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チッ素質肥料の過用が温州ミカン幼樹の生長ならびに肥料要素吸収におよぼす影響について-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

チッ素質肥料の過用が温州ミカン幼樹の生長ならびに

肥料要素吸収におよぼす影響について−

井 上

宏・明 石 義 尊

Ⅰ緒 口 筆者の一人井上は,温州ミカンの幼樹の砂耕試験においてその栄養生長に関するチッ素の好適施用温度は40ppm 前後にあり(2),160ppmで連年砂耕を続けると2∼3年以内に枝の枯込みがはげしくをり,次第に樹勢が衰え.ること (8)を観察した.チッ素の過剰施用は単に樹体内へのチッ素の過剰吸収を促すのみでなく,他要素の吸収との均衡をく ずして生眉を抑制するにいたるものと考えられる.そこで筆者らは,実際栽培でよく用いられているチッ素質肥料か ら無機質および有機質の数種を選んで,それらを土壌へ過用して生育抑制を起させ,肥料の種類による抑制度の相違 ならびに樹体内の肥料要素吸収状態の相違を調査した. ⅠⅠ実験材料および方法 本実験は,1963年5月から11月にかけて,香川大学虚学部構内のほ場において行なった.すなわち,4月23日に砂 壌土を満した直径30cmの素焼鉢に1年生カラタチ台温州ミカン(杉山系)を1鉢1樹ずつ定植した.チッ素の施用 盈は前もって予備実験を重ねて1鉢8gを標準意とし,過用区として1鉢16gを施す倍患区を設けた.無機質のチッ 素肥料として硫安,化成肥料(硫リン安系)を,有機質チッ素肥料として尿素,油粕およびけいふんを用いて10処理 区とした.これらの区はいずれも,リン酸およびカリの施用盈がそれぞれ16gおよび10.6gになるように過リン酸 石灰および硫酸カリで調節した.各処理区の施肥虞は第1表のとおりである.なお,供試土壌の地力をみるために無 肥料区を加えた.1処理区には4鉢を供試した. 第1表 施 肥 量(1樹あたり) 硫 安 尿 素 化 成 抽 柏 けいふん 過 石 硫 加 N 15..0% P205 15.0% K20 10い0% (N (N 21..0%) 46..0%) (P805 (K20 26.0%) 50.、0%)

g黒M〓 〓一一一一

37 g g g g g 61.5 61.5 g 準盈準盈準急準塵準慮 標倍標倍横倍標倍標倍 く.1 く く .■ノヽl lくtl

〓〓 〓 二

22 22 1 l l l1 0 .2.2.2J 良二 13 硫 安 尿 素 化 成 油 粕 けいふん J.5 諸一 l1 0 66 3 36 36 50 1 一一 48 ︵u仇 48 12 =6・73・3 54 31 00 50 ︵04 84 005 5∩Ⅵ l l l l 46 006 63 25 植えつけの約2カ月前に1鉢50gの苦土石灰を施し,よく土壌と混和した.前記の肥料は7月8日と8月26日の2 回にそれぞれ半盈ずつ分施した.表面施肥を行ない,軽く表面の土壌と混合し,各鉢1Lずつの港水を行をった.第

(2)

1回施肥の前に春棉を芽かきして1樹5本ずつにそろえ,第2回施肥の前には春梢の先端から発生する夏杓のみを残 し,他の夏棺は除去した.秋相も同様に処理した小 実験期間中,鉢内土壌の乾燥のはなはだし.い夏季には隔日に,そ の他は土壌の乾燥の状態をみて1鉢1Lずつ准水を行をった. 11月中旬に掘り上げて新栴伸長盈,地上部の各部(菜・枝・幹),地下部の各部(主根・大根・細板)の生体重を 測定するとともに,それらの・一周ほ乾燥して粉末として,N・P・Kの分析に供した.Nにはガンニング氏変法,P にはモリブテン育試薬を用いる光電管比色計法,Kには焔色光度計法を用いた. 実験開始直前と実験終了時に土壌pHの測定を行なった.すをわち,風乾土1に蒸留水を2い5の割合で加えて,よ くかきまぜ,上澄液をとって日立ホリバガラス電極pHメータ・一により測定した. 第1図 掘 り 上 げ 時 の 状 態

(3)

‡ⅠⅠ実 験 結 果 掘り上げ時の供試樹の状態は第1図のとおりである・これらについて・新梢伸長盈・生体重および樹体各部の肥料 3要素含童率などを調査した. 1.新棺伸長豊

新梢伸長蕊は第2真のとおりで,春枝・裳枝および秋枝について測定した・それぞれの発生時期は5月下旬,7月

第2表 新 杓 伸 長 盈 春 枝 夏 枝 秋 枝 計 Cm 227.4(100) 177.6(78) 222.2(98) 173.6(76) 219.0(96) 208.8(92) 178.6(79) 188.0(83) 176.2( 175..0(77) 136.0(60) Cm l18り8(100) 87.0(73) 120.0(101) 83.8(71) 115.8(97) 98.5(83) 72.2(61) 80.3(68) 65.2(55) 95り1(80) 0(0) Cm 73。7(100) 59.2(80) 70.3(95) 53.2(72) 68.7(93) 62.8(85) 74.0(100) 68.0(92) 75.8(103) 51.9(70) 106.4(144) Cm 34.9(100) 31..4(90) 31.9(91) 36.6(105) 34.6(99) 47..5(136) 32い4(93) 39..4(114) 35り2(101) 28.0(80) 29,8(85) 横倍標倍横倍標倍横倍 ′−−く−1 rく−一11 ′1−くーl ′−Jヽ・−、 − くーl 準意準盈準盈準蓋準星料 硫 安 尿 素 化 成 油 粕 けいふん 肥 無 ′/ 注)()内の数字は硫安標準区の伸長盈を100とした比数 第3表 生 体 重 地 上 部

地 下 部

春梢 夏梢 秋梢 幹 計 主根 大根 細根 討 計

g g g 92.5 244.9 1.65 (100)(100) g g g g 152.4 31..5 81.3 (100)(100)(100) 122.8 29.6 5.9 (81)(94)(71) 7︶8︶ け〇 .9 30007 211︵ ︵ g 6︶l︶ 〇 .3 500U7 614︵ ′し g 5︶︵1.〇︶ “〇 .1 2089 413︵ g ︵ 6︶l︶ ..〇 .3 0078 211︵ 準 竃 7︶0︶ .〇 .2 2040 5151 ︵ ︵

硫安i≡

212.3 1.37 (87) 227.6 2.10 (93) 207.4 1い43 (85) 286.6 1.59 (117) 240.0 1..44 (98) 242.4 1.46 (99) 216.11.69 (88) 214.9 1.58 (88) 205.、9 1.58 (84) 5︶ .7 99 8′−\ 4︶2︶ .9 .2 3759 7︵︵0︵ ︵1.〇︶︵0︶ 1.4 .1 8779 3︵4︵ 5︶4︶ ︵ l l︶0︶ 什6 .9 788︵む 2︵2︵ 8︶9︶ 叩6 =A▲ 299︵‖0 2︵l︵ 8︶6︶ .3 .2 7038 615︵ 154.2 (101) 122.2 (80) 176.1 (116) 141.8 (93) 144小0 (94) 135.9 (89) 131.7 (86) 126.0 (83)

尿素く≡芸

化成く冨…

油粕く芸≡

けいふんく 21.3 42.3 (103)(100) 16.0 32.7 (78)(77) 22..7 46.0 (110)(108) 21.5 37.5 (104)(88) 22.2 48..4 (108)(114) 20.6 39.6 (100)(93) 23.6 46.7 (115)(110) 16.7 42.4 (81)(100) l ︵ ▲X︶︶0︶ .nO ”4 9178 70..7 10.5 134)(119) 64.9 98.2 123)(106) 57.0 98.4 108)(106) 45.6 80.2 (87)(87) 0︶3︶ .5 .3 0968 3︵2︵ 9︶l︶ .2 叩5 82000 212︵ ︵ 5︶7︶ 9︶6︶ け〇 .6 .1 .2 00229 6738 716︵ 4︵5︵ 3︶7︶ 2︶2︶ .︵盲 .5 .7 ●3 2480 2402 11 1 1111 ′−ヽ ′lヽ ︵ ︵ l︶9︶ .2 .2 99500 2︵2︵ 5︶l︶ .2 .3 6129 212︵ 2︶9︶ .〇 .6 399︵0 8︵7︵ 2︶︵0︶ .2 .7 3858 4︵4︵ 8︶9︶ .只︶ ル6 70037 2︵2︵ 6︶8︶ 2︶ 4 .2 .〇〇 1 4019 39 212︵ 2︵ QU︶l︶ ︶ 叩6 .9 00 6556 ︵ 3︵4︵ 74.4166.21.23 (80)(68) 33.2 (63) 91.8 33.7 7.5 (60)(107)(90) 無 肥 料 注)()内の数字は硫安標準区の各部位の生体重を100とした比数 中旬および8月下旬で処理区による差異はほとんど認められ夜かった・ただし,則巴料区では秋枝の発生はみられを かった. 給伸長盈でみると,硫安標準盈区が最大を示したが,尿素および化成肥料の標準盈区とほとんど変らをかった・有

(4)

機質の油粕およびけいふん区ではヤや劣った.それぞれの肥料の標準盈区と倍盈区を比較すると,無機質の二者およ び尿素では明らかに倍畠施用により新棺伸長が抑制されたが,油粕およびけいふん区では抑制が認められなかった. 第1回の施肥時期の7月8日には,すでに春枝の伸長は停止しており,春枝の長短は個体差と考えられるので,絵 伸長見での傾向はすなわち夏秋枝の伸長畠の傾向と叫致し,無機質肥料および尿素では倍塵施用により夏秋枝の伸長 が抑制された.油粕およびけいふん区では倍盈施用により夏枝の伸長が抑制された代りに,秋枝の伸長が幾分良かっ たために,総伸長畠で抑制をみない結果となった.なお,尿素の倍量区の夏実にど・コ・・−レットの専が認められた. 2.生 体 霊 地上部および地下部の各部の掘り上げ時の生体重は第3真のとおりである.

舶品

0 4 2 0 4 2 0 4 2 0 ・ けいふん区 無肥料区 硫 安 区 尿 素 区 化 収 区 油 粕 区 けいふん区 無肥料区 硫 尿 化‡山 安 楽成 粕 硫尿 化 さ山 けいふん区 無肥料区 安 来 成 区.区区 (対乾物%) 率 有 含 素 要 3 図 2 第

(5)

総生体重での傾向は前述の総伸長蓋での傾向と−・致し,無機質肥料区および尿素区では倍量施用により生体重が劣 った㊥ これらの現象を樹体の部位別に観察すると,地下部,中でも細根孟(直径2mm以下)にはまったく肥料過用 の影響は認められず,むLろ地上部,とくに夏棉,秋棉重および幹重に生長抑制が明らかであった.このことは,T 榊R率の低下からもうかがえる.油粕およびけいふん区でも倍盟施用により各部の生体重は幾分劣ったが,そ・れが一 棟であったためT−R率の低下は認められなかった. 3.樹体の肥料成分含有率 11月中旬に掘り上げた際に採取Lて分析した樹体各部の3要素含有率(対乾物%)は第2図のとおりである. −・故に硫安区と抽柏区のN含有率が他の区よりも高く,尿素区のそれが低かった.各肥料とも倍量施用により,い ずれの部位にもN含有率の増加をみたが,その増加幅は硫安区で最大であった.とくに,その傾向が糞および細根に 顕著に認められた. P含有率は化成肥料区において高く,尿素区において低かった.倍盈施用によるP含有率の増減の傾向は部位によ って必ずしも−・致しをかったが,地上部の各部位でやや高いか変らず,地下部でヤや低かった.チノ素質肥料の施用 畠にかかわらず,P含有率は細根で他の部位よりも高く,とくに油粕区で著しかった. チッ素質肥料の秤類によるK含有率の相違はほとんど認められをかったが,倍盈施用によって大部分の区ふよび部 位においてK含葡率の低下がみられた. 4.樹体の3要素含有盈ならびに施肥による3要素吸収量 第2表の唾体重と乾物割合から鈴出した各部位の乾物盈を基準として,前述の3要素含有率を乗じ,1樹あたりの 3要素含有蒐を算出すると第4衷のとおりである. 第4表 3 要 素 含 有 患 1樹あたり3要素含有意 乾物重 N P mg mg 206(1.0) 2,160(10−9) 180(0い7) 1,850(7り6) 163(1.0) 1,963(11.6) 149(0.8) 1,753(9い5) 218(1い0) 2,394(11.2) 208(1′√0) 1,907(9日0) 235(1.0) 2,034(8‖7) 195(0小9) 1,770(7い9) 166(0‖9) 1,875(10.3) 151(0り7) 1,789(8.1) 111(1.0) 1,446(12い4) mg g lOl,.1 1,984(10) 83小7 2,425(10) 91.0 1,698(10) 83い4 1,849(10) 1103 2,141(10) 88.5 2,127(10) 93。7 2,325(10) 80‖4 2,247(10) 84∩2 1,飢6(10) 79い4 2,210(10) 71.5 1,164(10) 硫 安く諾

尿 素頂

化 成く琵 油 粕〈諾 け帖んi賃 準 _lミl。 よ且 急 準 盛 準 蒐 準 無 肥 料 の含有量を10とした比数 注)()内の数字はそれぞれの区のN N含有患は標準蓋区では化成肥料および油粕区で他の区より大であったが,これらの区では倍盃施用によっても含 有丑はほとんど変らをかったゆ硫安,尿素およびけいふん区ほいずれも,倍鼠施用によりNの含有鼠を著しく増加さ せた..PふよびK含有東は化成肥料お皐び油粕区で他の区よりも多かったが,倍哀施用によりすぺての区で標準旗区 より少なくをった. いま,それぞれの区のNの含有塩を10としてP,Kの割合をみると,硫安,尿素およびけいふん区では倍量施用に よりPの含有割合を減じているが,化成肥料および油粕区ではほとんど変らをかった.→・方,KのNに対する割合は 倍塩施用によりすべての区で減少を示した. 同一土壌で酬巴料で栽培した無肥料区の3要素含有盗は肥料処理樹の掘り上げ時の時点における天然供給立と一応 考えられるので,第4表の各区の3要素含有鼠から鯉肥料区の3要素含有丑を差引き,施肥による3要素吸収塁を静 出した(第5表)・これによると,N,PふよびKの関係が第4表よりさらに明瞭で,チッ素質肥料の倍量施用によっ てNの吸収孟の増加しない化成肥料および油柏の両区ではPのNに対する吸収割合の低下はみられをかった.一・方, −

(6)

Kはチッ素の倍量施用により,吸収嵐の絶対盗でもNに対する吸収割合でもすべての肥料区で著しく低下した. 第5表 施肥による3要素吸収曳(1樹あたり)

N

P  ̄ mg

二・

ー =・ニ ーニ こ、ニ.

・・こ・‥;享!.、.ご−・二

…− . − 1 ;L・−・こ;;・;−・∴ こ :

油 粕〈賃 芸

1 一 け帖んく賃 芸 1, 注)()内の数字はそれぞれの区のNの吸収竃を10とした比数 5・土 壌 の pⅡ 実験開始直前の土壌pHは6‖5であったが,実験終了時にはチッ素質肥料の種類により,また恩によりかをり変化 した(第6表).すなわち,硫安および化成肥料区では土壌pHの低下をみたのに対し,油柏およびけいふん区では, ほとんど変らないかまたは幾分高くなった.前二者では,倍量施用により著しい低下を示した“ 第6真 実験終了時の土壌pH 土壌pH

硫 安く窯 業

尿 素〈窯 業

化 成〈琵 霊

油 粕く質 慧

けいふんく諾 霊 触 肥 料 6で6 ⅠⅤ 考 察 まず,本実験におけるチッ素施用認の適否について考察してみると,いずれの肥料の倍量施用区の生長景も明らか に標準良区のそれより優れていをかったところから,チッ素過用の影響をみる本実験の目的に沿った施用鼠であった と考えて差支えない.また,第2図の容尭のN含有率からみて,標準区は各肥料とも佐藤ら(6)の述べた好適含有率の 範囲にあったが,倍虫区では明らかに過剰の含有率を示した= ただ,供試した化成肥料(N15%,PBO515%,K20 10%)の要素盈で施用昆を揃えたために,リン酸施用丑が16gと多蒐になり,標準還区では施用チッ素遺の2倍にも なった.これが,樹体とくに細根内のP含有虫を高めた原因と思われる小 チッ素の倍丑施用により,生長の抑制をみたにもかかわらず,硫安,尿素およびけいふん区ではいずれも樹体内に Nの吸収量の増加をみた.仙方,化成肥料および油粕区では増加を認めなかった.本実験のチノ素質肥料には有機質 および無機質を用いたので,樹体への肥料要素吸収に遅速があることは当然考えられる.施肥時期が7∼8月で高温 であり土壌も常に適温に保ったため,有機質の分解が早く,他の時期ほどの吸収の遅れはなかったと思われるが,油 粕やけいふん,とくに後者の標準屈区での生長盈が硫安区などに劣る原因になったとも考えられる.このことは,施

(7)

肥の影響を直接受けた夏枝や秋枝の生長盈に良くあらわれている. 肥料を過用した場合には,土壌溶液感度が高まり,細根が枯死すると云われる.FoRDら(1)は,フロリダ州中部の 砂壌土の園でラフ・レモン台のバレンシアオレンジの5年生樹を用い,毎年チッ素を多用した場合の細根(直径2mm 以下の根)の発生孟を観察したが,6年後の調査で土壌表面から10インチの探さの間の細根丑はチッ莱少盈区の的60 %であった.本実験ではチッ素肥料の倍盈施用により地上部の生長の抑制はみられたが,地下部は細根を含めて何ら の生育障専も認められなかった.これは本施用蒐の程度では,細根の発生を抑えたり,発生した細根を傷める土壌溶 液浪度に達しなかったためと考えられる.この実験結果からみて,チノ素の施用毘が増加した場合,細根の発生を抑 制する施肥盈以7■の盈で,地上部の発育を抑えるのではないかと思われる. 温州ミカン苗木の生育の好適土壌pHはこ6前後であるとされている(4・5).本来験は5種類のチッ素肥料の過用が樹 体の生長反応におよぼす影響をみるのが目的であったので,あえて土壌pHは調節しなかった.当然,酸性肥料であ る硫安や化成肥料区で,土壌pHの低下をみた.倍量区ではとくに著しかった.土壌pHを調節して,本実験と同様 な実験をした場合には,異なる結果が出るかも知れをい.土壌pHとチッ素肥料の形態を組合せて温州ミカンの苗木 の生長におよほす影響についてみたYIJDAら(7)の報告によると,NH4−N区でNO8−N区にくらべて生育が優れ,好 適土壌pHは後者におけるよりもゃや高い価を示した.しかし,カリ肥料の形態(KClとKgSO。)によって好適土壌 pHは変らなかっ■た(8)仙 Ⅴ 摘 要 1.チッ素質肥料の硫安,化成肥料,尿素,油粕およびけいふんを用い,それらの過用が1年生カラタチ台温州ミ カンの生長をらびに肥料要素吸収におよぼす影響を観察した.標準区として素焼鉢(直径30cm)1鉢あたりのチッ 素を8g,倍盈区として16gを7月上旬と8月下旬の2回に半量ずつ分施した.リン敢およびカリの施用蒐はそれぞ れ16gと10..6gとした. 2.倍虚施用により,いずれの肥料でも地上部の生長が抑制されたが,細根を含め地下部への影詳は認められをか った.この傾向は硫安および尿素で著しかった. 3.倍澄雄用により,硫安,尿素およびけいふんでNの吸収蕊が増加したが,化成肥料および抽柏では増加しなか った.樹体内のNの吸収盈に対するP,Ⅹの割合をみると,倍盈施用によりいずれも低下した. 4.夷験終了時に土壌pHを測定したところ,無機質肥料区ではいずれもpH価の低下をみたが,倍史区でとくに 著しかった. 文 (1)FoRD,HW.,REULⅢER,WりSMIT王王,PF.:アr〃J dm肌5〃J肋rJぶJi,70,237−244(1957). (2)井上 宏:香川大学農学部学術報告,22(2), 83−91(1971) (3)井上 宏:農業および園芸,46(1),59−60 (1971) (4)井上 宏,遠藤敏夫,三重野岳:園芸学会昭和 37年度秋季大会研究発表要旨,18(1962). 献 (5)小林 帝,熊代克巳,北川博敏:腰業及園芸 33(7),1083−1084(1958) (6)佐藤公一・,石原正義,原田良平:農技研報告 E3,187−205(1954) (7)YuDA,E,OKAMOTO,Sn:Jour.JaP.Soc.Hort. ぶ(ま,,34(3),177−186(1965) (8)YuDA,E.,OKAMOTO,S.:Jow.]砂Soc.HoTi 銑盲・,35(1),19−28(1966).

EFFECT OF OVER−FERTILIZATION WITH NITROGEN ON THE GROWTH

AND NUTRIENT ABSORPTION OF YOUNG SATSUMA ORANGE TREES

HiroshiINOUE andYoshitakaAKASHI

Summary

(8)

yearNOldSatsumaorangetreeswasobservedin1963い NitrogenWaSSuPPliedthroughtheforms

ofammoniumsulfate,?OmpOundfertilizer,urea,Oilcakeandchickenmanur−e(driedexcretaof

chicken)whichwereusedextensivelyforcitruscultureinJapan・

TwoNlevelswereusedinthisexperiment・Standard−Plotsreceived8gramSOfactualNper

ung1azedpot(30cmindiameter)filledwithsandyloam・・HighNplotsreceived16gramsof

actualN。A11potswereaqjustedtoreceive16gramsofactualP205andlOい5gramS Ofactual

K20fiOmtheabove−mentionedf奴tilizers)Calciumsuper−Phosphateandpotasiumsulfate小 The

ftrtili2=erSWereaPPliedbyhalvesinearlyJulyandlastAuguSt

ThehighNlevelsofallplotsdepr・eSSedthegrOWthofthetopoftrees,butdidnotefftctonthe

roots・Thesetrendsweresignificantinammoniumsulfateandurea

ThetreesinthehighN−1evelplotsofammoniumsulfate〉ureaandchickenmanureshowed

increasedaccumulationofnitrogenり Compoundftrtilizerandoilcakeplotswerenotin飢1enCed

TheratiosofPandKtoNaccumulatedin trees werelowerat the highNlevelthanthoseat

thestandardlevel

ThesoilpHvaluesdecreasedsjgniacantlyinbothammoniumsulfateandcompoundfhtilizer

plotsinthehigh−Nlevel

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