教
育学部
で
「
デ
ザ
イ
ン
教 育
」
を
デ
ザ
イ
ン
す
る
Practice
Program
of
“Design
Education
”for
University
of
Education
富 山 祥 瑞
愛 知 教 育 大 学
TOMIYAMA Shouzui
Aichi
University
of Education1.
デザ
イ ンって何
の教 科 だ
ろう
筆 者
は教育
大 学 に着
任(
2003
年 )
し て 以来
、
デザイ ンと は 「社 会
生活
それぞれの場面
で の潜 在
的 な問
題 を掴
み(
課
題の発
見)
、
筋 道 を 立て て課題 を 解 決し て い く 取組み、
さら に は解 決策
をいかに社 会
に還 元 するか1
までを 見 通 した一
連の マネー
ジメ ン ト」 と授業
の中
で伝
え て き ま し た。
簡潔
に は 「問 題解 決
マネー
ジ
メン ト」 と説い て い ま し た が、
秋 草孝
氏 が 金 沢 美 術 工 芸 大 学の教 育 実 践を紹 介し た 『見えるアイデア 』 の中で 「問 題解
決のた めの ク リエ イティブ
提案 力」
(
註一
〇1
)
と的確
に 表 現 している の に、
とても共 鳴 し ま し た。
本 稿では、
このフレー
ズを 随 所に用い て いま す。
上 記 に 示 し た デ ザ イン活 動
一
教育
界では歴 史 的 な背
景 も あ り、
広 く 受 け 入 れ ら れてはいません。
デ ザ イン教 育 と は 元 来、
教 科の枠 に納 ま らない創 発の教 育です が、
学 校 教 育 上では 美 術 表 現の一
領 域に留まっ て い ます。
美 術 教 員を養 成 する教 育.
職
員免 許 法
上の内容
は[
図一
〇1
]
に示 す よ う に様
々な 領 域 が在
り ま す が、
世 間で は 「美 術=
絵 画」 で一
括さ れ が ちで、
デ ザ イ ンの存 在
は美術
教育
の中
でも 更に薄
い のが実 状
で す。
最 近
の小 学校
『図 画工作
』、
中 学校
『美 術
』 の教科 書
に は、
そ れ ぞ れ 「何
を伝
え た い か を しっ か り考
えて、
計 画 的につく ろ う」 や 「居 心地
の い い デザイ ン を考
え る」 な どデザイ ン活 動
の 要素
が 見つか り ま す。 と こ ろが教 育 現 場
で は、
デザ インは イ メー
ジを色や形で ま と め る作業
と し て の構
成・
ポスター
制 作・
シ ンボル マー
クづく り・
レタ リング(
今 風 に はロゴ タ イ プ制
作 ) と 小 さ く留 まっ ていま す。
無
印良 品
のプロ モー
ショ ンをデザ イン して い る原 研 哉 氏 は 「デザイ ン の本 質
は本 来
問題を 発 見 する こ と、
設 問 をつ く る こ と」 と し、
次
のよう に語っ て います。 「新 聞 広 告をつ くって 欲しい 」 と頼まれる よ う な場 合に はすでに 設 問ができて いる わ けで す
。
た とえば
、
「こ の チー
ズ が 売 れ ないのは
消
費 者の認 知 が 低いか らで、
そのた め にはこの チ
ー
ズの品 質の よ さ を新 聞でア ピー
ルす れ ばい い。
で は
、
ど
のよ う な表
現の広 告
をつ くっ た らい い で しょう か」 と メー
カー
の担 当 者 に 言 わ れ る。
(中 略 ) し か し そ れ だ けでは 解 決 につ な が ら ない こ と も あ り ま す。
調べ てみ る と、
そ の チー
ズの認 知 度は予 想 よ り高 くて、
いまさ ら新 聞広 告
を打
っ ても消費 者
に は新 鮮度
はない。 むし ろ パ ッケー
ジの魅 力が 足 ら な く て
、
購 買につな が ら な い と い う こ と が判
明した り する。
そ うなると問題
は パ ッ ケー
ジ を どう直 す
か で
、
新
聞広 告
で はな
い と いうこ と にな り ま す。
(
註
一
〇2
)
原 氏のコメン トにある
新
聞 広 告がポ
スター
制 作に置き替 わっ た例
が、
教 育
現場
で は多
い の で はな
い で し ょ う か。ポ
スタ
ー
制
彫 刻
,
”/
.
.
…“
’
:
ダ
チ
の
ジ
’
,
”’
’
’
’
’
’
’
’
、
,
σ絵
画
嘲
馬
、
、
・
:
q
丶 丶\
も、
腎
、
覺
、
馬
覧
、
腎
、
、
教
免 法 が示 す
「
美術
」
の
領 域
デザ
イ
ン
美術 史
麹 糖 大学で開 齣 「美 徹 育・関 連の授 業は・
も
教免法上 の 「美術埋論」に当たります。
ト、
丶 うも
:’
丶’
丶竃
事
、
、
腎
、
、
、
、
、
’
、
’ 丶
、
/ / :ノ
ヲ
/
/
’ /
.
” ノ’
’
’’
’
’
現 行の教 育 職 員 免 許 法 (教 免 法 )上で は、
中 学 校 教 諭 (美 術 )・
高 等 学 校 教 諭 (美 術 )の 免 許 取 得 要 件と し て、
絵 画・
彫 刻・
デザ イン・
工 芸・
美 術 史・
美 術 理 論に関 す る 教 科の履 修 が 義 務づ け られ て い ます。
.
.
・
方、
小 学校 『図 画 工 作』 の学 習指 導要 領で は1958年か ら 「デ ザイ ン 」 が 加 わ り、
絵 画・
版 画・
彫 塑・
デ ザ イン の4領域が指 導 内容と し て 示さ れ ま した。
そ の後の改訂 で、
新 たに 「鑑 賞」 が追加 さ れ た も の の、
徐々 に領 域 区 分は薄 くなり、
1977年には造形活 動 (「造形遊び」〉 が 加 わ り、
拡 大し て い き ま し た。
2008年に は、
構 想 教 育と し て歓 迎 すべ きか、
逆に教 育 指 導一
ヒ は曖昧になったと捉 え るべき か? 「造 形 的 な 創 造活動」 と包括に なっ て い ま す。
[図一
〇1] 教 育 職 員 免 許 法 が 示 す 「美 術 」 教 員 免 許 取 得の履 修 領 域6
デザイ ン学研究特 集号Sp
ial
lssueofJapanese
Societyforthe
Science
of
Design
NII-Electronic Library Service
見 え る
構 造
課
題
の確
認
課 題 解 決
「現 状の問題 は何 か」を 明らか にする.
【
problem
】
澗
題
の咀
嚼
→課題
の炙
り
出
し
一
一
〉問題 解
決
隠
ね
た
構
輝
【
vision】
「将 来の問題 は何 か」を 描く。
経 営
の設計
→目
標
の設
定
[:]=
本 稿で 扱って い る 問 題 解決の領 域『
一
〉問 題 解 決
問 題 解 決 と は「問 題 発 見⇒課 題 化⇒解 決」の行 程 を 踏 み ま すe 「課 題」は状況 に よって は 「目標 (vision >」に 置 き換 わりま す。
匚図一
〇2
]「問 題 解 決 」 で の課 題 領 域の構 造 解 析作
に しても、
問題解 決
へ の 思考
を伴
わ な い 「火の 用心 」 「赤い 羽根 共
同募 金」
な
どの公共
メッセー
ジ、
今
は影
を薄
め ま し た が 「原 子 力 発 電 」 など表 層の表 現作
業テー
マで は寂
し い で す ね。 解 決 すべき 課 題 探 しの 曖 昧 な デザ
イン教 育
では、
只の技能 表
現 です。
構
想の教 育であ り たい、
と 願 うのは デ ザ イン関 係 者 な ら 誰 しも 持つでしょう。
[図
一
〇2
] に 示 す [見 え る 構 造 ] は 対 症 療 法の表 現で、
[
隠 れ た 搆 造 ]の方 は 構 想の 表 現です。
[図一
〇3
]に注目 し て くだ さい。
ビ ジ ネス シー
ン で作 ら れて い る企画書
の構
造(
左)
と、
小 中 学 校で各 教 科 共 通の授 業 指 導案
の基本
的な章
建て(
右)
の対 応です。
授 業 指 導 案 と は一
般に は馴 染
み が薄
いのです
が、
小中 学校
の先
生 が組
み立て る授 業
の 企 画・
設 計書
です。
産業
界か ら教育
大学
に転 籍
し た筆 者
に とっ て、
ビ ジネス企 画 書と の相 似 性の発 見は 大収穫
で し た。デ
ザ
イ ン は、
すべて の教 科
の 「授 業
デザイ ン」 にも根
底でつ ながる 思考の筋 道 づくり (way ofthinking
) と確 信しま す。
2.
未来
の先
生
へ向
け て の デザ
イ ン教 育
筆 者の デザ イン関 連の授 業 を
受
け るの は、
おもに中学校
・
高
校
の美 術 教 員 養 成 (美 術 専 攻 )と、
図 画工作を得意教
科と す る 小 学 校の教 員 養 成 (美 術 選 修 )の学 生た ちです。
デザ イン教 育の解 決 すべき 課 題 は 「『問 題
解
決の た め の ク リ エイティブ 提 案 力』 として普 及さ せ る」 こと、
未 来の先 生へ 向 けて教 育 大 学で発 信 す るこ とが、
解
決 の 活 動 そのもの です。 [図一
〇3
] ビ ジ ネ ス 企 画書 (左)と授 業 指導案 (右)3 ,
デザ イ
ン教 育
は教 育 学 部
か ら筆者
が担 当
してい る デザイン関
連授業
の学年
別 指 針 を 示 し た のが[
図一
〇4
]
で す。
本稿
では 「デザイ ン教育
は 教育
学部
か ら」の信 念で、
筆
者 が力
を注
い で い る 「 問題解 決
のため のクリエイ ティブ 提 案 力」 養 成の授 業 (
2
年 次)
の流 れ を 中 心に紹 介しま す。
半 年 (
90
分
×15
回)
を か けて、一
つ の商 品
・
サー
ビス に 関 [図一
〇4
]デザ イン関 連 授 業の学 年 別 指 針灘
∴ ∴
に
_[図
一
〇5] デ ザ イン教 育の段 取 つ す る一
連 の 販 売 促 進の企画
を、
[
図
一
〇5
]
の段
取り
で体 験
し ま す。
大 学2
年 生 に とっ ては、 おそ らく初
め て学
ぶ 問 題 解 決の学修
プログラムです。
開
講
10
年の 「P
【an →Do
→Check →
Act
「on 」 を重
ね、
授業
の段
取 り も、
よ う や く整っ てき たと感じ て い ます。
筆 者 自 身の 「デザイ ン教 育
の問 題 解 決」 の企 画 と 実 践です。
近 年
の配 付 プ リントや 板 書、
受 講 学 生の行 程ごとの反 応 と筆
者
の対応
を回 想しつ つ 綴っ て みま す。
デ ザ イ
ン活 動 に は
、
筋 道 だ
った 作 法 が
あ るス
タ
ー
トか ら3
回 は、
仮 お 題 と 仮 グ ルー
プ (学籍 番
号順 )
で、
コー
チング無
しの 状 態で敢 えて 「自由 に 」 企画
を練
り、
3
回 目 に プ レゼンテー
ションを し ま す。問 題 解 決 と して の企 画の作 法 を 体 得 し て い な い
状
況ですか ら、Feeling
を 頼 り に 「こう し た らい いん じ ゃないか」 「私 は こ う 思 う」 と方 向 は 発散
しが ちです。 「どこ か ら手
を着
けて い い の か最 初の一
歩 が 分 からない」 と 嘆く受 講 学 生も い ま す が、
段 取り を踏 ませて いないの で当
た り前
です ね。 「私
は企
画 が苦
手で す」 も、
現 段 階では 苦 手 も 得 意 も あ りま せ ん。 受講
学生
に は 「自 由の不 自由
さ」 を体 験
し てもら い ます。時
に素 晴
ら しい 企 画 案 が 出 ま す が 「偶 然に金鉱
を掘
り当
てた」 ラッキー
性の評価
に 留 めて いま す。「デザイ ン は セ ン ス の産
物
で は な い」 「デ ザ イン活 動には、
筋 道 だっ た 作 法 が ある亅、
こ の作
法は 「理解
し、
お稽 古
で身
にっ け ること ができる」のを認 識
し て も ら いま す。
デ ザ インは 表
現
の主体
が 「自
己亅 ではな
く 「社
会亅 に あ る直 近
2012
年 度の仮
お 題は、
身近
な 「カ ップ麺(
「ど ん 兵 衛」 も し くは 「赤いき つね」)
の販売
促 進 企 画」 です。
当 初
、
お 題 に関
して 「私
はカッ プ麺
を食
べま せ んの で……
」 等、
自 分の物 指し で の意見 も 予想通 り出ま し た。
彼 ら 〔彼 女 ら ) に は 「あ な た が 食べ て い るか 否 かは 問 うて いま せ ん」 「で は、
老 人 向 け 商 品 だっ たら、
私
は老人
で は な い ので……、
子 ど 2011年 度:ペッ トボ トル に 駆 逐 さ れ た 「急須で入 れ る茶 葉」の巻 き 返し企画 特 定 銘 柄の選 定 を グルー
プに任せ た が,
選 定 そ の ものが難し かっ た か も しれ ない。
2010
年度
:「若 者が新 聞 を購 読 する に は」企画 新 聞記事 (『中 日新 聞』『刈 谷 ホ
ー
ムニュー
ス』『海 日 新 聞』) で報 道
。
(註
一
〇5 ) 2009年 度: 「若 者を 選挙
に行か せ る 」企 画 新 聞記 事 (『読 貞 新聞』 『朝日新聞 』 ) で報道。
(註一
〇6) 2008年 度;大 学 生に身近 な 「チ ョコレー
ト」の販売促進 身 近 す ぎる商 品ジャン ルだと 固定観 念 が 先 行 し が ち で,
企画の練 習と し ては 難 点 が ある よ う に感じ た。
2007年 度:「コー
ヒー
」 の販売促 進 プレゼン テー
ション の質が高次に揃っ てき た。
「企 画 書のつくり方」 を講 義に 組 入 れ た。
2006
年 度:r
大 学 生 層に車 を 売る亅企画 見 応 えのあ る プ レゼン テー
ションが登 場 し 出す。
2005年 度:「ス ナック 菓 子」 の売 上げアップ 対 象 商品 の 選定か ら 企 画 の一
連を グ ルー
プワー
ク。
企 画発 表 に プレゼン テー
ション 方 式 を 採 用 し た。
2004
年 度:液 体 石 鹸 に市 場 を 押 され た 「固形石鹸
」の蘇 生 企 画 課 題 化 までを グルー
プワー
ク,
戦術案は個人 ワー
ク。
課題 と 戦術の乖 離 が 多 く見られた の が 反省 点。
2003
年 度:差 別 化 が 難しい 「牛 乳」の 販売促 進 企 画 プロセスの全てを個 人ワー
ク と し た た め,
企 画 の着地点に格 差 が 出る結 果 となった。
今
年度
の お題
は,
嘉
澗
固
形
石
鹸
わ が祉は、
定$maと して
固鮖 鹸 を鍛っ
てい
ます,
bが祉が取O 扱つ
て い な い 液体 石 鹸 も 脅 喊の
存 在 になっ
て
き ま し た帆わ
が社と し て は,
さ
らに
能 合 ひ しめ く 液 体 石 鹸の 邸 場 に は 着 手 し衷 せ 从 「固 彫百
鹸 上の
蘇 生 企画
を
,
宜
し
く
お
願
い
覈し
ます.
今回 は,
裏面 の 各コ
ン サル 鰍 に蠅 を お 願 い し ま した 最 終 プ レ ゼ ンは、
来 牢の
2 月 を 予定 して
おり
衷
す。
群細日稲賦 陵目,
ご塵絡い
た し衷 す 从 そ の 鬮.
多 聞 的 な 検 肘 を肋 た上で
の
唸 る 企 霞 の撫 案 を 潮 待 し て いま す.
▲2012
年 度 [図一
〇6
]お 題一
覧8
デザイン学 研究 特 集号Sp lal lssueofJapanese SocletyforlheScienGe of Design
NII-Electronic Library Service
も 向 け 商 品 な ら、
私 は 大 学 生 だ か ら……
と な り ま す か?」 と問 いか け ま す。 デザ インは 表現
の主 体 が 「自 己 」 では な く、
あ ら ゆる制 約
と向
き合
う 「社会」
に在
りま す。
こ こ か らが
本 編
で、
Thinking
の授 業です。
ま ず グルー
プ 編成
は、
思考
が似
通る普 段
の仲 良
しグルー
プ を 避 け、
筆
者側
で編 成して います。
答
え が幾
通 り もあるクイズ を 出 題し、
回 答の 類 型 が 同 じで ない人
選で束 ね
て います
。受 講者
は例年 約
35
名
、
1
グ ルー
プ5
名
の7
社 (
各
々、
コ ンサ ル テ ィング 会 社に 見立て て います)
で、
コ ンペ を4
か月後 (
随
分 と悠 長 な 時 間です が ) に控 え た道
の りです。「お題 」 は
、
そ の年
々 に筆者
が悩
ん で 選 ん で き た も の です。
着 任 の2003
年
か ら取 り上 げ
た 「お 題 」 を[
図
一
〇6
]
で紹介
しま す。 今 年2012
年 度のお 題 は、8
年 前にも選ん だ 「固 形 石鹸
の蘇
生 企画
」 で、
図 中の写 真 は オ リエ ンシー
トを 想 定 した もの です。「お 題 」 を 出 す 時 点で筆 者は依 頼主 (ク ラ イ アン ト
)
です が、
次の授 業 か ら は 「問 題解 決
の た めの ク リエイテ ィブ提案 力」
育
成 に、
各 社か ら集め られた社 員の研 修 講 師と い う立 場で、
マー
ケティ ングの講義
とグ
ルー
プ演
習を指 導
して い ま す。
お 題
のオ ウ
ム返
し に しな
い仮
お 題 と仮
プレゼン テー
ショ ン時 もそうで し た が、
お 題 が 出 され
て直
ぐの段 階
か ら 「な ん か カ ッコイ イCM
を作 ろ う」 と す るグルー
プ は 実 に 多い で す。
[図一
〇2
]に示し た [見え る構
造]
で の表 現に意 識 が 集 ま りが ちです。
受講 学
生 に 「問 題 解 決の た めのク リエイテ ィブ 提案
力 」 と し て一
番に意
識して も ら い た い の は 「具体
的に解 決
すべ き明確
な 課 題」 を 探 し出 す 重 要 性です。
な か な か 理 解 が 難 しい よ うです。
マー
ケティ ングを扱っ た ビ ジ ネス書 も、
こ の箇 所 に 多 くの頁 を 割い て いるほどで すか ら、
ビ ジネス経 験の無い大 学 生に は無
理も あ り ま せ ん。
「解 決 すべ き 課 題
(
目標 )
」 設定 (
課 題化)
が実
に曖 昧
、
今
回 の例 な ら ば 「固 形 石 鹸の蘇 生 企 画 」 な る 依 頼 主 か らの使
命(
目 的 ) に 対 して 「固 形 石 鹸の売 上 げ を伸 ば す 」 と、
お題のオウ ム 返 し と なっ てし まいが ちです。
こ のイ メー
ジ の ま までは 問 題 の 解 決に進みよ う が あ り ませ ん。
広 告 会 社 に 勤 務 時 代
、
社 内 外の研 修で見受
けられ、
指摘
を受
けるのも、
や は り 「売 上 げア ップ 1 や 「フ ァ ンづ く り」と いっ た 曖 昧 な 設 定で し た。
課 題 化 に 至 る市
場 環境観 察
の連 鎖
を図解
し たのが[
図一
〇7
]です。
両 親
に親 孝 行
をす
る と し た ら……
次
のような
日常光 景
を取
り上 げて、
教
示する のが 分 りや すい よ う で す。
▲
:
匿
靂 ロ − ロ ロ サ の ロロ
−
の
−
仮 説
の
崩
れ 去 り
(
見
つ
め
直
し
)
い違い一
これらを逆手にとっ た 市 場で の魅 力 化への道 標。
[図一
〇7]課 題化に 至 る市場環境 観 察の連 鎖謙
欝
:
:
∵ ∴
[
∵
それ まで見 過
Z
“
して いた 「旅 行 が 趣 味では 」 とい うキリクチ が出
た時点
で企 画の見 通 しが 立 ち、
さ ら に 「海 外 旅行
を プレゼ ン ト」 とい う課 題 化で、一
挙 に 視 界 が 広 が り ま す。
上記 の ス トー
リー
では、
よ く知っ た 両 親 を 対 象 と したの で 「仮説
」 は一
発で当た りま した。
実 際 に は 仮 説 を 立て、
そ れが正 し い の か、
正 しくないのか を、
事 実 と突 き 合 わ せ な がら検証 (
反証 )
して い く 「仮 説と検 証の循 環 」 で、
やっ との ことで辿
り着
く のが 「解 決
すべ き 課 題」 の性 格です。
仮 説
へ の目 利き・
勘 所は、
日 頃の観 察 ト レー
ニ ングの積
み重
ねで養
われ
ることを自覚
しても ら う 節 目です。
他 人
の頭
で考
え るよ く 「自分の頭で考え ま し ょう」 と言わ れ ますが
、
せっ か く のグ ルー
プ 演 習です から、
敢
えて 「他 人
の頭で考 えて」 と提 唱 して い ま す。
そ の フ レー
ム ワー
クの一
つが、
先
の親 孝 行 企 画ス トー
リー
の枠 中 に も 記 し、
当
授業
で重 用して い る 「ブ
レー
ン・
ス トー
ミン グ (Brain
StQrming
MethQd
)
」 です。会
議
の ス タ イ ル と して 「誰 かの意 見
に対
して論 争
す るこ と」 と思い込 んでい る受講 学 生
に向
け 「アメ 1丿力 の 広 告 代 理 店BBDO
社ア レックス・
F
・
オズ ボー
ン副 社 長が考 案、
簡 単 な ルー
ル な が ら70
年
を経
た現 在
で も組 織
で重
用 さ れている 問 題 解 決のた めの集 団思考 法」と少
し威
厳を借りて解 説 して い ます。
ル
ー
ル の中
で、
筆
者が口を酸っ ぱく して言っ て いるのが 「批判 厳 禁」
、
それでもつ いつい論争
に な り が ちです。一
つ の こと を深く考
え る 垂直 思 考を飛 び 出て、
ひ ょいと 視 点 を変
える水平
思考
を常
に意識
させたいと 思いま す。
意 志 決 定
に連
鎖
す る調
査授 業では 「具 体 的 に 解 決 す べ き 明 確 な 課 題」 探し に辿 り
着
く ま で の市
場 環境
観 察 の 在 り方 と、
情 報 を 得る方 法 を探
る指導
に、
前
座 (第1
〜3
講 ) を 含 め 全15
回の半 分 以 上 を 使っ て い ま す。
ロ
コ
前 節 か ら 「
市場 環境 観 察」
と い う言葉
を使っ
て いま す。
マー
コ
ケティング・
デザイ ン の書籍
で は 「 市 場 環 境 分 析」 が多 く用い ら れ るの です が 「察
して観
る」行程
ですか ら、
筆 者
としては 「観 察 」 を 推 奨しま す。
その市 場 環 境 観 察の意
義
です が、
実
は現状
の評価
では な く、
次のアク ションプラ ン のため の情 報
に 過 ぎま せ ん。
例えば 「固 形 石 鹸の こと が分
か り ました」 で は、
その先
が あ り ま せ ん。
受 講 学 生は、
着
手時 点
で は只の 「調べ 学 習 」 が と ても多
い もの の です。
「 で、
それ
で [」 と聞かれ、
答
え に 窮 する ことにな りま す。
「 石鹸
につ い て調べ ま し た」 では な く、
意 志 決 定 につな がる 「固 形 石鹸の ロ ロ を 明 ら か に す る た め に 調べま し た」 とい っ た 仮 説 検 証(
場 合によっ て は反 証とな る)
の調 達で初 めて焦 点の 定 まっ た 方 向 が見出せ ま す。「
調
べる
」 では な く
「見
つけ
る」未 来の先 生
(
受講 学
生)
に向けて 「意 志 決 定 につな がる調 査」 の トレー
ニ ング段 階
です
が、
これ を 小 学 校で展 開 するとし たら 「見つ け学 習 」 と呼べ るで し ょ う。
「調べ る=
ネッ ト検 索1 と成りが ちです が、
図 に示 した よ うに、
これは 下調べ (仮 説を見つ ける) には 便 利 な だけ です。
官公 庁のweb は 例 外 と して も、
多く は裏 付 け情 報に はな り難い珠 玉 混 淆一一
留 意さ せ な い と 「wikipedia に拠る と…
」 が 出現し ます。
調 査 (筆者は机上の 「調べる」に抗 して 「踏 査」 と呼 んで いま す が )に は 「OO
は全 体の □ % 」 といった 数 値を収 集 する 『定 量 調査 』 の ぼか、
「生 の声 や 意見」を集める 『定 性調査』、
自分 自 身 が 現 場 を 体 験 する r参与調 査』など、
多 くの種 類 が ある こ と を解説し て います。
[図一
〇8
]「調べ る t の要素10
デ ザ イン学 研究 特 集号Sp ial lssue o 「Japa[ese SocietyfQr the Science ot Design
Vol
.
20−
4 No.
80 2Q13NII-Electronic Library Service
小 中 学 校で一
般 的 に 使 わ れている 「調べ学 習 」 対 し、
「 『見つ け 学 習』 で鍛 え よ う」 と 呼 び か けている愛 知 県三河 地 区の教 員 グ ルー
プ も あ り ま す (註一
〇3
)。
「調べよ う 」では 受 け 身で行 動 に結 びつ か ない、
それに対し て 「見つ け よう 」 「見つ けるん だ よ」 の働 き か け は 次の目 あてが 見 えて、
や る 気 を 導 き 出 す 考 え 方です。
意 志 決 定 につな が る 調 査の捉 え 方 と 共 通 している と感 じま す。
余 談です が、
仮 説 思 考 につ い て、
以 前 はTV
番 組 『刑 事コ ロ ンボ』 の捜 査 を 例に説 明 して い ま し た。
冒 頭で視 聴 者 に 犯 罪 シー
ンを 公 開、
ス トー
リー
展 開としてはコ ロ ンボ が 刑 事の勘で 犯 人 ら しい人 物 を 最 初 に 仮 定 し、
そ こか ら 詳 細 な 捜 査 を 進 め、
犯 人 を 挙 げ る 手 法です。
有 名です が、
も は や 古いTV
番 組で今 の若い学 生 た ち に は 通 じ ないよ うです ね。
調 査
で何
か が分
かる
という幻 想
近 年のネット環 境の急 速 な 発 達で 「調べる=
ネ ット検 索」 の 認識
が、
大学
生の調
査スタ イ ル と して当
り前
のよ う に 定着
し て しまい ました。 「調
べ る」 に は多
くの要素
が ある解 説
とし て [図一
〇8
] を用 いて いま す。
ま た
、
行 動 派の受講
学 生 は 「ア ンケー
トを取
ろう !」 と調 査 シー
トをつ く り始 め ま す。
ア ンケー
トを す れ ば何 か が 分 かるだ ろう という幻 想 は持
ち が ちです が、
強
い問
題意識
の無い ア ン ケー
ト で は、
何
ら か の結
果 が 出た と こ ろ で意 志 決 定に はつな が り ません。例えば 「どん な企画 を望ん で い ま す か ? 」 と いっ た 設 問 に は
、
教 えて くれると楽
です が、
相
手 は回答
でき ま せ ん。
な ぜ な ら質
問 に 「仮
説」 が ないか らです。
「こん な キ リ ク チ を 考 えて いま す が、
どう です か?」 とい う 風 に具 体 例の評 価 を 聞いた り、
手 に取
っ た り した 時 に初 めて触 発 さ れて感 想 を 言 え ま す。
(
反
対
)
个
飃
}
…
鶸
}
・ 庸
異謖
}
…
十
(
賞 賛 )
”
鑞
髦
鑾
よ
舷
覊
靉
鱇
轜
鑾
1
驚鑾
灘
醯
:
、
蓬
随 翻 鞭 纛轟
解
・
、
・
.
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.
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票,
.
・
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.
.
1
、
鞠・
、
憶.
藩
鑿
鑿
灘
轟
論
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巌
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灘 攣
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・
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四
軒.
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灘
編麟
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.
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哩へ一
一
.
.
,
.
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・
磁
二
瓢
1
綴鐸
ヨ層
・
一
庶
磁鶴
轢
罫可
幽尸
駆 玉鰻 澑嘱 [写真一
〇1] 中間 発表の評価コ メ ン ト集 (2013.
01) 筆 者 は、
例 年 「消 費 者ア ンケー
トでニー
ズ が 掴 める のな ら、
これ ほ ど 楽 なこと は あ り ま せ ん、
ヒッ ト商 品 はいつ でも 作 れ ま す ね」 「消 費 者 は 提 供 さ れ た 商 品 に 対 して の み 『こん な 商 品 が 欲 しかっ た』 と反 応 し ま す」 と、
受 講 学 生 を 消費
者の立 場で反 芻 させてい ま す。
「
計
画
性
と即 興
性
の掛
け算
」で捻
り出
す課
題 が 明確
に なっ た 時、
与 え ら れ た お 題の8
割
は 解 決 を終
え て い ます。
以前は 「半 分は解 決 」 と控え め に 思っ て い ま した が、
観 察
フロ セ ス の中
から後
に戦略
につな がる手 掛
か りが見出
せ る こ と も多い の で す。
課 題化の時 点で、
商品・
サー
ビス に対 して の新
た な価 値
観 や 意 味 合い の抽
出 を 同 時 に備
えて い るか ら です。
受 講 学 生 も 「見 えてき ま し た 」 と 発 する段 階です。
今 回のお 題でし た ら 「私 た ち は 固 形石鹸の魅 力 を 市 場で、
ど う位 置づけ 直 す か (design
) と、
打 開 策の降 臨」 です。
[図一
〇9
] 評 価の階 層 [図一
10] 目の付 けどこ ろはシ ャー
プですか ?識 飜
∵ ∵
1
∴
1
1
乱
当 授業
は、
問題解
決の た め の ク リエ イ ティブ 提案
力養
成 の た め に、
企画
に は段 取
りが ある点
とマー
ケ テ ィン グの考
え方
に関
する講義
と、
グ
ルー
プ演
習で成
り立っ て いま す。グ
ルー
プ演
習 時は極
力コー
デ ィネー
タ業に徹し た い と考えてい る私で すが、
つ いつ い 「私
が プラ ン ナー
なら……
」 と口を挟
ん で し ま い ま す。
こ の辺り の加減
は、
筆 者
に与
え られた授 業デザ インの課 題 です。売
れ る商
品が
あ る の で は な く 「売
れ る売
り方
」が
あ る だ け授 業
の10
回 目は中
間 発表 会
で す。
こ の発表
の段階
で は 「見 え て き た」状
況 のグルー
プ も あ れ ば、
未
だ市 場 環 境の 「調べ学習
ユ レヴェ ル の ところ もあり ます。
持
ち時
間は13
分
、
中
間 発表
と し て は短いよう で長い です。受講 者
は プ レゼンター
ですが、
同 時に依 頼 主 (ク ラ イ アン ト)
の立 場で遠慮
な く質 問 を しても らいま す。
当 事 者 た ち が 思っ てもみ なかっ た、
あ るいは不 安が的 中 したツッ コ ミや ダ メ出
しを 受 け る中
か ら改善
や 練 り直 し につな げ る の が 中 間 発 表の 狙い です。
こ
ん な キ
リク チ は ど う
です か
?中
間 発表会
で は、
筆者
か ら の講 評は特に し ま せ ん が、
受 講 学生
は発表 各 社 (
グ
ルー
プ)
に対
し評価
票 にコメン ト を書
き ま す。意
識 し たい の は、
評 価 と は イコー
ル 批 判 と は 違 う 点です。
評 価と は、
さま ざ ま な 観 点 を 持つ解 説 が [図一
〇9
]です。
評
価
票 に は一
人 が 自社 を 除 き6
社 分 を 書 き ま すの で、
そ れ だ けで1
社に30
のコメン ト が集まります。
次 回に全 グルー
プ分 を プリ ン ト し て受 講学
生の全 員に配付
していま す[
写 真一
〇1
]
。
「正 し く伝わ っ た かどう か」 「
提案
は受け入 れられる 土壌があ る のか」 シビア に突
き付
け られます。4
節
項にも 記 し ま した が、
発表で の 具体
的な ア ク ショ ンプ ラン 「こん なキリ ク チ を考 え て い ま す が、
ど う で す か ?」 表明 こ そ、
聴 衆
は 反応で き ます
。
こ の
中
間 発表
では 「市 場
で ど う位
置 づ け直
すか、
と打
開策」
(
次 節で述べ る 「 戦略
」 に当
た る)
と、
そ の サポー
ト(
戦略
の 最適
運 用法
と し て の 「戦術
」)展開
とが、
同一
レヴェ ル で発表
されが ちです。
発 表で突っ込まれ、
後にコメン ト集
を読
ん だ時 に、
当事
者 た ち は ズ レ に気
づき ま す。
当 授 業 にとっ て中 間 発 表 は大 事 な 催 事で す。
事 例 紹 介
一
「年 明 け年 賀 を送 りま せ ん か」
戦
略
は、
短い言葉
で表
わ すこと がで き ま す一
中 間 発 表 の 時 点で 言 語 化 さ れ るのが 時 限 的 に は 理 想です が、
実 際 に は 最 終 プ レゼンテー
ション直 前のヤマ場です。
言 葉 に 置 き 換 え る プロ セスそ のものが グ ルー
プ 内の思 考 回 路の共 有 化 に も な り ま す。
新 機 軸の着 眼 点 と打 開 策 が 明 快 にコ ピー
化 さ れ た 事 例 と し て、
近 年の授 業で紹 介 している のが 『年
明 け年
賀 を書
き ま せ ん か』 〔日 本 郵 便、2008
年 )です。
年 賀 状の売 上 げア ッ プ とい う使 命 に 対 して、
固 定 観 念 「年 賀 状 は 旧 年 内 に 投函
」を 破 り、
利 用 頻 度の拡 大 を 促 し た 名コピー
です。
同 様に、
メー
ル で済 ま す 『挨 拶 』に 対 峙 す る 『贈 り物
』 へ の位置
づ け直
しが 『年賀状
は贈 り物 だ と思 う』 (2008
年〜
) キャンペー
ン で す。
ほ か に 古い の です が
、
好 事 例 と しては 『和 食
のあ との コー
ヒー
』 (ネス レ、
1988
年 )、
『地 図に残る仕 事』 (大 成 建 設、
1992
年 ) な どの広 告 展 開です。
TV −CM
を 鑑 賞 を し ま す が 「CM
表 現の云々では な く、
どのよ う なコンセ プ ト(
意味 合
い の築 き ) なのか を 診てく だ さい」 と促 し て いま す。
広 告の つ くられ 方 か ら読み解 くマ
ー
ケティ ングの事例 探 究
[図一
11]提 案 さ れ た 戦 略 (「固 形 石 鹸 の蘇 生 企 画」2013
.
02
)12
デ ザ イ ン 学 研 究 待 集 号Special lssue ofJapaneseSociety forthe Scienceof Des「gn
NII-Electronic Library Service
は、
筆 者 が 会社
員 時 代に培わ れ た も のです。
私こ となが ら、
会社
では ビ ジ ネスマ ナー
面も含
め、
本 当
にい ろ んなことを 学 び 得 たと感 謝
し て い ます。授 業
では、
TV
−
CM
放 送 当 時の社 会 情 勢 と抱え て い た問題点の紹 介を交え な が ら講 義を進めて い ます が、
会社
員時代
の身 近
なエ ピ ソー
ドも 織 り まぜて企 画 現 場の空気感
も伝
え る よ う に努めて い ます。
戦 略 と戦 術
戦 略と戦 術と は
、
お ざな り に使
わ れ が ち な用 語です。
「戦 略 は課
題 解 決の着 眼点
と打 開 策
、
戦 術
は戦 略
の最適
運 用方法 (
サ ポー
ト)」 と 以 前は説明 し て い ま し たが、
どう や ら か な り 分 か り 難い よ うです。
そ こ で最 近 は、
前 項で述べ た よう に戦 略
は 「短い言 葉で表 せる 」膝
を打
つ着
眼点
と打 開 策
。一
方
、
戦術
は 「戦 略 とい う親 分の 下 に 居 て、
彼
を支え る広告
展 開や イベ ン ト 展 開、
店頭展 開
な ど多
くの兄弟」
と解 説
し て い ます。 こ の階
層 構 造 を 整理 し て臨
ま な い と、
雑 多
な提案
事 項が多
いゴチャ ゴ チャな プレゼン テー
シ ョン にな りま すが、
こ の辺 は 既 に 中 間 発 表でダメ出し を喰らっ て い る筈です。
「全
国 高 等 学校
デザ イ
ン選 手 権 大 会
」 のプ
レゼ
ンを
見習
う東 北 芸 術工科 大 学 が 「デザイ ン の
本 来
の意 味や、
新しい考え 方、
役 割 を 次 代に向 けて問いかけ る 運動(
ムー
ブメン ト〉
」 と して、
1994
年
から開催
し て い る 「全 国高 等学 校
デザ
イン選 手 権 大 会 (デザセ ン〉」 が あ りま す。
(
註一
〇4
)
当 授 業の受
講
は 大学
2
年
生です が、
次
の最終
プレゼン テー
ションを 前に、
当 大 会 (デザセ ン)
の 入賞
プ レゼンDVD
を 鑑賞
して いま す。
数 年前
にゼミ生と決勝 大会
を 見学
に山
形に行 き ま し た が、
高 校 生 な がらも 彼ら の指 導 者の見 事な教育
も あ り、
素 晴 ら し く見 応 えのあ る プ レゼン テー
ショ ン で した。
受講
の大 学生 は20
歳、
DVD
の高 校 生 は18
歳で、
初 めて取 組 む 問 題 解 決 の た め のク1丿 エイ ティブ
提 案 と して、
年 齢 的 に も 大 差 は あ りま せ ん。
受
講の大 学2
年 生 に は、
実 は1
年 次にも 披 露し て い る映 像で すが、
自分た ち が最 終プ レ ゼンテー
ショ ンを 控 え た当
時期
こ 匚写真一
〇2]最終 プレゼンテー
ショ ン光 景 (2013
、
02
) そ、
受 信 力が増 すと感 じ ます。
最 終 プ レ ゼンテ
ー
シ ョン 第5
回で配 付のオ リエンシー
トに 明 記 し た 「最 終 プ レゼン は、
来 年の2
月 を 予 定 してお り ま す。
(中 略 )そ の間、
多 面
的 な 検 討 を 重 ね た 上で の唸 る 企 画の提 案 を 期 待 して いま す」の時 を迎え ま し た。
「その間の多 面 的 な 検 討 」 とは、
こ こ まで述べ て きた段 取 りと手 順 を 指 し ま す。
お 題 に 対 して、
グルー
プ 内で の課 題 化と解 決に向けての着 眼 点が 「見えて 」 きて、
多 くの人 に受
け入 れられる打
開 策が ク リアー
に提 示で き た 時、
プレゼン テー
シ ョ ンは成 功 し ま す。
筆 者の授 業で、
何 度 も 登 場 して い るのが [図一
10
] に示 した着
眼 点の図です。
目指 すべ き は 右 上の [開 眼 ゾー
ン]で思いも 寄 ら ない 目 か ら ウロ コの着 眼、
し か し [間 抜 け ゾー
ン]と は紙一
重です。
[正 攻 法ゾ
ー
ン] は 目新 し く は ないけ ど 手 堅いキリ クチ、
匚独 り 善が り ゾー
ン] は 論 外です。
モ チベ
ー
ション受 講 学 生 グル
ー
プは、
コ ンサ ルティ ング会 社 に見
立て て はい ま すが、
こ の 段 階 までは クラ ス メー
トとし て筆 者を含め た身 内 で進 めて い ま す。
そこで、
最 終 プ レゼン テー
ショ ンは 外部
の方 に参 観を お願い して いま す.
受 講 学 生 た ち に は、
ゲス トを 招 く 旨 を事 前
に 伝 えてお き ま す。
筆 者 と しては、
実 は ヒ ヤ ヒ ヤ もの ですが プ レ ゼンテー
ショ ン の モ チベー
シ ョ ンを 高 めていると思 いま す。
お題が 「若 者が新 聞を購 読 す るには 」 (
2010
年 度)
、
「若者
を選挙
に行
か せ る」(
2009
年 度 )とい っ たメ ディ ア にとっ て ニ ュー
ス性の あ る テー
マ 時 は、
新 聞 記 事と して各 社か ら広い面 積で取
D
上 げられ ました。
(
註
一
〇5
) (
註
一
〇6
)
制 限 時 間
15
分
1
社
に与え ら れ た プ レ ゼンテー
ショ ン時 間 は、
準 備 時 間 を含 め15
分
で す。経
過時
間の節
目ご と にベル を嗚
ら して厳 格 に 進 [写 真一
〇3
]レポー
ト課題と し て提 出された企 画書 (2013.
03
)緜 簾
∴
1
:
:
:
:
∴
L
1
嘉
行し ま す
。
中
間発表 が13
分 だっ た の を考
え る と、
今 度は簡
潔 に ま と めない と切
迫してきます。
理屈で は計
れ ない 「問」
の取
り方
の重
要さも体感
でき ま す[
写真
一
〇2
]
。今 年 度
の ミッショ ン 「固 形 石 鹸の蘇 生企画」 に挑 戦し たコ ン サ ル ティング各社
の戦 略
を[
図一
11
]
に示し ま した。ポ
スター
やTV
−
CM
と いっ た戦
術は、
こ こ に来
て よ う や く戦 略
の サポー
ト とし て披 露
さ れ ま す。 「表現
はあ く までも提案
を 力 タチ に落
と し 込 む た め の、
い わば付
随 的な作 業
と も言え ま す」 と は、
冒 頭にも紹介
した書 籍
の中
での秋 草氏
の意
見です
。(
註
一
〇7
)
こ ん な に も
違
うキリ ク チ が登 場す る最 終プ レゼンテー
ショ ン は、
毎 年
の こ となが ら、
筆 者 自身
も締
め括
りの達 成感
があ り ま す。
プ レゼンテ
ー
ショ ン前
に 企画書
を 完 成 さ せ る の が 通常の流れ です
が、
当授 業
で は、
最終
プレゼンテー
ションが終
了 し た後
に 作 成して い ます。
A4
判10
枚の 「企 画 書 」 を学 期 末レポ
ー
ト試 験と して課 して い ま す。一
人の力ではで き な かっ たであろう、
グ ルー
プ演 習とい う集 団の力で辿 り着いた 「問 題 解 決のた めの ク リエイ ティブ
提案」
に対 し、
今 度 は 個 人で の作 成です。
同 じ プ ラン であっ ても、
人 そ れ ぞ れ 表 現 は 違っ てき ま す。
半 年 に 渡 る 思 考 を 整 理 し、
紙に落と し込 んで 「見え る化 」 する プロセス から、
あら た め て企
画の構 造
を掴
み直
すの が狙い です(
build
to
think
)
。 そ の 「企 画書
のつ く り方」 が最 終 講 義と な ります。
提案
に 至 る諸 情報
の連鎖
を、
しっ か り骨組
み し、
裏 付
け資 料等
を盛 り込 んだス トー
リー
性のある書 類が企 画 書です。
レポ
ー
トや論 文
と根本
は同 じです。違
いは、
忙
しい読
み 手 を 想 定 して最 小のエ ネ ルギー
で 理解
と賛 同を得ら れ る よ う に視 覚 化の工夫を図
っ て い る点です。
グル
ー
プで の企 画内容
は評価
の対象
にして いません。 他 人 に 伝 わる書 類と し て、
企 画 内容
をどれだけ魅 力化
し た か1
が評価
基準
です。
文面
や図版
な どの配 置
、
色彩
な ど相応
の完 成度
を 要 求 しま す。
「
伝
える」では な く 「伝
わる」 こ と、
伝
わる に は 工夫
が必
要 です。
優 秀 な 企 画 書は、
新 学 期に パネル化
し て廊
下 に掲
示 し て いま す。
伝
わるた めの 工夫
が あるな1
と
感
じ る作
品 を 見 る と、
筆 者の 翌年に向け たエ ネルギー
源 と な り ま す。
こ う し て本
稿の最 終ペー
ジ を 執筆
して い る同
時 期、
今年度
の企画書
が出揃
いま した [写 真一
〇3
]
。
4.
お わ り に大 学で デザイ ン教 育に携わ る よ う に なっ て早
10
年
。
期せず し て当論 文
を書
く機 会
をい ただ き ま した。 私自 身
の10
年
の節
目 を、
ま と め る チャ ンス に も な り ま し た。
14
デ ザ イ ン 学 研 究 特 集 号Special lssue ofJapaneseSociety torthe Science of Design Ve]
.
204No
.
802013 思 い 返 せ ば、
着 任問も ない頃は、一
見 カッ コイイ 響 きのあ る 「学
生の主体
的学
び」 を曲解
し、
段 取
り・
手 順の教 育 開 発 が 見えず
に 「自由
の不自 由
さ」 を学
生に与
え て いた 反省
が あ り ま す。 過去の自
分は反 面 教師
で す ね。
大 袈 裟
です が、
教 員養 成 系
の教 育 機 関
と して、
未 来
の先
生 と、
そ の先
に居る未 来
人に向け て、
今 後も デザイ ン教 育の開発 を 進め て いき ま す。教育
のクラ イ ア ントは、
未来 社会
なの です か ら……
補 遺
本 稿
は、
日本
デザ
イン学 会
・
研究
発表
大会 (
@名 古
屋市
立 大 学、
2009 ,
06
)での 口 頭 発 表 『問 題 解 決マネー
ジ
メン ト と して の デザ イン教 育』 (『第56
回 研 究 発 表 大 会 概 要 集』p
.
252
−
253
)
を 基底
として、
2012
年度
まで の授
業実
践 を 振 り 返っ て 執筆
し ま し た。
ロ 頭 発
表
の前 提
としては 『「デザ
イン教 育」
を デザ
インす る一
デザ イン教 育 は 教 育 学 部か ら一
』 (『愛 知 教 育 大 学 研 究 報 告』 第58
輯 教 育 科 学 編、
2009 .
03
) が あ り ま す (註一
〇8
)。
筆
者 が 大 学で開 講 している 授業
の概
要 は、
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)
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一
〇8
)
秋 草孝 『見 え る ア イ デ ア 』 (毎 日 新 聞 社
,
2008
)p
.
267
原 研 哉 「問 題 を 発 見・
解 決 す る プロセ ス と して の デ ザ イン」(
『Think
!』No.
8,
東 洋 経 済 新 報 社,
2004
.
02
)p
.
42
前 田勝 洋 ほ か 『授 業 する力 を き た える 』 〔黎明書房
2007
)p
.
97−105
「全 国 高 等 学 校 デ ザ イン選 手 権 大 会 (デザセン)
」 http://www.
tuad.
ac.
jp
/dezasen
「デ ザ セン 」 の 軌 跡 を 綴っ た 書 籍 と して 『社 会 は 僕 ら の教
室だ一
高
校 生の創 造 性 教 育の実 践全 国 高 等 学 校デ ザイン選 手 権 大 会
一
』 (東 北 芸 術工科 大 学,
河 北 新 報 出 版センター
,2005
)。
『中 日 新 聞 』 〔2011
.
2
/26
),
『刈 谷 ホー
ムニ ュー
ス』(
2
/19
)http
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,
』 〔
3
/29
)http
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stationery,
com /university /
.
『
読賣 新
聞』