第 67 回大阪税関行政懇談会 日 時:平成 30 年 12 月 18 日(火)15:00~16:30 場 所:大阪港湾合同庁舎会議室 講 演:「関西空港の発展と関西経済」 講演者:関西エアポート株式会社 代表取締役副社長 Co-CEO エマヌエル・ムノント 氏 講演要旨 【自己紹介】 今日は、関西エアポートについてご紹介するとともに、関西、ヨーロッパ、フランス との経済関係にも触れたいと思います。 日本に来て 3 年ほどになりますが、日本に来る前に、かなりの年数をフランスの外で 働いてきました。フランスを離れたのは 15 年前で、主にアジア諸国、インド、シンガ ポール、カンボジアそして日本で仕事をしてきました。いろんな仕事ではありますが、 いつも航空業界で仕事をしてきました。2011 年にヴァンシが手掛けているカンボジア の空港の社長になりました。また、フランス財務省に指名されて、フランスのトレード コミッショナーということで、フランスの外の会社のまとめ役、フランス商工会議所の 理事も務めています。 今年はフランスと日本にとって非常に重要な年になります。フランスと日本の経済関 係 100 周年記念の年で、在日フランス商工会議所の 100 周年にもあたります。最初のオ フィスは神戸、次に横浜にできました。また先月には、東京の日経ホールで日仏ビジネ スサミットを開催しました。このサミットには 800 名が参加し、フランスの経済大臣、 日本の経済産業大臣にも参加していただきました。 【関西の概要】 それでは、関西エアポートについて話をさせていただきます。また、私見に基づいて、 外国人としての観点で関西の概要についてお話したいと思います。 関西は日本全体のGDPの 15%を占める非常に大きな第二の経済都市です。関西の GRPは、韓国全体のGDPとほぼ同じ規模です(2011 年 経済産業省資料より)。関 西は 2100 万人の人口を抱え、経済力があり、魅力も大きな都市です。海外では、アジ ア、ヨーロッパ、アメリカでも関西がこれだけ豊かで強い経済力を持っていることをあ まり認識されていないと思います。 私共は現在 3 空港を運営しています。後背地は非常に広く、経済活動だけでなく観光
地としても非常に魅力があります。海外へプロモーションを行う場合でも、非常に魅力 のあるところであると伝えています。 【関西エアポートの貢献】 多くのエアラインにとって、路線を開拓するためにはロケーションが非常に重要と考 えます。関空は、アジアの国・地域とつなぐという上で西日本にあるというところがメ リットであると考えられます。最近では、インドとネパールへ行きましたが、これらの 地域の航空会社様も、関空を利用することによりフライト時間を節約できることに魅力 を感じておられました。 2017 年の総旅客数は、3 つの空港の国際線国内線合わせて約 4700 万人となりました。 今年から 3 空港の一体運営となり期待をもっていただいていると思います。 12 月 24 日に関西 3 空港懇談会が開催されることが発表されています。懇談会では関 西における関西 3 空港のあり方が話し合われると思います。3 空港の一体運営が関西に とっても強みになると思います。もちろん関西国際空港が 3 空港のコアになります。接 続性、強靭化を図るためにも 3 空港の連携が重要です。3 空港を活用することで将来に 備えることが重要と考えます。 関西エアポートは民間会社として公共のインフラを運営しています。これがコンセッ ションの意義であります。3 空港を世界クラスの空港に育てて、北東アジアの中でも重 要な空港にしていきたいと考えています。 【関西国際空港の旅客数推移】 関西国際空港の国際線旅客数は増加しており、2017 年は過去最高を記録しました。 最終的に約 2,000 万人に達し、今後も成長が続くことが見込まれています。 8 年前は日本人の出国旅客が多かったのですが、現在では逆転して海外からの入国旅 客が増え、国際線の内、インバウンドが約 70%を占めています。日本人の出国旅客数も 減ってはいませんが、日本の人口が減っているのは確かであります。日本人のアウトバ ウンドも維持したいと考えており、台風による被災後は減りましたが、出国旅客数もす ぐに復旧したことは喜ばしいことです。 旅客数増加の大きな力になったのはインバウンドです。ビザの緩和以来、日本に来や すくなったことで中国からの旅客が増えています。将来、例えば大きなマーケットであ るインドからも同じようにインバウンドが増えることを期待しています。2018 年は中 国、韓国、台湾、香港からの旅客がインバウンドの約 80%を占めています。 【国際線ネットワーク(2018 冬季)】 2018 年冬季スケジュールを見ると、便数が増えて開港以来最高の週 1,451 便となっ ています。台風 21 号による被災からの復旧が実現し、旅客の数も回復していることは
喜ばしいことです。 台風の影響で目標を達成することはできないかもしれませんが、2018 年の国際線旅 客数は増えており約 2900 万人になると見込まれています。貨物取扱量の面でも、関西 で活発な経済活動が行われていることがわかります。 関西エアポートは国際線の路線を開拓していて、関空-ロンドン便が来春開設するこ とになります。また、ユナイテッド航空のシアトル便、ベトナム、中国等の路線の開拓 をしています。エミレーツ航空のドバイ便など、短距離だけでなく、中距離・長距離の 路線も拡大していく努力をしています。 国内の航空会社だけでなく海外の航空会社も多くなっていて、国際線ネットワークで は、現在 60 の航空会社が運航しています。関空は、成田よりも中国への路線が充実し ています。今後も、他のアジアへのネットワークを充実させるためにご協力いただきた いと思います。 【訪日外国人目標達成に向けて】 アベノミクスのこの数年のサポートにより訪日外国人は増加しています。2017 年は 2,800 万人で、2018 年 12 月 16 日にピーチ便で関空に到着した旅客に、訪日外国人旅客 3000 万人達成のお祝いをすることができました。訪日外国人の政府の目標は 2020 年に 4,000 万人、2030 年に 6,000 万人となっていますが、我々も目標達成に貢献したいと考 えております。目標達成のためには様々な努力が必要であり、より多くのビジネス客、 観光客に来ていただくために努力したいと考えております。 フランスはご存知のように最も多くの外国人が訪れる国です。昨年は 8500 万人の観 光客が訪れています。2015 年にはテロがあったことで、観光客はかなり減りましたが、 早く復活することができました。外国人旅客を迎えるためにインフラの整備など、様々 な努力も続けられています。 【台風の影響】 (復旧状況) では、次に台風 21 号がどのような影響を与えたかについて話をしたいと思います。 過去数年間、関空は非常に大きく成長しましたが、台風の被害で成長が一時停滞したこ とは確かであります。経済的に被害が大きかったのは否めません。しかし、日本は災害 に強い国で、災害にあってもしっかりと復旧をしていく力が強いことを感じました。 少し状況をご報告させていただきます。ご存知のように 9 月 4 日に台風 21 号がやっ てきました。かなり風が強い台風で、高波、高潮も発生しました。 9 月の台風や北海道地震を受け、国土交通省で、有識者委員会が立ち上げられました。 また、関西エアポートでも専門家の方を交えた第 3 者委員会を立ち上げました。関西国 際空港が台風当時どのような状況だったかを有識者の方々が検証され、報告書がまとめ
られました。 浸水の主な原因は護岸を越える越波によるものでした。約 3 時間で浸水量は約 300 万 立米に及びました。この浸水と強風により、空港機能、誘導路、滑走路の機能が停止し ました。また、電源機能の一部が喪失しました。特にメインの第 1 ターミナルビルのあ る 1 期島で大きな被害がありました。第 1 ターミナルビルの電源が喪失した原因の一つ は電気設備が地下にあったことにあります。 第 1 ターミナルビルのお客様だけではなく、ホテルのお客様、従業員も含めて約 8000 人を避難させる必要がありました。我々はすぐに対策を講じるためにタスクフォースを 立ち上げました。その結果、9 月 21 日に全面再開できました。 第 1 ターミナルビル、A滑走路が一番影響のあったところであります。貨物地区もか なり影響を受けました。貨物地区の復旧は 12 月くらいまでかかりました。第 1 ターミ ナルの北の部分と貨物地区は島内でも高さが一番低いところで、ここに水が溜まりまし た。また、連絡橋がタンカーによって損傷を受けたことにより、交通が一旦停止しまし た。その後、道路については片側だけの交互通行で再開しましたが車の渋滞や滞留が生 じました。このことで旅客の運搬に支障がありました。鉄道の再開は 9 月 18 日でした。 以上が再開までの状況であります。 (早期復旧の足取り) まず、二期島、B滑走路、第 2 ターミナルの運用、ピーチ様の運航を再開することが できました。次にA滑走路、台風の影響が少なかった第 1 ターミナル南側が 9 月 14 日 に再開、9 月 21 日に第 1 ターミナルの北側も含めて全面再開することができました。 貨物地区にも影響があり、特に全日空様、日本航空様、CKTSの倉庫に影響があり ました。今は幸いほぼ全面回復しており、貨物の取り扱い、ビジネスは元に戻っていま す。復旧を加速し、できるだけ早く再開するためにいろいろな努力を行いました。皆様 にはこの場をお借りして、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。 (災害対策タスクフォース立上げ/基本的な考え方) 9 月 20 日以降に 3 つの新しいタスクフォースを立ち上げました。 「護岸タスクフォース」「地下施設タスクフォース」「危機対応(管理)体制タスクフォ ース」の 3 つが立ち上げられ、それぞれの状況を分析し、今後どのように対応していく のか、改善していくのかを検証しています。また、私共が立ち上げた第三者委員会、政 府の有識者委員会とも連携を行っています。 先週、記者会見で、タスクフォースでの検討の結果、今後の災害対策の発表を行いま した。これには三つの方針があります。予防、減災、早期復旧、この三つのコンセプト になっています。台風 21 号と同じような浸水があってもオペレーションを 24 時間以内 に回復することを目標としています。台風 21 号の時は、お客様を避難させて、最初の フライトを運航するまでに 3 日かかりました。 政府で、護岸を強化するための予算を確保していただきました。また、減災の為に地
下施設の対応、お客様の避難、お客様への多言語対応、こういった措置をタスクフォー スの中で考えています。危機管理という意味でいろいろな関係先との連携を強化してい きたいと考えています。 新関西国際空港㈱様、国交省様、税関様、入管様、検疫様、航空会社様、フォワーダ ー様等、いろんな関係先の皆様に、このような災害にあったときに総合対策本部に集ま ってもらい、コミュニケーション、連携を改善していきたいと考えています。そのため に新しい緊急対策室を作り、皆さんに集まっていただけるように改修を行っています。 また、従業員をいろいろなケースを想定してトレーニングを行うことで将来の災害に 備えたいと考えています。 (台風 21 号による経済損失) 今回の災害の関西経済に対する影響についてお話しします。台風 21 号による影響で、 9 月は当初の計画より旅客が 140 万人減り、国際貨物取扱量も 60%マイナスとなりまし た。経済的損失の合計額は 598 億円、これは関西のGRPの 0.1%に相当します。これ だけの影響額があったと思われますが、幸いなことに早急に回復を遂げております。 大阪の百貨店でも売り上げが戻ってきているのがいい証拠だと思います。10 月の回 復はかなり早かったと思います。 ホテルの客室稼働率もかなり早く回復しています。年末年始も回復が見込まれていま す。 我々としてはさらに災害に対する備えを強化していきたいと思います。 気候変動、地球温暖化によって、台風だけではなく、他の自然災害も起こる可能性が あるため、更にBCPを改善していき、強靭化を図りたいと考えています。こういった 気候変動による脅威には、日本だけではなく海外の空港でもさらされています。香港、 フィリピン、アメリカの空港でもこういった自然災害に見舞われたことがあり、世界中 の空港で強靭化が図られています。 【貿易と国際関係の発展】 (日本・関西で予定されている魅力あふれる数多くのイベント) 関西エアポートは関西経済に貢献していくことを決意しています。これからいろいろ なイベントが日本、関西で行われますが、これらは関西の経済発展に寄与すると考えら れます。2019 年ラグビーワールドカップ、2021 年ワールドマスターズゲームズ、また、 大阪が 2025 年の万博の開催地に選ばれました。その前後にIRが来ることが想定され ています。 私はヴァンシエアポート出身のフランス人ですが、関西エアポートは大阪万博の誘致 のためのスポンサーとなってきました。大阪万博は関西が引き続き発展するための一助 となるものと考えます。こういったイベントが行われることで関西の経済、観光面での 魅力が高まると考えています。
(外国人旅行者を引き付ける日本文化) トリップアドバイザーによると、外国人に人気の日本の観光スポット中でも 10 のう ち 7 つが西日本にあります。京都、大阪、神戸、和歌山に人気スポットがあります。こ ういったところに来るためには東京へ行く必要はなく、関空に来ていただければよいの です。国によって、特にヨーロッパ、フランスでは多くの人が京都に行くためには東京 に降り立つ必要があると考えています。それは旅行代理店が京都に行くのであれば東京 に行った方が良いと言っているからですが、我々はこれを変えていきたいと考えていま す。京都に一番近いのは、関西国際空港で、成田国際空港、羽田国際空港から京都へ行 くには非常にコストがかかり、関西国際空港に来ていただいたら京都へすぐに行くこと ができることを広めていきたいと思います。 【最後に】 貿易、経済関係の拡大によって、関西に将来いろいろなチャンスがあると思います。 2018 年には、日本とEUの経済連携協定が結ばれました。これは、日本がこれまで締 結した経済連携協定の中で最大のものになります。2019 年の 2 月に発効すると、ヨー ロッパの 5 億 5 千万の人口とつながることになります。これが非常に大きな力になりま す。2019 年からワインなどの関税が撤廃されます。また、データのやり取りの問題など 様々な問題を解決することができます。 日本は、ヨーロッパの企業にとって進出しにくい国でしたが、この経済連携協定によ りヨーロッパの大企業だけではなく中小企業も進出しやすくなると思います。 そして関西には、アジアと日本のビジネスを拡大するための地理的メリットがありま す。特に今成長している東南アジアと日本のビジネスを拡大する上での地理的メリット は大きいです。カンボジアに駐在していたときに実感しましたが、関西の商工会議所が 中心となり東南アジアと日本・関西をつないで、ビジネスの拡大ができると思います。 観光とホスピタリティ事業や医療ツーリズムがこれからも伸びていくと思われます。 また、新しいコンベンションセンターも関西で作られるなど、今後の拡大に向けた明 るい要素が多数見込まれています。 最後に、関西空港は台風の被害がありましたが強く立ち直り、これからも関西の経済 に貢献していきたいと考えております。 意見交換要旨 (座長) 今お話があった内容は大きく 3 つに分かれていたかと思います。一つは関西空港のこ れまでの発展を踏まえて今後更にどのように発展させていくか。二つ目は台風 21 号に
ついてであり、極めて短期間で復旧されたのは素晴らしかったと思います。三つ目は貿 易と国際関係についてであり、関西 3 空港の発展を国際経済の発展へとつなげていきた いということで、関西の国際的なポジションを上げていこうというお話でありました。 日・EU経済連携協定が来年発効するということで、双方にとって非常にチャンスであ ります。この辺りに関するお話はご出席の委員の方々、経済界の方や大学の先生もいら っしゃいますので、色々質問があるかと思います。 (A委員) 台風の際の写真を見たときには、今後の関空の利用者への影響がどうなるのかと心配 しましたが、すぐに、利用者も回復され、安心しました。死傷者が出なかったことが、 安全性面での信頼につながったのだと思います。 一つ質問ですが、国の政策として空港のコンセッションが広がり、多くの空港が民間 でオペレーションされるという状況になっています。今回の台風を踏まえ、国との関係 において、リスク分担の明確化、コンセッションの在り方、災害時の責任分担の在り方 に関して感じられるところ、希望・要望があれば教えていただけますでしょうか。 (講演者) 台風 21 号は非常に巨大な災害であり、甚大な被害がありました。このような災害は、 2016 年に関西エアポートが運営権を承継して以来、我々にとっても、政府にとっても 初めての経験でした。我々は、過去 2 年の間、危機管理のシステムを構築し準備をして きましたが、今回の台風はあまりにも甚大でした。民間のコンセッションのメカニズム という観点から申し上げますと、重要なことは、コンセッションの契約の中で、大きな 被害があったときは政府も関わってどのように対応するかについて、今後はもっと(関 西国際空港の設置管理者であり、国 100%出資会社である)新関西国際空港㈱と連携し ていくということで、より良い対応ができるよう対策を考えているところであります。 そして、意思決定のプロセスもより早くし、迅速に対応するため、関係者、国交省様と も協力して災害があったときの体制を改善していくべきであります。この 2 か月間タス クフォースを設置し、より空港を強靭化するための検討をしているところであります。 (B委員) 関西空港は日本で初めての 24 時間国際空港でありますが、夜間に訪れるとサービス が何もなく、インフラもそうですが、色んな面で 24 時間と言いながら、その全てにお いての対応が未だに不十分であると感じています。一方、ドバイなどに行くと、何時に 着いても色んなサービスがあります。あるいはシンガポールもそうです。そういう意味 では、もう少し 24 時間空港としてのサービスをやらないと世界中の色んな航空会社か ら来てもらうということが非常に難しいと思いますが、そのあたりの対策をどう考えて
いるか教えていただけますでしょうか。 (講演者) それは確かだと思います。我々の責任としては、サービスを常に改善していかなけれ ばならないと思っています。現在、物販等のサービスはおおよそ、最終は夜の 10 時ま でで朝は 6 時から(注:一部の店舗では運航便に合わせて深夜・早朝も運営中)ですが、 離着陸の時間を考慮してもう少し伸ばしていきたいと思います。ドバイやシンガポール はトランジット空港であり、アジアからヨーロッパ、ヨーロッパからアジアと、ハブ空 港としての役割を毎日果たしています。強力なエアラインもいて、メインベースがエミ レーツ航空であり、シンガポール航空であります。一方、関西国際空港はトランジット 空港ではなく、目的地の空港です。発着の混雑時間帯は朝夕に集中しがちですが、最近 ではとくに LCC が深夜・早朝時間帯の便も増やしています。それに伴い、店舗やレスト ランも深夜早朝に開けることができるよう、我々としても努力していきます。お客様が 少なければビジネス上厳しい訳であり、そういったところは問題であることを認識して います。タイ、シンガポールなど東南アジアからはホノルルに直行便で繋がっています が、一方、KIXを経由してハブとし、KIXでトランジットしてハワイに行く、そし てまたKIXに戻ってきて東南アジアへ戻るといったネットワークを作ろうという動 きがあります。それによりKIXがより 24 時間空港らしくなっていくと思います。K IXをより強力な空港にしていって 24 時間空港らしいサービスが提供できるようこれ からも取り組んでまいります。 (C委員) 昨日関西空港に行った際、出国エリアにも顔認証システムが導入されており、日本人 にとってストレスが少なくなった印象を持ちました。今後、様々なシステムが開発され、 順次成田や羽田にも導入されていくものと思いますが、外国人の方、日本人の方、双方 にとって、各空港はサービス合戦(競争)になると思います。関西空港も是非そこへの 投資を惜しまず対応頂きたいと思います。台風時、外国人の方は、言わば情報難民にな った形になったと思いますので、是非、その時に最新IT技術を使って瞬時に正しい情 報を母国語でお伝えできるようなシステムが求められていますし、恐らく各空港が同様 な仕組みを導入していくのだと思いますが、いち早く関西エアポートとしてトライアル でもいいので、関空と伊丹と神戸に入れていただき、『外国人にとってやさしい空港』 を模索頂きたいと思います。 もう一点、我々日本のフルサービスキャリアのビジネスモデルから見ると、貨物需要 と旅客需要の双方がないと、なかなか新規路線に就航出来ないのが実態です。そういう 意味では関西経済の活性化に向けて、関西エアポートとしての役割は非常に大きいと思 いますし、期待もしています。マーケットが大きくなれば、貨物需要も生まれますし、
単価の高いビジネスクラス需要も発生します。是非お互い協力しながら、関西マーケッ トの魅力付けをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (講演者) 私どももこれから改善を図っていく中で、航空会社との関係は非常に重要だと考えて います。ご存知のように関西国際空港で、AOCという、ANA様を含む就航エアライ ンの協会があります。我々としても、今おっしゃったアクションをとっていて、旅客の 方々にシームレスな体験をしていただきたいと考えています。 ご存知のように関西空港では、出入国の顔認証自動ゲートが導入されました。日本人 は出入国ともこれを使うことになりましたが、現在日本人だけであり、将来外国人にも 展開できればと思っています。これについては、AOCまた色んな関係者とお話しをし て、ファストトラベルという取組みを推進しています。ファストトラベルというのは、 旅客の方々が空港に来られるとき、あるいは空港を出られるときにチェックインから搭 乗まで、イミグレーションから荷物の取扱い、全てのプロセスにおいてシームレスな体 験をしていただくための取り組みであります。チェックインのためのキオスク、保安検 査の機器を改善していくスマートセキュリティレーン、セルフガードブロック、またそ ういったことだけでなく、シングルトークンという技術を使っていきたいと考えていま す。こういったものを導入するためには、航空会社と空港、入管、税関、検疫からのデ ータをそれぞれが提供するということで、お客様がシングルトークン技術を使ってデー タの共有を行います。到着のときも出発の時も、パスポートを見せることなく、顔認証 の技術を使って全体の手続きを行うことができ、混雑、待ち時間もなくなります。こう いったデータ共有によってシームレスなサービスができます。例えばシンガポールの第 4 ターミナルで導入されていますが、日本ではまだ時間がかかると思います。これを実 現させるには国、関係先での合意が必要ですが、将来、我々としてはこういったものも 導入していきたいと考えています。 また、危機対応、旅客とのコミュニケーションについてですが、もちろん改善を図り たいと思います。私どももこれから多言語対応のシステムを導入し、外国の旅客の方々 にも便宜を図りたいと思います。また、私どもの従業員に外国語の教育を受けさせたい と思っています。またサイネージについても多言語化を図っていきたいと考えています。 また、ご提案いただいたとおり、ビジネスをサポートしていくためには、インバウン ド、アウトバウンドの双方向が重要だと考えています。特に日本のフルサービスキャリ アである全日空様や日本航空様の活動、発展をサポートさせていただくためにも、関西 からの新しい渡航先というのを開拓していきたいと考えています。国内線だけではなく、 国際線でも、航空会社のビジネス展開を、私どももサポートさせていただきたいと考え ています。
(D委員) 私どもも関西空港で報道室を開設しております。今回の台風 21 号被害に対し、早い 復旧であり、そうお伝えいたしました。ただ、初日で私どもの電源が喪失し、中継が本 来の施設からできなくなってしまいました。先程、政府とのBCPの計画で、例えば 6 基ある電源の地下にある 3 基が水没したというようなことでありましたが、館内の旅客 に対する電源、コンセントとか、私どものNHKワールドを放映していただいています が、そういうあまり電源の量が必要でない館内のサービスの電源だけはエアポート会社 の方で、その電源設備を上にあげるというような個別の対策をとるということでかなり 改善されると思いますが、そういったBCP対策というのは具体的にあがっているので しょうか。 また、多言語的な形でそれぞれの方に情報が行くというような面で改善されていると 仰っていますが、具体的には、例えば災害が起きた時にどのように何か国語でお伝えす る計画なのでしょうか。NHKではラジオで 18 か国語やっていますが、なかなか近畿 地方のきめ細やかな放送をそのレベルでやっていくまでには至っていませんので何か お考えや計画があれば教えていただけますでしょうか。 (講演者) BCPを改善していくために、電気設備を地下から地上化する計画を持っています。 第 1 ターミナルの中で良い場所を探し、こういった浸水の被害から守ろうとしていま す。しかし、これには少し時間がかかります。また、大きな投資にも関わります。金銭 的な投資だけでなく、技術的にも検討が必要になってきます。第 1 ターミナルは元々そ のような設計をされていなかったので、地上化のためには正しい場所を探す必要があり ます。時間をかけて検討はしますが、その前に、空港を強靭化するために早急に行うこ ととしましては、来年の台風シーズンまでに、止水板を作ろうとしています。地下にあ る電気室の前に止水板を設け、水が電気室に入ってこないようにし、扉を水密化するこ とも行います。もちろん最終的には、電気設備を地上化することは考えていますが、来 年の台風に備えて、先ずは止水板の措置を行っています。 また、多言語によるコミュニケーションについて、将来、このような台風や地震のよ うなものが起きた場合にコミュニケーションは非常に大事になってきます。衛星電話な ども使えますし、無線電話のようなシステムも備えています。また、旅客の方々への情 報伝達のために、多言語でコミュニケーションを図るためのシステムも導入します。携 帯電話会社の災害・緊急速報メールは、すべて日本語対応ですので、これからは多言語 で同じようなお知らせができるように我々として検討を行っています。 (E委員) インバウンドについての関西のポテンシャルの高さというのは、そのとおりと思って
おり、私どもの銀行でも独自にインバウンド客に対するアンケート調査を行っています。 訪日回数が 2 回目、3 回目の経験の方に、どこに行きたいか質問したところ、首都圏が 下がり関西が上がるということになっています。関西には大きな後背地があるというこ とでありましたが、そういったエリアも含めて西日本全体で行きたい先としての希望が 高まっているのが如実に表れていて、非常にポテンシャルが高いと思っています。また シンプルに満足度として、訪日で満足できましたかという質問においては、五段階に分 けて上から「非常に満足した」その次が「満足した」でありますが、この二つの回答で ほとんどを占めています。90%近くの人が満足したという答えがアンケートで得られて おり、そうした満足度の観点で見てもポテンシャルの高さを感じます。入国時と出国時 のホスピタリティ、サービスの高さは非常に大事だと思いますので、今後とも民営空港 として質の高いサービスを継続していただきたいと思います。 加えて、一点質問ですが、関空、伊丹、神戸の 3 空港一体的運営が非常に大事だとい うお話があり、神戸空港が今年 4 月から関西エアポートの中に入りました。今日お話し のあった一体的運営というのは、ムノント様の個人的な考えでもよいのですが、具体的 にどういった形での一体的運営で効率性や質の高さなどを高めていくのか可能な範囲 で教えていただけますでしょうか。 (講演者) より良いシームレスなサポート、サービスを旅客の方々に提供していく訳であります が、KIXを最終の目的地にしていただきたいと思います。日本の 2 カ所に行きたいと いうことであれば、KIXに到着したいと思っていただきたい。名古屋や東京ではなく、 KIXに来ていただきたいと思います。 3 空港については一つの会社になりましたが、知識や経験を共有することが重要であ ると思います。KIXの知識やプロジェクトを伊丹に持っていくとか、知識・経験を神 戸と共有し、ビジネス、事業の内容、またショップであるとか、関係者の方々に一緒に 入っていただき、お互いにイノベーションであるとか、リノベーションであるとか、到 着のショッピングエリアの開発のところも共同でやっていきたいと思います。また色ん なデザインや旅客の経験というものを共有してやっていきたいと思います。また、危機 が起きた際、一つの空港を他の二つの空港がサポートできるようにしたいと考えていま す。国土交通省とも協力し、他空港での一時的な代替運航の検討も含め、より良いオペ レーションをしていきたいと考えています。そして効率もアップしていきたいと思って います。 (F委員) 関西が地盤沈下した大きな理由として、国際化が遅れたことにあります。例として、 成田空港は開港して 40 年、関西空港は 23 年であることにも表れています。関西空港は
24 時間空港であり、9 ページを見ると、冬季スケジュールが載っていますが、開港以来 パッセンジャーは増加しています。ところが、航空貨物のほうは、2007 年頃から、私の 記憶では、年間 70 万トンから 80 万トンで推移しています。成田は飛行制限がある中で 航空貨物は 220 万トンくらいで年々増加しており、設備も拡張しています。関西空港と して国際航空貨物を拡大していくことについて、どういうお考えを持っていますでしょ うか。 (講演者) そのとおりだと思います。航空貨物について特定の貨物については伸びているところ もありますが、大部分について関西で伸びている訳ではありません。もっと伸ばしてい かないといけない部分ではあると思います。成田の貨物量が多いのは確かですが、航空 機の運用時間制限があるのも確かです。我々は夜中でも貨物便を飛ばすことができるメ リットがあり、国際航空貨物を伸ばしたいという明確な目標があり、その方法を更に検 討していきたいと考えます。 (G委員) 1 つ目はサービス、BCP力という面で関西エアポート様は世界中の空港でどこをベ ンチマークにしているかお聞きしたいと思います。 2 つ目は先ほどの話の中で、総合対策本部を立ち上げるとありましたが、我々パナソ ニックの中にも対策本部を設置し対応するだけで 2 か月かかりました。それを踏まえて 改善するというフェーズでやっていますが、その中で、企業独自でできることもあると 思います。一方で、全体でやっていかないといけないこともあると考えます。その時に、 どこがイニシアチブをとってやるべきだと考えているか教えていただけますでしょう か。 (講演者) まず、日本の空港と調整してやっていくべきだと思います。国際空港の協議会という のがありますので、危機管理のシステムについて共有していくべきだと思います。危機 になれば、同じような問題を抱える訳ですので協力関係を強化していくべきだと思いま す。危機が起こる前にメカニズムをつくり、適宜体制をつくっていきたいと思います。 実際、アメリカではそういったシステムがあり、アメリカの南部はハリケーンの多い地 域でありますが、空港間でリソースを共有し、そしてベストプラクティスも共有して、 空港に何か問題があった場合には、他の空港に対し人員を送ってほしいとか、消防車を 送ってほしいだとかリソースの共有を行っています。最初のベンチマークとして、日本 の中で他の空港と協力していくメカニズムをつくるべきと考えます。国外のベンチマー クとしては、大規模な海外の空港では危機管理室があり、政府、警察、地方自治体など
の関係者が一つに集まり、直接情報を共有し、リソースを配分するといった体制があり ますので、そういったところをベンチマークとして我々も体制をつくりたいと考えます。 台風による被害を受けましたが、国土交通省と協力して対策を行ってきました。一緒 にイニシアチブをとりやっていきたいと考えます。そしてBCPを更に良いものにして いきたいと考えます。 (座長) ご発言いただいた委員のご関心は大きく分けて二つあり、一つは関西空港を中心とし た空港機能について、もう一つはBCPの問題であった思います。 空港機能サービスに関しては、ハブ空港としてサービスを向上させたいということ、 外国人の方々への情報提供が災害時には非常に重要であり、多言語対応の体制を整えた いということ、チェックインから搭乗までシームレスな対応ができるようにサービス体 制を強化していきたいということでありました。また、3 空港全体に係るご質問もあり、 3 空港の体制については一体運営を目指していく、3 空港間の知の結合、連携を高めて いきたい。国際線の災害リスクへの柔軟な体制を目指していきたいという話もありまし た。航空貨物については、成田に対し伸び悩んでないかというご指摘に対し、夜間も飛 ばせる強みを活かし発展させるということでありました。 BCP関連については、災害リスクへの対応ということで、国との契約もあるが、そ れに基づいて分担しつつ、より強靭な体制をとるようお願いしていくということであり ました。災害発生時の空港間の支援のネットワーク体制も整備していきたいということ でした。館内の電源設備の問題についてもご質問がありましたが、まずはできるところ から先行してやっていき、止水板等の設置を急ぎたいというお話がありました。以上、 空港機能、BCPといった大事な問題についてディスカッションができ大変良い会であ ったと思います。 (税関長) 本日は大変貴重な話をして頂き、これだけKIXについて体系的なお話を伺ったのは 初めてのことです。質疑も活発で、如何にKIXの現状と将来について関心が高いかの 表れであると思います。また、ムノント副社長には質問の一つ一つに丁寧にお答えいた だき、その点についても感銘を受けました。本日の話の中では出なかったのですが、来 年の 6 月 28 日、29 日にG20 大阪サミットが開催されます。世界 30 か国以上から首脳 と要人、そして多くの関係者やジャーナリストがKIXを通じて入国してきます。世界 中からKIX、関西、そして大阪がさらに注目される中で、税関では、円滑な通関と厳 格なテロ対策を同時に実施する必要があります。この点、関西エアポート株式会社とさ らに協力することにより税関の使命を果たしていきたいと考えます。