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はしがき インドネシアに今後進出 取引を う は既に っている企業にとって 市場調査及び投資 貿易上の法令 規制に関する事項を確認し つ つ事業化及び事業の拡大に向けて取り組みを積み上げ課題を解消していくことは非常に重要である 同様に 企業が保有している知的財産に関して法的防衛を検討することも重要な

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インドネシアの模倣品対策に関する調査

2016 年 8 月

⽇本貿易振興機構(JETRO)

ジャカルタ事務所

経済産業省

受託調査

(2)

1

はしがき

インドネシアに今後進出・取引を⾏う、⼜は既に⾏っている企業にとって、市場調査及び投資・貿易上 の法令・規制に関する事項を確認し、⼀つ⼀つ事業化及び事業の拡大に向けて取り組みを積み上げ課 題を解消していくことは非常に重要である。同様に、企業が保有している知的財産に関して法的防衛を 検討することも重要な事項である。例えば、日本において高い技術、あるいは国際的に認知された商標 等を保有していても、インドネシアにおける知的財産の保護が後手に回り貴重な知的財産が侵害された 場合、事業が軌道に乗ってから思わぬところで損害を被る可能性がある。 本調査は、インドネシアに進出しようとする企業及び進出済みで知的財産に関して潜在的及び顕在 的損害を懸念する企業が、インドネシアにおいて知的財産に関する適切な対策を検討する材料として、 インドネシアの知的財産を扱う事務所の協⼒を得て、インドネシアにおける模倣品流通の実態、取締の 制度、企業が取りうる措置、最近話題となっている事項等をまとめたものである。 本報告書は下記の事項により構成されている。 第 1 章:インドネシアにおける知的財産権侵害のインパクト、流通分野、傾向等 第 2 章:インドネシア政府機関の取締件数等の動向及び企業が取りうる措置のメリット・デメリット等 第 3 章:実質的な取締りを実施しているインドネシアの主要な政府機関の取締実務 第 4 章:裁判の手続と事例の紹介、実際に裁判となった場合の具体的手続等 第 5 章:権利出願件数、最近話題となっている特許年⾦、特許法及び商標法の改正動向 インドネシアは、マドリッド協定議定書に加盟の準備を⾏っているところで、国際基準に合わせるための 法令の整備、知的財産の登録制度の拡充、模倣品取締り体制の整備が⾏われつつあるが、知的財産 に関し企業活動を安心して実施するには十分な水準に未だ達しているとは言えない。進出企業等が知 的財産に関する訴訟等で負担を強いられている例も多く存在している。企業の知的財産権が正当に守 られるよう、適切な知的財産の保護が⾏われることが期待される。

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2

目 次

1.模倣品の流通実態

1.1 流通量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

1.2 流通分野 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

1.3 流通地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

1.4 傾向情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

2.模倣対策・概論

2.1 知的財産権侵害関連期間と権限の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

2.2 各機関の取締実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

2.3 直近 3 年間程度での規定の改正・通知等の要点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2.4 ⺠事訴訟手続と刑事訴訟手続の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

3.⾏政取締実務

3.1 知財総局による取締 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

3.2 警察による取締 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

4.司法対策実務

4.1 手続フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

4.2 実務上の留意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

4.3 商務裁判所における知的財産訴訟の件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

4.4 主要判例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

5.権利登録

5.1 権利別出願・登録件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

5.2 2015 年国別上位 10 カ国の出願件数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42

5.3 出願フロー・費用・期間・言語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

5.4 「特許年⾦」に関する留意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

5.5 特許法及び商標法改正案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

(換算レート:109.89 インドネシア・ルピア=1 円、1USD=121.05 円、1 ユーロ=134.31 円 三菱東京 UFJ 銀⾏ 2015 年平均 中値)

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3 1. 模倣品の流通実態 1.1 流通量 調査によると、インドネシアにおける模倣品による経済損失は増加傾向にあり、2014 年で 65 兆 1,000 億インドネシア・ルピア(約 5,924 億円)と推定されている。⼀部の製品(皮革製品・衣類・ソフトウェア・プ リンタのインクカートリッジ)における模倣品が全体の商品に占める割合は 30%を超えている。 1.1.1 インドネシア反模倣協会(MIAP)-インドネシア大学経済社会研究所(LPEM)の研究について (2005 年、2010 年、2013 年)

2005年、インドネシアの反模倣協会(Masyarakat Indonesian Anti-Pemalsuan /MIAP)及び

インドネシア大学経済社会研究所(Lembaga Penyelidikan Ekonomi dan Masyarakat,

Fakultas Ekonomi Universitas Indonesia /LPEM FEUI)は、インドネシアにおける模倣品業界

に関する共同研究を実施した1。2005 年実施の第 1 回 LPEM FEUI 調査によると、主要 12 セクターにまた がる経済的損失は、4 兆インドネシア・ルピア(約 364 億円)と推定された。 2010 年の調査によると、損失は約 9 倍に膨れあがり 37 兆インドネシア・ルピア(約 3,400 億円)になっ たと推定された2。MIAP は、この損失によって、概算で 2 億 276 万インドネシア・ルピア(約 184 万円)の 逸失税収、及び 17 万 4,000 件の雇用機会の喪失があると述べている。 この 2010 年度調査は、2011 年、2012 年、更に 2013 年にわたり、折りにふれて新聞記事に取り上げ られた3 , 4 , 5。数値とパーセンテージは場合によってまちまちではあるが、これらの記事は、2010 年度 MIAP-LPEM 調査を基にしたものとみられる。⼀部の記事では、損失は 43 兆 2,000 億インドネシア・ルピア (約 3,931 億円)にも上ると報じられた。 2014 年、MIAP-LPEM は、2013 年度最終調査から、最新の調査報告を発表した6。このラウンドの研 究では、プリンタのインクカートリッジが、最も⼀般的に模倣されている製品と判明した。また、総国内生産高に おける損失が 65 兆 1,000 億インドネシア・ルピア(約 5,924 億円)にも上ると推計された。 1 http://www.iflr.com/Article/3121423/Tackling-counterfeiters-in-Indonesia.html 2 http://www.antaranews.com/berita/187411/rugi-rp37-triliun-akibat-produk-palsu 3 http://www.ambadar.com/news/seminar-of-intellectual-property-rights-with-jetro-?page=8 4 http://travel.kompas.com/read/2011/11/04/02332262/Nilai.Produk.yang.Hilang.Rp.432.Triliun 5 http://swa.co.id/business-strategy/management/miap-ajak-semua-lembaga-terkait-sosialisasikan-anti-pemalsuan 6http://pemilu.tempo.co/read/news/2014/07/17/090593647/2013-Barang-Palsu-Rugikan-Negara-Rp-651-Triliun/201 3-Barang-Palsu-Rugikan-Negara-Rp-651-Triliun

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4 (IDR:インドネシア・ルピア) MIAP-LPEM の模倣品調査 市場規模の推計(模倣品による侵害額) 報告書 2005 年 2010 年7,8,9 2011 年, 2012 年& 2013 年 ニュースレポートは 2010 年の報告書を 参考にしている 10,11,12 2014 年13 サンプル人数 ジャカルタとスラバヤの 消費者 257 名 ジャカルタとスラバヤの回答者 500 名 ジャカルタ周辺の 都市圏とスラバ ヤ の 回 答 者 591 名 合計⾦額 総生産高 4 兆 4,100 億 IDR GDP 損失 2 兆 900 億 IDR GDP 損失 37 兆 IDR 総生産高 43 兆 2,000 億 IDR GDP 損失 34 兆 2,000 億 IDR GDP 損失 65 兆 1,000 億 IDR 逸失税収 - 2 億 276 万 IDR - 4 億 2,400 万 IDR 雇用領域 - 雇 用 機 会 喪 失 17 万 4,000 件 - 損失利益 3 兆 4,000 億 IDR 7 http://www.jpnn.com/berita.detail-64241 8 http://miap.or.id/main/berita/detail.php?detail=20100603114728 9 http://www.antaranews.com/berita/187411/rugi-rp37-triliun-akibat-produk-palsu 10 http://www.ambadar.com/news/seminar-of-intellectual-property-rights-with-jetro-?page=8 11 http://travel.kompas.com/read/2011/11/04/02332262/Nilai.Produk.yang.Hilang.Rp.432.Triliun 12 http://swa.co.id/business-strategy/management/miap-ajak-semua-lembaga-terkait-sosialisasikan-anti-pemalsuan

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5 MIAP-LPEM の模倣品調査 流通分野ごとに模倣品が全体に占める割合 報告書 2005 年 2010 年14,15,16 2011 年, 2012 年& 2013 年 2014 年17 化粧品 - 10% 13.7% - 農薬 - 10% 11.5% 8.5% (食品を 含む) 履物 - 10% 8.9% - 皮革製品 - 10% 16.8% 3.8% オフィス電子機 器 - 10% 3.5% - タバコ - 4% - - ノ ン ア ル コー ル 飲料 - 4% 16.4% - ⾃動⾞部品 - 3% 7% 38.9% 医薬品 - - 30.2% 33.5% ウォーターポンプ - - 34.1% 49.4% 照明器具 - - 34.1% - 1.1.2 ⽇本国特許庁(JPO) 模倣被害調査報告書(2014 年度)

日本国特許庁(Japan Patent Office/JPO)が 2013 年度の我が国企業等の模倣被害の結果を 「2014 年度 模倣品被害調査報告書」(経済産業省公表)として取りまとめた統計によると、日本企業が 受けた模倣品被害のうち 20.4%が、インドネシアを含む ASEAN 6 ヶ国からのものである18。この割合は、 2010 年の 18.6%、2011 年の 19.1%、2012 年の 20.2%と年々増加している19。また、模倣品被害の 被害社率を ASEAN 主要国で比較すると、インドネシアはタイに次ぐ第 2 位を占めており、8.6%(2011 年 度)、9.4%(2012 年度)、9.5%(2013 年度)と年々増加している。 14 http://www.jpnn.com/berita.detail-64241 15 http://miap.or.id/main/berita/detail.php?detail=20100603114728 16 http://www.antaranews.com/berita/187411/rugi-rp37-triliun-akibat-produk-palsu 17 MIAP-LPEM FEUI Report on Economic Impact of Counterfeiting in Indonesia 2013/2014 18 http://www.meti.go.jp/english/press/2015/0311_03.html

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6 1.2 流通分野 模倣品により侵害されている製品は多岐にわたっている。医薬品では偽造薬品の占める割合が 40%に増 加した。音楽・映画関連の経済損失は高額に上っている。 1.2.1 産業別 1.2.1.1 医薬品

インドネシアの外資系製薬団体(International Pharmaceutical Manufacturers Group/IPMG) によると、インドネシアの 20 億米ドル(約 2,400 億円)医薬品市場で偽造薬物が占める割合は、2006

年以前は 25%だったが、2008 年までには 40%まで跳ね上がったと推計されている20

その後の 2011 年、PT ファイザーインドネシア(PT Pfizer Indonesia)による資⾦提供でインドネシア大 学が⾏ったビクトリーリサーチプロジェクト(Victory Research Project)によると、シルデナフィル薬物(勃 起不全薬 sildenafil)が、医薬品市場で最も多く偽造される薬物の⼀つであると特定された。ジャカルタ周 辺、ジャワ島⻄部バンドン、ジャワ島東部スラバヤとマラン及びメダンにおける調査結果によると、シルデナフィル 薬物はドラッグストア、薬局、歩道の屋台やインターネット経由で販売されている。157 軒から 518 錠を購入し

たところ、45%は偽物であった21

最近の例では、製薬防護研究所アジア太平洋部会(Pharmaceutical Security Institute – Asia Pacific/PSIAP)が、2014 年マニラ会議において、インドネシアなど、東南アジア主要国において偽造医薬

20 http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/17/40-all-drugs-ri-may-be-fake.html

21 Indra Harsaputra, ‘Indonesia remains a lucrative market for fake drugs’, The Jakarta Post (Jakarta), 25 April

2013, http://www.thejakartapost.com/news/2013/04/25/indonesia-remains-a-lucrative-market-fake-drugs.html ASEAN 主要国における模倣被害の被害社率 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 8.0% 9.0% 10.0% 11.0% 2011年度 2012年度 2013年度 タイ インドネシア マレーシア ベトナム シンガポール フィリピン

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7

品がより広く出回っていると報告された(141 事例)。PSIAP の Samson Chiu 会⻑は、販売されている偽

造薬物のトップを占めるタイプは、心血管、代謝(メタボリズム)、抗感染に関する薬品であると述べた22 同氏はまた、中国と日本が偽造薬品に関わる事例を最も多く抱えており、それぞれ712例、237例程度で あると述べた。パキスタンが抱える事例は 237 件、韓国は 154 件、インドは 108 件、台湾は 79 件であった23 インドネシアは第 5 位で、141 件の事例があった。 インドネシアの医薬品及びヘルスケアに関するビジネスモニターQ1 2014 によると、インドネシアで最も多い偽 造品は、コレステロール低下剤のほか、インフルエンザ及び高血圧の治療薬、痩⾝広告に関するものとされてい る24

インドネシアの食品医薬品監督庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan/ National Agency for Drug and Food Control/BPOM)によると、2013 年、同機関は偽造品を 721 件押収した。これ

は 2011 年の 57 件、2012 年の 66 件から増加したものである25。BPOM の概算によると、2012 年以来 2014 年まで合計すると 24 億インドネシア・ルピア(約 2,180 万円)相当の偽造で非合法の食品や薬品 が、押収されている。 1.2.2 品別 MIAP-LPEM による調査からのセクター⼀覧については、前記 1.1.1 を参照のこと。また、MIAP によると 2006 年から 2007 年まで 1 年間をかけて 14 件のレイド(摘発)が⾏われた26。なお、本項 1.2.2.1 から 1.2.2.7 に掲げた品目は MIAP-LPEM の調査等によるもので、これに限らず、模倣品による侵害が⾏われて いるとみられる品目は、⾃動⾞部品、⾃動⾞用バッテリー、家電製品、紙おむつ等の多岐にわたっている。 1.2.2.1 インクカートリッジとソフトウェア MIAP-LPEM による調査によると、2013 年、最も高い割合で模倣された品目はプリンタのインクカートリッジ であり(49%)、以下、皮革製品、衣類、ソフトウェアと続いた。また、MIAP によると、ジャカルタとスラバヤで 2 件のレイド、ジャカルタで 4 件のレイドが⾏われ、プリンタのインクカートリッジとリボンカートリッジ及び, マイクロソ フト、シマンテック、ボーランド、アドビ、シスコシステム、マクロメディア、オートデスクといったソフトウェアが⾒つかっ た。 1.2.2.2 薬品 食品医薬品監督庁(BPOM)によると、2013 年、最も広く偽造された製品は、ポンスタン(Ponstan) 22 http://ipkomododragon.blogspot.my/2014/11/fake-drugs-in-se-asia.html 23 http://business.inquirer.net/182430/concerned-groups-call-for-stronger-measures-vs-counterfeit-medicine 24 http://israel-trade.net/asiapacific/files/2014/11/Indonesia_Pharmaceuticals_and_Healthcare_BMI_Q1-20142.pdf 25 http://www.thejakartapost.com/news/2014/05/28/bpom-seizes-more-fake-drugs-sold-online.html

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8 錠(日本名ポンタール錠)及び勃起不全薬であった27 1.2.2.3 携帯電話とそのアクセサリ インドネシア反模倣協会(MIAP)によると、ジャカルタ、バンドンとスラバヤで 8 件のレイドが⾏われ、携帯 電話の本体、充電器、ハンズフリーキット、パッケージ、ホログラムステッカー、電池、マニュアルが発⾒された。 1.2.2.4 ハードウェア MIAP によると、ジャカルタとスラバヤで 2 件のレイドが⾏われ、インターフェースカード、スイッチ、ルータが発⾒ された。 1.2.2.5 エア・フィルタ MIAP によると、ジャカルタで 2 件のレイドが⾏われ、大型⾞両用エア・フィルタが発⾒された。 1.2.2.6 エンジン MIAP によると、スラバヤでレイドが⾏われた。 1.2.2.7 液体洗浄剤 MIAP によると、ジョグジャカルタでレイドが⾏われ、汎用液体洗浄剤が発⾒された。 1.2.3 海賊版 1.2.3.1 音楽関連 2015 年 9 月に開催された創造的経済に関するイベントにおいて、インドネシア共和国演奏家、歌手、作 曲家及び音楽家協会(Association of Artists, Singers, Composers and Musicians of the Republic of Indonesia/PAPPR)は、2013 年、音楽録音の著作権侵害(海賊版)が原因で生じた

経済的損失が 4 兆インドネシア・ルピア(約 364 億円)にも達した旨、報告した28

同イベントにおい て、インド ネシア・レコーディング産業協会( the Association of Indonesia Recording Industry/ASIRI)が述べたところによると、海賊版音楽がインドネシアのレコーディング産業市 場で有するシェアは 2007 年来、95.7%にも上り、⼀方、正規版音楽が同市場で有するシェアは 4.3%に過 ぎないとのことである。

⼀方、2015 年においては、通信・情報省(Ministry of Communication and Informatics) によ

り 22 ヵ所の音楽シェアサイトがブロックされた29 27 http://www.iracm.com/en/2014/01/ponstan-a-painkiller-most-counterfeited-medication-in-indonesia/ 28 http://lifestyle.bisnis.com/read/20150918/225/473965/kerugian-akibat-pembajakan-musik-rekaman-rp4-triliuntahu n

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9 1. laguhit.com 2. mp3days.net 3. weblagu.com 4. wapkalagu.com 5. iozmusik.com 6. lagu.in 7. carilagu.net 8. bursalagu.com 9. beemp3s.org 10. arenalagu.com 11. saranmu.com 12. tubidy.im 13. stafaband.info 14. memomp3.com 15. zinzhu.com 16. mp3take.com 17. kumpulbagi.com 18. onlagump3.info 19. newlagump3.com 20. targetlagu.com 21. musik-corner.info 22. musicxplore.com 1.2.3.2 映画関連

同イベントにおいて、インドネシア映画製作者連盟(Association of Indonesian Film Producers/ APROFI)が、どの海賊版映画についても損失はおおよそ 43 億インドネシア・ルピア(約 3,900 万円)に達 し得るとの概算を示した。海賊版映画が100作品あれば、その損失は概算で 4,375 億インドネシア・ルピ ア(約 39.8 億円)となる。

⼀方、2015 年においては、通信・情報省(Ministry of Communication and Informatics)により

22 ヵ所の映画共有サイトがブロックされた30

November 2015,

http://tekno.kompas.com/read/2015/11/23/12175047/Kemenkominfo.Blokir.22.Situs.Download.Lagu.Ilegal

30 Nedi Tirta Pradesha, ’22 Situs Diduga Pembajak Film Diblokir’, CNN Indonesia (Jakarta), 29 August 2015,

http://www.cnnindonesia.com/hiburan/20150819083659-220-73041/22-situs-diduga-pembajak-film-diblokir-kemenk ominfo/

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10 1. Ganool.com 2. Nontonmovie.com 3. Bioskops.com 4. Ganool.ca 5. Kilasan.to 6. Thepiratebay.se 7. Downloadfilmbaru.com 8. Ganool.co.id 9. 21filmcinema.com 10. Gudangfilm.caa.im 11. Movie76.com 12. Isohunt.to 13. Cinemaindo.net 14. Bioskop24.net 15. Ganool.in 16. Unduhfilm21.net 17. Bioskopkita.com 18. Downloadfilem.com 19. Comotin.net 20. Movie2k.ti 21. Unduhmovie.com 22. 21sinema.com 1.2.3.3 ケーブルテレビ

アジア有線・衛星放送協会(Cable & Satellite Broadcasting Association of Asia/CASBAA) の報告によると、ケーブルテレビの著作権侵害について検証可能な統計はない。米国通商代表部に対する 2013 年度報告書の中で、政府報道官がインドネシアケーブル・テレビ・グループによる主張として引用した数 字によると、不正使用者数は大まかに⾒積もっても 200 万から 250 万人にも上り、合法的接続の概算数値

(200 万回線)よりも高いものとなっている31

1.2.3.4 ソフトウェア

ビジネス・ソフトウェア・アライランス(Business Software Alliance/BSA)の 2013 年度グローバルソ フトウェア調査によると、違法ソフトウェアの使用に関する商業的価値の合計額で、インドネシアは第 10 位とな った。この調査の概算によると、2013 年、ライセンスを受けていないソフトウェアのインドネシアにおけるインストー

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11 ルは、割合にして 84%、商業的価値に換算して 14 億 6,300 万米ドル(約 1,770 億円)に達した32 1.3 流通地域 ジャカルタ首都圏での⼀部のモール・商業地での模倣品の流通が指摘されるほか、ジャワ島以外の島嶼部 でも流通が確認されている。税関による取締体制が不十分なため、違法商品は正規港湾経由で大量に輸 入されている。また、国内に持ち込まれた後に正規品に模倣されるもの、国内で製造されるものもあるとみられ る。 1.3.1 地域・市場 1.3.1.1 米通商代表部(USTR)の特別レビュー(2014 年)

米国通商代表部(United States Trade Representative/USTR)が 2015 年 3 月に発表した 「悪質市場報告書」によると、インドネシアにおける海賊版・模倣品ネットワークの主要販売拠点として、北ジャ

カルタの Harco Glodok を特定した33。 同報告書においては他にも、海賊版製品及び模倣製品で知られて

いるジャ カル タベースのモー ル、すなわち、北ジャカルタの Mangga Dua Mall、中央ジャカル タの Ambassador Mall、ジャカルタ各地の ITC、南ジャカルタの Ratu Plaza もまた名指しされた。

1.3.1.2 国際知的財産権同盟(IIPA) スペシャル 301 条に基づく勧告

国際知的財産権同盟(International Intllectual Property Alliance/IIPA)が著作権侵害活 動のホットスポットと特定した主要地域には、ジャカルタ、パダン、ジャワ島、スマラン、メダン、マカッサル、バンドン、 スラバヤがある34 1.3.1.3 インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM) 2013 年 インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM)によると、2012 年に偽造品対策オペレーションが実施され、 価値 54 億インドネシア・ルピア(約 4,900 万円)相当の偽医薬品を販売する 129 のウェブサイトが停止さ れた。他に、ジャカルタ及びパプアと東ヌサトゥンガラといったマラリアが蔓延している地域で偽造品対策オペレー ションが実施され、マラリア薬の偽造品の流通を停止した35 1.3.1.4 インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM) 2015 年 2015 年 11 月に⾏われたあるインタビューで、食品医薬品監督庁(BOPM)は、模倣化粧品が最も広く 流通しているのは中央ジャカルタの Pasar Asemka であると述べた。BPOM は、司法制度上、無⼒な法執

⾏や汚職、模倣業者に対して手ぬるい判決をこの問題の⼀部として挙げている36

32 http://globalstudy.bsa.org/2013/downloads/studies/2013GlobalSurvey_Study_en.pdf

33 https://ustr.gov/sites/default/files/2014%20Notorious%20Markets%20List%20-%20Published_0.pdf 34 http://www.iipa.com/rbc/2015/2015SPEC301INDONESIA.pdf

35 The Jakarta Post, ‘Fake products in High Demand’, The Jakarta Post (Jakarta), 28 February 2014,

http://www.thejakartapost.com/news/2014/02/28/demand-fake-products-remains.html

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1.3.1.5 インドネシア薬剤師会(IAI)

2013 年、IAI(Ikatan Akuntan Indonesia)事務局⻑は、スラバヤとメダンにおいて偽造薬物の流 通があると述べた。同事務局⻑が引用したインドネシア大学のビクトリーリサーチによると、大ジャカルタ都市圏と 東ジャワの両方で流通する偽造薬物の割合が 50%に達する⼀方、メダンとバンドンではそれぞれ 20%、 18%であるとされている。同報告ではまた、東ジャカルタ市の Pramuka Market が周知の偽造薬物の供給 源であると特定されている37 1.3.2 経路 模倣品が市場に流通する経路は、輸入及びインドネシア国内での生産がある。JETRO に寄せられる相 談・情報によると、輸入時には模倣品の形態をとっていないが、輸入後にインドネシア国内で製品及びパッケー ジに商標等を付した後に市場に流通する形態もある。 1.3.2.1 輸入品 インドネシアが陸路上、国境を接しているのはマレーシア、パプアニューギニア、東ティモールであり、⼀方、イン ドネシアとシンガポール、オーストラリア、フィリピン、及び多くの島嶼国とを結ぶ海上ルートも近い。17,508 もの 島々を擁するインドネシアにあっては、多大な違法商品の大半が海上輸送で運び込まれている。主要侵入地 点を挙げれば、以下のカテゴリーとなる。 • 正規港湾 - 正規港湾は、250 箇所ある。大量の違法商品がこれらの港湾、特にジャカルタ (Tanjung Priok)、スラバヤ、バタム、パレンバン、マカッサル、メダン(Belawan)の主要港湾を 通過するものとされている。 • 非正規港湾 -非正規港湾は、数千箇所もある。2013 年現在、バタムにあった違法侵入地点は 約 41 箇所、タンジュンピナンでは 54 箇所、スマトラ島東海岸には 65 箇所、つまり、リアウ/リアウ 諸島州という地域のみで周知の非正規港湾が約 160 箇所もあった。 報道によると、インドネシア-東ティモール国境、カリマンタン(ボルネオ)島のインドネシア-マレーシア国境、 及びインドネシア-パプアニューギニア国境上の非正規陸上ルートを介した違法輸送があり、違法薬物といった、 より深刻な違法商品が密輸されてインドネシア国内に流入する。但し、これらの非正規ルートは、模倣商品に はあまり使用されていないと考えられている。税関による知財国境保護システムが正規国境でも整備されてい ない状況で、より高まるリスクを負ってまで非正規ルートを使う必要がないとみられる。 • ⾃由貿易区 - インドネシアにおける⾃由貿易区は、バタム、ビンタン、カリムン、サバンである。この 4 地域中、違法商品が最も頻繁に発⾒されると考えられているのは、バタムとビンタン(タンジュンピナ ン)である。 37 http://www.thejakartapost.com/news/2013/04/25/indonesia-remains-a-lucrative-market-fake-drugs.html

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13 模倣商品がひとたびインドネシアに侵入すると、主要都市にある目的地の市場に到達するまで、多くの人々 の手を渡って所有者が変わる可能性がある。摘発により拘束された模倣商品の販売業者の多くは、模倣商 品は⾏商人を通じてインドネシアで流通していると話している。模倣商品の供給者は誰なのか、手掛かりにな る書類を作ったり、役に⽴つ情報を提供したりできる販売業者は滅多にいない。 1.3.2.2 化粧品 インドネシア国家食品医療品監督庁(BPOM)は、2015 年 11 月のインタビューで、模倣化粧品がイン ドネシアの 7 地域で発⾒された旨、述べている。その中で模倣品が最も広く出回っていたのは、中央ジャカルタ

の Pasar Asemka である。BPOM はまた、タンゲランにおいて、生産設備を発⾒した38

報道官の発言によると、模倣化粧品のほとんどが、中国、マレーシア、タイ、フィリピン、インド由来のものであ る。但し、海外由来と想定されても実際はタンゲラン等の地域で現地生産されている模倣品もある。 1.3.2.3 医薬品 偽造医薬品は、現地生産か、或いは輸入されることもある。その流通は Pasar Pramuka といった卸売市 場を介し、次にはバイク移動の⾏商人が、各都市に所在する薬局や薬店に品物を販売している39 1.4 傾向情報 各種業界団体・外国機関から、法律の執⾏の脆弱性、刑罰の軽さ、汚職、知的財産に関する意識の低 さ等が指摘され、インドネシア政府の各機関の取り組みに関する改善が求められている。 1.4.1 インドネシア反模倣協会(MIAP) 2014 年 7 月、MIAP はその調査結果の報告で、反偽造規制法に違反する事業者に対する法の執⾏の 実施を強化するよう要求した。模倣品の需要が続き、模倣品が入手可能な現状の背景にある最大の要素の ⼀つとして、MIAP はずさんな法執⾏を挙げた40 1.4.2 インドネシア映画製作者連盟(APROFI) 2015 年 6 月、APROFI の会⻑は、海賊版はインターネットが原因で実際に増えており、海賊版は違法で モラルに反するという意識を高めることが⼀つの課題であると述べた41 38 http://news.metrotvnews.com/read/2015/11/06/188224/kosmetik-palsu-marak-beredar-di-pasar-asemka 39 http://www.rouse.com/magazine/articles/ip-komodo-blog/the-counterfeit-medicines-landscape-in-indonesia?tag=ind onesia 40 http://jakartaglobe.beritasatu.com/business/indonesias-battle-bootleg-goods-genuine-economic-toll/ 41 http://jakartaglobe.beritasatu.com/news/now-playing-indonesias-piracy-problem-takes-new-dimension-online/

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14 1.4.3 欧州委員会 2015 年 7 月、欧州委員会は、第三国における知的財産権の保護及び執⾏に関し⾃ら作成した報告書 を発表した。昨今の法整備の進展を受け、インドネシアは、同報告書において優先順位第 2 位から第 3 位に 移ったが、依然として、その無⼒なガバナンス、脆弱な執⾏⾏為、汚職の継続、予測不能な/逆⾏的な法的 判決に対する懸念が表明された42。また、インドネシアの法律規則起草プロセスに関する透明性、協議の⽋ 如、施⾏規則の不在についても、同報告書において懸念が示された。 同委員会は、その⽀援的活動のいくつかについて概略を示した。知的財産権保護に関する EU-ASEAN プ ロジェクト、EU-インドネシア TCF プログラム、進⾏中の ASEAN 知的財産権中小企業ヘルプデスクなどがこれ に含まれる。 1.4.4 英国知的財産庁(UK IPO) 2015 年度中国-東南アジア反模倣品プロジェクトに関し作成した報告書において、英国知的財産庁は、 税関知財国境保護システムの実施を勧告した。同報告書においては、国内の法執⾏に関し改善が要求され、 また、汚職及び密輸問題に対応する必要性も認められた43 1.4.5 米国通商代表部(USTR) 米国通商代表部(USTR)による 2015 年版スペシャル 301 条報告書において、インドネシアは依然と して、優先監視国リストに留まっている。同代表部は、インドネシアが現在進めている商標法制度及び著作権 法制度の変更における進展を歓迎しているものの、未だに、インドネシアにおける知的財産権の保護と施⾏法 との間に横たわるギャップに対して憂慮する状態にあり、より効果的な制度を求めている44 1.4.6 米国映画協会(MPAA)

米国映画協会(Motion Picture Association of America/MPAA)の報道担当者は 2015 年 6 月、インドネシアは強制執⾏を強化する必要があると述べた。同氏はまた、映画業界と当局に対し、仲介者 (⽀払処理業者、広告ネットワーク)を説得の上、海賊版ウェブサイト運営者との取引を止めさせるよう働き かけた45 1.4.7 アジア有線・衛星放送協会(CASBAA) アジア有線・衛星放送協会(CASBAA)は、2015 年にインドネシアで開催したセミナーにおいて、特にイ ンターネット著作権侵害の高まりと共に、放送に関する盗難が拡大を続けていることを強調した。CASBAA は、 42 https://oami.europa.eu/ohimportal/documents/11370/0/Report+on+the+protection+and+enforcement+of+intellectua l+property+rights+in+third+countries 43 https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/482650/China-ASEAN_Anti-Counter feiting_Project_Report.pdf 44 https://ustr.gov/sites/default/files/2015-Special-301-Report-FINAL.pdf 45 http://jakartaglobe.beritasatu.com/news/now-playing-indonesias-piracy-problem-takes-new-dimension-online/

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業界と規制当局間の連携を強め、強制執⾏及び法制度を最新の回避⾏動/著作権侵害技術に対応した

最新の状態に確保することを求めた46

1.4.8 インドネシア外資系製薬団体(IPMG)

インドネシア外資系製薬団体(International Pharmaceutical Manufacturers Group/IPMG) は、ウェブサイトにおいて、インドネシアは、偽造薬物に対する強制執⾏を充分に⾏っていないと述べている。同 団体は、処罰の軽さ、強制執⾏の不適切さを問題視し、強い対応が必要としている。同団体は、政府と各機 関がこれらの問題に、透明性を備えた関係、活発な協議が常態の関係で対処するよう、両者にパートナーシッ

プの強化を求めた47

1.4.9 米国研究製薬工業協会(PHRMA)

米国研究製薬工業協会(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America/ PHRMA)は、2013 年度対米通商代表部 301 意⾒陳述における全国キャンペーンに関する政府の取り組

みのため、刑罰の加重、協⼒の推進、予算の拡大を求めた48

1.4.10 バイオテクノロジー産業機構(BIO)

バイオテクノロジー産業機構(Biotechnology Industry Organization/BIO)は、対米通商代表 部意⾒陳述において、知的財産権の強制に際して、特に裁判所及び法執⾏機関におけるより⼀層の専門 知識、資⾦の必要性を示した。同機構はまた、汚職を問題視し、国際的監視の強化、教育の充実化、知 的財産権に関する税関の執⾏の改善を求めた49 2. 模倣対策・概論 国家機関による取締件数は減少傾向にあり、裁判所の訴訟取扱い案件は増加傾向にある。 2.1 知的財産権侵害関連機関と権限の整理 46 http://apmi.or.id/news/detail/34/casbaa-seminar-indonesia-in-view.html 47 http://www.ipmg-online.com/index.php?modul=issues&cat=icounterfeit&lang=eng 48 http://www.regulations.gov/#!documentDetail;D=USTR-2012-0022-0030 49 http://www.regulations.gov/#!documentDetail;D=USTR-2012-0022-0028

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16 (縦軸:当局名 横軸:⾏政摘発、⺠事裁判、刑事裁判、差押え) ⾏政摘発 ⺠事裁判 刑事裁判 差押え 知財総局 × × オンライン著作権 侵害、 知的財産権侵害 × 国家警察 × × 知的財産権侵害 × 商務裁判所 × 特許・商標・意匠・著作 権・IC回路設計デザ インに関する案件に管 轄を有する × ○ 実例は、1件ある が、取り消される。 地裁 × 営業秘密、種苗に関す る侵害に管轄を有する ○ ○ 2.2 各機関の取締実績 案件件数 2011 - 201550 知財総局51 国家警察52,53 商事裁判所 最高裁判所54 2011 年 34 件 - - - 2012 年 37 件 知財案件 207 件 & 87 光ディスクケー ス 59 件 - 2013 年 19 件 266 件& 137 光ディスクケー ス 110 件 30 件 2014 年 9 件 98 件& 23 光ディスクケース 102 件 65 件 2015 年 106 件 61 件 ※ 裁判所のオンラインデータベースは、比較的新しいものに限られ、⼀部の情報は収録されていない。 50 http://www.aisi.or.id/fileadmin/user_upload/IP_LAW_ENFORCEMENT_ISSUES_IN_INDONESIA_FROM_A_PRA CTICAL_PERSPECTIVE.PDF 51 http://ebook.dgip.go.id/webGISKI/statistik_page.php 52 http://ipkomododragon.blogspot.com/2014/11/state-of-enforcement-and-new-indonesian.html 53 http://apaa2014.com/download/meeting_material/anti_counterfeiting_committee/INDONESIA%20Anti%20Counter feit%20Country%20Report.pdf 54 http://kepaniteraan.mahkamahagung.go.id/perkara/index.php?txtRegister=hki&txtPengadilan=&txtPihak=&txtJe nisPerkara=&txtSuratPengantar=&txtPutusanGuid=&cmdSearch=Cari&page=8&offset=20&=&

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17 2.3 直近3年間程度での規定の改正・通知等の要点 2014 年に著作権法が改正された。著作権案件に関して非親告罪から親告罪に変更されたこと、侵害罪 の成⽴要件に「悪意」が削除されたこと、告発があると全ての案件に関して捜査を⾏うことが必要となったこと等 である。 捜査・紛争解決局は 3 つの下部組織で構成されている。 1. 通報・⽂⺠捜査官管理課 この課には 2 つの班がある。通報受理班、⽂⺠審査官管理・記録班 2. 捜査・監視課 この課には 2 つの班がある。捜査班、監視・物的証拠班 3. 防止・紛争解決課 この課には 2 つの班がある。防止班、代替紛争解決班。

⽂⺠捜査官(Penyidik Pegawai Negeri Sipil/PPNS)には調査及び知的財産権侵害の権利⾏ 使の責務が付与されている。責務は以下のとおりである。  知的財産権侵害刑事犯発生の通報に基づき検査を実施すること  知的財産権侵害の被疑者(個人⼜は法人)に対する検査を実施すること  関係者を検証すること  侵害に関して⾏政審査を⾏うこと  書面があると疑われる場所を捜査すること  侵害品の差押えをすること  捜査の実施において専門家から情報及び協⼒を要請すること  犯罪現場における対応の仕組みとして警察と連携すること 2.3.1 著作権法の改正 2014 年 7 月改正された著作権法が発⾏された。主な改正は以下のとおりである。 ・非親告罪から親告罪への変更:告発があると全ての案件に対して捜査を⾏わなければならない。手 続に透明性及び権利者の関連性を増強すると共に、告発の取消⼜は質問が可能になる。 ・侵害罪の成⽴要件に「悪意」を削除 ・刑罰の刑量を変更:商業的な複製及び譲渡は、最大 7 年から最大 4 年拘禁まで減刑、50 億イン ドネシア・ルピア(約 4,550 万円)から 10 億インドネシア・ルピア(約 910 万円)罰⾦まで減刑。し かし、海賊版の複製及び譲渡⾏為に処罰を規定。最大 10 年の拘禁・40 億インドネシア・ルピア(約 3,640 万円)の罰⾦刑を設ける。ただ、どの⾏為が海賊版型の侵害⾏為に該当するのかは不明。 ・海賊版以外の著作権ケースに仲裁を必須とする(著作権法第 95 条)

・通信・情報省(Ministry of Communication and Informatics/MCI)にオンライン上の侵害 物に関するアクセス禁止権限を付与(著作権法第 55 条)

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18 2.3.2 オンライン上の著作侵害に関する削除 オンライン著作権侵害には、知財総局に通告書を提出することができる。知財総局はその内容を審査し、 情報・通信省(MCI)にその侵害したコンテンツの全部⼜は⼀部を削除、あるいはアクセス禁止を要求する。 2015 年 7 月に実⾏され、2015 年末まで映画・音楽コンテンツの 44 サイトが削除・アクセス禁止処分され た。 2.3.3 ⽂⺠捜査官(PPNS)の変更 (2015 年) 2.3.3.1 名称の変更

2015 年 6 月、知的財産権総局(Directorate General of Intellectual Property Rights、インド ネシア語では“Direktorat Jenderal Hak Kekayaan Intelektual – DJHKI / DGIPR”)は、正式に、 その名称を、知的財産総局(Directorate General of Intellectual Property、インドネシア語で は”Direktorat Jenderal Kekayaan Intelektual –DJKI / DGIP”)に変更した55

2.3.3.3 著作権事件に関する調停手続

当該の法令によって新たな調停手続が導入され、調停を要求する新著作権法第 95 条に従って、海賊版 事件を除く著作権事件のすべてについて義務付けられた。これが商標にも適用されるかどうかは、新商標法の 法案が施⾏されていない現段階では明らかではない。

2.3.3.4 著作権侵害に対するオンライン上の闘い

2015 年 7 月の同じ日、法務・人権省(Minister of Law and Human Rights)及び通信情報省 (MCI)は、著作権侵害に対するオンライン上の闘いを目的として共同規則を公表した。この規則とは、著 作権及び関連権を侵害するオンライン上のコンテンツをアクセス不能とするための著作権に関する 2014 年法 律第 28 号の施⾏規則である56。政府は、2015 年の終わりまでに、著作権侵害を構成する物的要素を含 むおおよそ 44 件のウェブサイトに対するアクセスをブロックした57,58 2.3.4 幹部 - 昇進/再任、配置転換 2015 年 9 月 1 日、インドネシアの法務・人権省は、同省の 95 職位に関する昇進/再任、配置転換に ついて発表した。この人事には、以下の通り、知財総局 4 幹部の任命も含まれる。 55 http://www.dgip.go.id/ 56 ウェブサイトブロッキングに関する共同規則(2015 年規則第 14 号、2015 年第 26 号)。当該共同規則は、2015 年 7 月 2 日に導入された。この規則は、電子システム上で著作権および関連権を侵害するコンテンツのブロッキングおよび /または当該コンテンツに対するユーザーアクセスのブロッキングのための法務・人権省-通信情報省(MoLHR-MCI) 共同規則として、大まかに書き換えられたものである。 57 http://kabar24.bisnis.com/read/20151123/15/494980/ini-22-situs-musik-ilegal-yang-ditutup-kominfo 58 http://humas.dgip.go.id/press-release-menteri-hukum-dan-ham-terkait-penutupan-situskonten-internet-pelanggar an-hak-cipta/

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1. 商標・地理的表示(GI)局⻑:

Fathlurachman, S.H., M.M. (former TM Director and also Director of Investigation)

2. 特許・半導体回路配置・営業秘密局⻑:

Dr. Dra. Erni Widhyastari, Apt., M.Si. (former Patent examiner)

3. 知財情報技術(IT)局⻑:

Drs. Yasmon, MLS.

4. 捜査・紛争解決局⻑ (PPNS):

Salmon Pardede, S.H. M.H. (former Head of Legal Division, Design) 2.3.5 オンラインでの商標更新申請 2015 年 9 月 28 日、知財総局は、「登録商標更新オンライン出願」の運用を開始した。このオンライン出 願によって、商標権者は、商標局に直接出向く必要なく、リアルタイムで商標更新の申請が可能となったため、 商標更新出願プロセスの早期化が期待されている。しかも、財務省(Ministry of Finance)のシステムに 44 銀⾏が統合されたため、その内の⼀つを介した料⾦納付も可能になった59 2011 年から 2016 年の間に知財総局が構築した知財手続の⾃動化及び記録システムには以下のものが ある。 59 http://www.dgip.go.id/images/adelch-images/pdf-files/panduan-perpanjangan-merek.pdf

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20 年 事項 2011 知的財産⾃動化システム(IPAS)の開発 意匠及び著作権書面の電子化 2012 商標 IPAS(2012 年 8 月 1 日) 商標書面の電子化 2013 意匠 IPAS(2013 年 5 月 27 日) 特許 IPAS(2013 年 10 月7日) 特許書面の電子化 2014 電子出願システムの構築 電子著作権手続の構築 特許年⾦システムの統合 電子データによる現状提示 WIP 事案のアクセス官庁として参加 2015 年 商標拡張の構築 電子著作権手続の開始 SIMPONI 経由の⽀払いシステムの統合 PNBP クレジットシステムの統合 WIPO グローバルブランド上の商標データ IPAS への電子データローディング 2016 年 電子出願 SIMPONI を統合した DJKI のスタート IPAS 及びマドリッドシステムの回復 WIPO 事案への参加 BPR プロジェクト データクレンジング 2.3.6 税関による統制 (2012 年) 2013 年 7 月商標権などの侵害が疑われる輸出入品に対する権利者の申請に基づく⼀時差止め命令に 関する規則、及び、特許権などの知的財産権侵害に対する権利者の申請に基づく仮処分決定に関する規 則を制定 暫定的措置に関する最高裁規則が、2012 年 7 月 30 日に公表された。これは、国境における通関停止 を税関に認める裁判所命令に関する規則を定めるものである。 輸入阻止の申請は、地方商務裁判所に提出する必要がある。迅速な証言聴取手続と決定が提供されて おり、手続⾃体は比較的明確と⾒られる。裁判所は、非常に迅速な形で証言聴取を設定し、事件について 更に充分な聴取を⾏うため、10 日間の⼀時留置を命令することができる。但し、現時点では、記録システム

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21 が存在せず、また、⼀方的差押えも⾏うことができない。 ⼀時留置を維持するためには、知的財産権利者は、侵害に関する⺠事訴訟⾃体を完全に提起しなけれ ばならない。インドネシアにおいて法的経費を回復するのは不可能であることを考慮すれば、大抵の場合、差 押えの費用は負担が過大ということになる。 差押えに関する費用は、現⾦⼜は銀⾏保証により申請人が負担しなければならない。差押え命令が付与 された場合、商品の価値と同額の保証品の⽀払いが必要となる。規則にはまた、輸入委託品の詳細で明確 な情報の提供が必須であると記載されている。模倣品の発送の場合、通常、こうした情報の取得は非常に難 しい。

2014 年末から 2015 年初頭にかけて、インドネシアの税関総局(Directorate General Customs & Excise)は、2012 年の暫定措置に準拠する施⾏規則の素案を作成した。⼀連の規則の素案は現在、⻑ 官による検討のため財務省(Ministry of Finance)にあり、その完了時期については未定である。初公開 は、2016 年中と⾒込まれている。 2.4 ⺠事訴訟手続と刑事訴訟手続の比較 下記の表は⺠事訴訟と刑事訴訟の手続の特徴、費用、効果、所要期間、メリット・デメリットを示したもの である。⺠事訴訟手続は裁判所事件の解決が早いが、裁判の手続及び指針が確⽴されていないことから不 当な判決を得る可能性もある。刑事訴訟手続は政府機関のリソースの不⾜等から調査・捜査執⾏上の問 題があり、⼀般に権利者の十分な協⼒が必要である。 ⺠事訴訟(手続) 刑事訴訟(手続) 手続 登録及び召喚 (i) 原告が商務裁判所書記局に訴訟を登 録。 (ii) 裁判所が訴状副本を被告に送付。 (iii) 第⼀回審尋のため裁判所に出頭するよう 裁判所が両当事者を呼び出し。 調停 (iv) 調停手続のため、調停人を選定するよう 裁判官が両当事者に命令。 (v) 調停手続による紛争解決が不首尾に終 わった場合、事件は裁判所に戻る(⺠事の場 合これが⼀般的であるが、知的財産権事件の 告訴状の提出 特許、意匠、商標及び著作権侵害は、告 訴によって成り⽴つ犯罪であるため、権利者 は、正式な告訴状を知財総局の⽂⺠捜査 官(PPNS)⼜は国家警察のいずれかに提 出する必要がある。知財総局に関しては、新 著作権法の下で、現在、告訴提出に先⽴つ 調停が必要条件となっている(刑事訴訟の 対象となる海賊版事件は例外)。 予備調査 知財事件は、告訴によって成り⽴つ犯罪であ るため、知財総局の⽂⺠捜査官(PPNS)

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22 場合、若⼲異なる。) 答弁及び反対答弁 (vi) 原告の請求に対し、被告が答弁を提出。 (vii) 被告答弁を受領後、それに応じて原告 が答弁を提出。 (viii) 原告答弁を受領後、被告が反対答弁 においてそれに応答。 証拠提出及び審理 (ix) 原告が当該請求の主張を裏付ける証人 及び鑑定人を含め、関連の証拠を提出。 (x) 被告に証拠書類⼜は証人の宣誓証言に よる反論の機会が与えられる。 最終弁論および判決 (xi) 当事者各々が最終弁論を提出。 (xii) 裁判所が判決を下し、最終審問におい て当該判決を公表。 判決破棄(Cassation)及び判決⾒直しを 求める上告 (Reconsideration Appeal) 裁判所判決に対する異議申⽴は、最高裁判 所に対する上告(判決破棄)として提起する 必要がある。破棄上告レベルにおける最高裁判 所判決は、最終的かつ拘束⼒のあるものとな る。敗訴側は、特別な法的救済を受け、判決 ⾒直しを求める上告を最高裁判所に提起する ことができる可能性がある。 ⼜は国家警察が予備調査を実施する必要 がある。この段階の調査は、事由が犯罪の範 疇に該当し得るか否か、その判断を下すこと が目的である。 捜査 真の侵害者を明らかにするための証拠を探し て収集し、証人による宣誓証言から容疑者 の居場所を特定し、関連の証拠を収集する ため、捜査が⾏われる。この段階では、侵害 の証拠の確保を目的として、摘発が関わって くることもある。 起訴 検察庁⻑官は、犯罪が⾏われた場所の地 方裁判所に、そ の 犯罪に 対する起訴状 (dakwaan)を提出、当該裁判所では、 法廷審問において裁判官による審理が⾏わ れ、判決が下される。 法廷審問 地方裁判所裁判官は、検察庁⻑官による 起訴状を受領し、審理の上、刑事責任を含 めて判決を下す。 費用 商務裁判所に対する⺠事請求提起に先⽴ち、 原告は事務手続費/登録費として、約 2,522 万 2,000 インドネシア・ルピア(2015 年 12 月30日時点でUS$183ドル以内)を商務裁 判所に前納しなければならない。最高裁判所に 上告するには、720 万インドネシア・ルピア 刑事訴追に関する費用に対応する法律規 定はない。⽂⺠捜査官(PPNS)/国家 警察では、資⾦不⾜が常態化しており、捜 査を前進させるため権利者は通常、運営費 用の負担を期待される。この運営上の⽀援 は注意深く、かつ透明性をもって管理する必

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23 (2016 年 1 月付~ US$516) 、再審を請求 するには、1,225 万インドネシア・ルピア (2016 年 1 月付 ~US$877.5)の手数料が発生す る。 インドネシアの裁判所は、⺠事訴訟手続におい て費用裁定を⾏っておらず、⺠事訴訟法も同 手続を認めていない。当事者それぞれが、⾃ら の弁護士費用に関する責任を持つことになる。 要がある。インドネシアでは依然として、汚職 が極めて甚大な問題だからである。 効果 ⺠事裁判は、実際的な理由で摘発が困難な 場合、或いはブランドオーナーが将来にわたって ⼀連の⾏動/侵害を禁じる判決を求める場合 (これは摘発では実現し得ないことである)、 権利⾏使戦略の⼀部として適切な場合があ る。 ⺠事訴訟で成功を収めれば、その判決は、将 来的に侵害者と取引する際にもまた抑止⼒とし ての価値を持つ。例えば、侵害者に対する警告 書において、権利者が成功を収めた判決に言 及することもできる。 摘発が終了すると、形式的には刑事訴追が 続くこととなっているが、大抵の場合、不首尾 に終わる。インドネシア刑事制度の脆弱性に ついては、米国通商代表部による年度別 301 条報告書のインドネシアに関する記載に 詳しい説明がある。 摘発⾏動の後に、商品の破壊、公の謝罪、 適切なマスコミ報道が続き迅速な解決に持ち 込めれば、成功である。非常に稀な例で、訴 追につながる場合もあるが、やはり⾦銭的損 害は回収できない。 所要期間 特許法の下では、侵害事件はその提出日から 180 日以内に完了させる必要がある。意匠、 商標、著作権の侵害事件では 90 日以内の完 了が必要だが、30 日の期間延⻑が可能であ る。これと同じタイムラインが最高裁判所に対す る上告にも適用されるが、但し、この場合、期間 延⻑は可能ではない。 国家警察⼜は知財総局の ⽂⺠捜査官 (PPNS)による調査(⼜は捜査)の実施 について規定される期限はない。但し、容疑 者を裁判まで拘留するに際しては期間の制 限がある。逃避可能性のリスクを回避しようと 思うと、この制限が、調査(⼜は捜査)及び 法廷審問のタイムフレームに影響を及ぼすこ とになる。 ⻑ 所 ・ 短 所 裁判所事件は解決が早い。 - 手続を発して 3、4 ヶ月で判決が下る。(よって仮/予備的 差止め命令にはあまり価値がない。) 原告は以下の救済を請求できる: インドネシアにおいて知的財産権に関する刑 事執⾏を透明性をもって効果的に⾏う難し さは相変わらず継続している。知財総局及 び警察が⾏う摘発の実数は、近年も減り続

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24 • 登録商標⼜は著作権が侵害された旨の宣 言 • 侵害製品販売に対する終局的差止め命 令、並びに • 損害賠償⾦ 但し、以下の点に注意が必要: • 裁判所において、損害裁定の指針が確⽴ されておらず、裁判官が思い付きで判決を 下すことが時折みられる。 • 損害賠償⾦裁定の強制が困難であり、被 告が失踪するか、⾦がないと申し⽴てること も多い。 • 裁判前の証拠開示手続がない。侵害品の 出所に関する開示命令は申請できるが、こ れに関する原則が確⽴されていないため、 裁判所が拒否することがある。裁判所とし ては、そういった命令が発せられた事実はな い。 • 今のところ、インドネシアにおける法的費用 の回復は、不可能である。 けている。 経験不⾜と汚職は依然として問題である。 摘発担当の政府職員は概して非公式な⽀ 払いを期待し、出来高(実入り)が低い か、ターゲットが小者と分かった事件処理の 拒否は常態化した事実である。事件を進め る場合もあるが、後に成⽴しない結果に終 わる。但し、ジャカルタや他の主要都市を外 れる地域では、警察との連携による成功例 も存在する。 また、事件が訴追段階に入る保証はない。ま た、これまでに侵害者に課された処罰が低い (1 年から 3 年程度)。 3. ⾏政取締実務 3.1 知財総局による取締

2010 年 12 月 31 日 Organization and Procedure of the Ministry of Law and Human Rights に関する Minister of Law and Human Rights of the Republic of Indonesia No. M.HH-05.OT.01.01 year 2010 規定に基づいて、2011 年 3 月調査局が設置され、⽂⺠捜査官 (PPNS)により侵害報告に対応している。

しかし、知財総局内に⽂⺠捜査官が設けられたにも関わらず、その限られた人的⼜は物的資源のために、 今までのその影響⼒は限定的である。これまで、同組織により、毎年 30 件未満の案件が処理された。これは、 インドネシアの国の規模を考慮すると、極めて少ない。

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25 知財総局の取締案件(分野別)60 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 著作権 2 4 3 5 1 特許 0 2 0 1 0 商標 26 25 14 10 6 工業意匠 6 3 0 1 2 合計 34 34 17 17 9 ※上記、数値は、各機関の取締実績の数値とは異なるが、情報元が異なる。 また、限られた予算で運用されるので、ジャカルタ外で権限を⾏使するのは限界がある。今まで取締が実施 された地域は、46 件のジャカルタが最も多く、次に 16 件の⻄ジャワで、圧倒的にジャカルタの案件に集中して いる。

60 Directorate General of Intellectual Property, ‘Peta Data Penyidikan 2010 – 2015,

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26 知財総局の実施地域 2011-201561 ただし、2011 年-2012 年の調査結果からすると、全体 72 件の中、証拠なしで終結したのは、2 件のみ であり、クレームの大半が捜査されていることがわかる。請求取り下げは、当事者間で協議が成⽴して終結した 案件であると考えられる。

61 Directorate General of Intellectual Property, ‘Peta Data Penyidikan 2010 – 2015,

http://www.dgip.go.id/penyidikan. No. 地方 案件数 1 ジャカルタ特別州 46 2 西ジャワ州 16 3 バンテン州 13 4 東ジャワ州 10 5 バリ州 5 6 リアウ諸島州 4 7 ジョクジャカルタ特別州 3 8 南スラウェシ州 3 9 北スマトラ州 2 10 ランプン州 2 11 北スラウェシ州 2 12 西スラウェシ州 2 13 パプア州 2 14 西スマトラ州 1 15 南スマトラ州 1 16 中部ジャワ州 1 17 西ヌサトゥンガラ州 1 18 中部カリマンタン州 1 19 南カリマンタン州 1 20 南東スラウェシ州 1

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27 IP(Intellectual Property)侵害に関する統計レポート(2011 年-2012 年)62 IP 侵害 捜査 証拠なし 検察官への捜 査開始通知 請求取り下げ 合計 著作権 2 1 1 3 7 商標 19 1 4 17 41 意匠 2 - 1 7 10 特許 1 - 1 - 2 合計 24(33%) 2(3%) 7(10%) 27(38%) 72 2015 年 7 月、知財総局は、知財事件の取り扱いに関する法令を発した。当該法令は、知財総局の強 制執⾏チーム(⽂⺠捜査官/PPNS)が不服申⽴書を管理及び処理する方法を義務付けている。 この法令は、内部手続をより詳細に説明するものである。この法令により、⽂⺠捜査官(PPNS)は、警 察を伴わずに摘発を実施し、押収を⾏うことが可能となったが、現実には、⽂⺠捜査官(PPNS)は、警護 及び援護のため、警察の⼒を借りたいとみられている。法令においては、タイムラインに関する勧告及び義務付 けが言及されていないため、遅延は続く可能性がある。 8 月に知財総局は、知財に関する不服申⽴を提出するための新たなセクションを⾃らのウェブサイトに導入 した。フォームは、以下の 2 種がある。 a. 不服申⽴総合フォーム63(著作権、意匠、半導体集積装置の回路配置、企業秘密、特許及び商 標用)及び b. ウェブサイト不服申⽴フォーム64 (オンライン上の著作権問題 - 映画、音楽、出版物、ソフトウェア 及びその他用) 権利者⼜は市⺠は、知的財産権侵害の証拠を入手している場合、これらのフォームを使用して、オンライン を通して直接知財総局に不服申⽴書を提出することができる。 3.2 警察による取締

特 別 犯 罪 捜 査 局 特 別 班 ( Specialized unit of the Directorate of Special Criminal

Detectives)が知的財産権侵害を取り扱う。捜査に関する法定期限がないので、12 ヵ月も捜査が続くこと

も稀ではない。通常は 60 日で捜査が終結することが多い。

強制調査には、8,000 ユーロ(約 107 万円)〜19,000 ユーロ(約 255 万円)程度の費用がかかる

62 Source: Directorate of Investigation, Directorate General of IPR, January 2013 63 http://efiling-hki.dgip.go.id/pengaduan/pengisian-formulir/formulir-pengaduan/ 64 http://efiling-hki.dgip.go.id/pengaduan/pengisian-formulir/formulir-pelaporan-website/

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28 といわれる。 強制調査後、権利所有者は、侵害品の廃棄、協議書に署名、侵害者による公の謝罪(費用は侵害者 負担)、損害額に関する協議に至ることが頻繁にある。 3.2.1. 手続フロー (出所元:JETRO アセアン・インド知的財産ハンドブック) 3.2.2 実務上の留意点 理論的には、使用可能な刑事実⾏のシステムがあり、場合によっては、警察による刑事強制調査が成功 裏に実施されることがある。しかし、実際上は、刑事実⾏は、警察手続の透明性の不⾜のような様々な要因 により、難しい場合がある。数々の案件では、悪名高い海賊版市場において、個人の安全に関する配慮のた めに、実⾏が不可能である。従って、問題が深刻になる前に、早急に侵害に対応することが重要である。費用 が高額となるため、強制調査は、権利者が通常の手段として必ずしも取る必要はないが、強制調査が実施さ れた際にターゲットは最大限の注目度を集めるため、手段として確保しておくべきである。事案が注目されること

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29 は、犯罪予防の効果をもたらすために重要である。また、大半の案件で、強制調査は、追加的な措置なしで、 被疑者からの侵害品の押収で簡単に成功裏に終了することが多い。 4. 司法対策実務 4.1 手続フロー (出所元:JETRO アセアン・インド知的財産ハンドブック) 4.2 実務上の留意点 訴訟に関しては費用と効果を検討し、保護する権利ごとに有効性を考慮して⺠事訴訟手続と刑事訴訟 手続を使い分けることが重要である。 4.2.1. ⺠事訴訟 インドネシアの裁判所は特許権侵害・無効に関して経験が少ないため、他国の判決例を提供することは有 効である。(外国企業の場合、同じ侵害問題が同時に発生すると、インドネシアで最初の裁判を起こすのを

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30 嫌うことが多い。) 損害の算定に関する規定が存在しないため、裁判所によって適用される明確な方法がない。 商務裁判所に⺠事訴訟を提起すると、通常 6 ヵ月以内に判決が下される。 刑事強制調査の改正にも関わらず、特定の侵害問題を解決するには、⼀般に⺠事手続よりも強制調査 が効果的である。また、⺠事訴訟は、刑事強制調査を⾏うよりも費用が大幅にかかる。⺠事訴訟は、特に商 標権⼜は著作権侵害の際、あまり選好される手段ではない。このような場合、知的財産権利者は、侵害を 中止させるため、刑事強制調査に頼り、その後、訴訟を起こさないことの反対給付として協議する。これは、過 度に高額となる⺠事訴訟に比べ、より費用面で有効な手段である。しかし、特許権侵害の場合、かかる問題 が複雑なため、⺠事訴訟が有効である。 4.2.2. 刑事訴訟 管轄は、被疑者の住所地の地方裁判所となる。知的財産の係争案件に関する経験が少ないので、判決 の予想が困難である。有罪判決が下りても、犯罪者は執⾏猶予、⼜は低価格の罰⾦になる。なお、汚職が あるので、刑事訴訟を提起することはまだ難しいところがある。なので、警察により、合議を取るように進められる ことが多い65 4.3 商務裁判所における知的財産訴訟の件数 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 中央商務裁判所(Jakarta) http://sipp.pn-jakartapusat.go.id/ 商標 53 件 特許 1 件 著作権 5 件 商標 92 件 特許 1 件 著作権 6 件 商標 75 件 特許 6 件 著作権 2 件 商標 54 件 特許 2 件 著作権 1 件 スラバヤ商務裁判所(Surabaya) http://sipp.pn-surabayakota.go.id/ オンライン 記 録なし 商標 8 件 商標 6 件 著作権 4 件 商標 5 件 著作権 4 件 メダン商務裁判所(Medan) http://www.pn-medankota.go.id/si pp-pn/ オンライン 記 録なし 商標 1 件 商標 7 件 商標 2 件 スマラン商務裁判所(Semarang) http://sipp.pn-semarangkota.go.id/ オンライン 記 録なし 商標 1 件 著作権 1 件 商標 2 件 著作権 2 件 マカッサル商務裁判所(Makassar) http://sipp.pn-makassar.go.id/ オンライン 記 録なし オンライン 記 録なし オンライン 記 録なし オンライン記 録なし 65 Anti-counterfeiting 2010

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31 4.3.1 外国 vs 国内当事者66 2014 年度インドネシアの IP 訴訟に関する研究によると、2008-2013 の間、533 件の IP 訴訟が発生し、 クレームの 45%は外国人により、残りの 55%はインドネシア人により登録された。⼀方、被告の 96%はインド ネシア人であり、4%のみが外国の被告であった。 外国原告の中で、アメリカと日本はそれぞれ 47 件、45 件で、上位 1,2 位を占めている。次いで 21 件で 中国、ドイツとイギリスが 16 件を占める。外国被告に関しては、シンガポールが合計8件でトップであり、次い で日本とアメリカがそれぞれ5件、3件である。調査された訴訟に基づいて裁判所に提出された IP 訴訟の種 類は以下の表である。 種類 国内原告にかかる案件 外国原告にかかる案件 商標 著作権 意匠 特許 商標 著作権 意匠 特許 取消 203 6 4 9 114 29 37 11 侵害 41 8 1 1 48 15 3 1 削除 9 0 0 n/a 18 0 0 0

66 JICA Consultancy Work for Survey on Recent Court Cases regarding Trademark, Patent, Industrial Design and

Copyright in Indonesia and Development of Curriculum and Materials for Training, Interim Report, 25th February 2014. 55% 45% 96% 4% 0% 50% 100% 150% Indonesia Foreign 国内及び国外当事者によるIP訴訟 (2008年-2013年) Plaintiff Defendant 原告 被告 インドネシア 外国

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32 4.3.2 判決と控訴 調査された 533 件の中で、 全部引用決定は 42%で、41%の拒絶決定とほぼ同じ比率である。残りの 17%は部分引用決定された。 結果に承服できない当事者は、最高裁判所に上告される。533 件の中、ただ167 件が上告され、また28 件が再審(reconsideration appeal)請求された。 IP 裁判の所要期間に関しては、1 ヶ月から 6 ヶ月まで様々である。169 件が 4 ヶ月かかっている⼀方、判 決まで平均時間は 3 ヶ月である。商務裁判所における第 1 審理から判決までの所要期間は以下のとおりであ る。 4.4 主要判例 特許に関する 2 件、意匠に関する 2 件、商標に関する 3 件を下記に紹介する。 42% 17% 41% 商事裁判所の判決の割合 Fully granted Partialy granted Rejected 1 ヶ月 2 ヶ月 3 ヶ月 4 ヶ月 5 ヶ月 6 ヶ月 6 ヶ月超 全部引用決定 部分引用決定 拒絶決定

参照

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