White Paper
ハイブリッドクラウド戦略の力:企業のワークロード要件の
広がりに対応
Sponsored by: Dell EMC, Intel
Chris Kanthan
Deepak Mohan
May 2019
エグゼクティブサマリー
クラウドコンピューティングはここ10 年の間に、企業のビジネス戦略や IT アーキテクチャで欠かせ ないものになってきている。企業が新たなビジネスモデルを採用し、大量のデータから価値のある洞 察を導き出し、きついワークロードを処理し、新たな製品を大規模かつ素早く展開し、競争上で優位 に立とうとするなか、クラウドの活用が拡大している。 しかし、クラウド導入により新たな課題も生じている。IT 顧客企業に対するこの調査は、以下のパブ リッククラウドIaaS に伴う主な課題を浮き彫りにする。 セキュリティ上の懸念 アプリケーション性能 コストと料金 プライベートクラウドは従来の環境と矛盾しない環境を提供することで、セキュリティやアプリケー ション性能などを含むパブリッククラウドにおける主な課題の多くに対応する。同様に、プライベー トクラウドの顧客における主な課題には以下のものがある。 高い運用コスト 上位サービスの可用性が制限 素早いスケーリングが不可能 機能のこの補完的な性質や課題が、顧客がパブリッククラウドおよびプライベートクラウドを混在し て使用し、最高のIT 環境を作り出すハイブリッドクラウドやマルチクラウドの使用拡大に拍車をか けている。この調査の結果から、以下に示すようなハイブリッドクラウドの主なメリットがわかる。 セキュリティの向上。ハイブリッドクラウドを使用している顧客の多くで、セキュリティの 向上やリスクの低下(平均で13%低下)がみられ、「オールイン」パブリッククラウド利用 に伴う主な課題に対処した。 運用コストの改善。企業の多くで、ハイブリッドクラウドに投資した結果、年間の運用費低 減(平均で11%減)というメリットを享受している。 スピードアップとアジリティの向上。平均的な企業が、ハイブリッドクラウドへの投資を行 った結果、市場投入までの時間を15%以上短縮できたと報告した。 ハイブリッドクラウドではトレードオフを解消し、最適なソリューションを提供できる一方で、ハイ ブリッドクラウドの実装や管理にはまだ課題が残されている可能性がある。パブリッククラウドとプライベートクラウドでは管理ツールが異なるため、IT 環境は寸断され、相互運用性や可視性に乏しい 状況となる。これは、広範囲にわたる大きな課題である。これらのギャップは次世代のハイブリッド クラウドプラットフォームである一貫性のあるハイブリッドクラウドによって対応されている。この クラウドは単一の管理および運用の仕組みを用いており、パブリッククラウドおよびプライベートク ラウドの機能を一つにまとめたものである。IDC はこの一貫性のあるハイブリッドクラウドによって、 企業がビジネス上重要なワークロードや新技術によるイノベーションに関するモダナイゼーションや アジリティのニーズを満たすことが可能であると考えている。
状況概要 — クラウド導入の現状
クラウド導入(パブリックおよびプライベート)はここ5 年で飛躍的に増加している。パブリックク ラウドおよびプライベートクラウドはインフラのプロビジョニングやアジリティへの基本的なアプロ ーチにおいては類似しているが、特定のニーズに対応する範囲において違いがある。これには、これ らのクラウドで実現できる、スケーラビリティ、新技術の利用およびリソース上のコンプライアンス や制御の範囲が含まれる。 パブリッククラウドは、資本支出の低下によるコスト削減や、次世代技術の利用など数多くのメリッ トをもたらす。しかし、パブリッククラウドのみに依存することには、セキュリティやコンプライア ンスおよびガバナンスに関する懸念、サービス水準合意(SLA)を満たさないアプリケーション、性 能に対して価格が法外であること、および一部の状況下での運用コストの増大(特に帯域幅消費によ るもの)などの欠点がある。 プライベートクラウドは、パブリッククラウドが遅れを取っている範囲、特にセキュリティ、ガバナ ンスおよび性能の点で、適切に対応できる。最近のIDC の調査によると、86%の企業が、1 つ以上の ワークロードにおいて、パブリッククラウドから元のデータセンターへとアプリケーションを移行さ せる「差し戻し」を検討していると回答した。これはクラウド導入の初期段階にある今、パブリック クラウドのデータストレージに関する規則や顧客の好みが進化するにつれ、一層強くなる傾向にある。 この調査の一環でインタビューに答えたある企業は、ハイブリットアーキテクチャのメリットとして、 特定の地域における顧客の好みや規則に合わせて、必要に応じてワークロードやデータを徐々に移行 できる柔軟性を挙げた。 こうした課題とメリットの両面から検討するとハイブリッドクラウドが導き出されるが、これは、企 業のクラウド導入における事実上のアーキテクチャとなりつつある。「オールイン」パブリッククラ ウドおよびプライベートクラウドの戦略の課題やハイブリッドクラウドのメリットをより正確に把握 するため、IDC(sponsored by Dell EMC and Intel)はこのトピックに関して企業の IT 組織に対する調 査を実施した。調査方法
ハイブリッドクラウドに関するこの調査のデータは、自社のアプリケーションにクラウドインフラを 導入した大企業のIT 組織(米国では従業員数 5,000 名以上、その他の地域では 500 名以上)の幹部 1,000 名を対象に行われた世界的なアンケートから得たものである。ここでいう組織は、組織そのも のが会社全体である場合以外も含まれ、大企業の一部で、自身のIT バウンダリを有するビジネスユニ ットまたは部門である場合が多い。このアンケートの対象国は、オーストラリア、中国、フランス、 ドイツ、インド、日本、ニュージーランド、英国および米国である。比較のため、アンケート対象の 組織の半分は「オールイン」パブリッククラウドアプローチまたは「オールイン」プライベートクラ ウドアプローチを使用する。残りの半分はハイブリッドクラウドアプローチを使用する。このアンケートの回答者は、医療、金融サービス、教育、政府およびSaaS プロバイダーや独立系ソフトウェア ベンダーの垂直産業の中から選択された。
企業がクラウドを導入する理由と「オールイン」戦略の課題
パブリッククラウドおよびプライベートクラウドの使用の促進要因
パブリッククラウドは組織に対し、インフラの獲得と管理を容易に実現する方法をもたらす。さらに、 パブリッククラウドは次第に新技術(サーバーレスコンピューティング、ブロックチェーン、人工知能 (AI)や量子コンピューティングなど)の活用源としてみられるようになってきている。この調査の一 環として行ったアンケートでは、管理のしやすさ(回答者の68%)、スケーリングや導入の迅速さ (68%)、および総コストの低減(59%)が、企業のパブリッククラウド導入を促す主な要因である ことが強調されている(Figure 1 参照)。もう一つ重要な理由として、新しい技術やサービスの幅広い エコシステムへアクセスできることがある(35%)。ここで興味深い注目点は、最もランクの低い要 因が先行投資コストであったことである(32%)。先行投資コストは一般に、専用のインフラ上のパ ブリッククラウドのメリットの一つとみられている。この違いは、広範囲にわたるパブリッククラウド の顧客基盤と比較して、予測可能性の高い大企業でのIT への投資のニーズや IT 予算配分のプロセスを 反映している可能性が高い。 顧客の優先傾向は、運用容易性、アジリティ、および低コストであり、これは、探索的で増加するワ ークロードに対する一般的な優先傾向を反映している。これらはまた、より新しいデジタルビジネス イニシアティブまたはカスタマーエンゲージメントパイロットプログラムを含む。これらは、今日の 企業IT ポートフォリオの成長分野である。 プライベートクラウドプラットフォームは進化しており、現在は、パブリッククラウドが提供する管 理やアジリティに関するメリットのいくつかを提供している。組織は一般的に、パブリッククラウド のアジリティのメリットを求めるが、組織のワークロードに対するセキュリティ上の制約やデータコ ンプライアンス関連の制約を厳しくしたい場合に、プライベートクラウドを選択する。プライベート クラウドがパブリッククラウドと異なる重要な部分は、組織内で使用するインフラの資産やサービス にかかる制御レベルが高い一方で、スケーラビリティの程度や新たに開発されるサービスの利用に対 する制約がより厳しいことである。これらの側面はプライベートクラウドを使用する主な要因と強い 相関関係にある。その内訳は、パブリッククラウドと比較して、セキュリティとコンプライアンスの 高さ(57%)、データを確実に保護する能力(50%)、必要に応じて柔軟にプラットフォームやリソ ースを設定可能なこと(42%)である(Figure 2 参照)。FIGURE 1
パブリッククラウドの使用に対する主な推進要因
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
FIGURE 2
プライベートクラウドの使用に対する主な推進要因
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
0 10 20 30 40 50 60 70 80 先行コスト エコシステムおよび新技術 スキルセット構築 総コスト スピード(スケーリング、導入、他) 管理のしやすさ (%) 0 10 20 30 40 50 60 クラウドの扱い方に慣れる 組織内のトップダウンでの決定 社内スキルセットの移行が容易 社内でのコスト配分が容易 コンプライアンスおよび法規要件に合致 アプリケーション導入の時間を短縮 制御およびサービスレベルの検討 市場投入までの時間の短縮 スケーリングやプロビジョニングのしやすさ 社内ワークロードに対する費用対効果がよい 必要に応じて柔軟にプラットフォームを構成可能 データを確実に保護する能力 パブリッククラウドよりセキュリティが高い (%)
これらの要件は、大企業におけるビジネスクリティカルなワークロードの一般的な優先順位を反映し ている。このワークロードには、医療分野における保護医療情報(PHI)、財務データや、その他の 形式の重要なエンドユーザー情報などのホストデータに使用されるワークロードが含まれる。
パブリッククラウドおよびプライベートクラウドを導入している企業が直面
する課題
パブリッククラウドおよびプライベートクラウドが特定のメリットをもたらす一方で、自身のニーズ に合わせてパブリッククラウドまたはプライベートクラウドのどちらか一方のみを使用している組織 からは、このモデルについての課題がいくつか報告されている。(ここでいう組織とは、会社全体で はなく、自身のIT バウンダリを有するビジネスユニットまたは部門であることが多い。)パブリッククラウド ― セキュリティ、性能およびコスト上の課題
パブリッククラウドには多くのメリットがあるが、固有の欠陥や懸念事項がいくつか存在する。懸念 事項の上位3 つは、セキュリティ、性能およびコストである。 セキュリティ:パブリッククラウドにおいてほぼ間違いなくデータセンターと同程度のセキ ュリティが確保されているとしても、セキュリティに関する懸念事項はなお存在し続ける。 IDC のアンケートでは、回答者の 67%がパブリッククラウドにおいてデータおよびアプリケ ーションのセキュリティについて心配していると答えた。何故だろうか。 企業がパブリック クラウドを使用する場合、機密データやアプリケーションがサードパーティー企業、共有イ ンフラにあるデータセンターの外でホスティングされるため、プライバシーやセキュリティ に関する当たり前ともいえる懸念が存在する可能性がある。顧客は常にデータ漏洩、分散型 サービス拒否(DDoS)攻撃、ハッカー、ランサムウェアなどに懸念を抱いているが、彼らの 懸念は彼らが環境の完全な管理権を持たないパブリッククラウドへ移行する際にさらに高ま る。パブリッククラウドのセキュリティ特有の懸念として、ID、アクセスおよび信用の管理、 安全ではないAPI、ハイパーバイザーやその他の共有リソースの脆弱性などがある。その一 方で、過去に発生した最大のデータ漏洩のいくつかは、単に企業の管理者によるS3 バケット などのクラウドリソースの設定ミスや、初期のパスワードを変更していなかったことが原因 であった。 セキュリティに緊密に関連するのがガバナンス―会社と法律の問題である。規則の中には単純 にパブリッククラウドの使用を禁止するものもあれば、データの物理的なロケーションに関す る厳格なガバナンスが存在する場合もある。この要件は非常に限定的であるが、これはパブリ ッククラウドに存在するデータやその複製が地理的に分散している可能性が高く、その結果、 さまざまな法律の影響を受けるためである。例えば、欧州のGDPR にはデータロケーション、 リテンションポリシー(保持ポリシー)やプライバシーに関する多くの厳しい法律が含まれて おり、特定のアプリケーションにおけるパブリッククラウドの使用を困難にしている。 その結果、企業はミッションクリティカルなアプリケーションに関して2 つの選択肢に行き 着くことになる。それは、パブリッククラウド上でアプリケーションをホスティングしない、 あるいはクラウドセキュリティの専門家やニッチなソフトウェアツールに多額の費用を費や すかのいずれかである。 アプリケーション性能:回答者の61%がパブリッククラウドでのアプリケーション性能が期 待外れなものだったと回答した。これは驚くべきことではなく、性能がパブリッククラウド のプロバイダーによって異なることはよく知られた事実であり、一部のシナリオにおいては ネットワークレイテンシが深刻な問題になるためである。すべてのパブリッククラウドのプ ロバイダーが、独自のプライベートな低レイテンシで高帯域幅のWAN を有しているわけでは ない。また、クラウドサービスプロバイダー(SP)は性能に関する SLA の一部について保証 できるが、コストがかさむであろう。例えば、顧客は専用のサーバーやSSD ドライブなどを入手できるが、その場合、追加料金を支払うこととなる。そのため、顧客が性能について不 満を表す場合、たびたび費用対効果の指標に言及している。顧客は、予期しないダウンタイ ムや停止に遭遇することもあるが、これは、クラウドSP、または顧客がクラウド SP 環境に 関する特定の専門知識をあまり持っていないことが原因となっている可能性がある。 コストと料金:アンケートを受けたパブリッククラウドの顧客企業のうち、半数強でコスト が予測よりも高くなった。出費が予算を超えた具体的な分野は、トレーニング、移行および 管理である。このことは、予想と現実の差や、パブリッククラウドでの運用コストを正確に 計算する際の関連する課題も際立たせる。パブリッククラウドサービスは先行の資本出費を 節約する一方、クラウドを効率よく管理するためにIT スタッフが習得しなければならないク ラウド関連ツールおよびポリシーが多く存在する。クラウド内のリソース(仮想マシン[VM] やストレージなど)のスピンアップは非常に簡単であるが、VM スプロールや大量の未使用 VM またはゾンビ VM 関連ファイルの発生にもつながることがある。顧客は、データ量が大幅 に増加する場合に非常に重要となるストレージの階層化を注意深く立案しなければならない。 これらの要因は容易に、パブリッククラウドの使用コストが当初計画したコストを超える結 果をもたらすことになる。IT で明確に計画されていないコストとしては他に、クラウドの内 外にデータを転送するのにかかる帯域幅コストがある。また、クラウドのセキュリティ、ア プリケーションのリファクタリングおよびクラウド管理に関連するコストはすべて、当初計 画されたよりも多額になる可能性がある。
プライベートクラウド ― 運用コスト、専門知識の不足、低柔軟性
プライベートクラウドの顧客が報告した今日の主な課題は、運用コスト、ツールやスキルの少なさ、 新技術利用のしにくさ、データ保護に関する課題、およびスケーラビリティの制約である。プライベ ートクラウドはハードウェアおよびソフトウェアの入手の点で(特に、費用面での柔軟な選択肢が少 ない商品において)多額の先行投資コストを必要とすることがある。一般には、次に多額となるのは 保守、アップグレード、管理およびライセンス費用などの運用コスト、そしてデータセンターの運用 に関連するその他のコストである。また、企業がプライベートクラウドを実装する場合は、高いスキ ルを持つIT スタッフを雇わなければならないが、これは多額の費用がかかり実現が難しい可能性があ る。人工知能や機械学習(AI および ML)、モノのインターネット(IoT)などの多くの最先端の技術 においては、スキルを持つ人材が不足している。スケーラビリティの観点では、ほとんどのプライベ ートクラウドは、Amazon、Microsoft、Google などの主要なパブリッククラウドプロバイダーに対抗 できないであろう。 継続コストの高さ:プライベートクラウドユーザーの46%が、運用コストが高すぎると述べ ている。顧客は高額なハードウェア、ソフトウェアおよびプライベートクラウドの監視、管 理、修復およびアップグレードを行うIT スタッフを必要としているため、これは当然の話で ある。プライベートクラウドを導入している企業は、賃貸料、電気代および空調代などデー タセンターに関わる高額な費用も負担している。IT リソースの寿命全般にわたって、企業は 通常、導入にかかる費用1 ドルごとに管理費として 5 ドルを負担している。 プライベートクラウドスタック専門知識の少なさ:顧客企業の37%において所有するスキル が十分でない、また異機種環境全体において統一がなされていないため、課題に直面した。 IT スタッフは、多数のベンダーから導入することの多い、大量のハードウェア、ソフトウェ ア、プロトコルおよびAPI から成るスタック全体を統合しなければならないため、プライベ ートクラウドやプライベートクラウドに関する運用ツールの構築は、非常に難易度が高いも のである。また、IT 管理者は、定期的にこれらのリソースをアップグレードし、相互運用性、 可用性、性能SLA およびセキュリティの維持に取り組まなければならない。この特定の課題 は、最新型のすぐ使用できるプライベートクラウドプラットフォーム(Dell EMC VxRail hyperconverged platform(powered by Intel)など)の出現に伴って近年、幾分緩和されてき ている。これらの新製品には、クラウドの運用スタックや管理および運用のツール化支援が プレインストールされている。しかし、IT リソース(サーバー、VM、コンテナ、ネットワークおよびストレージ)の容量計画、オーケストレーションおよびスケーリングは、顧客企業 に対し多くの時間、費用および専門知識を必要とさせるため依然として厄介な作業となって いる。 データ保護能力:顧客の36%がプライベートクラウドにおいてデータ保護が困難であると述 べた。これは、スナップショット、クローン、バックアップ、アーカイブおよび災害復旧関連 レプリケーションのスケジューリングおよび維持を意味する。IT 管理者がプライベートクラウ ドでのデータ保護を維持する際にじっくり考えなければならない項目例は以下のとおりである。 バックアップ、アーカイブおよび複製の対象となる項目と頻度。リテンションポリシーは何か。 データ階層化をどのように行うべきか。複製をどこに置くべきか。重複排除、圧縮および暗号 化をどのように活用するか。これらの極めて重要な運用に必要なツールおよび人材は高額であ り、複雑に絡み合っている。データ保護に必要なすべてのハードウェアおよびソフトウェアの 購入、それらのハードウェアおよびソフトウェアと企業アプリケーションとの統合、適切なポ リシーや自動化の確立、環境全体の保守は、面倒なものであり、時間を消費し、高額である。 リソース選択の自由に対する制約、および付加価値サービス入手の困難性:Amazon のよう なパブリッククラウドプロバイダーは、複雑な技術上の問題に対応するため、多数のプログ ラマー、開発者およびシステムアドミニストレーターを抱えている可能性がある。また、パ ブリッククラウドプロバイダーは規模の経済を利用して、特定の問題に対応した製品を作成 し、その後製品化できる。しかし、大企業における一般的なデータセンターはそのような知 識の広さや深さを有していないだろう。当然のことながら、アンケートに答えたプライベー トクラウドユーザーの3 分の 1 が、リソース、専門知識および付加価値サービスにおいて制 約を受けていると述べている。 迅速なスケーリングが不可:プライベートクラウドはパブリッククラウドに比べ明らかにスケ ーリング能力が不足している。第一に、顧客企業は将来の予想外のニーズに備えるだけのため に、サーバー、ストレージなどのハードウェアを大量に購入するという贅沢はできないが、こ れらの制約の一部に対応した使用量に基づくプライベートクラウドの新モデルが存在すること に注目すべきである。しかし、IT チームでの購入は容量計画や会社の予算から制限されるであ ろう。 第二に、スケーラビリティに対する固有のシステム制約(物理的なサーバー上のVM やコン テナの数、ストレージアレイの容量および性能、ネットワーク帯域幅またはソフトウェアの 制約)も存在する可能性がある。これらは、アンケートに回答した顧客の30%がプライベー トクラウドではワークロード要件を満たす迅速なスケーリングができないと述べた理由の一 部である。上記で述べたとおり、近年のプライベートクラウド製品の長所は、特に費用面で 柔軟な選択肢を持つ製品では、これらの課題に対応するのに役立っている。 これらの課題に関するアンケートデータについてはFigure 3 および Figure 4 を参照。
FIGURE 3
パブリッククラウドの主な課題
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
FIGURE 4
プライベートクラウドの主な課題
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
0 10 20 30 40 50 60 70 80 ベンダーのロックイン サービス水準合意(SLA) スキルセットを利用できること 管理ソフトが使用できること コストと料金 性能 セキュリティ (%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 必要な詳細レベルにコストを配分できな い 迅速にスケーリングできない スピードやアジリティが不十分 十分なツールがない 柔軟性の低さ 社内の専門知識の少なさ 付加価値サービスを利用できない データを確実に保護する能力 継続コストの高さ (%)
推進要因および課題の分析 ― 使用の増加に伴い要件も変化
各プラットフォームの推進要因および課題の分析は興味深いパターンを示している。両方のケースに おいて、初期の推進要因はある種のワークロードに適合している。これらはパブリッククラウドまた はプライベートクラウドの初期導入を促す主なワークロードによって決まることが多い。しかし、こ の課題は、より幅広いアプリケーションに対しプラットフォームを拡大する場合に生まれてくる新た な要件を反映している。ハイブリッドクラウドアプローチの導入が増加する背景には、こうした企業 のワークロード要件の多様性が潜んでいる。 企業のポートフォリオにおける特定のワークロードはコンプライアンス、セキュリティおよび予測可 能性を優先しなければならない。これらは現存する顧客の運用アプリケーション、財務情報システム または物理的な企業資産と同一場所に保管する必要のあるアプリケーションで構成されている可能性 がある。ポートフォリオのその他のワークロードは、より柔軟に、新しい技術やソリューションを即 座かつ低価格で利用していく必要がある。例えば、分析やAI および ML のプラットフォーム、ブロッ クチェーンおよびIoT ソリューションである。企業にとって最適なソリューションには、パブリック クラウドおよびプライベートクラウドのリソースの両方を用い、それぞれの良いところを最大限に提 供する、調整されたアプローチが含まれるであろう。ハイブリッドクラウドはこれらの補完的な機能 を集約し、組織が最適な環境でそれぞれのワークロードを実行できるようにする。ハイブリッドクラウドのメリット ― 「オールイン」の課題への対応と生産性
パブリッククラウドおよびプライベートクラウドのプラットフォームはいずれも、企業に対し、ワー クロードのリソースを消費する際の効率性とアジリティというクラウドのコア属性を提供する。同時 に、パブリッククラウドおよびプライベートクラウドのプラットフォームの独自のメリットは、特に 顧客が述べている主な懸念事項において、互いに補完しあう。この相補的性質は特に、セキュリティ 上のニーズを満たし、また幅広いエコシステムへアクセスできるようにするところに見られる。この 際、パブリッククラウドおよびプライベートクラウドのプラットフォームを混在させることで、他の ワークロードのアジリティを低下させることなく、または新規イニシアチブやパイロットプロジェク トのための新しいサービスの利用を制限することなく、組織はコンプライアンスやセキュリティ上の ニーズを満たすため、適切なプラットフォームを使用できるようになる。その他としては、迅速なス ケーリングおよびアプリケーション拡張のニーズに対してパブリッククラウドを使用する一方で、オ ンプレミス環境で実施される予測可能な大量データ転送作業の基準を認めることで、スケーラビリテ ィのニーズと予算のバランスを取るところにある。 また、パブリッククラウド、プライベートクラウドおよびハイブリッドクラウドの顧客に対するこの 調査には、ハイブリッドクラウドの顧客と「オールイン」のパブリッククラウドおよびプライベート クラウドの顧客の間での、ビジネスおよび運用上の指標改善を比較したものも含まれる。結果の分析 により、ハイブリッドクラウドの顧客について以下のことが明らかとなった。 「オールイン」アプローチで指摘されたクラウドに関する主な課題の大半に対応でき、これ らの要因それぞれにおいて性能の向上が観察された 「オールイン」の顧客と比較して、ビジネス上および運用上の指標において同等以上の改善 がなされたことを報告 ハイブリッドクラウドへの投資により、「オールイン」の顧客と比較して、より多くの要因 (コスト、速度、利益、リスクなど)においてメリットが得られたことを確認「オールイン」の主な課題に対応するハイブリッドクラウドの補完的な強み
Figure 5 に主要な運用上およびビジネス上の指標の向上について図示する。これは運用効率、セキュ リティおよびコストを含み、ハイブリッドクラウドの顧客から報告されたものである。次のセクショ ンは、パブリッククラウドおよびプライベートクラウドのみを使用する顧客が報告した特定の課題に ついて、ハイブリッドクラウドの顧客においてどれだけの改善がみられたかを明確にしたものである。FIGURE 5
ハイブリッドクラウドの運用上およびビジネス上の指標の向上
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
0 2 4 6 8 10 12 14 収益 運用費 資本出費 利益 市場投入までの時間 アプリケーション導入時間 システム保守に費やす時間 アプリケーションレスポンスタイム セキュリティ/リスク低下 信頼性 イノベーション用の時間を自由に取れる (%)
セキュリティの向上、リスク低減および信頼性向上
セキュリティは依然として、パブリッククラウドを使用する組織において主な懸念事項となっており、 この調査の対象となっている企業の3 分の 2 以上(67%)が挙げている。ハイブリッドクラウドプラ ットフォームは、コンプライアンス要件を基に適切なプラットフォームにおいてワークロードを展開 するという柔軟性を組織に与えることで、これらの課題に問題なく対応している。セキュリティおよ びコンプライアンス上の懸念事項は、エンドユーザーの信頼や法規要件などの要因における急速な変 化に伴い、現在のIT 環境においてより複雑になっている。この調査の一環でインタビューに答えたハ イブリッドクラウドの顧客の1 人(大手の SaaS プロバイダーであり、社内でのパブリッククラウド の使用を徐々に増やしている)は、ワークロードやデータを適切な場所へ移行できること(変化する ガバナンス要件やクライアントの信頼性のニーズを満たすため)が、有効なハイブリッドクラウド設 定を維持する主な理由であったと述べた。 これらの事例的なデータポイントもアンケート結果によって裏付けられる。ここでは、回答者の大半 がハイブリッドクラウドへ投資した結果、セキュリティや信頼性指標が向上したと回答した。平均的 な企業では、リスクが13%減少したと回答した。セキュリティセンシティブなワークロードを行っ ている企業の中で、ハイブリッドクラウドの顧客では「オールイン」のパブリッククラウドの顧客と 比較して約5%の漸進的な改善がみられた。セキュリティのニーズを満たす際の信頼性レベルに関し ても同様の結果がみられ、回答者の95%以上が企業の情報資産を守る能力について、「かなり自信 がある」または「幾分自信がある」のいずれかを回答している。運用コストの改善
高い運用コストは、パブリッククラウドの顧客(54%)およびプライベートクラウドの顧客(46%) の両方において課題として挙げられた。実際、これは「オールイン」のプライベートクラウド顧客か ら挙げられた主な懸念事項であった。IDC が調査対象とした一流の教育機関は、ハイブリッドクラウ ドアプローチへの移行を推進する主な要因は、継続する運用コストを減らすことであると強調した。 この機関の研究所は定期的に大規模なコンピューティングリソースを必要とするが、賃借のデータセ ンターの空間内のこの大量のバッファを継続的にホスティングするのは費用対効果が悪かった。ハイ ブリッドクラウドのアーキテクチャに移行してから、この教育機関では、IT インフラに対する年間出 費が12%以上削減し、年間の削減額は約 250 万ドルとなった。実証調査の結果では、こうした費用 削減が幅広いハイブリッドクラウドの顧客層で一貫してみられ、インフラ運用年間費用が平均で5% 削減されたことを示した。 今回の調査でIDC のインタビュー対象となった別の会社は、北米を拠点とする金融サービスの大手企 業で、演算密度の高いシミュレーションやテストケース実行のためのインフラ要件の定期的な拡大に 対応するハイブリッドクラウドプラットフォームに投資している。これにより、インフラコストの累 積削減率が年換算で20%となり、スケーリング時間が平均で 40%短縮される結果となっている。こ れは、これらのシミュレーション実行にかかる労力、時間およびコストを削減した。 ハイブリッドクラウドへの投資はまた、この調査でインタビュー対象となった医療SP の例が示すよ うに、顧客の資産の利用や最適化を促進する結果となった。ハイブリッドクラウドへの投資により自 社のデータセンター2 か所を停止できたため、運用コストや資産の大幅な削減につながった。ハイブ リッドクラウドはまた、法規およびポリシーの将来の変更に対応するため、必要に応じてパブリック クラウドとプライベートクラウド間でワークロードやデータを移行させる柔軟性を用意している。 運用面でのコストについては、スキルを持ったスタッフやトレーニングが高額であるなど、パブリッ ククラウドおよびプライベートクラウドの両方に共通の課題がまだ残されている。これらの課題は本 書の中で、一貫性のあるハイブリッドクラウドを紹介する際に詳しく説明する。アジリティの向上とスピードアップ
「オールイン」プライベートクラウドの顧客における他の主な課題としては、柔軟性やさまざまなサ ービスの利用に対する制約、およびスケーリングのスピードと程度における制約がある。これらの課 題や変化する要件の状況下では、初期の導入は予測可能で安定したワークロードによって後押しされ、 より多くの準備調査やデジタルビジネスイニシアティブが含まれるまで利用が拡大するケースが多い。 そのようなプロジェクトを加速させる、すぐに使用できるデータ分析サービス、サーバーレスコンピ ューティング、AI や ML などのサービスは、プライベートクラウドの中では容易に使用できない。さ らに、プライベートクラウドのスケーリングの制約は、テストやイテレーション用に迅速にプロビジ ョニングできるリソースの範囲を制限する。一方、セキュリティセンシティブなサービスの公開は、 新たな導入モデルを使用する際にペースが落ちる可能性がある。専用のインフラは、プラットフォー ムやそのプラットフォームのセキュリティバウンダリに関するこれまでの知識を基に、そのようなア プリケーションのテストや認証の時間を短縮できる。ハイブリッドクラウドプラットフォームは、イ ンフラの予算や利用率に大きな影響を与えることなく、必要に応じて企業がこのような迅速なスケー リングを実現できる方法を用意する。 この調査のアンケート結果は、回答者が自社のハイブリッドクラウドへ投資をした結果、アプリケー ション導入の平均時間が12.5%短縮されたことを示している。同様の改善が市場投入までの時間にお いても見られる。企業はハイブリッドクラウドへ投資した結果、新たなアプリケーションを市場に投 入するまでの時間を平均で12.3%短縮した。 迅速なスケーラビリティのこのメリットを示した一例が、米国内の主要な医療サービス企業であり、こ こでは必要に応じ(パブリッククラウドが顧客に許容されるシナリオの場合)顧客環境の迅速なプロビ ジョニングのために「パブリッククラウドへのバースティング」を利用し、また長期に渡って求められ る成長の傾向に対応するため、この企業のプライベートクラウドフリートを徐々に拡張する形式を用い ている。初期の導入とスケーリングの後、顧客環境は会社のプライベートクラウドフリートへと移行し、 会社の自己運用フリート上において低コストインフラを活用する。これにより、企業は収益化されない インフラ資産に過度に投資せずにクライアントビジネスの獲得を最大化できる。 この運用コスト削減のテーマは、このIDC の調査の一環でインタビューに回答した SaaS プロバイダ ーも述べている。このSaaS プロバイダーのハイブリッドクラウドへの移行は当初、必要に応じて迅 速な全体的スケーリングのメカニズムが認められる一方で、局所的な法規に基づいた規則やコンプラ イアンスをより順守できることを根拠として決定された。ハイブリッドクラウドへの投資によって、 操作スピードと市場投入までの時間が平均で15%改善した。同様の改善が医療分野プラットフォー ムプロバイダーによって報告されており、ハイブリッドクラウドへの投資を行った結果、新規顧客の 環境の導入時間やビジネス準備が20%短縮された。ハイブリッドクラウドによってクラウドからの企業間のメリットが拡大
ハイブリッドクラウドアプローチは、「オールイン」のパブリッククラウドまたはプライベートクラ ウドに関連する主な課題に取り組む以外にも、クラウド導入や生産性によるより多くのメリットをも たらすことができる。 アンケートの1 つの設問において、企業のクラウドに関する戦略(パブリック、プライベート、また はハイブリッド)が収益、利益および生産性や運用コストなどの社内運用指標のようなビジネス指標 を含めた、さまざまな性能指標にどのような影響を与えたかについて尋ねた。Figure 6 に示すように、 「オールイン」のパブリッククラウドおよびプライベートクラウドの顧客と比較すると、すべての要 因について、より多くのハイブリッドクラウドの顧客がメリットを報告した。FIGURE 6
各要因からメリットを得た顧客の割合
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
ハイブリッドクラウド ― 現在
企業はクラウドジャーニーにおいてそれぞれ異なる段階にあるため、さまざまな課題に直面している。 ランドスケープがより成熟し終盤に差し掛かった顧客は、ハイブリッドクラウドを実装するための、 高度なツールを有し、適切なスタッフを確保してきた。まだ計画段階の顧客もいれば、環境をより管 理しやすくするためプロジェクトの一部を縮小しようとしている顧客もいる。 IDC のアンケートを受けた顧客の大部分が、既成または特注の統合ソリューションを通じてすでにハ イブリッドクラウドを使用し、プラットフォームをまたぐ管理やワークフローを一元化している。特 注のソリューションの普及は、ハイブリッドクラウドの適切な戦略とソリューションを提供できるベ ンダーがあまり存在しないことを強く示している。プライベートクラウドの商業的に入手可能なソリ 0 10 20 30 40 50 60 イノベーション用の時間を自由に取れる 資本出費 利益 収益 アプリケーション導入時間 毎日の保守に費やす時間 市場投入までの時間 運用費 アプリケーションレスポンスタイム セキュリティ/リスク低下 信頼性 (%) パブリッククラウドのみ プライベートクラウドのみ ハイブリッドクラウドューションにおけるこの制約は、プライベートクラウド運用に伴って報告されたその他の主な課題の 内在する原因要素でもある。例えば、高額な継続コスト、ツール作成が限定的であること、運用のた めのスキルが不足していることが挙げられる。
ハイブリッドクラウド改善の機会 ― 一貫性、ツールおよび統合
Figure 7 に示すように、ハイブリッドクラウドにおいて顧客が直面する主な課題はクラウド間のデー タ移行、すべてのプラットフォーム全体での統一されたセキュリティ監視の不備、すべてのプラット フォーム全体での一貫性のある管理の仕組みの欠如、および迅速なアプリケーション導入ができない ことである。インフラに一貫性がないこと、統一された監視ツールの不足、およびさまざまなクラウ ドをつなぐ共通のプライベートネットワークがないことも、企業が取り組んでいる問題として指摘さ れた。FIGURE 7
現在のハイブリッドクラウドに伴う課題
Source: IDC's Hybrid Cloud Survey, sponsored by Dell EMC and Intel, March 2019
0 5 10 15 20 25 30 35 市場投入までの時間 統一された監視ツールの不足 共通プライベートネットワークの不足 一貫性のある管理ソフトウェアの不足 一貫性のあるワークフローやツールの不足 アプリケーション導入時間 一貫したアプリケーション性能、ユーザエクスペリエンス 一貫性のあるインフラ要素の不足 一貫したデータ管理 統一されたセキュリティ監視の不備 プライベートクラウドとパブリッククラウド間のデータ移行 (%)
また、ハイブリッドクラウド導入に対する一部の需要が阻止され続けている。顧客企業にハイブリッ ドクラウドを導入してこなかった理由を尋ねると、彼らは必要なスキルやソリューションがないこと、 費用対効果分析の結果が実装の妥当性を示す根拠とならなかったことを挙げた。言い方を変えると、 ハイブリッドクラウドを導入しないのは、社内でこれを構築するには「コストが高すぎる」または 「困難すぎる」という理由に集約された。これは回答者にみられる統合の性質と一致しており、ハイ ブリッドクラウドの顧客の大部分は、制御や管理をまたいである程度の統合を行っていることを示し たが、半数以上が社内または専門的なサービスパートナーを通じてこの統合を構築したと報告した。
一貫性のあるハイブリッドクラウドソリューション
プライベートクラウド、パブリッククラウドおよびハイブリッドクラウドのメリットと課題を詳しく 説明してきたが、理想的なIT アーキテクチャは、統一されたソフトウェアによるシームレスなモニタ リング、管理、オーケストレーションおよびポリシーベースの自動化を実現する、「一貫性のある」 ハイブリッドクラウドを中心に展開されるだろうと判断した。このような一貫性のあるハイブリッド クラウドにおいては、顧客は、最適な方法で柔軟にワークロードを展開できるため、自社のインフラ 全体をしっかりと見渡せるだろう。この一貫性によって、パブリッククラウドおよびプライベートク ラウドの環境の統合が支援され、単一のアプリケーション導入パイプラインや統合されたライフサイ クル管理が実現する。重ねて、一貫性のあるハイブリッドクラウドのこれらの機能は、トレーニング を徐々に増やしたり、IT インフラ資産および運用を分断させたりすることなく、顧客の総所有コスト (TCO)を下げ、運用効率を上げ、またアプリケーション導入サイクルを速める。Dell Technologies Cloud — 一貫性のあるハイブリッドクラウド
ソリューション
Dell Technologies Cloud は VMware のソフトウェアと Dell EMC のインフラの機能を組み合わせてお り、ハイブリッドクラウド環境の運用を容易にするよう設計されたものである。Dell Technologies Cloud のポートフォリオは、この新たな Dell Technologies Cloud Platform と新たな Data Center-as-a-Service 製品である VMware Cloud on Dell EMC から成っている。これらは、緊密な統合により IT や管理の選択の幅を柔軟にし、購入、導入、サービスや財務における単一ベンダーでの実績を実現す る。Dell Technologies Cloud は、顧客によるオンプレミスハイブリッドクラウドの運用上のハブに対 する管理の強化、また4,200 を超えるさまざまなクラウドプロバイダーやハイパースケーラーによる すべてのクラウドタイプ(オンプレミスおよびオフプレミスの両方)にまたがる一貫性のあるクラウ ドインフラを顧客に提供する。
この一貫性のあるハイブリッドクラウドアプローチは、Dell EMC および VMware から、ハードウェ ア、ソフトウェア、サービスおよび柔軟性のある消費パターンの固有の組み合わせを通して配付され る。Dell Technologies Cloud はなじみのある VMware ツールを採用し、複数のクラウド導入パターン 全体において、アプリケーションのプロビジョニング、管理、自動化およびオーケストレーションを 行う。これは、クラウドSP の広範囲にわたる世界的なネットワークに支援されたパブリッククラウ ド、プライベートクラウドおよびエッジクラウドをまたがる単一の運用ハブを通じて、ワークロード 配置の柔軟性を組織にもたらしている。Dell Technologies Cloud Platform およびフルマネージドの Data Center-as-a-Service としての、2 つの方法において消費が可能である。
VMware Cloud Foundation と組み合わせた Dell Technologies Cloud Platform は現在、Dell EMC VxRail ハイパーコンバージドインフラ(HCI)にパッケージ化され出荷される。これは、業界で初めて共同設 計された、柔軟性があってフルスタックのVMware の HCI アーキテクチャとしっかりと統合されたハ イブリッドクラウドインフラソリューションであり、最も単純で迅速にハイブリッドクラウド導入を 行う方法を提供する。ハードウェアおよびソフトウェア群全体で、運用継続が簡素化され、ライフサ イクル管理の自動化により運用時のアジリティがもたらされる。
VMware Cloud on Dell EMC による Data Center as-a-Service は、 ベンダー2 社からのコアテクノロ ジーを組み合わせたものであり、VMworld 2018 US において Project Dimension として発表された。 このDell Technologies Cloud 製品は、組織において、パブリッククラウドサービスのようにオンデマ ンドでデータセンターやエッジ環境でインフラを消費できるようにする。VMware Cloud on Dell EMC も、ハイブリッドクラウドの制御プレーンを用いて、アプリケーションやデータのポータビリ ティのため、パブリッククラウドとの双方向の接続を実現する。これにより、IT 組織におけるインフ ラ管理や保守などの基本的な作業の必要性をなくしつつ、定額制料金による先行コストの削減が可能 になる。 これらのソリューションは共に、柔軟なクラウド消費をもたらす。組織は、サービスとしてのIT(IT as a service)を購入、賃貸または消費するといったさまざまな選択肢や、使用量に基づく容量の柔軟 な設定を通じて、自社のビジネス方針とIT への支払い方法を調整し決めることができる。Dell Technologies Cloud Platforms により、顧客は一貫したインフラと運用からメリットを受ける。共通 の管理およびオーケストレーションソフトウェア層を通じ、VMware Cloud Foundation によって一貫 した運用がプライベートクラウドおよびパブリッククラウドのロケーションをまたいで導入されてい る。一貫したインフラとは、同一のVM またはコンテナがさまざまなクラウド全体で互換性を持つこ とを意味し、不必要なアプリケーションのリプラットフォームをなくすことによって時間やコストを 削減する。
IDC の提言
企業は、新しいビジネスモデルが既存のビジネスモデルと急速に置き換わりつつある「食うか食われ るか」のランドスケープに次第に直面するようになっている。この状況下で生き残るために、経営者 はデジタルビジネスイニシアティブや次世代技術を全面的に受け入れ、競争力を維持し、大きな規模 で革新的な製品をすぐに供給しなければならない。もはや、人工知能/機械学習/深層学習、拡張現 実/仮想現実、ブロックチェーン、モノのインターネット、マイクロサービスおよびコンテナなどの 最先端の技術を任意に選ぶ時代ではない。これらの必須ツールを採用するために、企業は、クラウド ファーストかつクラウドネイティブなアーキテクチャ、特に一貫性のあるハイブリッドクラウドを導 入し、投資しなければならない。IDC は、経営者に対し、ハイブリッドクラウドの実装に関し、しっ かりとした実績を持ち信頼できるパートナーやベンダーを探し求めることを推奨する。IDC 社 概要
International Data Corporation(IDC)は、IT および通信分野に関する調査・分析、アドバイザリーサ ービス、イベントを提供するグローバル企業です。50 年にわたり、IDC は、世界中の企業経営者、IT 専門家、機関投資家に、テクノロジー導入や経営戦略策定などの意思決定を行う上で不可欠な、客観 的な情報やコンサルティングを提供してきました。 現在、110 か国以上を対象として、1,100 人を超 えるアナリストが、世界規模、地域別、国別での市場動向の調査・分析および市場予測を行っていま す。 IDC は世界をリードするテクノロジーメディア(出版)、調査会社、イベントを擁する IDG(イ ンターナショナル・データ・グループ)の系列会社です。
Global Headquarters
5 Speen Street Framingham, MA 01701 USA 508.872.8200 Twitter: @IDC idc-community.com www.idc.com Copyright NoticeExternal Publication of IDC Information and Data — Any IDC information that is to be used in advertising, press releases, or promotional materials requires prior written approval from the appropriate IDC Vice President or Country Manager. A draft of the proposed document should accompany any such request. IDC reserves the right to deny approval of external usage for any reason.