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高ニトロゲナーゼ活性を持つダイズ根粒バクテロイド調製法の検討-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第37巻 第1号 21∼・24,1985

高ニトロゲ「トーゼ活性を持つダイズ根粒バクテロイド調製法の検討

田 島 茂 行,佐々原 浩 幸※

PREPARATION OF SOYBEAN NODULE BACTEROIDS

RETAINING HIGH NITROGENASE ACTIVITY

ShigeyukiTAJ[MA and HiroyukiSASAHARA

Summa「y

(1)Thesoybeannodulebaeteroidswer・epreparedbydifferentialcentrifugation.The bacteroids showed highnitr・OgenaSeaCtivitywhentheoxygenconcentrationofhomogenizingcircumstanceisverylow・l

(2)Thebacteroidfractionwよs subjectedtoastepwisesucrosedensity gr・adient centrifugation and a Per・COldensitygradientcentrifugation、Enzymelocalizationipthegr・adientafterthe centrifugationshowed

the bacteroidfraction haslittlemitochondria contamination.

(1)ダイズ根粒より低張液を用いた分画遠心により,根粒バクテロイドの調製を行なった。抽出時の酸素分圧 を低く押さえる事によって、アセチレン還元活性の高いバクテロイド標品が得られた。 (2)調製したバクテロイド標品を庶糖及びパーコール密度勾配遠心によって分画後,純度を検定した。チクロ ーム酸化酵素活性はミトコンドリアに対応する密度部分には検出できず,β−ヒドロキシ酪酸脱水素酵素活性 は菌体外に検出出来をかった。以上の結果からこのバクテロイド標品にはミトコンドリアの混入が少ないもの と考えられる。 緒 言 ダイズ等豆科植物は根粒細菌との共生によって空気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定)利用してい る。この作用は明らかに植物に有利であるが,−・方ニトロゲナーゼ反応tこはFigり1に示すごとく多大のエネル ギーの消費を伴う。この中にはニトロゲナーゼの広い其質特異性の為,水素イオンから水素ガスを発生する反 応に使われてしまうエネルギーも含まれている。更に根粒組織は,ニトロゲナーゼ反応にエネルギーを消費す るのみでをく,根粒組織の維持,地上部へ固定窒素を転流させるための窒素化合物合成に有機酸を消費する。 それらの消費エネルギーを総計すれば,生物窒素固定に必要をエネルギーは決して無視できる畳ではなく,2 モルのアンモニアを生成するのに,P/0此を2とすれば35モルのグルコ・−スを消費すると言われている。

Figハ1SupposedStoichiometryforNitrogenFixation

Nitrogenasesystem;

N2+8e−(8Fd)+8H+ +16ATP→2NH3+H2+16ADP+16Pi For 8Fd(red) 0。33molofglucose

16ATP O.44molofglucose

0.77molof

※香川県発酵食品試験場

(2)

22 香川大学農学部学術報告 第37巻 第1号(1985) このエネルギ、一消費を減少させる為,より有効な窒素国産糸を開発する試みはこれまで様々をレベルで行を われて来たが,その主なものはuptakehydrogenaseを保持する根粒菌を用い,無駄を水素発生を阻止するも のであった。水素発生の非常に少をい根粒菌は既に開発されており,その菌を用いたダイズのポソト栽培実験 では20、30%のダイズ個体新鮮重増加が認められた。しかしをがら圃場実験では,添加根粒菌が土着根粒菌に 押さえ込まれてしまうといわれており,はっきりした効果は報告されていをい。 より効率の良いニトロゲナーゼ代謝系を検索する為には,根粒菌のエネルギ・一代謝を把捉する必要が有るが, 従来この分野に関しては研究例も少をく,根粒内炭素代謝もよくわかっていをい,我々は既に,ダイズ根粒内 にはミトコンドリアをどの好気的代謝系と伴に,嫌気的代謝系が存在しており,アセトアルデヒドが,かなり の濃度で検出される事を報告してきた(6)。この嫌気的代謝系が根粒内で機能しているとすれば,エネルギー代 謝の観点からは効率が悪く,窒素固定系のエネルギー効率低下の山・因になると考えられる。 ダイズ根粒の多くの代謝アールの存在は,複雑な根粒内代謝系の定量的把捉を困雉にしているが,我々はま ず高ニトロゲナーゼ活性を維持した状態でのバクテロイドを分離し,そのエネルギー代謝を検討する事が有益 と考えた。その手段として,インタクトなバクテロイドをダイズ植物より分離する方法を検討したので,報告 する。 材料及び実験方法 1.タイズ根粒 ダイズ植物は水耕法によって栽培した(5)。ダイズ種子(アキシロメ)は,純粋培蕃した根粒菌の懸濁液と伴 に20分間浸積し,湿った砂床に播種した。添加根粒菌00頸来は農業生物資源研究所より譲り受け標準培地で 維持した。発芽10日後,初案展開を終えた苗を,主根のまわりに根粒形成が認められるのを確認した後に,水 耕漕(80月)に移した。水耕漕はロータリーポンプで大豆根に直接気泡が接触するように連続的に通気した。 移植後3日間は水道水のみで栽培し,その後水耕液に置き換えた。水耕液(市販化学肥料を用いて調製した。) は1週間毎に取り替え,植物体には赤ダニが発生する場合があったので,ケルセン500倍液を散布して駆除を 行なった。夏期高温で発芽後の根粒着生の悪い場合には,水耕に移す前の栽培を25℃恒温室で行なった。 2.ニトロゲナーゼ活性測定 ニトロゲナーゼ油性は(3),アセチレン還元晴性を測定して行をった。ダイズ根粒レベルのアセチレン還元活 性測定には200mB,invivoバクテロイドレベルの油性測定には2OmR血濁バイアルを用い,アセチレン又はバ クテロイドを添加し反応を開始した。10分,30分後バイアル中のエチレン量をガスクロマトグラフィーで測定 し,アセチレン還元晴性を測定した。アセチレンは市販アセチレンガスに不純物が多い事から,か−バイトか ら発生させ水洗後,酵素晴性測定に供した。 3.酵素活性測定法 バクテロイド画分中の,β−ヒドロキシ鮪酸脱水水素酵素,チトクロ1−ム酸化酵素活性は,各々常法を用い て測遷した。 4.バクテロイド画分の庶糖密度勾配遠心及びパーコ丁ル密度勾配遠心 ダイズ根粒からの細胞内画分の調製は,駅糟密度勾配遠心については,ChingとHedtkeらによって試みら れたStepwiseSucroseGr・adient 法に従って行なった(2)0 ダイズ根粒より調製したバクテロイド画分は凍結 保存前に密度勾配液に重層し,日立55P超遠心機で遠心処理を行をった。 パーコール密度勾配を形成させる方法を試みた。遠心管の底部には60%庶糖溶液5mゼを加え,その上に60% 庶糖溶液とパーコ1−ルの混合液(11,V/V)15mPをのせ,更にそのL:.にバクテロイド画分3mゼを重層し, 30,α)Or・pmで2時間遠心した。 遠心処理後の酵素活性測定にあたっては,酵素反応系(こ0.1%Triton X−100を添加した。 結果及び考察 1.根粒バクテロイド及びレクヘモグロビンの調製 根粒バクテロイドは基本的にEmerich 等の方法に従って調製したが(3),根粒採集の容易さから水耕栽培

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(3)

田島茂行,佐々原浩幸:Pr・eparationofnodulebacter・Oids 23 を用いてダイズを栽培した。夏期には水耕液の水温が30℃をこえ,根粒着生が阻害された。3・∼4週間水耕 栽培したダイズ植物より根粒(50g)は,直ちにイオン交換水で水洗後紙タオルで水気を取り100mゼ血濁バ イアル中に移し油回転呉空ポンプで5分間脱気後Alで置換した。窒素ガスは,市販ガスの個別品質が叫走 しておらず,空気より軽いことから良い結果を与えをかった。別のバイアルで同様にポリクラーAT2..5g

及び摩枠用緩衝液150mP(0.1Mリン酸カリ緩衝液 pH7.5,0.2M アスコルビン酸ナトリウム,

Ou5mM EDTA−3Na,2mM DTTを含む)を取り脱気後Arで置換した。ポリクラhATは塩酸で

煮沸処理洗浄後,使用緩衝液で更に洗浄した。アスコルビン酸ナトリウム,DTTは酸化を防ぐため小量ず つ購入し,冷暗所で保存後使用当日に脱気の終了した緩衝液に溶解した。 プラスチック袋またはプラスチック箱内にArを上部より流し込み,総ての磨枠操作をその中で行なった 酸素分析討(東レエンジニアリング,LC700M)でプラスチック袋内の酸素分圧が0ル3%以下になるのを 確認した後に,脱気後A r置換した根粒,ポリクラーAT及び緩衝液50mPを水冷した乳鉢中に入れ,すこし ずつ緩衝液を加えをがら乳鉢で磨砕した。磨砕液は4層のガーゼで絞り,エアタイト型の遠心チューブを用 いて,遠心分離(120×g,5分)を行をった。上清液は更七遠心分離し(6000×9,30分)沈殿よりポリ クラーATの白層を注意ぶかく取り除いてバクテロイド画分とした。このバクテロイド画分は,50mgの0.1

MHepes綬轡液pH7・0(1mMリン酸第2カリを含む)と伴に懸濁させ遠心分離(10,∞0×g,30分)

した。この処理を3回線り返し,沈殿を50m2のHepes後衛液pH7.0(1mMリン酸第2カリを含む)に

懸濁してバクテロイド標晶とした。一・定の新鮮豊根粒から得られるバクテロイド量は,調製の度に異をった ため,根粒新鮮畳1gから得られるバクテロイドを1mゼ緩衝液に懸濁して保存し,使用後バクテロイド乾物 重を測定した。バクテロイド懸濁液の保存にあたっては,20mゼ血.滑バイアルに入れ,脱気Ar置換後,直ち に液体窒素中に浸した。この保存条件でバクテロイドは2箇月後80%のアセチレン還元活性を保持していた。 ダイズ根粒からのレグヘモグロビン調製は,Ber、gerSenらの方法にもとづいて行なったが(1),材料として 上述したバクテロイド調製時の磨枠上澄液を用いた。添加したアスコルビン酸ナトリウムによってレグヘモ グロビンが酸化される為,磨枠上澄液は1週間以上は凍結保存しをかった。 2.バクテロイド画分の純度検定 調製したバクテロイド画分の純度,特にミトコンドリアの混入を庶糖密度勾配遠心及びパーコール密度勾 配遠心によって検定した。Fig・2はバクテロイド画分を庶糖密度勾配遠心にかけた結果を示している。

Stepwiseにつけられた庶糖密度勾配の各段階で根粗薗と思われるバンドが観察されたが,ミトコンドl)アに

対応する比重の部分には認められなかった。根粒菌に対応するバンドを光学顕微鏡で観察したところ, gramnegativeの菌体が認められた。各段階の酵素活性を検討.Lたところ,β−ヒドロキシ酪酸脱水素酵素 緒性が,0.1%TritonX−100を測定系に添加した 時に根粒菌に対応する部分に認められた。この酵素は バクテロイド菌体内に認められる酵素と言われており, 菌体外に酵素晴性が殆ど検出出来をい事と合わせて考 えれば, ローム酸化酵素活性は,ミトコンドリアに対応する部 分には,TritonX−100添加時でも,検出出来なかっ た。根粒内にはミトコンドリアに由来する強いチトク ローム酸化酵素活性が検出される事から,バクテロイ ド画分へのミトコンドリアの混入は少ないものと思わ れる。 様々の庶糖密度にバクテロイドのバンドが認められ る事から,Chingらは根粒菌が,freelivingの状況か らバクテロイドヘ分化してゆく現象に対応していると 述べている(2)。

1.Bacteroid(ye1low) 2Bacteroid(paleye1low) 3BacterOid(white)

Figり2The gradient was madein O.05M K・PO4 bufferandcomposedoflOm145%,10m150%, 10m152%,8m157%,8m160%(W/W)sucrose。 Thebacteroidsuspension(.about8ml)waslayerIed

onthegradient.

(4)

香川大学農学部学術報告 第37巻 第1号(1985) 24 ︵J‘.p−Oh30丘叫∈01\pむ∈hO︸ 寸Hバこ含呈㌻言念ち?冨雲致ぎー喜 −Mitochondria −Bacteroid b 0 1 2 3 4 Oxygenconcentration(atm%)

Fig小 4 The acetylene rIeduction activities of bacteroids with succinate(2mM,●−●)and

without succinate(○”・T・−○)was determined underIVar・ious oxygen concentrationsいEach value was themeanoftwoexper・iments.

Fig。3ThegradientwasmadewithOuO5MK−PO4 buffer and composed of 40 mlPer・COIsolution

(peI・COl・60%sucro$e,1:1)onlOm160%sucr・OSe.. Thebacteroidsuspension(about8ml)waslayered Onthegradientい Fig・2で示された各バンドが,その分化の各段階を示しているかどうか未検討であるが,比重の小さいバ ンドほど黄色が強くをり,バクテロイド畳も多くをった。 Fig.3は,パーコール密度勾配遠心法によるバクテロイド画分の分離結果を示している。バクテロイドは広 い比重分布を示したが,単…・のバンドとをった。しかしバンドの上部には黄色の強い部分が認められた。 これは,Fig…2にも示され,バクテロイド画分内でも様々な菌体の存在する事を示しているものと思われ,現在検 討■中である。 3.バクテロイド画分のアセチレン還元活性 Fig.4は,バクテロイド画分標品の示すアセチレン還元活性を示している。従来,Pertersonらによって 喝告された活性値より,800−1200nmolエチレン/10m9バクテロイド事乞物重/時(コハク酸添加時)と,か なり高い値を示した。これはプラスチック袋を用いて磨枠分離時の酸素分圧を低く押さえた事によるものと思 われる。Emerichらの方法では,Arを乳鉢に直接吹きつけて嫌気的環境を形成していたが,その方法では乳 鉢内の酸素分圧は2∼3%と,高い事が確認された。更■に抽出液のDTT濃度を2∼10mMに変えると伴に, アルブミン添加をどを行をいアセチレン還元活性の変化を測定したが,アルブミン添加(1%)によって,約 15%の活性増大が認められたもののDTT濃度は影響を与えをかった。バクテロイド画分にレグヘモグロビン を添加した場合のアセチレン還元活性は約5/JmOlエチレン/10mgバクテロイド乾物重/時となりほぼ新鮮根 粒と同等の活性を示した。レグヘモグロビン添加の効果は活性増大のみでなく,バクテロイドバッチごとの活 性変動を減少させる効果もある事が認められた。 引用文献 (5)Tajima,S。andY.Yamamoto(1977)PlantCell Physiolい16:27ト282. (6)Tajima,S.andT…A.LaRue(1982)PlantPhysiolい 70:388・392… (1985年5月31日 受理) (1)Ber・gerSen,FJ.andG.L小Tur・ner(1975)).Gen. Micr・Obiol。89:31・47

(2)Ching,The May and SLHedtke(1977)Plant

Physiol.60:771・774 (3)Emerich,D..W。,T..R。Argueso,T.M..Chingand H.JいEvans(1979)J。Bacteriol.137:153−160 (4)Peterson,)い臥and T。A=LaRue(1981)Plant Physiol..68:489−493‖

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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