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2015年1月号【No.30】(2015年1月16日発行)

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1

2015 No.30

特集

消費者問題アラカルト

介護者支援を考える

新連載

消費者トラブル

手配旅行

をめぐる

インタ

ーネ

申し込む

繊維製品の

取扱い絵表示が

変わります!

家族介護者の

現状と課題

(2)

ブ版

1

2015

No.

30

特 集

12

消費者問題アラカルト

繊維製品の取扱い絵表示が

変わります!

−JIS L 0001:2014 新ケアラベルの記号について− 新連載

17

介護者支援を考える

家族介護者の現状と課題

19

食品の安全・品質と表示を考える

わが国の食料確保の問題

21

海外ニュース

強力磁石のパズル玩具に連邦安全基準

〈アメリカ〉

「新築住宅販売条例」施行1年半

〈香港〉

ほとんどの屋内遊園地に安全上の欠陥

〈ドイツ〉

生鮮ハーブはよく洗ってから調理を

〈フランス〉

23

“くるま”なんでも教室

トラブルからみる

くるまの安全と相談(2)

25

インターネットと上手につき合う

SNSと共存する社会へ

−聖心女子大学における ソーシャルメディア扱いのガイドライン−

28

住まいの基礎知識 −トラブルを未然に防ぐために−

30

消費者教育実践事例集

「生きる力」の育成をめざす 

「金融教育公開授業」の取り組み

32

金融商品を学ぶ 保険の基礎知識 −消費生活相談に対応するために 保険契約の成立(5)

クーリング・オフ、

特定保険の規制

35

苦情相談

投資経験の乏しい人に

「プロ向けファンド」を販売する業者

37

暮らしの法律Q&A

入居者が自殺したら、

その家族は損害賠償請求される?

38

暮らしの判例

未成年の息子が、父親のカードで

高額な不正使用をしたことについて、

カード会社の注意義務違反が認めら

れた事例

41

誌上法学講座 【消費生活相談に役立つ民法の基礎知識】

寄託・組合・終身定期金・和解

特集

1

日本人・訪日外国人の旅行者数の動向

1

特集

3

インターネットで申し込む

手配旅行に関する消費生活相談の概要

― PIO−NETから ―

9

特集

2

手配旅行のトラブル

― インターネットでの申込みを中心に ―

3

CONTENTS

(3)

観光庁観光戦略課調査室

特集

1

日本人・訪日外国人の

旅行者数の動向

2015.1 国民生活

特集

このような経済情勢のほか、2013年には伊勢 神宮の式年遷宮、富士山の世界遺産登録等の旅 行需要を創出する出来事があったことも、増加 要因として考えられます。

日本人宿泊旅行者数の推移

次に、国内旅行を宿泊旅行と日帰り旅行に分 けて推移をみていきたいと思います。日本人の 宿泊旅行者数は、2010年は延べで3億1753万 人でしたが、大震災があった翌年2011年は3億 1356万人(前年比1.3%減)まで減少しました (図2)。2012 年は、3億 1555 万人(前年比 0.6% 増)でわずかに増加し、2013 年は3億 2042万人(前年比1.5%増)と、震災前の水準 を超えるまでに増加しました。

日本人日帰り旅行者数の推移

日帰り旅行者数の推移ですが、2010年は延 べで3億1406万人でしたが、2011年は2億 昨今の日本の経済情勢や自然災害の発生など により、日本人*1の国内旅行や海外旅行、そし て訪日外国人*2の旅行者数は変動しています。 どのように推移してきたのか、過去4年間につ いて振り返っていきます。

日本人国内旅行者数の推移

日本人の国内旅行者数は、2010年は延べ6億 3160万人でしたが、翌年2011年は、東日本 大震災(以下、大震災)が発生したこともあり、 6億1253万人(前年比3.0%減)まで減少しま した(図1)。2012年には、6億1275万人で 回復の兆しが表れ、2013年には6億3095万 人まで増加しました。2013年の旅行者数がこ こまで増加したのは、金融緩和、財政出動、成 長戦略の「三本の矢」による「アベノミクス」によ り、株高となり、景気が緩やかに回復しつつあ る状況であったことが一因として考えられます。 また、金融緩和により円安が進行したことで、 日本人にとって海外旅行が割高 となり、海外旅行から国内旅行 へシフトする動きが出てきたこ とも要因として考えられます。 *1 日本国内に居住する日本国民。 *2 国籍に基づく法務省集計による外国人正 規入国者から、日本を主たる居住国とする 永住者等の外国人を除き、これに外国人一 時上陸客等を加えた入国外国人のこと。 日本人国内旅行者数の推移 出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」 図1 (年) (万人) 63,160 61,253 61,275 63,095 5,000 15,000 25,000 35,000 45,000 55,000 65,000 75,000 2010 2011 2012 2013 日本人宿泊旅行者数の推移 出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」 図2 (年) (万人) 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2010 2011 2012 2013 31,753 31,356 31,555 32,042

(4)

特集1 日本人・訪日外国人の旅行者数の動向 インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル そして東南アジア諸国に対するビザ要件の緩和 も、訪日外国人旅行者数の増加要因として考え られます。

日本人海外旅行者数の推移

日本人海外旅行者数は、2010 年に延べで 1664万人、2011年は1699万人(前年比2.1% 増)、そして2012年は1849万人(前年比8.8% 増)と増加傾向が続いていました(図5)。これ は当時、円高が進行したことにより、日本人に とって海外旅行が割安になったことが一因とし て考えられます。しかしながら、2013年には 傾向が変わり、海外旅行者数は1747万人(前 年比 5.5% 減)まで減少しました。これは、昨 今の日中・日韓関係の影響や、円安による買い 物も含めた旅行費用の上昇により、海外旅行か ら国内旅行へシフトする動きが出てきたことが 一因として考えられます。 以上のとおり、日本人の国内旅行、海外旅行、 そして訪日外国人の旅行者数の推移を振り返っ てきました。過去4年間の傾向としては、日本 人の国内旅行者数と訪日外国人の旅行者数は、 大震災のあった2011年には前年に比べ減少し ましたが、その後、いずれの数値も震災前の水 準への回復傾向を示し、あるいは震災前の水準 を上回りました。一方、日本人の海外旅行者数 については、大震災の発生にかかわらず2012 年まで増加傾向を示しましたが、2013年には 傾向が反転し、前年に比べ減少しました。 9896万人(前年比4.8%減)まで減少し、2012 年は2億 9720 万人でわずかに減少しました (図3)。そして2013年は、3億1053万人(前 年比4.5%増)と震災前の水準近くまで回復しま した。

訪日外国人旅行者数の推移

日本人だけでなく今や多くの訪日外国人も日 本国内を旅行しています。2003年、日本政府は ビジットジャパン事業*3を開始しました。当時 の訪日外国人旅行者数は521.2万人でしたが、 2010年には訪日外国人旅行者数は861.1万人 と、当時の過去最高を記録しました(図4)。とこ ろが、2011年は大震災により621.9万人(前年 比27.8%減)まで減少しました。2012年には、 震災前の水準まで戻らなかったものの835.8万 人(前年比34.4%増)まで回復し、そして2013 年には1036.4万人(前年比24.0%増)と史上初 の年間訪日外国人旅行者数1000万人を達成し ました。リーマンショックや、大震災による落 ち込みがありましたが、ビジットジャパン事業 の開始11年目に、当初の政府目標である年間 1000万人を超えたことになります。この年に 1000万人を達成したのは、日本における金融 緩和による円安進行の結果、外国人にとって訪 日旅行が割安になったことも要因として考えら れますが、東アジアやASEAN(東南アジア諸国 連合)各国の経済成長による訪日旅行の需要増 大、継続して行ってきたビジットジャパン事業、 日本人日帰り旅行者数の推移 出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」 図3 (年) (万人) 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2010 2011 2012 2013 31,406 29,896 29,720 31,053 訪日外国人旅行者数の推移 出典:日本政府観光局(JNTO)資料を もとに観光庁作成 図4 (年) (万人) 0 200 400 600 800 1,000 1,200 2010 2011 2012 2013 861.1 621.9 835.8 1,036.4 日本人海外旅行者数の推移 出典:法務省資料をもとに観光庁作成 図5 (年) (万人) 0 400 800 1,200 1,600 2,000 2010 2011 2012 2013 1,664 1,699 1,849 1,747 *3 訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業の こと。http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html

(5)

手配旅行のトラブル

―インターネットでの申込みを中心に―

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル

特集

2

上田 孝治 Ueda Koji 弁護士(神戸さきがけ法律事務所) 日弁連消費者問題対策委員会幹事。主著(共著)に『Q&A 旅行ト ラブル 110 番 -旅行者のための法的知識-』(民事法研究会)、 『コンメンタール消費者契約法〔第2版〕』(商事法務)がある。 2015.1 国民生活 手配旅行は、旅行業者が宿泊先などを個別に手 配するだけで、旅行業者が旅行計画を作成する ことはありません。 手配旅行にはこのような特徴があり、手配旅 行業者が善良な管理者の注意をもって旅行サー ビスの手配をしたときは、旅行業者としての債 務の履行は終了したとされます(手配約款3条)。 したがって、手配旅行の場合、結果的に手配が できなかったとしても、旅行業者が当然に責任 を負うわけではなく、逆に手配料等を旅行者が 支払わなければならないことがあります。この 点、企画旅行では、日程どおりの運送や宿泊等 を旅行業者が確保しなければなりません(標準 旅行業約款・募集型企画旅行契約の部(以下、 募集型企画約款)3条、同・受注型企画旅行契 約の部(以下、受注型企画約款)3条)。また、手 配旅行の場合、企画旅行と異なり、旅行業者は 旅行者に対し、旅程管理責任(旅行者の安全か つ円滑な旅行の実施を確保し、旅行が計画どお りの内容で実施されるよう必要な措置を講じ る)、旅程保証責任(一定の重要な旅程変更が生 じた場合に、旅行業者に過失がなくても一定の 変更保証金を支払う)、特別補償責任(旅行参加 中に発生した偶然の事故により旅行者が損害を 受けた場合、 旅行業者に過失がなくても、その 損害の程度に応じて、補償金、見舞金を支払う) という旅行業法および標準旅行業約款に基づく 3つの責任を負いません(募集型企画約款 23

手配旅行とは何か

手配旅行とは、旅行業者が旅行者の委託を受 け、旅行者のために代理・媒介・取り次ぎをす ることにより、旅行者が運送・宿泊機関等の提 供する運送・宿泊等のサービスを受けることが できるように手配することを引き受けることで す(標準旅行業約款・手配旅行契約の部(以下、 手配約款)2条1項、旅行業法2条5項)。 ここでいう「代理」とは、旅行業者が、旅行者 の代理人として運送・宿泊契約等を行うことを いい、旅行者が運送契約や宿泊契約等の契約当 事者となります。他方、「媒介」とは、旅行業者 が旅行者に対して運送・宿泊機関等を紹介して、 契約が成立するように事実上尽力すること、「取 り次ぎ」とは、旅行業者自らが運送・宿泊契約 等を行い、その代金を旅行者が出すことをいい ます。 手配旅行業を営むには、旅行業法により定め られた登録をする必要があり、無登録営業は、 100 万円以下の罰金に処せられます(旅行業 法* 129条1号)。 手配旅行は、旅行業者による旅行に関する計 画の作成を要素とするかどうかで企画旅行と区 別されます。企画旅行は、いわゆるパックツアー 等のことですが、旅行業者が旅行に関する計画 (旅行の目的地や日程等)を作成するのに対し、 *1 以下、特に断りのない場合、条数は旅行業法の条文を指す。

(6)

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集2 手配旅行のトラブル ―インターネットでの申込みを中心に― 空券等の運送サービスや宿泊施設の手配を 行っている事業者のことです。消費者との 間で結ばれる契約は事業者の拠点の法律に 基づくこととしていることが一般的です。 日本国内においても、数多くの海外OTA が事業を展開していますが、旅行業法の適 用を受けないとされているためトラブルも 多発しています。

広告に関する規制

インターネットを利用した手配旅行の広告に ついては、旅行業法上、広告が優良誤認や有利 誤認であってはならないこと(法12条の8)や、 旅行業務取扱料金(いわゆる手配料)をサービス の対価とは別に定めて表示しなければならない (法12条1項)といったほか、特に規制はあり ません。 この点、募集型企画旅行については、「募集型 企画旅行の表示に関する公正競争規約」により、 写真・イラスト等の表示基準や用語の使用基準 等が細かく定められていますが、手配旅行につ いてはこのような規約はありません。また、旅 行業法上の旅行サービスについては、特定商取 引法(以下、特商法)の適用が除外(特商法26条 1項8号ハ)されていますので、特商法の広告 に関する規制の適用もありません。 したがって、手配旅行の広告については、特 別の規制はなく、景品表示法等の一般規定によ り規制されることになります。

契約の成立までの流れ

まず、旅行業者がインターネットを利用して 旅行業務を行う場合には、旅行取引を行うウェブ サイトを管理する営業所について、旅行業務を 取り扱う営業所としての登録を受ける必要があ るとされています* 3 そして、手配旅行契約の締結に際しては、イ 条、28条、29条、受注型企画約款24条、29条、 30条)。 このように、手配旅行と企画旅行とでは、旅 行業者に課せられる義務や責任が大きく異なり ます。しかしながら、例えばいわゆる「フリー プラン」は、航空券や乗車券等と宿泊をセット にし、それ以外は自由行動というかたちで旅行 会社が販売している商品ですが、これは募集型 企画旅行とされているように、両者の区別は実 際には微妙な場合もあります。したがって、旅 行業者が「手配旅行」であると説明したうえで、 実質的には企画旅行を行っていることもあり、 その場合には、旅行業者が法12条の10に従っ て旅行の円滑な実施を確保することが求められ、 標準旅行業約款の定める旅程管理責任、旅程保 証責任、特別補償責任を問われることがありま すし、当該旅行業者の登録の種類によっては無 登録営業となることもあります。 また、旅行者自身もこのような手配旅行と企 画旅行の違いを意識して契約することは少なく、 そのため、手配旅行であっても企画旅行のよう なイメージで旅行業者の責任を問う傾向が強く なります。特にインターネット取引の場合、店 頭で直接説明を受けることがなく、旅行者自ら がウェブサイトの内容を細かく確認しなければ ならないため、より手配旅行と企画旅行の違い を意識しづらくなっているようです。 さらに近時は、インターネットの発展により、 旅行業法の適用を受けないとされる、いわゆる 場貸しサイト(ホテルや旅館の宿泊情報を掲載 するサイトを施設側に提供し、料金やプランの 設定を任せる)や、海外 OTA(Online Travel Agent)等も出現しており、旅行業法の定める旅 行の種類の区分が曖あい昧まいになっていると指摘され ているところです* 2 海外OTAは、営業拠点を海外に置き、イ ンターネットを活用して、国境を越えて航 *2 観光庁「旅行産業の今後と旅行業法制度の見直しに係る方向性に ついて」(平成 26 年 5 月)  http://www.mlit.go.jp/common/001040390.pdf *3 「インターネット取引を利用する旅行業務に関する取扱について」 (平成 19 年 12 月 17 日国総観事第 289 号)  以下、「インターネット旅行業務取扱」という。

(7)

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集2 手配旅行のトラブル ―インターネットでの申込みを中心に― 2015.1 国民生活 は、日本国内に営業所を持つ旅行業者等が行う 旅行業務のために利用されるウェブサイトを運 営する場合について必要な事項を定めたもので すが、旅行業者が手配旅行の広告をポータルサ イト等に出し、当該広告にリンクされた旅行業 者のサイトで旅行を販売する場合や、旅行業者 がポータルサイト等の提供するシステムを利用 して、旅行を販売する場合にも適用があるとさ れています。

契約の成立時期

手配旅行契約は、旅行業者が契約の締結を承 諾し、申込金を受理したときに成立するのが原 則(手配約款7条)ですが、書面による特約を もって、申込金の支払いを受けることなく、契 約の締結の承諾のみにより、手配旅行契約を成 立させることができます。この場合、旅行契約 の成立の時期はこの書面の中で明らかにしなけ ればなりません(手配約款8条)。具体的には、「契 約締結承諾画面がウェブページ上に表示された 時点をもって、旅行契約が成立するものとしま す」などと表示されます。 また、これとは別に、インターネット等の通 信手段で手配旅行契約を申し込み、支払いをク レジットカードで決済する場合(通信契約)につ いては、旅行業者が申込みを承諾する旨の通知 を発したとき(なお、電子承諾通知の場合は、 通知が旅行者に到達したとき)に契約が成立す るとされています(手配約款7条2項)。 このようにインターネットによる手配旅行契 約については、申込金の受理なしに契約が成立 する場合が広く認められており、契約の成立時 期はキャンセル料の発生時期とリンクしていま すので、注意が必要です。

契約の解除

手配旅行においては、旅行者はいつでも契約 の全部または一部を解除することができます(手 配約款13条1項)。もっとも、この場合旅行者 は旅行業者に対して、①旅行者が既に提供を受 ンターネット上の販売画面において、手配を引 き受けようとするサービスの内容等に関する取 引条件の説明(法12条の4)を行うことになり ます。これについては、ウェブサイト上に取引 条件説明書面が掲示され、その内容を了承した 旨のアイコンをクリックする等により旅行者が 了承した場合に限り、取引条件の説明が行われ たとして、取引を進めることができることとさ れています* 3 その後、申込内容の入力画面で、必要な情報 を入力することになります。もっとも、インター ネットを利用する場合は、誤入力などにより意 図しない申込みをしてしまう可能性がありま す。そこで、旅行者が入力内容を確認するペー ジを設け、入力内容を確認した旨のアイコンを クリックする等により旅行者が了承した場合に 限り、契約を締結することができるものとされ ています* 3。つまり、入力画面における確認と は別に、申込内容確認画面においても申込内容 の確認が必要とされています。 なお、仮に旅行業者が申込内容確認画面を設 けていなかったために、旅行者が意図しない申 込みをしてしまった場合、「電子消費者契約及び 電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」 (電子消費者契約法)3条の確認措置を講じてい なかったことにもなります。よって、旅行者が 意図しない手配旅行契約の申込みをしたことに ついて重大な過失があったとしても、旅行者は 民法95条により手配旅行契約の錯誤無効を主張 することができます。 そのほか、インターネットを利用した手配旅 行の取引条件説明書面や契約書面で記載すべき 具体的な内容や記載方法については、「インター ネット旅行業務取扱」に基づき旅行業協会が作 成した「インターネットを利用した旅行取引に 関するガイドライン*4(平成20年1月)で詳細 に説明されています。なお、このガイドライン *4 一般社団法人日本旅行業協会(JATA)  http://www.jata-net.or.jp/jatainfo/etbtsystem/pdf/guideline.pdf 一般社団法人全国旅行業協会(ANTA) http://www.anta.or.jp/law/pdf/internet-guideline_h2001.pdf

(8)

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集2 手配旅行のトラブル ―インターネットでの申込みを中心に― 東京地裁平成23年7月28日判決*6があります。 この事案において裁判所は、 この約款は、旅行者が本件契約を解除し た場合には、同人は、①既に旅行者が提供 を受けた旅行サービスの対価、②取消料、 違約料その他の運送・宿泊機関等に対して 既に支払い、又はこれから支払う費用の負 担、③旅行業者に対し、所定の取消手続料 金及び同社が得るはずであった取扱料金を 支払わなければならない旨を定めているも のであって、その内容に照らせば、消契法 9条1号の「平均的な損害」の内容を一般的 に定めたものと解される。 として、手配約款の消契法9条1号適合性につ いて以下のとおり判断をしました。 まず、航空券代、出入国税等、ホテルの取消 手数料については、 被告は、本件約款に基づき、原告(旅行者) が自らの都合によって本件契約を解除した こと(本件航空券については発券手続後に 解除したこと)によって生じた航空会社や 本件ホテルに対して支払うべき取消料・違 約料に相当する額の返還を拒絶している が、これらの取消料・違約料に相当する額 を、原告のために本件航空券や本件ホテル の手配を行ったに過ぎない被告(旅行業者) が負担しなければならない理由はないので あるから、これらの取消料・違約料相当額 (本件航空券の航空券代、出入国税等、本件 ホテルの取消手数料)は、原告が本件契約を 解除したことによって被告に生じた「平均 的な損害の額」の範囲内のものとして、被 告に返還義務を生じないと解するのが相当 である。 と判示しています。 けた旅行サービスの対価としての費用(運送・宿 泊機関等に対して支払わなければならない料金) ②旅行者がまだ提供を受けていない旅行サービ スに関する費用(運送・宿泊機関等に対してこれ から支払わなければならない取消料、違約料等) ③旅行業者所定の取消手続料金*5 ④旅行業者 が得るはずであった手配料(取扱料金)、を支払 わなければなりません(手配約款13条2項)。こ のことは、旅行者が所定の期日までに旅行代金 を支払わないといった旅行者の責に帰すべき事 由により、旅行業者が旅行契約を解除した場合 も同様です(手配約款14条)。 各旅行業者のホームページには「旅行業務取 扱料金」と題して、取扱料金や取消手続料金が 具体的に定められているとともに、「旅館・ホテ ルの取消料は各施設ごとの宿泊約款によります」 等と記載されています。 他方で、旅行業者の責に帰すべき事由により 旅行サービスの手配ができなくなったときは、 旅行者は旅行契約を解除することができます。 この場合、旅行業者は旅行者が既に提供を受け た旅行サービスの対価として支払わなければな らない費用を除き、旅行者に払い戻しをしなけ ればなりません。また、払い戻されたもの以外 に旅行者に損害が生じている場合は、旅行者は、 別途、旅行業者に対して損害賠償請求すること ができます(手配約款15条)。

キャンセル料に関する裁判例

まず、航空券およびホテルの手配を依頼する ことを内容とする手配旅行契約を旅行業者との 間で締結した旅行者が、契約を解除したところ、 手配約款に基づいて事務手数料および多額の違 約金(取消手数料等)を負担させられたと主張し、 キャンセル料の規定のうち消費者契約法(以下、 消契法)9条1号の「平均的な損害」を超える部分 について無効であるなどと主張したものとして、 *5 旅行者が手配旅行契約を解除したことで、旅行業者が既に手配 を完了している運送・宿泊機関等と再度連絡をとり、旅行者の ために新たに予約手配取消し等の事務手続を行うことに対する 対価(取消手数料)。 *6 『判例タイムズ』1374 号 163 ページ

(9)

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集2 手配旅行のトラブル ―インターネットでの申込みを中心に― 2015.1 国民生活 地域に存する他の宿泊施設においては、宿 泊前日の取消料について、宿泊料金の20% から100%までと宿泊施設ごとに大きく異 なる金額を定めており、他に基準となるべ きものが見当たらない。 と判示しました。そのうえで、宿泊料金等から キャンセルにより旅館が支出を免れることがで きたであろう額を差し引いた損害額を「平均的 な損害」に当たるものとして、取消料に関する合 意の一部を無効としました。要するに、手配旅 行でキャンセルがあったときに、宿泊機関が定 める取消料を支払う旨の記載があるケースで、 この宿泊機関の定める取消料の定めを、消契法 で一部無効として返金を認めています。 なお、この事案では旅行者が旅行業者に手配 料の返還も求めていたようですが、本判決の原 審でこの請求は認められず、この部分について は控訴もされなかったようです。

手配先でのトラブルと旅行業者の責任

手配旅行は、旅行者が自由に行程を決め、そ れに合わせた運送・宿泊機関等の手配を旅行業 者にしてもらうという性質のものです。そのた め、前述のとおり手配旅行業者は、善良な管理 者の注意をもって旅行サービスの手配をすれば それで責任を果たしたことになり、旅行業法お よび標準旅行業約款に基づく旅程管理責任、旅 程保証責任、特別補償責任という3つの責任を 負いません。 もちろん、手配旅行業者とはいえ、民法、消 契法等に基づく一般的な責任を問われる可能性 はありますが、企画旅行のような特別の保護は ありません。したがって、旅行者が、手配先の 運送・宿泊機関等において事故にあったとか、 手配したホテルが送迎してくれるはずだったの にしてもらえなかったといったようなトラブル が発生した場合でも、手配旅行業者の責任を問 うのは容易ではないことに注意が必要です。 つまり、航空券発券後のキャンセルについて、 手配旅行業者が航空会社と交渉して返還されな かった分については、旅行者がまだ提供を受け ていない旅行サービスに関する費用(運送・宿 泊機関等に対して支払わなければならない取消 料、違約料等)を旅行者が負担すべきとする手 配約款は消契法に違反しないということです。 これにより、運送・宿泊機関等に支払わなけれ ばならない取消料等の実額は「平均的な損害」の 範囲内であり、その全額を旅行者が負担すべき ことになります。 また、手配旅行に係かかる取扱料金・手配料金に ついて、裁判所は、 手配旅行に関する取扱料金についても、 被告は、本件契約に基づいて本件航空券及 び本件ホテル予約の手配を完了したのであ るから、本件契約の解除によって被告に生 じた「平均的な損害の額」の範囲内のものと して、被告に返還義務を生じないと解する のが相当である。 と判示しています。 つまり、手配料(取扱料金)については、そも そも旅行業者としての手配債務を完了しており、 その対価である取扱料金は「平均的な損害」の範 囲内とし、これを旅行者負担とする手配約款の 定めは消契法に違反しないとしたわけです。 また、手配旅行で旅館の宿泊予約をした旅行 者が、予約を取り消した際に旅館に支払った取 消料について、「平均的な損害」を超える取消料 の額を定める部分は無効となるなどとして、不 当利得返還請求を行った事案について、東京地 裁平成23年11月17日判決(控訴審)*7は、 手配旅行契約に基づく宿泊施設の予約の 取消料については、企画旅行契約における 標準旅行業約款のように、業界における標 準約款が存在せず、また、被控訴人*8と同 *7 『判例時報』2150 号 49 ページ *8 被控訴人は旅館である。

(10)

インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集2 手配旅行のトラブル ―インターネットでの申込みを中心に― ※「法」は旅行業法のことを指す。 ※「約款」とは、標準旅行業約款(平成二十六年四月二十一日消費者庁観光庁告示第一号(平成二十六年七月一日から適用))のことを指す。 注1 特に法7条に基づき、登録後に観光庁(第1種)、あるいは都道府県(第2種、第3種、地域限定)に届け出をしなければ営業を開始することができ ない。 注2 企画旅行は法2条4項で旅行業者が旅行に関する計画を作成し、自己の計算において運送等サービスの提供に係る契約を締結する旅行であるため、 旅行者は旅行代金と企画旅行の旅行計画内容を比較して商品を選択するもので、その料金の内訳にまで行政が介入する必要性がないため、法 12 条1項で「企画旅行に係るものを除く」とされている。 注3 適用除外とならない商品・サービスについては、特商法 11 条~12 条で、広告規制について定められている。 注4 電子消費者契約法4条により到達主義(民法97条1項)が適用される。一方で、民法526条1項、727条(発信主義)による考え方もあるが、インター ネット取引においてはこの考え方は適用されない。 手配旅行 企画旅行 募集型企画旅行 受注型企画旅行 定 義 法2条5項、約款・手配旅行契約の部 2条1項 法2条1項、 約款・募集型企画旅行契約の部 2条4項 法2条1項、 約款・受注型企画旅行契約の部 2条4項 登録制度 法3条、29条1号 営業保証金の還付(弁済)制度 法17条 注1、旅行業者営業保証金規則、旅行業協会弁済業務保証金規則 約款・手配旅行契約の部25条 約款・募集型企画旅行契約の部31条 約款・受注型企画旅行契約の部32条 業者の責任 約款・手配旅行契約の部23条 約款・募集型企画旅行契約の部27条 約款・受注型企画旅行契約の部28条 消費者の責任 約款・手配旅行契約の部24条 約款・募集型企画旅行契約の部30条 約款・受注型企画旅行契約の部31条 旅程管理責任 負わない(ただし、民法、消契 法等に基づく一般的な責任は 問われる可能性がある) 負う(法12条の10) 旅程保証責任、 特別補償責任 約款・募集型企画旅行契約の部23条、28条、29条 約款・受注型企画旅行契約の部24条、29条、30条 広告規制 優良誤認、 有利誤認の禁止 法12条の8 法12条の7・8 旅行業務取扱料金 法12条 なし注2 写真・イラスト等の表示基準 や用語の使用基準等の定め なし 企画旅行に関する広告の表示基準等について(通達) 募集型企画旅行の表示に関する公正 競争規約 なし 特商法による広告規制 旅行サービスについては広告の規制の適用除外となる(特商法26条1項8号ハ)注3 そのほかの一般規定による 規制 景表法4条(優良誤認、有利誤認の禁止)など ネットでの契約成立まで ウェブサイトを管理する営業所の登録制度 「インターネット取引を利用する旅行業務に関する取扱について」(通達) サービス内容等に関する 取引条件の説明 法12条の4、「インターネット取引を利用する旅行業務に関する取扱について」(通達) 申込み内容の確認措置 「インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン」電子消費者契約法3条、民法95条 (平成20年1月、旅行業協会作成)、 取引条件説明書面、 契約書面等についての 具体的な説明(記載方法等) 「インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン」(平成20年1月、旅行業協会作成) ネットでの契約の 成立と解除 契約の成立時期 約款・手配旅行契約の部7条~9 条、民法 97 条1項(到 達主義)注4 約款・募集型企画旅行契約の部8条 約款・受注型企画旅行契約の部8条 契約の解除および旅行代金の 払戻し等 約款・手配旅行契約の部13条~15条 約款・募集型企画旅行契約の部16条~20条 約款・受注型企画旅行契約の部16条~20条 取消料(キャンセル料) 消契法9条1号(平均的な損害の範囲で認められる) 約款・手配旅行契約の部 13条2項 約款・募集型企画旅行契約の部別表第1 約款・受注型企画旅行契約の部別表第1 (参考)手配旅行、企画旅行に関する法規制等の一覧

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インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル

特集

3

手配旅行に関する

インターネットで申し込む

消費生活相談の概要

PIO

NET

から ―

2015.1 国民生活

1.

相談件数の推移

PIO−NET*によると、全国の消費生活セン ター等に寄せられた海外手配旅行に関する相談 件数は、2009年度~2014年度までの約5年間 で、合計2,920件です。そのうち、インターネッ ト(以下、ネット)による申込みについての相談 は、全体の 46.7%を占めています。そして、 2009 年度以降は年々増加傾向にあり、2012 年度以降50%を超えています(図1)。 一方、国内手配旅行に関する相談件数は、 2009年度~2014年度までの約5年間で合計 1,531件です。そのうち、ネットによる申込み についての相談は、全体の41.7%を占めていま す。2012年度には50%を超えました(図1)。 今回は、ネットで申込みを行う海外手配旅行、 国内手配旅行の相談について、その傾向をまと めました。 ネットで申込みを行う海外手配旅行(以下、 海外)に関する相談件数は、2009年度~ 2014 年度までの約5年間で、合計1,365件です。相 談件数の推移をみると、2010年度の伸びが最 も大きく(前年度比88.8%増)、2009年度には 116件でしたが、2010年度には219件の相談 が寄せられています。2013年度には273件と 最も多くの相談が寄せられ(前年度比2.2%増)、 2009年度以降増加しています(図1)。 一方、ネットで申込みを行う国内手配旅行(以 下、国内)に関する相談件数は、2009 年度~ 2014年度までの約5年間で、合計639件です。 相談件数の推移をみると、2012年度の伸びが 最も大きく(前年度比91.1%増)、2011年度に は79件でしたが、2012年度には151件の相 談が寄せられています。その後も2013年度に は182件(前年度比20.5%増)と増加傾向にあ り、多くの相談が寄せられています(図1)。

2.

相談の傾向

⑴ 契約当事者の属性

①年代別・職業別 契約当事者を年代別にみると、海外は20歳代 253 件(20.0%)、30 歳代 382 件(30.2%)、40 歳 代277件(21.9%)、50歳代194件(15.4%)で、 国内は20歳代121件(20.2%)、30歳代166件 (27.8%)、40歳代157件(26.3%)、50歳代86 件(14.4%)で、国内、海外とも20~40歳代で 海外手配旅行、国内手配旅行に関する相談件数 図1 国内手配旅行全体 ネットによる申込み(国内) 海外手配旅行全体ネットによる申込み(海外) 0 100 200 300 400 500 600 2011 2012 2013 2014 (件数) 2010 2009 (年度) 195 399 274 533 235 544 290 364 173 507 518 419 65 116 85 219 79 255 151 182 77 267 273 235 * PIO−NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システ ム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラ インネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積している データベースのこと。データはいずれも 2014 年 11 月 30 日まで の登録分。小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が 100 にならないことがある。

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インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集3 インターネットで申し込む手配旅行に関する消費生活相談の概要 ―PIO−NETから― 全体の約4分の3を占めています(不明・無回 答を除く)(図2)。 職業別でみると、海外が給与生活者 822 件 (65.4%)、国内が給与生活者371件(63.2%)で、 海外および国内のいずれにおいても「給与生活 者」が全体の6割を占めており、労働世代の多 くが申込みにネットを利用していることが分か ります(団体等、不明・無回答を除く。海外 n=1,257、国内n=587)。 ②性別 契約当事者の性別をみると、海外、国内とも に女性が半数を超えており、女性が海外761件 (56.8%)、国内338件(53.7%)、男性が海外 579件(43.2%)、国内291件(46.3%)で、海 外のほうが、女性からの相談が多く寄せられて います(団体等、不明・無回答を除く。海外 n=1,340、国内n=629)。

⑵ 契約購入金額

平均契約購入金額は、海外が約21万円、国内 が約6万円です。海外は行き先や滞在日数の違 いなどにより金額の分布に幅はありますが、 「10万~50万円未満」が549件(48.8%)と多く、 次いで「5万~10万円未満」が244件(21.7%) です(不明・無回答を除く)(図4)。 一方国内は、「1万~5万円未満」が 226 件 (45.3%)、「5万~10万円未満」が128件(25.7%) となっています(不明・無回答を除く)(図5)。

⑶ 主な相談内容

主な相談内容について上位5位までをみると、 海外、国内ともに「解約料」「解約(全般)」「返金」 「電子広告」に関する相談が目立ちます()。 契約当事者の年代(海外手配旅行) 図2 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 20件 1.6% 31件 2.5% 253件 20.0% 382件 30.2% 277件 21.9% 194件 15.4% 106件 8.4% (n=1,263) 契約購入金額(海外手配旅行) 図4 1000円未満 1000~1万円未満 1万~5万円未満 5万~10万円未満 10万~50万円未満 50万~100万円未満 100万~500万円未満 41件 3.6% 2件 0.2% (n=1,124) 18件 1.6% 168件 14.9% 244件 21.7% 549件 48.8% 102件 9.1% 契約当事者の年代(国内手配旅行) 図3 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 11件 1.8% 16件 2.7% 41件 6.9% 121件 20.2% 166件 27.8% 157件 26.3% 86件 14.4% (n=598) 契約購入金額(国内手配旅行) 図5 1000円未満 1000~1万円未満 1万~5万円未満 5万~10万円未満 10万~50万円未満 50万~100万円未満 10件 2.0% (n=499) 5件 1.0% 58件 11.6% 226件 45.3% 128件 25.7% 72件 14.4% 海外手配旅行 国内手配旅行 1 解約料 500件 36.6% 解約料 206件 32.2% 2 解約(全般) 495件 36.3% 解約(全般) 204件 31.9% 3 返金 434件 31.8% 電子広告 171件 26.8% 4 電子広告 341件 25.0% 返金 170件 26.6% 5 約束不履行 226件 16.6% 連絡不能 123件 19.2% 相談内容の上位とその件数・割合 ※複数回答項目。割合は総相談件数を100として算出。

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インターネットで申し込む手配旅行をめぐる消費者トラブル 特集3 インターネットで申し込む手配旅行に関する消費生活相談の概要 ―PIO−NETから― 2015.1 国民生活 格安航空券の価格比較サイトから旅行 会社のサイトへ入り、格安航空券を申 し込んだ。業者からメールで「予約確認 書兼請求書」が届き、その中に本日が入金の期 限日であること、出発日まで3週間を切って いるので入金後の手配になること、自己都合 の取消しの場合は入金の有無にかかわらず キャンセル料を支払うことになると記載され ていた。入金も発券手続もまだなのにキャン セル料がかかるのは納得できない。  (20歳代 男性) 事例

1

海外旅行に行く4カ月前にインターネッ トで希望のパックツアーをみつけた。 旅行のついでに友人に会うために違う 国に立ち寄りたいと要望し、パックツアーと 帰路の航空券の変更、追加の航空券の手配を 申し込んだ。旅行代金全額を支払った後、旅 行の2カ月くらい前に突然帰路の飛行機が夜 から朝に変更されたため、最終日の観光が まったくできなくなった。旅行会社がその分 は返金するという一方で、予定通り観光した いなら、翌朝の便に変更し、追加料金を支払っ て1泊延長する方法があるという。どちらに するかと言われたが、どちらを選んでもしわ 寄せがくるので不満。しかし、パックツアー と思っていたら、実際は手配旅行の契約で、 今キャンセルするとキャンセル料は自主規程 により100%になるので、行くしかない。  旅行会社に苦情を伝えると、最終日の観光 を別の自由行動の日に入れると提案された。こ の場合、観光する時間が短縮されるが、利用 しない食事代、車代、ガイド代などの返金はな いという。自由行動時間や現地滞在時間も減 る。旅行会社の対応に不満。(40歳代 男性) 事例

3

旅行代理店に南米行きの往復航空券を インターネットを使って申し込み、代 金はクレジットカードで決済した。当 初は宿泊なしの乗り継ぎ便だったが、航空会 社の運航スケジュールの都合で乗り継ぎ地で 1泊しなければならなくなり、その宿泊費用 は私の負担だと言われた。航空会社の都合で 変更になったのに、ホテル代を払うのは納得 がいかない。  旅行代理店に予約の取り消しを申し出たと ころ、キャンセル料として5万円かかると言 われた。苦情を言ったら、旅行代理店が航空 会社に交渉し、3万円に減額された。それで も解約にはキャンセル料がかかるし、解約し なければホテル代も支払うことになる。どう したらいいか。 (20歳代 女性) 事例

2

海外の旅行業者のサイトで、申込画面 にキャンセル手数料無料と表示がある ことを確認したうえで、ホテルの宿泊を申し 込み、全額をクレジットカードで決済した。 その後都合が悪くなり、電話で解約を伝えた ところ、「解約料がかかる、解約料について はキャンセルポリシーに記載がある」と言わ れた。キャンセル手数料無料と表示されてい るにもかかわらず、キャンセル料が請求され ることに納得できない。 (40歳代 男性) 事例

B

海外の旅行業者のサイトで海外のホテ ルを予約した。その後解約したら、全 額返金にはならなかった。規約に書いてある そうだが、日本の旅行業者ならまだ全額返金 になる時期である。日本語で日本人を相手に 商売をしているのに、日本の法律が適用にな らないのは問題だ。 (60歳代 男性) 事例

A

海外

OTA

とは?

海外OTAは、営業拠点を海外に置き、イン ターネットを活用して、国境を越えて航空券等 の運送サービスや宿泊施設の手配を行っている 事業者のことです。消費者との間で結ばれる契 約は事業者の拠点の法律に基づくこととしてい ることが一般的です。日本国内においても、数 多くの海外 OTA が事業を展開していますが、 旅行業法の適用を受けないとされているため、 トラブルも多発しています。

⑷ 主な相談事例

海外

OTA

に関する主な相談事例

(文責:国民生活センター広報部)

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繊維製品の取扱い絵表示が

変わります!

―JIS L 0001:2014 新ケアラベルの記号について―

鷲見 繁樹 Sumi Shigeki 一般社団法人繊維評価技術協議会 参事 (財)綿スフ織物検査協会(当時)を経て、2005年より(一社)繊維評価技術協議会 に所属。 JIS L 0217:1995「繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方 法」とISO 3758:2012の整合化に携わる。

制定の経緯

ISO 3758:2012との整合化は、洗濯機の構 造が違うこと、タンブル乾燥*3記号のみで自然 乾燥記号がないこと、記号の省略方法がないこ となどの諸問題を解決できなかったため今まで 整合化する改正ができませんでしたが、長年 ISO規格検討委員会に強く働きかけを行った結 果、そのほとんどが2012年発行の規格に反映 されたことから、今回の整合化となりました。

基本的な考え方と表示責任

◦ 指示情報から上限情報の表示へと考え方

が変わる

現行JISは、「この方法で洗濯するのがよい」と 指示していましたが、新JISでは“回復不可能な 損傷を起こさない最も厳しい処理・操作に関す る情報を提供する”と規定されました。つまり、 その記号の条件もしくはそれより弱い条件で洗 うという考え方に変わります。

◦ 表示者への責任

新JISの序文の注記*4で、規格を運用する基 本的な考え方を補足しています。これは、表示者 が表示記号に根拠をもち、責任をもって最も適 切な記号を表示すべきであることを意味しま す。根拠をもった表示とするからには、対象品 に不都合が生じた場合、または問合せに対して 表示者はその根拠をもって説明することが必要 わが国の長年の懸案であった JIS L 0217: 1995(以下、現行JIS)「繊維製品の取扱いに関 する表示記号及びその表示方法」に代わるISO 3758:2012と整合化した新表示記号体系のJIS L 0001:2014(以下、新JIS)および関連JISが、 2014年10月20日に公示されました。

制定の趣旨

今回の新JIS制定は、繊維製品の生産および 流通のグローバル化に対応するため、また国内 に普及しているパルセーター式洗濯機*1の構造 および機能の高度化ならびにドラム式洗濯機の 普及など国内の家庭用電気洗濯機(以下、洗濯 機)の変化が著しいことに対応するためでした が、さらに、海外から“日本独自の表示記号は 貿易の技術的障壁であり、ISO規格へ整合する 必要がある”との要請があったことも、今回の 制定を進める要因の1つになりました。 これらの点を踏まえ、今回の制定は、WTO/ TBT協定*2の規定にのっとり、国際化対応のた めISO規格と整合させることを前提としました。 この規格は、引き続き繊維製品品質表示規程 (以下、表示規程)に引用されることが前提であ り、JIS L 0001として特別に制定し、JIS L 0217: 1995としばらくの間併存することになります。 *1 パルセーター式(噴流式・渦巻き式)洗濯槽にパルセーターと呼ば れる羽根を持ち、それを高速回転させて激しい水流を発生させ て汚れを落とす方式。日本ではパルセーターを底面に設置した 渦巻き式が1960(昭和35)年から現在までの主流となっている。 *2 WorldTradeOrganization/TechnicalBarrierstoTrade 協定(世 界貿易機関/貿易の技術的障害に関する協定:1995年1月)工業 製品等についての各国の規格及び規格への適合性評価手続き(規格 基準認証制度)が不必要な貿易障害とならないように規定している。 *3 衣類を、熱とともに回転(一部ゆりかご動作)させながら乾燥させ る乾燥方法 *4 取扱いに関する表示記号又は付記用語で示した事項は、信頼性の ある根拠(試験結果、素材の特性、過去の不具合実績など)による 裏付けを持つことが望ましい。例えば、表示者が、×印を付けて 洗濯不可の表示をした場合には、表示者は、洗濯によって不具合 が起こることの根拠を保持していることなどである。

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2015.1 国民生活 ①力作用を減らす記号“-”“=”は、衣料品に 与える力作用の程度を表す記号で基本記号の下 に付加します。覚え方としては「マイナス バー」 として、「1本バーがあるときは、ない記号よ り弱い」、「2本バーがあるときは、さらに弱い」 と覚えます。バーのない記号から順に「強、中、 弱」と覚えても良いと思います。 ②温度を表す記号“・”“・・”などは、タンブル 乾燥の温度、アイロンの温度等を現す記号で、 数が増えると温度が高いことを表します。「テス トの点数」や「炭火の数」として数の多いのが高 い温度と覚える方法もあります。使われる基本 記号によって示される温度は異なるので、注意 が必要です。日本のタンブル乾燥機では、「低・ 高」または「弱・強」などの表示が多く分かりや すかったのですが、今後は“・”で低い温度、“・・” で高い温度による乾燥となります。 また、アイロン仕上げの温度は、今までの低 温・中温・高温をアイロンの記号の中に“・”1 個や2個、3個と入れて表します。

⑶ 漂白の記号

フラスコの形 から“△”に変わりました。漂 白は、記号の形だけでなく意味も大きく変わっ たため注意が必要です。現行JISでは、塩素系 漂白剤のみを表す記号でしたが、新JISでは“△” に酸素系漂白剤も含まれる記号となりました。 そのため酸素系漂白剤のみが使用できることを 表す“△”の中に斜め2本線が入った記号*5が増 えました。

⑷ 乾燥の記号

タンブル乾燥の記号*6が追加され、自然乾燥 の記号は“□”の中に縦または横の線で干し方を 表す記号となりました。 ①タンブル乾燥の記号は、横ドラム式のタンブ ル乾燥機を想定している記号で、縦型全自動洗 濯機の上部に設置するようなタンブル乾燥機や、 斜めドラム式と呼ばれている横型洗濯機の乾燥 に対応する記号です。温度を表す付加記号の“・” と組み合わせて使用します。 ②自然乾燥の記号は、現行JISの長そでシャツの になります。根拠もないのに、石油系の表示の みを付けるなどの安易な考え方を戒めています。

◦ 適用範囲

現行JISの適用範囲は、家庭洗濯(洗濯、漂白、 乾燥およびアイロン仕上げ)でしたが、新JISで はドライクリーニングならびにウエットクリー ニング(以下、商業クリーニング)の記号が新し く加わりました。現行JISにも商業クリーニン グの記号はありましたが、これはクリーニング 業者に洗濯を依頼するとの意味合いが強いもの でした。新JISでは、商業クリーニングについ ても表示者が責任を持って記号を表示すること になります。なお、商業クリーニングの中でラ ンドリーと呼ばれるワイシャツなどの洗濯方式 は、この規格の対象範囲外としています。

新 JIS の基本記号と付加記号

記号体系は、5つの基本記号といくつかの付 加記号の組み合わせで表示します(対比表参照)。

⑴ 基本記号

「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン仕上げ」「商業 クリーニング」の5個です。 洗濯 漂白 乾燥 アイロン仕上げ 商業クリーニング 洗濯処理はすべて洗濯おけ(たらいともいう) のマークに変わりましたが、手洗い以外は洗濯 機で洗えることを意味します。洗濯処理の記号 は、現行JISの7個から14個と倍増しましたが、 日本の洗濯機の設定では40℃以下のみを考え ればよいこと、40℃の記号と30℃の記号は温 度のみの差であり、実質的に覚える必要がある のは、40℃の3個の記号と手洗いの記号、家庭 洗濯ができない記号の計5個です。

⑵ 付加記号

「処理の弱さ」「処理温度」「処理・操作の禁止」 を表す記号です。 弱い 非常に弱い 低 高 処理温度 処理の弱さ 処理・操作の禁止

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ラベルに家庭洗濯×の記号を付けた場合には、 Ⓦの記号のいずれかを付けることが推奨されま す。また、現行JISの洗濯×の記号*10は、水洗 い禁止の意味でしたが、新JISでは、Ⓦの記号が 増えたことから、水洗い禁止は“ 、 ”の両 方が禁止されている表示になります。

⑹ 記号の並べ方

記号の並べ方も変わります。家庭洗濯・商業 クリーニングの順で、洗濯、漂白、タンブル乾 燥、自然乾燥、アイロン、パークロロエチレン または石油系、ウエットクリーニングの順とな ります。

⑺ なくなる記号

絞り方の“ヨワク”の記号はなくなり、付記用 語で表します。また、現行JISで使用されてい る付加記号や文字の“中性”、“ネット使用”、“当 て布の記号 ”は付記用語となります。

⑻ 記号の省略

新JISで記号を省略することができるのは、本 文項目4.4記号の使用 c)で「この規格で規定さ れている5個の基本記号のいずれかが記載され ていないときには、その記号によって意味して いる全ての処理が可能とする」となっており、記 号がないときにはその記号のどれでもできるこ とを意味します。現行JISでは、「通常その処理を 行わないときは省略しても良い」であり、また、 絞りと乾燥の記号は任意でしたが、新JISでは、 7個の記号のすべてを表示することを基本と し、省略の意味も7個の記号として考えます。 省略方法が変わったので注意が必要です。

今後の予定

新JISの記号は、表示規程が改正され、その時 に規定される施行日以降に表示する製品につい て表示が義務づけられます。表示規程の改正は 本年3月頃に、施行日については、改正から1 年半~2年後が予定されています。それまでは 現在と同じ表示方法で表示します。施行日以前 に表示された製品のラベルは、施工日以降でも 付け替えずにそのまま販売できる予定です。 記号*7から乾燥を表す“□”の中に線を使って 表す記号になりました。“□”の中の縦線は「つ り干し」*8、横線は「平干し」*9を表します。 また、それぞれ1本線は“脱水後”を、2本線は “絞らないで濡れたまま干すこと”を表していま す。洗濯後の衣類を脱水すると軽くなるので1 本線、脱水しない濡れたままの衣類は重いので 2本線と覚えるのもよいでしょう。日陰干しは、 “□”の中に左上の斜め1本線で表します。これ は庇ひさし(屋根)の下に干すことを表していると覚え ると分かりやすいでしょう。

⑸ 商業クリーニングの記号

丸い記号は同じですが、記号の中の日本語が アルファベットの“Ⓟ、Ⓕ、Ⓦ“になります。ク リーニング店に持って行けばこの記号の内容は 業者が分かっているので、その記号に従った洗 いをしてくれるはずです。3種類9個の記号は、 結局ひとつを覚えればよいので今までと変わり ません。 ①ドライクリーニングの記号 Ⓟは、パークロロエチレン、Ⓕは、石油系の 溶剤を使用する記号で、それぞれの記号の下に 1本バーがついた“バーのない記号より弱い洗い を表す記号”と合わせ計4種類となります。Ⓕ は、1991年頃にはまだ使用可能であったフロン 系溶剤の頭文字“F”が引き続き使われています。 ②ウエットクリーニングの記号 Ⓦは、Wetcleaning の頭文字から来ていま す。新JISでは「ウエットクリーニング処理(水 洗い、すすぎ、脱水、乾燥)は、特殊な技術を 用いた業者による繊維製品の水洗い処理」と規 定しています。現在クリーニング業者が行って いる「汗抜き」といわれているクリーニングを含 む広い意味での業者による水洗い仕上げのため の記号です。今後は、特に家庭洗濯で仕上げが 難しい製品やポリウレタン樹脂加工した合成皮 革製品などのうち、ドライクリーニングには向 かない製品で業者の設備と技術があれば水洗い できる製品が数多くあることから、この記号の 使用が推奨されるでしょう。繊維製品の取扱い

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2015.1 国民生活 現   行 (JIS L 0217:1995) 新 規 格 (JIS L 0001:2014)  1.洗い方(水洗い)の記号

1.洗濯処理の記号 101 101:液温は95℃を限度とし,洗濯ができる 190 190:液温は,95℃を限度とし,洗濯機で通常の洗濯処理ができる (該当なし) 170 170:液温は,70℃を限度とし,洗濯機で通常の洗濯処理ができる 102 102:液温は60℃を限度とし,洗濯機による洗濯が できる 160 161 160:液温は,60℃を限度とし,洗濯機で通常の洗濯処 理ができる 161:液温は,60℃を限度とし,洗濯機で弱い洗濯処理 ができる (該当なし) 150 151 150:液温は,50℃を限度とし,洗濯機で通常の洗濯処 理ができる 151:液温は,50℃を限度とし,洗濯機で弱い洗濯処理 ができる 103 104 103:液温は40℃を限度とし,洗濯機に よる洗濯ができる 104:液温は40℃を限度とし,洗濯機の 弱水流又は弱い手洗いがよい 140 141 142 140: 液温は,40℃を限度,洗濯機で通常の洗濯処理ができる 141:液温は,40℃を限度,洗濯機で弱い洗濯処理ができる 142:液温は,40℃を限度,洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができる 105 105:液温は30℃を限度とし,洗濯機の弱水流又は 弱い手洗いがよい 130 131 132 130:液温は,30℃を限度,洗濯機で通常の洗濯処理ができる 131:液温は,30℃を限度,洗濯機で弱い洗濯処理ができる 132:液温は,30℃を限度,洗濯機で非常に弱い洗濯処理ができる 106 106:液温は30℃を限度とし,弱い手洗いがよい 洗濯機は使用できない 110 110:液温は,40℃を限度とし,手洗いによる洗濯処理ができる 107 107:家庭で水洗いはできない 100 100:洗濯処理はできない 2.塩素漂白の可否の記号

2.漂白処理の記号 201 201:塩素系漂白剤による漂白ができる 220 210 220:塩素系及び酸素系漂白剤による漂白処理ができる 210:酸素系漂白剤による漂白処理ができるが,塩素系 漂白剤による漂白処理はできない 202 202:塩素系漂白剤による漂白はできない 200 200:漂白処理はできない 3.絞り方の記号

3.絞り方の記号 501 502 501:手絞りの場合は弱く,遠心脱水の 場合は短時間で絞るのがよい 502:絞ってはいけない (該当なし) * 10 *5

現行 JIS・新 JIS 対比表

★新JISは、現行JISから単純に記号の置き換えはできません。 ★表示にあたり試験方法が従来と大きく変わりますので、関連試験方法JISの詳細をよくご確認ください。 ★表内の記号の上段の3桁の数字は、JIS L 0217およびJIS L 0001に規定の記号番号です。

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現   行 (JIS L 0217:1995) 新 規 格 (JIS L 0001:2014)  4.干し方の記号

4.乾燥処理の記号 (タンブル乾燥)  (タンブル乾燥処理)家庭でのタンブル乾燥のみの記号 (該当なし) 320 310 300 320:洗濯後のタンブル乾燥ができる 高温乾燥:排気温度の上限は最高80℃ 310:洗濯後のタンブル乾燥ができる 低温乾燥:排気温度の上限は最高60℃ 300:洗濯後のタンブル乾燥はできない (干し方) (自然乾燥処理) 601 602 601:つり干しがよい 602:日陰のつり干しがよい 440 445 430 435 440:脱水後,つり干し乾燥がよい 445:脱水後,日陰でのつり干し乾 燥がよい 430:濡れつり干し乾燥がよい 435:日陰での濡れつり干し 乾燥がよい 603 604 603:平干しがよい 604:日陰の平干しがよい 420 425 410 415 420:脱水後,平干し乾燥がよい 425:脱水後,日陰の平干し 乾燥がよい 410:濡れ平干し乾燥がよい 415:日陰の濡れ平干し 乾燥がよい 5.アイロンの掛け方の記号

5.アイロン仕上げ処理の記号 301 302 303 301:210℃を限度とし,高い 温度(180℃~ 210℃ま で)で掛けるのがよい 302:160℃を限度とし,中程度 の温度(140℃~ 160℃ま で)で掛けるのがよい 303:120℃を限度とし,低い 温度(80℃~120℃まで) で掛けるのがよい 530 520 510 アイロン仕上げ処理ができる 530:底面温度200℃を限度 520:底面温度150℃を限度 510:底面温度110℃を限度として スチームなしでアイロン仕上げ 304 304:アイロン掛けはできない 500 500:アイロン仕上げ処理はできない 6.ドライクリーニングの記号 6.商業クリーニング処理の記号 (ドライクリーニング)

(ドライクリーニング処理の記号) 401 401:ドライクリーニングができる。溶剤は,パーク ロロエチレンまたは石油系のものを使用する 620 621 パークロロエチレン及び記号Ⓕの欄に規定の溶剤でのド ライクリーニング処理(タンブル乾燥含む)ができる 620:通常の処理 621:弱い処理 402 402:ドライクリーニングができる。溶剤は,石油系 のものを使用する 610 611 石油系溶剤(蒸留温度150℃~ 210℃,引火点38℃~) でのドライクリーニング処理ができる 610:通常の処理 611:弱い処理 403 403:ドライクリーニングはできない 600 600:ドライクリーニング処理ができない (ウエットクリーニング)

(ウエットクリーニング処理の記号) (該当なし) 710 711 712 ウエットクリーニング処理ができる 710:通常の処理 711:弱い処理 712:非常に弱い処理 700 700:ウエットクリーニング処理はできない *7 * 6 *8 *9

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2015.1 国民生活

新連載

65歳以上の高齢者(老年人口)の割合が25%を超えました(2013年総務省 「人口推計」)。4人に1人が高齢者となり、介護する側の深刻な実態が浮き彫 りになっています。家族介護者の現状や課題等を身近な問題として考えます。 京都市社会福祉協議会(地域福祉部長、ボランティア情報センター長)を経て、2001年から現職。 2009年3月に「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を発足させ、事務局長を務める。著書 に『ケアメンを生きる-男性介護者100万人へのエール-』(クリエイツかもがわ)など多数。 津止 正敏 Tsudome Masatoshi 立命館大学産業社会学部教授

介護者支援

考える

家族介護者の現状と課題

1

2割に改めます。住まい・医療・介護・予防・ 生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシ ステムの整備によって前述の制度改定による影 響は吸収可能とされ、重度の要介護状態になっ ても可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい 暮らしを人生の最期まで続けることができる社 会を実現するとしています。 施設から在宅への介護環境のシフトチェンジ はさらに加速しようとしています。

新しい介護実態

介護保険は「介護の社会化」を「在宅の介護環 境の整備」によって実現するという政策戦略に よって始まり、在宅介護サービスの豊富化をも たらし、そして介護保険導入以前とは様相を異 にする新しい介護実態を作り出してきました。 日本で始めて全国規模の介護調査が行われた のが1968年*1。当時20万人と推計された寝 たきりの高齢者の数は、その後激増しました。 公益社団法人国民健康保険中央会*2の「介護費 等の動向」(平成 26 年7月サービス分)によれ ば、介護保険の受給者数は 499 万人、認定者 数は 603 万人となっています。介護保険制度 発足時(2000年度)からすると認定者は2.4倍 に受給者は2.7倍に増えました。 私が事務局長を務める「男性介護者と支援者 の全国ネットワーク(男性介護ネット)」が発足 したのが2009年3月。介護する男性を窓口に して介護制度や社会構造をみれば、よりクリア にみえる課題も少なくないのではないか、と考 え小さな歩みを続けてきました。私たちの活動 からみえてきた幾つかの課題を紹介しながら、 希望ある介護社会を記してみようと思います。

改定介護保険法、施行目前

2015年4月、地域包括ケアシステムの構築 など介護資源の再編と集中という政策判断から 設計された制度改定が施行されます。 改定では要支援者の訪問介護や通所介護の利 用を各自治体が実施する地域支援事業に移し、 特別養護老人ホームの入所要件を要介護度3以 上に限定します。一定所得以上の利用者負担を *1 社会福祉法人 全国社会福祉協議会「居宅ねたきり老人実態調 査」。70 歳以上のねたきり老人は、約 20 万人と推定された。 *2 国民健康保険事業および介護保険事業の普及、健全な運営およ び発展を図り、社会保障および国民保健の向上に寄与すること を目的として設立された団体。 同居の主たる介護者の続柄別年次推移 (出典)1987年までは社会福祉法人 全国社会福祉協議会によ る調査、1998年以降は国民生活基礎調査(世帯票)に基 づき作成。いずれも「その他家族」は除いている。 0 10 20 30 40 50 60 (年) 1968 1977 1987 1998 2001 2004 2007 2010 2013 子の配偶者(嫁) 妻    夫 娘    息子 (%)

参照

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平成 28 年 7 月 4

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第4版 2019 年4月改訂 関西学院大学

発電所名 所在県 除雪日数 中津川第一発電所 新潟県 26日 信濃川発電所 新潟県 9日 小野川発電所 福島県 4日 水上発電所 群馬県 3日

6.25 執行役員 カスタマーサービス・ カスタマーサービス・カン 佐藤 美智夫 カンパニー・バイスプレジデント

「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成20年12月26 日)、「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号