16.分
娩 期 の ケ ア の 質 の 評 価
― 助産 婦 の ケア を構 成す る因子の分 析 ―
○ 内 藤 和 子(自 治医科大学看護短期大学)森 明 子 ・堀 内 成 子(聖 路加看 護大学) 岩 澤 和 子(厚 生省児童家庭局)恵 美 須 文 枝(東 京都立 医療 技術短期 大学) 鈴 木 節 子(日 本赤十字武蔵野女子短期大学)岸 田 佐 智(高 知女 子大学) 藤 本 栄 子(聖 隷 ク リス トファー看護大学) I.は じ め に 助 産 婦 の ケ ア の 質 は 産 婦 の 出 産 体 験 の 質 と密 接 に 関 連 す る と思 わ れ,質 の 高 い ケ ア を 保 証 す る た め に ケ ア の 評 価 を す る こ と は 助 産 婦 の 重 要 な 責 務 の 一 つ で あ る 。 本 研 究 の 目 的 は,助 産 婦 の 分 娩 期 の ケ ア の 質 に 影 響 を 与 え る 因 子 と 因 子 間 の 関 連 を 明 ら か に す る こ と で あ る。 今 回 の 報 告 は,質 保 証 モ デ ルQualityAssuranceModelの 変 数 の う ち, 構 造(Structure)変 数 と プ ロ セ ス(process)変 数 に 焦 点 を あ て る 。 II.方 法 1.調 査 対 象 お よ び 手 順 対 象 は,1995年2∼3月 に 国 内36ヵ 所 の 病 産 院 に 勤 務 し,分 娩 期 ケ ア を 行 っ た 助 産 婦 で あ る 。 自 記 式 質 問 紙 を 婦 長 の 協 力 を得 て 配 布 し,対 象 者 各 自が 郵 送 す る よ う依 頼 し た 。勤 務 体 制 に つ い て は, 専 用 の 調 査 用 紙 を 作 り,施 設 毎 に 婦 長 に 記 載 し て も ら っ た 。 2.測 定 用 具 structure変 数 に は 勤 務 経 験 年 数 と ケ ア の 継 続 性 に 関 す る 勤 務 体 制 を 定 め た 。process変 数 に は サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア と モ ニ タ リ ン グ ケ ア を 定 め た 。 サ ポ ー テ ィブ ケ ア の 測 定 に は,Nursing Sup-port in Labor Questiomaire(NSILQ)の 翻 訳 修正 版12項 目(cronbach'α=0.87)を 用 い た 。 サ
ポー テ ィ プ ケ ア は,愛 情Affect,承
認Affirma-tion,手 段Aidの3要 素 か ら 成 り,5段 階Likert
尺度 で 得 点範 囲 は12-60点 で あ る 。 モ ニ タ リ ン グ ケ ア の 測 定 に は,新 た に 研 究 者 ら が開 発 し た13項 目(cronbach'α=0.86)を 用 い た。 モ ニ タ リ ン グ ケ ア は,① 重 要 な 異 常 の 発 見, ② 異 常 を予 測 させ る徴 候 の 把 握(早 期 の 警 告 信 号),③ 問 題 の 予 知(先 の見 通 し),④ 個 別 の要 素 や 経 験 の理 解 の4要 素 か ら成 り,5段 階Likert尺 度 で,得 点 は13-65点 で あ る。サ ポー テ ィブ ケ ア, モ ニ タ リン グ ケ ア と もにcronbach'α 値 は 高 く, 質 問 紙 の 内部 一 貫 性 は保 た れ て い た 。 III.結 果 1.対 象 の 特 性 質 問 紙 を 配 布 し た助 産 婦 数 は543名 で,478名 (88%)か ら 回答 が 得 られ た。 そ の う ち,有 効 回 答 が 得 られ,分 析 の 対 象 とな っ た 助 産 婦 は418名 (87%)で あ っ た。 平 均 年 齢30.7歳 で あ った 。 平 均 勤務 経 験 年 数7.2年 で,勤 務 経 験 年 数 が6年 未 満 の 助 産 婦 は224名,6年 以 上 の 助 産 婦 は194名 で あ った 。 継 続 ケ ア(妊 娠 か ら産 褥 ま で の 間 の ど こ か に,一 時 点 だ け で な く継 続 して 助 産 婦 が ケ ア す る シ ス テ ム)の 実 施 施 設 に 勤 務 す る 助 産 婦 は261 名,非 実 施 施 設 に 勤 務 す る助 産 婦 は157名 で あ っ た。 2.サ ポ ー テ ィブ ケ ア 1)サ ポー テ ィ ブ ケ ア の 得 点 サ ポ ー テ ィブ ケ ア の 平均 総 合 得 点 は50.5点, 1項 目あ た りの 平均 得 点 は4.2点 で あ っ た。 2)サ ポー テ ィブ ケ ア を構 成 す る 因子 の 分 析 サ ポー テ ィブ ケ ア12項 目 を主 成 分 分 析 を行 っ た後,得 られ た因 子 負 荷 量 を さ らに 直 交 回転(バ リマ ッ クス法)さ せ て,因 子 分 析 を行 っ た。 そ の結 果,3因 子 が抽 出 され た 。<表1> 第1因 子 は,「 愛 情 あ る ケ ア 」で あ り,希 望 に 沿 っ た分 娩 の た め の協 力,産 婦 の 言 動 の 受 け 入 れ,安 心 感 を与 え るな どの5項 目 で あ る。 第2 ―107―
表1サ ポ-テ ィブケ ア の因 子分 析:回 転 後 の 因子 負 荷 量(直 交 回転)バ リマ ッ クス法(n=418) 因 子 は,「 承 認 す る ケ ア 」で あ り,分 娩 進 行 の 説 明,プ ラ イ バ シ ー を 守 る な ど の4項 目 で あ る 。 第3因 子 は,「 手 段 を 提 供 す る ケ ア 」で,ス キ ン シ ップ,呼 吸 法 ・ リ ラ ッ ク ス 法 の 指 導 な どの3 項 目 で あ る。 3)勤 務 経 験 年 数 と サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア を 構 成 す る 因 子 と の 関 係 因 子 別 に,勤 務 経 験 年 数6年 未 満 群(以 下 短 い 群 と い う)と6年 以 上 群(以 下 長 い 群 と い う) の 因 子 得 点 の 平 均 値 を 求 め,差 を み た 。 そ の 結 果,第1因 子 はt値3.49(p<0.0005) で,勤 務 経 験 が 短 い 群 は 負 の 方 向(-0.158)を 示 し,「 愛 情 あ る ケ ア 」の 評 価 が 低 か っ た が,勤 務 経 験 が 長 い 群 は 正 の 方 向(0.182)を 示 し,高 く評 価 し て い た 。 第2因 子 はt値2.94(P<0.005)で,勤 務 経 験 が 短 い 群 は 正 の 方 向(0.131)を 示 し て い た が, 勤 務 経 験 が 長 い 群 は 負 の 方 向(-0.152)を 示 し, 「承 認 す る ケ ア 」 を低 く評 価 し て い た 。 第3因 子 に は 差 が 認 め ら れ な か っ た 。 4)ケ ア の 継 続 性 と サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア を構 成 す る因 子 との 関 係 サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア の 第2因 子 はt値2.19 (P<0.05)で,継 続 ケ ア非 実 施 群 で 負 の 方 向 (-0.135)を 示 した が,継 続 ケ ア 実 施 群 で 正 の 方 向(0.081)を 示 し,「 承 認 す る ケ ア 」 を高 く 評 価 して い た 。 第1因 子 お よび 第2因 子 に は 差 が 認 め られ な か っ た。 3.モ ニ タ リン グ ケ ア 1)モ ニ タ リン グ ケ ア の 得 点 モ ニ タ リン グ ケ ア の 平 均 総 合 得 点 は48.1点, 1項 目 あ た りの平 均 得 点 は3.7点 で あ っ た。 2)モ ニ タ リン グ ケ ア を構 成 す る 因 子 の 分 析 モ ニ タ リン グ ケ ア13項 目 を,サ ポー テ ィ ブ ケ ア 同様 に 因 子 分 析 を行 っ た結 果,4因 子 が 抽 出 さ れ た 。<表2> 第1因 子 は,「 問 題 を予 知 す る因 子 」 で あ り, 子 宮 口全 開 大 の 予 測,母 体 の 異 常 の予 測,ME デ ー タか らの 予 測 な ど7項 目 で あ る。 第2因 子 は,「 個 別 の好 み を把 握 す る因 子 」で,産 婦 の 好 む産 痛 緩 和 法 の 把 握 な どの2項 目で あ る 。 第3
表2モ ニ タ リングケ ア の因 子分 析:回 転 後 の因 子 負荷 量(直 交 回転)バ リマ ッ クス法(n=418) 因 子 は,「 警 告 信 号 を 見 落 とす 因 子 」で,異 常 徴 候 の 見 落 と し な ど の2項 目 で あ る 。第4因 子 は, 「ケ ア に 反 映 で き な い 因 子 」 で,産 婦 理 解 に 産 婦 の 言 動 を い か せ な い な ど の2項 目 で あ る 。 3)勤 務 経 験 年 数 と モ ニ タ リ ン グ ケ ア を 構 成 す る 因 子 と の 関 係 第1因 子 は,「 問 題 を 予 知 す る 因 子 」 で あ り, t値10.079(P<0.00001)で,勤 務 経 験 が 短 い 群 が 負 の 方 向(-0.413)を 示 し,長 い 群 が 正 の 方 向(0.476)を 示 し た 。 第2因 子 は,「 個 別 の 好 み を 把 握 す る 因 子」で あ り,t値1.987(P< 0.05)で,短 い 群(-0.092),長 い 群(0.106) で あ り,長 い 群 が 高 く評 価 し て い た 。 第3因 子 お よ び 第4因 子 に は 経 験 年 数 で 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 4)ケ ア の 継 続 性 と モ ニ タ リ ン グ ケ ア を 構 成 す る 因 子 と の 関 係 継 続 ケ ア を 実 施 して い る 群 ・非 実 施 群 と モ ニ タ リン グ ケ アの 各 因子 別 得 点で は,す べ て の 因 子 にお い て差 が 認 め られ な か っ た 。 IV.考 察 1.サ ポー テ ィ ブ ケ ア と勤 務 経 験年 数,継 続 ケ ア の有 無 との 関連 につ い て 勤 務 年 数 が短 い群 よ り,長 い群 の 方 が 「愛 情 あ る ケ ア 」(第1因 子)を 高 く評価 して い た。 こ の こ とは,経 験 を積 む こ とに よ り,よ り産 婦 を受 容 し た ケ ア を提 供 して い る と評価 して い る こ と を示 し て い る。 また,第2因 子 の 「承 認 す るケ ア」で は, 逆 に短 い群 が正 の 評価 を し,長 い 群 が 負 の評 価 を して い た 。 これ は 人 を保 証 した り,承 認 す る こ と に つ い て の評 価 は,経 験 を積 む こ とに よ り厳 し く な る,あ るい は,自 己評 価 を低 め させ る よ うな 内 的 ・外 的 環 境 要 因 が 影 響 して い る可 能 性 が あ る こ とが 推 測 され る。 同 じサ ポー テ ィ ブ ケ ア の 第2因 子 「承 認 す る ケア 」 につ い て,継 続 ケ ア の 実 施 群 ―109―
が 非 実 施 群 に比 べ て有 意 に 高 く評 価 して い る。 これ は,継 続 ケ ア を行 う こ とに よ っ て,産 婦 と 助産 婦 の 信 頼 関 係 が で き る こ とが,保 証 や 承 認 す るケ ア の 評価 を高 め る の で は な い か と考 え る。 2.モ ニ タ リン グケ ア と勤 務 経 験 年 数,継 続 ケ ア の有 無 との 関連 に つ いて 経 験 の短 い群 よ りも長 い 群 が 「問 題 を予 知 す る 因子 」(第1因 子)お よび 「個 別 の 好 み を把 握 す る 因子 」(第2因 子)を 高 く評 価 して い た。 予 測 や 分 娩 進 行 を促 す 判 断 を繰 り返 し,経 験 を積 む こ とに よ りで き る よ うに な る と考 え る。一 方,「 警 告 信 号 を見 落 とす 因 子 」(第3因 子)で は経 験 に 差 が 認 め られ な か った 。これ は,顕 在 して い る異 常 徴 候 は, 母 児 の 生 命 に 直 結 す る もの で あ り,経 験 が浅 くて も最 優 先 して マ ス ター しな け れ ば な らな い要 素 で あ る た め に,差 が な か った もの と考 え る。 ま た, 「ケ ア に反 映 で きな い 因 子 」(第4因 子)も 経 験 年 数 に差 が 認 め られ な か っ た が,こ れ は,経 験 の 長 短 に左 右 され な い よ うな助 産 婦 個 人 の特 性 が 関 与 して い るか も しれ な い。 あ る い は,年 数 を経 る こ とで,個 別 の 状 態 や 要 求 を理 解 す る上 で妨 げ とな る要 因 が 派 生 して い る可 能 性 も考 え られ る。 い ず れ に して も,他 の 要 素 の 関 連 を検 討 す る必 要 が あ る と考 え る。 V.結 論 1.process変 数 で あ る サ ポー テ ィ ブ ケ ア と, structure変 数 で あ る勤務 経験 年数,継 続 ケ ア と の 関 連 に つ い て 1)「 愛 情 あ るケ ア 」の 因子 は,勤 務 経 験 年 数 が長 い群 が 短 い群 よ り有 意 に 高 く評 価 して い た。 2)「 承 認 す るケ ア 」の 因 子 は,経 験 年 数 が 短 い群 が 長 い群 よ り有 意 に 高 く評価 して い た。 3)継 続 ケ ア を実 施 して い る群 が,非 実 施群 に 比べ て 「承 認 す る ケ ア 」 の 因 子 を有 意 に 高 く 評価 して い た。 2.process変 数 で あ る モ ニ タ リン グ ケ ア と, structure変 数 で あ る勤 務 経 験 年 数,継 続 ケ ア と の 関 連 につ い て 1)勤 務 経 験 年 数 が 長 い群 が,短 い群 よ り 「問 題 を予 知 す る因 子 」,「個 別 の 好 み を把 握 す る 因 子 」 を有 意 に 高 く評 価 して い た 。 2)継 続 ケ ア の実 施 の 有 無 とモ ニ タ リン グケ ア で は,全 て の 因 子 に お い て 差 が 認 め られ な か った 。 謝 辞 忙 しい業 務 の 間 に 時 間 を さ い て 本 研 究 に協 力 し て くだ さ っ た助 産 婦 の 方 々 に深 謝 い た し ます。 ま た,研 究 協 力 を 快 諾 し て くだ さ っ た 看 護 部 長 の 方 々 に 深 謝 い た します 。
17.分
娩 期 の ケ ア の 質 の 評 価
―産 婦 と助産 婦 に よ る評価 の検 討―
QA出 産 検 討 グ ル ー プ ○藤 本 栄 子(聖 隷 ク リス トファー看護大学)岸 田 佐 智(高 知女子大学) 森 明 子 ・堀 内 成 子(聖 路加看護 大学)岩 澤 和 子(厚 生省 児童家庭局) 恵 美 須 文 枝(東 京都 立医療技術短期大学)内 藤 和 子(自 治医科大学看護短期大 学) 鈴 木 節 子(日 本赤十字武蔵野女子短期大学) I.は じめ に 助 産婦 の分 娩 期 ケ ア の 質 は 産 婦 の 出産 体 験 の質 と密 接 に 関 連 す る と考 え られ,QA出 産 検 討 グ ルー プ で は,こ れ まで に 質 保 証 モ デ ル1)に基 づ き 産 婦 お よび助 産婦 の ケ ア 評 価 に関 す る研 究 を重 ね て きた。 また,本 研 究 と一 連 の つ なが りを持 つ 助 産 婦 お よび産 婦 の分 娩期 ケ アの 質 の 評 価 で は,各 変 数 間 の 関連 や 影響 因 子 との 関 連 が い くつ か 認 め られ て い る。2)3)そこ で,本 研 究 は,同 一 施 設 に お いて,産 婦 が受 け た 分 娩 期 ケ ア の質 に関 わ る 因子 とケ ア提 供 者 と して の 助 産 婦 の 分 娩 期 ケ アの 質 に 関わ る因 子 間 の 関 連 を明 らか にす る こ とを 目的 と す る。 仮 説: 1.産 婦 の サ ポー テ ィ ブ ケ ア を受 け て い る とい う 認知 は,助 産 婦 の サ ポー テ ィ ブ ケ ア を提 供 して い る とい う認知 と相 関 関 係 に あ る。 2.産 婦 の サ ポー テ ィブ ケ ア を受 け て い る とい う 認知 は,助 産 婦 の モ ニ タ リン グ ケ ア を提 供 して い る とい う認知 と相 関 関 係 に あ る。 3.産 婦 の 日常 生 活援 助 を受 け て い る とい う認 知 は,助 産 婦 の サ ポー テ ィ ブ ケア を提 供 して い る とい う認 知 と相 関 関係 に あ る。 4.産 婦 の 日常 生 活援 助 を受 け て い る とい う認 知 は,助 産 婦 の モ ニ タ リン グ ケア を提 供 して い る とい う認 知 と相 関 関係 に あ る。 5.産 婦 の 分 娩 期 サー ビス 満 足 度 は,助 産 婦 の サ ポー テ ィ ブ ケ ア を提 供 して い る と い う認 知 と相 関 関 係 に あ る。 6.産 婦 の 分 娩 期 サー ビス 満 足 度 は,助 産 婦 の モ ニ タ リン グ ケ ア を提 供 して い る と い う認 知 と相 関 関係 に あ る。 7.産 婦 の 出産 満 足 度 は,助 産 婦 の サ ポー テ ィブ ケ ア を提 供 して い る とい う認 知 と相 関 関 係 に あ る。 8.産 婦 の 出産 満 足度 は,助 産 婦 の モ ニ タ リン グ ケ ア を提 供 して い る とい う認知 と相 関 関 係 に あ る。 9.産 婦 の外 傷 体 験 は,助 産 婦 の サ ポ ー テ ィ プ ケ ア を提 供 して い る とい う認知 と負 の相 関 関 係 に あ る。 10.産 婦 の外 傷 体 験 は,助 産 婦 の モ ニ タ リン グ ケ ア を提 供 して い る とい う認知 と負 の 相 関 関 係 に あ る。 11.産 婦 の分 娩 期 サ ー ビス満 足 度 は,助 産 婦 の 仕 事 満 足 度 と相 関 関係 に あ る。 12.産 婦 の 出産 満 足度 は,助 産 婦 の 仕事 満 足 度 と 相 関 関 係 に あ る。 13.産 婦 の外 傷 体 験 は,助 産 婦 の仕 事 満 足 度 と負 の 相 関 関 係 に あ る。 II.方 法 1.調 査 対 象 お よ び手 順 1995年2∼3月 に行 っ た 「分 娩期 ケ ア の 質 の 評 価 」 に関 す る調 査 に協 力 した施 設 の う ち,8人 以 上 の 助 産 婦 と産 婦 の両 方 か ら回 答 が 得 られ た17施 設 を対 象 と した。 自記 式質 問紙 を婦 長 の 協 力 を得 て助 産 婦 お よ び産 婦 に 配布 した 。 ま た,助 産 婦 の 場 合 は対 象 者 各 自に郵 送 を依 頼 し,産 婦 の 場 合 は 回答 に封 した後 、婦 長 に 一 括 して郵 送 を依 頼 し た。 施 設 特 性 につ い て は,専 用 の 調 査 用 紙 を作 り,施 設 毎 に婦 長 に記 載 して も らっ た 。 1112.測 定 用 具
産 婦 用 質 問 紙 は,質 の 保 証 モ デ ル に 基 づ き
structure変 数,proceSS変 数, outCOme変 数 に
な る よ う に 構 成 し,structure変 数 に 医 療 介 入, process変 数 に サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア と 日 常 生 活 援 助,outcome変 数 に 分 娩 期 サ ー ビ ス 満 足 度 、 出 産 満 足 度,外 傷 体 験 を 定 め た 。 医 療 介 入 は15項 目 で,得 点 が 高 い ほ ど 医 療 介 入 が 多 く な る よ う に 配 点 し た 。 サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア はNursingSupportin LaborQuestionnaire(NSILQ)4)の 翻 訳 修 正 版1 2項 目(Cronbach'α=0.91)を 用 い た 。 研 究 者 ら が 開 発 し た 尺 度 と し て,日 常 生 活 援 助7項 目 (Cronbach'α=0.83),分 娩 期 サ ー ビ ス 満 足 度10 項 目(Cronbach'α=0.88)を 用 い た 。 こ れ ら は5 段 階Likert尺 度 か ら な り,Cronbach'α 値 は 高 く, 質 問 紙 の 内 的 一 貫 性 は 保 た れ て い た 。 出 産 満 足 度 はVisualAnalogScaleを 用 い た 。 外 傷 体 験 は3 項 目 で 得 点が 高 い ほ ど,外 傷 体 験 が 少 な くな る よ うに 配 点 し た 。 助 産 婦 用 質 問 紙 も 同 様 に 質 の 保 証 モ デ ル に 基 づ い て 構 成 し,structure変 数 に 勤 務 経 験 年 数 と ケ ア の 継 続 性,process変 数 に サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア と モ ニ タ リン グ ケ ア,outcome変 数 に 仕 事 満 足 を 定 め た 。 サ ポ ー テ ィ プ ケ ア と モ ニ タ リ ン グ ケ ア の 測 定 用 具 の 信 頼 性 と測 定 方 法 に つ い て は,本 学 会 収 録 集 の 「分 娩 期 ケ ア の 質 の 評 価 一 助 産 婦 の ケ ア を構 成 す る 因 子 の 分 析-」 に 示 す と お りで あ る 。 ま た, 仕 事 満 足 の 測 定 に は,Index of Work Satisfac-tion QuesSatisfac-tionnaire(IWS)のPart B5)の 翻 訳 版 17項 目(Cronbach'α=0.78)を 用 い た 。 こ れ ら は5段 階Likert尺 度 か ら な り,Cronbach'α 値 は 高 く,質 問 紙 の 内 的 一 貫 性 は 保 た れ て い た 。 3.分 析 方 法 分 析 はHALBAUを 用 い,基 本 統 計 量 算 出 ・相 関 分 析 ・t検 定 を 行 っ た 。 III.結 果 1.対 象 施 設 の 特 性 対 象 と し た17施 設 に お け る 産 婦 は,367名 で 平 均 年 齢29.3歳 で あ っ た 。 一 方,助 産 婦 は208名 で,平 均 年 齢30.3歳 で あ っ た。 分 娩 室 の 看 護 単 位 は,分 娩 室 単 独 お よび分 娩 室 を含 む 産 科 病 棟(以 下 産 科 病 棟 と呼 ぶ)が7施 設(41.2%),分 娩 室 を含 む産 科 と婦 人 科 を含 む 他 科 との 混合 病 棟(以 下 混 合 病 棟 と呼 ぶ)が10施 設(58.8%)で あ っ た 。 看 護 単 位 に お け る助 産 婦 の 占め る割合 は 平 均68.5%で あ り,継 続 ケ ア(妊 娠 か ら産 褥 まで の 間 の どこ か に, 一 時 点 だ け で な く継 続 助 産 婦 が ケ ア す る シ ス テ ム)の 実 施 は9施 設(52.9%),非 実 施 は,8施 設 (47.1%)で あ っ た。 2.産 婦 変 数 と助 産 婦 変 数 との 関 連(表1) 1)産 婦 のprocess変 数 と助 産 婦 のprocess変 数 との 関連 (1)産 婦 が 認知 し たサ ポ ー テ ィ プ ケ ア と助 産 婦 のサ ポ ー テ ィ ブ ケ ア との 間 に 正 の相 関 関 係 が あ っ た。 す な わ ち,助 産 婦 の サ ポ ー テ ィブ ヶ ア の評 価 が 高 い施 設 ほ ど,サ ポー テ ィ ブ ケ ア を受 け た と い う産 婦 の 評 価 も高 か っ た。 しか し,モ ニ タ リン グ ケ ア との 間 に は相 関 は認 め られ な か っ た。 仮 説1は 支 持 され た が,仮 説 2は 支 持 され なか っ た 。 (2)産 婦 が 認 知 した 日常 生 活 援 助 と助 産 婦 の サ ポー テ ィブ ケ ア との 間 に 正 の相 関 関 係 が あ っ た 。 す な わ ち,助 産 婦 の サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア の 評価 が 高 い施 設 ほ ど,日 常 生 活 援 助 を受 け た と い う産 婦 の評 価 も高 か っ た 。 しか し,産 婦 が 認 知 した 日常 生 活 援 助 とモ ニ タ リン グケ ア との 間 に は相 関 は 認 め られ な か っ た。 仮 説3 表1各 変数間の相 関関係
は支 持 さ れ た が,仮 説4は 支 持 され なか っ た。 2)産 婦 のoutcome変 数 と助 産 婦 のprocess 変 数 との 関連 (1)分 娩 期 サ ー ビ ス 満 足 度 と助 産 婦 の サ ポ ー テ ィ プ ケ ア との 間 に正 の 相 関 関 係 が 認め られ た。 す な わ ち,助 産 婦 の サ ポー テ ィブ ケ ア の 評 価 が 高 い施 設 ほ ど,産 婦 の 分 娩 期 サ ー ビス 満 足 度 は高 か っ た。 しか し,分 娩 期 サ ー ビ ス 満 足 度 とモ ニ タ リン グケ ア との 間 に は相 関 は 認 め られ なか っ た。 仮 説5は 支 持 さ れ た が, 仮 説6は 支 持 され な か っ た。 (2)出 産 満 足度 と助 産 婦 の サ ポー テ ィ ブ ケ ア お よ び モニ タ リ ン グケ ア との 間 に は相 関 は認 め られ なか っ た。 仮 説7,8は 支 持 され なか っ た。 (3)外 傷 体 験 と助 産 婦 の サ ポー テ ィブ ケア お よ び モ ニ タ リン グ ケ ア との 間 に相 関 は 認 め られ なか っ た。 仮 説9,10は 支 持 され なか っ た。 3)産 婦 のoutcome変 数 と助 産 婦 のoutcome 変 数 との 関 連 産 婦 の3つ のoutcome変 数 と,助 産 婦 のout-come変 数 で あ る仕 事 満 足 度 との 相 関 は認 め られ なか った 。 仮 説11,12,13は 支 持 され な か った 。 3.産 婦 変数 と施 設 特 性 との関 連(表2) 1)助 産 婦 の ケ ア の 継 続 性 と産 婦 のstructure 変 数,process変 数,outcome変 数 との 関 連 継 続 ケ ア 実 施 群 と継 続 ケ ア 非 実 施 群 の2群 間 で,そ れ ぞ れ の平 均 得点 を比 較 した。 い ず れ の産 表2産 科病棟群 と混合病棟群 における産婦変数の比較 婦 変 数 も両 群 に有 意 差 を認 め なか っ た。 2)病 棟 形 態(看 護 単 位)と 産 婦 のstructure変 数,process変 数,outcome変 数 との 関 連 産 科 病 棟 群 と混 合 病 棟 群 の2群 間 で,そ れ ぞ れ の 平 均 得 点 を比 較 した。 医療 介 入,産 婦 が 認 知 し た サ ポー テ ィブ ケ ア,日 常 生 活援 助,分 娩 期 サ ー ビス 満 足 度,出 産 満 足 度 に有 意差 が 認 め られ た。 IV.考 察 1.分 娩期 ケ ア のprocess変 数 に お け る産 婦 と助 産 婦 の 評価 の 相 違 今 回 の 調査 で は 産 婦 が 受 け た と評 価 す る サ ポ ー テ ィブ ケ ア お よび 日常 生 活 援 助 は,と もに助 産 婦 が提 供 した と評 価 す るサ ポー テ ィ ブ ケ ア とは相 関 関係 に あ っ た。 産 婦 は,助 産 婦 か らの 情 緒 的 視 点 に立 っ た ケ アや 日常 生 活 に 関 す るケ ア 提 供 に関 し て適 切 に ケ ア を評 価 して い る と言 え る。 その 理 由 と して,サ ポー テ ィ プ ケ アや 日常 生 活 援 助 は 、 産 婦 と助 産 婦 の 対 人関 係 に基 づ き直接 的 に 産 婦 に 対 して 行 われ る ため,産 婦 自身 が提 供 され た ケ ア に 対 して気 づ き,適 切 に評 価 す る こ とが 可 能 だ っ た の で は な いか と考 え られ る。 一 方,助 産 婦 の 提 供 す る モ ニ タ リン グケ ア は, 産 婦 の 評 価 とは 関 係 が なか っ た。 モ ニ タ リン グケ ア は,分 娩 に 関 す る よ り専 門的 視 点 で の ケ ア で あ り,助 産 婦 に よ って その 状 況 が ど の よ うに観 察 さ れ 判 断 され て も,産 婦 に は 気づ か れ な い こ とが 多 い と考 え られ る。 これ は 、 看 護 ケ ア の測 定 用具 の 開 発 過 程 で得 られ た結 果 と同 様 で あ った 。6)その た め,ケ ア の 質 の 評価 の 変 数 とし て,モ ニ タ リン グケ ア を選 択 す る場 合,ど の よ うに 評 価 す るの か が今 後 の課 題 と言 え よ う。 2.分 娩 期 ケ ア の産 婦 のoutcome変 数 と助 産 婦 のprocess変 数 との 関連 助 産 婦 のサ ポー テ ィプ ケ ア と産 婦 の分 娩 期 サ ー ビ ス満 足 度 との 間 に 相 関 関 係 が あ っ た 。 サ ポ ー テ ィ ブ ケ ア は,産 婦 の 情 緒 的 側 面 に働 きか け るケ ア で あ る。 分 娩 とい う危機 的状 況 の 中 で産 婦 を安 心 させ,自 尊 心 を高 め る援 助 は,産 婦 の心 理 的 側 面 だけ で な く身体 的側 面 に わ た っ て作 用 し得 る。 ―113―
この 一 連 の ケ ア過 程 が,産 婦 の 分 娩 サ ー ビス に 対 す る満 足 感 に影 響 を与 え た の で は な いか と思 わ れ る。 ま た,出 産 満 足 度 と外 傷 体 験 との 間 に 関 係 が 見 られ なか っ た の は,と もに産 婦 が受 け た ケ ア以 外 に つ いて も評 価 して い るた め に 生 じた結 果 と考 え られ る。 3.分 娩 期 ケ アの 産 婦 のoutcome変 数 と助 産 婦 のoutcome変 数 との 関 連 産 婦 の3つ のoutcome変 数 と,助 産 婦 のout-come変 数 で あ る仕 事 満 足 度 との相 関 は 認 め られ な か った理 由 と して,前 述 した産 婦 の測 定 用具 の 問題 以外 に,助 産 婦 の 仕 事 満 足 度 も産 婦 へ の 関 わ りの み を測 定 しよ う と した もの で は な く,勤 務 形 態や 勤務 場 所 で の 人 間 関 係,給 与 等 の様 々要 因 を 含 ん で い るた め に,諸 要 因 が 作 用 して関 係 が 見 ら れ な か っ た と考 え られ る。 4.分 娩 期 ケ ア の 産 婦 変 数 と施 設 特 性 との関 連 1)継 続 ケ ア に つ い て:こ の 結 果 の 理 由 と し て,助 産 婦 は どの よ う な状 況 に お い て も,同 様 の ケ ア提 供 を行 って い る こ とが考 え られ る。しか し, 妊 娠 ・分 娩 とい う危機 的状 況 に お い て,妊 娠 期 か ら連 続 して 同 じ人 か らケ ア を提 供 され る こ とは重 要 で あ る と思 わ れ る。 そ こで,今 回 の 調 査 は,分 娩 期 の ケ ア に焦 点 を当 て て行 わ れ た もの で あ る た め,継 続 性 の 中 で の ケ ア の 質 が 十 分 評 価 さ れ な か っ たの では な いか と も考 え られ る。 2)病 棟 形 態(看 護 単 位)に つ い て:今 回の 調 査 で は,分 娩 期 ケ アが 産 科 病 棟 単独 で行 わ れ た施 設 の 方 が,混 合 病 棟 の 施 設 と比較 して,産 婦 が 受 け た 医 療 介 入 の 量 は少 な く,産 婦 の受 け た サ ポー テ ィプ ケ ア お よ び 日常 生 活 援 助 の 評 価 は 高 か っ た。 さ らに,分 娩 期 サ ー ビ ス満 足度 お よび 出 産 満 足 度 も高 か った 。 この こ とは,分 娩 期 ケ ア の 質 に は病 棟 形 態 が 非 常 に 影 響 し,質 的 に は産 科 病 棟 が 高 い とい え るだ ろ う。 その 理 由 と して産 科 病 棟 は 混合 病 棟 に 比べ て,ケ ア の 質 が 異 な る対 象へ の 援 助 にか か わ る 必要 が な いた め 、 産 婦 へ の ケ ア が ス ムー ズ に,適 切 に行 わ れ や す い と推 察 さ れ る。 し か しな が ら,こ れ ら を裏 付 け る に は今 後,病 棟 形 態 の違 い に よ っ て分 娩期 ケ ア の質 に 明 らか な 差 が 出 た こ との 意 味 を追 求 し て い く必 要 が あ る と考 え る。 V.結 論 1.産 婦 のprocess変 数 と助 産 婦 のprocess変 数 と関 連 に つ い て:産 婦 が 認知 したサ ポ ー テ ィ ブ ケ ア,日 常 生 活援 助 と助 産 婦 が 認 知 した サ ポー テ ィ ブ ケ ア との 間 に 各 々 相 関 関 係 が あ っ た 。 し か し,モ ニ タ リン グケ ア との 間 に 関 連 は 認 め ら れ な か っ た。 2.産 婦 のoutcome変 数 と助 産 婦 のprocess変 数 と関連 に つ い て:分 娩期 サ ー ビス 満 足 度 と助 産 婦 の サ ポ ー テ ィブ ケ ア との 間 に相 関 関 係 が 認 め ら れ た。 3.病 棟 形 態 と産 婦 変 数 で あ る医 療 介 入,サ ポー テ ィブ ケ ア,日 常 生 活 援 助,分 娩 期 サ ー ビス 満 足 度,出 産 満 足 度 との 間 に 関 連 が あ った 。 引 用 文 献 1) Holzemer, William L.: 米 国 に お け る 看 護 の 評 価 研 究 の 動 向1.; 評 価 研 究 の 定 義 と モ デ ル の 概 念 化, 看 護 研 究, 22(1) 14-9, 1989. 2)森 明 子 他, Quality Assessment of intrapar-tum Care: Focused on Assessment by
Midwives, 日本 看 護 科 学 学 会 第2回 国 際 看 護
学 術 集 会 収 録 集, p.98-99, 1995.
3)鈴 木 節 子 他, 分 娩 期 ケ ア の 質 の 評 価 ― 産 婦 自 身 の 評 価 に 焦 点 を あ て て ― 第15回 日本 看 護 科 学 学 会 講 演 集, 1995.
4)Diane, LK., Nursing Support in Labor, JOGNN, 16(3), 126-130, 1987.
5)Stamps, P.L, Piedmonte, E,. B., Nurse and Work Satisfaction -An Index for Measure-ment-Health Administration Press Per-spectives, 1986.
6)看 護QA研 究 会,看 護 ケ ア の 質 の 測 定 用 具 の
開 発 (4)― 看 護 ケ ア の 質 を構 成 す る 因 子 の 検 討 ―, 看 護 管 理, 3 (7), 499, 1993.
18.助
産 婦 の 仕 事 の 満 足 と承 認
長 野県看護 大学 ○ 野 口 眞 弓 1.は じめ に 助 産 婦 の仕 事 の 満 足 に は,ど の よ う な こ とが 関 連 す るの だ ろ うか 。 助 産 婦 が仕 事 の価 値 を 自分 自 身 で見 い だ す こ とが で き,ま た他 者 も助 産 婦 の 仕 事 に価 値 が あ る と認 め る こ と を 「承 認 」と考 え た。 自他 ともに 承 認 を得 る こ とは,仕 事 の 満 足 に 関 係が あ るの だ ろ うか 。 また,業 務 の 量 と質 に 対 す る評 価 は 関 係 す る の だ ろ うか。 研 究 の 目的 は,助 産婦 の 「仕 事 の 満 足」 と 「承 認 」 お よび 「業 務 の 量 と質 」 の 関 係 を 明 らか に す る こ とで あ る。 II.方 法 こ こ で は,対 象 お よび 測 定 用 具 につ い て述 べ る。 1.対 象 病 院 で勤 務 す る35歳 以下 の助 産 婦460名(有 効 回 答率62.8%)を 対 象 に 調査 研 究 を行 っ た。 研 究 に 協 力 の得 られ た病 院 は,大 都 市 と その 近 郊の15の 大 学 病 院,21の 総 合 病 院,5の 産 科 の 専 門病 院 で あ っ た。 2.測 定 用 具 測 定 用 具 と して,① 仕 事 の満 足 度,② 承 認,③ 自己尊 重,④ 業 務 の量 と質,⑤ デ モ グ ラ フ ィ ッ ク スの5種 類 を使 用 した。 1)仕 事 の 満 足 度 仕 事 の 満 足 度 の 測 定 に は,志 自岐 が 翻 訳 し た McCloskey/Mueller Satisfaction Scaleを 使 用 した 。 これ は,病 院 の ス タ ッフ ナ ー ス の 満 足 を査 定 す る 目的 で 作 られ,① 物 理 的 な 報 酬,② ス ケ ジュ ー ル,③ 家 庭 と仕 事 の バ ラ ン ス,④ 同僚,⑤ 相互 作 用,⑥ 専 門 的 な機 会,⑦ 賞賛 と是 認,⑧ コ ン トロー ル と責 任 とい う8種 類 の満 足 か ら出 来 て い る。 31項 目の5ポ イ ン トの リッ カー ト尺 度 で,得 点 の範 囲 は31∼155点 で あ り,得点 が 高 い ほ ど仕 事 の 満 足 が 高 い こ とに な る。 尺 度全 体 の α信 頼 性 係 数 は0.90で あ っ た。 2)承 認 承 認 の測 定 に は,研 究 者 が 作 成 した53項 目の4 ポ イ ン トの リッ カー ト尺 度 を使 用 した。 承 認 の サ ブ カ テ ゴ リー に は,① 自 己承 認,② 患 者 か らの 承 認,③ 患者 の 家 族 か らの 承 認,④ 同僚 か らの承 認 ⑤ 上 司 か らの承 認,⑥ 医 師 か らの 承 認 が あ る。 得 点 の範 囲 は53∼212点 で あ り,得 点 が 高 い ほ ど承 認 を受 け て い るこ とに な る。 尺 度全 体 の α信 頼 性 係 数 は0.92で あ っ た。 3)自 己尊 重 自己尊 重 の測 定 に は,菅 が 翻 訳 したRosenberg, M.のSelf-Esteem尺 度 を使 用 し た。 これ は,10 項 目の4ポ イ ン トの リッ カー ト尺 度 で,得 点の 範 囲 は10∼40点 で あ り,得 点 が 高 い ほ ど 自 己尊 重 が 高 い こ とに な る。 α信 頼 係 数 は0.85で あ っ た。 4)業 務 の 量 と質 業 務 の 量 と質 の測 定 に は,研 究 者 が 作 成 した尺 度 を使 用 した。 業 務 の量 は,6項 目の5ポ イ ン ト の リッ カー ト尺 度 で,得 点 の範 囲 は6∼30点 で あ り,得 点 が 低 い ほ ど業 務 の量 が 多 い と感 じて い る こ と とな る。 α信 頼 係 数 は0.64で あ った 。 業 務 の 質 は,6項 目の4ポ イ ン トの リッ カー ト 尺 度 で あ り,得 点 の 範 囲 は6∼24点 で あ り,得 点 が 高 いほ ど業 務 の 質 の 改 善 の必 要 性 を感 じて い る こ と とな る。 α信 頼 性 係 数 は0.67で あ った 。 5)デ モ グ ラ フ ィ ッ クス 対 象 の 特 性 を把 握 す る ため,年 齢,性 別,臨 床 経 験 年 数,職 位,看 護 サ ー ビ ス の種 類 な どに つ い て の 質 問 紙 を作 成 した。 III.結 果 お よび 考 察 こ こで は,① 対 象 の 特 徴,② 承 認 の 因 子 分 析, ③ 仕事 の 満 足,承 認,業 務 の 量 と質 の 関係,④ 助 産 婦 の 仕 事 の 満 足 に 特 に関 係 した他 の 要 因 につ い て 述 べ る。 1.対 象 の 特 徴 ―115―対 象 者 の 平 均 年 齢 は,26.45歳(SD=3.07)で, 25歳 以 下 が 半 数 を 占め て い た。 助 産 婦 と して の 平 均 臨 床 経 験 は,3年5ヵ 月 (SD=2年11ヵ 月)で あ り,3年 未 満 が 半 数 以 上 を 占め,10年 以 上 の 臨 床 経 験 者 は わ ず か 数%で あ っ た。 職 位 は,90%以 上 が ス タ ッ フ で あ っ た。 2.承 認 の 因子 分 析 承 認 の 構 成 概 念 妥 当性 をみ る ため に 因子 分 析 を 行 っ た。 因子 分 析 の結 果 は,表1に あ る よ うに, 5因 子 を抽 出 し,累 積 寄 与 率32.42%で あ った 。 表1承 認の因子分析 承 認 の 第1因 子 は 「看 護 能 力 に対 す る評 価 」,第 2因 子 は 「個 人 と しての 評 価 」,第3因 子 は 「仕 事 に 対 す る 自信 」,第4因 子 は「看 護 と い う仕 事 の魅 力 」,第5因 子 は 「医 師 か らの 承 認 」 とな っ た。 因 子 分 析 の 結 果 と承 認 の サ ブ カ テ ゴ リー とを比 較 す る と,第5因 子 の 「医 師 か らの承 認 」 以 外 は2種 類 以 上 の サ ブ カ テ ゴ リー か ら成 り立 って い た。 承 認 の 構 成 概 念 を検 討 す る必要 は あ るが,こ の こ と は 承 認 をす る対 象 よ り,承 認 を受 け る内 容 が 重 要 であ る こ とを示 して い る。 特 に,第1因 子 の 「看 護 能 力 に 対 す る評 価 」 の寄 与率 が 高 く,承 認 に は 看 護 能 力 の 評 価 が 重 要 で あ る と考 え られ る。また, 第2因 子 に 「個 人 と して の評 価 」 が あ る よ うに, 助 産 婦 集 団 の 承 認 だ け で は な く,助 産 個 人 して の 評 価 も承 認 に は 必 要 と 言 え るの で は な い だ ろ う か 。 3.仕 事 の 満 足 度,承 認,業 務 の 量 と質 の関 係 1)仕 事 の 満 足 度 と承 認 仕 事 の 満 足 度 の 合 計 得 点 と承 認 の合 計 得 点 に は有 意 な正 の 相 関 関 係 が あ っ た 。 これ は,助 産 婦 の仕 事 の 満 足 度 が 高 い ほ ど,助 産 婦 が 仕 事 の 価 値 を 自 分 自身 で 見 出す こ とが で き,ま た他 者 も助 産 婦 の 仕 事 に 価 値 が あ る と認 め て い る と思 っ て い る と言 え る。 こ の 結 果 は,Rowland,H.S.ら1),Blegen,M. A.2)の研 究 結 果 と 同様 な もの で あ り,承 認 は仕 事 の満 足 を得 る ため に 必 要 な もの で あ る と言 え る。 助 産 婦 が,仕 事 の価 値 を 自分 自身 で 見 い だ す こ と が で き,ま た他 者 も仕 事 に 価 値 が あ る認 め る仕 事 の 仕 方 は ど うの よ うな もの か,さ ら な る追 求 が 必 要 で あ る。 ま た,承 認 の 合 計 得 点 と 自 己尊 重 に は,有 意 な 正 の 相 関 関係 が あ っ た。 これ は,助 産 婦 が 仕 事 の 価 値 を 自分 自身 で 見 出す こ とが で き,ま た他 者 も 助 産 婦 の 仕 事 に 価 値 が あ る と認 め て い る と思 っ て い る ほ ど,自 己 尊 重 が 高 い と言 え る。 以 上 の こ とか ら,助 産 婦 が働 く場 に承 認 とい う 概 念 が 存 在 し,さ らに 承 認 は仕 事 の満 足 お よ び 自 己尊 重 と相 関 関係 が あ る こ とが 明 らか と な っ た。 2)仕 事 の 満 足 度 と業 務 の 量 と質 業 務 の 量 を 多 い と感 じて い る群 と業 務 の 質 の 合 計得点 に は,有 意 な 負 の 相 関 関係 が あ った 。 しか し,業 務 の 量 が少 な い と感 じて い る群 と業務 の 質 の合 計得 点 に は,相 関 関 係 が 認 め られ な か っ た。 この こ とは,業 務 の 量 を 多 い と感 じて い る人 は, 業務 の 質 の 改 善 の 必 要 を感 じて い た。 一 方,業 務 の 量 を少 な い と感 じて い る 人 は,業 務 の質 の 改 善 の 必 要 性 を感 じて い な い とい う結 果 だ った 。 業 務 の 質 の 改善 の 必 要 性 と仕 事 の満 足 度 の 関 係 を示 し た のが 図1で あ る。 業 務 の 質 の 改善 の 必 要 性 が 多 い群 は,中 程 度 の 群,少 な い群 と比 較 して, 図1業 務 の質 の 改善 の 必 要性 と仕 事 の 満足 度
仕 事 の 満 足 度 が 統 計 学 的 に有 意 に低 か っ た。 こ れ は,業 務 の 質 の改 善 の 必要 性 を感 じるほ ど,仕 事 の満 足 度 が 低 下 す る と言 え る。 業 務 の 量 や 質 は,仕 事 そ れ 自体 の 評 価 の 一 側 面 で あ る。 従 っ て,業 務 の量 や 質 に 満 足 で き なけ れ ば,仕 事 の満 足 も低 下 す るの も当 然 と思 われ る。 4.助 産 婦 の 仕 事 の満 足 に特 に 関 係 した他 の 要 因 ここ で は,助 産 婦 の仕 事 の 満 足 に 特 に 影 響 を し た① 分 娩 介 助 の主 導権,② 看 護 サ ー ビ スの 種 類 の 2点 につ い て述 べ る。 1)分 娩 介 助 の主 導権 分 娩 介 助 を,助 産 婦 主 導群,医 師 との 共 同 作 業 群,医 師 主導 群 に わ け,仕 事 の 満 足 度 を比 較 し た のが 図2で あ る。 助 産 婦 主 導群 は,医 師 主 導 群 よ り,コ ン トロー ル と責 任 とい う側 面 での 仕事 の 満 足 度 が統 計 学 的 に有 意 に 高 か っ た。 この こ とは, 助 産婦 主 導 の分 娩 介 助 が仕 事 の 満 足 度 を高 め て い る と言 え る。 図2分 娩 介 助 の主 導権 と仕事 の 満足 度 こ の結 果 は,Tumulty,G.3)の 研 究結 果 と同様 な もの で あ り,助 産 婦 主 導 の分 娩 介 助 は,助 産 婦 と しての 責 任 を持 ち 自律 的 で あ り,高 い仕 事 の 満 足 につ なが る と言 え る。 ま た,分 娩 介 助 の 主 導 権 と承 認 の 関係 を図3に 示 した 。 医 師 主 導 群 は,助 産 婦 主 導 群 や 共 同作 業 群 よ り,医 師 か らの 承 認 が 統 計 学 的 に 有 意 に 低 か った。 この こ とは,医 師 主 導 の分 娩 介 助 で は, 助産 婦 は 医 師 か ら承 認 され て い る とは思 わ な い と い うこ とで あ る。 以 上 の事 か ら,助 産 婦 主 導 の 分 娩 介 助 は,助 産 婦 と して の責 任 は伴 うが,仕 事 の 満 足 度 と承 認 を 図3分 娩 介助 の 主導 権 と医師 か らの 承認 増 加 す る 方 向 性 に 改 善 出 来 る こ と が 示 唆 さ れ た 。 2)看 護 サ ー ビ ス の 種 類 看 護 サ ー ビ ス を,プ ラ イ マ リー ・ナ ー シ ン グ, チ ー ム ・ナ ー シ ン グ,機 能 別 看 護 に 分 類 し,仕 事 の 満 足 度 を 比 較 し た の が 図4で あ る 。 プ ラ イ マ リー ・ナ ー シ ン グ 群 は,チ ー ム ・ナ ー シ ン グ 群 や 機 能 別 看 護 群 と 比 較 し て,専 門 的 な 機 会 と い う 側 面 で の 仕 事 の 満 足 が 統 計 学 的 に 有 意 に 高 か っ た 。 こ の こ とは,プ ラ イ マ リー ・ナ ー シ ン グ群 は 仕 事 の 満 足 が 高 い と い うCarlsen,R.H.ら4)の 研 究 結 果 と同 様 の も の で あ っ た 。 図4看 護 サ ー ビス の種類 と仕事 の満 足度 また,看 護 サ ー ビス の種 類 と承 認 の 関 係 を図5 に示 した。 プ ラ イマ リー ・ナ ー シ ン グ群 は,チ ー ム ・ナ ー シ ン グ群 や機 能別 看 護 群 に比 べ,患 者 か らの承 認 が統 計 学 的 に 有 意 に 高 か っ た。 こ の こ と は,プ ラ イマ リー ・ナ ー シ ン グ群 は,患 者 か らの 承 認 を受 けや す い とい う こ とで あ る。 以上 の事 か ら,助 産 婦 が妊 産 褥 婦 を個 別 に,そ して 継 続 的 に ケ ア す る事 で,仕 事 の 満 足度 と承 認 を増 加 で き る こ とが示 唆 され た。 ―117―
図5看 護サ ー ビスの 種類 と承認 IV.研 究 の 限 界 と今後 の 方 向 性 ① 承 認 の 測 定 用 具 は,因 子 分 析 で の 寄 与 率 が 低 く 構 成概 念 妥 当性 に 問題 が 残 っ た。 今 後 は,承 認 の 構 成概 念 を再 検 討 し,測 定 用 具 の精 度 をあ げ る必 要 性 が あ る。 ② 大都 市 とそ の 近 郊 の 大 学 病 院,総 合 病 院,専 門 病 院 に働 く35歳 以 下 の 助 産 婦 を対 象 と した偶 発 的 標 本 抽 出 法 で あ り,病 院 で働 く35歳 以 下 の助 産 婦 の母 集 団 の 特性 を代 表 して い る とは言 え な い。 V.結 論 ① 仕 事 の満 足度 と承 認 に は 有 意 な正 の 相 関 関 係 が 認 め られ た。 また,承 認 と 自 己尊 重 に も有 意 な正 の 相 関 関 係 が認 め られ た 。 ② 業 務 の 質 の改 善 の 必要 性 が 高 い群 は,中 程 度 の 群,少 な い群 と比 較 して,仕 事 の 満 足 度 が 有 意 に 低 か っ た。 ③ 仕 事 の 満 足 と承 認 が 高 か っ た の は,助 産 婦 主 導 の 分 娩 介 助 群 とプ ラ イ マ リー ・ナ ー シ ン グ 群 で あ った 。 文 献
1) Rowland, H. S. & Rowland, B.
L.,Perfor-mance Appraisal: Nursing Administration
Manual, 18; 1-18; 10, An Aspen Publication,
1993.
2) Blegen, M. A.: Nurses' Job Satisfaction; A
Meta-Analysis of Related Variables, Nursing
Research, 42 (1), 36-41, 1993.
3) Tumulty, G: Head Nurse Role Redesign;
Improving Satisfaction and Performance ,
Journal of Nursing Administration, 22(2),41 -48, 1992.
4) Carlsen, R. H. & Malley, J. D.: Job Satisfac-tion of Staff Registered Nurses in Primary and Team Nursing Delivery Systems, Research in Nursing & Health, 4, 251-260, 1981.
19.ド
レ フ ァ ス モ デ ル に よ る 中 堅 助 産 婦 の
臨 床 能 力 の 自己 評 価
神奈川 県衛生看護 専門学校 付属病院 ○ 熊 澤 美 奈 好 東京 医科歯科 大学医学部保 健衛生学科 松 岡 恵 日本赤十字看護 大学 平 澤 美 恵 子 国立仙 台病 院付属 看護 助産学校 佐 々 木 和 子 三楽病院 木 村 千 里 1.は じめ に 一 般 的 に キ ャ リア育 成 に は,一 定 の場 に お いて 継続 的 に 体 験 を積 む こ と,そ して そ の場 その 場 に お け る 自 己の 能 力 を査 定 しな が ら学 習 を重 ね る こ とが必 要 で あ る。 しか し臨床 の場 で働 く看 護 婦 に とって は,個 々 の 能 力 を適 切 か つ 客 観 的 に 評 価 す る指 標 は得難 く,中 堅 に至 る看 護 婦 は,し ば しば 自分 の方 向性 を見 失 い,離 職 や 方 向 転 換 を余 儀 な くされ て い る1)。我 々 の 調 査 で も2),経 験 満5年 目 の助 産 婦 の半 数 以 上 が,バ ー ンア ウ トお よ び その 兆候 を示 し,バ ー ンア ウ ト者 は,日 常 の 業 務 に ス トレス を感 じ,職 業 上 の 成 長 を望 む 気 持 ちが 阻 害 され るこ とにつ な が る,と い うこ とが認 め られ た。 そ こで,今 回 は施 設 勤務 の 中堅 助 産 婦 に つ い て, ドレフ ァ ス モ デ ル に よ り自 己の 能 力 を評 価 し,職 場 に お け る役 割 や,自 己開 発 活 動 との 関 連 を 明 ら か に す る こ と を 目的 と して 調査 を行 な っ た。 II.方 法 対 象 は助 産 婦 教 育 実 習 病 院205施 設 の,助 産 婦 と して 臨床 経 験5年 以上10年 未 満 の 助 産 婦(以 下 中 堅助 産 婦 とす る)で あ る。 方 法 は,郵 送,留 め 置 きに よる 自記 式質 問 紙 法 で あ る。 質 問 内容 は,経 験年 数,現 在 の職 位,自 己の 能 力 開 発,職 場 に お け る役 割 の 自覚,臨 床 能 力 の 自 己評 価 で あ る。 中 堅助 産 婦 の 臨床 能 力修 得 段 階 は,表1に 示 す 通 り, ベ ナー の モ デ ル を も とに神 戸 市 立 中市 民 病 院 で 開 発 した,看 護 婦 の修 得 段 階 モデ ル の 判 断 領 域 を参 考 に して,助 産 婦 用 に 著 者 らが 作 成 した もの で あ る。 質 問 紙 は各 施 設5部 を看 護 部 長 に郵 送 し,担 当婦 長 を経 由 し て 中 堅 助 産 婦 に 配 布 して も らっ た。 分 析 は,施 設,対 象 の 背景,臨 床 能 力 の 評 価 段 階,臨 床 能 力 の評 価 と職 場 の役 割,自 己開 発 活 動 との関 連 を分 散 分 析,相 関係 数 を求 め て 検 討 し た。 III.結 果 調 査 は 平 成6年9月 に 実 施 し,回 収 施 設 数 173(84.3%),中 堅 助 産 婦 デ ー タ総 数 は494で あ っ た。 1.対 象 背 景 施 設 の 設 置 主 体 は,国 が 最 も 多 く48施 設(31. 2%),つ い で 自治 体45施 設(29.2%),日 赤27施 設 (17.7%)で あ っ た。 中堅 助 産 婦 の平 均 年 齢 は30.2歳,助 産 婦 と して の臨 床 経 験 は平 均6.9年,主 任 ・係 長 は19人(4.8%) で あ っ た。 学 生 実 習指 導者 は58人(11.7%),自 己 の能 力 開発 活 動 と して は病 棟 に お け る研 究 参 画 が 301人(76.0%)で あ り,定 期 的 な 自 己啓 発 活 動19 人(4.8%),自 主 研 究 グル ー プ 育 成 は11人(2.8%) で あ っ た。 2.臨 床 能 力修 得 段 階分 布 状 況 臨床 能 力 の評 価 項 目別 段 階 の分 布 状 況 は,状 況 把 握 の し方,優 先 順 位,全 人 的 な 見 方 の 領 域 で, 第3段 階 を ピー ク とす る単 峰 性 の 分 布 を示 した。 3.臨 床 能 力修 得 段 階 の分 布 表2に 示 す 通 り優 先順 位 の 判 断 につ い て は,段 階3の 「重 要 な も の を 判 断 す る 自分 の 基 準 が あ る」,お よ び段 階4の 「そ の 場 その 場 で何 を優 先 す るか 判 断 で き る」 と答 え て い る もの が 全 体 の 約 ―119―表1助 産婦の臨床能力修得段階 表2助 産婦の臨床能力修得段階の分布 80%を しめ て お り,全 人 的 な 見 方 が で き るか の 問 い に 対 して も,段 階3の 「人 格 を全 体 と して 受 け とめ る」お よ び,「 ど ん な状 況 下 で も個 別 性 を尊 重 す る」 第4段 階 で約75%を しめ て い た 。 ま た こ の 中 で,第2段 階 「対 象 や 家 族 に 注 目 して 近 付 こ う とす る」 と答 え た 人 も20%見 られ た 。 次 に状 況把 握 の仕 方 に つ い て は,「 全 体 と して把 握 す る」お よ び 「全 体 を瞬 時 に 把 握 す る 」 第3,第4の 段 階 で 70%を しめ,「 多面 的 に 把 握 す る 」とい う第2段 階 も21.1%あ っ た 。 判 断 の仕 方 に つ い て は 「分 析 的 思 考,経 験 的 指 針 に よ り方 向付 け す る」 とす る第 2段 階 が56.7%と 最 も 多 く、 つ い で 「主 観 的 ・一 方 的 な理 解 に な る こ とが あ る」 の 第1段 階 が19. 5%あ っ た 。 次 に実 践 場 で の 態 度 で は 第4段 階 「多 忙 時 もあ わ て ず,せ か せ ず,笑 顔 を絶 や さ な い」 が26.2%に 対 して,第 一 段 階 の 「多 忙 に な る と表
情 が 固 くな りあ わ て る」,と答 え て い る人 が33.1% あっ た。 次 に 予 測 性 に つ い て は 第2段 階 「予 測 し て い な い事 に も対 応 す る」 が 約47%で 最 も多 く, つ い で 第4段 階 「起 こ りう る問 題 領 域 に絞 っ て 注 意 を集 中す る」と答 えて い る もの が35.9%あ っ た。 4.修 得 段 階 と職 場 の役 割,自 己開 発 活 動,学 生 実 習 指 導 との関 連 表3に 示 す 通 り,優 先 順 位 の 判 断 で修 得 段 階 が 高 い と答 え た 人 は教 育 機 関 で の 講義,専 門職 団 体 で の活 動,研 究 の 企 画 参 画,学 会 参 加 等 の 役 割 や 活動 を行 な って い る人 との 関連 が 認 め られ,全 人 的 な見 方 で 高 い評 価 を得 て い る人 は,ス タ ッ フの 臨床 指 導,専 門職 団 体 での 活 動 を行 な っ て い る人 に関 連性 が 認 め られ た。 次 に状 況 把 握 の仕 方 が 高 い段 階 と評 価 して い る人 は,ス タ ッ フの 臨 床 指 導 , 教 育機 関 の 講 義 を担 当 して い る 人 と関 連 性 が 認 め られ た。 また表4に 示 す 通 り優 先 順 位 の 判 断 につ いて は,学 生 の実 習指 導 との 関 連 が 認 め ちれ,今 回の調 査 で は,学 生 指 導 に 関 わ って い る人 が優 先 順位 の判 断 の 修 得 段 階 が最 も高 く,全 く関 わ って い な い人 が 最 も低 い とい い う結 果 で あ った。 IV.考 察 1.中 堅助 産 婦 の 臨 床 能 力 修 得 段 階 の現 状 卒 後 経 験 を重 ね る事 に よ り臨 床 能 力 の 発 展 が ず あ る3)とい わ れ て い る 中で,今 回 の 調査 で は,臨 床 能 力修 得 の 高 い段 階 を示 した もの は,「優 先 順 位 の 判 断」,「全 人的 な見 方」 で あ り,こ れ は 神 戸 市 立 市 民病 院 看 護 部 調 査3)卒後6年 以 上 の 結 果 と類 似 す る内 容 で あ っ た。 中堅助 産 婦 に な る と助 産 婦 と して の 経験 と と も に 人 間 と して の 生 活 体 験 を通 して,対 象 を一 人 の 表3臨 床能 力修 得段 階 と職 場 で の役 割,自 己開 発活 動 との関 連 人格 と して そ の個 性 を受 け とめ,ま た そ の 場 で何 を優 先 す る か の,自 分 の 判 断 基 準 が持 て る よ うに な っ て い る もの と思 わ れ る。 しか し判 断 の仕 方 に お いて は,76%が1お よ び2段 階 で あ っ た。 こ の こ とは 上 泉4)が,臨 床 は 理 論 に 対 す る崇 拝 が あ り, 実 践 へ の 自信 が 感 じられ な い こ と,ま た看 護 過 程, 看 護 計 画 とい う枠 の 中 に 対 象 を 入 れ こ む こ と, 「∼せ ね ば な らな い 」 と い うべ き論 が 強 い と こ ろ で あ る と述 べ て い る よ うに,中 堅 助 産 婦 は 臨床 現 場 で理 論 的 とい う価 値 基準 の も とに,予 測 的,分 析 的 思 考 を もっ て判 断す るこ とが,よ り望 ま しい こ とで あ る と認 識 させ ら れ て い るの で は な い か と 思 わ れ る。 現 在 の 臨 床 の 中 に は未 だ 原 則や ル ー ル を重視 し,自 己裁 量 を軽 視 しが ち な状 況 も決 して 少 な くな い もの で あ り,職 場 環 境 が そ うな ら しめ た結 果 の現 わ れ か と も考 え られ る。 特 に助 産 婦 学 校 の実 習施 設 とな っ て い る当 調査 の 対 象 施 設 は, 実 習 指 導 に対 す る手 順 の統 一 とい う必 然 性 とあ い ま っ て更 に こ の よ うな結 果 が顕 著 に 現 わ れ た もの か と思 わ れ る。 2.臨 床 能 力修 得 段 階 と職 場 の 役 割,自 己開 発 活 動 の 関 連 今 回 の 調査 結 果 で は,優 先 順 位 の 判 断,全 人 的 な 見 方,お よび状 況把 握 の仕 方,に 高 い評 価 段 階 を得 た 人 は職 場 に お け る教 育や 研 究 活 動,お よ び 専 門職 団 体 で の活 動 を行 な っ て い る こ と との 関 連 が 明 らか に な っ た。 梶 山 ら3)は看 護 婦 の 資 質 に 関 す る調 査 の 中 で,看 護 婦 の エ キ スパ ー トを育 成 す るた め に は 単 に 経 験 だ け で な く,経 験 を どの よ う に 積 む か とい う経 験 の 質 が 大 切 で あ る と述 べ て お り,ま た鈴 木 ら5)は看 護 研 究や 臨 実 習 指 導,院 外教 育受 講 経験 が 看 護 実 践 す る こ とに 充 実 感 を感 じ る 表4学 生 実 習指 導 へ の関 わ り方 と 優先 順 位修 得 段 階 との 関連 ―121―
と報 告 して い る。 教 育 や 研 究 活動 お よ び専 門職 団 体 で の 活 動 は,い れ も複 雑 な 調整 や 判 断 が 必 要 と され もの で あ り,そ の ため 優 先 順 位 の 判 断 や,状 況 把 握 の し方 が 洗 練 され た もか と思 わ れ る。 さ ら に これ らの 活 動 は,相 手 を尊 重 し,思 い や る心 が 培 わ れ,全 人 的 な見 方 に 高 い評 価 を得 た もの と考 え る。 V.ま とめ 施 設 勤務 の 中 堅助 産 婦 は,優 先 順 位 の判 断,対 象 の全 人 的 な 見 方 は 高 い 評 価 を得 て い る と感 じて い るが,状 況判 断や 実 践 場 での 態 度 で は,達 成 の 段 階 が低 く,分 析 的 思考 や 経 験 的 指 針 を 尚 必要 と し,多 忙 に な る と表 情 が 固 くな りあ わ て る と評 価 して い る人 が 多 い。 これ らは 現 在 の 臨 床 で は,多 くの業 務 が マ ニ ュ ア ル化 し,判 断 す べ き事 項 も統 一 化 さ れ て い る中 で,自 己の 裁 量 に よ る判 断や, 全 体 を瞬 時 に把 握 す る とい う能 力 が,養 われ 難 い こ とに よ る もの か と推 察 され る。 ま た,多 くの 人 間 関 係 を必 要 とす る役 割 を担 う こ とは,優 先 順 位 の 判 断 や,全 人 的 な 見 方 に つ い て の 達 成 度 を高 く す る こ とにつ な が る とい う こ と も示 唆 され た。 参 考 文 献 1)上 泉 和 子 他:臨 床 能 力 の 評 価 方 法Part 2 ナ ー シ ン グ ト ゥ デ イ,9(4),47-56,1994. 2)松 岡 恵 他:卒 後 満5年 ま で の 助 産 婦 が 受 け る ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト と バ ー ン ア ウ ト症 状 の 関 連,日 本 助 産 学 会 誌,8(1),23-31,1994. 3)梶 山 紀 子 他:看 護 婦 の 資 質 に 関 す る 調 査 臨 床 能 力 の 発 展 過 程,看 護 管 理,3(7)480-486, 1993. 4)上 泉 和 子 他:看 護 婦 の キ ャ リア 発 達 と 看 護 ケ ア の 質 に つ い て,イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ナ ー シ ン グ レ ビ ュ ー 臨 時 増 刊,72-77,1995. 5)鈴 木 和 美 他:中 堅 ナ ー ス に 求 め ら れ る も の は 何 か ― 現 状 調 査 か ら ― 神 奈 川 県 立 看 護 教 育 大 学 校 研 究 論 集,228-234,1984.
20.開
業 助 産 婦 の 開 業 形 態 か らみ た活 動 の 特 性
日本 赤 十 字 社 医療 セ ン ター○村上
睦子
厚 生 省 看 護 研 修 研 究 セ ン ター高橋
弘子
広 島県立保健福祉 短期 大学兵頭
慶子
赤沢助産所 赤 沢 も とめ I.は じ め に 従 来 か ら地 域 に 密 着 し た形 態 で活 動 して きた 開 業 助産 婦 は 高齢 化 に よ る減 少 が 著 し く,地 域 母 子 保健 に お け る活動 を どの よ うに 受 け 継 い で ゆ くか は重要 な課 題 で あ る。 今 回,全 国 の 開 業助 産 婦 が 母 子 や 家 族,女 性, 地 域 の ニー ズ を どの よ うに 把 握 し,ど の よ うな活 動 を して い るの か 明確 に す る ため に調 査 を した の で報告 す る。 尚,本 研 究 は 木 村 看 護教 育 振 興 財 団の 援 助 に よ り行 な っ た。 II.研 究 方 法 1.対 象:住 所 が確 定 した 開 業 助 産 婦2991名 。 2.方 法:(1)名 簿 作 成:日 本 助 産 婦 会 ・日本 母 性 衛生 学 会 ・桶 谷 式 乳 房 管理 研 鑽 会 の 会 員 名 簿 ・助 産婦 雑 誌 等 の 記 事 か らの 氏 名住 所 を収 集 し県 別 名 簿 を作 成,(2)調 査 内容:活 動 内容 と活 動 方 法 につ いて研 究 者 の 協 議 お よ び,既 に 兵 頭 らの 栃 木 県 内 で実 施 した 調 査 項 目に よ り構 成 し た問 を含 む242 項 目を作 成 。(3)調査 方 法:郵 送 に よ る質 問紙 調 査 。 (4)調 査 期 間:平 成6年11月 ∼12月。(5)集 計 方 法:統 計 パ ッ ケー ジLotus1-2-3を 用 い て 集 計 した。 III.結 果 回 収 数934(回 収 率31.2%)有 効 回 答 数780(有 効 回 答 率83.5%)で あ っ た 。 1.対 象 者 の 背 景 と開 業 形 態:年 齢 構 成 は23歳 か ら91歳 で,平 均65.8歳 で あ っ た 。 通 算 開 業 年 数 は,表1の よ うに41∼50年 が,256 名(32.8%),つ い で1∼10年 が,140名(17.9%) で あ っ た 。 2.開 業 形 態:届 出 して い る形 態 は,表2の よ う に最 も 多 いの が 出 張 の み で55.9%,無 床 助 産 所 開 設 者,有 床 助 産 所 開 設 者 と続 い て い た。 表1 通 算 開業 年数 n=780 表2 開 業 の形 態n=780 2.地 域 の ニー ズ を捉 え るた め の 情 報:地 域 を捉 え る方 法 と して,表3に 示 す よ うに 市 町 村 の 広 報 を用 い て い る が 多 く,か つ職 能 団体 や 地 域 学 会 等 の 情 報 も活 用 して い る。 表3 健康 問 題 を捉 える ため の情 報 n=521(上 位2項目) 地 域 の 特 性 を ど の よ うに捉 え 援 助 して い る か を 自由 記 述 か らみ る と,個 人 ・家 族 ・社 会 環 境 ・気 候 風 土 に 分 類 で き た。 こ こ で は 家 族 の 規 模 毎,あ るい は 女 性 の 発 達 上 の健 康 問題 が あ げ られ,医 療 機 関 との 関 係 や 人 間関 係 の調 整,母 乳 育 児へ の支 ―123―援 等 が あ げ られ た。 3.開 業 形 態 別 の 活動 特 性:助 産 婦 の活 動 を① 分 娩 介 助(家 庭 分 娩 ・自施 設 ・他 施 設)② 健 康 診査 (妊産褥 婦 ・新 生 児)③ 保 健 指 導(妊 産 褥 婦 ・更 年期 ・思春 期 等)④ 乳 房 ケ ア⑤ 委 託 事 業 ⑥ 産 褥 入 院⑦ 新 生 児 ケ ア⑧ 家 族 計 画 につ い て た ず ね た。 そ の結 果 を開業 形 態別 に 表4に 示 す 。 有 床 で は 分 娩 介 助 の2割 強,健 康 診査 の2割 。 無 床 で は,乳 房 ケ ア の2割 強,つ い で保 健 指 導 が 多 い.出 張 で は 委 託 事 業 の3割 強,つ い で保 健 指 導 が2割 強 と な って い る。 表4 開業 形 態別 の活 動 内 容 n=2111(複 数 回答) 対 象 者 の 居 住 地 域 か ら み た 活 動 範 囲 は,表5に 示 す よ う に 同 じ群 ・区 ・市 町 村 が7割,異 な る 県 が2割 弱 で あ っ た 。 最 も遠 く か ら 来 所 し た 居 住 地 か ら の 距 離 は,300kmか ら1500kmの 範 囲 で あ っ た 。 来 所 理 由 で は 表6に 示 す よ う に,有 床 で は 自 然 分 娩 が し た い42。7%,次 い で 母 子 同 室 ・家 庭 的 な 雰 囲 気,食 事 が 美 味 し い 等 の 環 境 を 理 由 に18。8%, 骨 盤 位 を 治 し て ほ し い,ア ト ピ ー で 食 事 指 導 を 受 け た い と助 産 の 技 術 を希 望 が17.4%,里 帰 り分 娩, 母 親 の 出 産 し た 場 所,近 く に 助 産 院 が な い と し た 助 産 婦 へ の 信 頼 が16.7%,無 床 で は 乳 房 ケ ア が61. 9%,次 い で 助 産 の 技 術21.2%,環 境 の11.0%で あ っ た. 4.有 床 助 産 所 の 活 動 の 実 際:有 床 助 産 所 の 活 動 形 態 で は,従 業 員1人 が40所(38.1%),2人 が 21所(20.0%),3人 が14所(13.3%),最 高10人 で あ っ た 。 職 種 で は,助 産 婦 が92所(78.0%),ハ ウ ス キ ー パ ー64所(54.2%),栄 養 士 ・調 理 師 ・看 護 婦 と 続 く。 届 け ベ ッ ト数 は3床 が37所(26.2%) と 多 く,最 高 数 の9床 が14所(9.9%)で あ っ た 。 表5 対 象者 の 居住 地 域 か らみ た活 動範 囲 n=780 表6 開業形態 有床・無床別にみた「遠方より来院した理由」 n=256(複 数 回 答) 嘱 託 医 の専 門 は 殆 ど が産 婦 人 科 医 で あ るが,産 婦 人 科 以 外 の 医 師 が14所 あ っ た 。 活 動 に 役 だ っ て い る 機 械 ・器 具 は,ビ デ オ ・ フ ァ ッ クス ・有 線 な どの 通 信 は,3割 強,診 察 ・ 診 断 に 必 要 なME機 器 は,2割 で あ っ た。 開 業 助 産 婦 の 救 急 対 策 は,救 急 薬 品 の整 備,蘇 生 用 具 が 7割 で あ った 。 緊 急 時 の搬 送 場 所 は,嘱 託 医 以外 が7割 で 公 立 病 院 が 最 も多 か っ た。 搬 送 時 の情 報 伝 達 手 段 は,同 伴 ・口頭 で伝 え る と した もの が 圧 倒 的 に 多 か っ た 。 救 急 事 例 の 記 述 は24件 あ り,有 床 助 産 所21件,無 床 助 産 所(自 宅 分 娩)で あ っ た。 事 例 の 内訳 は,母 体 異 常(出 血 ・子 宮 破 裂 ・子 宮 内 反)が16件,新 生 児 異 常(呼 吸 異 常 ・未 熟 児) 8例 で あ っ た。 救 急対 応 で の 問題 で は,搬 送 シス テ ム と して,施 設 側 の 問 題(ベ ッ トが 満 床 ・NICU の 設備 が な い),人 的 な 問題(専 門医 が い な い ・医 師 が 少 な い ・医 師 が不 在 ・嘱 託 医 に 往 診 して も ら え な い),搬 送 時 の 問題(救 急 車 が こ な い ・ス トレ ッ チ ャー が 入 れ な い ・家 が 不 便 な 場 所 に あ る),出 産 者 側 の 問題(本 人 が 転 院 に 納 得 しな い ・宗 教 に よ る処 置 の拒 否 ・家 族 に連 絡 っ か ず)が あ っ た。 緊 急 時 の搬 送 手段 を,多 い順 に み る と救 急 車 ・ドク ター ズ カー ・自家 用 車 タ ク シー の順 で あ っ た。 緊 急 時 の搬 送 事 例 と して,表7に 示 す よ うな事 例 が あ げ られ た 。 5.有 床 ・無床 別 に み た通 算 開 業 年 数:表8に 示
表7 緊 急搬 送 の1事 例 日曜 日,軽 度の 下 腹痛 と少 量 の 出血 を主訴 と して来 院。 妊 娠 中は妊 娠 中毒 症 もな く経過 して い た診 察 の結 果,胎 児仮 死,胎 盤 早期 剥離 を疑 い嘱 宅 医 に連 絡す る が 不在 の ため,A病 院,B病 院,S産 院,H総 合病 院 に連絡 す る も受 け入 れ て くれ ず なん とか0公 立 病院 へ 搬 送す る。 救 急処 置 が で きずP大 学病 院 に再 度 搬送 し 母体 が救命 で きた。 す助 産 婦 歴 年 数 と通 算 開業 年 数10年 間 の 関 係 でみ る と,免許 取 得 後10年 以 内 に 開 業 した もの は137人 (43.0%)で あ っ た。 年 代 で み る と41∼50年 代 が 5割 を しめ て い る。 有 床 ・無床 別 で は み る と,有 床 で は41歳 代 が5割,無 床 で は30年 代 が5割 で開 業 して い る傾 向 に あ っ た。 6.地 域 母 子 保 健 へ の 認 識:地 域 母 子 保 健 の 問 題 解 決 に必 要 な こ と と して,第1に6割 の 人 が 助 産 婦 仲 間 で話 し合 う場 の 必 要 性 を上 げ た。 今 後 の 助 産 婦 の活 動 領 域 で は,8割 の 人 が 保 健 所 な どの行 政 機 関 で の 活動 が 必 要 で あ る と して い た。 助 産 婦 が 連 携 を と るべ き職 種 と して,保 健 婦 が9割,医 師 が8割,母 子保 健 推 進 員 が6割 で あ っ た。 表8 開業 形態(有 床 ・無床)別 通 算 開業 数 n=260 IV.考 察 回 答 者 の 年 齢 は 平 均66歳 と 高 く,開 業 年 数 41∼50年 が4割 を 占め,病 院 勤 務 助 産 婦 の 平均 年 齢1)33.4歳 を大 幅 に上 回 るベ テ ラ ン で あ る。 開 業 を開 始 した年 齢 は,S50年 の調 査2)では,10∼29歳 が6割 を 占め て い るが,今 回 の 調 査 は,20歳 代 が 5名 と少 なか っ た。 しか し,通 算 開 業 年 数41∼50 年 が4割,次 い で1∼10年 が2割 で あ る こ とは, 開 業 助 産 婦 の 高齢 化 の現 象 は 問 題 が あ るが,20歳 代 で開 業 す る人 もあ り,わ ず か で あ るが 若 い年 齢 層 の助 産 婦 が,開 業 助 産 婦 と して 地 域 に 進 出 して い る こ と も実 と して受 け とめ た い 。 開 業 形 態 で は,出 張 の み が5割 強 と最 多 で あ っ た。最新 の衛 生 統 計3)では,全 助 産 所 就 業 者 の うち 出張 の み は3割 とな っ て い るが,実 働 は,「 出張 の み 」 の形 態 に 多 い こ とが伺 え る。 最 近1年 間 の 活動 か らみ た,助 産 婦 業 務 をみ る と対 象 者 は近 隣 か ら遠 隔地 まで と幅 広 く,対 象 者 そ れ ぞ れ の ニ ー ズ に即 し た 業 務 が 行 な わ れ て い た。 開業 形 態別 の活 動 特 性 は,出 張 で は 委 託 事 業 が最 多 で,無 床 で は,乳 房 ケ ア ・保 健 指 導,有 床 で は,分 娩 介 助 で あ っ た。 個 人別 の最 大 件 数 を み る と,年 間5000件 の保 健 指 導 ・乳房 ケ ア等 大 規 模 な 活動 を して お り,助 産 婦 独 自の 技 術 に よ る貢 献 が 目だ っ て い る。 助 産 所 で は,自 然 で家 庭 的 な 出 産 を した い とす る こ と,助 産 の 技 術 を期 待 して来 所 す る こ とな どか ら も,「 助 産 所 」の 存 在 に新 た に 期 待 が あ る もの とい え る。 この よ うに,助 産 婦 の 業務 は母 子 を中 心 と して あ らゆ る場 面 で展 開 さ れ る もの で あ るが,「 分 娩」を行 な って い るか 否 か は 消 費 者 に とっ て 信 頼 を 左 右 す る 大 き な 要 素 で あ る。一 方,助 産 所 で分 娩 を扱 う上 で の 問 題 と して, 救 急 時 の 対 応 が スム ー ズに で きて い な い現 状 が あ る.助 産所 は 自然分 娩 を主 体 と した小 規 模 な 医 療 施 設 だ か ら 当然 とは い え救 急 に備 え て の装 備 に 意 を用 い て い るの が わ か る。 緊 急 時 の搬 送 先 は7割 が 公 立 病 院 等 の 属 託 医 以 外 で あ り,嘱 託 医 との 関 係 を こ え た対 応 を迫 られ て い る。 緊 急 対 応 で 困 っ た こ とは,事 例 に あ る よ うに,緊 急 時 に ス ムー ズ に 対 応 で き て い な い現 状 で あ る。 受 け 入 れ で きな い と拒 否 され る理 由 に,医 師 の不 在,ベ ッ トが満 床 とい うこ とで の搬 送 シ ス テ ム 上 の 問 題 な どが あ ―125―
る。事 例 の 中 に は,明 らか に 非 協 力 的 で あ る と思 わ れ る こ とも あ り,母 子 の生 命 を救 う こ とに つ い て 医療 者 の 倫 理 観 が 問 わ れ る。 早期 に 診 断 して対 処 す る助 産 婦 の 技 能 も重 要 で あ るが,正 常 例 を扱 う助 産 所 の 使 命 を適 切 に 支 援 す る シ ス テ ム と し て,病 院 と助 産 所 の 契 約 制 を とる こ とで,相 互 の 信 頼 関係 も高 ま るで あ ろ う。 助 産 が よ り安 全 な方 法 で お こ な わ れ こ とは,助 産 所 を求 め て く る人 た ちへ の最 大 限 の配 慮 で あ り,考 え な くて は な らな い義 務 で あ る こ と とい え る。 助 産 婦 と して の職 業 生 命 を守 る上 で も重 要 な こ とで あ る。 以 上 の よ うな なか で 開業 助 産 婦 が指 向 す る今 後 の 地 域 母 子 保 健 は,母 子 の健 康 な 生 活 へ の 支 援 を め ざ し,保 健 婦 ・医 師 ・母 子 保 健 推 進 員 等 と連 携 して,健 康 教 育 ・訪 問 指 導 ・相 談 ・健 康 診査 な ど, さ ま ざ ま な機 会 を捉 え て心 あ た た ま る,多 面 的 な 活動 をす る こ とに あ る。 助 産 婦 は,母 子 の援 助 を 行 な う とい うの だ け で な く,地 域 社 会 全 体 の健 康 を含 む 諸事 の相 談 者 と して 位 置 づ け られ て い る こ とは変 わ るこ とが な い 。WHOが 打 ち 出 した リプ ロ ダ クテ ィプ ヘ ル ス の概 念 で は,生 殖 に 対 す る ニー ズ に対 し希 望 す る と きに希 望 す るだ け の子 ど もを持 つ こ とが で き,安 全 に妊 娠 ・分 娩 ・育 児が で き る よ うに,ヘ ル ス ケ ア プ ロ グ ラム を提 供 で き る とあ る。 ま さ に助 産 婦 に期 待 され る役 割 その も の で あ る。 今 回の 調 査 で も,開 業 助 産 婦 が 担 っ て きた 活 動 が よ り多 くの 人 々へ の社 会 的 支 援 と な っ て い る こ とが 認 識 で き た。 V.ま とめ 1.開 業 形 態 は,出 張 の み が5割 と最 多 で,開 業 通 算 開 業 年 数 で は40年 代 に つ づ き,10年 代 が 多 か っ た。 助 産 婦 歴30歳 代 ま では,無 床 で の 開 業 形 態 が 多 く,40歳 代 以 上 で は有 床 で の 開 業 が お お い。 2.活 動 は有 床 で は妊 娠 か ら分 娩 ・産 褥 へ と一 環 した業 務,無 床 で は委 託 業務 ・乳 房 ケ ア を主 と し た 保健 指 導 業 務 で あ る。 3.来 所 者 の 理 由 と して は,自 然分 娩 乳 房 ケ ア , 産 褥 入 院 な ど助 産 所 な らで は の機 能 が 求 め ら れ て い た。 4.緊 急 時 の 搬 送 先 の7割 が公 立 病 院 等 で,嘱 託 医 以 外 で あ る。 緊 急 対 応 で 困 っ た こ とは,受 け 入 れ に 非 協 力 的 な こ とで あ る。 引 用 ・参 考 文献 1) 1991年 病 院 看 護 基 礎 調 査: 日本 看 護 協 会 調 査 研 究 報 告1993. 2) 地 域 に お け る助 産 婦 の 実 態 調 査: 日本 助 産 婦 会 ・日本 看 護 協 会 S59年. 3) 厚 生 省 健 康 政 策 局 看 護 課 監 修: 平 成6年 看 護 関 係 統 計 資料 集, 6, 日本 看 護 協 会 出 版 会, 1994. 4) 兵 頭 慶 子, 他: 栃 木 県 内 に お け る母 子 及 び家 族 の健 康 生 活 へ の 助 産 婦 の援 助 シ ス テ ム 作 りに 関 す る研 究,平 成3年 度 「山 間 ・離 島 に お け る 住 民福 祉 の 向上 に 関 す る研 究 」 報 告 書,地 域 社 会 振 興 財 団,1991.