで海外子会社では,日本本社へ事 業計画とともに捏出し承認を得る必要があると同時に,企業の全体的な成果(予 算と実績の比較)を把握できる予算管理システムの整備はかなりの程度(3‖5点 強)なされている。原価計算システムの整備もほぼ予算管理の場合に近いレベ ルまで整備がなされてきている。いずれの場合にも,かなりの程度整備が行き 届いているといえる。 進出地域別に考察すると,北アメリカでの会計情報システムの整備が財務会 計,予算管理,原価計算のいずれの場合も,最も整備が進んでおり,進出の形 態や時期などを考えると納得のゆく数字である。次に整備が進んでいるのは, 欧州,そして最後にアジア地域という順である。これは,進出年,規模,進出 目的,あるいは進出先国の法規制などが相まった結果であり,日本企業の進出

(17)

グロ、−パル企業の会計情報システムに関する覚書 −J7一 形態からして妥当な結果であると思われる三1) 2)北アメリカの場合 次に,地域別に会計情報システムの整備のレベルを,研究開発型と製造販売 型に分けて,表−11により検討する。まず,地域的には欧州あるいはアジアに進 出した場合よりも,北アメリカの場合はより整備が進んでいた。そこで,北ア メリカの場合を,研究開発型と製造販売型に分けると,会計情報システムの整 備は,財務会計,予算管理,原価計算のいずれのシステムでも,研究開発型の 企業の方が製造販売型の企業よりも,整備が遥かに進んでいることが理解でき る。これは,研究開発型の進出の方がローカル化のレベルが高く,会計情報シ ステムの整備についても積極的なためであることを示している。 表−11海外子会社の会計情報システムの整備(北米) 財務会計システム 予算管理システム 原価計算システム 企業数 研 究 開 発 型 4.38 407 3..93 N= 89 製 造 販 売 型 3.86 3。55 3小53 N= 86 計 4.13 382 3..74 N=175 *)なお,無記入(製造販売型か研究開発型の項目に)が6社あるため,全体の億(表 −10)と若干異なる。 3)ヨーロッパの場合 在欧日系企業における会計情報システムの整備については,全体では北アメ リカについでかなりの程度整備がなされていたことは,表−10でみたとおりで ある。ここでは,表−12によりながら,ロ、−カル化との関係でみてみたい。 11)ただ,ここでの会計情報システムの整備の程度は,海外子会社の最も代表的なケ・−スに ついて回答を依頼したので,多分それぞれの企業で最も整備が進んでいる海外子会社の会 計情報システムについて回答があったと理解している。その分だけ,全体的(統計的)に は,整備の程度を示す得点が高くなっていると思われる。

(18)

J992 香川大学経済学部 研究年報 32 表−12 海外子会社の会計情報システムの整備(欧州) −ノバ・ 財務会計システム 予算管理システム 原価計算システム 企業数 研 究 開 発 型 4.21 3小88 381 N= 78 製 造 販 売 型 358 3.32 3.33 N= 62 計 393 364 3..60 N=140 *)なお,無記入(製造販売型か研究開発型の項目に)が3社あるため,全体の値(表 −10)の傭と若〒異なる。 ここでも,北アメリカの場合と同じ傾向がみられる。全体的には,北アメリ カの場合に比べて若干スコアが低くなっているが,やはり研究開発型の企業が, 製造販売型の企業に比べて明らかに会計情報システムの整備が進んでおり,北 アメリカの場合と同様の理由が考えられる。 4)アジアの場合 在アジア日系企業における会計情報システムの整備については,全体では北 アメリカ,欧州と比べると最も整備が遅れていたことは,表一10でみたとおりで ある。ローカル化との関係では,北アメリカ,欧州に進出している場合と同じ 傾向がみられる。全体的には,北アメリカの場合に比べて若干スコアが低くな 表−13 海外子会社の会計情報システムの整備(アジア) 財務会計システム 予算管理システム 原個計算システム 企業数 研 究 開 発 型 4..17 3.70 3。72 N= 82 製 造 販 売 型 3.58 3“27 335 N= 86 計 387 348 353 N=168 *)なお,無記入(製造販売型か研究開発型の項目に)が14社あるため,全体の値(表 −10)の値と若干異なる。 っているが,やはり研究開発型の企業が,製造販売塾の企業に比べて明らかに 会計情報システムの整備が進んでいることは,北アメリカ,欧州の場合と同様 である。

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グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 −J9− 5−2 海外子会社への会計情報システムの国際移転 1)全体的な傾向 海外子会社への会計情報システムの国際移転の実態を,表一14によって明ら かにしたい。海外子会社の財務会計システム,予算管理システム,および原価 計算システムのいずれも比較的現地企業のシステムを参考に海外子会社の会計 システムの整備をしている割合が高いようである。また当然のことであるが, 財務会計システムが現地企業のシステムを参考にしている割合が最も高く,順 次予算管理システム,原価計算システムという順に,その割合が低くなってい る。 表−14 海外子会社への会計情報システムの国際移転(全体) 北アメリカ 欧 州 ア ジ ア 1)財務会計システム 424 4.20 3小94 2)予算管理システム 413 4.03 3.76 3)原価計算システム 407 3小98 3.69 *)n=177(JUSs),n=143(JECs),n=173(JASs)。 表中の得点は,「1点→日本本社のシステムをそのまま移転,…3点→本社のシ ステムを半ば修正・移転,‥…5点→現地企業のシステムを参考に」とし,総得点を 計算し,回答企業数で割って,平均点を算出した。 また,地域別には,北アメリカでは,現地企業のシステムを参考にしている 割合が高く,それだけ米国企業の会計情報システムが整備されており,またそ れをサポートする法制度,会計事務所などのコンサルタントのサポートのネッ トワークなどが行き届いているためであろうと2) 12)ただ,ここでも会計情報システムの国際移転のレベルは,海外子会社の最も代表的なケー スについて回答を依頼したものであるが,得点が4点前後とかなり高くなっていることか ら判断すると,それぞれの企業で現地化の最も進んだ子会社の会計情報システムについて 回答があったと思われる。ただ,英国での面接調査での経験や予算管理システムや原価計 算システムそのものが持つ特性(あるいはグロ・−パル展開)や日本親企業との連結性など を考慮すると,日本の親企業の会計情報システムを国際移転することがかなり多いと思わ れるが,実際は現地企業のシステムを参考にしたという場合が多く,回答のスコアが若干 高すぎるようにも思われる。これらについては,今後回答企業へのフォローアップ調査な ども合わせて,より具体的に検討する必要がある。

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−2(フー 香川大学経済学部 研究年報 32 J9免2 2)北アメリカの場合

会計情報システムの国際移転を考える場合,研究開発型と製造販売型の問で

どの程度の相違がみられるか,以下地域別に検討してみたい。北アメリカの場

合は表−15のとおりである。財務会計システム,予算管理システム及び原価計算

システムのいずれの場合をみても得点は4点台であり,ほとんどが現地の企業

の会計情報システムを参考に設計している。そのため,ローカル化の程度は非

常に高く,現地の日系企業に委ねられている程度が非常に高いといえる。研究

開発型と製造販売型を比較してみると,研究開発型の企業の値が若干高くなっ

ており,ローカル化の程度が幾分高いように思われる。

表−15 海外子会社への会計情報システムの国際移転(北米) 研究開発型 製造販売型 合 計 企業数 1)財務会計システム 430 4“20 4..25 N=171 2)予算管理システム 423 4.05 4.14 N=163 3)原価計算システム 414 4.04 4..09 N=154 3)欧州の場合 欧州では,表−16にあるように,研究開発型の企業の方が,現地企業のシステ ムを参考に会計情報システムを設計・運用している比率がかなり高くなってお り,特に予算管理,原価計算システムについてそのことがいえる。 表−16 海外子会社への会計情報システムの国際移転(欧州) 研究開発型 製造販売型 合 計 企業数 1)財務会計システム 429 4小08 4‖20 N=140 2)予算管理システム 4.20 3.81 4.03 N=133 3)原価計算システム 4小20 3.74 3..99 N=119

(21)

グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 一2ヱ¶ 4)アジアの場合 アジアに進出しているケースは,表−17のとおりである。全体的には,会計情 報システムのローカル化は日本の親企業のシステムを修正し,かつ一部現地企 業のシステムを参考にしているという段階であった。研究開発型と製造販売型 を比べてみると,若干研究開発型の場合が現地企業のシステムを参考にしてい る割合が高いのはこれまでの地域の場合と同様である。両者の間のスコアの差 異は,北アメリカの場合と欧州の場合の中間にある。 表−17 海外子会社への会計情報システムの国際移転(アジア) 研究開発型 製造販売型 合 計 企業数 1)財務会計システム 405 3..85 3.95 N=167 2)予算管理システム 3.95 3..61 3..78 N=158 3)原価計算システム 3.82 3.59 3..71 N=156 ⅤⅠ結びにかえて 以上,第ⅠⅠ節でグローバル化の幾つかの指標,第ⅠⅠⅠ節でグローバル・ネット ワーク化の実態,第ⅠⅤ節で意志決定権限の相互性,そして第Ⅴ節で会計情報シ ステムの整備と国際移転について,調査結果に基づいて若干のコメントを交え ながら紹介した。(1993.1.10)

く参 考 文 献〉

Bartlett,C“A・and Ghoshal,Sリ(1989)Man喀ing AcrosS BoYdeYSJ771e

77/anSnati■onalSolution,Harvard Business SchooIPress,Boston:USA (吉原英樹監訳『地球市場時代の企業戦略』日本経済新聞社1990年。)

Bromwich,M・&lnoue,S.(1993)CbrstMan昭ement伽bおmsihノ如anese

Ct砂iial一句所Iiated Con4)aniesin the Lhiited Ki.ngdom,The CharItered

(22)

一22一 香川大学経済学部 研究年報 32 J992

1nstituteofManagementAccountants(CIMA):UK

1noue,Sl(1992)“A Compar・ative Study of Cost Management Problemsin

JUSsandJUKs,”inResearchPaper(DebartmentoflnformationScience,

KagaWaUniver.sity)NoA6

井上信一・(1992)「わが国企業のグローカル化と管理会計を巡る諸問題」『香川 大学経済論敢』第65巻第3号。 井上信一・(1993)「オーバラップ型研究開発と原価企画の国際移転−グローバ ル化した日本企業への実態調査−」『産業経理』第52巻第4号。 加護野忠男,野中郁次郎,榊原清則,奥村昭博(1984)『日米企業の経営比較一 戦略的環境適応の理論』日本経済新聞社。

(23)

グローバル企業の会計情報システムに関する覚書 一2クー

付録一調査票

グローバル企業の管理会計に関する調査票 香川大学経済学部 【調査票記入上のお願い】 1この調査は⑳扱いとし,その内容は集計以外には一切外部に公表しませんので,具体的にご記入下さい。 2 本調査は,『業種別海外進出企業総覧(1990年版)』に掲載されている製造業企業のうち,証券取引所にも上場さ れている企業(387杜)を対象にしています。 3 本調査の目的は,グロ−パル化した日本企業における管理会討の実態および今後の発展を,日本の親会社のサイ ドから明らかにすることにあります。このことは,学術的に重要であるばかりでなく,実務的にも緊急の課題で あり,日本企業の国際化にも管理会計の側面から貢重な指針を提示出来ると思います。 4 上記の業種番号欄には,下記の中から該当するものを選んで,番号でご記入下さい。 12食料品 14繊維・衣服 15化学工業 26鉄鋼業 27非鉄金属 28金属製品 29一腰機械器具 30電気機械器具 31輸送用機械器具 32精密機械器具 50その他の製造業 99非製造業 5 ご回答は,平成3年3月現在の数値(資本金,売上高など)と実態をご記入7さい。 6 調査票のなかで,唱社」といっている場合は「日本の親会社」のことを指し,場外子会社」といっている場合 は,頂礼の出資金が50%以上の海外子会社と20%以上50%未満の海外関連会社」をさしています。 7 海外子会社の実態についてもお尋ねしていますが,その場合,貴社の海外子会社のうち最も代表的なケース(例 えば,員社の100%出資,企業規模が大きい,主要製品を生産しているなど)についてご回答下さい。 また,北アメリカ(メキシコを含む),欧州,アジア(オセアニアを含む)と地域毎にお尋ねしている場合は, 各地域毎に代表的なケースをお考え下さい。なお,海外子会社が北アメリカ,欧州,アジアのすべての地域にな い場合には,該当する地域についてのみお答え下さい。 8 海外子会社の形態(例えば販売会社など)によっては,ご回答掛ナない質問項目があるかと存じます。その場合

(24)

J992 香川大学経済学部 研究年報 32 ,一ブイー は,「該当せず」あるいは「不明」とご記入下さい。 9 出来ましたら,研究のためご回答いただいた調査票とともに,責社の海外事業展開がわかる組織図を一部お送り 下さい。 10 本調査に関して,ご不明の点などがございましたら,下記のいずれかまでご照会下さい。 〒760高松市幸町2−1 香川大学経済学部(電話:0878−61−4141,FAX:0878−35−2076) 井 上 信 一(内線540) 安 藤 博 子(内線618) 金 澤 理恵子(内線435) 【一般的な概要】 間1責社の以下の数字をお教え下さい。 資本金 百万円 従業員数 人 売 上 高 百万円 国内工場数 工場 間2 責社では,利益責任単位としての事業部制を採用されていますか。 1)採用している。 【a)製品別事業部 b)その他( )】 2)採用していない。 間3 責社の輸出比率(輸出額/票杜の売上高×100)と海外生産比率(海外子会社の売上高/連結ベースでの責社の 売上高×100)は,それぞれいくらですか。 1)輸出比率: % 2)海外生産比率: % 間4 貴社では,海外生産事業を管理する専門の部門(例えば国際事業本部)をお持ちでしょうか。 1)国際事業本部を持っていない。(担当部門: 2)国際事業本部を持っている。(該当するものに○をして下さい) a)地域(国)別事業本部制(ヨーロッパ統括本部,アメリカ統括本部,アジア統括本部等) 部が担当) b)製品別事業本都制(テレビ統括本部,VTR統括本部,乗用車統括本部等) C)その他(具体的に: 3)海外生産は行っていない。 4)その他(具体的に: 間5 貴社の海外子会社慣社を含むグループの出資比率が20%以上)は,どのくらいございますか。以下の種類毎 に,会社数をご記入下さい。 50%以上100%未満 20%以上50%未満 資 出 ハU 社) ) ) ) ) 社)( 社) 1)製造・販売会社 2)製造会社 3)販売会社 4)販売金融会社 5)アフタサービス会社 )( )( )( )(

(25)

グローバル企業の会計情報システムに関する覚啓 一25一 ( )( ) どのようになっていますか。1こ記の中から該当するもの 6)その他 ( 間6 責社と海外子会社との組織上の関連性(繁り方)は を選び,○をして下さい。 1)国際事業本部が,海外進出の子会社の管理部門(総務,経理など)と技術指導のすべてを,指揮・コント ロ−ルしている。 2)製品別事業(本)部が,海外進出の子会社の管理,技術とも指導・コントロールしている。 3)管理部門(総務,経理など)の指導は本社の国際事業本部が,技術移転などは製品別事業(本)部が分担 して指揮・コントロールしている。 4)国際営業本部が海外販売滴動を指揮・コントロールしている。 5)その他(具体的に: ) 間7 責社と海外子会社間での,汎用コンビュ一夕を中心にした国際的な情報システムの現状について,お伺い致し ます。下記より選び,括弧の中に数字でお答え下さい。 1 2 3 全く整備されて ある程度整備 5 全面的に整備 されている されている いない 1)国際的なネットワーク・システム化の程度 a)日本本社と海外販売会社の問:( b)日本本社と海外生産会社の間:( C)海外子会社相互間 2)本社のデータベースシステムの海外子会社からのアクセスの可能性 a)海外販売会社からの利用: b)海外生産会社からの利用 ア)生産計画・設計などの技術管理目的 イ)コストテーブルなど原価管理員的 り)商品価格など販売管理目的 エ)その他( 間8 貢社は,地域統括本社を海外にお持ちですか。 1)すでに持っている。該当地域名に○をし,具体的な国名を括弧の中にご記入下さい。 a)北米( ) b)欧州( ) c)アジア( 2)討画中である。 3)計画していない。 いセンターを含む),研究開発(テクニカル・センターを含む)及び設計(機 をお持ちですか。該当するものに○をし,所在する国名を括弧の中にご記 間9 貢社は,海外に商品企画(デザイン 能設計及び詳細設計)部門(会社) 入下さい。 1)商品企画部門 2)研究開発部門 3)設計部門 ななな b b b 名名名 国闇−国 る る る あああ a a a 間10 貴社の海外子会社の実態についてお教え下さい。 1)日本本社が,製品あるいは部品を輸入している海外の生産子会社の数ほ何社ですか。 【北米: 社 欧州: 社 アジア: 社 その他 2)利益辞任単位(ProfitCenter)になっている海外子会社の数は何社ですか。 社】

(26)

_26− 香川大学経済学部 研究年報 32 J992 【北米: 社 欧州: 社 アジア: 社 その他: 社】 3)コスト貿任単位(CostCenter)になっている海外子会社の数は何社ですか。 【北米: 社 欧州: 社 アジア: 社 その他: 社】 間11責社では,「外国人」が,日本本社の役員職(取締役)あるいは部長職に就かれている場合がありますか。 1)ある。【取締役: 名 部長: 名】 2)ない。 間12 責社の海外子会社では,つぎのポストに外国人(現地の人)が就かれている子会社が,どのくらいございます か。会社数を括弧の中にご記入下さい。 1)社 長( 社) 2)副社長( 社) 3)経理部長( 社) 4)人事部長( 社) 【経 営 環 境】 間13 貴社の海外子会社の戦略的な目標として,特に重視している項目はなにでしょうか。主要な項目を下記より3 記 第1位: イン(株)理ヒ 間14 つぎの経営職能は,桑社(日本本社)と海外(生産)子会社との間で,どのように役割分担がなされています か。該当する番号を選び,地域毎に表の中にその番号をご記入下さい。 1 2 3 4 5 両者の中間 北アメリカ 欧 州 アジア その他 1)製品企画 ( )( )( )( ) 2)基本設計 ( )( )( )( ) 3)詳細設計 ( )( )( )( ) 4)製造準備 ( )( )( )( ) 5)製造段階 ( )( )( )( ) (定義:「製品企画」とは,使用者要求事項の把握から製品企画書を作成するまでの段階。「基本設計」とは,製品企画 部こもとづいて達成すべき機能,日程,原価の条件下で具体的な製品基本計画図を作成するまでの段階。「詳細 設計」とは,基本設計図にもとづいて具体的な達成すべき機能,日程,原価の条件下で製作図なと製造の仕様 哲を作成するまでの段軌「製造準備」とは,製造仕様執こもとづいて,製造準備(ユ程設札内外作決定,型・ 治工具製作,資材調達等)が完了するまでの段階。「製造」とは,生産を開始してから製品が完成するまでの段 階。) 間15 海外子会社の人事のローカル化という観点から,長期的(5∼10年)にみて,現地人の登用あるいは現地化が 困難なポジションはつぎのいずれですか。困難性の高い順に番号(1,2,3n)を付けて下さい。 ()社長 ()副社長 ()エ場長 ()技術部長 ()人事部長 ()営業(販売)部長 ()経理部長 ()その他 間16 貢社では,海外生産子会社への技術供与(指導)などに対して,海外子会社から研究開発費(ロイヤリティ) の支払を受けていますか。 1)受けている 2)受けていない 3)その他( ) 間17 貴社では,日本国内で,海外子会社の従業員(技術者を含む)の研修・訓練を制度的に行っておられますか。

(27)

グロ1−パル企業の会計情報システムに関する覚宙 −27− 1)定期的に行っている 2)必要に応じて行っている 3)行っていない 4)その他( ) 間18責杜では,海外子会社の経営職能のインサイダー(現地)化は,現在どのレベルにあるとお考えですか。責社 の海外子会社のうち,地域毎に最もインサイダー化が進んでいるケースについてお答え下さい。 ご 3 L1 5 両者の中間 全面的に海外 子会社が担当 北アメリカ 欧 州 アジア その他 1 全面的に日本 本社が担当 )( ) )( ) )( ) )( ) )( ) )( ) )( ) )( 1)製造活動 ( )( )( 2)購買活働 ( )( )( 3)販売活動 ( )( )( 4)アフタサービス活動( )( )( 5)研究開発活動 ( )( )( 6)設計活動 ( )( )( 7)人事活動(現地人)( )( )( 8)人事滴勒(日本人)( )( )( 間19 票社の海外生産子会社の生産設備は,日本本社の自動化の最も進んだエ場と同じものを導入されていますか。 それとも,ある程度自動化のレベルの低い工場と同様のもの(例えば現地での雇用確保などのため)を国際移 転されていますか。該当するものを下記より選び,記号でご記入下さい。 1)北アメリカの子会社( ) 2)欧州の子会社 ( ) 3)アジアの子会社 ( ) 4)その他の子会社 ( ) a)日本本社の自動化の最も進んだ工場と同じものを導入 b)日本本社の自動化の程度の低いエ場と同じレベルのものを導入 C)海外(現地を含む)で調達したものを導入している d)その他(具体的に: 【管 理 会 計】 間20 票撤の海外子会社における月次報告書(財務諸表など)の作成は,どこの国の通貨でなされていますか。 1)月次報告書は作成していない。 2)当該国の通貨による。 3)日本の通貨による。 4)両方の通貨で作成している。 5)その他(具体的に: 間21宕狙の海外子会社から本社へ報告される月次報告書の内容には,どのようなものが含まれていますか。該当す るものを幾つでも選択し,Cを付けて7さい。(月次報菖書の作成の有無:1)作成している。2)作成してい ない。) ()月次損益計算書 ()月次貸借対照表 ()目標と実蹟の対比(売上高,利益) ()製品の不良率の変化 ()予算と英紙の差異 ()従業員数の推移 ()資金繰表 ()在庫(原材料,仕掛品,製品)の有高 ()関係会社取弓懐 ()その他(具体的に: ) 間22 宕把の海外子会社の会計情報システムは,項在どの程度整備されていますか。該当する数字を選んで,括弧の 中にご記入下さい。なお,それぞれの地域毎に最も導入が進んでいる子会社のケースについて,お答え下さい。

(28)

香川大学経済学部 研究年報 32 J992 −2β− 1 ほとんど整備 されていない 1)財務会計システム ( 2)予算管理システム( 3)原価計算システム( 3 ある程度整備 されている 5 ほぼ完全に整備 されている アジア その他 )( )( ) )( )( ) )( )( ) 北アメリカ 欧 州 間23 貴社の海外子会社の会計情報システムは,日本本社のものを国際移転したものですか,それとも(現地のコン サルタントあるいはCPAの指導で),現地企業(当該国)で行われている会計情報システムを参考に導入した ものですか。該当する数字を選んで括弧の中にお答え下さい。なお,それぞれの地域毎に最も代表的なケ−ス についてご記入下さい。 1 2 3 日本本社のシステムを 本社のシステムを半ば 4 5 現地企業の システムを参考 アジア その他 修正・移転 北アメリカ 欧 州 そのまま移転 ( )( 1)財務会計システム( 2)予算管理システム( 3)原価計算システム( ( ) 間24 嚢社から海外子会社に販売(振替)される製品(部品)の販売基準は,つぎのどれによっていますか。 1)本船渡基準(FOB基準) 2)着港波基準(CIF基準) 3)その他( 問25 貴社から海外子会社へ製品(部品等)を販売する場合の振替(移転)価格(あるいはその道の場合)は,下記 のいずれによっていますか。該当するものを下記より選び,それぞれの括弧の中に記号でご記入下さい。 1)責社から海外の製造子会社へ部品を振替する場合:( ) 2)昏社から海外の販売子会社へ製品を振替する場合:( ) 3)海外子会社から貴社に部品を振替する場合 :( ) 4)海外子会社から貴社に製品を振替する場合 :( ) a)市価基準 b)交渉価格*)基準 C)原価基準(実際原価) d)原価基準(標準原価) e)原価十利益基準(実際原価) f)原価+利益基準(標準原価) g)その他(具体的に: (定義:「交渉価格」とは,振替価格(TranSfelPrice)の決定に対して独立した権限を召する売り手と買い手の交渉 により成立する価格であり,それぞれの子(親)会社の経営者はその価格の結果に迂任を持つ。) 間26 票杜から海外子会社へ振替(移転)価格の決定は,どのような形態でなされてますか。該当するものを下記よ り選び,それぞれの括弧の中に記号でご記入下さい。 1 2 3 責社に全面的な 貢社と海外子会社の 決定権 交渉による 5 海外子会社に 全面的な決定権 1)責社から海外の製造子会社へ部品を振替する場合 ( ) 2)貴社から海外の販売子会社へ製品を振替する場合 ( ) 3)海外子会社から貴社に部品を振替する場合 ( ) 4)海外子会社から貴社に製品を振替する場合 ( ) 間27 海外子会社の予算編成,実施及び評価について,貴社と海外子会社でどのように分担されていますか。該当す るものに○をして下さい。 1)予算管理の権限は,現地の海外子会社に委譲されており,ほとんど海外子会社が単独で編成・執行・評価

(29)

グロ1−パル企業の会計情報システムに関する覚書 −29− する体制である。 2)予算管理の基本方針は,桑社が決定し,その枠内で海外子会社が具体的な予算を編成したものを,貴社が 承認し,海外子会社はそれにもとづいて執行し,評価される体制である。 3)予算管理の権限は,日本本社に集中されており,基本方針,具体的予算編成とも貴社が作成し,それに基 づいて海外子会社は予算を執行し,評価される体制である。 4)その他(具体的に: ) 間28 貿社の海外子会社における資金(設備投資,運転資金)の調達先は,主としてどこからですか。下記のうちか ら,該当するものを選び,記号をそれぞれの括弧の中にご記入下さい。 1)ユ場拡張,機械などの購入などの設備投資の場合( ) 2)日常の運転資金などの調達の場合 ( ) a)海外子会社の自己資金による b)貴社から C)日本の銀行から d)現地の銀行から e)現地に進出している日系の銀行から f)その他(具体的に: 間29 つぎの意志決定は,主として貴社(日本本社)と海外子会社(現地)のいずれが担当されていますか。該当す る数字を下記より選び,その番号を括弧の中にご記入下さい。 ご ニミ j 5 本社と現地 現地がすべて の交渉で を決定 1 本社がすべて を決定 北アメリカ 欧 州 アジア その他 1)新製品の価格決定 ( )( )( )( ) 2)新しい設備投資の決定( )( )( )( ) 3)予算の編成と評価 ( )( )( )( ) 間30 貴社では,海外子会社の業宿評価をしておられますか。海外子会社と海外子会社の経営者のそれぞれの場合に ついて,該当するものを選び,記号でお答え下さい。 1)海外子会社の業績評価を,制度的に行っていますか。 (1)海外子会社の業潰評価 ( ) (2)海外子会社の経営者(社長,部長など)の業硫評価( ) a)業績評価をしている。 b)業蹟評価をしていない。 2)1)でa)を選択された場合,貴社で業績評価のために使用している指標を下記より選び,重要な順に記号で お答え下さい。 (1)海外子会社の業績評価: 1位: 2位: (2)海外子会社の経営者(社長, 1位: 2位: a)投資利益率(ROI)(英紙) d)予算と実際の利益の比較 g)累積の利益額 j)親会社や他の子会社との協力 m)従業員の定着率 p)その他(具体的に: 3位: 4位: 5位: 部長など)の業笛評価: 3位: 4位: 5位: b)売上高利益率(実綴) c)予算と実際の売上高の比較 e)予算と実際の投酎U益率の比較 f)年度の利益額 h)市場占有率の拡大 i)品質管理 k)投資受入国との関係 l)従業員の訓練 n)生産性の改善 0)地域社会へのサービス )

参照

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