理 学
療法
報
告
人
工
股
関節 全 置 換
術後早
期
の
股 関
節
外 転筋 筋
力
の
推 移
*島 添 裕
史
P#香
月
一
朗
2)綾 部 仁
士
1)原
口
和
史
1)里
村 匡
敏
2)森
口
晃
一・
n
田 山
尚
久
2)要 旨
本調
査の目的
は,
人
工股 関 節 全
置換 術 後 早 期
の股 関 節
外
転 筋 筋 力
の推
移 を 明 ら か にす
る ことであ る。
対
象
は,
当 院 整 形外 科
で人 工 股 関節 全 置 換 術
を行
っ た 女 性14
例
とし
,
術 側
・
非
術 側外 転 筋 筋 力
,
疼 痛,
お よび術
側 股 関 節 屈曲
・
外 転
可 動 域 を 術前
,
術 後
2
日,
5H
,
10
日,
14
日,
28
日の計
6
回調 査
し た。
術 側 外転
筋 筋 力の推 移
は術 前
が1
.
71
±O.
49N
/’
kg
,
術 後
2
凵で L13 ±0
.
45
N
〆kg
,
5
凵で1
.
64
±O
.
60N
/kg
,
10
日 で1
.
85
±O
.
55Nfkg
と術 前
を一
ヒまわ
るこ と が分
かっ た。
14
例 中
9
例 (
64
%)
は術 後
5
〜
10
日 で 術前 筋 力
値 ま
で回復
し た。
以 上の こと か ら,THA
後
の外 転
筋筋 力
トレー
ニ ング を行 う
際 は,
IO
H
以 内
は術
前
筋 力
に達
していない点
に考 慮 しな
け れ ば な らな
い。 キー
ワー
ド人 工 股 関
節 全 置 換 術
,
術後
早期
,
股 関 節 外 転
筋筋 力
は じ め に人工
股 関 節
全 置 換術
(Total
Hip
Arthroplasty
:THA
)後
の股 関節 外 転 筋
(以 下,
外 転筋
)筋 力
は,
正常 歩 行
を獲 得
す る点
1)2) や脱
臼 を 予防 す
る点
3−
5]で 重要 な 因 子
の.・
つ であ
るた め,
こ の筋力
の評価
は リハ ビリ テー
シ ョ ン (以 ド,
リハ)
を実 施
す るうえ
で大 切 な
ことと
考
え
ら れ る。
事
実,
THA
後
の外転
筋 筋 力
の推 移
に関
す る 研究
6−
8}は多
数 な され てい る。
医 学 中 央 雑 誌刊 行
会
で人
工股 関節
全 置 換術
,
筋 力
という
キー
ワー
ドで検 索
し た結 果
,
1983
年
か ら2004
年
の問
で142
件
の研 究
が存
在
し た。 し か し,THA
後
の リハ は 術 後 早 期か ら開 始 さ れてい る に も関
わ らず
,
早 期
の外 転
筋 筋力
評価
に関す
る報 告
はな かっ た。
そ
こ で今
阿,
我々 はベ ッ ドサ イ ドで簡 便
に使
川 可 能 な*
The Change of Ilip
Abductnr
Muscle Strcngth aftcr TotaL IIipiXrrhroptasry
in
the
Early
Stnge
D 新凵鐵八幡記 念病 院 リ
ハ
ビリテー
ション部(〒8D5
−
85〔〕8 福 岡 県 北丿L 州 市八幡 東lx
春の町 1−
11 )Hirofumi Shimazoe
,
RPT,
Hitoshi
Ayabe,
RPT.
Kuulchi]L{Qrlguchi,
RPT
,
Kuzushi Haraguchi,
MD :Department
of
RehabiTitation
.
Nippon Stecl Yaw とtta Mem 〔エrial Hospital
2〕 1司 整 汗彡夕雫手1
・
;lchir〔}Katsuki
,
MD,
Naehisa Tayama,
MD.
KuniLoshi Sat〔,mura,
MD :Depnrtment of OrLhopediv Surgery
,
Nippon Steel Yawatu]4emorial Hospitat
# E
.
mail :simazoc/
.
hC‘
tns.
yaLvnta.
mhp.
er.
jp
〔受 付凵 2〔XM 年 2月5日 受 理日 20D5年9月24凵〕 ハ ン ド ヘ ル ド ダ イ ナ モ メ
ー
ター
(Hand
Held
Dynamometer
:HHD
)
を用
い て.
術 前 およ び術 後 早
期
の外 転 筋 筋
力の測定 を行
い,
同 時
に術 後 疼痛 点 数
,
術
側 股 関節
屈 曲・
外 転 関節
可動
域 (Range
ofMotion
:ROM
) も調
査 し た。
こ れ らか ら,
THA
後
早期
の外 転 筋
筋 力
の推
移 と そ れ に影 響 を及
ぼす 因
子 につ い て,
若 干
の知 見
を得
たのでこ こに報 告す
る。
対 象
と方 法
対
象
は2003
年
6
月 か ら2004
年
4
月
まで の問 に当 院 整
形 外 科
で セ メン トレス の アナ ト ミッ ク人 工 股 関節 を
用い てTHA
を行
っ た 患 者のう ち 調
査 可能
で あっ た女 性
14
例(
14
関 節
)で,
変 形性
股 関節
症10
例,
関節
リウマチ4
例
で あっ た。
平均 年 齢
は62
,
9
±7
.
8
歳 (53
〜
78
歳 ),
平 均 体
重 は54
,
5
±7.
1kg
(42
〜
65
kg
),
平 均 罹 患 期 間
は4
.
3
±5
,
3
年 (0,
5
〜
20
年
),
日 本整 形 外 科 学 会
股 関 節 機能 判 定
基準
(JOA
Hip
ス コ ア)9〕は53
,
3
±13
.
3
点 (
術側 疼 痛
19
.
6
±9,
7
点
,
術 側
ROMI1
.
6
±2,
0
点
,
歩 行 能
力11
,
4
±3
.
i
点,
日 常生 活 活 動
10
.
7
±3
.
5
点 )
であ
っ た。術 後
リハ は 当 院ク リニ カルパ ス に 沿っ て行
い,
術 後
2
冂でギャ ッジ式
ベ ッ ドに て 上体
を
90
°
ま
で起
こし
た 坐位
(ギ ャ ッ ジ90
°
),
術 後
3
日か ら 車いす 坐位
開始
,
術 後
1
〜
2
週 か ら1
〆3
荷 重 開 始
,
術 後3
〜
4
週か ら1
/2
〜
2
〆3
荷 重 開始
,
術 後
4
〜
5
週 か ら全 荷 重 開 始
と し た。
リハ プ ロ グラ ム は,
筋 力
ト レー
ニ ン グ.
ROM
エ ク ササ イズ,
424
理 学療 法 学 第32
巻 第7
号手 術
当日術 後
2
日術 後
4
〜
5
日術 後
10
日術後
1
〜
2
週
術 後
3
〜
4
週術 後
4
〜
5
週 処 置 ドレー
ン抜 去 抜 糸 活 動 ベ ッド上安 静
ギ
ャッジ
90°
リハ ビ リ開 始脱
臼 予防指 導
端 坐 位 車いす (車
いす
に乗 れ れ ば
リハ ビ リ室
へ )1
/3荷
重 水 中歩
行練
習V2
〜
2/3荷
重全 荷
重 ▲■
・黼
書
術 後
2
日書
術 後
5
日t
術 後
10
日書
術 後
14
日 図 1 調査 日 お よ び 当 院の クリニ カル パ ス書
術 後
28
日歩 行 練 習
を行
っ た。筋 力
ト レー
ニ ング は,
股 関 節 外 転 筋
,
伸 展 筋
,
膝 関 節 伸 展 筋
を中 心
に実 施
し た。ROM
エ ク サ サ イ ズ は他 動 運 動
か ら開 始
し,
自動 介助 運動
を追加
して い っ た。
今 同
は術 後 早 期
の調 査 を 目的
と してい るため,
過 去
の報 告
に は ない術 後
2
日,
5H
,
ユ0
日 に調
査 を実 施
し,
そ
れ に術 前
,
術 後
14
日,
28
円を加
え た 計6
回調
査 し た (図
1
)
。調
査項
目 は術 側
,
非 術 側 外 転 筋 筋 力
,
疼 痛
,
術
側 股 関 節 屈 曲
,
外 転
叮動
域 と し,
被検 者
に は 初 回 調 査前
に 日程
,
調
査項
目,
測 定 方 法
を説 明
し,
発 熱
や脱
臼,
術
後 治療
に差
し支
え があ
る場 合
は中
止す
るこ と を伝
え,
同
意
を得
たう
え で行
っ た。
ま た術 後
2
日の調
査 で は,
リス クを 最 小 限に押
さ えるため,
ド レー
ン,
術 後 疼 痛 管 理に使 用
した硬 膜外
チュー
ブ お よ び輸 液
ルー
トが抜 去 さ
れて い る こと を確 認
し,
尿
カテー
テ ル の みが挿 入
さ れている状 態
で実 施
した。
筋 力 測 定
にはHHD
(
日本
メ デ ィ ック ス社 製
Power
Track
ll
MMT
COMMANDER
)
を 使 用 し,
同一・
検
者 に て,
諸家
の報 告
10T4 ) を参 考
に行
っ た。
測定
は図
2
に示
す よう
にベ ッ ドサ イ ドで行
い, 肢 位は背
臥位
とし, 股 関 節5
°
外
転 位 で 大 腿遠 位 部 外
側 にHHD
の セ ンサー
パ ッ ドを 当
て,
等
尺性
運動
に な る よう
に測 定
し た。
股 関節
5
°
外 転 位
が不 可 能
な被 検 者
に対
して は10
°
外 転 位
と し た。
測 定
側の下 肢 に はス ラ イ ディング ボー
ドを敷
き,
接
地面
との摩擦
を最
小 限に し た。
ま た,
骨 盤 を固
定 す る た めに諸 家
の報 告
ではベ ル トを使 用
していた が,
術 直 後
の患 者
の負担
を 少 なく
す る た め,
助 手 に よ る 徒手
での固 定 を 実施
した。
測定
は「
パ ッ ドを押
し返す
よう
に,
でき
る 限 りの力 を出
してく
だ さい。
」
という指 示
のも
と左 右
4
回ず
つ,
約
5
秒 間
の最 大 努 力
に よる運 動 を行
わせ,
そ
の最 大 値 を体 重
で除
した値 を筋 力値
と し た。
筋力 測 定 直 後
V
:Visual
Analog
Scale
(
VAS
)
で 測定時
の股 関節 疼 痛
を 調
査
し た。
術 側 股 関節
屈曲
・
外 転
ROM
を
日本
リハ ビ リテー
ショ ン医学 会
の定
めた
ROM
測 定 法
に基
づき測 定
した。
今
回の調 査
に お け る外 転 筋 筋 力
の測 定
は諸 家
の報 告
と多 少 異
なる。
そのた め,
検 者 内 再 現 性
を検 討 す
るた め,
図2
測定風 景 股関 節
に障 害
の ない10
例
18
関節
につ い て筋
力 測定
を2
日連 続で2
回,
同一
検
者
によっ て施 行
し た。
統 計 学 的検 討
は 以 下の よう
に行
っ た。
筋 力
測 定の検
者
内
再 現 性 は, 級内
相 関係
数 を 用いて検
討 し た。 術前
と術
後 各 時 期
に お け る外 転 筋 筋 力
の平 均 値
の比 較
は,
二元配
置 分散 分 析
とTukey
検 定
を用
いて検 討
し た。
各 時 期
の術 側
と非 術 側 外 転 筋 力
の平均 値
の比 較
は,一
標 本
t検 定
を用
い て検 討
した
。
術 側 筋 力 とそ
の他
の項 目
にお け
る相
関
は, ピ アソ ン の相 関 分 析 を 用いて検 討 した。
各
測定 値
は平 均
値
±標
準
偏 差
で 示 し,
危 険 率
5
%未 満 を も
っ て有
意
と し た。
結
果
今
回の調査
にお ける検 若 内再 現 性
を級 内 相 関 係 数
に て検 討
した結 果
,
相 関 係 数
はICC
(1
.
1
)=
0
,
954
(p
<O.
Ol
)
であ
っ た。外 転 筋 力
の推 移
を図
3
に,
外 転 筋 力
と術
側,
非
術 側の 比較 を 表
H
:示
した。術 側 外 転 筋 筋 力
は術 前
が1
.
71
±0,
49N
/kg
であ り
,
術 後
2
日で1
,
13
±0
.
45N
/kg
と有
意 に低 下 し
,
10
日
で1
.
84
±0
.
55N
/kg
と術 前 値
ま で 回復 す
る傾 向
があ
っ た。 その後 徐
々 に向
上 してい き,
術 後28
日 で2
.
42
±O
.
46N
〆kg
とな
っ た。術 側
では,
術
前 と 術 後2
日
,
14
日,
28
日の間
に有
意 差 を 認 め た。14
例 中13
例 は14
日の時 点
で術 前 を
ヒ回 り,う
ち9
例 は 術後
5
〜
ユ0
日 でL
回
っ た。
ま
た,
非 術 側
の筋 力
は 術前
が2
.
11
±0
.
48N
/kg
であ り,術 後
2
日 で1
.
85
±0
.
52N
!kg
と有意
に低 ドし
,
5
日で22
〔}±0.
57N
・’
kg
と術 前 値
ま で 回 復 す る傾 向
があ
り,
術 後
28
冂で2,
6
ユ±0,
50N 、
ikgと 向
上 し た。
術 前 と 術 後2
凵,
14
日,
28
日の間に有 意
差 を認
め た。
すべ ての時 期
で術 側
と非 術 側 外 転筋 力
の問
に有 意 差 を認
(N
〆kg) 3.
5 **3
2.
52
1.
5 1 0.
5 05
日2
日 術前
ID 14 日 日 図3 股 関節 外 転 筋 力の推 移* p<
0
.
05
,
* *p<
0
.
Ol
.
28 日 め た。非 術 側
に対 す
る術 側
の割 合
は術 前
が81
.
0
%で あり
,
術 後
2
目 で61
.
1
%,5
冂で74.
5
%,
10
日 で82
.
6
%,
28
日
で92
.
7
%
であ
った
。疼
痛
(VAS
),
屈 曲
ROM
,
外 転
ROM
の推 移
を表
2
に,
術 側 筋
力
と 非 術 側筋 力
,
疼 痛
(VAS
),
屈曲
ROM
,
外
転
ROM
,
術前
筋 力 との 相 関 係 数 を表
3
に示
し た。術 側
筋 力
との相 関 は, 術前
で は非 術
側筋 力
(r=
0
.
91
) が,
術後
2
日で は 非 術 側 筋JJ
(r=
0
.
76
),
屈 曲
ROM
(r=
0
,
64
),
術前 筋 力
(
r=
O
.
80
)が
,
5H
で は非 術 側 筋 力
(r=
0
.
82
),
屈 曲ROM
(r=
0
.
73
),
術 前 筋 力
(r=
O
.
87
) が,
io
凵では 非 術 側 筋 力 (r=
0
.
86
) と術 前 筋 力
(r≡
0
.
85
) が有
意 な 柑 関 を 示 し た。
術 後 早 期
に お ける術 側 筋
力
と疼 痛 (
VAS
)
の相
関 は 術後
2
日 で r=−
O
.
14
,
5
日 で r≡
0
.
06
,
10
日で r=−
0
.
19 と弱 かっ た。
考
察THA
後
の リハ の 目 的は.
正 常 歩 行の獲 得 と 脱 臼の 予防
にあ
る。
それ ら を 達成
す る た め に股 関 節 外 転 筋 筋 力
は重要 な 因 子
の.・
つと
さ れ てい る。
そ の 理由
と して,対 馬
らは,
トレンデレ ンブル グ 歩行
には外 転 筋
トル ク の低
下 が 最 も 影 響 していた と報 告
し1/,
ま た中 村
らは,
脱 臼
し た10
例
のう ち
2
症
例 は外
転筋
筋 力の低 下 が 原因
であっ た と報 告
して い る 3,。
THA
後
の外
転筋 筋 力
の 推 移につ い て は多 く
の報 告
6−
8} があ
る。
し か し, トル クマ シー
ンを用
い た藤 村
ら の報 告
6〕で は術 後
3
ケ 月 か ら,
同 じく白 取
らの報 告
ρ で は術 後
2
週 か
ら測 定 を 開 始
しており
,
術 後 早期
の筋 力
の評 価
はな さ れ てい ない。
こ の理由
と し
て,
トルクマ シー
ンを使
用 す る場
合 に は複 雑
な操 作
表1
股 関 節外 転筋筋 力と術側
,
非術 側の比較 術 側 (N/kg) 非 術 側 CN、
’kgl
) 術前 1.
71土 e.
49 術 後2日 1.
13±0.
45 〔66.
1%) 術 後5日 1.
6・
4± O.
60 (95.
9% ) 術 後10H L85 ±0茄 (108.
2%) 術 後⊥4日 2.
24
± 0、
60C13LO
% ) 彳荷f
麦28Li 2、
42±0.
46 C141.
5% ) 2.
ll±0
.
48 p<0
.
01
1.
85
±0
、
52
〔87
.
7
% )pく
0
.
Ol
2.
20 ± O.
57 〔104.
3%)p<
Q
.
Ol
2.
24±0
.
56
〔】
06
.
2% )p<
0
.
Ol
2.
53
士0
.
71
〔
119
.
9
% )p<
0
,
01
2.
6】± 0、
50 〔123.
7% )p<
0
.
05
値は平 均±標 準偏 差.
〔 ) は術 前 値に対 する割 合.
表2 疼 痛 (VAS )
.
屈 曲ROM,
外 転ROM
の 推 移疼 痛 〔VAS )〔mm } 屈 曲
ROM
〔°
) 外 転ROM
ビ } 術前 2日5
目10
日14
日28
日 17.
】 ± 19.
443
.
1
±25
.
3
24
.
5
±18
.
29
.
9
± 18.
05
.
2± 17.
902 ±0
.
6
81.
4± 16.
9
52
、
5
± 19.
172
.
1
±14
.
6
82.
1 ± 6.
784.
6± 6.
089.
6± 4.
5
14
.
6
±7
.
212
.
9± 6.
418.
2ゴ:
4.
619.
6± 3.
72Ll ±4
.
024
.
6
±4
.
5
値 は 平 均±標準 偏差.
426
理 学 療 法学 第32巻 第7号表3
術 側 筋 力と非 術 側 筋 力
,
VAS
,
屈曲ROM,
外 転ROM , 術 前 筋力
との 相 関 係 数非 術 側 筋 力
VAS
屈 曲ROM
外 転ROM 術 前 筋 力 術 前 術 後2
日 術 後5H
術 後10
日 術 後14日 術 後28日0
,
91
** 0.
76* * 0.
82* * 0,
86* *0
.
87
* *O
.
88
* *0
.
03
−
0
、
14
0.
06−
0.
19 0.
22 * * 0.
76O
.
王3
0
.
64
*0
.
73 * *0
.
27
0
.
26
−
0.
14一
α08 0.
50 0.
37 0.
360
.
24
0
.
11
0
.
80
* *0
.
87
**0
,
85
*
*
O
.
81
* *O
.
70* * p<0、
05,
* *p<
0
.
Ol
,
が 必要
と な る た め,
術 後 早 期
の患 者
の負
担 が 大 きい こと が推
測 さ れ る。そ
れに対 し
て今
回の 調査
で は,
HHD
を 使 用 す ることで術後 早期
か ら の股 関 節 外転 筋 筋 力 測 定
が 可能
と なり
,
こ の筋 力
の推 移 を
明 ら か に す る こ とができ
た。
1
.
HHD
につ い て坂
上 は,HHD
は 比較 的 低 筋 力
の測 定
であ
れ ば 信 頼性
・
妥
当 性の面で も 臨床
応用
に耐 え
ら れ るも
ので あ る と考
え ら れ る と報 告
してい る 1ω。加 藤
ら は,
同一
の検 者 が 同一・
の被 検 者 を対 象
とし
て結 果 を 追
っ ていく場 合
は,
徒 手 的にHHD
を用
い た方
が所
要時 間
を短 縮 す
る上で有
利
であ り
,
これら
の特 性 を踏
まえ
て 使い分 けす
るのが実
際 的であ
る と考 え
ら れ る と報 告
してい る ]1)。
こ れ ら か ら,
HHD
はTHA
後 早 期
の外 転 筋 筋 力
の測 定
に適
して いる と考
え られ る。
ま
た,
HHD
を 使 用 し た際
の デー
タ の信 頼 性
,
再
現性
は重
要であ る が,
これに関 しては諸家
の研 究
11−
13}で検
討
さ れ て き た。
加 藤
ら はベ ッド
上背 臥 位
,
股
関節 内外
転中 間 位
で の等
尺性
股 関節
外転 筋 力
を,
固 定
ベルトを使 用
して 測定
し た 結果
,
良好
な検 者 間再
現性
が得
ら れ た と報
告 し てい るll)。
高 木
は仰 臥 位
,
側 臥 位
,
立位
での再 現性 を
検
討
し てい る が,
仰 臥 位
と側 臥 位
の再
現性
が高
く,
特 に 仰 臥 位 は簡 便 性
も含
め て他
の2
肢 位
に 比べて有 用
で あ る と報 告
してい る 12)。今
回の調 査
で は そ れ ら を参 考
に 測定 方 法
を決 定
し た が,
術 直 後
か らベ ッ ドサ イ ドで の 測 定 を 実 施 してい るため,
諸 家
の方 法
と は多
少 異 なっ て い る。
その た め,
今
回の調
査で の測 定 方 法
に お け る検
者内 再
現性 を検
討 し た。
その結 果
,
級 内相 関係 数
ICC
(
1
,
1
)
≡
0
.
954
(
p
<0
.
01
) と 良 好 な 結 果 が得
ら れ,
検 者 内
再
現性
は高
い と考
え ら れ た。2.
股 関 節 外 転 筋 力 と影 響
を及
ぼす 因 子
につ い て前
述 した よ う に,THA
後
の股関 節 外 転 筋 筋 力 強 化
は重 要
であ
る。 し か し,
術 後 早
期の外 転 筋 筋 力
の回復
につ い てト分
な検
討 を行
っ た報 告 は ほ と ん ど ない。
藤 村 らは,
術前
,
術 後
3
ヶ月
,
6
ヶ月
,12
ヶ月 に お け る変 形性 股 関
節 症 患 者
の外 転 筋 筋 力 を
,
トルクマ シー
ンを 用いて側臥
位
に て測 定
し た 結 果,
術後
3
ヶ月
で は術 前 値
の ll2.
1
±4
.
9
% ま で 回 復 して いた と報 告
して い る 6〕。
白 取
ら は,
術 前
,
術 後
2
週,4
週,6
週 に おけ
る変 形 性 股 関 節 症 患
者
の外 転 筋 筋 力
を,
トル クマ シー
ンを 用いて背
臥 位 に て測 定
した 結 果,
ほ と ん どの例において術 後
2
週 時 点
で術
前 を
上 ま わっ てい た と報 告
して い る7)、今
回の調 査
に おけ
るTHA
後早 期
の外 転 筋 筋 力
の推 移
は,
術 後
2
日にお いて は術 前
の66,
ユ% ま で 低 下 してお り,
徐
々 に回復
し て いき術 後
5
冂 で95.
9
% と なり
,
術 後
ユ0
日
で1082
% と
術 前
を 上回 り
,
術 後
28
凵で は 術 前の141
.
5
% まで向
.
L
す
る という
こと が 分 かっ た。
これ は,
自 取
の報 告
2)と同様
の結
果 と なっ た。
ま
た,
THA
を受
ける患者
は疼 痛
回避
に よ る廃 用 な ど に よっ て術 側の 術 前 筋 力 が 低下 し てい る こ と がしば し ばあ
る。今
回の調 査
に おい て も,
術 前
の非術 側
に対 す
る術
側
の割 合
が81
.
0
%と低
下 してい る。
そのため,
術
側よ り非術
側の筋 力
を 囗標
とす
る こ と が妥
当であ る と思 わ れ る。
この ことか ら非 術 側 筋 力 を基
準
に み て み る と,
術 前
筋 力
を術 後
ユ4
日の時 点
で上
回っ てい た。
さ らに各 時 期
で相
対 的に比較
して み る と,
術 後
10
日で82.
6
% と 術 前 の割 合 を
上 回っ て おり
,
術 後
28
日 で は92
.
7
% まで向
上す
ること が分
かっ た。今
回の調 査 結
果の よう
に,
術 後 早 期 に 外 転 筋筋 力
が低
下 す
る原 因 と
し て術 後 疼 痛
の影 響
が挙 げ
ら れ る6}。 これ に関 し
ては,
術 後
2
日 でr=−
0
,
14
,
5
日で r=
0
.
06
,
ユ0
日 で r≡−
0
、
19
と術 側 筋 力 との相 関 が 弱 かっ た。
しか し,
VAS
が
主観 的 な評 価
で あ り被 検
者 間の認
識 や意 識
にば らつ き が ある ことや,
術 直 後
の恐 怖 心
や 不安
か ら疼 痛 が起
き ない よう
に筋 力発 揮
を調 整
し た こ となどが 予 想 さ れ る ため, 疼痛
の影 響
が小
さい と は断 言
できず
,
さ ら な る検
討
が 必要
であ
る。ま
た,
そ
の他
の原 因 と
し て手 術
侵襲
の影 響
が挙
げ ら れ る。
当 院
ではセ メ ン ト レ ス の アナ トミ ック人
工股 関節 を使 用 し
てお り
,
進 入
は後 方
か ら行
っ て いる。
進 入の際 に 広筋
膜 を切 開 す
る,
短 外 旋 筋 群 を
切 離す
る,
中
殿筋
をエ レバ ト リウムで よける等
の ア プ ロー
チ を行 う
た め,
手
術 侵 襲 が 術 後早
期の外 転 筋 筋 力
に影 響 す
ると予想
でき
る。 し か し, 過去
の報
告
に 乏 しく
,
明確 な
根 拠
に欠 け
るため,
これ に 関 しても今 後
十 分 な検 討
が 必要
であ
る。3
.
臨床
上の留 意点
今 回
の調 査
にお
いてTHA
術 後
の股 関 節 外 転 筋 筋 力
は14
例中
9
例 (61
% ) が 術後
5
〜
10
日で術 前 筋 力 値
まで 回復
し た。
THA
後
の外 転 筋 筋 力
トレー
ニ ング を行 う 際
は,10
日以 内 は 術前 筋
力 に 達 し てい ない点
に考
慮 し な け ればな ら ないtt ま た,
全
ての患者
がこれ に当
て は ま る わ け で は ない、
,
と り わ け 臨 床 に おい て 問 題 と な るの は,
順調
に 回復
し ない患者
で あり
,
その よう
な 患者
の抽 出 方
法
を 検討
す る 必 要 が あ る。
ま た,
THA
後の脱 臼 に は一
卜分 な 注 意 を す る 必 要 が あ り, 脱 臼 時 期 につ い ては様
々 な 報 告 3〕4)15−
t8) が あ る。
Li
ら は85
% が2
ヶ月 以内
に 脱 臼 し た と報
告 しliコ
),
石 井 ら は 初 回 脱 臼の86
,
7
% が 術後
2
ヶ月 以 内の早
期であっ た と報 告
してい る16)。Joshi
ら は,
脱 臼の37
% が5
週 以内
で あっ た と報 告
し てい る]7〕。
こ れ ら は,
術
後
早
期の脱 臼 が多
い こと を報 告
し た もの であ る が,
今
回の調
査結 果
か ら股 関 節 外 転 筋 筋 力
の み で検 討
し た場 合
,
特
に術 後
10
日 以内
に厳
重 な注 意
を要
す る と考
え ら れ る。
謝 辞
:ご指 導
いた だき
ま し た 九州
リハ ビリテー
シ ョ ン大
学 校 助 教 授
・
堤 文
生先
生に深 謝
します
。
文 献
D
対 馬栄輝,
尾田 敦 :変 形 性 股関節 症 患者にお ける跛 行と歩行時の ド肢筋活 動時期 との関 係
,
理学 療法 学23
(4J
: 218−
225.
1996.
21 芋田 勝 彦,
武 田 芳 夫 :人.
i:股 関 節 置 換 術 後の股 関 節 外 転 筋・
内転 筋機 能と トレ ン デ レ ンブルグ徴 候との関 係につ い て.
理学療 法 学 25〔6}:362−
367,
1998.
3
) 中村伸
一
郎L
岩崎 廉 平・
他:人匚股 関節 置 換 術 後脱 臼症 例 の検討.
中部整 災誌 44{4>:841−
842,
2001.
4
) 原 田 昭,
宮 内 晃・
他 1 人.
1:股関 節置 換 術 術後脱 臼の検討
.
中四整 会 誌10
(2
):259
−
261
,
1998.
5) 山 「堅 志,
小室 透・
他 1人 工関 節全置 換 術 後の筋 力は脱 臼 に影 響を及ぼすか ?.
理学 療 法 学 28(学 会 特 別 号1
:287,
2001
.
6
) 藤 村 宜 史,
甲斐 健 児・
他:変 形性 股 関節 症に おける股 関 節 外 転 筋 力の推 移.
広島理 学療法 学 11177−
8L 2002,
7
) 白取 洋子,
山 田 伸・
他:人 工 股 関 節 置換術後に お け る 股関節 外 転 筋 力の回復 過 程
,
理 学 療 法 学30
(学 会 特別号1
:207,
2003
,
8
} 中井毅
,
増原建 作 :CYBEX770
.
NORM
を 用いた 全 人 工股 関節置 換 術 後の股 関 節 筋 力の 回 復 状 況 に対す る検討
.
Hip
Joint
26
:593
−
594
.
2000
.
9
)松 野丈夫 :股 関 節.
「標 準 整 形 外 科 学 第7版 」 寺 山 和 雄,
辻 陽 夫 (監 修〕
,
医 学 書 院,
東京,
1999
,
pp501−
5D2
.
10
> 坂 上 昇:筋 力 低 下の検 査・
測 定一
等 速 性 筋 力 測 定 器 とHand
−
Held
Dynam
σmeter− .
理 学 療 法20
(1); 114−
123,
20
3
,
ll
〕 加 藤宗規,
山 崎 裕 司 : ハ ン ドヘ ル ド ダ イ ナモ メー
ター
に よる等尺 性 股外転筋力 の 測 定
一
固 定用ベル トの使用 が検 者 間再 現性に与え る影響
一.
高 知 リハ ビ リ テー
ショ ン学 院紀要4
:7
−
ll
,
2002
.
12) 高 木 徹:徒手筋力 計に よ る股 外 転 等 尺性 収 縮 筋 力 測 定の 信頼 性 に関す る 研究.
中部整災 誌 44(6)i1247−
1252.
2001,
13>舌
間 秀 雄,
吉 本 奈美・
他: ハ ン ドヘ ル ド ダ イ ナモ メー
ター
に よ る 筋 力 測 定 時の
.
一
考察.
−
PowerTrack
ll
COMMAN
−
DER
を使用 し ての検
討一.
理学療
法 福 岡 16:33−
37,
2003.
14
)森弘 幸
.
中 川光仁・
他:徒 手 筋力測定 器に よ る 股関 節外転 筋
力
につ いて,
理 学 療 法 学 29〔学 会 特 別 号):343
,
2002.
]5)
Li
E.
MedingJB
,
et al.
:The nalural history of a poste−
riorly
disbcated
totalhip
replacement.
J
Arthroplasty
l4(8}二964
−
968,
1999.
16) 石 井 孝子
,
佛淵孝 夫:人 工股 関 節 術 後 脱 臼の成 因と対 策,
リ ウマ チ科
24
{4
):341
−
345
,
2000
.
17
}Joshi
A
,
Lee
CM
,
et α1
.
:PrognQsis
ofdislocation
aftertotat
hTp
arthropLasty.
J
Arthroplasty
13(1):17−
21,
1998.
18)
Yuan
L
、
Shin
C
;Dis
]ocation after total hip arthroplasty.
428
mp"ixtae
ng32kac7ny
<Abstract>
The
Change
ofHip
Abductor
Muscle
Strength
afterTotal
Hip
Arthroplasty
in
the
Early
Stage
Hirofumi
SHIMAZOE,
RPT,
Hitoshi
AYABE,
RPT,
Kouichi
MORIGUCHL
RPT,
Kazushi
HARAGUCHI,
MD
Department
ofRehabilitation,IVippon
Steel
Yttwata
Mlenzorial
Hbspital
Ichiro
KATSUKL
MD,
Naohisa
TAYAMA,
MD,
Kunitoshi
SATOMURA,
MD
Department
ofOrthqpedic
Sutger),,
Nippon
Steel
Ydwata
Mbmorial
Hospitat
The
purpose
ofthis
study was to clarifythe
change ofhip
abductor muscle strength aftertotal
hip
arthroplasty(THA),
We
investigated
14
patients
whohad
receivedTHA,
ancl measuredtheir
hip
abductor muscle strength ofboth
hips
(operative
and oppositehip),
pain
score andROM
(flexion
and abduction),Measurements
weretaken
at the preoperativeday
and2,
5,
10,
14
and28
days
postoperatively.AT
2
days
afterTHA,
thehip
abductor muscle strengthdecreased
from
1.71
±O.49
to1.13
±O.45
Nfkg
anddid
not recoverfor
5
days
after the operation.The
hip
abductor muscle strength was restored within