• 検索結果がありません。

70-5 菅野

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "70-5 菅野"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Copyright

©

2005, JAPT 講   演 1. は じ め に 近年,生産井やサービス井へのスルーチュービングで の坑井作業が増加してきている。これはプロダクション チュービングを抜管することなく小径のコイルドチュー ビングやワイヤーラインツールスを使用するため,作業 日数の短縮,リグを必要としないなど,安価に作業がで きるためである。しかし,万一トラブルが発生した際に はその小径さゆえに物理的・技術的に非常に難しい改修 作業となり,最悪のケースでは大事な坑井を廃坑に至ら しめることになりかねない。本講演では昨年当社が北海 道勇払油ガス田で実施したスルーチュービング改修作業 について,計画および成功裏に終了した実際の作業内容 を紹介する。 2. 改修作業に至るまでの経緯 勇払油ガス田は北海道苫小牧市東方約10 km に位置 する国内最大級の油ガス田である(図1)。その地質構 造から南勇払,沼ノ端,あけぼの地区と区分され, 1988 年の南勇払SK-1 号井以来これまでに 13 坑の坑井が掘ら れている。今回改修作業を実施した「あけぼのSK-2D」 * 平成 17 年 6 月 1 日,平成 17 年度石油技術協会春季講演会作 井部門シンポジウム「改修と仕上げ技術∼坑井の健全性確立 への取り組み∼」で講演 This paper was presented at the 2005 JAPT Drilling Symposium entitled “Workover and well completion technologies ∼The current and historical approach for trouble free well completion ∼”held in Tokyo, Japan, June 1, 2005.

** 石油資源開発㈱ Japan Petroleum Exploration Co., Ltd.

勇払油ガス田∼あけぼの地区における

スルーチュービング改修作業

*

菅 野   俊

**

(Received July 24, 2005;accepted September 2, 2005)

Thru-tubing workover operations in Yufutsu gas fi eld ∼ Akebono area

Satoshi Kanno

Abstract: Japex did the workover operations in Yufutsu gas fi eld, Hokkaido in 2004. It was an unique and

challenging workover operations. The well had been suspended because more than 3,500m of 1.25in coiled tubing was left in 3.5in production tubing. This well had to be stimulated due to the damage of reservoir, so the coiled tubing must be retrieved prior to stimulation. The situation was very serious because of the narrow annulus of the string, so selection of the pipe and tool size were restricted, accordingly the yield strength of such macaroni pipe and tools were so weak. After an examination, the plan was made to retrieve the coiled tubing from inside of 3.5in production tubing by using 1.9in work tubing, thru-tubing fi shing tool and slim-hole wireline tools. This operations were performed by drilling rig in case of contingency.

Wireline chemical cutter was one of the key tools in our program. Unfortunately it was not working properly so we abandoned to use it and change the plan to swallow the coiled tubing with continuous overshot and 1.9in work tubing. Continuous overshot made an excellent progress and almost all the coiled tubing was retrieved from the well. Then the well was circulated and cleaned with brine, the operation was done in the budget.

Stimulation was performed in April, 2005, as a result, productivity was improved substantially and this project was completed successfully.

Key words: thru-tubing, coiled tubing, work tubing, continuous overshot, wireline chemical cutter, contingency

(2)

号井は, 1994 年から 1995 年にかけて深度 4,703 m まで 掘削され, DST(Drill Stem Test)にて十分な生産能力 を確認した後,サスペンドされていた坑井である。2001 年に仕上げ作業を実施しフローテストを行ったところ, 生産能力・ダメージともに著しく悪化していることが判 明した。この原因はDST 作業後貯留層が長期にわたっ て泥水に晒されたためダメージが発生したと判断し,酸 処理作業を実施することとした。しかしながらフローテ スト後に実施したスリックライン作業の結果,主要生産 区間が坑内沈殿物で埋没していることが判明した。この ため,コイルドチュービングにてブラインを循環し沈殿 物を回収することとし, 2002 年にコイルドチュービン グにて坑内洗浄作業を実施した。 この作業ではいったんコイルドチュービングをボトム まで降下し,沈殿物( 主にバライト ) を回収しながらプ ロダクションチュービング下端まで巻き上げたものの, 坑内洗浄が不十分と判断し再度ボトムまで降下した。引 き続き坑内洗浄を継続していたが,その巻上げ中に揚 荷重が増加し,強引しながら巻き上げていたところコ イルドチュービングが破断し, 3,500 m 以上のコイルド チュービングを坑内に遺留した。 約半年後に,フィッシングツールなどを準備して採揚 作業を実施した。オーバーショットを用いることにより 遺留したコイルドチュービング下端からの循環は可能で あろうとの判断に基づき,同サイズのコイルドチュービ ングを動員して作業に臨んだものの,循環することがで きず,さらにオーバーショットまで遺留してしまった。 3. 作 業 計 画 3.1 坑内状況の推定 改修作業前の坑内図を図2 に示す。プロダクション ケーシングは9-5/8″および 7″ライナーで,パーマネン トパッカーに3-1/2″チュービングを差し込んだ 1 ストリ ング1 パッカー仕上げである。特記すべきは,深度 95 m および 4,123 m にランディングニップルがあり内径が 小さくなっていること,コイルドチュービングの上端に オーバーショット編成を遺留しており,その内径が非常 に小さいことである。その他,それまでの作業で得られ た情報は,(1)スリックライン作業時 4,530 m でタグし, バライトサンプルを回収している,(2)コイルドチュー ビング切断前の浚い中にバライト混じりのブライン1.5 m3回収している,(3)コイルドチュービング先端から の循環ができない,(4)コイルドチュービングとプロダ クションチュービングのアニュラスには圧入可能,と いったものであった。これらの状況から判断して,コイ ルドチュービングは7″ケーシング内でバライトの沈殿 によって抑留されていると推定した。 3.2 作業方針 このような状況を踏まえ,さまざまな観点から検討を 重ね,以下の作業方針をたてた。 (1)3-1/2″チュービング内でコイルドチュービングの回 収に努める: 寸法上はコイルドチュービングを坑内 に残したまま3-1/2″チュービングを引き抜くことは 可能であったが,そうするとコイルドチュービング が9-5/8″ケーシング内でバックリングを起こし,と ぐろを巻いた状態になり作業はより困難になること 図1 勇払油ガス田の位置

(3)

が予想されたためである。 (2)1.9″ワークチュービングを使用する(5,000 m 分新 規購入):これはコイルドチュービングを使用した 場合,先端から循環できない状況のため強引して引 き千切るしか方法は無く,その際オーバーショット 直下で切れる可能性が高い。コイルドチュービング の寿命を考えると何回も揚げ降げできないため現実 的な方法ではない。また2″以上のコイルドチュー ビングではコネクターのサイズがランディングニッ プル内径より大きくなり物理的に使用できないため である。3-1/2″チュービング内で使用可能なワーク ストリングを表1 に示す。ワークチュービングでは サイズ的に1.9″と 2.06″がある。検討の結果どちら も一長一短であったが,最終的にハイドロリクス(コ イルドチュービングをすべて回収した後ボトムまで ウォッシングする際のECD(Equivalent Circulation Density))の面で有利な 1.9″を選択した。 (3)リグを動員する:ワークチュービングを使用するな らスナビングユニットを用いるという選択肢もあっ た。しかし国内に動員可能なユニットが存在せず, 海外から動員する必要がありコスト的にメリットが 無いこと,作業上どうしてもキルウェルする必要が あり圧力下で作業できるというスナビングユニット の利点が生かせないこと,さらには3-1/2″チュービ ング内での回収がうまくいかず, 3-1/2″チュービン グを回収して6″ビットでボトムまで浚うというコ ンティンジェンシープランに移行するとなるとどう してもリグが必要になることから,はじめからリグ 図2 改修作業前坑内図1 3.5 ″チュービング内で使用可能なワークストリング一覧

Size Lbs/ft Grade Conn. ID [in] Conn.OD[in] Conn.ID[in] Yield [tf]tensile

Coiled Tubing 1.25" -1.331.17 QT-800Taper string 1.03-1.06 12.5 1.50" -2.241.84 QT-800Taper string 1.19-1.25 19.6 1.75" -2.942.31 QT-800Taper string 1.40-1.48 24.7 2.00" -3.903.41 QT-800Taper string 1.59-1.65 36.4 2.375" 4.11-4.71 QT-800Taper string 1.97-2.03 43.9 Work Tubing 1.9" 2.9 P-110 Hydril-CS 1.61 2.113 1.53 40.0 2.06" 3.25 P-110 Hydril-CS 1.751 2.295 (SC) 1.70 46.7

(4)

を動員することとした。

(4)作業開始前にキルウェルし,クリスマスツリーマ スターバルブ上にBOP(Blow Out Preventer)を積 み上げる:リグフロア高さから,積み上げられる BOP の数が制限された。下から 1.25″スリップラム, 1.9″パイプラム,シアーラム,ブラインドラム, ア ニュラーを積み上げた。サイズは4-1/16″ボアで, 耐圧69MPa の BOP を海外から動員した(図 3)。 (5)スルーチュービングフィシングツール,コイルドチ ュービング用ワイヤーラインケミカルカッターにて 遺留コイルドチュービングの切断,回収を行う:上 記BOP,スルーチュービングフィッシングツール, 1.9″ワークチュービングハンドリングツールなどを パッケージでレンタルサービス契約を結んだ。コイ ルドチュービング用ワイヤーラインツールは,大径 用ワイヤーラインツールと異なり日常的に使用され ている製品ではない。このためサービスカンパニー を通じて世界中探したところ, PRS(Pipe Recovery System)社が製作していることが分かり,ようやく 動員することができた(図4)。 (6)作業フローチャートを作成し,机上演習にて想定し うるトラブルを洗い出し,それに対するコンティン ジェンシープランの作成および必要な資機材の準備 を行う。 3.3 具体的な作業手順 順調に推移した場合の作業手順は以下のとおり。 (1)キルウェル

(2)MHA(Motor Head Assembly)プリングツールにて フィッシュ捕獲

(3)強引にてコイルドチュービングを引き千切りオー バーショット編成回収

(4)Continuous Overshot にてコイルドチュービング捕 獲,テンションをかけてスリップセット

(5)ワイヤーライン FPI(Free Point Indicator)にて抑留 深度推定 (6) パ ッ カ ー 付 近 で ワ イ ヤ ー ラ イ ン CHC(Chemical Cutter)にて切断 (7)切断深度より上のコイルドチュービング回収(リグ フロアにてコイルドチュービングを切断しながら) (8)Continuous Overshot にて残留コイルドチュービング を再捕獲,強引にて全遺留コイルドチュービング回 収 (9)1.9″ワークチュービングにてボトムまでウォッシン グ (10)酸処理実施 ここでContinuous Overshot について説明する。これ はワークチュービングなどの冠浚管とともに降下し,遺 図3 4-1/16″ 10M BOP stack

(5)

するとグラップルが利いて捕獲することができる。短冊 状の8 枚のカッターはシアピンで固定されており,その シア強度は通常コイルドチュービング破断荷重の80% に設定されている。よって破断荷重の80% まで引張ら れた状態でカッターが作動するので,コイルドチュービ ングは容易に切断できる。またその切り口は少し内側に すぼまるもののクリーンなプロファイルとなる(図5)。 3.4 コンティンジェンシーツールス コンティンジェンシープランに備えて準備した資機材 は以下のとおり。 (1)3 種類の MHA 回収ツール:遺留オーバーショット 編成を回収しないことには作業が先に進めないた め,念には念を入れてバックアップを準備した。具 体的にはスピア,オーバーショットなどである。た だしオーバーショットを使用するためには深度95 m のランディングニップルを削る必要があった。 (2)各種の小径ミル (3)作業流体(ブライン)に添加するフリクションリ デューサー:ワイヤーラインケミカルカッターが上 手く作動しない場合, 1.9″ワークチュービングをウ ォッシュパイプとしてコイルドチュービングを呑み 込ませる。その際発生する摩擦を低減させるための もの。 (4)十分な量のブライン:フラクチャータイプのレザ バー,および狭いアニュラスに起因する高いECD によって,ブラインでは容易に逸水することが予想 されたため。 (5)再仕上げ機器:再仕上げに必要なチュービング,パ 4. 実 作 業 本改修作業は2004 年 7 月から 8 月にかけて,坑内作 業25 日間(坑内クリーンフロー含む)で実施された。 以下,作業の流れに沿って内容を紹介する。 4.1 キルウェル 生産層がダメージを受けているとはいえ高圧のガス井 であることに変わりは無く,作業前の坑口圧力は35MPa ありドライガスシャットインの状態であった。抑圧流 体には1.40 sg の NaCl/NaBr ブラインを用い,コイルド チュービングと3-1/2″チュービングのアニュラスにブル ヘッドした。 坑内容量分をポンプしてはガスを上方へ置換させ,ガ ス抜きをしながらの作業となった。坑内容量28m3に対 し総圧入量80 m3 ,計 3 回のブルヘッドにて抑圧を完了 した。抑圧にかかった時間は42 時間であった。 4.2 遺留オーバーショット編成回収作業 遺留オーバーショット編成の最小内径は0.39″しかな く,ワイヤーラインツールが通過できない。この編成 を回収しないことには内側からも外側からもコイルド チュービングにアクセスできない状況であった。オー バーショットはフローリリースタイプであり,ポンプす れば内部のピストンが動いてリリースされるはずであっ たが,遺留時にはポンプしたもののリリースできず,編 成上部のMHA ハイドロリックディスコネクトから逃げ てきている。その際,なかば強引にディスコネクトして おり, MHA のプロファイルがダメージを受けた可能性 があった。 このように楽観できない状況下での回収作業であった

(6)

が,用意したMHA プリングツールは一発でプロファイ ルにラッチし,推定切断荷重(22.5 ∼ 25.2ton)内の 23.5 ton でコイルドチュービングを切断,オーバーショット のグラップルが掴んでいたコイルドチュービング3 cm を回収できた。 4.3 ワイヤーライン作業 ワイヤーラインを降下するためにはトップオブフィッ シュを掴みなおす必要があった。Continuous Overshot を 1.9″ワークチュービングにて降下し,捕獲後テンショ ンをかけてリグフロアにてスリップセット, 1.9″ワーク チュービング上にワイヤーラインBOP をリグアップし た。表2 に示すように計 6 回ワイヤーラインを降下する こととなった。 4.3.1 ダミーゲージ降下 最初のダミーゲージがトップオブフィッシュで通過し なかった理由は,リグフロアのスティックアップの都合 上8 m 程コイルドチュービングを呑み込ませていたため に,反っているコイルドチュービング上端部が1.9″ワー クチュービング内の中心に位置していなかったためで あった。よって2 回目は 1 m 弱呑み込ませた時点で捕獲 し,首尾よく中心に位置させることができた。ところが Continuous Overshot による切り口が少しすぼまっていた ためにダミーゲージが通過せず,急遽現場でスリック ラインツールを加工してスエージングツール(矢じりの ようなもの)を製作し, 50 回程度のジャーリングを行 い入り口を広げることに成功した。その結果3 回目のダ ミーゲージは負荷なくトップオブフィッシュを通過し, 4,470 m まで降下することができた。ツール自重が軽い こと,深度が深くなるほど大きくなるドラッグによっ てそれ以上の降下は無理と判断し, FPI の降下へ移行し た。 4.3.2 FPI および CHC(1 回目) FPI を降下しながら数箇所で測定した。Continuous Overshot のシア強度の制限から,質の高い測定データを 得るための十分なオーバープルを与えることができな かったものの,測定深度以浅はフリーであることが確認 され,推定どおり7″ケーシング内の深度 4,465 m 以深で 抑留されていることが判明した。 CHC を降下し,当初の計画どおり深度 4,000 m にて発 射したものの,地表ではテンションの変化が全く見られ ず,巻き上げようとしたところツールが抑留しているこ とが判明した。さらに1.9″ワークチュービングをピック アップしてもコイルドチュービングが切断された兆候が 無かった。このため離脱すべくさまざまなことを試みた が,最終的にはワイヤーラインのウィークポイントで切 断しツールを置いてくることになった。 4.3.3 CHC(1 回目)不成功の原因 前述したようにコイルドチュービング用CHC は一般 的に使用されている製品ではない。深度4,000 m での坑 内環境は,圧力55MPa,温度 132 ℃であり,それに対し てPRS 社のリコメンドは,圧力 35MPa,温度 135 ℃と いうものであった。しかし過去に55MPa の圧力下でも 成功した実績があり,成功確率は50 ∼ 75% 程度であろ うとのコメントをもらっていた。このため当方も十数回 発射できる数量のCHC を準備していたのだが,まさか ツールが抑留するとは思ってもいなかった。その後受領 した報告書によると,ツール抑留の原因は以下2 点であ る。(1)ツール・スリップ機構のデザイン上の問題:発 射と同時にスリップが飛び出てコイルドチュービング内 壁に利き,発射の反動を抑えてケミカルを同じ箇所に的 確にスプレーする仕組みであるが,スリップがツールボ ディとコイルドチュービング内壁とのクリアランスに嵌 まり込みやすい形状をしていた。また,スリップが必要 以上に飛び出すデザインであった。(2)ツールサイズの 問題:コイルドチュービングはテーパーストリングのた め,深度が深くなるほど肉薄,つまり内径が大きくなる。 1.25″コイルドチュービング用 CHC のサイズは全部で 3 種類あり,遺留コイルドチュービングの内径に合うツー ル外径は13/16″もしくは 7/8″の 2 種類である。7/8″では コイルドチュービング上端を通過しない恐れがあったた 表2 ワイヤーライン作業 Run

No. Description Results

1 13/16″OD Dammy Gauge TOF通過できず巻き上げ→Continuous Overshotで切断 2 13/16″OD Dammy Gauge TOF通過できず巻き上げ→Impression Blockで中心にあ

ること確認,Swaging Toolにて修正

3 13/16″OD Dammy Gauge 4,470 mまで降下(Tool重量が軽いため,それ以深は危険と判断) 4 Slim FPIT 11/16″OD 4,465 m以浅はFreeであると推測

5 13/16″OD Chemical Cutter @4,000 m Fireするも切断できず,さらにツール抑留→Wireline Weak Pointにて切断

(7)

1 回目でコイルドチュービングを切断できなかったこ とから,坑内圧力,温度ともに低い深度で確実に切断 できることを確認するため, 1,300 m で切断を試みるこ とにした。しかし結果は,地表でのテンションの変化は 見られたものの切断できなかった。1 回目の CHC には 3 枚1 組のスリップを 2 組使用して抑留されたため, 2 回 目では1 組しか使用していなかった。これが原因でツー ルがしっかりと固定されず,ケミカルが一箇所に的確 にスプレーされなかったのではないかとの報告を受けて いる。 後に,回収した深度1,300 m および 4,000 m のコイル ドチュービングを割ってみたところ, 4,000 m では内壁 にケミカルがスプレーされたような痕跡が残っていた が, 1,300 m ではまったく見当たらなかった。 4.4 Continuous Overshot による回収作業 CHC が 不 成 功 に 終 わ っ た こ と か ら, Continuous Overshot にてコイルドチュービングを呑み込ませて回収 することにした。当社の海外の坑井で,遺留した1.5″ コイルドチュービングを5″ドリルパイプで呑み込ませ て回収した事例があった。その時は, 200 ∼ 300 m も呑 み込むとコイルドチュービングと5″ドリルパイプ内壁 との摩擦によるドラッグが著しく増加し,ドラッグなの かオーバーショットより下部のコイルドチュービングが バックリングしているのか判断がつかず,それ以上の呑 み込みは断念していた。今回は小径の1.9″ワークチュー ビングを使用することに加え, 3.5″チュービング内での 作業のため,ワークチュービング内外からの摩擦は相当 なものになるであろうと予想していた。 しかし,実際に呑み込ませてみると表3 に示すように コイルドチュービング回収長が564 m, 741 m, 829 m と なり,作業が大きく進捗した。これはクリアランスの 狭さが逆に効を奏し,反っているコイルドチュービング ポリマー)を添加したブラインを送入しているが,ほと んど効果は無かった。真っ直ぐなもの同士の摩擦なら, ある程度効果はあるかもしれないが,元々反っているコ イルドチュービングでは摩擦によるドラッグよりも,そ の形状の影響,つまり反っている状態に戻ろうとする力 が大きいためと考えられる(図6)。図 7 にフックロー ドのグラフを示す。呑み込む限界に達すると急激にドラ グが増加しているのが分かる。作業中はこのようにフッ クロードをプロットし,呑み込みの限界を判断していた。 シアピン強度から推定された切断荷重は, 9.3 ∼ 13.9 ton であった。表 3 の切断荷重はほとんどがそれを下回っ ているが,その理由としては, Run No.5 以外は切断する 前に管動して抑留箇所からの離脱を試みていたためシ アピンが弱くなったと考えられる。また,切断荷重が 0.1 ton のオーダーまで読み取れている理由は,小径パイ プでのオペレーションであったため繊細な操作が必要に なることを予想し,通常のウェイト・インジケーターに 加えて,ロードセルの圧力をデジタルに変換した荷重計 を準備していたことによる。これが非常に有効に働き, 例えばオーバーショットがトップオブフィッシュにタグ した時など0.1 ton の変化を読み取ることができた。 Run No.6 では 3,960 m まで呑み込んだ時点で切断・回 収することにした。この理由は, 3.5″チュービングの外 には出たくなかったこと,および遺留しているCHC よ りも深い位置で切断すると,切断時あるいは揚管時に CHC が坑内に落下してその後の作業に支障をきたすこ とが懸念されたためである。切断荷重が若干低かったも のの,それまでの切断作業と大きな変化は無く揚管を開 始した。その結果オーバーショット下のコイルドチュー ビングも回収していることが判明し,回収長は1,390 m となった。それまでの回収長を合計すると切断事故時 に報告されていた3,527 m よりも長い 3,533 m となった。 表3 Continuous Overshot 作業 Run

No. TOF[m] 自重外切断荷重[ton] CT回収長[m] Remarks 1 1,124.37 8.4 7.78 Wirelineを通すための作業 2 1,131.12 7.6 0.68 Wirelineを通すための作業 3 1,132.06 8.7 564.00 4 1,700.60 8.5 741.00 EZドリル添加ブライン送入 5 2,441.07 9.7 829.00 Brand-new Tool,切断前に管動せず 6 3,268.90 7.8 1,390.58 C/O上690.7 m+下699.88 m(実測値)

(8)

これによって,ボトムに付いているはずの1.6 m の BHA (Bottom Hole Assembly)は回収できなかったものの、遺 留コイルドチュービングのほとんどは回収できたと判断 した。 Run No.6 で幸運にもほとんどのコイルドチュービン グを回収することができたわけであるが,現場,鉱業 所および本社ともにこの時点で回収できるとは思って いなかった。次の作業手順として,もう一度Continuous Overshot をバライトなどにタグするまで降下し残留コイ ルドチュービング全ての回収を試み,回収できなければ その深度で切断,スルーチュービングでの7″ケーシン グ内の採揚は難しいため3.5″チュービングを抜管しパッ カーを切削・回収, 6″ビットでボトムまで浚うという シナリオを考えていた。ただしこのシナリオはパッカー をうまく回収できるかどうか,坑内に大量のジャンク が残った場合どうするか,重量のある5″や 3-1/2″ドリ ルパイプを用いてコイルドチュービングをバックリング させずに繊細な採揚作業ができるかといったリスクがあ り,最悪サイドトラックできる余地を残してこの坑井を サスペンドするというケースも想定していた。 4.5 坑内ウォッシングおよび坑内クリーンフロー BHA と多少のコイルドチュービングがまだ坑内にあ ること,バライトが沈殿している可能性があることから, 抑留される危険の少ないシンプルな編成,具体的には 1.9″ワークチュービングにオープンエンドのガイドを付 けた編成を降下した。3.5″チュービングを出てから, 7″ ケーシング内をシングルジョイントごとに管動して揚降 荷重を確認しながら慎重に降下した。深度4,659 m にて タグし,循環しながら管動していたところ突然負荷がな くなった。深度的にみても,これは遺留BHA にタグし, 突き落としたものと考えられる。以降,負荷も無く目的 深度まで降下し坑内クリーニングを行った。循環中バラ イトのリターンは確認できず,黒いスケール混じりのブ ライン0.6 m3回収し,リターンがきれいになった時点で6 回収したコイルドチュービング7 1.25 ″コ イ ル ド チ ュ ー ビ ン グ 呑 み 込 み 時 の Weight on Hook

(9)

4.6 酸処理作業 リグ解体・搬出後直ちに酸処理作業を行う予定であっ たが,諸事情により2005 年 4 月に実施した。その結果, 酸処理前はまったく生産できなかった坑井が,数十万 m3/day のガスを産出できる状態にまで回復し,本改修 作業の目的を達成し,勇払油ガス田の生産に寄与するこ ととなった。 5. コイルドチュービング抑留の原因

Run No.6 の Continuous Overshot での回収時,ずるず ると引き抜いた感触ではなく切断の衝撃がありBHA の み残したこと, 1.9″ワークチュービングでの坑内ウォッ シング作業時,バライトの沈殿が全く見られなかったこ とから,抑留の原因はバライトの沈殿によるものではな く,何かメカニカルな理由で抑留していたと考えられる。 本坑井は仕上げ作業時に7″スロッテドパイプにも 1,000 ショット以上のパーフォレーションを実施しており, ケーシングが大きく破損していた可能性がある。この破 損した7″ケーシングにコイルドチュービング先端付近 がメカニカルに抑留したのではないかと推定される。 6. 本改修作業についてのまとめ (1)小径用ワイヤーラインツールの不確実性を思い知る 結果となった反面,スルーチュービングフィッシン グツールは見た目に反し信頼できる。 (2)3.5 ″チ ュ ー ビ ン グ 内 と い う 制 約 が, Continuous Overshot で呑み込ます際にはかえって助けとなった り,その後の酸処理作業で生産能力が大幅に改善さ れた。 (5)各サービスカンパニーとのチームワークで作業を成 功に導くことができた(無事故・無災害)。 7. お わ り に はじめに述べたようにコイルドチュービングは安価に さまざまなことができてとても便利である。しかし万一 トラブルが発生した際には,その小径さゆえに物理的, 技術的に非常に難しい改修作業となる。このため安易に 動員することなく,事前に作業手順やリスクを十分検討 することが重要である。 本改修作業も非常に特殊な作業であったが,一般に 坑井を改修するということは難しい作業であることが 多い。改修作業を成功に導くには,信頼できる情報に基 づいた綿密な計画立案が重要となる。その際,サービス カンパニーを巻き込んで専門家の意見を聞くことを忘れ てはならない。また,常にコンティンジェンシープラン を持つことで作業にも精神的にも余裕がうまれる。コン ティンジェンシーを準備すればするほど,つまり計画に 厚みがでる程,逆にコンティンジェンシーを使わずに作 業を終えることができるともいえる。 SI 単位換算係数 in × 2.54 E − 02 = m

図 4 Thru-tubing Fishing Tool および PRS 社 13/16″OD CHC Head
図 5 Continuous Overshot Cutter および切断面

参照

関連したドキュメント

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

The main problem upon which most of the geometric topology is based is that of classifying and comparing the various supplementary structures that can be imposed on a

Applications of msets in Logic Programming languages is found to over- come “computational inefficiency” inherent in otherwise situation, especially in solving a sweep of

Shi, “The essential norm of a composition operator on the Bloch space in polydiscs,” Chinese Journal of Contemporary Mathematics, vol. Chen, “Weighted composition operators from Fp,

[2])) and will not be repeated here. As had been mentioned there, the only feasible way in which the problem of a system of charged particles and, in particular, of ionic solutions

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

II Midisuperspace models in loop quantum gravity 29 5 Hybrid quantization of the polarized Gowdy T 3 model 31 5.1 Classical description of the Gowdy T 3

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.